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キイロカワカゲロウの体長・体重関係および蔵卵数-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川生物(Kagawa Seibutsu)(151・16)3vR6,1989

キイロカワカゲロウの体長・体重関係および蔵卵数

渡 辺 虐

〒760 高松市幸町1−1 香川大学教育学部環境科学研究室

Length−WeightRelationship and Fecundity of Potamanthodes hamonis

(Ephemeroptera:Potamanthidae)

NaoshiC.WArANABE,屈朋ノironmentalScieTWe LaboT・atOr:y,Fbculty nf

JJか′り//りれム1J、、川′、りJJJり、りゝ・/ヾ、丁;J八り仙J/ご∨/、細・/りドイ/J

AbstractThelength−Weight relationship of PotaTnanthodeshaTnOniswasexaminedalong

with the fecundity of female subimagos..Thelength−Weight ralationship of nymphswas

described by power equations being different betweenthejuvenilesandthelargernymphs

No difference between the sexes was detectedin nymphs,Whereas female subimagOS

were heavier than male subimagOS Of the same bodylength”The number・Ofegg′S per

female ranged fromlOOO to3200,and the weight−fecundity relationship can be approxi−

matedbyalinear equation,F=523w−214Itis suggeSted thatthelowerfecundity of the

smaller adultsin thelater emergenCe Period may be compensatedby theirlower mor−

tality owlngtO their$horter nymphalperiod

ンガスを燃料と.したキャンプ用ライトに集まっ た個体のうちから適宜抽出したものである。な お,このライト・、トラップでは成虫はほとんど 得られなかった。 採集した幼虫‖亜成虫の標本は,約50%エチ ルアルコール溶液に入れて持ち帰った。実体顕 微鏡下で外部生殖器の有無によって雌雄を判別 するとともに,対物測微計測装置(コーガク製) を用いて01mmの精度で体長を測定した。その 後,個体ごとに分けて真空乾燥器に入れ,80℃ で72時間乾燥させたのち,島津電子式微量天秤 (PMB−1形)を用いて,1〟gの精度で個体 重を測定した。一方,雌東成虫の−・部について は,体長を測定したのち蔵卵数を数えた。これ は腹部から摘出した卵をバラバラにして水を加 えて20ccとし,十分にかき混ぜたのち,5回に わたってスポイトで1ccづつ取り出して,各1 cc中に含まれる卵数を数えて全数に換算したも のである。 は じ め に キイロカワカゲロウPo己αmα花£ゐ0(ブe5 ゐαmO一 花i8(Imanishi)は,河川の中流域に広く分布す る種である。しかしながら,この種の生態につ いての知識はきわめて限られている。著者は最

近,この種の生活環が2越冬世代と1夏世代

からなることを明らかにするとともに(Wata− nabe,1988),羽化の縫目的り日周的パターンを 分折しT:(Watanabe,印刷中)。これらの調査 の過程で幼虫・亜成虫の体長い体重関係および 蔵卵数についての知見を得たので報告する。 材料および方法 本研究で用いたキイロカワカゲロウの標本は, 兵庫県を流れる武庫川の支流羽東川の上流部で 採集したものである。調査地点の詳細について は,Watanabe(1988)に述べられている。幼虫 は,1979年6月15日と7月16日にハンド・ネッ トを用いておもに淵から採集した個体を用いた。 また,亜成虫は1979年の6、8月の間に,ブタ −3−

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(2)

なく,雌の腹部を満たしている卵の発達による ものであろう。 Fig.3は,雌亜成虫の体長と蔵卵数との関係 を示したものである。図から明かなように,キ イロカワカゲロウの蔵卵数はおおむね1000へ′ 3200の範囲にあり,サイズが大きい個体ほど多 数の卵を持っていることがわかる。 このようなサイズにともなう蔵卵数の増加は 多くのカゲロウ類で報告されている。CliffoTd &Boerger(1974)は,カナダのアルバータ州 の河川で採集された12種の東成虫サイズと蔵卵 数との関係を調べた結果,サイズの割に蔵卵数 の多いエ印亡叩ゐねわ£αC岬よ血を除いては,種の 違いにかかわらず体長と蔵卵数との関係はほぼ 結果および考察 Fig‖1は,幼虫の体長と乾燥重量との関係を 両対数目盛りで示したものである。図からわか るように,この関係においては,雌雄の判別が 可能な体長約6mm以上の大型個体とそれ以下の 小型個体とが異なった蜃線によって表され,前 者の方が勾配が大きい。これは,若令幼虫が非 常に偏平であるのに対し,終令に近づくにつれ て体が円筒形に近くなるという視覚的な感じと −・致する。大型個休での雌雄による違いは明瞭 ではない。 Fig‖2は,亜成虫について上と同様に,体長 と乾燥重畳との関係をみたものである。ここで は,雌雄に明らかな差があり,雌の万が一・般に 大型であるのみならず,同じ体長であっても雌 の方が大きな個体重を持つ。これはいうまでも ︵0≡︶ ト〓¢−山≧r >∝凸 0 ︵り‡︶ ト〓望山き ト∝凸

