• 検索結果がありません。

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 : 新潟経営大学簿記学習センターの取り組み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 : 新潟経営大学簿記学習センターの取り組み"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策

-新潟経営大学簿記学習センターの取り組み-

Bookkeeping Lectures at the Universities: Problems and Solutions

-The Approach of the Niigata University of Management Bookkeeping Learning Center-

Hirotaka TSUKABE

塚 辺 博 崇

【研究論文】

目次 1.はじめに 2.問題の所在 3.資格予備校利用の利点と問題点 (1)利点 (2)問題点 4.新潟経営大学簿記学習センターの取り組み (1)簿記学習センターの取り組み (2)簿記学習センター内での資格予備校利用 (3)正課内における資格予備校利用 (4)日商簿記3級への対応 (5)上級検定への対応 5.むすびにかえて

1.はじめに

 大学とは、学術の中心として深く真理を探求し、専門の学芸を教授研究することを本質とするも のであるとされる1。その大学において資格取得が近年盛んに行われている。従来から主に大学にお いて付与される資格2や大学の学歴を受験要件にする資格は存在した。しかし、近年大学が力を入れ ているのは大学と関係なく誰でも受験できる資格が多くなっている3。ではなぜ大学と直接関係のな い資格取得に力を入れるのであろうか。  理由として考えられるのは少子化問題とそれに伴う定員充足率の低下である4。大学が本来の目的 とされるアカデミズムの追求だけを続け、その趣旨や受入方針に賛同する入学者だけ受け入れてい ればよかった時代は、大学への進学希望者と大学入学者数がほぼ同じになった時に転換点を迎えた といえる。また大学進学率が50%を超え大学の大衆化が進んだ我が国においては5、将来の役に立つ

(2)

を望む学生が上位に立っているということは、学生が大学での学びというものを研究より広い意味 でとらえていると考えるべきであろう。そうであるならば、大学も学生に対し幅広い教育のメニュー を提供すべきであり、その取捨選択は教育の受益者たる学生が行うべきである。  近年はそれら幅広い学生のニーズに対応すべく大学において様々な取り組みが行われている。そ の一つとして大学内における資格取得を奨励するものがある。従来資格取得は専門学校が力を入れ ている分野であったが、専門学校が提携する大学の卒業資格を付与するなど専門学校の大学化7 すすんでいる。そのため大学よりも実践教育を重視していた短大と専門学校が学生を奪い合ってい たという関係から8、従来大学へ進学していたであると思われる層を専門学校が取り込みつつあり、 専門学校が大学と進学希望者を奪い合うという関係になりつつある。  専門学校に進学する理由のうち最も多いのが資格を取りたいからである9。大学と専門学校へ進学 しようとする学生の層が一部であっても重複してきていると考えられる現状では、大学と専門学校 を比較検討した結果、将来の役に立つ勉強すなわち資格が取れるという理由で専門学校へ進学しよ うとする優秀な学生の目を大学にも向けさせる必要があると考える。  そうであれば、やはり大学内においても資格取得を出来るようにすべきであろう。最高学府であ る大学が専門学校と同じ土俵で勝負するという事については批判もあろうが、そこは個々の大学が 運営方針として決めるべきであり、研究者養成を目的とした大学もあれば、学生に対する教育メニュー を柔軟に変え教育ニーズをとらえる大学も出てくるべきと考える。そして最終的に何を学ぶのかを 選択し、進学先を決めるのは大学教育の受益者たる学生自身である。もちろん先進的な研究をない がしろにするのは我が国の発展や国際競争力の観点からも問題であるが、先に述べたように大衆化 が進んだ大学において一定数はこのようなニーズ対応型の大学となる方向に進んでいくと考える。  筆者の勤務地である新潟県においては実学志向が強く10、資格取得のニーズが強いことから勤務す る大学においても資格指導に力を入れている11。その中でも学内で最も受験者数が多い簿記分野の資 格を中心として大学内資格指導について考察することとする。

2.問題の所在

 大学において資格指導を行うにあたってどの様な問題が生ずるのであろうか。先行研究において 大学内において行う簿記会計教育についての問題点としてあげられるものは指導方法に関するもの が多く、資格教育にページを割いているものは少ないか、あってもわずかな記載にとどまっている。  その中でも大学内において資格指導をすることには賛否がある。肯定的な意見の多くは資格取得 にはメリットもあるが問題も大きいというものである。粕谷(2009)は動機付けとして日商簿記検 定の取得には絶大な効果があるとしているが12、日商簿記検定偏重になり簿記の指導も検定に出ると ころだけ学ぶという傾向については批判的にとらえている13。関根(2008)は目的が明確な分だけ、 初学者のモチベーションが高くなるとしているが、資格・検定試験という目標は、試験それ自体に

