イ
ン
ハウ
ス
デ
ザ
イ ン
企
業経
営に何 を もっ て貢献す
べ き かIn
−
House Design:How
could In−
House Design change to make a contribution to maker’
s business.
岡本 工
キ ヤノ ン株 式会社 総 合デザ インセンタ
ー
OKAMOTO
Ta
kumi
Carlon Inc
,
Design Center 1.
序文思 う に
、
メー
カー
に帰 属し た社 員と して のデ ザイ ナー
は イン ハ ウス デザ イナー
であ り、
その組織 的 集 団 は イ ンハ ウ スデザ イン部 門であ り、
活 動はイン ハ ウスデ ザイ ン業務で あ り、
生 ま れ たデザイン成 果 物 は イ ンハウスデ ザ イン物で あ る。
イン ハウ スデ ザイ ン は そ れ ら を包 括し た象 徴 語と解 釈してお き たい。
対 立する語にフ リー
ラン スデ
ザイ ン が あ る。
優れた デザイン物を世に出 す ため に
、
各 企 業のデ ザ イン部門 は 良 き ラ イバル と して存 在してお り、
彑 いが 切 磋琢 磨し てデザイ ン界は向上 し てき た。 よ り 良いデ ザインを効 率 的、
効 果 的に生み出 す工夫が各社
デ ザイ ン部 門のデ ザ インマネー
ジメン トで あ る。
デ ザイン マ ネー
ジ メ ン トには、
部 門全 体の 課 題 を解
決 し ていく た めの組織マネー
ジメ ントと、
商 品 開 発 オー
ダー
につ き、
如 何に質の 高い デ ザインを 生 み 出して い くかという.
一
デ
ザ イナー
に託さ れ たデザイ ン プロセ ス 上 のマ ネー
ジ メ ン トが ある。
後 者は長ら く
、デ
ザ イン能 力とい う一・
語 の中に、
ブラ ッ クボ ックス化さ れてき た。
有能 なデザ イナー
が お り さ え す れば、
良い デ ザイ ン が生み出せ ると い う一
.
一
面の真理の ことである。
極 端な言い方か も し れ ないが、1970
年代のイ ンハ ウスデ ザイン部 門は、
フ リー
ラ ンスデ ザイ ナー
の寄せ集 ま りの場で はな かっ ただろうか。
個々 に仕 事 が 振られ、
個々が各 自 の能力で こな して いた。 し か も仕 事は黙って い ても やっ て来る一
一
一
一
一
。
1980
年 代にデザ イン マ ネー
ジメ ン トが、
か な り 意 識さ れ始め、
徐々 に組 織 力と して の効 果 が期 待さ れ る よ うになっ た。 デザ イ ンが 良く なって い くこと と、
経 済 的に豊か になっ て い くこと は、
相 関 性が高 く連 動し て い る よ う に思わ れる。
や がて 日本は経 済 的 絶 頂 期を迎え た が、
1990 年 の バ ブ ル崩 壊によ り、
多くの企 業は多か れ 少 な か れ 構 造 改 革を遂 げるこ と になっ た。 以後、
日本では新 た な 模 索 が 続 き、
アジア諸 国の 台頭 を含め世 界の パラダイムが変 化 する中、
経 産 省 のデ ザイン行 政も遅ればせ の見 直しに至る。
又
、
情 報 化の進 展に伴い、
ビ ジ ネス モデル も試 行 錯 誤が続き、
組 織 活 動の あ り方に おいても、
個 人能 力と組 織 能 力の運 用 研 究か ら、
2000
年 代は ナ レッ ジマ ネー
ジメン トのブー
ム を も た ら している。特
に デザイ ナー
の右 脳 能 力の あ り方
に期 待が も た れて い るの では ないだろ う か。
2 .
