国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
全国放送テレビ番組と全国⾃治体による個別通知を
組み合わせた乳がん検診受診勧奨の普及・実装研究
NHKの⼈気番組「ガッテン︕」と連動した受診勧奨
放送予定︓2018年9⽉5⽇(⽔) NHK総合 19:30〜20:15 同再放送︓2018年9⽉8⽇(⼟) NHK総合 0:25〜 1:10 (7⽇(⾦) 深夜) NHKオンデマンド(インターネット)︓ 放送後14⽇間 NHKワールド プレミアム(国際)︓ 9⽉5⽇(⽔)19:30〜20:15 同再放送︓ 9⽉6⽇(⽊)10:05〜10:50 「86万⼈の⾃宅に届く︕乳がんで死なないための切り札をあなたへ」国⽴がん研究センター
社会と健康研究センター 保健社会学研究部
がん対策推進基本計画
(H30年3⽉)
抜粋
「がんの1次予防」の個別⽬標
喫煙率︓H34までに成⼈12%、妊娠中の喫煙及び未成年者0%、東京オリンピックまでに望まない 受動喫煙のない社会を実現 リスクのある飲酒 男13%(H27: 13.9%)、⼥6.4%(H27:8.1%) 運動習慣 20-64歳︓36%(24.6%)、⼥33%(19.8%)、65歳以上︓男58%(52.5%)、⼥ 48%(38%) 「がんの早期発⾒及びがん検診(2次予防)」の個別⽬標
男⼥とも対策型検診で⾏われているすべてのがん種において、がん検診の受診率の⽬標値を50%と する。 精密検査受診率の⽬標値を90%とする。 国は、「職域におけるがん検診に関するガイドライン(仮称)」を1年以内に策定し、職域での普及を 図る。 「がんの教育・普及啓発」の個別⽬標
外部講師の活⽤体制を整備し、がん教育の充実に努める。 国⺠に対しては、がんの普及啓発を更に進める。 2国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
⽇本のがん検診受診率
正確な受診率は不明だが、⽬標の50%にはまだ達成していない
4
がん検診受診勧奨⽅法の有効性
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部 Source: 1)goo、乳がんに関する2万⼈⼥性の意識調査、2)国⺠⽣活基礎調査
背景︓ピンクリボンキャンペーンの認知
意識
(マンモの 有用性)行動
(受診率)
5ヘルスビリーフ・モデル(Health Belief Model)
Rosenstock, 1974
⼈々が疾患予防もしくは早期発⾒のためのプログラムに参加しない理由を明らか
にするために考案された概念
6がん検診
受診
罹患性(かかり やすさ)の認知 疾病の重⼤ 性の認知 有益性の認知 障壁の除去 きっかけRosenstock IM. Historical origins of the Health Belief Model. Health Education Monographs. 1974;2(4):328-35.
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部 ⽶国CPSTFによるがん検診受診率向上のための介⼊⽅法の評価
出典︓ CPSTF(U.S Community Preventive Services Task Force) community guideより作成
http://www.thecommunityguide.org/cancer/screening/client-oriented/index.html がん検診受診率向上のための介⼊⽅法 (マンモグラフィ)乳がん検診 ⼦宮頸がん検診(細胞診) (便潜⾎検査)⼤腸がん検診 がんとがん検診に関する認知の変化を促す(罹患性の認知、重⼤性の認知、有益性の認知) スモールメディア 例︓ビデオやパンフレット、ニュースレターなど 推奨 推奨 推奨 1対1の教育 例︓電話や⾯談によって⾏う健康教育や啓発など 推奨 推奨 推奨 グループ教育 例︓講演など 推奨 証拠不⼗分 証拠不⼗分 マスメディアのみ 証拠不⼗分 証拠不⼗分 証拠不⼗分 障害の除去 費⽤以外の障害の除去 例︓休⽇や夜間の受診、アクセス向上など 推奨 証拠不⼗分 推奨 ⾃⼰負担費⽤の軽減 例︓検診費⽤の補助、無料化など 推奨 証拠不⼗分 証拠不⼗分 きっかけ ⼿紙や電話によるコール・リコール(受診勧奨・再勧奨) 推奨 推奨 推奨 報奨のみ 例︓少額の現⾦やクーポンの提供など 証拠不⼗分 証拠不⼗分 証拠不⼗分 組み合わせ 複合的アプローチ(上記いずれかの⽅法を2つ以上組み合わせる) 推奨 推奨 推奨
