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タイと日本の文化の相違点

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Academic year: 2021

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<つなぐ教室コラム>「学び・遊び・つなぐ」プロジェクト

タイと日本の文化の相違点

山根 聡

1 はじめに

私は,平成29年4月から令和2年3月までバンコク日本人学校で勤務していました。初めての海外生活で 感じた日本とタイの文化の違いや教育現場で感じたことをお伝えしたいと思います。

2 タイ人の優しさ

皆さんは,「タイ」と聞いてどんな印象を持つでしょうか。美味しいタイ料理,「微笑みの国」 と言われる温かい国民性,ワット・アルンやワット・ポーなど寺院,バンコクやプーケットをはじめとする観光 地など日本人にとっては大変身近にあり,かつ人気の高い国だと思います。そんなタイで暮らし感じたことは, タイの人々の優しさです。特に,子供に対しての温かさを感じることが多くありました。 ある日,家族で出かけようと電車に乗った時です。タイでの生活が始まったばかりで電車に乗るのも緊張し ていました。さらに,ホームはかなり混雑しています。日本と同じように列に並んで何とか乗車することがで きましたが,車内はかなり混雑しており小さい子供を抱っこし,もう一人の子供と手をつないではぐれないよ うにするのがやっとの状態でした。すると,座席に座っていたタイ人の方がすっと立ち上がり,手招きをして くれるのです。しかも,一人ではなく,何人もの方が席を譲ってくれようと立ち上がっていました。遠慮してい ると,子供たちの手を優しく引き,座らせてくれるのです。お礼を言うと優しく微笑んでその場に立っていま した。どこの国にも親切な方はいるのだなと感じました。しかし,このような体験が一度や二度ではなかった のです。子供を連れて電車に乗るたびに,タイ人の方は席を譲 ってくれようとするのです。日本でも,席を譲ってもらったり, 譲ったりしたこともあれば,そのような場面を見たことはあり ます。しかし,日本で体験した回数をはるかに超えていて驚き ました。 同じように,家族で出かけているとき,道路を渡ろうと歩道 で待っているときのことです。タイは,日本と違って道路は車 両が優先です。車だけでなく,バイクの数が非常に多いので, 道路を渡るには,少し危険が伴うのではないかと感じていまし た。また,日本のように横断歩道が数多くあるわけではありません。バンコクでも大きな交差点にしかなく,車 が来ないときを見計らって渡るのが普通でした。しかし,小さい子供を連れて道路を渡ろうと左右を見渡して いると,バイクや車が減速して止まってくれるのです。中には,バイクの運転手が手を差し出して,他のバイク や車を止めて私たちを渡らせてくれる時もありました。日本では経験したことのない出来事だったのでとても 驚くとともに,タイ人の優しさを感じました。 このような出来事について日本人学校に勤務するタイ語の先生に話をすると「タイ人はとても子供を大切に し,かわいがるから当然ですよ。」と教えられました。タイ人の心の豊かさを感じるとともに,日本の子供たち にも伝えていきたいと感じました。 鳥取大学 教育研究論集 第 11 号(2021 年 3 月発行) − 103 −

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3 授業研究の違い

バンコク日本人学校勤務中「バンコク日本人学校を拠点として,我が国が120年以上に渡り実践してきた 授業研究を日本型教師教育として,タイ現地校の教師の協働システム構築の一助を担うと共に,海外の目を通 して授業研究を客観的に見つめ直し,その特徴・価値の充実を図る。」というねらいのもと Edu-Port(日泰交流 授業研究会)で研究授業を行いました。私の授業(2年生算数科「かけ算1」)及び授業後の研究協議会をタイ の政府関係者や教育関係者,現地の先生方に参観していただきました。全て同時通訳で行い,参観していただ いた方に多くの感想や意見をいただきました。 <参観していただいたタイ人の感想> ・単元の導入の仕方が,タイのやり方と違いました。たし算から始めて,かけ算を教えたことが良いと思い ます。もう一つの違いは,×(かける)の書き順を教えていました。 ・先生が答えをすぐ言わなくて,先に児童に考えさせていました。 ・日本の学習は,一つの答えよりも,いろいろな考え方することを大切にするのだなと思いました。一つの 考え方で正しい答えがでていても,他の解決方法を考えられる児童がいたので,すばらしいと思いました。 ・授業をしていることは,タイの学校と同じですが,雰囲気は違います。児童は,いろいろな考え方を聞い て,自分の言葉でまとめることができていたと思います。 ・研究協議会のときに,なぜ,違う学年の先生方が集まって話し合うのでしょうか。同じ学年の先生方で集 まって,話し合ってはいけないのでしょうか? タイの政府関係者や教育関係者に授業や研究協議会を見ていただいて率直な感想が聞けたことはうれしく思 いました。タイでは,他の教員の授業を見たりすることは少なく,まして教員同士が授業について同じテーマ で議論し,高め合うことはしないこと初めて知りました。日本では当然のように行っている授業研究会も国や 文化が変われば全く違うのだと感じました。また,授業後に知ったことだが,日泰交流授業の授業実践を見学 されたタイの先生が日本型の問題解決学習に取り組んでいる話を聞きました。自分の授業が一つのきっかけに なったと思うと,とてもうれしく思います。

<授業参観の様子> <研究協議会の様子>

4 おわりに

3年間バンコク日本人学校に勤務し,タイで生活をさせていただいたことで様々な経験をすることができ ました。国や文化が違えば考え方や行動が違うことを実際に感じることで,物事を柔軟にとらえることや何 事にもチャレンジすることの大切さを感じることができました。この3年間で得たものをこれからの生活や 仕事にも活かしていきたいです。 山根 聡(鳥取県 若桜町立若桜学園小学校教諭)※「つなぐ教室」講師 − 104 − 山根 聡:タイと日本の文化の相違点

参照

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