(3)

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 目標が設定されており、目標達成後の展開が見られないことを課題としている14。否定的な意見とし ては、コンピュータ時代では仕訳は自動で行われるので仕訳と仕訳後の仕組みの構造を知ることが 重要で検定の重要性が下がっているというものがあった15。簿記検定以外の資格に範囲を広げてもほ ぼ同様の賛否がある。学習意欲の向上と資格の勉強が結び付くとしているが、資格の勉強に大学教 育が偏るのは問題があるとする意見が多かった16  資格の有無が就職活動に有利に働くかどうかについては資格の種類に加え、本人の資格で示され た以外の能力や企業が望む人材の傾向など一概に有利不利という事は出来ないであろう。先行研究 においても、否定的な意見では資格が有利に働くことは少ないといった言及にとどまっているし、 肯定的な意見でも有利に働いた事例があったという限定的な言及にとどまっている17  これらの指摘のように、ある特定の資格が本人の個性に勝るほど強力な手段となって就職に結び つくとは考えづらい。あるとすれば極めて限定的な場合のみであると考える18  以上の先行研究は、大学などの簿記会計教育についての問題点を検討したものであったが、大学 内における資格指導の問題点については指導そのものをどうするかという点が中心に語られたもの が多かった。資格指導を実際に行った際の問題点について述べられているものもあったが、多くは 正課のみにおいて行われているものについてである。  近年多くの大学で行われている課外講座の問題点について述べられているものは少なく、大澤(2011) によって資格予備校19が行う課外講座は①学生のスケジュールやレベルに柔軟に応じることができ ない点、②資格予備校が自らの利益を優先するというモラルハザードに対応しなければならないと いう問題があるとしているが、その一方で最新の受験情報を有しているため利用すべきともしている20 しかし、それ以上の資格予備校を利用する利点や問題点には触れられていなかったため、大学内で 課外の簿記講座を行う上での問題点を考察し、その解消として正規講座と課外のDVD講座を組み合 わせた新潟経営大学の取り組みを紹介することとした。

3.資格予備校利用の利点と問題点

 大学内資格教育を課外講座として資格予備校を利用する大学は多い。そこで資格予備校で資格講 座を行う利点と問題点について検討する。 (1)利点  学生にとっての利点はその目標とする資格合格のための指導技術であろう。予備校講師も教材も その資格合格のために特化されているためにその品質は高いものが多い。大手の資格予備校であれ ばそもそも多くのスタッフにより講義が作られているので、大学教員個人の努力では総合的なクオ リティに限界があると思われる。  次に大学としての利点は、実施されても新たな業務上の負担はあまり増えないことにある。新た に教員を雇用する場合であっても、既存の教員によって開講する場合であっても、新たに開講する 場合であれば、大学としての業務が増加するわけであるからその増加分の調整に問題が生ずる可能

(4)

 学生にとっての問題点としては、課外講座であれば正課の行われない夕方から行われる点が多い ことである。また大学によっては正課外であるとして学生に受講料など費用負担を求めているとこ ろもある21  大学にとっての問題点としては、大学内に資格教育の知識が蓄積されないことである。課外講座 を資格予備校を利用して開講したのであれば、大学内や教職員に資格指導の指導面や運営面のノウ ハウが蓄積されず、いつまでたっても資格予備校依存を抜け出せない。また、大学の正課内で開講 された授業内容と課外講座の授業内容が重複する場合もその調整に問題が生ずる恐れがある。資格 予備校の講師は、予備校と同水準の講義を行おうとすれば大学のカリキュラムとは関係なく全員初 学者として始めることとなる。仮に考慮しようとしてもその習熟度が学生間で全く異なれば結局初 学者向けとして開講せざるを得ない。そして最大の問題と考えるのが、同水準の課外講座を他大学 でも展開できることである。大学がより魅力を増し、志願者を増やすために行った課外講座が、資 格予備校によって他大学に水平展開されてしまえば効果が減少する可能性が高い。もっともこの点 は地域でブランド力の上位を維持しているような大学であれば問題とはならないともいえる。  このように資格指導に資格予備校を利用して実施するには利点も問題点も存在する。しかし、こ れらの問題点は緩和することが可能であるばかりか、利用の仕方によっては正課の簿記講義も効果 的にすることが出来ると考える。そこで筆者が勤務する新潟経営大学の取り組みを紹介することに する。

