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更新日:2010/6/11 調査部:舩木弥和子

ブラジル: Petrobras に次ぐ石油会社へ急成長を遂げる新興企業OGX

(Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas 他)

OGX’s Petróelo e Gás は、2007 年 7 月に Eike Batista 氏が所有する EBX の石油・ガス探鉱部門の子 会社として設立された。同年 11 月のブラジルの第 9 次ライセンスラウンドで Campos、Santos 盆地等の浅 海の鉱区を中心に 21 鉱区を取得、その後も権益取得を進め、現在、ブラジル国内の 29 鉱区に権益を保 有している。2008 年 6 月に株式公開を実施、この資金を探鉱に充て、2009 年 8 月から掘削を開始、これ までに掘削した坑井全てで出油・ガスに成功し、埋蔵量は 26~55 億 boe となっている。同社は 2013 年 末までに 79 坑を掘削、2011 年からは Campos 盆地で生産を開始、2015 年には 73 万b/d、2019 年に 138 万b/d を生産する計画だ。OGX が会社設立後わずか 3 年以内に民間資本の石油会社としてはブラジル 最大の企業となった背景には、同社が十分な資金力を有していることと、高度な技術、知識、経験を有す る人材を確保できたことがあると考えられる。

OGX’s Petróelo e Gás は、Eike Batista 氏(53 歳)が所有する EBX という会社の石油・ガス探鉱部門の 子会社として 2007 年7 月26 日に設立された。Eike Batista氏は、鉱山エネルギー大臣やリオドセ(ヴァ ーレ)の CEO を務めた Eliezer Batista 氏の息子で、自らも資産 270 億ドルを保有し、2010 年のフォーブ ス世界長者番付・億万長者ランキングで世界ランク第 8 位となった大富豪である。Batista 氏所有の EBX 傘下には MMX(鉱業)、LLX(ロジスティックス)、MPX(エネルギー)、OSX(石油・ガスサービス)があり、 OGX もそのうちの 1 社である。EBX の全ての企業名の終わりには掛け算を意味する"X"が付けられてい るが、これは企業の繁栄を意味するものであるという。 OGX は会社が設立された直後の 2007 年 11 月 27 日に行われたブラジルの第 9 次ライセンスラウンド に参加し、23 鉱区に応札、Campos、Santos、Espírito Santo、Pará-Maranhão 盆地の浅海の鉱区を中心に 21 鉱区を取得した。OGX のサインボーナスは合計で 8 億 1,700 万ドルで、このライセンスラウンドのサイ ンボーナス総額の約 70%を占めた。 この第 9 次ライセンスラウンドは、ブラジル企業を中心に入札が行われ、公開された 271 鉱区のうち 117 鉱区が落札された。そして、支払いボーナスは約12 億ドルと過去最高を記録した。このように数字だ けをとってみると大成功のライセンスラウンドであったように思える。しかし、実際には、直前に、サントス 盆地プレソルトで発見された Tupi 油・ガス田の可採埋蔵量が原油換算で 50~80 億bblとの発表があり、 Tupi 油・ガス田周辺を始めとするプレソルトの鉱区 41 鉱区がライセンスラウンドから除外されたために、 メジャーや BG、Repsol YPF、Eni など以前のブラジルのライセンスラウンドでは多くの鉱区を取得してい

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た企業が入札に参加しなかった。その結果、ブラジル企業が入札で中心的な役割を果たすことになった ライセンスラウンドであった。しかし、そのブラジル企業の中で最多の 27 鉱区を落札した Petrobras も、第 7 次ライセンスラウンドでは落札された 251 鉱区のうち 96 鉱区を落札したのに比べ、第 9 次ライセンスラ ウンドでは落札鉱区数は少なく、Tupi 油・ガス田などプレソルトの探鉱・開発に集中したいとの考えから、 以前に比べ積極的に応札しなかったのではないかとの見方がなされた。このように OGX は、他の企業 があまり関心を抱かなかったライセンスラウンドで、非常に積極的に入札し、多くの鉱区を取得したことで、 周囲を驚かせた。 OGX はその後もファームインにより鉱区権益を取得し、現在ブラジル国内の 29 鉱区に権益を保有し ている。 OGX は Campos 盆地南部に 7 鉱区に権益を保有している。うち BM-C-37 鉱区、BM-C-38 鉱区につ いては Maersk がオペレーター、その他の鉱区は OGX がオペレーターを務めている。これらの鉱区は Polvo 油田(オペレーターDevon Energy、埋蔵量 2.85

