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我が国の統合失調症患者に対する運動介入効果に関する文献的考察

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(1)理学療法学 第 354 47 巻第 4 号 354 ∼ 362 頁(2020 年) 理学療法学 第 47 巻第 4 号. システマティックレビュー. 我が国の統合失調症患者に対する運動介入効果に 関する文献的考察* 細 井   匠 1)# 小 枩 武 陛 2) 石 橋 雄 介 3). 要旨 【目的】我が国の統合失調症患者に対する運動介入の効果に関して,身体機能の向上,精神症状の改善, ADL の向上,これら 3 点についてこれまでの知見を検証すること。【方法】4 種類の電子データベース を用いて,2017 年までの全年代を対象に複数の検索式で検索した。検索結果を統合し,2 回のスクリー ニングを実施して採択文献を決定した。 【結果】38 編が対象となり,身体機能の向上について記述した 30 編,精神症状の改善について記述した 24 編,ADL の改善について記述した 9 編の内容を検討した。 【結論】対応の工夫や精神科治療と併用する必要はあるが,運動介入は統合失調症患者の身体機能の向上, 精神症状の改善,ADL の向上に寄与し得ることが示唆された。 キーワード 統合失調症,運動,文献. るために,単純な比較はできないが. はじめに. 4). ,欧米では精神科. 病床数は減少し,平均在院日数もイギリス 36.5 日,ド.  我が国と諸外国の精神科医療の状況を比較すると,近. イツ 25.5 日,イタリア 13.9 日,アメリカ 6.4 日,フラ. 年,入院治療を中心とした本邦の精神科医療においても. ンス 5.8 日と短い. 地域移行が進展し,「精神および行動の障害」による入. 内の推計入院患者数でもっとも多いのは「精神および行. 院 患 者 数 と 平 均 在 院 日 数 は,1995 年 の 341,041 人・. 動の障害」であり. 468.2 日から,2017 年には 252,000 人・277.1 日まで減少・. 数の短縮が求められることは避けられない。. 1)2). 3). 。このような状況の中,現在でも国. 2). ,今後も病床数の削減と平均在院日. 。しかし,未だに人口 10 万人辺りの.  精神科入院患者数の疾患別内訳では「統合失調症,統. 精神科病床数と平均在院日数は Organization for Econo-. 合失調症型障害および妄想性障害」が 60.9%を占めてい. mic Co-operation and Development( 経 済 開 発 協 力 機. る. 短縮している. 3). 3). 。統合失調症患者は側頭葉内側部の萎縮と前頭葉の. 構:以下,OECD)加盟国中でもっとも多く,長い 。. 低活性に起因した,記憶,学習,注意機能,視覚―運動.  1970 年代以降に脱病院化を推進した欧米では,急性. 協調性の障害を有し. 期治療のみを病院で行い,その後は地域のナーシング. 神症状による活動性の低下に加え,抗精神病薬の副作用. ホーム等の居住および療養施設へ移る形式を採用してい. によるパーキンソニズムや,長期入院などの要因も相. る。我が国の精神科医療とは帰結までのシステムが異な. まって,若年時から同年齢の健常者と比べて巧緻性を要. *. Conclusion of Literature to Schizophrenia Inpatient Concerned with Physical Exercise in Japan 1)武蔵野中央病院リハビリテーション科 (〒 184‒8585 東京都小金井市東町 1‒44‒26) Takumi Hosoi, PT, PhD: Department of Rehabilitation, Musashino Central Hospital 2)大阪河﨑リハビリテーション大学 Takenori Komatsu, PT, MSc: Osaka Kawasaki Rehabilitation University 3)秋津鴻池病院リハビリテーション部 Yusuke Ishibashi, PT, MSc: Department of Rehabilitation, Akitsu Kounoike Hospital # E-mail: hosoi.takumi@palette.plala.or.jp (受付日 2019 年 6 月 28 日/受理日 2020 年 2 月 1 日) [J-STAGE での早期公開日 2020 年 5 月 27 日]. 5). ,無為・自閉,感情鈍麻などの精. する運動や,敏捷性,持久力,バランス能力等の身体機 能が低下している. 6‒8). 。.  また,在院統合失調症患者の年齢に着目すると,65 歳以上の割合は 1995 年には 15.7%であったが,2017 年 には 40.9%に達している。加えて,年齢階級別の平均在 院日数は,15 ∼ 34 歳が 106.5 日,35 ∼ 64 歳が 301.6 日 であるのに対して 65 歳以上では 1,210.6 日となっており, 高齢化の進展と高齢患者の入院の長期化が顕著であ る. 2)3). 。このような状況下で統合失調症患者の地域移行. を促進するためには,身体面への介入が必要となること.

