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NOAC 時代の非弁膜症性心房細動 (NVAF) 患者に対する抗凝固療法 RWE で臨床試験結果を検証 上野欧州心臓学会 (ESC) 会期中に 4 人の先生方にお集ま りいただきました 先日の Late breaking clinical trials session では Connolly 先生が

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Medical Tribune 2017年12月28日号より転載 提供 バイエル薬品株式会社  非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)はその有用性と扱いやすさから臨床現場に浸透し、非弁膜症性心 房細動(NVAF)患者の脳梗塞予防に不可欠な存在となった。リバーロキサバン(商品名:イグザレルト®錠)は 臨床使用開始から5年が経過し、さまざまなリアルワールドエビデンス(RWE)が集積されつつある。本座談 会では、NVAF患者の抗凝固療法に対するRWEの解釈と応用、今後の展望について5人の専門家に話し合っ ていただいた。 (発言順)

NOAC時代の非弁膜症性心房細動

(NVAF)患者に対する抗凝固療法

〜リアルワールドエビデンスを読み解く〜

司会

上野 高史

久留米大学病院 副院長 久留米大学循環器病センター(内科) 教授

Stuart J. Connolly

Professer Emeritus, Department of Medicine, McMaster University, USA

香坂 俊

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

阿古 潤哉

北里大学 循環器内科学 教授

森野 禎浩

岩手医科大学 内科学循環器内科 教授

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RWEで臨床試験結果を検証

上野 欧州心臓学会(ESC)会期中に4人の先生方にお集ま りいただきました。先日のLate breaking clinical trials sessionではConnolly先生が共同統括責任者を務めた COMPASS試験の結果が発表され1)、いまだ興奮冷めやら ぬところです。  NOACをめぐっては、COMPASS試験や現在進行中のわ が国のAFIRE研究などにより新たな可能性の模索が進む一 方、既にNOACが臨床の場に浸透しているSPAF(Stroke Pre vention in Atrial Fibrillation)領域では多くのRWEが蓄 積されつつあります。Connolly先生、臨床試験とRWEは何 が違うのでしょうか。 Connolly 臨床試験は治療の有効性や安全性の評価を目的 としています。高品質なデータを得るために厳格なプロトコ ルが設定され、エビデンスレベルが高い 手法で行われます。その一方で、プロ トコルに適合しない患者は対象から除 外されてしまいます。  しかし、リアルワールドには多様な 背景因子を持つ患者が存在し、治療環 境もさまざまですので、画一的な条件 下でなされた臨床試験の結果は必ずし も当てはまりません。そこで、市販後 に実施される登録観察研究や医療保 険データベースなどのリアルワールド データを解析し、臨床試験の結果がリ アルワールドにも当てはまるかどうか を検証することが必要なのです。 上野 認知機能の低下した高齢者や 脳梗塞急性期例など、臨床試験から除 外されている集団について、薬剤の効 果と安全性を確認することは重要です ね。 香坂 NOACの場合は、特に高齢者 のエビデンスが不十分だと思います。 実際に、NOACの第Ⅲ相臨床試験コホ ートに含まれていた日本人高齢者(75 歳以上)の数は、これまでに上市され た4剤の試験2〜5)を合計しても500例 程度でした。日本では今後ますます高 齢化の加速が予想されていますので、 高齢者におけるRWEは不可欠だと思います。 森野 臨床試験実施施設の多くは大学病院や専門医療機 関ですが、リアルワールドにおけるNVAF診療の主体は開 業医です。RWEにはその違いが現れるかもしれません。 阿古 特に日本人では抗凝固療法による出血が多いため、 抗凝固療法がしばしば弱めにコントロールされています。 その辺りの影響を見るためにも日本におけるRWEは必要 ですね。 リバーロキサバンは高齢者でも 臨床試験とリアルワールドで一貫した結果 上野 そうした中、日本ではリバーロキサバンのRWEであ るXAPASS6)が進行中で、約1万例の中間集計結果が報告 されました。香坂先生、その概要を紹介してください。 ROCKET AF、XANTUSおよびVENTURE-AFは、リバーロキサバンの海外承認用法・用量(20mg 1日1回、CLcr 50mL/分未満では15mg 1日1回)で実施されました。 国内外の臨床試験成績を用いた薬物動態シミュレーションの結果、日本人に15mgおよび外国人に20mgのリバーロキサバンを投与した際の曝露量は同程度であるこ とが確認されています。なお、国内承認用法・用量は15mg 1日1回(CLcr 50mL/分未満では10mg 1日1回)です。 NOAC時代の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者に対する抗凝固療法 事象発現率(%/年) リバーロキサバン 項目 3.0 0.7b 1.3 0.8 重大な出血事象 頭蓋内出血 脳卒中または全身性塞栓症 脳梗塞 (a:Hori M, et al. 2012; 2104-2111. b:大橋陽平他. 血栓止血誌 2015; 26: 385-395より作表  COI:いずれもバイエルからの支援あり) 表1 J-ROCKET AFa試験成績 頭蓋内出血 %/年(n/N)  %/年(n/N)脳梗塞 全例 高齢者(75歳以上) 腎機能低下例 (CLcr 30∼49mL/分) 脳梗塞・TIA・全身性塞栓症の 既往例 0.5(73/9,896) 0.6(44/4,817) 0.8(25/2,063) 0.9(28/2,240) 1.0(148/9,862) 1.4(103/4,799) 1.6(50/2,058) 2.0(64/2,231) (イグザレルト®錠特定使用成績調査の現状報告−2012年4月18日∼ 2016年9月15日時点の 調査票収集・データ固定症例での中間集計より作表 COI:バイエルからの支援あり) XAPASS(PMS)の結果は中間集計です。確定したデータではないことをご了承ください。 表2 XAPASS中間集計(平均観察期間551.9±382.1日)の概要

