Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
創
造 性
一
デ
ザ イ
ン
か
ら
の
ア
プ
ロ
ー
チ
Approach to the Creativity from Design Studies
永 井 由 佳里
北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学
NAGAI Yukari
Japan Advanced lnstltute of Science and Technology
1 .
デザ イ ン が 創 造性をつ か ま えてみる と 「創 造」 へ の学 問的な注目につ い て、
須 永 が 先に言 及 し ている と お り、
昨 今、
諸 領域で創 造 陸へ の関 心 が 高 まり、
デ ザイン に 焦 点をあてて いる。
し か し、
果た し て肝 心のデ ザイン学に、
創造 性 研 究の拠 点 と なりうる ものが ある のだろうか.
デ ザイ ン学 会での 創 造 性研究部会の 設立 も、
こ のOS
企画もその 真意は、
「創造 性を扱う の な ら、
(我々) デ ザ イン でな く、
ど の領 域に それ がで き よ うか、
創 造 性を追 求 するの は、
あるい は 実 現 して い る のは我々 で ある はず1 と い う 自負である。 そこ で、
デザ イ ンの側か らの創造1
’
fi
へ の研 究アブロー
チにつ い て どの よ うな ノi
法 が あ り、
実 績がある のか、
そ して どのよ うな 方 向性が あ るの か を、
見なお して みたい。
「 デ ザイ ン が 創造 性をつ か ま え て み る と……
」何 が 見つ かり、
ど う展 開 す るの か、
我々自身
がそれ を示す ことを、
周 辺の領 域から 期 待さ れて い る の で はないだろ うか。
2 .
創造 性 研 究 とデ ザイ ンの関 係 これ まで のデ ザ イン研 究で は、
分野 こそ時 代によ っ て移
り変
わっ て き た が、創造
の産
物を対象
と した (も し く は どの よ う な産 物を 生み出すべ きか も含め ) 研究を主と し てき た。80
年代後 半 か ら、
創造 性の 問 題が取り あ げられるよ うにな り、
思 考や認 知につ い て の研究 方法 が 示され た。
そ れ によっ てデザ インの 創造の側 面 と、
使 用の側面、
お よ びそれ.
らの関 係 性 につ い て の研 究が行わ れ た。
デザインの 創 造的側面に関し ての研 究アプロ
ー
チ と し て は、
創 造 行為 その も のを 対 象と す る研 究 と し て、
創 造 的 な 認 知 につ い ての実 験 に よる研究方 法と、
実 際のデザ イン行 為を観 察す る方法が あ る。
デ ザイ ン を 研 究 対 象 と してとりあげた研 究と その 方 法を紹 介 したい。
そ の よ うな方法で創 造 性につ いて何が解 明されるか、
ま た、
その方 法にどの よ うな問 題が あ るのか を考え る.
研 究 目的に は、
ま ず、
.
デ ザ イン にお ける創 造 性 1 その もの の 解明 を 目的と した 研究、
次に 「デザ イン 思 考ゴ や一
デザイン知 識亅 に 関 する研 究 に よって得 ら れる創 造 性に関する理 解を、
デ ザイン の創 造や他 の 何 か (例えば、
文 書 作 成、
科 学 教 育な ど)に役 て よ う とする 研究が あ る。創
造の 知識
と し ての デ ザ イ ン 知識を、
支 援 技 術や教 育に役立 て よ う とい う場 合、
優れ た創造ノ」の実 現 者であ るデザ イナー
の知識 を 研 究 す る とい う考え か た も ある。
前K
一
は、
純 粋に デ ザ イ ン と は何か の追 求で あ り、
人間の 創造 性へ の 理解を 目的にする、
デザ イン の 核 心に向 か う 研 究 と 言え る。後 者
はデ ザ インを広 義に と ら え、
汎 用して いく方
向に よっ てデザイ ンの語義
を拡
張し て い く研 究と考
え られ る。
2.
