〒 3 8 0- 0 8 3 7 長 野 市 大 字 南 長 野 字 幅 下 667-6 長 野 県 土 木 セ ン タ ー 内 電 話 026-235-3510 F A X 026-235-3583 平成26年度第1回普及技術検討会(10月9日開 催)で、25課題の技術が普及に移される予定となっ た。本稿では、このうちの植物防疫に関する主な技 術事項について紹介する。なお、詳細は長野県公式 ホームページ(http://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/ sangyo/nogyo/gijutsu/fukyugijutsutop.html)に掲載 されるので確認していただきたい。 〈殺菌剤〉 ◎リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレ ME、フルーツセイバーが有効である りんごの春季防除における最重要病害は黒星病で ある。しかし近年本県では、うどんこ病の発生が増 加傾向にあり、黒星病だけでなくうどんこ病にも卓 効を示す薬剤が必要になっている。 サルバトーレMEの3,000倍液またはフルーツセイ バーの2,000倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、サルバトーレが 3、フルーツセイバーが7である。 サルバトーレはEBI剤であり、薬剤耐性菌の出現 リスクが高いため、過度の連用や多数回使用を避け る。EBI剤のりんごでの使用は、原則として開花期 および落花期の2回に限る。 ◎ナシ黒星病防除にファンタジスタ顆粒水和剤、フ ルーツセイバーが有効である 近年、ナシ黒星病の多発傾向が続いており、防除 対策の強化が求められている。 ファンタジスタ顆粒水和剤の3,000倍液またはフ ルーツセイバーの2,000倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、ファンタジスタ が11、フルーツセイバーが7である。 ファンタジスタはQoI剤、フルーツセイバーは SDHI剤であり、いずれも薬剤耐性菌の出現リスク が高い。耐性菌の出現を防ぐために、同一薬剤およ び同系統薬剤の連用や多数回使用は避け、作用機構 の異なる薬剤をローテーションで用いることが重要 である。QoI剤の使用は年2回以内とする。 蚕に対して影響があるため、桑葉にかからないよ ◇新しく普及に移す見込みの農業技術‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 ◇平成 26 年度の災害概況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 ◇最近 10 年の病害虫発生を振り返って(野菜・花き)‥‥6 ◇植防短信‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8 ◇地域情報‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 ◇協会だより‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 目 次 一般社団法人
長野県植物防疫協会
新しく普及に移す
見込みの農業技術
農業技術課 副主任専門技術員 豊嶋悟郎 うに注意する。水産動物に影響を及ぼす可能性があ るので、河川、湖沼および養魚池に飛散・流入する おそれのある場所では使用しない。 ◎ブドウべと病防除にザンプロDMフロアブルが有 効である ブドウべと病はぶどうの最重要病害であり、防除 期間は生育初期から収穫期まで長期間に及ぶ。さら に、べと病菌は薬剤耐性菌の出現リスクが極めて高 いので、薬剤防除においては作用機構の異なる薬剤 をローテーションで用いることが重要である。 2,000倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、45+40である。 本剤はべと病菌に卓効を示す新規有効成分アメト クトラジンとジメトモルフの混合製剤である。 ◎ももとネクタリンの灰星病防除にファンタジスタ 顆粒水和剤が有効である 灰星病は果実に甚大な被害を及ぼす恐れがあるた め、もも、ネクタリン栽培では重要な病害である。 3,000倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、11である。 本剤はQoI剤であり、薬剤耐性菌の出現リスクが高 い。耐性菌の出現を防ぐために、同一薬剤および同系 統薬剤の連用や多数回使用は避け、作用機構の異な る薬剤をローテーションで用いることが重要である。 蚕に対して影響があるため、周辺の桑葉にかから ないように注意する。 ◎カキ円星落葉病防除にブローダ水和剤が有効であ る 長野県の特産品である市田柿栽培では、円星落葉 病が最重要病害となる。 500倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、M3+3である。 本剤はEBI剤とマンゼブの混合剤である。EBI剤 は薬剤耐性菌の出現リスクが高いため、連用や多数回使用を避け、作用機構の異なる薬剤をローテーシ ョンで用いることが重要である。 蚕に対して影響があるため、桑葉にかからないよ うに注意する。 水産動物(藻類)に影響を及ぼすおそれがあるの で、河川、湖沼および養魚池に飛散・流入する恐れ のある場所では使用しない。 ◎ブルーベリー灰色かび病防除にアグロケア水和 剤、オーソサイド水和剤が有効である ブルーベリー灰色かび病は開花期から落花期頃の 花器や幼果に発生し、果実を腐敗させる重要病害だ が登録農薬が少なく、生産現場では防除対策に苦慮 している。 アグロケア水和剤の2,000倍液またはオーソサイ ド水和剤の500倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、アグロケアが-、 オーソサイドがM4である。 アグロケアは微生物農薬であり、低温条件下では 効果が得られにくい場合があるので、10℃以上の気 温が確保される状態で使用する。有機農産物生産に 利用可能である。 オーソサイドは、果粒肥大期以降に使用すると果 粒に汚れを生じる場合があるので注意する。水産動 物に強い影響を及ぼすので、河川、湖沼および養魚 池に飛散・流入する恐れのある場所では使用しない。 ◎セルリー斑点病防除にスコア顆粒水和剤が有効で ある 斑点病はセルリーを栽培する際にいずれの産地に おいても常発する重要病害である。 2,000倍液を散布する。 作用機構を示すFRACコードは、3である。 本剤はEBI剤であり、薬剤耐性菌の出現リスクが 高いため、連用や多数回使用を避け、作用機構の異な る薬剤をローテーションで用いることが重要である。 蚕に対して影響があるため、桑葉にかからないよ うに注意する。 〈殺虫剤〉 ◎未成熟とうもろこしのアワノメイガ防除にカスケ ード乳剤が有効である スイートコーンの栽培では、アワノメイガによる 被害はオオタバコガと並んで恒常的に発生し、重要 害虫となる。 2,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、15である。 防除適期は、雄穂出穂始期および絹糸抽出期であ る。 本剤はキチン質合成阻害のIGR剤であり、蚕に対 して長期間毒性があるので、使用地域の指定があり、 桑園付近では使用しない。 水産動物(甲殻類)に影響を及ぼす可能性がある ので、河川、湖沼、養魚池などに飛散・流入するお それのある場所では使用しない。 ◎りんごのシンクイムシ類、ハマキムシ類防除にイ カズチWDGが有効である 近年、りんごにおいてモモシンクイガの被害が微 増傾向にある。 1,500倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、3である。 本剤はアグロスリン水和剤と同じシペルメトリン が有効成分の合成ピレスロイド剤である。 蚕に対する毒性が極めて強く、また魚類および甲 殻類に対する毒性も極めて強いため、使用地域の指 定があり、これ以外では使用しない。 マメコバチ、ミツバチに対して影響があるので、 訪花活動期間中は使用しない。 ◎りんごのハマキムシ類防除にディアナWDGが有 効である 県内では主に5種類のハマキムシが発生する。