(2) 定性的システマティックレビュー. 355. が予想される。. 7 点,運動耐用能が 5 点,息切れの自覚症状が 3 点と例.  実際に精神科における身体面へのリハビリテーション. 示されている. 11). 。. の需要と実施状況を,全国の精神科作業療法責任者 436 名に調査した結果では,対象者のうち 96%が精神科病. 3.文献検索の方法. 床における身体面へのリハビリテーションの必要性を感.  電子データベースを用いて検索した。和文の検索には. じており,その理由として,「歩行が不安定な方が多い. 医学中央雑誌 Web 版,CiNii,メディカルオンライン,. から(82.6%) 」,「高齢者が多いから(72.6%)」 ,「転倒. 英文の検索には Pub Med を使用した。検索期間は 2017. 事故が多いから(63.3%)」,「廃用症候群の方が多いか. 年までの全年代とし,2018 年 4 月 28 日∼ 5 月 7 日にか. ら(62.3%) 」などの回答が上位に挙がっていた。また,. けて検索を行った。和文での検索語は「精神科」「精神. すでに 80.7%の病院で精神科作業療法に従事する作業療. 疾患」「精神障害」「リハビリテーション」「身体」「身体. 法士が中心となって身体面への介入を行っていたが,大. 運動」「運動療法」「理学療法」「統合失調症」「精神分裂. 半の精神科病院では疾患別リハビリテーションの施設基. 病」の 10 語を組み合わせ,17 通りの検索式で会議録と. 準の取得が困難であり,診療報酬を算定できる基準を持. 抄録を徐外して検索した。英文の検索語は“mental ill-. たないため,実施した身体面への介入のうち 45.7%が無. ness” “psychiatric” “psychiatric disorder” “rehabilita-. 償で提供されており,42.0%が精神科作業療法として算. tion” “physical” “physical therapy” “exercise” “schizo-. 9). 定されていた 。. phrenia”の 8 語を組み合わせ,16 通りの検索式ですべ.  このように,多くの精神科病院で身体面でのリハビリ. ての式の最後に“japan”を追加して検索した。. テーションの必要性は高いものの,施設基準の取得が困.  各検索式でヒットした文献を,まず意味の近い検索語. 難であるために十分に実施されているとは言えず,実際. の組み合わせからなる検索式でカテゴリー化し,重複文. に精神科病院に勤務する理学療法士は協会員の 0.1%に. 献をカウントした。次にすべてのカテゴリーで検索結果. あたる 122 名と少ない. 10). 。今後,より多くの理学療法. を統合し,最終的に 4 つのサイトの検索結果を統合して,. 士が統合失調症患者のリハビリテーションに携わり,患. 重複文献は 1 編とカウントした。その際,同一著者で同. 者と社会の利益に貢献するためには,精神科で取得可能. じ内容の和文と英文があった場合は重複文献とした。. な施設基準が必要であると同時に,運動介入に関する過 去の知見を整理し,その効果を明らかにする必要がある。. 4.スクリーニングの方法.  そこで,我が国の統合失調症に対する運動介入の効果.  最終的に統合した検索結果に対して共同研究者 3 名で. に関するこれまでの知見を網羅し,「身体機能の向上」,. 一次スクリーニングを実施した。採択規定は「対象が国. 「精神症状の改善」 ,「ADL の向上」の 3 点に対する効果. 内の統合失調症患者であること」に加えて,「運動介入. を検証することを目的に文献検索を行った。. を行った研究論文」とした。除外規定は, 「総説論文」 「学.  なお,本研究は日本理学療法士学会・精神心理領域理. 会発表やシンポジウムの抄録」 「対象,方法,結果が明. 学療法部門の事業の一環として企画され,部門運営幹事. 確でない論文」とした。. の承認を得て実施した。.  一次スクリーニングでは検索結果のタイトルと抄録か. 対象および方法. ら判断して採択規定に合致しないものを除外し,判断が つかない場合は採択文献とした。. 1.対象.  二次スクリーニングでは,一次スクリーニングで採択.  本研究は,国内の統合失調症患者に身体運動介入を. した文献のフルテキストを収集し,内容を確認しながら. 行った文献を対象として,研究デザインを問わずに収集. 一次スクリーニングと同じ採択規定で行った。共同研究. し,運動介入の効果について抽出した。. 者間で結果を統合し,採択文献数,除外文献数,除外理 由を記録した。. 2. アウトカムの重要性の評価  「身体機能の向上」, 「精神症状の改善」, 「ADL の向上」. 5.レビュー作成と文献の質評価の方法. の 3 つのアウトカムの相対的な重要性を,重要ではない.  二次スクリーニングで採択した文献のレビューを作成. (1 ∼ 3 点),重要(4 ∼ 6 点) ,重大(7 ∼ 9 点)の 9 段. した。レビューした内容は,筆頭著者名,タイトル,掲. 階で,患者にとってどの程度の重要性があるか評価し,. 載誌(巻数,号数,ページ,掲載年) ,研究デザイン,. 共同研究者間で合意形成した。アウトカムの重要性の評. 対象,調査測定項目,方法,結果である。. 価は,大寺らの急性心筋梗塞に対するリハビリテーショ.  次に,3 つのアウトカムについて記載のある文献を抽. ンにおける例を参考とした。この例では,死亡率を重大. 出し,個々の文献の質的評価を Minds の「診療ガイド. の 9 点とした場合,健康関連 QOL が 8 点,再入院率が. ライン作成マニュアル」で提示されている評価シートを.