4.新潟経営大学での取り組み

 筆者が勤務する新潟経営大学(以下、本学)における取り組みを紹介する。本学においては簿記 を取得する科目である簿記原理Ⅰ・Ⅱ(各2単位)が1年次の必修となっており、原則的に全ての学 生が履修することとなる22。それゆえ日商簿記検定取得のニーズも強く毎年多くの学生が受験してい る23。本学では過去の広報活動に「資格の経営大」と称して学校の特色の一つとして資格指導にも力 を入れていることをアピールしており、その実施施設の1つとして「簿記学習センター」を設置し ている。 (1)簿記学習センターの取り組み  簿記学習センターは原則的に簿記検定に合格した教職員が常駐しており、簿記に関する質問や相 談を受け付けている。土日等を除き常に教職員が待機しているので、質問等をいつでもすることが できる。大学に在籍した方は経験があると思うが、教員に質問等をしようと思ったがなかなか講義 や校務、出張などで不在ということがある。しかし、常駐にすればそのような質問の機会を逃すこ とがなく学習機会や意欲の喪失を防ぐことができる。また、自習室としても利用されているので、 その場で自習してすぐ質問できるため熱心に通う学生も多くいる。

(5)

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 (2)簿記学習センター内での資格予備校利用  本学では資格予備校と提携することにより簿記学習センター内に資格予備校の通信課程の教材や DVD教材があり、それによって資格予備校の通信課程を受講することが可能となっている24。そ して本学の学生であればそれらのDVD教材は視聴することができるので25自分のペースにあった 進度で進めることができる。進度も毎日学習して短期間集中して検定を受けたいという学生26にも、 部活動やアルバイトをしながらゆっくり確実に勉強したいという学生にも対応できる。こういったニー ズは正規課程内や日時が決まっているような課外講座であれば対応が困難でありDVD教材ならで はの利点である。 (3)正課内における資格予備校利用  本学の資格指導の特徴は正課内の簿記講義とこの簿記学習センターで利用できるDVD教材とのテ キストの共通化にある。正規科目の講義の指導内容は教員に任されているが、テキストはすべての 講義で資格予備校のDVD教材で利用されているものと同じものを採用している。そのため講義を欠 席した学生がいる場合、欠席した範囲のDVD教材を視聴すれば次回の講義にスムーズに参加できる。 もちろんDVD教材を視聴しても講義の出席とはならないが、欠席した回の補習を受けることが出来 るのは連続性の極めて高い簿記学習において大きなメリットとなる。簿記の学習経験があれば自明 とは思うが、簿記は学習したことをベースに積み上げていくことが多いので、一回の欠席がその後 の講義を理解できないことの原因となることが多い。以前は要望があれば欠席者への個別補習を行っ ていたが、人数が多くなれば困難になっていた。しかしDVD教材導入後では欠席分の講義は都合の いい時間にDVD教材で視聴し、わからなかったことをセンターに常駐する教員に質問するだけで済み、 効率は格段に向上する。  そして、講義のテキストとDVD教材のテキストが同じであるため、講義を受けている時期には簿 記検定を必要と思わず受験しなかったが、就職などのために一転簿記検定を受けようと思った学生 もテキストは同じであるから買い直す必要もない。  これらの取り組みによって正課内において資格予備校による教材のメリットを最大限引き出し、 先に述べたデメリットを減少させることが可能となっている。 (4)日商簿記3級への対応  本学では簿記原理Ⅰ・Ⅱを日商簿記3級相当のレベルとして講義を行っている。しかし、日商簿記 検定は現在6月、11月、2月に検定日があるため通常の前期・後期といった通年のカリキュラムでは 検定と講義期間が合わずに問題となっていた。週1回の講義を通年で合計30回行うと、1年次の2 月検定になってやっと検定を受けることが可能となる。じっくり取り組むといえば聞こえがいいか もしれないが、前期が終わった段階において半年後に受ける検定に対して緊張感を保って講義を受 けるのは難しいと思われる27。そこで平成23年度より、入学時から熱心に取り組み6月の検定受験を 希望する学生を対象に短期間で課程を終える講義を設けることとした。2時限続けての講義を週2 回と直前の補講を約2か月半で行い6月の検定までに課程を終わらせ、かつ合格水準まで知識を付 けることを目標としている。加えて11月検定や2月検定を希望する学生に対しても引き続き講義を

(6)