8
⽇本の市区町村の多くですでに受診勧奨は
⾏われているにもかかわらず、受診率はあまり上がらない。
なぜ︖
個別勧奨の⼿法 市区町村の割合実施している 個別通知(郵送) 48% 個別通知(電話) 4% 世帯主あてに通知(郵送) 25% 個別訪問(⾃治体職員) 5% 個別訪問(ボランティア等) 12% 上記のうち、何らかを実施 57% 「平成25年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査」 厚⽣労働省国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
なぜ未受診者は受診しないのか︖その深層⼼理は︖
9未受診者によっても
受診しない理由は様々
それぞれの気持ちに響く
メッセージを送らないと
その⾏動は変わらない
ソーシャルマーケティングの活⽤
従来より、がん予防や検診受診率向上に関する対策、研究が⾏われてきた
が、⼗分な成果が得られていない
これまでとは異なる
新しい普及⽅法
が必要
10ソーシャルマーケティングとは
費⽤効果を重視し、
徹底した市場調査
に基づき商品等のプロモーションを⾏う
マーケティング⼿法
を、公衆衛⽣に取り⼊れ、⼀般市⺠への普及啓発を
戦略的
に⾏う取り組み
欧⽶で国の施策として取り⼊れられ始めた先駆的取り組み
アメリカ︓NCI など イギリス︓National Social Marketing Centre(2006)
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部 ソーシャルマーケティングと商業マーケティングの違い(The NSMC, 2001) 商業マーケティング ソーシャルマーケティング 第⼀の⽬的 (Primary aim) ⾦銭的利益 個⼈や社会の利益 究極的な⽬的 (Ultimate aim) 利益を増やし、会社のブランドの 認知を⾼める 社会福祉やソーシャルグッドの向上 製品 (Product) 物やサービスを開発・販売する ⾏動を変化・維持させる 第⼀の競争相⼿ (Primary competition) 同種の物やサービスを提供している 他の組織 現在の⾏動や好まれている⾏動ターゲットとなるセグメント*の
The NSMC (National Social Marketing Centre). (2011). Big pocket guide to social marketing. http://www.thensmc.com/sites/default/files/Big_pocket_guide_2011.pdf
(溝⽥ 訳および改変)
*セグメント︓市場の細分化(セグメンテーション︓消費者を共通のニーズを持ち、⽬的とする⾏動において認識や価値観、プロセ スなどが似通った集団に分けること)によって分けられたグループ
ソーシャルマーケティングのプランニングのための
ステップとリサーチインプット
(Lee, Kotler, 2016) 1) プランの背景、 ⽬的、フォーカスを 記述する 2) 現状分析を ⾏う 3) ターゲットと なる対象者を 選ぶ 4) 介⼊する⾏動 の⽬的とターゲットと なる⽬標を 設定する 5) ターゲットと なる対象者の 障壁、利益、動機 づけと競合する要因 を特定する 6) (競合する要 因に対し)望ましい ポジショニング*1を 作り出す 7) 戦略的な マーケティングミックス *2を開発する *2 マーケティングミックス︓複数の⽅法を 組み合わせる(4つのP(製品(Product)、 価格(Price)、流通チャンネル(place)、 宣伝(Promotion)など) Lee NR, Kotler P. (2016) Social Marketing : changing behaviors for good. Fifth edition. SAGE Publications, Inc.(溝⽥ 訳 および改変) 8) 評価と モニタリングの 計画を作る 9) 予算の 確⽴と財源の 確保 10) 実施プラン の完成 *1 ポジショニング︓対象者のなか で、勧めたい商品(⾏動)が競合 する要因に⽐べて、よりよいものと して位置づけられるようにする フォーマティブリサーチ (企画⽴案のための ⼊念な事前調査) 内的 アセスメント プレテスト ターゲットとなる 対象者 ⽂献レビュー と同僚への インタビュー本研究で策定した、ソーシャルマーケティング⼿法による
