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第69回日本胸部外科学会定期学術集会開催報告

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Academic year: 2021

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63  第69回日本胸部外科 学会定期学術集会を 2016年 9 月28日から10 月 1 日の 4 日間にわた ってホテルグランビア 岡山,岡山コンベンシ ョンセンター,ANA クラウンプラザホテル 岡山で開催しました. 岡山大学ではこれまで に,第23回砂田輝武先 生,第58回清水信義先生,第63回佐野俊二先生が開催さ れており,私で 4 人目となります.我が国において岡 山大学胸部外科の実力が高く評価されている証と思わ れます.本来は大阪で開催しなければならなかったの ですが,日本肺癌学会と開催予定日が重なったため, 岡山での開催を理事会に申請し承認していただいた次 第です.開催日の 4 日間は,晴れの国,岡山には珍し く雨模様でしたが,台風17号の日本への影響はなく, 無事,盛会裡に終了することができました.この成功 は,教室員はもちろんのこと,プログラムの企画をい ただいた心臓血管外科・食道外科の皆さん,多額の寄 付をいただいた第二外科・心臓血管外科同門会,そし て,第一外科同門会の皆さんの温かいご支援とご協力 の賜物であり,心より御礼を申し上げます.  応募演題数は心臓関係881題,呼吸器関係385題,食道 54題,その他12題,合計1,365演題で,例年とほぼ同じ 数の応募をいただきました.全体の採択率は68%(心 臓69.4%,呼吸器63.6%,食道66.7%,その他66.7%) でした.参加者は,一般会員1,153名,正会員1,303名, 非会員218名,コメディカルスタッフ66名,研修医・学 生54名,招待者97名で合計2,888名を数えました.この うち有料参加者の合計は2,740名であり,予定の2,500名 を大きく上回り,財政的にも大変助かりました.  私は1987年から1989年までの 2 年間,世界で最初に 肺移植を成功させた Joel D Cooper 先生の研究室に留 学する機会を得ました.留学に当たって私が最も知り たかった事は,Cooper 先生はなぜ肺移植を成功させる ことができたのかという事でした.Cooper 先生は過去 の失敗の原因を詳細に分析,未解決の問題をラボで実 験をする事で解決し,その結果を臨床に応用して成功 を勝ち取った.極めて基本的なことではありますが, この探求姿勢こそが肺移植成功の鍵と確信しました. そこで,学会のメインテーマを温故創新,サブテーマ を “Innovation & Improvement” としました.また,ポ スターは,このメインテーマの基に,胸部外科学をリ ードしてきた数々の古き偉業を光り輝くメスに置き換 え,若手医師に伝わっていく様子をイメージして作成 されています.実は,ポスターの左側でメスを渡して いる手が私の手,右側でメスを受け取っている手が呼 吸器外科を目指す教室員の手です.  今回,学術集会のプログラム作成に当たりましては コアプログラム委員会を組織しました.委員会のメン バーは心臓血管外科の弁膜症が小林順二郎先生(国 立循環器病センター),虚血性が夜久均先生(京都府 立),大血管が倉谷徹先生(阪大),先天性が佐野俊二 先生(岡大),呼吸器外科は私が担当,食道外科は北 川雄光先生(慶応),土岐祐一郎先生(阪大)です.メ ンバーの先生に各領域の全権を委ね,シンポジウム・ パネルディスカッション・ワークショップ・海外招請 講演・ディベートなどを企画していただきました.各 領域のセッション数,海外招待者数に関しては会員数 を考慮し,心臓・呼吸器・食道が概ね 4 : 2 : 1 にな るように配分しました.ちなみに海外招待者は心臓領 域12人,呼吸器領域 6 人,食道領域 3 人の先生を招待 しました.シンポ,パネル,ワークショップは可能な 限り 3 日間に配置し,海外からの招請者にもディスカ ッションに参加していただけるよう,一部ではありま すが日本語から英語への通訳も設置しました.また, 一般口演演題から優秀な演題を選出しプレナリーセッ 岡山医学会雑誌 第129巻 April 2017, pp. 63-64

第69回日本胸部外科学会定期学術集会開催報告

The 69th Annual Scientific Meeting of the Japanese Association for Thoracic Surgery

会長 三好新一郎

(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科学)

Shinichiro Miyoshi (Department of General Thoracic Surgery and Breast and Endocrinological Surgery, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences)

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64 ションで発表していただきました.この演題数も 4 : 2 : 1 の割合で選出しました.発表にあたっては多く の会員に聞いてもらえるように他の発表は全て無くし たのですが,心臓の発表が終わると心臓外科医が,呼 吸器外科の発表が終わると呼吸器外科医が退席し,食 道の発表の時にはわずかの会員しか残っていなかった のには閉口しました.次回からは食道,呼吸器,心臓 の順に発表してもらう必要があると思いました.  本学会は心臓・呼吸器・食道からなる総合学会であ り, 3 分野間の連携と協力が重要としながらも,これ までは呼吸器・食道の海外招待者や上級セッションが 少なかったのが現状でした.そこで, 4 : 2 : 1 の割 合をルール化してもらうように学術集会委員会・理事 会で発言し,合意が得られたことを議事録に記載して もらいました.今後の学術集会においてもこの配分を 継続していただけるものと期待しています.  特別講演は,肺移植のパイオニアであり恩師の JD Cooper 先生(Pennsylvania),癌遺伝子研究の第一人者 で阪大時代の同級生である中村祐輔先生(Chicago), 心臓外科領域における再生医療の先駆者で阪大第一外 科の同窓である澤芳樹先生(阪大)に,若手外科への メッセージとなるようなお話をお願いしました.いず れも素晴らしいご講演でたいへん感銘を受けました.  さらに,本学術集会のテーマである温故創新セッシ ョンも企画しました.我が国の胸部外科学の各分野に おいて,先輩の偉大な業績を訪ね,その業績がどのよう にして生まれたのか,そしてどのような発展をしてき たのか,同分野で現在ご活躍中の先生にご講演をお願 いしました.会員にとって innovation や improvement のきっかけになったと思われます.

 会長講演は「温故創新,Innovation & Improvement」 と題して行いました.我が国おける臓器移植において, technological innovation & improvement は順調に進 んだが,臓器提供に関わる組織や制度の innovation & improvement は未だ十分とは言えないと事を指摘し ました.さらに,医療全体の組織や制度の innovation & improvement の不備についても言及しました.最後 に日本胸部外科学会の組織・制度改革については,そ の方向性が間違っていない事を指摘し,理事長のリー ダーシップのもと会員一丸となって前進しましょうと 呼びかけました.  第69回日本胸部外科学会定期学術集会は参加者の皆 さん全員にとって充実した学術集会となることを目指 しました.評価はこれからですが,お世話させていた だきました私に取りましては,満足のいくものとなり ました.ご支援,ご協力をいただきました皆様に重ね て感謝を申し上げます. 平成28年10月17日受稿 〒700-8558 岡山市北区鹿田町 2 - 5 - 1 電話:086-235-7262 FAX:086-235-7268 E-mail:smiyoshi@md.okayama-u.ac.jp 岡山大学呼吸器外科教室員との集合写真 学術集会のポスター

参照

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