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香坂 XAPASSは、わが国におけるリバーロキサバンの市 販後調査として実施されている登録観察研究です。2012 年4月18日以降に同薬の服用を開始したNVAF患者1万例 以上が登録され、そのほぼ半数が75歳以上の高齢者です。 今回の中間集計では、2016年9月15日までに調査票を収集、 データ固定された10,001例をもとに解析されました。  その結果、全ての出血は4.5%/年、重大な出血は1.1%/ 年、頭蓋内出血は0.5%/年であり、同薬の国内第Ⅲ相臨床 試験であるJ-ROCKET AF3)と一貫した結果でした。また 脳梗塞も同様にJ-ROCKET AFと一貫した結果が得られま した(表1)。 森野 リバーロキサバンは臨床試験とRWEで一貫した成 績が示されたNOACということになりますね。 香坂 XAPASSの特徴として、75歳以上の高齢者が対象 の半数を占めている点が挙げられます。加齢はそれ自体が さまざまなイベントのリスク因子である上、年齢とともに増 加する合併症もアウトカムに影響を及ぼします。こうしたリ スクの高い高齢者を多く抱えたXAPASSが、高齢者比率が 2割足らずであるJ-ROCKET AFと、イベント発現率が同程 度という点は特筆すべきかと思います。 上野 臨床試験と観察研究では、対象患者や方法が異な るため、これらのデータを直接比較することはできません。 しかし、このような前提を考慮しても、 XAPASSにおける出血性副作用の発 現率は低いといえます。 香坂 XAPASSではさらに、頭蓋内 出血と脳梗塞の発現率を脳卒中リスク の高い患者層〔75歳以上の高齢者、腎 機能低下例、脳梗塞・一過性脳虚血 発作(TIA)・全身性塞栓症既往例〕別 にサブ解析を行っています。その結 果、頭蓋内出血の発現率は高齢者で 0.6%/年、腎機能低下例で0.8%/年、 脳梗塞・TIA・全身性塞栓症の既往 例で0.9%/年でした。脳梗塞の発現 率はそれぞれ1.4%/年、1.6%/年、2.1 %/年でした(表2)。このように高リス ク例の検討においてもXAPASSの結果 はJ-ROCKETの結果に近いものとなっ ています。 阿古 NOACの歴史はまだ10年足ら ずですが、既にNVAFにおける抗凝固 療法として欠かせない存在となってい ます。臨床試験のエビデンスをリアルワールドで確認して いくことは、抗凝固療法を適切に行う上で大変重要だと思 います。 抗凝固療法で見られる不適切な減量投与 ;適正用量の投与でリスクを回避 Connolly リバーロキサバンの日本での承認用量は 15mg/日または10mg/日とのことですが、リアルワールド における用量選択はどのように行われていますか。 森野 リバーロキサバンの用量は、クレアチニンクリアラン ス(CLcr)に基づき50mL/分以上の症例では15mg/日、15〜 49mL/分では10mg/日と設定されています。しかし、高齢 の患者さんに対しては出血を懸念して10mg/日を選択され る開業医の先生が少なくないように思います。CLcrが 50mL/分以上であるにもかかわらず10mg/日投与された のであれば、それは不適切な減量投与です。 Connolly カナダでも同様に出血を懸念した不適切な減 量投与が行われ、問題となっています。 香坂 XAPASSでは初回投与量が10mg/日であった症例 の約半数で、CLcrが50mL/分以上でした。10mg/日の選択 症 例 数 初回1日用量 4,000 3,000 2,000 1,000 0 (例) 15mg (4,609例) (4,496例)10mg クレアチニンクリアランス(mL/分)   80以上   50∼80未満   30∼50未満   15∼30未満   15未満 ●出血リスクが高い ●腎障害 ●その他 ・高齢 ・低体重 ・併用薬剤を考慮 1,100例 471例 954例 655例 72例 41例 等 2,015 (43.7%) 2,337 (50.7%) 242 (5.3%) 519 (11.5%) 1,821 (40.5%) 1,898 (42.2%) 255 (5.7%) 257 (50未満) (5.6%) 15 (15∼30未満) (0.3%) 3 (15未満) (0.1%) 図 (XAPASS中間集計)クレアチニンクリアランス測定例における用量選択状況の内訳 (イグザレルト®錠特定使用成績調査の現状報告−2012年4月18日∼ 2016年9月15日時点の 調査票収集・データ固定症例での中間集計−より作図 COI:バイエルからの支援あり) XAPASS(PMS)の結果は中間集計です。確定したデータではないことをご了承ください。 10mgを選択した理由 2,417例 *重複例あり