発 芽期から落花後は全種類の幼虫が花芽や幼果を食害 し、6~7月には新梢先端で葉や芽を食害する。8 月以降になると果実と葉の隙間に生息して果皮を浅 く食害する。花芽と果実への加害が実害となる。 10,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、5である。 本剤は、土壌放線菌が産生する活性物質に由来し た化合物である。 蚕に対して長期間毒性があるので、桑園付近では 使用しない。 マメコバチ、ミツバチに対して影響があるので、 訪花活動期間中は使用しない。 ◎ぶどうのチャノキイロアザミウマ防除にディアナ WDGが有効である ぶどうだけでなく、なし、かきなど多くの植物に 発生するアザミウマで、加害後すぐには被害が確認 できず、植物体の生長にともない視認できるように なるので、防除が手遅れになりやすい。 10,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、5である。 本剤は、土壌放線菌が産生する活性物質に由来し た化合物である。 蚕に対して長期間毒性があるので、桑園付近では 使用しない。 マメコバチ、ミツバチに対して影響があるので、 訪花活動期間中は使用しない。 ◎かきのフジコナカイガラムシ防除にスプラサイド 水和剤、モスピラン顆粒水溶剤が有効である スプラサイド水和剤の1,500倍液またはモスピラ ン顆粒水溶剤の2,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、スプラサイドが
1、モスピランが4である。 スプラサイドは蚕に対して影響があるので、桑葉 にかからないように注意する。また、ミツバチに対 して影響があるので、直接虫体や巣箱にかからない ように注意する。水産動植物に影響を及ぼすおそれ があるので、河川、湖沼、養魚池などに飛散、流入 しないように注意する。 モスピランは蚕に対して長期間毒性があるので、 桑園付近では使用しない。また、マメコバチに対し て影響があるので、訪花活動期間中は使用しない。 ◎かきのケムシ類防除にオリオン水和剤40、バイオ マックスDFが有効である オリオン水和剤40の1,000倍液またはバイオマッ クスDFの2,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、オリオンが1、 バイオマックスが11である。 オリオンは蚕に対して影響があるので、桑葉にか からないように注意する。また、ミツバチに対して 影響があるので、直接虫体や巣箱にかからないよう に注意する。水産動植物に影響を及ぼすおそれがあ るので、河川、湖沼、養魚池などに飛散、流入しな いように注意する。 バイオマックスはBT生菌製剤で蚕毒が極めて強 く、使用地域の指定があるのでこれ以外では使用し ない。 ◎ズッキーニのアブラムシ類防除にアドマイヤーフ ロアブルが有効である ズッキーニ栽培では、ワタアブラムシなどの発生 が問題となるが、アブラムシ類が媒介するウイルス 病の発生もあり、アブラムシ類の防除は重要である。 4,000倍液を散布する。 作用機構を示すIRACコードは、4である。 本剤はネオニコチノイド剤であり、浸透移行性に 優れる。 蚕に対して長期間毒性があるので、桑園付近では 使用しない。 ミツバチに対して影響があるので、直接虫体や巣 箱にかからないように注意する。 〈発生予察〉 ◎コンフューザー MM設置もも園でのモモハモグリ ガの発生予察調査法 性フェロモン剤による交信攪乱を行っている圃場 では、合成性フェロモンを利用したフェロモントラ ップによる発生予察が困難である。しかし、モモハ モグリガ防除には発生消長調査が不可欠である。 コンフューザー MM(以下コンMMと称す)設置 もも園では、コンMM5本を誘引源としたフェロモ ントラップを用いることで、モモハモグリガの発生 消長を把握することができる。 交信攪乱剤として使用するコンMM5本を誘引源 として発生予察用粘着トラップ(SEトラップなど) の屋根部の内側に取り付けて発生消長調査を行う。 誘引源のコンMMは、フェロモン成分を適正に放 出させるため、束ねないで間隔をあけて取り付ける。 