課 題今回の 論 文集編纂の趣 旨に従っ て
、
課題を 『イン ハ ウスデ ザインは今、
企 業 経 営に何をもっ て貢 献す べ き か』 と する。
こ の 課題に 言 及するならば、
そ も そ もイン ハ ウス デ ザイ ンとは何か を再 認 識 する ことであ り、
次にこ れ まで何をし て き たの か で あ り、
そ の上で現 在 何 を 必要と している か を問 うことであろ う。 バブル崩 壊に呼 応して、
当社も構 造 改革 が 進 み、
当該 デ ザ イン部 門 が 組 織 的に も場 所 的に も一
つ に統 合さ れた時 点以降を振り返 っ て、
メー
カー
の社 員 で ある私 なりの総 括 的な論 述を し て み たい と思 う。
それは 正 にインハ ウスデ ザイ ンの視 点以外の何も の で も ない。
イン ハ ウスデ ザインは各々 の メ
ー
カー
経 営と共に あ り、
ドラ ス テ ィッ ク な 経 営革 新が あ れば、
デザイ ン部 門も ま た ドラステ ィ ック なマ ネー
ジメン トを余儀
な く さ れ るの は当 然 なことで、
唯 我 独 尊、 独 立 独 歩で企 業 内に存 在するはずも な い の である。
3
,
構 造 改革を振り 返って くイ ンハ ウスデ ザ イン の与 件 〉当
社
は各事
業 部の開 発部門 に分 散さ れ ていたデ ザ イン部 隊を、 1994
年7
月に総 合 デ ザ インセ ンター
と し て 統 合 して以来、
全 製品のデ ザインを一
ヶ所で マ ネー
ジメン トする条 件が整のっ た。
その こ と は、
各事業部
に従属するこ と な く ア イデア提 供し た り、
事 業を横 通し に戦略的意 見 を 述べ た り、
横通 しの イ メー
ジ統.
一
を図っ た りする こ と が、
組 織 的に期 待さ れ てい る ということ で あっ た。
そ の 頃を顧み れば
、
インハ ウスデ ザインの 意 義や
、デ
ザ イナー
の持つ 力の本 質につ い て、
色々 と考 え たこ と を 思い出す。
当時、
イ ンハ ウスデ ザ イン部 門の 与 件につ い て 書き付 けた メモが 次のよ う に残っ ている。
『我々 は、
フ リー
ラ ンス のデ ザ イン事 務 所と所 与が異なっ て い る ことを しっ か り認 識する必要が あ る。
何 故な ら当 社のデザイン戦 略は その認識
を もっ て こそ 上策とな る 』 とい う 前 置 き に次いで、
以 下の 箇 条 書 きが 続く。
・デ
ザ イナー
も メー
カー
の社 員であり、
月給 制の組織人
、
首切 りは な く定 年が ある。
・
セー
ル ス 活動を し なくても、
事 業 部 か ら次々 に仕 事はやっ てく る。
・
デ ザイ ンのみならず 事 業そのものへ の 当事 者 意 識 が芽生 え る。
・
手 掛 け られる製 品 デ ザ インは各 事 業 範 囲に留ま り、
変化 は乏しいが、
理解は深い。
・
デ ザ インに 当 たっ て は、
ブラ ン ド ア イデン テ ィ ティー
を常に意 識 する必 要が あ る。
・
事 業 方 針も戦 略も解り、
将 来技
術と商品の 中 長期 計 画 も掌 握でき る。・
商 品を実 現 する優秀
な各 専門家
達が常に仲 間とし て い る。
・
法 規 制 も、
標 準も、
調べ る ま で も 無 くお膳 立て さ れてい る。
・
稟 議を通せ ばt 自 身の懐が痛む こ となく、
必要なものは 大
概
手に 入 る。
・
等々 加 えてキ ヤ ノンゆえの特 質を前 提とすべ し、
次の如 く と あ る。
・製
販 分離
の 経 営形態を継 続 して い る。
・デ
ザイン部門 と広 報 宣 伝 部 門は別 組 織を継 続し て い る。
・
共 生の 理念を企 業 哲 学 と して ワー
ル ドワイドで の発 展を目指す
。
・
三自の精 神 (* 後 述 )が奨 励さ れ る実 力主 義の企 業 風 土を醸 成し続け る。
・
キヤ ノン製
品に は キ ヤ ノ ン ら し さ を伝 承し続 ける こと を必 要と す る。
・
等々以上 を
読
み返 すと、
今も、
何でも 出 来そ う な気 が してく る。
不足 な 部 分も、
注 意すべ きこ と も、改
善
すべ きこと も、
社 員 ゆ えの制 約 条 件を承 知し な が ら、
やっ て然るべ き大き な裁量 が 肌身に感じ て見え54 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol
、
13No.