普及プログラムの流れ
ステップ Habit & Practice調査 対象者層を 理解し、 インサイトを 明らかに ⽅法の改善 フィードバック 分析 SWOT分析 などによる 現状分析 問題の把握、 背景・⽬的の 整理 準備(2) 準備(1) 準備(3) ⽬的とする⾏動と ⽬標、対象者層、 評価⽅法を決定 調査(1) 調査(2) 調査(3) 対象者層への コミュニケーション 戦略分析 対象者層のセ グメンテーション 調査によりター ゲッティング 調査(4) 障壁、利益、 動機づけ、 競合要因等を 明らかに + ⾏動科学モデル を活⽤し、 ターゲットの ⾏動に関連する ポジショニング 調査(5) 調査(6) コンセプト/ メッセージの 開発・評価 (プレテスト)・ 修正 クリエイティブ (普及資材)の 制作・評価(プレ テスト)・修正 調査(7) メソッドミックス の開発 4つのPを決定 ・製品(Product) ・価格(Price) ・流通チャンネル (place) ・宣伝 (Promotion) 調査(8) プログラムの 実施 + プロセス評価 (モニタリング) アウトカム評価 戦略開発 プログラムとコミュニケーションのデザイン、プレテスト プログラム 実⾏ フィードバック評価と 調査・実⾏ 綿密なフォーマティブリサーチの積み重ね 量的研究、質的研究(個別⾯接、フォーカスグループ) ターゲットにテーラードなメッセージ WHO,WHATの決定 実⾏ ⽂献 SWOT分析 ディスカッション 情報環境分析 メディアプランニング HOWの決定 介⼊ キャンペーン ツールの発信 普及⽅法の 確⽴・発信 プログラム終了後も、普及⽅法や研究成果を発信し、全国規模での普及啓発として継続していくことを⽬指す乳がん検診未受診者の特性
調査の繰り返しにより、乳がん検診未受診者の特徴を分けるのに、
計画的⾏動理論
(TPB(Theory of Planned Behavior); Ajzen,
1985)
がんへの不安
(Cancer worry; Hay, Buckley, Ostroff, 2005)
の2つの理論の組み合わせにより、3つのセグメントに分けられることが明ら
かになった
low screening intention/low cancer worry⇒「無関⼼者」
low intention/high worry⇒「関⼼者」
high intention⇒「意図者」
14
・Ajzen I. (1985). From intention to actions: A theory of planned behavior. In J Kuhl, J Beckmann (eds.) Action-control: From cognition to behavior. Heidelberg, Germany: Springer, pp.2-39.
・Hay JL et al. Psychooncology. 2005;14(7):517–34. ・Harada K et al. Health Commun. 2013;28(7):709-17. ・Ishikawa Y et al. BMC Public Health. 2012;12:760.
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
ターゲットにあわせたメッセージによる個別受診勧奨
“どうやって受けれ ばいいの︖” “私は絶対に ⼤丈夫” “がんが⾒つかるのが怖い” 無関⼼者 (がんに無関⼼な 層) 関⼼者 (がんが怖くて検診が 不安な層) 意図者 (すでに受けようと思っ ている層) 未受診者の 特性 *東京都における医療保健政策区市町村包括補助事業「がん検診受診率向上事業」にて実施 出典︓東京都「受けよう︕がん検診」HP 伝える メッセージ 「乳がんは今や誰しもが⼼配すべき問題です」 「早く⾒つけてしまえば乳がんは治ります」 わかりやすく具体的ながん検診受診の⽅法 受診率 2.9倍 受診率3.9倍 受診率3.0倍 4.6% 13.3% 4.7% 17.3% 7.3% 25.5% 送り分けに よる効果(がん種共通)
*Rosenstock IM. Historical origins of the Health Belief Model. Health Education Monographs. 1974;2(4):328-35.