誘引源としてのコンMMは、約4か月継続して使 用できる。 〈除草剤〉 ◎移植水稲用初中期除草剤ウィナーLフロアブル、 ウィナーLジャンボ、ゴエモン1キロ粒剤、月光ジ ャンボ、ナギナタ豆つぶ250、ゼータワン1キロ粒剤、 クサトリー BSXフロアブルL、ホットコンビフロ アブルは水田雑草防除に有効である ウィナーLフロアブルを移植直後からノビエ2.5 葉期までに10aあたり500ml、ウィナーLジャンボ を移植直後からノビエ2.5葉期までに10aあたり500 g(50g×10パック)、ゴエモン1キロ粒剤を移植 直後からノビエ2.5葉期までに10aあたり1kg、月 光ジャンボを移植後3日からノビエ3葉期までに 10aあたり400g(40g×10パック)、ナギナタ豆 つぶ250を移植後3日からノビエ2.5葉期までに10a あたり0.25g、ゼータワン1キロ粒剤を移植直後か らノビエ3葉期までに10aあたり1kg、クサトリー BSXフロアブルLを移植直後からノビエ2.5葉期ま でに10aあたり500ml、ホットコンビフロアブルを 移植直後からノビエ2葉期までに10aあたり500ml のいずれかを湛水散布する。 ◎移植水稲用中期除草剤ツインスター1キロ粒剤は 水田雑草防除に有効である 移植水稲の初期剤との体系で、移植後6日からノ ビエ3葉期までに10aあたり1kgを湛水散布する。 ◎移植水稲用中後期除草剤テッケン1キロ粒剤は水 田雑草防除に有効である 移植水稲の初期剤との体系で、移植後15日からノ ビエ4葉期までに10aあたり1kgを湛水散布する。 ◎キャベツ畑の一年生雑草防除にフィールドスター P乳剤が有効である キャベツ定植後~定植後10日までに10aあたり50 ~75mlを水100Lに希釈して、全面土壌散布する。 発芽後の雑草に対しては効果が劣る。 FRACコード、IRACコードとは、FRAC(殺菌剤耐 性菌対策委員会)またはIRAC(殺虫剤抵抗性対策委 員会)が定める殺菌剤または殺虫剤の作用機構による 分類である。殺菌剤、殺虫剤それぞれの中での同じ コードは、同じ作用機構を示す。詳しくは長野県病 害虫・雑草防除基準または農薬工業会のウェブサイト (http://www.jcpa.or.jp/labo/mechanism.html) を 参 照する。
【水稲】 平成26年産水稲の引受は、面積が30,319haで前年 度に比べ394ha減少し、戸数では2,081戸が減少して いる。戸数の減少は、大規模農家への貸付の増加や 経営者所得安定対策への対応として集落営農組織の 組織化が進んだことによる減少となっている。加入 方式は、一筆方式が全体の99%を占め、一部地域で は全相殺方式への加入がある。地域別の面積割合で は、東信が22%、南信28%、中信34%、北信16%と なっている。 被害は、出穂、開花以降の8月が曇雨天候続きで、 日照不足となり登熟が悪く減収となった。 一部の地域では8月の台風により、土砂の流入・ 冠水・倒伏の他、白穂や褐変籾が発生した。また、 山間地では、6月中旬からイノシシ、シカによる被 害が発生した。 【麦】 平成26年産麦の引受は、面積が2,412ha(統計作 付面積対94.2%)で前年対48haの増加となり、戸数 も22戸が増加した。 加入方式は、一筆方式が40%、全相殺方式19%、 災害収入共済方式41%、種類別では小麦82%、大麦 18%、また、地域別では、東信が14%、南信19%、 中信62%、北信5%となった。 26年産麦の播種は、10月中旬から下旬に始まった。 10月中旬及び下旬の降雨により、この直前に播種し たほ場を中心に土壌湿潤害による出芽不良や生育不 良が発生した。12月以降1月までは低温傾向となり、 凍みあがりを受けた圃場や2月の大雪により標高の 高い圃場では、残雪の影響で生育不良となった。又 地域によっては獣害(シカ・サル・イノシシ)によ る被害や、5月以降高温傾向であったため干ばつに より登熟不良となる圃場がみられた。 共済金の支払は、一筆方式、全相殺方式を合わ せた共済金、異常災害となった前年の29.4%となる 1,031万円が、9月に支払われた。なお、災害収入 方式については、品質が加味された生産金額が確定 後、共済金の支払をすることになっている。 