1ZOO5 デ ザ イン学 研 究 特 集 号て くる。 これがフ リ
ー
ラ ンサー
と は違っ て、
企業
に 帰 属し ていることの意 義で あ る。
〈
イ ンハ ウ スデ ザイナー
の本 質 的役 割 〉 さ て、
当時イ ンハ ウ スデ ザイ ナー
の力と い うのは 何か ということに言 及し、
本 質 的な役 割とい う もの を鳥 瞰 的に整 理し、 統 合 後の 部 門 展 開の スケ ル トン を描いた一
連の資 料が あ る。一
部を紹 介 する。
企 巣 理 愈 事 桑 領 爆纏 こ
嚢
響
_黛 鞭
影
°
〔情 報 の活用 ) 〔摺報の活用 ).
’
人 聞特性研 究 生 産特 性研 究 図 1 (デザ イ ナー
の役 割の考 察 )イン ハ ウスデザイ ナ
ー
の本 質的 役 割 は、
デ ザイ ナー
ゆ えの コ アー
コ ン ピ タン ス を生かすこ とで な けれ ば意 味が無い。
他の職
種に 比 し て、
何がコ アー
コ ンピ タン スなの か、
それ は イマ ジネー
ショ ンで あ る と し て、
『デ ザイ ナー
優 位の力で あるイマ ジネー
ショ ン を武
器に、
キ ヤ ノン製 品の トー
タル な購
買心 理 イ メー
ジ を創り出 すこ とが、 キ ヤノ ンデザ イナー
の 本 質 的 役 割で ある 』 と したの である。
(図 /参照 )その役 割を
、
大 局 的にはCI
(コー
ポレー
トアイデ
ンティ フ ィケー
ショ ン)とPD
(プロ ダク トデザ イ ン)とPR
(パ ブリッ ク リレー
シ ョ ン)の連携
の中 で発揮
さ せ たい。
CI
はキ ヤノ ンをキ ヤノ ンた ら し め る核
と な る もの で あって、
コー
ポ レー
トブラ ン ドの源泉で あ る と同 時に、
グロー
バ ル 化 を進め るに当 たっ て、
グルー
プ 内に は遠心 力 と求心 力の バ ラ ン ス を保つ 基と なる も の で あ る。
PD
はインハ ウ スデ ザイ ナー
の主 業 務で あり、
顧 客 効 用 性、
操作性を達 成 すべ くデ
ザインが な さ れ て いく。
そのバ ックには人 間 特 性、
市 場 特 性、
チャ ネ ル特 性、
生産特
性の各種 情 報が あっ て、
それ らが 必 要 十分に加 味さ れる必 要が あ る。
今は不可 欠 と なっ一
た
HID
(フユー
マ ン イ ン ター
フェー
スデ ザイン)と い う 操 作性に 関 わ る専門領 域を、
当時はPD
の・
一
部 に位 置 付 けて いた。
PR
は購 買性、
社 会 有 用 性を 喚 起させるべ く制 作 さ れ、
その バ ッ ク に はPD
と 同 様の各種 情 報が ある。
改めて こ こ で言い たい の は
、
イ ンハ ウスデ ザイ ン に とっ ては、
如 何にマー
ケ テ ィン グに精 通して いく か が重 要と い うこと で あ る。
マー
ケッ ター
のセ ン ス と、デ
ザ イナー
のセ ンスが一
者の中で シ ンクロ した 時、
優れ たデ ザイ ン が 生 ま れ て く るので は ないだろ う か。
前 者の 商 業主義と、
後者の文 化的ヒュー
マ ニ ズム が 程良くバ ラン ス さ れ る こ とを期 待 すると もい え る。
デザイナー
の本質的役 割△ 調深 耕△ 図 2 (総 合 デ ザイ ン セ ン ター
の展 開 と戦 略 〉 〈イ ンハ ウスデ
ザ イ ンの構 造〉 さて、
図1
を基 本に して、
デ ザイン の主要アイテ ム が どのよ うに構 造 化さ れる のか を 示 し た もの が 図2