(3) 356. 理学療法学 第 47 巻第 4 号. 図 1 分析対象とした研究の選択過程. 用いて,バイアスリスク,非直接性,アウトカム率から. 3.身体機能の向上について検討された文献. 行った。また,同様に Minds の「診療ガイドライン作.  採択された 38 編をアウトカム毎に分類すると,身体. 成マニュアル」で提示されているエビデンス総体の評価. 機能の向上について検討された文献は 30 編(介入研究. シートを用いて,研究デザインと研究数,バイアスリス. 13 編,観察研究 17 編)であった。このうち,身体疾患. ク,非一貫性,非直接性などからエビデンス総体を評価. を合併していない統合失調症患者を対象としたものは介. し,エビデンスの強さを A(強い) ,B(中) ,C(弱) ,. 入研究 13 編と観察研究 10 編で,運動の内容で多かった. D(非常に弱)の 4 段階で評価し,共同研究者間で合意. ものは有酸素運動が 13 編,ストレッチが 10 編,筋力強. 形成を行った. 12). 。. 結   果. 化が 9 編の順で実施され,これらを組み合わせた複合的 な運動介入を行った文献が 12 編であった。その効果と して多かったものは,持久力の向上が 9 編. 13‒21). ,バラン. 21‒26). ‒29). ,体重の減少が 5 編 17)20)27. 1.アウトカムの重要性の評価. ス能力の向上が 6 編.  アウトカムとした「身体機能の向上」と「精神症状の. で報告されていた。. 改善」の重要性については 5 点, 「ADL の向上」の重要.  また,統合失調症に大. 性については 6 点と評価し,研究者間で合意形成した。. の身体疾患を合併した症例を対象とした文献は観察研究. 骨頸部骨折や多部位外傷など. 7 編であり,運動の内容で多かったものは,ADL 練習 2.検索とスクリーニングの結果. が 6 編,筋力強化が 5 編,関節可動域練習が 4 編の順で.  すべての検索結果を統合した結果,401 編が一次スク. 実施されており,7 編すべてでこれらを組み合わせた運. リーニングの対象となった。. 動介入を行っていた。その効果として多かったものは,.  一次スクリーニングの結果,350 編を除外し,151 編. ADL の向上が 6 編. 30‒35). ‒36). ,筋力の向上が 4 編 32)34. ,. 31)32)36). で報告されていた。. を二次スクリーニングの対象とした。除外理由の内訳. 関節可動域の改善が 3 編. は,学会発表やシンポジウムの抄録 124 編,採択規定に.  個々の文献の質評価とエビデンス総体の評価を実施し. 一致しない論文 209 編,総説論文 17 編であった。. た結果,すべての文献でなんらかの身体機能の向上が報.  二次スクリーニングの結果,113 編を除外し,38 編を. 告されているが,介入内容やアウトカムが多用であり,. 採択文献とした。除外理由の内訳は,学会発表やシンポ. Randomized Cotrolled Trial(以下,RCT)や盲検化さ. ジウムの抄録 52 編,採択規定に一致しない論文 52 編,. れた研究が少なく,バイアスリスクで 1 減点した。また,. 総説論文 9 編であった(図 1,表 1) 。. 観察研究で上昇要因となりうる文献があり 1 加点した。.

(4) 定性的システマティックレビュー. 357. 表 1 採択文献と検討されたアウトカム 検討されたアウトカム(○:記載あり) 著者・タイトル・出典. 身体機能の向上. 清水英利,他:長期の無為好褥のため下肢筋萎縮および膝関節拘縮をきたした慢性分裂病患者の生活指導療法の一経験. 病院精神医学 (17):93‒98,1967 白木静枝:精神分裂病患者に対する運動療法の効用性についての実験報告(第 5 報) (一般教育編). 中村学園研究紀要 1,57‒66,1968. ○. 精神症状の改善. ADL の向上. ○. ○. ○. 白木静枝:精神分裂病患者に対する運動療法の実験的研究 その 7(一般教育編) .中村学園研究紀要 3,45‒49,1970. ○. ○. 武田秀和,他:慢性分裂病患者における運動療法.理学療法学 15(1),11‒17,1988. ○. ○. 富岡詔子,他:身体障害をもつ分裂病患者に対する作業療法の一経験 障害受容の側面から. 信州大学医療技術短期大学部紀要 14(2),123‒137,1988. ○. 幸田るみ子,他:精神分裂病患者の運動前後の身体知覚の変化.精神医学 38(10),1073‒1077,1996. ○. 丸井規博,他:特発性 antecollis を合併した分裂病の 1 例 理学的治療の有効性について.精神医学 38(1),43‒47,1996. ○. ○. 武田秀和,他:精神分裂病患者に対する運動訓練の有効性─長期入院事例を通して─. 筑波大学リハビリテーション研究 6(1),35‒39,1997. ○. ○. 武田秀和,他:精神分裂病患者に対する運動療法の効果に関する研究─全身持久性能力と自覚的負担度からみた検討─. 臨床スポーツ医学 17(12),1521‒1525,2000. ○. 武田秀和,他:自転車エルゴメータを用いた運動プログラムの継続が残遺型精神分裂病者の作業持続時間と BMI に及ぼす影響. 体力科学 51(1),101‒107,2002. ○. 横山浩之,他:精神科デイケアにおける運動・スポーツの効用についての検討.臨床精神医学 31(11),1389‒1396,2002 H.Takeda, et al.: Effect of Physical Therapy on the Sense of Perceived Fatigue in Persons with Residual Type Schizophrenia: Report of Two Cases. Journal of the Japanese Physical Therapy Association 5(1),19‒23,2002. ○ ○. 横山浩之,他:精神分裂病患者における運動療法の可能性について.臨床精神医学 31(11),1373‒1379,2002 田口 順:精神疾患を有する大. 骨頸部骨折の一症例について.理学療法福岡 15 号,103‒106,2002. ○. ○ ○. 山本大誠,他:統合失調症者に対する理学療法の有効性.理学療法科学 18(1) ,55‒60,2003. ○. ○. ○. 武田秀和,他:統合失調症者の自覚的な疲労感 RPE による検討.総合リハビリテーション 33(6),551‒556,2005. ○. 松岡 洸:左乳癌術後の精神神経疾患患者の一症例.理学療法福岡 (18),55‒56,2005. ○. 渋川武志:統合失調症を有した多発外傷後の患者への理学療法の介入.滋賀県理学療法士会学術誌 (26),47‒53,2006. ○. ○. 武内克也,他:統合失調症急性期例を対象とした代謝性疾患予防の取り組み食事と運動プログラムを実践した統合失調症 2 症例. 精神科治療学 22(12),1455‒1463,2007. ○. ○. 