【大豆】 平 成26年 産 の 大 豆 の 引 受 面 積 は1,233ha前 年 対 55haの増加となり、加入率は59.0%(作付計画対比) となっている。加入方式の割合は、ほ場ごとに減収 が3割被害から共済対象となる一筆方式が34.2%、 農家ごとに減収が2割被害から対象になる半相殺方 式が0.1%、農家ごとに減収が1割被害から対象と なる全相殺方式が65.7%となっている。 被害は、播種時期及び開花期初期の6月上旬から 8月中旬の降雨による土壌湿潤害。地域によっては、 中山間部で6月中旬から7月下旬のシカの食害によ り、減収が見込まれている。 【そば】 平成26年産のそばの引受面積は512ha、前年対比 77haの増加となっている。加入方式は、農家ごとに 減収が2割被害から対象になる全相殺方式となって いる。 被害は発芽期の降雨による生育不良、サル・シカ、 イノシシによる被害が発生している。
平成26年度の災害概況
について
NOSAI長野事業第一課 堀込政樹 「そば」大町市獣害(サル) 撮影 2014.9【果樹】 平 成26年 産 の 果 樹 の 引 受 に つ い て は、 り ん ご 2,129ha、ぶどう271ha、なし246ha、もも104ha、す ももで25ha、5樹種合わせて前年産より97ha増加し 2,775haとなっている。 被害は、5月下旬以降天候が不安定となり、中東 信を中心に県下各地で13回の降雹があり、りんご・ ぶどう・なし・ももで被害が発生した。 また、ぶどうは6月の開花期の降雨で単為結果、 8月10日に台風11号の接近で多雨もあり大粒種で裂 果が発生し被害となった。 なお、台風11号の強風により北信・南信を中心にり んご・なし・すももで落果が発生。10月6日には台風 18号の強風により南信でりんごの落果が発生した。 その他、一部の地域で凍霜害、もものせん孔細菌 病等の病害、りんご・ぶどう・なしでシカ・サル・ クマ・ハクビシンによる獣害、全樹種でカラスによ る食害、虫害等が発生している。 (平成26年9月末現在) 「ナガノパープル」千曲市 雨害湿潤害(裂果) 撮影 2014.9 「シナノゴールド」松本市 雹害 撮影 2014.10 発行予定:平成26年12月下旬 価 格:700円(消費税込み、送料別途) 病害虫・雑草防除の基本事項が集約されています。殺菌剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調節剤の効果的な 使い方、安全を確保する正しい使い方、総合的病害虫・雑草管理(IPM)など環境にやさしい農業活動の実 践のため、病害虫・雑草防除基準を活用しましょう。 「果樹版」「野菜花き版」の発行は中止いたしました。総合版のみとなります。 お問い合わせ・ご注文は、(一社)長野県植物防疫協会、または最寄りの農業改良普及センターまでお願 いします。
平成27年版「長野県農作物病害虫・雑草防除基準」発行のご案内
最近10年の病害虫発生を
振り返って
野菜・花き
野菜花き試験場 吉沢栄治 過去10年間の野菜・花きの新規発生病害虫と試験 研究の経緯について概説する。 【新規発生病害虫】 平成15~25年度の11年間に病害虫防除所から発表 された発生予察特殊報のうち、野菜・花きが対象作 物になっている病害虫を表1に示した。 これらのうち、特に重要な病害虫については県単 プロジェクトなどの開発的研究課題として取り組 み、発生生態の解明、診断・防除技術の開発を行った。 野菜・花きで発表された発生予察特殊報 年度 病害虫名 平成25年度 トマト黄化葉巻病 タバココナジラミバイオタイプQ(ト マト) ナスコナカイガラムシ 平成24年度 スイカ果実軟腐病 トマトすすかび病 平成23年度 キク茎えそ病 平成22年度 ニセタマナヤガ(葉洋菜類) セルリー萎縮炭疽病 レタス根腐病レース3 レタスヒゲナガアブラムシ リンドウ炭疽病 ジャガイモクロバネキノコバエ(ヒメ ユリ) 平成21年度 ホウレンソウモザイク病 キュウリホモプシス根腐病 平成20年度 スターチスのGALVによる病害 アワダチソウグンバイ(宿根アスター 他) アルストロメリア黒斑病 平成19年度 リンドウ黒斑病 トルコギキョウえそ萎縮病 平成17年度 スイカ果実汚斑細菌病 イチゴピシウム根腐病 イチゴコナジラミ 平成16年度 チビクロバネキノコバエ(いちご) 平成15年度 ホウレンソウべと病 レース5 イチゴ角斑細菌病 ( )内は対象作物 平成17年に発生が確認されたスイカ果実汚斑細菌 病に対しては、翌年から実用化技術開発事業で「ウ リ科野菜果実汚斑細菌病の日本への侵入・蔓延防止 技術の開発」が実施された。