で あ る。
その構 造のどの辺り を かつてのキ ヤ ノン のデザイン部門 は注力 してき たの か、
統合 後はどの よ う に展 開を 考 え るの が妥当 なのか を検討 し たの で あ る。
構 造 化 は 恣 意 的 な もの で、
レ ビス トロー
ス流の考 え方を多 少 試み た ところ も あ る が、
厳 密さ を問う も ので は な く、
私 自身の 納 得 がい き、
考 え 方の 目 安 が 付け られ れば良 かった もので あ る。
デザイ ナー
の 源泉であ る イマ ジ ネー
シ ョ ンをベー
ス に、商
品 企 画ま での領域
を一
層注力
する こ と が、
当社の部門ミッ ショ ンと しては最も効 果の あるこ と と 思 わ れ た。
当
時
はHm
も未
だ幼い状況であっ た。
ブラン ドへ の意 識も 弱 かっ た し、
ラ イフ ス タ イ ル / ワー
クスタ イル に関 係す る用 途 開 発の ア イデア も乏し かっ た。
コ ンセ プトとい う言 葉は使わ れて い て も、
その表現 が、
意味あ る ものと して関 係 者と共 有できて いたか どう か は疑わ しい限り であっ た。
皆で試 行 錯 誤 しな が ら10
年 経っ て みれ ば、
部 門の力量 もア ッ プし、
進 歩もし、
発 展も し てき た といえる。
図3 (総 合デ ザ インセンター
のチャ レ ン ジ領 域 ) 〈 商品企画 面へ のチャ レ ンジ〉 図3
は、
以 上の こと を 別の視 点か ら捕ら えて い た もの で、統合後 5 年程経
っ た2000 年
の レヴュー
時の資 料で あ る。
既 存 領 域を如 何に充 実 させなが ら (HOW
)、新
しい領
域と して何
に チャ レ ンジ して い るのか (WHAT
) を 示 し ている。
その 路線 を継続 し、
これ ま でPD
、
HID
の み な ら ず、
領域 1の 商品企画 面 に ウエー
トを おい て色々手 を打っ て き た訳で あ る が、一皮
む け る た め に は、
も う一
段専 門性を高め ねばな ら ない と考えざる を得な い昨今で あ る。
よ く 言 わ れ る よ う に、
B2C
の商品 は 物余
りで、
何を どのよ う な視 点で商 品に し た らい い の か 解 ら ない混 迷の 時 代 で あ ればこそ で あ る。
B2B
の 商品は ビ ジ ネス モデ
ル を模 索 中の低迷時代で あ れ ばこそ で あ る。
混迷
・
低迷 の時 代を突 破す るの は、
積み 上げ型 の 知では な く、
仮説 型の知であ ろ う。
換言すれば左 脳 重視
か ら右
脳へ の期待
である。
こ う な る とデ
ザイ ナー
の 出 番では ない か。
中 学 高 校と十 代の若い頃、
皆が受 験 勉 強で一
所 懸 命に左 脳を鍛
えて いた最中
に、
デッサ ン を し、
イ メー
ジ 画 を描い て右脳 を鍛えて いたの がデザイ ナー
で あ る。 脳は
一
朝一
夕に は育 た ない ことを承 知 す れ ば、
イン ハ ウスデ ザ イ ナー
が奮 起して こそ存 在 価 値 が発 揮で き る チャ ン ス の時 代で も あ る。
し か し、
何か が不 足して い る の である。
そ の も ど か し さ がどこか ら来
る のか、
そ れ こ そがイン ハ ウスデ
ザ インに とっ て 企業 経 営に貢 献で き る何ものか で あ る。
4.