土居義弘,他:肥満にある統合失調症患者に対する運動促進への試み ─集団活動に独自の運動プログラムを取り入れての効果. 高松市民病院雑誌 24 巻,57‒61,2008. ○. 四方公康:統合失調症に脳卒中片麻痺を合併した対象者への理学療法の試み ─鏡治療と TENS を適用した 1 症例. 理学療法ジャーナル 42(6),533‒536,2008. ○. 藤田英美,他:統合失調症患者を対象とした栄養・運動管理プログラムの実践 ─プログラム終了後の経過の報告. 行動療法研究 34(3),325‒337,2008. ○. 渡部芳徳,他:万歩計を利用した運動療法により olanzapine 投与中の体重増加が改善した統合失調症の 1 症例. 新薬と臨牀 58(2),240‒244,2009. ○. 堀 義治,他:精神障害者への運動の導入─患者の特性とニーズや興味・関心を利用して─.スポーツ精神医学 7,47‒51,2010. ○ ○. ○. ○. ○. ○. 小松洋平,他:地域で暮らす精神障害者に対する「ふまねっと」運動を用いた歩行機能の改善と転倒予防への取り組み  シングルケースデザインを用いた介入検証.臨床精神科作業療法研究 8(1),38‒44,2011. ○. ○. Ikai S, et al.: Effects of yoga therapy on postural stability in patients with schizophrenia-spectrum disorders: a single-blind randomized controlled trial. J Psychiatr Res. 47(11), 1744‒50, 2013 3 Nov. ○. ○. 石橋照子,他:精神疾患患者の排尿障害改善に骨盤底筋運動を導入した効果. 島根県立大学出雲キャンパス紀要 8,85‒95,2013. ○. 大平優奈,他:重度腰痛を呈した精神疾患患者を経験して─メンタルアプローチの併用を試みた一例─. 理学療法福井 17,58‒60,2013. ○. 新 智子,他:理学療法拒否が見られた統合失調症患者に対する応用行動分析学的介入. 高知リハビリテーション学院紀要 14,27‒30,2013. ○. 四方公康,他:環境調整を併用した運動療法が薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の歩行機能に及ぼす影響について ─ランダム化クロスオーバー比較試験─.理学療法学 41(7),428‒438,2014. ○. ○ ○ ○. Ikai S, et al.: Effects of weekly one-hour Hatha yoga therapy on resilience and stress levels in patients with schizophreniaspectrum disorders: an eight-week randomized controlled trial.J Altern Complement Med. 20(11), 823‒830, 2014 Nov. ○. 藤松久恵,他:身体障害を合併した慢性期統合失調症患者の日常生活動作に影響を及ぼす精神症状. 長野県作業療法士会学術誌 32,116‒121,2014. ○. 石井千恵,他:慢性統合失調症患者に対する身体能力改善の為の運動指導の取り組み.スポーツ精神医学 12,46‒52,2015. ○. 四方公康,他:薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者への環境調整を併用した運動療法における効果の持続性について. 理学療法学 43(2),127‒135,2016. ○. 石井大典,他:精神科病床に長期入院している慢性腎不全患者への身体的リハビリテーションの経験. 千葉作業療法 6(1),10‒16,2017. ○. 岡 松彦,他:Aripiprazole により著明な体重増加を来した統合失調症の 1 例.精神医学 59(10),937‒941,2017. ○. 細井 匠,他:統合失調症患者に対する身体認知フィードバックによる転倒予防効果. 総合リハビリテーション 45(11),1153‒1158,2017. ○. Shimizu N, et al.: An interactive sports video game as an intervention for rehabilitation of community-living patients with schizophrenia: A controlled, single-blind, crossover study. PLoS One. 12(11), e0187480, 2017 Nov 13. ○ 30 編. ○. ○ ○ ○. 24 編. 9編.

(5) 358. 理学療法学 第 47 巻第 4 号. これらの結果を鑑み,身体機能の向上に関してはエビデ. これらを組み合わせた運動介入を行ったものが 9 編中 8. ンスの強さは B と評価し,アウトカムの重要性の再評. 編を占め,1 編は介入内容が作業療法としか記述がな. 価は 5 点のままとした。. かった。その効果として多かったものは,Barthel Index の点数の向上が 5 編. 30)31)33)35)46). 4.精神症状の改善について検討された文献. 載のあるものが 3 編. 34)44)45).  精神症状の改善について検討された文献は 24 編(介. Measure(FIM)の点数の向上が 1 編で報告されてい. 入研究 11 編,観察研究 13 編)であった。このうち,身. た. 体疾患を合併していない統合失調症患者を対象としたも.  個々の文献の質評価とエビデンス総体の評価を実施し. のは介入研究 10 編と観察研究 7 編であり,運動の内容. た結果,対照群が設定された研究がないことから,バイ. で多かったものは有酸素運動が 10 編,ストレッチが 8 編,. アスリスクと不正確性,その他(出版バイアスなど)で. 筋力強化が 6 編の順で実施され,これらを組み合わせた. それぞれ 1 減点した。これらの結果を鑑み,ADL の向. 複合的な運動介入を行った文献が 10 編であった。その. 上に関してはエビデンスの強さは D と評価し,アウト. 効果として多かったものは,医療従事者の観察上で精神. カムの重要性の再評価は 6 点のままとした(表 2) 。. 症状や行動が改善したとする報告が 5 編 陰性症状の改善が 3 編. 32). 。. 13)22)27)37)38). ,. 考   察. 23)39)40). ,総合的精神症状評価尺. 度上でのスコアの改善が 3 編. ,ADL が向上した記. ,Functional Independence. 23) 41) 42). で報告されていた。. 1.身体機能の向上について. しかし,ヨガを実施した 2 編では,陰性症状と総合的精.  ほぼすべての統合失調症患者に処方される抗精神病薬. 