育苗期の薬剤防除技術 及び接木用ナイフの殺菌方法を普及に移した。また、 病原菌の動態を調査し、発生ほ場では罹病残渣を土 中深く(地表下30cm以上)埋却することにより残 渣中の病原細菌は死滅することを明らかにした。 中信地区のセルリーで問題となっていた芯葉部位 の激しいえそ斑症状を、新病害セルリー萎縮炭疽病 と報告し、平成23度から県単プロジェクト研究を実 施した。種子伝染することを明らかにし、50℃ 30分 の温湯種子消毒法を確立、普及した。さらに、温湯 種子消毒が斑点病防除にも有効であると確認された。 平成22年に発生が確認されたレタス根腐病レース 3に対しては、抵抗性品種の育成を核とした県単プ ロジェクト研究を立ち上げ、感受性検定や品種選抜 を実施している。なお、レタス根腐病菌における 特定遺伝子領域の塩基配列を解読し、各レースの DNA断片を特異的に複製できる試薬(プライマー) を開発し、レース1~3の識別が可能になった。 平成23年には、県内のアブラナ科野菜で多発し ている黒斑細菌病の病原型が、平成14年にアメリ カ で 確 認 さ れ た 新 型 のPseudomonas syringae pv. alisalensisであると確認した。本病原型は、日本国 内で既報のP.syringae pv.maculicolaよりも宿主範囲 がやや広く、特にエンバクに対して強い病原性を示 すため、輪作作物の選定には注意が必要であること を情報提供した。平成25年度から県単プロジェクト 研究を開始し、抗血清を用いた簡易診断法を開発し、 降雨に着目した予察技術や防除技術などの開発に取 り組んでいる。 【環境に優しい農業技術】 環境保全型農業やGAPの実践が一層推進され、試 験研究の開発的研究課題にもこれらが反映された。 一方、アイテムとしては微生物農薬や天敵生物の実 用化が進み、IPMで使用可能な資材が揃ってきた。 平成16~18年度に減農薬減化学肥料を目的に、特 別県単プロジェクト研究が組まれ、野菜花き関係で は「化学合成剤を使用しないセルリー畑の土壌消毒法の確立」及び「施設イチゴ栽培における減農薬防 除体系の確立」が実施された。セルリーでは、家庭 用小型ボイラーを利用した簡易熱水処理装置による 施設内土壌消毒法を開発した。施設イチゴ栽培では、 苗の摘葉によりうどんこ病の発生を軽減できること を明らかにした。また、ハダニ類防除用のミヤコカ ブリダニ製剤を基幹として天敵に影響のない薬剤を 組み込んだ「害虫防除(減化学農薬)マニュアル」 を構築し、普及に移した。 平成17年度には、レタス腐敗病防除にベジキーパ ー水和剤を普及に移した。本剤は野菜花き試験場が、 レタス葉から分離した細菌Pseudomonas fluorescens G7090株を製剤化した生物農薬で、有機栽培の農薬 の使用回数にカウントされず、薬害を生じない。18 年度にはキャベツ黒腐病防除にも普及に移した。 敵の種構成などを明らかにした。2期では、定植時 のジュリボフロアブル灌注処理と天敵に影響の少な い薬剤の組み合わせにより、ナモグリバエの土着天 敵寄生蜂を温存したレタス害虫の体系防除法を開発 した。 環境に優しい害虫防除技術として、オオタバコガ 及びアザアミウマ類に対して防虫ネット(16年度) を、レタス育苗期におけるナモグリバエ被害軽減技 術として黄色粘着テープ(17年度)及び紫外線除去 フィルム(18年度)を、カーネーションのオオタバ コガ防除にLED防除器(レピガード、20年度)を普 及に移した。 また、平成16年度には葉菜類のコナガ、オオタバ コガ、タマナギンウワバ防除にコンフューザーVを、 平成18年度には葉菜類のコナガ、オオタバコガ防除 にコナガコン―プラスを普及に移した。 