受診⾏動に影響を与え る概念(ヘルスビリーフ・ モデル*より) ⾯接調査から明らかになったインサイト 伝えるべきメッセージ がんとがん検診に関する 認知 -罹患性の認知 -重⼤性の認知 -有益性の認知 ・⾃分はがんにかからない ・まだ先のこと ・⾃覚症状が出てから ・⼀度がん検診を受けたからだいじょうぶ ・罹患、死亡についてのデータ (○歳代に多い、○⼈に1⼈、 ○位など) ・がんは⾃覚症状がない ・年に1度はがん検診(がん種により2年に1 度) がん検診受診の障壁 ・がんが⾒つかるのが怖い ・検査の⽅法が不安 ・⾃治体の検診は質が低いのではないか ・⼥性医師に診てもらえるのか不安(乳が ん、⼦宮頸がん) ・早期発⾒による効果(進⾏度別⽣存率 のデータ、⼿術の負担の違い) ・検査の具体的な⽅法 ・本当は⾼額な検診が安価で受けられる (対象者が実際に⽀払う⾦額ではなく、 助成⾦額と検査費⽤) ・予約の際に⼥性医師による検診の提供の 有無を確認できる がん検診受診のきっかけ ・なんとなく受けていない ・受けないつもりはないけれどきっかけがない ・受け⽅がよくわからない 動作指⽰(わかりやすく具体的ながん検診 受診の⽅法)
ヘルスビリーフ・モデル
*に基づくインサイトとメッセージ
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
実際に活⽤するために
実際に送り分けをするには…
事前に調査を⾏い
3種類印刷して
それぞれの特性ごとに送り分ける
メインターゲット︓検診への
関⼼者・意図者
(無関⼼者も考慮)
未受診者の半数以上はカバーできる 無関⼼者向けのメッセージである「がん罹患の重⼤性」はʻ怖さを遡及ʼするため、関⼼者 (不安な層)を遠ざけてしまう可能性 関⼼者・意図者向けのメッセージは他のターゲットに逆に働くことはない1種類だけ送ればいい ʻ普及版ʼリーフレット・圧着はがきを開発
現場からの意⾒
事前調査の費⽤、⼿間
事前調査への回答が前提
3種類印刷する費⽤
送り分けの⼿間
1718
当部作成
社会学・⾏動科学を活⽤したがん検診受診勧奨資材
がん検診の普及プロジェクトホームページ 「がん検診 ソーシャルマーケティング」で検索 http://prev.ncc.go.jp/kenshin/国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
提供中のがん検診受診勧奨⽤資材
19 コール⽤リーフレット (年度始めに⼀⻫送付) -五がん検診 リコール⽤ リーフレット (未受診者へ送付) ⼤腸、乳、⼦宮頸、胃(X線、内視鏡)、肺がん 圧着はがき ⼤腸、乳、⼦宮頸、胃(X線、内視鏡)、 肺がん リーフレット送付⽤ 定型封筒 セット受診⽤チラシ肺・胃・⼤腸がん すべての資材の電⼦ファイルを無償で提供中 (http://prev.ncc.go.jp/kenshin/) 「がん検診 ソーシャルマーケティング」で検索20
乳がん圧着はがき
(表⾯)
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
乳がん検診
当部資材なし
と
当部資材あり
の
受診勧奨後の受診率⽐較(特に効果があった市町村)
21 0 10 20 30 40 50A市 B市 C市D市 E市 F市 G町H市 I市 J市 対照群(前年度) 当部資材群
すべて統計的有意 %
溝⽥, ⼭本. がん検診の効果的な個別受診勧奨. 受診勧奨資材の開発と提供による ⾃治体のがん検診受診率向上対策⽀援. 保健師ジャーナル 2017;73(12):991-9.