神症状評価尺度上でのスコアが改善したという報告. は,中脳辺縁系でのドーパミン D2 受容体の働きを阻害. 23). ,有. することで幻聴や妄想などの陽性症状を緩和する作用を. 酸素運動と筋力強化,ストレッチを組み合わせた介入を. もつが,無為・自閉,感情鈍麻などの陰性症状に対して. 行った結果,陽性症状が改善したが陰性症状は変化がな. の効果は薄く,副作用として筋緊張の亢進や前傾姿勢,. と. ,有意な変化はなかったという報告があり. 43). かったとする報告や 告もあり. 15). ,精神症状が悪化した事例の報. 14). ,一致した見解は得られていない。.  また,統合失調症に大. 小刻み歩行などのパーキンソニズムが出現する. 47). 。意. 欲が低下した状態でパーキンソニズムを有するために活. 骨頸部骨折,多部位外傷など. 動性も低下しやすく,統合失調症患者は若年時から同年. の身体疾患を合併した症例を対象とした文献は介入研究. 齢の健常者と比べて身体機能が低下していることが多数. 1 編と観察研究 6 編であり,運動の内容で多かったもの. 報告されている. は,ADL 練習が 6 編,関節可動域練習が 5 編,筋力強化.  そのため,著明な身体疾患の既往のない統合失調症患. が 4 編の順で実施され,7 編すべてでこれらを組み合わ. 者に運動介入を行うと,持久力やバランス能力などの身. せた運動介入を行っていた。その効果として多かったも. 体機能が向上することは理解しやすい。また,本調査で. のは,医療従事者の観察上で精神症状や行動が改善した. 採択した文献の中には運動介入を行う際に,専門職によ. とする報告が 3 編. 30)44)45). ,総合的な精神症状評価尺度. 上でのスコアの改善が 2 編. 36)46). ,不安・抑うつの改善. と見当識の改善がそれぞれ 1 編で報告されていた. 32)33). 。. 6‒8). 。. る定期的な指導や り. 28). ,環境調整. 20)27). ,対象者同士の活動の振り返. 40). など,運動を継続してもらうため. の工夫が随所に見られた。これらは自己の客観視が苦手 48). ,という特徴をもつ統合失調症患者.  個々の文献の質評価とエビデンス総体の評価を実施し. で病識に乏しい. た結果,精神症状の改善に関しては,介入内容やアウト. に対して運動介入を行う場合,かかわり方の工夫が必要. カムが多用であり,RCT や盲検化された研究が少なく,. な場合があることを示唆している。また,運動介入を行. バイアスリスクで 1 減点した。また,精神症状不変例や. うことで,二点弁別閾の変化. 49). や自覚的負担感の適正. 19). ,身体機能の認識誤差の縮小 50) などの効果も報. 悪化例の報告もあり,非一貫性で 1 減点した。これらの. 化. 結果を鑑み,精神症状の改善に関してはエビデンスの強. 告されており,病識に乏しいという特徴をもつ統合失調. さは C と評価し,アウトカムの重要性の再評価は 5 点. 症患者に対して運動介入を行うことで,自己の身体の状. のままとした。. 態を適切に認識できるようになるといった可能性も示唆 されている。. 5.ADL の向上について検討された文献.  身体疾患を合併した事例に対して運動介入を行う場合.  ADL の向上について検討された文献は 9 編(介入研. にも,意欲と活動性の低下が著明な患者に対して,拒否. 究 1 編,観察研究 8 編)で,すべてが身体疾患を合併し. のある動作は無理に行わず,精神的負担とならないよ. た統合失調症患者を対象としていた。運動の内容で多. う,実施が容易なプログラムを選択する. かったものは,ADL 練習が 7 編,筋力強化が 3 編,関. しく,術後の禁忌肢位を守れない患者に対して,物品を. 節可動域練習が 2 編,物理療法が 2 編の順で実施され,. 利用して行動抑制を与える. 31). 30). 。病識に乏. 。精神面への配慮として.

(6) 定性的システマティックレビュー. 359. 表 2 アウトカム毎の研究数および運動内容とその効果,エビデンス総体の評価 アウトカム 身体機能の向上. 研究数. 研究デザイン. 運動内容(上位 3 種). 効果(上位 3 種). 精神症状の改善. ADL の向上. 身体疾患合併なし. 身体疾患合併あり. 身体疾患合併なし. 身体疾患合併あり. 身体疾患合併あり. 介入研究 13 編 観察研究 10 編. 観察研究 7 編. 介入研究 10 編 観察研究 7 編. 観察研究 7 編. 介入研究 1 編 観察研究 8 編. RCT2 編, 非ランダム 3 編, 無ランダム 8 編, 前向きコホート 2 編, 記述 8 編. 記述 7 編. RCT3 編, 非ランダム 2 編, 無ランダム 5 編, 記述 7 編. 無ランダム 1 編, 記述 6 編. 無ランダム 1 編, 記述 8 編. 有酸素運動 13 編 ストレッチ 10 編 筋力強化 9 編. ADL 練習 6 編 筋力強化 5 編 関節可動域練習 4 編. 有酸素運動 10 編 ストレッチ 8 編 筋力強化 6 編. ADL 練習 6 編 関節可動域練習 5 編 筋力強化 4 編. ADL 練習 7 編 筋力強化 3 編 関節可動域練習 2 編 物理療法 2 編. 持久力の向上 9 編 バランス能力の向上 6編 体重の減少 5 編. ADL の向上 6 編 筋力の向上 4 編 関節可動域の改善 3編. 観察上症状が改善 5 編 陰性症状が改善 3 編 総合的精神症状評価 尺度の改善 3 編. 観察上症状が改善 3 編 総合的精神症状評価 尺度の改善 2 編 不安・抑うつが改善 1編 見当識が改善 1 編. Barthel Index が向上 5 編 ADL が向上した記載 3 編 FIM が向上 1 編. アウトカムの重要性. 5. 5. 6. バイアスリスク. ‒1. ‒1. ‒1. 非一貫性. 0. ‒1. 0. 不正確. 0. 0. ‒1. 非直接性. 0. 0. 0. 0. 0. ‒1. 1. 0. 0. 対照群分母. 111. 88. −. 対照群分子. 105. 85. −. その他 (出版バイアスなど) 上昇要因(観察研究). (%). 94.6. 96.6. −. 介入群分母. 323. 236. 14. 介入群分子. 313. 226. 14. (%). 96.9. 95.8. 100. エビデンスの強さ. B. C. D. アウトカムの重要性 再評価. 5. 5. 6. すべての文献で筋力,柔軟性,バランス,運 動耐用能など,なんらかの身体機能の向上が 報告されている。介入内容,アウトカムが多 様であり,RCT や盲検化された文献は少な く,バイアスリスクが ‒1,観察研究で上昇 要因があり +1,エビデンスの強さは B と判 定した。. 介入研究 11 編中 10 編で精神症状の改善が報 告されているが,RCT や盲検化された文献 は少なく,バイアスリスクで ‒1。精神症状不 変例や,悪化例の報告もあり非一貫性で ‒1。 