80DY LENGTH(MM)

Fig.2・Length−Weight relationship of P・

haTnOnis subimagos.Open circles

are females and solid circles ate

males. 5 10 15 BODYLENGTH(MM)

Fig.1..Length−Weight relationship of P・

haTnOnis nymphs

−4−

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(3)

大型種である割には個体重にともなって卵数も 大幅に増加する。 多くのカケロウ類で,羽化期間中に成虫い亜 成虫のサイズがしだいに小さくなることが報告 されており,同様の現家がキイロカワカゲロウ においても認められている(Watanabe,E口刷中ゝ したがって,羽化期間中のどの時期に生まれた 個体でも成虫になるまでの死亡率が変わらない とすれば,蔵卵数の多い初期の親個体ほど,よ り多くの次世代を残すことができよう。しかし, キイロカワカゲロウでは羽化期の前い中仙後期 の成虫がそれぞれ別のコホートから成り,後に 羽化するコホートほど幼虫期間が短い(Wata− nabe,1988)。したがって幼虫期の死亡率は後 期のコホー・トほど低いことが−・般的に考えられ, このことが蔵卵数の少なさを補償している可能 性がある。 要 約 キイロカワカゲロウの体長・・乾燥重量および 蔵卵数の関係を調べた。体長一体重関係におい 同じ曲線で近似できると述べている。しかしな がら,上で得られたキイロカワカゲロウについ ての曲線を彼らの結果と比較してみると,ん c叩最αの曲線およびその他の種の曲線のどちら とも明らかに異なり,両者の中間に位置する。 したがって,体長と蔵卵数との関係において, エ.c岬孟血がカゲロウの中で例外であるとは必 ずしも言えない。この関係は種によって異なる と考える方が正しいように思われる。 Fi空い4は,体長一体重関係(Fig..2)にもと づいて,亜成虫の乾燥個体箋と蔵卵数との関係 を示したものである。図からわかるように,こ

の関係はほぼ直線式,E=523W−214,で近似

できる。

Sweeney&Vannote(1981)は,砂he7nerella

属6種の乾燥重量と蔵卵数との関係を示してい る。これらの種では個体重がおおむね3mg以下 の小型種では体重が増すにつれて蔵卵数も急激 に増加するのに対して,それ以上の大型種では 蜃線式の勾配は300以下と比較的援やかである。 これに比べると,ヰイロカワカゲロウはかなり 0 0 0 Sりり山 ﹂0 ∝︼∞王⊃N 0 1 2 3 与 5 6 7 DRYWEt6日TOFSUt=MAGO(HG) Fig.4”Relationship betweentheindividual

dry weight and fecundityoffemale

Subimagos.

Fig。3・Relatiopship between the body

length and fecundity ofindivid−

ualfemale subimagos.

ー5−

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ては,小型幼虫と雌雄の判別可能な大型幼虫と でそれぞれ別の関係式が得られた。また,幼虫 では雌雄差ほ認められなかったが,亜成虫では 明かな雌雄差が認められ,雌の方がサイズが大 型であるだけではなく,同じ体長であっても雌 の方が体重が大きい。雌亜成虫の体重一蔵卵数 関係は,直線式E=523W−214によって近似さ れる。この種では羽化期の後期ほど亜成虫サイ ズが小さく,したがって蔵卵数も少ないことに なる。しかし,幼虫期の長さは後期の個体ほど 短いために,蔵卵数と幼虫期の死亡率とが相補 的に働いている可能性が考えられる。 文 献 Clifford,H.F.and H..Boerger.1974..Fec− undity of mayflies(Ephemeroptera),With

SPeCialreference tomayfiesofa brown−

Water Stream Of Alberta,Canada.

助£oJ托Ogい,106:1111二1119

Sweeney,B.W.and R.L1981..妙TneTY?lkl mayflies of white Clay Creek:Bioener・getic

and ecologicalrelationships among six

CO−eXislng SPeCies.Ecology,62:1353−

1369

Watanabe,NりC.1988”Life historyofPo−

taTnanthodes hamonisinastream of cen_

tralJapan(Ephemereptera:Potamanthid−

ae)..Verゐ..血とer7∽£.Ver・eよ花い エ£m花0∼り23 (in press)

−6−

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