今 期 待さ れ る イ ンハ ウスデザ イ ナー
像 く更 な る貢 献に向け て の模索
〉インハ ウス デ ザ イナ
ー
が脱皮 して、PD 、
HID
の み な らず 商 品企画面で企 業 経 営に 貢献 度 高く あ れ る た め に 必要なこ と は、
結 論めいた こと を 先 に述べ れ ば、
恐 ら く有 能かつ著 名 なフリー
ラン スの 方々 に は や れ ていること なの で あ る。
同じ 専 門 をベー
スに し なが ら何が違 うのか、
それは生 活の糧 を得る意 識の 違いか ら きて いる と 思 わざる を得ない もの である。 インハ ウスデザ イ ナー
は、
デザ イ ナー
と いっ て も、 メー
カー
の社 員であるか ら、
組 織 人と して の分 業 意 識か ら く る専 門家に な っ て し ま う。
フ リー
ラ ン スデ ザ イ ナー
は、
ア シ スタン トを使う に し て も基 本 は一
人で ある。 所 詮、 何で もこな して アウ トプッ ト に 至 る専 門 家に な らざる を得ない。
こ の二 つ の専 門 家と して の能 力の違いは 大 きい。 近 年の混 迷・
低 迷の時代 背 景に おいて、
その状況 から抜 け 出せて いない企 業に とって は、
既 存 組 織の あ り方は 大 して役 に立っ て いない こと を知る 必 要 が あ る。
人事上の組織図 は、
役 職 者の帰属意 識を安 定 さ せ る た めの 器み たいなもの で しかないの ではなか ろうか。 そもそ も組織と は、
やるべ きこ と が安 定し て い て 明 快 な 時に、
それを効 率 よ く達 成 するための仕 組み な訳で、
やるべ きこと が何か、
新たな知 恵を模 索し て い る時 期には、
人 事上の組 織は人 心の安 定と労 務 管 理 や 経 理 管 理 的な意 味合い を持つ ぐ らい の こと だ と思わ れ る。
位置 付 いた 組織範 囲の こ と しか しな け れば
、
楽 ではある け れど、
役 立つ 新たな 知 恵を生むのは難し い。 組 織 という役 割 分 担を乗 り越 える意 識 改 革こそ が 重要なこと で あ る。
当社で は、
三 自の 精 神 (キ ヤノンの 風土基 盤と なっ て い る もので、
自発・
自治・
自覚
の三つを行 動 基 準と する教え)、
組 織 間の活 発なコ ラボ レー
シ ョ56 SPECIALISSUE OFJSSDV 。LISNo
,
12005 デ ザイ ン学研究特 集号ン
、一
層の専 門 性の 深 耕が叫 ば れ、
今も続いている。
私は一
層の専門性の深耕ということ につ いて考え て いた 時、
最 初 は デザ イン の専 門 家と して の知 識や スキル を深める こと を想 定して いた が、
重 要 なのは 専 門家
意 識であろう ということに気がつ いた。
昔か ら、
デザイ ナー
に は二種 類の専 門 家 がい る で は ないか。今
必要なのは、
イン ハ ウスデ
ザ イナー
で あ りな が ら も、
意 識はフ リー
ラン スデ
ザイナー
で あ るこ と が 必要なのでは ない か。
社 外にい る フ リー
ラ ン サー
と は違って、
社 内の フ リー
ラ ン サー
で あ る。
目指す専 門性 が鮮 明に なって い ない ま ま、
何と な く専 門 性を 深耕し よ う と し ていて も駄目 で あ る。
二 種類の違いが解