様々な⽅法により、都道府県を通じて普及
Dissemination
当プロジェクトウェブサイト
都道府県と協⼒し、全国で市
町村研修
厚労省作成がん検診受診率向
上ハンドブック(当部監修)
郵送によるサンプル配布
メーリングリストによるコンサルテー
ション
乳がん検診受診勧奨資材
については、5年間で
約100の市町村が利⽤
http://prev.ncc.go.jp/kenshin/国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
平成30年度厚⽣労働省「新たなステージに⼊ったがん検診の
総合⽀援事業実施要綱」(2018年4⽉)
24
より効率よく、受診勧奨を⾏える⽅法はないか
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部 ⽶国CPSTFによるがん検診受診率向上のための介⼊⽅法の評価
出典︓ CPSTF(U.S Community Preventive Services Task Force) community guideより作成
http://www.thecommunityguide.org/cancer/screening/client-oriented/index.html がん検診受診率向上のための介⼊⽅法 (マンモグラフィ)乳がん検診 ⼦宮頸がん検診(細胞診) (便潜⾎検査)⼤腸がん検診 がんとがん検診に関する認知の変化を促す(罹患性の認知、重⼤性の認知、有益性の認知) スモールメディア 例︓ビデオやパンフレット、ニュースレターなど 推奨 推奨 推奨 1対1の教育 例︓電話や⾯談によって⾏う健康教育や啓発など 推奨 推奨 推奨 グループ教育 例︓講演など 推奨 証拠不⼗分 証拠不⼗分 マスメディアのみ 証拠不⼗分 証拠不⼗分 証拠不⼗分 障害の除去 費⽤以外の障害の除去 例︓休⽇や夜間の受診、アクセス向上など 推奨 証拠不⼗分 推奨 ⾃⼰負担費⽤の軽減 例︓検診費⽤の補助、無料化など 推奨 証拠不⼗分 証拠不⼗分 きっかけ ⼿紙や電話によるコール・リコール(受診勧奨・再勧奨) 推奨 推奨 推奨 報奨のみ 例︓少額の現⾦やクーポンの提供など 証拠不⼗分 証拠不⼗分 証拠不⼗分 組み合わせ 複合的アプローチ(上記いずれかの⽅法を2つ以上組み合わせる) 推奨 推奨 推奨
ヘルスビリーフ・モデル(Health Belief Model)
Rosenstock, 1974
⼈々が疾患予防もしくは早期発⾒のためのプログラムに参加しない理由を明らか
にするために考案された概念
26がん検診
受診
罹患性(かかり やすさ)の認知 疾病の重⼤ 性の認知 有益性の認知 障壁の除去 きっかけRosenstock IM. Historical origins of the Health Belief Model. Health Education Monographs. 1974;2(4):328-35.
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
複合的アプローチの先⾏研究例
ベトナム系アメリカ⼈への乳がん検診受診勧奨RCT
(California, US)
(Am J Prev Med. 2009;37(4):306–13)
Arm 1: マスメディア(ベトナムローカルチャンネル)+2か国語のブックレット Arm 2: マスメディア+2か国語ブックレット+グループ教育(⾃分事化)+予約⼿伝い(⾔葉 の障壁除去) サンプルサイズ: 1,100⼈ 結果 Arm 1: 受診率74%→75.6%(change:1.6pct pts, P=0.37) Arm 2: 受診率64.7%→82.1%(change:17.4pct pts, P<0.001) 27
出典︓ CPSTF(U.S Community Preventive Services Task Force) community guide
http://www.thecommunityguide.org/cancer/screening/client-oriented/index.html
*CPSTF(U.S Community Preventive Services Task Force)
community guide の Multicomponent Interventions の
レビューでは、
マスメディアと個別通知を⽤いた全国規模の介⼊は
世界的にも例がない
マスメディアと個別受診勧奨の組み合わせ
28両者の組み合わせにより、弱点を補い、相乗効果が期待できる