【ウイルス病害の防除技術】 野菜・花きのウイルス病害では、トルコギキョウ のえそ症状、スイカの果面障害(凹凸を呈する)な どが、ウイルス感染が原因であると突き止めた。 また、アルストロメリア、りんどう、ズッキーニ、 カラーピーマンなどから検出される主要ウイルス種 を明らかにした。 防除技術としては、感染源や伝染源となる雑草や 媒介虫対策のほか、平成21年度から高度化事業「農 作物のエマージングウイルス病被害を防ぐワクチン の迅速開発」を実施し、キュウリモザイク病に関与 するウイルス種とワクチンを利用した防除法を普及 に移した。 平成18年度には、家庭用小型ボイラーを利用し た施設内の熱水土壌消毒処理法を開発し、アスタ ー萎凋病、トルコギキョウえそ萎縮病、Fusarium oxysporum菌による土壌病害などに対して普及に移 した。また、その施工、配置および現地実証試験の 結果と注意点等を取りまとめマニュアルを作成した。 アスパラガス茎枯病は薬剤防除のみでは十分な防 除効果が得られず、平成22年度から、耕種的防除法 として簡易雨よけ、大型バーナーによる畦面焼却、 立茎開始直前の盛り土処理などを普及に移した。 レタスやセルリーのナモグリバエに関しては土着 天敵の働きが着目され、平成19~21年度及び22~24 年度の2期に渡って県単プロジェクト研究が実施さ れた。第1期ではナモグリバエの発生生態や土着天 微生物殺菌剤「ベジキーパー」 LED防除器「レピガード」
植 防 短 信
植 防 短 信
10月8日、前々日の台風が去り、秋晴れの天気の もと安曇野市権現宮マレットゴルフ場で組合員及び 賛助会員74名が参加し、第43回を迎えた球技大会(マ レットゴルフ)が開催されました。 途中に木が生えていたり、カーブが続くコース、 ホールが山型状になっていて行ったり来たりするコ ース等難コースが多く、参加者はてこずりながらホ ールインワンをだしたり、ギブアップしたりのプレ ーを楽しみました。 1,622m、 パ ー 108の 27ホ ー ル で、スコア 115の 記 録 を出した参 加者が2名 いました。 ちなみに最 下位のスコ ア は182、 参加者全員の平均値は138でした。 (長野県農薬卸商業協同組合 浜田俊郎)恒例の「マレットゴルフ大会」を開催
県下各地において問題を抱えている難防除雑草へ の対策に取り組むため、本年5月に立ち上げた「長 野県主要農作物難防除雑草対策プロジェクトチー ム」は、大豆圃場におけるアサガオ類、アレチウリ などの外来雑草の発生実態の情報、認識を共有し、 防除方法の検討を行うため、9月に佐久市で第2回 研究会を開催しました。研究会では試験研究機関、 JA、農業改良普及センター、農薬メーカーなどか ら約40名が参加し、強害雑草防除対策試験が実施さ れた大豆圃場での現地検討を行いました。試験圃で は、除草剤の茎葉散布、畝間散布や畝間カルチなど 組み合わせた体系防除が検討されましたが、マルバ ルコウなどアサガオ類5種、アレチウリなどが発生 しており、一度多発させると防除に苦慮する状況が 察せられました。 現地検討の後、場所を室内に移し、帰化アサガオ類、 アレチウリの防除対策試験経過や県内各地域におけ る発生状況および対策の現状について確認しました。 また、長野県主要農作物難防除雑草対策プロジェ クトチームの今後の方向性について、強害雑草の発 生状況も各地域で異なることから、地域ごとプロジ ェクトを作り、実証試験を通して対策を行い、プロ ジェクトチーム本体がこれをフォローすることな ど、活発な討論がなされました。総合討論ではプロ ジェクトチームへの要望もあがり、各現地での帰化 アサガオ類、アレチウリへの防除対策が大豆栽培の 存亡にも関わる重要な課題であることを改めて確認 した研究会となりました。 (JA全農長野 生産資材課 橋爪真一)「長野県主要農作物難防除雑草対策
プロジェクトチーム第2回研究会」を開催