らな け れば 意 味の ないこ と に気が付 いたの が数 年 前であっ た。
思 えば10
年 前のデ ザイ ン部門の統 合 時に は、
イ ン ハ ウスデザイン の与 件 を書 き 付 けて改 革に当たっ て き たのだ。 そのイ ナー
シャー
がある。 意 識を新たに 脱 皮さ せ な けれ ばな らなかっ た の である。
お り し も全 社 的に、
人 事 評 価 制 度を成 果主義に 変える こ と になっ て、一
層の意 識 改 革が叫 ばれて い た時で も あっ た。
高橋 俊 介 氏の 『自由と自己責 任に よ るマ ネー
ジ メン ト』を読んだ
の が きっ かけと なっ て、私
個人 と して は確 信に 近い考 え を持
っ た。
こ の本の趣 旨は
、
専 門家に はスペ シ ャリス ト とプ ロ フェ ッショ ナ ル がいて、
企業変
革のた め に はプロ フェ ッ ショ ナ ル が 必要 だとい うこと で あっ た。
正 に 正 に で あ る。
〈二つ の専 門 家 〉 確 かに我々は 専 門 家の ことを、
ス ペ シ ャリス トと 言った り、
プロ (プロ フ ェ ッシ ョナル)と言っ た り するが、 ど う違うか を あ まり意 識して なかっ たよ う に思う。 高 橋 氏は次のよ う に言っ て いる。
「欧 米で は明 確 に違いが認 識さ れ てい る。
プロ フェ ッショ ナ ル は も と も と 信 仰 を 告 白 (profess
) す る 人、
す な わ ち聖 職 者が 語源 だっ た。
こ の こ とからプロ フ ェ ッ シ ョナ ル には二つ の意 味合いが含まれるよ うになっ た。一
つ は 自己 管 理 ができる こと。 キリス ト教の聖 職 者 は 他 人 との相 対 的 関 係に おい て存 在す るので は な く て、
神との 対 峙に おい て自分を律し ていか な け ればな ら な い。
つ ま り、
あ る一
つ の倫
理観
に基
づい て自己管
理 ができる こと が求め ら れる。
そ れ と同時に、
聖 職一
者 は 信 仰の 悩み を解い て心の 安らぎを与え てい く
。
つ ま り、
・
種のサー
ビス業と も考え ら れる。
相 手 に対し て バ リュー
を 生 み出 すとい うのがも う一
つ の 意 味である。
こう し た概 念が実 務 的な職 業へ と広が り、
やが て経 営コ ン サ ル タン トや、
プロデュー
サー
等のビ ジネス の世 界へ 広がっ た」 と。
スペ シ ャ リ ス トとい うの は、
「限られ た分野の専 門 職であっ て、
その分 野 を 絶えず 研 究し、
鍛 錬して い る人で、
自分の権 威 性、
知 識や経 験の優 位 性を高 め ていく意 識が活 動の原 動 力に なっ て い る 」 という 意 味 合い の分 析が さ れて いる。
加えて 言い得て妙な 表現で 「マ ネー
ジメ ン トや 顧客がや り たい ことにつ いて、
で き ない理 由 を見つけ るのが 上手」 と あ る。
次の言い方がス トレー
トで解り易い。
「日本で は ある分 野の専 門 的知 識 と経 験を豊富
に持
っ ている 人 の こ と を、
○ ○プロ と呼んだり す るが、
これ はス ペ シャ リス トである。 プロ フェ ッシ ョナルは その専門 性で 評価さ れ る 人 で は な く、
あ く ま で も自己責任に 基づい て、
その人の出したアウ トプッ ト (成 果 )が 顧 客に対してどれほどのバ リュー