また,記述研究でも不安や抑うつなどの改善 が報告されているが,運動単独の効果とは言 い難く,エビデンスの強さは C と判定した。. すべての文献の対象者が精 神疾患に身体疾患を合併し た 事 例 で あ り,ADL が 向 上したことが報告されてい る。記述研究が多く,バイ アスリスクと不正確で ‒1, 対照群が設定された文献は なく,出版バイアスで ‒1。 エビデンスの強さは D と 判定した。. リスク人数 (アウトカム率). コメント. ADL:Activities of daily living,RCT:Randomized Controlled Trial,FIM:Functional Independence Measure. 他部門との密な連携や,自己の身体的気づきという視点 を取り入れる. 32). ,などの工夫を行った結果,ADL の向. 上,筋力の向上,関節可動域の改善といった効果が得ら れることが示唆された。.  統合失調症患者は脳の器質的変化に起因した,様々な 認知機能障害を有するが,医療者側の対応の工夫や連携 によって,十分に運動介入効果が得られるものと考える。.

(7) 360. 理学療法学 第 47 巻第 4 号. 2.精神症状の改善について.  対象者の特徴を理解し,適切な対応を取ることで,統.  統合失調症患者に対する運動療法の効果に関する国外. 合失調症に身体疾患を合併した場合にも,ADL の向上. のシステマティックレビューを概観すると,運動療法. が期待できると考える。. は,循環器疾患やメタボリックシンドロームのリスク軽 減,身体機能や QOL の向上に加えて,陰性症状や抑う 51)52). 4.今後の精神科領域における運動介入について. 。ま.  今回の調査の結果,本邦においては 1960 年代から統. た,運動介入の精神症状への影響に関して検討したとす. 合失調症患者に対する運動介入が試みられ,多くの知見. るシステマティックレビューの結果では,有酸素運動と. が蓄積されていることが明らかとなった。しかし,残念. 筋力強化,ヨガでは,精神症状と不安感,精神的苦痛の. ながらエビデンスの質が高いとはいえず,今後は多施設. 減少と,健康関連 QOL の向上の効果があり,段階的な. 研究や RCT など,エビデンスの質まで意識した研究デ. 筋のリラクゼーションは,不安感と精神的苦痛を減少さ. ザインが求められ,運動介入を行うことで,統合失調症. せる効果があったと述べているものの,介入方法やサン. 患者の地域移行に貢献しうることを示していく必要があ. プルサイズが異なることから,さらなる研究の必要性が. ると考える。. つ症状の改善などの効果があるとされている. あることが指摘されている. 53). 。.  また,精神科病院協会に所属する 1,195 病院のうち 56). ,.  本調査で採択した文献においても,体操や筋力トレー. 1,137 病院が精神科作業療法の施設基準を有しており. ニング,ストレッチ,有酸素運動,ヨガなど,多様な介. 多くの作業療法士が精神科医療の現場で勤務している。. 入方法と評価尺度が使用されており,一部に精神症状が. 今後は同じリハビリテーション専門職として理学療法士. 悪化した事例の報告があるものの や. 54). ,陰性症状の改善. 14). ,注意障害の改善. 23)39)40). ,総合的な精神症状評. 価尺度上でのスコアの改善. 23)41)42). を報告した文献が. 多数を占めていた。. も協働し,心身両面からのリハビリテーションを統合失 調症患者に提供できる体制の構築が必要と考える。 結   論.  近年,このように認知機能や精神症状が改善する根拠. ・統合失調症患者に対する運動介入は,かかわり方の工. として,脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic. 夫が必要な場合はあるものの,身体機能の向上に寄与. factor:以下,BDNF)が注目されている。実際に統合. することが示唆された。. 失調症患者に対する非薬物的療法が BDNF の血中濃度. ・統合失調症患者に対する運動介入は,精神科治療と併. に対して与える影響に関して検討したシステマティック. 用することで,認知機能と精神症状の改善に寄与する. レビューの結果では,有酸素運動と筋力強化を組み合わ. ことが示唆された。. せた複合的な運動介入がもっとも BDNF の血中濃度を 上昇させることが示唆されている. 55). 。. ・身体疾患を合併した統合失調症患者に対する運動介入 は,対象者の特徴を理解し,適切な対応を取ることで.  今回の調査では,すべての文献の対象者は精神療法や 抗精神病薬などの精神科治療を継続中であり,運動単独 の効果は定かではない。しかし,従来の精神科治療に運 動を併用することで,認知機能と精神症状の改善効果が. ADL の向上に寄与することが示唆された。 利益相反  本研究に開示すべき利益相反はない。. 高まる可能性があると考える。 謝辞:本研究を推進するにあたり,日本理学療法士学 3.ADL の向上について. 会・精神心理領域理学療法部門運営幹事の先生方に多大.  本研究で採択した 9 編すべてが統合失調症に身体疾患. なご協力を賜りました。謹んで御礼申し上げます。. を合併した事例を対象とし,運動介入による ADL の向 上を報告していた。また,対照群を設定した文献がな かったためにエビデンスの強さは D と判定したが,身 体疾患合併例に運動介入を行わない,という対照群を設 定することは倫理上困難だったものと考える。  各文献の内容を精読すると,意欲および活動性の著明 な低下や,危険や痛みに対する配慮が欠ける動作 術後安静の理解の不足 理学療法拒否. 34). 30). ,. 31). ,疼痛や感覚評価の困難 32),. など,いずれもリハビリテーションの. 進行を阻害する事象の報告があるものの,医療者側の対 応の変更や工夫によって,最終的に ADL が向上している。. 文  献 1)厚生出版:我が国の精神保健福祉(精神保健福祉ハンド ブック)平成 7 年度版.太陽美術,東京,1995,p. 506. 2)厚 生 労 働 省 ホ ー ム ペ ー ジ  平 成 29 年 患 者 調 査 の 概 況. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/11/ index.html(2019 年 3 月 26 日引用) 3)OECD Health Statistics. http://www.oecd-library.org/ social-issues-migration-health/data/oecd-health-statistics/ oecd-health-data-health-care-utillsation_data-00542-en (2019 年 12 月 10 日引用) 4)牧野英一郎:24 改訂を三テーマから考える.東京都精神 病院協会誌別刷.2012; 30(1): 5‒16. 5)福田正人,山末英典,他:脳画像からみた統合失調症の認.