マスメディア 個別受診勧奨 (client reminder) 強み ⾮常に多くの⼈数に⼀⻫に働きかけるこ とが可能 影響⼒の⼤きさ、ブームを作る 「娯楽」の側⾯をもつため、情報を楽しく 伝える、関⼼のない⼈に関⼼を持たせる、 認知の変化をもたらすことに有効 対象者宛に個別に届くことにより、 「⾃分事化」が可能 具体的・対象者に特化した動作 指⽰ 届くことできっかけを与える 弱み 具体的・対象者に特化した動作指⽰の 不⾜ 「⾃分事化」の不⾜ ⇒⼀般的な⾏動(ex.トマトを買う)の変 容は起こせるが、がん検診に関しては⾏ 動変容には結びつかない そもそも通知を読まなかったら、情 報を伝えることができない ⇒無関⼼者への効果が出づらい国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
全国放送テレビ番組と全国⾃治体による個別通知を
組み合わせた乳がん検診受診勧奨の普及・実装研究
NHKの⼈気番組「ガッテン︕」と連動した受診勧奨
放送予定︓2018年9⽉5⽇(⽔) NHK総合 19:30〜20:15 同再放送︓2018年9⽉8⽇(⼟) NHK総合 0:25〜1:10 (7⽇(⾦) 深夜) NHKオンデマンド(インターネット)︓ 放送後14⽇間 NHKワールド プレミアム(国際)︓ 9⽉5⽇(⽔)19:30〜20:15 同再放送︓ 9⽉6⽇(⽊)10:05〜10:50 「86万⼈の⾃宅に届く︕乳がんで死なないための切り札をあなたへ」国⽴がん研究センター
社会と健康研究センター 保健社会学研究部
番組選定の理由
NHKは公共放送であり中⽴な⽴場であることから、⾃治体にとっても
協⼒しやすい
公共の福祉につながる実験的な試みに関⼼が⾼い
1995年から20年以上続く⼈気番組であり、多くの⼈の視聴が⾒込
まれる
科学番組としての評価も安定している
数々の健康ブームを⽣むなど放送後の反響の⼤きさの実績がある
など
30国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
企画内容(1)
⽬的
NCC保健社会学研究部と全国の⾃治体が協働し、NHK「ガッテン︕」の放送も連動し て、乳がん検診受診の個別勧奨を⾏う 番組内容
NHK総合 放送︓2018年9⽉5⽇(⽔) NHK総合 19:30〜20:15 再放送︓2018年9⽉8⽇(⼟) NHK総合 0:25〜1:10 (7⽇(⾦) 深夜) NHKオンデマンド(インターネット) 放送後14⽇間 NHKワールド プレミアム(国際) 放送︓9⽉5⽇(⽔)19:30〜20:15 再放送︓ 9⽉6⽇(⽊)10:05〜10:50 NHKガッテン︕「86万⼈の⾃宅に届く︕乳がんで死なないための切り札をあなたへ」 乳がんに関する基礎知識や乳がん検診の利点と限界を⽰し、がん検診受診率向上のた めに当部が開発した資材とその理論的根拠、これまでの成果を紹介し、乳がん検診の受 診を呼びかける 31
NCC保健社会学研究部
テレビ番組の放送⽇に合わせて、全国の⾃治体から乳がん検診対象者宛にがん検 診受診個別通知(圧着はがき)が届くように、都道府県を経由して全国の市区町 村に依頼 資材(乳がん受診勧奨 圧着はがき)
個別勧奨による「⾃分事化」と、どこにいつ連絡し、どうすれば乳がん検診が受けられる かといった市町村ごとの具体的な「動作指⽰」 ⾃治体
テレビ放送⽇の直前に届くよう、圧着はがきを送付 番組放送後には、たくさんの受診申し込みが⾏われることが予想されるため、問い合わ せ対応および、がん検診の受け⽫(受診機会)増加の準備 期待される効果
テレビ番組による強烈な認知と、個別勧奨による「⾃分事化」と「きっかけ」、「動作指 ⽰」を与えることでこれまでの未受診者を含む、多くの⽅の受診につながる 3244都道府県、360を超える市区町村から、
約86万⼈に送付の申し込みあり
企画内容(2)
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部
評価予定
本企画は厳密な科学実験として⾏っているものでなく、⾃治体の保健
事業として⾏っているがん検診の受診率を上げることを第⼀の⽬的に
⾏っているものであり、テレビ番組と個別勧奨の効果の厳密な評価を
⽬的としているものではない
しかし、科学的に⼗分意義のある内容であることから、その効果の評
価についても⾏うことを計画しており、
研究倫理審査委員会の承認済
み
である
乳がん検診受診者数の⽐較、番組放送後の申込数などで評価を予
定している
33当プロジェクトの資材に関するより詳しい情報は
34
がん検診の普及プロジェクトホームページ
「がん検診 ソーシャルマーケティング」で検索
国⽴がん研究センター 保健社会学研究部