億boe)、Peregrino油田(オペレーターStatoil、2P埋蔵 量 5 億 boe) 、 Papa-Terra 油田( オ ペ レ ー タ ー Petrobras、2P 埋蔵量 7 億 boe)、Maromba 油田(オペ レーターPetrobras、2P 埋蔵量 2.45 億 boe)に隣接し ている。OGX は 2009 年 9 月にカンポス盆地での探 鉱を開始し、BM-C-43 鉱区、BM-C-41 鉱区等で発 見に成功、2011 年に生産開始を予定している。 http://www.ogx.com.br/cgi/cgilua.exe/sys/start.htm?sid=41&lng=us OGX は Santos 盆地の 5 鉱区にも権益を保有して いる。このうち 4 鉱区は第 9 次ライセンスラウンドで 取得した Mexilhão ガス田(オペレーター:Petrobras、 埋蔵量:8Tcf)付近の鉱区で、もう 1 鉱区はファーム インで権益を取得した BM-S-29 鉱区(オペレータ ー:Maersk)である。OGX は 2009 年 8 月にサントス 盆地での探鉱を開始した。 http://www.ogx.com.br/cgi/cgilua.exe/sys/start.htm?sid=42&lng=us

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OGX が権益を保有する鉱区 (OGX ホームページより作成) 盆地 鉱区 鉱区面積 権益比率 Campos BM-C-37 177km2 OGX(50%)、Maersk(50%) BM-C-38 177km2 OGX(50%)、Maersk(50%) BM-C-39 109km2 OGX(100%) BM-C-40 124km2 OGX(100%) BM-C-41 236km2 OGX(100%) BM-C-42 177km2 OGX(100%) BM-C-43 177km2 OGX(100%) Santos BM-S-56 176km2 OGX(100%) BM-S-57 176km2 OGX(100%) BM-S-58 176km2 OGX(100%) BM-S-59 148km2 OGX(100%) BM-S-29 400km2 OGX(65%)、Maersk(35%) Espírito Santo BM-ES-37 725km2 OGX(50%)、Perenco(50%) BM-ES-38 725km2 OGX(50%)、Perenco(50%) BM-ES-39 724km2 OGX(50%)、Perenco(50%) BM-ES-40 723km2 OGX(50%)、Perenco(50%) BM-ES-41 723km2 OGX(50%)、Perenco(50%) Pará-Maranhão BM-PAMA-13 192km2 OGX(100%)

BM-PAMA-14 192km2 OGX(100%) BM-PAMA-15 192km2 OGX(100%) BM-PAMA-16 192km2 OGX(100%) BM-PAMA-17 192km2 OGX(100%) Parnaíba PN-T-48 3,069km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-49 3,069km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-50 3,069km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-67 3,067km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-68 3,067km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-84 3,065km2 OGX(70%)、Petra(30%) PN-T-65 3,065km2 OGX(70%)、Petra(30%) Espírito Santo 盆地の 5 鉱区は、水深が約 200~ 2,000mと OGX が保有する他の鉱区よりも深いものの、 軽質油と ガ ス を 生産中の Golfinho 、 Camarupim 、 Canapu 油田と類似した構造であると OGX は期待して いる。Pará-Maranhão 盆地についてもこれまで商業量 の発見はないが、近年軽質油が発見されているガー ナと同様の地質構造であると期待し 5 鉱区を保有してhttp://www.ogx.com.br/cgi/cgilua.exe/sys/start.htm?sid=43&lng=us