(8) 定性的システマティックレビュー 知機能障害.臨床精神医学.2005; 34(6): 747‒760. 6)藤井洋男,若生年久,他:精神分裂病患者の運動能力に及 ぼす薬物療法の影響.病院精神医学.1969; 26: 81‒89. 7)土澤健一,若松 健:精神疾患患者の体力評価.作業療法. 1989; 8: 617‒623. 8)鈴木正孝:向精神薬を服用している精神障害者の立位安定 性.リハビリテーション医学.2006; 43: 431‒437. 9)細井 匠,田中庸之,他:わが国の精神科病床における身 体的リハビリテーションの需要と実施状況に関する調査. 作業療法.2016; 35(1): 11‒21. 10)理学療法士協会ホームページ 会員の分布.http://www. japanpt.or.jp/about/data/statistics/(2019 年 5 月 10 日引用) 11)中山健夫,日高正巳,他:PT・OT・ST のための診療ガ イドライン活用法.日高正巳,藤本修平(編) ,医歯薬出版, 東京,2017,pp. 10‒14, 61‒74. 12)診 療 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 マ ニ ュ ア ル Ver.2.0(2016.03.15). http://minds.jcqhc.or.jp/s/guidance_2017_0_h(2019 年 8 月 16 日引用) 13)白木静枝:精神分裂病患者に対する運動療法の実験的研究 その 7(一般教育編).中村学園研究紀要.1970; 3: 45‒49. 14)武田秀和,黒澤保壽,他:慢性分裂病患者における運動療 法.理学療法学.1988; 15(1): 11‒17. 15)武田秀和,佐々木日出男,他:精神分裂病患者に対する運 動訓練の有効性─長期入院事例を通して─.筑波大学リハ ビリテーション研究.1997; 6(1): 35‒39. 16)武田秀和,中原凱文,他:精神分裂病患者に対する運動療 法の効果に関する研究─全身持久性能力と自覚的負担度か らみた検討─.臨床スポーツ医学.2000; 17(12): 1521‒1525. 17)武田秀和,中原凱文,他:自転車エルゴメータを用いた運 動プログラムの継続が残遺型精神分裂病者の作業持続時間 と BMI に及ぼす影響.体力科学.2002; 51(1): 101‒107. 18)Takeda H, Morio Y, et al.: Effect of Physical Therapy on the Sense of Perceived Fatigue in Persons with Residual Type Schizophrenia: Report of Two Cases. J Jpn Phys Ther Assoc. 2002; 5(1): 19‒23. 19)武田秀和,大森圭貢,他:統合失調症者の自覚的な疲労 感─ RPE による検討─.総合リハビリテーション.2005; 33(6): 551‒556. 20)渡部芳徳,山口律子,他:万歩計を利用した運動療法によ り olanzapine 投与中の体重増加が改善した統合失調症の 1 症例.新薬と臨牀.2009; 58(2): 240‒244. 21)小松洋平,藤原和彦,他:地域で暮らす精神障害者に対す る「ふまねっと」運動を用いた歩行機能の改善と転倒予防 への取り組み─シングルケースデザインを用いた介入検 証─.臨床精神科作業療法研究.2011; 8(1): 38‒44. 22)白木静枝:精神分裂病患者に対する運動療法の効用性につ いての実験報告(第 5 報) (一般教育編).中村学園研究紀 要.1968; 1: 57‒66. 23)Ikai S, Uchida H, et al.: Effects of yoga therapy on postural stability in patients with schizophrenia-spectrum disorders: a single-blind randomized controlled trial. J Psychiatr Res. 2013; 47(11): 1744‒1750. 24)石井千恵,岸田郁子,他:慢性統合失調症患者に対する身 体能力改善の為の運動指導の取り組み.スポーツ精神医 学.2015; 12: 46‒52. 25)四方公康,岡崎信也:薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合 失調症者への環境調整を併用した運動療法における効果の 持続性について.理学療法学.2016; 43(2): 127‒135. 26)Shimizu N, Umemura T, et al.: An interactive sports video game as an intervention for rehabilitation of communityliving patients with schizophrenia: A controlled, singleblind, crossover study. PLoS One. 2017; 12(11): e0187480. 27)武内克也,酒井明夫,他:統合失調症急性期例を対象とし た代謝性疾患予防の取り組み─食事と運動プログラムを実 践した統合失調症 2 症例─.精神科治療学.2007; 22(12):. 361. 1455‒1463. 28)藤田英美,加藤大慈,他:統合失調症患者を対象とした栄 養・運動管理プログラムの実践─プログラム終了後の経過 の報告─.行動療法研究.2008; 34(3): 325‒337. 29)土居義弘,高免咲子,他:肥満にある統合失調症患者に 対する運動促進への試み─集団活動に独自の運動プログ ラムを取り入れての効果─.高松市民病院雑誌.2008; 24: 57‒61. 30)田口 順:精神疾患を有する大 骨頸部骨折の一症例につ いて.理学療法福岡.2002; 15: 103‒106. 31)松岡 洸:左乳癌術後の精神神経疾患患者の一症例.理学 療法福岡.2005; 18: 55‒56. 32)渋川武志:統合失調症を有した多発外傷後の患者への理学 療法の介入.滋賀県理学療法士会学術誌.2006; 26: 47‒53. 