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理由で最も多かったのが、出血リスクが高いことで、次い で高齢、腎障害でした()。 阿古 特に高齢者は、出血だけでなく脳梗塞のリスクも高 いため、この理由だけで低用量を選ぶのは正しくないので はないでしょうか。不適切な減量投与の結果、防ぎえたは ずの脳梗塞が生じてしまっては意味がありません。CLcr が50mL/分以上であれば15mg/日を投与すべきです。 香坂 同感です。根拠のない不適切な減量は、かえって 脳梗塞リスクを高めることになります。NVAF患者では、 脳梗塞を予防するために抗凝固療法を行っていることを再 確認すべきです。 上野 かねてから指摘されていることですが、日本では出 血への懸念により抗凝固療法を弱めにコントロールする傾 向があります。Fushimi AF Registryでは登録症例の約半 数がワルファリンを使用していましたが、登録時のプロトロ ンビン時間国際標準比(PT-INR)が治療域にあった症例は その54.4%にとどまり,その他の多くは治療域を下回って いました7) Connolly リアルワールドにおいては、一定の患者で十 分な抗凝固療法が行われていないと考えられますね。それ を踏まえ、必要十分な用量の抗凝固薬を使うことを心がけ れば、さらに良好なアウトカムを期待できると思います。 エビデンスの蓄積と今後の抗凝固療法 上野 では最後に、蓄積されつつあるNOACのRWEへの 期待についてお聞かせください。 香坂 NOACにおけるRWEは、医療の現場のリスク–ベネ フィットの考え方を直接反映します。私たちや患者さんの 考え方に偏りが出ないかどうか、健全にモニターしていく という意義は大きいと思います。 森野 NOACを使用するに当たっては、ワルファリン時代 に私たちが培った「臨床医としての薬剤用量の感覚」を見 直さないといけないということをRWEが示しているのだと 思います。RWEデータの今後のさらなる蓄積が、この点を 明らかにすることを期待しています。 阿古 NOACのRWEは今後も数多く報告されると思いま す。それを見て日常診療を振り返り、抗凝固療法をより良 いものにすることができると信じています。 上野 新たな治療法の可能性を探り、その有効性と安全 性を確認する臨床試験と、リアルワールドの患者データで 臨床試験を補完し、日常診療に有益な情報をもたらす RWEは、EBMを支える両輪だと思います。リバーロキサ バンは、その双方で一貫した結果が得られたNOACです。 さらに、出血や脳梗塞リスクの高い日 本人高齢患者においても、臨床試験と RWEの結果が一貫していました。  臨床上の課題解決を目指し、現在も 多くの臨床試験とリアルワールド研究 が進行中です。新たな可能性を広げ、 実臨床に役立つさまざまな知見をもた らすこれらの研究の成功を祈念しつ つ、本座談会を終えたいと思います。

1) Eikelboom JW, et al. N Engl J Med 2017; 377: 1319 -1330.