を 与 えたか で評 価 さ れ る」 と。
こ う し て み る と、
スペ シ ャ リ ス ト の対 立概 念が、
プロ フ ェ ッ ショナ ル という訳で も ない。
つ まり、
ス ペ シ ャ リス トで あって もプロ フェ ッシ ョナル にな れ る し、
スペシャリ ス トで な く て もプロ フェ ッ ショナ ル にな れる とい うことで は ないだろ う か。
要は、
プ ロ フェ ッシ ョナ ル か 否 か は、
「自己責 任に基づ く ア ウ トプッ トが顧 客に バ リュー
を 与 え られ る 人 か ど う か」 である。
勿論、
それ 相 当の 専 門スキ ル は必 要で あろ う が。
氏は次のよ うに締め括っ て いる。
「今まで 日本で は、
フ ァ ン ドマ ネー
ジャー、
コ ン サ ル テ ィ ング 営 業、
ク リエ イター、
プロデュー
サー、
マー
チ ャ ンダ イザー
な ど、一
部の業 種に限られて いたプロ フェ ッ ショ ナ ル が、
これ か ら は さ まざま な業 界で求められ て く る。
コ ンセプトを与え ら れて緻 密にデザイン
・
商 品 設 計でき る 人材と、
顧客ニー
ズを 念頭に置いて 白らコ ンセ プ ト を 考えデザイン・
商品設計で きる人材とで は、
どち ら が 必 要 か答え は 明 自だろ う」 と。
私は当
社
のデ ザイ ン セ ン ター
が、
ス ペ シ ャ リス ト 集 団か らプロ フ ェ ッシ ョナ ル集団へ と変容
してい く1990
1994
▲・
噌靨 纛 灘 バ ブル崩壊 ヂ ザ イン セン ター
統 合2000
2000
年 展200X
糊墜辮凱
安定した柱 会スタイル 経 営 確 定 した利益の仕組み一
定の事業 戦 略 事 業 部 手 馴 れ た商品 企 画 デザイ ン セ ン ター
餾
,←
多 様 なライフ スタイル・
ワー
クスタイル 新しい利益構造
の模索・
多 様 な 事 業 戦 略覦
欄
1
馳
臨 配 慮 領 域廴
… ’ へ冒
…ぎ
闢
期
…
…
定
…
…
安…
プロ フェ ッショナル の デ ザ イ ナー
(ア ウトプットで評 価 亡 れる 人 ) 単 独 プレー
自分の専門性を 広げて チー
ムプレー
も 上手 図4 (ス ペシャリ ス ト集団 か らプロ フェ ッショナ ル集 団へ)イ メ
ー
ジ を、
時 代 背 景と共に、
図4
のよ うに捕ら え て い る。
な すべ きことが 見 通せて
、
経 済も安 定し た伸 び 盛り に は、
メー
カー
は効 率の良い分業
体 制で よ かっ た。 経 営は確立 し た利益構 造の 中で一
定の戦略を立 て、
事 業は手馴れ た方法
論で商品企画 を立 案 し開 発 を推 進 する。
デ
ザ インセンター
は商
品 企画 に見 合っ たデ ザイ ン を し、
グッ ドデ ザイ ン賞 に 応 募 す る。
言 わば、
デザ イン業 務の ス ペ シャ リス ト集団であっ た。 混迷 模 索の時 期こそ は、
組 織 図を超えた 仕 事 振り が望ま れ る。
不確かな多 様 戦略の 中で、
チャ レンジ ングな商 品 企 画を 立案し てい く必要が あ るのだ。
仮 説 創 造 力の豊か なデザイナー
が分業 体 制 を離れ、
発 想のt
壌を広 げ、
商 品 企 画に 貢献
するプロ フェ ッ ショナルへ と役 割を変 容さ せ ていくことに こそ価 値 がある。
目指すのは優れ た 商品コ ン セプト と、