1 思考過程研究とデ ザイ ン実験 デ ザイン行 為を対 象に し た実 験によっ て、
永 井・
野 口は創 造 的な 思考過程の 把 握を試み、
モデル化を 行っ た。
言葉に よっ て与 え ら れ たR
標に対 し、
どの よ う に デ ザイン解を 生成して い く か の過 程につ い て、
観 察 実 験に より スケッチ と 言 葉 に よ る 記 述 を分析 し、
心 的なイメー
ジがどのよう に生 成 され 表現 させ る か を 図1
の思考 経 路に表し た [1
]。
さ ら に実験 的 観 察 法の 手 法 に 基づく、
追 体 験 的 解 析 方 法を用いた ヲロ トコ ル 分析を行い、
デ ザイ ン 行為者の 創造的思考過 程をモデ ル化した 「2
「
。
科 学 的な追 求を お こ な うため にはよ り客 観 的 な 説 明 と根 拠が求め られる。
実 験による研究は、
同じf
’
続き を踏め ば同じ結 果が出るこ とを前提にするp 従 っ て、
そのi
’
続 き を 公 示 するこ とで他K
一
もその 結 果 を求める ことが で き、
検 証も反論も で きるt/
研究 領 域全体を 活性化 す る た め に は、
このよ う な研 究の公 開が 重要だ と言わ れる。 デ ザ イン行 為を対 象に した 思考過 程の研 究 に お い て は、
その 反 証IT∫能 性 が 問わ れ る ことが多い。
ま た、
そ こで得 ら れ たデー
タ が 客 観 的な情 報か ど う か が問わ れ る。
厳 密に統 制さ れた 実 験 室 環 境 ドで実 験が行わ れ ればこ のよ う な 問 題 は[E SPI
’
C[AL ]S〜UEOFJS 〜DVol ]2No,
]2()05 デ ザ イン学 研 究 特 集 号Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
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図 1 テ ザ イン創 造 過 程で の 思 考 経 路 解 決 に 近づく。一
方で、
デ ザ イン実 験の 場合は、
実 験 環 境その も のが、
影 響を 及ぼし、
被験者の 創造性 の 発 揮 が 損 な わ れ る 危険性が あ る。
その場 合、
実 験 と して は 正確 な デー
タであっ て も 研究目的か ら考え る と、
その 意味を失う。
こ の 両立 させ るの が難 しい 条 件の な か、
で き るだ け 正確な デー
タ を得るためには、
どのよ うな 研 究 方 法を構 成 する か が 問 わ れ ること と な る。
田浦
ら は、
デザ イン実 験において、
設 計 行 為その ものに影
響を 及ぼさ ない被 験 者の説 明 に よっ てプ匚]トコ ル分析法 を強化する ことで、
思 考過 程を と ら え る こ と に成功 してい る [注3
]。
2.
2
デ
ザ イン知 識 研 究・
方で、
デ ザ イン知 識研究 (Design Knowledge Studies)とい う視 点 から、
実 際の デザイ ン活 動を研 究 対象にする アプロー
チ がある。
建築 家のデザ イン思考 が 形成され ていく過 程につ いてのゴー
ル ドシュ ミッ ト の研 究 や [4
]、
デ ザ イナー
の行 為を長 期間にわ たって 研究 した例 と し て、
キャ ンディとエ ドモ ンズによ る、
白転 車 デザ イナー
調 査、
クロスらの研 究があ げられる [5 、6
]。
さらに規模の 大きいプロジェ ク ト と して、
デ ルフ トワー
ク ショ ッ プ や、
エ ス ノ グラ フ ィ の研究 手法 によ りコ ンピュー
タ を用い た創造 性 支援を 目的に、
芸 術 家 と技 術 者の 共 同創 造活 動の 観 察 調 査研 究’
COSTAIU
・
i プロジェ ク トが展開しているL7
二。
3 .
解 決 すべき問 題 点・
展 望 様々な デ ザイン研究の方 法の中 から、
こ こ では実 験に よ る 研究 ノ∫法と観察に よ る 研究 方法 を と り あげ た。
進 展してい る情 報シ ス テ ムや脳 波 測 定を導入 し て も 人間を研究す る た め に は 未だに制 約 が 多い。
ど の よう にす れば 環境の変 化に敏 感で作用 さ れやすい 人間の創 造性 が 測れるか、
問 題 は 続 く。
図2 は 永 井 「描 く亅と「テザイ ンする 」 の遷い島
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(h1StheFname) 図 2 描画速度と思考時 間の計測実 験 に よ る ス ケッ チの 速 度と描画 インタ
ー
バ ル の パ ター
ンか ら思 考 時 間 と 思 考の 抽象度の 関 係を得よ う とす る実 験だが、
実 際のデ ザ イン行 為を 研究対象にする た め に は 不 自然 な条
件が多い。
その 解 決 方 法と して、 デザイン創造と研 究の環 境 を同じ に す る と い う方 法で酊 能 性 を 開 くこ と を、
デ ザインか らの研究アプロー
チ と して提案
する。
あ る謎につ いて、
徹 底 的に説 明して い くのが研 究 で は ないだろ う か。創造性
という大き な謎を内 包す る デ ザ イン領 域は研 究の宝庫だ とい え る。
な らば、
そ こへ の ア フ ロー
チの方 法 を 組 み丶’
tlて るこ とが取 り 組むべ き課題であ る。
研 究の継 続のため には.
その ためのソ サエ テf
を 形成
すればよい。議論
の場
と方 法も我々自 身 がつ くり上 げて い く必 要がある。
さら に は そ こか ら新しいデ ザイ ン 研究が発 信さ れ、
周 辺 領 域を巻き 込みな が ら、
国 際的な規 模で議 論 が積み 重ね さ れ てい くこと を望む。
【参 考文 献 】1)Y
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