33)四方公康:統合失調症に脳卒中片麻痺を合併した対象者へ の理学療法の試み─鏡治療と TENS を適用した 1 症例─. 理学療法ジャーナル.2008; 42(6): 533‒536. 34)新 智子,木村誠子,他:理学療法拒否が見られた統合失 調症患者に対する応用行動分析学的介入.高知リハビリ テーション学院紀要.2013; 14: 27‒30. 35)石井大典,大野卓也,他:精神科病床に長期入院している 慢性腎不全患者への身体的リハビリテーションの経験.千 葉作業療法.2017; 6(1): 10‒16. 36)大平優奈,桑野寛之,他:重度腰痛を呈した精神疾患患者 を経験して─メンタルアプローチの併用を試みた一例─. 理学療法福井.2013; 17: 58‒60. 37)丸井規博,佐々木学,他:特発性 antecollis を合併した 分裂病の 1 例 理学的治療の有効性について.精神医学. 1996; 38(1): 43‒47. 38)堀 義治,杉浦 琢,他:精神障害者への運動の導入─患 者の特性とニーズや興味・関心を利用して─.スポーツ精 神医学.2010; 7: 47‒51. 39)山本大誠,奈良 勲,他:統合失調症者に対する理学療法 の有効性.理学療法科学.2003; 18(1): 55‒60. 40)四方公康,岡崎信也,他:環境調整を併用した運動療法が 薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の歩行機能に 及ぼす影響について─ランダム化クロスオーバー比較試 験─.理学療法学.2014; 41(7): 428‒438. 41)横山浩之,諸江健二,他:精神分裂病患者における運動療 法の可能性について.臨床精神医学.2002; 31(11): 1373‒ 1379. 42)岡 松彦,大友友貴,他:Aripiprazole により著明な体重 増加を来した統合失調症の 1 例.精神医学.2017; 59(10): 937‒941. 43)Ikai S, Suzuki T, et al.: Effects of weekly one-hour Hatha yoga therapy on resilience and stress levels in patients with schizophrenia-spectrum disorders: an eight-week randomized controlled trial. J Altern Complement Med. 2014; 20(11): 823‒830. 44)清水英利,青野圭助,他:長期の無為好褥のため下肢筋萎 縮および膝関節拘縮をきたした慢性分裂病患者の生活指導 療法の一経験.病院精神医学.1967; 17: 93‒98. 45)富岡詔子,吉沢真理子,他:身体障害をもつ分裂病患者に 対する作業療法の一経験 障害受容の側面から.信州大学 医療技術短期大学部紀要.1988; 14(2): 123‒137. 46)藤松久恵,井戸芳和,他:身体障害を合併した慢性期統合 失調症患者の日常生活動作に影響を及ぼす精神症状.長野 県作業療法士会学術誌.2014; 32: 116‒121. 47)福田正人:もう少し知りたい統合失調症の薬と脳.日本評 論社,東京,2008,pp. 59‒90. 48)昼田源四朗:統合失調症患者の行動特性─その支援と ICF ─.金剛出版,東京,2007,pp. 41‒89. 49)幸田るみ子,白木原市次,他:精神分裂病患者の運動前後 の身体知覚の変化.精神医学.1996; 38(10): 1073‒1077. 50)細井 匠,南部 誠,他:統合失調症患者に対する身体認.

(9) 362. 理学療法学 第 47 巻第 4 号. 知フィードバックによる転倒予防効果.総合リハビリテー ション.2017; 45(11): 1153‒1158. 51)Vancampfort D, Knapen J, et al.: The therapeutic value of physical exercise for people with scizophrenia. Tijdschr Psychiatr. 2010; 52(8): 565‒574. 52)Gorczynski P, Faulkner G: Exercise therapy for schizophrenia. Cochrene Collaboration. John Wiley & Sons, Ltd., New Jersey, 2011, pp. 1‒29. 53)Vancmpfort D, Probst M, et al.: Systematic review of the benefits of physical therapy within a multidisciplinaly care approach for people with schizophrenia. Phys Ther.. 2011; 92(1): 11‒23. 54)横山浩之,西村良二:精神科デイケアにおける運動・ス ポーツの効用についての検討.臨床精神医学.2002; 31(11): 1389‒1396. 55)Sanada K, Zollilla I, et al.: The Efficacy of NonPharmacorogical Interventions on BDNF (Brain-derived neurotrophic factor) in Schizophrenia: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Mol Sci. 2016; 17: 1766. 56)日 本 精 神 科 病 院 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ  病 院 検 索.http:// www.nisseikyo.or.jp/hospital_search/hospital_search_ Map.php#listTop(2019 年 12 月 27 日引用).

(10)

図 1 分析対象とした研究の選択過程

参照

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