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いる。OGX は Petra Energia からブラジル北東部陸上 Parnaíba 盆地の 7 鉱区の権益の 70%を取得した。 Petra Energia はこれらの鉱区の権益の 30%を保有している。 http://www.ogx.com.br/cgi/cgilua.exe/sys/start.htm?sid=44&lng=us http://www.ogx.com.br/cgi/cgilua.exe/sys/start.htm?sid=82&lng=us OGX は 2008 年 6 月 13 日に株式公開(IPO)を実施した。同社は、これにより 67 億レアルを得、この資 金を探鉱・開発に充てることとし、2009 年8 月から 9 月にセミサブマーシブル・リグ 4 基を確保し(現在は 5 基)、掘削を開始した。OGX はこれまでに掘削が終了した坑井全てで、出油・ガスに成功している。2009 年に Campos 盆地で掘削した 5 坑の埋蔵量は 21~47 億 boe であったが、2010 年の掘削で埋蔵量は 26 ~55 億boe に増加している。同社は 2013 年末までに 79 坑を掘削する予定で、埋蔵量はさらに増加する 見通しとされている。2011 年からは Campos 盆地で生産を開始する計画で、2015 年には 73 万b/d、2019 年に 138 万 b/d を生産する予定とされている。 他企業との規模比較 OGX の埋蔵量と生産量の見通しがどの程 度の規模かを他社と比較してみると、Devon の埋蔵量が 28 億 boe、Anadarko の埋蔵量が 23 億 boe、Apache の埋蔵量が 24 億 boe、 Occidental の埋蔵量が 26 億 boe で、OGX は 埋蔵量の規模としてはこれらの中堅石油会社 に匹敵、あるいはすでに上回っているという ことができる。OGX はまだ生産を行っていな いが、2015 年の生産見通しが 73 万b/dとされ ており、5 年後には生産量でもこれらの企業 出所:OGX 以外はアニュアルレポート(2009 年)、埋蔵量はSEC基準。 を上回る規模に成長する見通しである。 OGX の埋蔵量は現在発表の数字、生産量は 2015 年の見通し。

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OGX が掘削を行った坑井一覧 (OGX ホームページより作成) 坑井 鉱区 構造 水深(m) 海岸からの 距離(km) 埋蔵量 (百万 boe) 1-MRK-2B BM-S-29 Abacate 100 130 OGX-1 BM-C-43 Vesuvio 140 85 500~1500 OGX-2A BM-C-41 Pipeline 130 77 1400~2600 OGX-6 BM-C-41 Etna 137 82 OGX-3 BM-C-41 Waimea 130 83 600~1100 OGX-8 BM-C-41 Fuji 125 82 OGX-4 BM-C-42 Kilawea 150 79 100~200 OGX-5 BM-C-43 Krakatoa 145 79 30~90 OGX-7A BM-C-42 Huna 152 86 OGX-9D BM-C-41 VesuvioDirecional 142 87 OGX-10 BM-C-42 Hawaii 158 79 OGX-11D BM-S-59 Natal 180 84 OGX-12 BM-S-57 Niteroi 150 95 OGX-13 BM-C-41 VesuvioVertical 138 87 また、サントス盆地のプレソルトの主要な発見とこのOGXの発見を比較してみると、OGXの発見は、 埋蔵量の規模ではサントス盆地プレソルトより小さいが、いずれも水深が浅く、海岸からの距離が短い。 そのため、サントス盆地のプレソルトに比べ、資材、機材が調達しやすく、安全性も高く、技術面、資金面 のいずれをとっても開発が容易であると考えられる。 OGX の発見と Santos 盆地プレソルトの発見(各種資料より作成) 鉱区 構造・油田 水深(m) 岸からの距 離(km) 埋蔵量 (百万 boe) OGXの発 見 BM-C-41 Pipeline 130 77 1,400~2,600 Etna 137 82 Waimea 130 83 600~1,100 Fuji 125 82 BM-C-42 Kilawea 150 79 100~200 BM-C-43 Krakatoa 145 79 30~90 Vesuvio 140 85 500~1,500 サントス盆 地プレソル トの発見 BM-S-11 Tupi 2,200 250 5,000~8,000 Iara 2,230 230 3,000~4,000 BM-S-9 Guara 2,141 310 1,100~2,000 このように短期間に OGX が有望な鉱区を取得し、探鉱を成功させ、埋蔵量を飛躍的に増加させた背 景には、同社が十分な資金力を有していることと、極めて高度な技術、知識、経験を有する人材を確保

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できたことがあると考えられる。OGX は親会社 EBX の巨大な資金力に加え、2008 年の株式公開により 豊富な資金を確保することに成功した。その一方で、Petrobras で 30 年以上勤務し General Manager や Manager を務め、ブラジルの石油産業で最も経験を有する地質や地球物理学の専門家、エンジニアを 多数採用している。十分な技術力やブラジルでの探鉱・開発の知識や経験を有するからこそ、OGX は 他の企業の関心がプレソルトに集中する中、プレソルト以外の有望な鉱区に着目した。そして、豊富な資 金力で確実にその鉱区を取得し探鉱を進めることが可能となり、会社設立後 3 年以内に民間資本の石油 会社としてはブラジル最大の企業となることができたと思われる。

参照

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