グッ ドデザインを超え たエク セ レントデザイ ンである。
試 行錯誤 で は あ る が、
我々 のデ ザ インセ ンター
の ア ウ トプッ トを 見 れば、
か な りの こと が や れて きて はい る。一
皮むけて もう一
段レ ベルア ップす る た め に は、
経 営 トッ プへ の実 績 を 伴っ たアピー
ル と、
プ ロ フェ ッショナルへ の変 容を目指す体 系 的な 人材
育 成を 工夫 する必 要がある。 〈目指せプロフェ ッショナル〉 高 橋 氏はプロ フェ ッショナルの特 性を次の よ う に 記 述して い る。
・
特 定の問 題 解 決の た め に 必要な 勉強し か行わ な い。
・
今重要な課 題にフ ォー
カス して単刀直入 に話がで きる。
・
目的 達 成のた め に、
分析ツー
ル や方 法 論を手段と 割り切っ て用い る。
・
専 門 的で複
雑なこと を素人に もわか りやすく説 明 す るコ ミュ ニ ケー
ショ ン能 力を持つ。
・
顧 客に付 加 価 値を提 供し、
喜ば れ たい気持 ち が 活 動の原 動力であ る。
・
マ ネー
ジ メ ン トや顧 客が や りたい ことに解を見つ けてやるのが 上手。
勿 論
、
以上の こと は、
自己責 任に立っ て顧 客に バ リュー
を 与 える と い う ミ ッシ ョ ン に基づい て であ る。
58 SPECIAL ISSUE OF JSSD VDL13NQ.
12005 デ ザ イ ン 学 研 究 特集号当社の デザイナ
ー
が有 能なプロ フェ ッ ショナ ル な 人材と なっ ていく た め に、
どの よ う なキャ リ アパ ス を設 定 すればよい のか を考え る。 当社の企 業 風 土を 上手 く活 用した プログラ ム に す るのが効 果 的であろう。 自己 責 任に関 係しては 三 自 の精 神 を、
顧 客バ リュー
のた め に という奉 仕の精神
は共 生の理 念に託 すのがよ さ そ う に思え る。
これ ら を整 理して、
図5
と す る。
共 生 の 理 怠 の 理 解 と 発 擢 力(
毒 仕 の 糟 神)
三 自 の 精神 の理 解と発 揮 力 図5 (プロフェ ッショナルへ のキャ リ ア パ ス) ナル 新人 はトレー
ニー
と して 三年 程 鍛 錬さ れ る。
その 後、
適 性と力 量に よっ て ス ペ シ ャ リス トに なって い く者
も あ れば、幅
広いアシ ス タ ン トになって い く者 もある。 彼 等は チー
フデザイ ナー
を支え、
かつ 目指 すこ とになる。
そ の地平に は常 時 プロ フ ェ ッ ショ ナ ルのイメー
ジ が示さ れ る よ う に し て お くの で あ る。
目覚める者は
一
気に プロ フ ェ ッシ ョナ ルへ と脱皮 する のが望む ところ で も あ る。
〈プ
ロ育成
のプ
ログラ ム〉
プロ フェ ショ ナ ル を 目指す に は
、
実 際 どういう知 識やスキ ル を身に付け ねば ならないか も示してお く 必 要 が あ る。デザ イン部 門だ けの狭い 領域 で は
覚
束ない。
そ れ は 有 能なフリー
ラ ンサー
を参 考に す れば一
目瞭 然である。
経 営の基 礎知識を持ち、情報
収集手段と マー
ケテ ィ ング に精 通し、
コー
ディネー
トカ にプロデ
ュー
スカ、
何 よ り もソ リュー
シ ョ ンカと 人間 的 魅 力に溢れ て い る。
一
人事部門の 人材開 発セン タ