2) Connolly SJ, et al. N Engl J Med 2009 ; 361: 1139 -1151.

3)Hori M, et al. Circ J 2012; 76: 2104-2111. 4) Granger CB, et al. N Engl J Med 2011; 365:

981-992.

5) Giugliano RP, et al. N Engl J Med 2013; 369: 2093 -2104.

6) イグザレルト®錠特定使用成績調査の現状報告-2012

年 4月18日〜2016 年9月15日時点の調査票収集・デー タ固定症例での中間集計.

7)Akao M, et al. Circ J 2014; 78: 2166 -2172. COI: 1), 3), 6), 7)はバイエルからの支援あり 文献 目的:安全性におけるリバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性の検証 対象:日本人の非弁膜症性心房細動患者1,280例(心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病のうち2つ以上のリスクを有 する、または虚血性脳卒中/TIA/全身性塞栓症の既往を有する、患者) 方法:リバーロキサバン15mg(CLcr 30〜49mL/分の患者には10mg)およびワルファリンプラセボ、あるいは用 量調節ワルファリン(目標PT-INR:70歳未満は2.0〜3.0、70歳以上は1.6〜2.6)およびリバーロキサバン プラセボを1日1回投与し、最長31カ月間観察した。 有効性主要評価項目:脳卒中または全身性塞栓症 安全性主要評価項目:重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象 解析計画:安全性主要評価項目に関して非劣性(安全性解析対象集団/治験薬投与下)を検証した。有効性の検証には 十分な検出力を有していなかったが、有効性(プロトコル適合集団/治験薬投与下)についても評価し、さ らに本試験における有効性および安全性成績を国外第Ⅲ相試験(ROCKET AF)と比較検討することで、日 本人への外挿可能性を評価した。 結果:有効性主要評価項目(脳卒中または全身性塞栓症)の発症率は、リバーロキサバン群1.3%/年、ワルファリン群 2.6%/年であった(ハザード比0.49[95%信頼区間:0.24〜1.00]、P=0.050、Cox比例ハザードモデル)。 安全性主要評価項目(重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象)の発現率は、リバー ロキサバン群18.0%/年、ワルファリン群16.4%/年であり、リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣 性が検証された(ハザード比1.11[95%信頼区間:0.87〜1.42]、非劣性マージン 2.0、P<0.001)。 有害事象:副作用(臨床検査値異常を含む)はリバーロキサバン群639例中326例(51.0%)、ワルファリン群639 例中291例(45.5%)に認められた。主要な事象は、リバーロキサバン群では鼻出血88例(13.8%)、皮 下出血50例(7.8%)等、ワルファリン群では皮下出血62例(9.7%)、鼻出血49例(7.7%)等であった。 重篤な副作用はリバーロキサバン群で35例(5.5%)、ワルファリン群で29例(4.5%)認められた。主要 な事象は、リバーロキサバン群では突然死6例(0.9%)、出血性胃潰瘍3例(0.5%)等、ワルファリン群で は胃腸出血4例(0.6%)、出血性腸憩室3例(0.5%)等であった。投与中止に至った有害事象(治験薬投与 下、因果関係を問わない)はリバーロキサバン群で84例(13.1%)、ワルファリン群で98例(15.0%)に認 められた。主要な事象は、リバーロキサバン群では虚血性脳卒中8例(1.3%)、血尿4例(0.6%)等、ワル ファリン群では虚血性脳卒中21例(3.3%)、血尿2例(0.3%)等であった。死亡に至った有害事象(全試験 期間中)はリバーロキサバン群で14例(2.2%)、ワルファリン群で12例(1.9%)に認められた。主要な事 象は、リバーロキサバン群では突然死(心突然死を含む)9例等、ワルファリン群では突然死、肺炎、事故(交 通事故を含む)がそれぞれ2例ずつ等であった。 PT-INR:プロトロンビン時間国際標準比

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L.JP.MKT.XA.11.2017.1654 資材記号 XAR170131 2017年12月作成

参照

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