昨年度末、夢に挑戦する農業を支える技術開発促 進事業(国庫補助)により果樹試験場内に農薬検定 用施設が出来ました。 本施設は人工降雨装置、接種槽及び植物の栽培室 を備えており、降水(降水量と雨粒の大きさ)が薬 剤の防除効果に及ぼす影響の検討ができます。 温暖化にともなう気象変動により、ゲリラ豪雨と 呼ばれるような強雨の多発が予想されますが、これ による農薬流亡の増加が考えられ、防除効果が不安 定になることが危惧されています。本年から果樹試 験場で開始した「長野県における2040年代の気候温 暖化を想定したリンゴ生産の実態解明」というプロ ジェクト研究で、降水量・降雨強度と殺菌剤防除効 果の関係解明に向け、農薬検定用施設を利用して試 験を始めています。 (果樹試験場 加藤秀一)農薬検定用施設で防除効果試験
を開始しました
農薬検定用施設全景 施設内の接種槽(左)と人工降雨装置地 域 情 報
地 域 情 報
ここ数年、北安曇農業改良普及センター管内では Uターン就農する後継者、県内外からのIターン就 農者、法人就農者が少しずつ増加しています。就農 後、日々の農作業を行う中で、栽培品目の管理技術 等については親世代などから学ぶ機会が多いもの の、病害虫や農薬、土壌肥料等の基本的知識や、新 しい技術情報を得る機会は少ないのが現状です。 そこで、当普及センターでは、新規就農者等を対 象に、農業の基本的知識を身に着けること、また地 域における新技術の取組等を理解し、自らの経営に 役立ててもらうことを目的として、農業セミナー(農 業全般コース:年10回)を開催しています。 10月10日(金)には、第6回農業セミナーを開催 し、りんごとワイン用ぶどうの栽培について、管内 のほ場視察を行いました。りんごでは、県内でもモ デルとなる高密植わい化(新わい化)栽培のほ場に て、基本的な栽培管理から新わい化栽培を取り入れ る際の費用などについて学び、またワイン用ぶどう のほ場では、すでに収穫は終了していたものの、今 後建設されるワイナリーの経営方針、栽培の基本、 現在のワイン市場の動向等について学びました。受 講生からは、改植の時期や冬場の管理などについて の質問が出され、活発な質疑応答が行われました。 次回は、11月上旬に第7回農業セミナー「土壌・肥 料概論」を予定しています。 (北安曇農業改良普及センター 山岸 希) 長野地区では農業試験場、長野地域野生鳥獣被害 対策チームが連携して、野生鳥獣害対策の防護柵の 試験設置を3カ所で行っています。 1つはハクビシン対策で、坂城町のぶどう園に簡 易電気柵を設置しました。電気柵は2m間隔でグラ スファイバーポールを配置し、そこに高さ35cmのサ プリガードネットを巻き付け、電気柵はその上部に 可視性の高いリボンワイヤーを一段張りとします。こ の方法で今年はぶどうの被害はありませんでした。 2つめは千曲市でイノシシ侵入防止柵の補強をし ました。物理柵下部を畦畔波板等で目隠しすること により、イノシシの穴あけによる侵入を防止しよう とするものです。波板は35cmと60cmのものを使用 し、現在のところ35cm区では何回か穴を開けられ ましたが、60cm区では再侵入はありませんでした。 3つめは飯綱町でニホンジカによる積雪期の果樹 の剥皮被害を防止することを目的に物理柵の耐雪性 試験を行うことになっており、これから柵を設置す る予定になっています。 (長野農業改良普及センター 華野智子) 北信農業改良普及センターでは、おおむね就農3 年以内の青年農業者を対象に、北信州農業道場入門 科を開講しています。入門科は、農業の基礎知識・ 技術の習得や受講生同士の交流を図ることを目的に 開催しています。 本年度は、「アスパラコース」と「りんごコース」 を開講しています。 10月3日に開催した「りんごコース」第4回講座は、 「病害虫防除」と「土壌肥料」がテーマでした。「病 害虫防除」については、農薬の種類や、適切な使用 方法といった基本的な事柄や、りんご栽培上問題と なる主な病気や虫の特徴・防除方法について学びま した。 受講生からは、腐らん病や果実に生じるさび症状、 今年多発したマイマイガ、また、降雨時期の防除の タイミングなどについて質問が出され、熱心に受講 いただきました。今後のりんご栽培に生かしていた だくことが期待されます。 (北信農業改良普及センター 西澤一恵)新規就農者向けの農業セミナーを開催
野生鳥獣害対策の防護柵の設置について
農業の基礎を学ぶ
「北信州農業道場入門科」開講
坂城町の簡易電気柵 整然とした新わい化栽培園で研修 イノシシ対策の波板設置ながの植物防疫はホームページでもご覧になれます。