としている。検定受験希望であったが、受験を取りやめる学生もいるためそういった学生の受け皿 としている。また、逆に当初受験希望ではなかったが受験する友人などに触発され受験希望となっ た学生に対しては進度が遅れていることからDVD教材による補習を行い可能な限り受験する課程に 合流することとして柔軟に対応できるようにしている。 (5)上級検定への対応  本学では日商簿記3級に合格した学生や、商業高校や総合高校出身などで入学前に日商簿記検定 に合格している学生、高校教員などから日商簿記2級以上の上級検定対策の要望があるため対策を 行っている28。しかし、正課内で日商簿記2級相当の講義は開講されていない。この未開講を埋める ためにも資格予備校のDVD教材が利用されている。日商簿記2級対策の講義が行われていない理由 はいくつかあり、代表的なものは学生によって受講開始時期が異なることである。高校時代に日商 簿記3級まで学習していた学生は入学直後から日商簿記2級対策の開始を希望するため、6月検定 に合格してその後日商簿記2級を始めようとする学生と開始を希望する時期が異なってしまう。そ れらすべてに対応しようとすると1年に何本もの講義が並走してしまうことになる。それらの講義 を教員が直接対応するのは困難であるためDVD教材を利用することになる。ただし、正課ではない 上に単位が関わらない課外講義であるため学生の学習意欲が継続しないケースが多かった。そのため、 進捗度の一覧表を作成し個々の学生の進度を簿記センターの教職員で把握するように努めている。 具台的にはDVD教材を進める前に課題を提出することとし、確認テストを行うなど学生の理解が不 十分なまま次の回へ進むのを予防している。  次に日商簿記1級への対応であるが、これは正課の「簿記特講」で対応している。簿記特講はⅠ・ Ⅱで商業簿記・会計学、Ⅲ・Ⅳで工業簿記・原価計算を行っている。簿記特講は平成26年現在Ⅰ・Ⅱ とⅢ・Ⅳは隔年で開講している。そのため検定を受けるためにはどちらかをDVD教材で受けること が必要になる。これも日商簿記2級対策で述べた受講開始時期を調整するための方策の一つである。 商業高校生などでは日商簿記2級まで取得して本学へ進学する学生も少なくない。それに加え簿記 初学者ながら日商簿記1級までの取得を目指す学生も入学する。それらを調整するために商業簿記・ 会計学が開講される年度は、初学者が日商簿記2級の学習を終える11月までの間に工業簿記・原価 計算の学習を終えるように指導している。これにより準備が出来次第日商簿記1級に挑戦すること が出来るため、日商簿記1級に早期に合格して大学2年から税理士試験に挑戦したいという学生の 要望にも応じることが可能となっている29

5.むすびにかえて

 以上、大学内における資格予備校利用の問題点と解決に向けた取り組みについて検討してきた。 本学では資格予備校とDVD教材を通じて提携することにより、大学の正課と組み合わせることが可

(7)

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 能となり、正課内においても資格予備校教材を利用することのメリットを学生に与えることが出来 ていると考える。近年、大学の事実上の全入に伴って「大学は何をすべきところか」という議論が 活発に行われているが、その過程では「学生が何を求めているか」といった最も基本的な議論が抜 け落ちているように感じる。それは我々社会が学問は上から教えるという意識を持っているからで はないかと推察する。  一見役に立つのかわからないが世の中を変える可能性を秘めた基礎研究を学ぶのか、明日から社 会で使える実践的な学びをするのかは、単純な偏差値の序列ではなく学生が何を志望するかで与え るべきではないだろうか。学生が求めるものを与える大学、それを目指していくことが、偏差値に よる大学の序列が続いてきた我が国の大学のありかたを変える可能性があると筆者は考える。 1 文部科学省中央教育審議会『我が国の高等教育の将来像』第3章新時代における高等教育機関の在り方http://www. mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05013101.htm(最終アクセス2014年11月26日) 2 大学において付与される資格とは、主に大学において所定の講義を履修することにより付与される資格を指す。無試験 で取得できるものとしては教員免許や栄養士、社会福祉主事などが、受験資格を取得できるものでは医師や看護師、一 級建築士などがある。 3 ここでいう「誰でも」とは受験資格が学歴などと比べて容易と思われるものも含めることとする。例えば証券アナリス トでは通信講座の受講が義務付けられているが、それを受講すれば学歴や年齢などの制限は一切なく受験することがで きる。 4 充足率は入学定員充足率(入学者÷入学定員)のことである。日本私立学校振興・共済事業団「私学経営情報センター平 成26(2014)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」によると2014年度においては私立大学の45.8%が充足率100%未満 となっている。http://www.shigaku.go.jp/files/shigandoukou26.pdf(最終アクセス2015年11月26日) 5 平成26年度学校基本調査(速報値)によれば大学への進学率は過年度卒を含めれば51.5%(前年度より1.6%上昇)で過去 最高となっている。 6 Benesse教育研究開発センター「平成17年度経済産業省委託調査進路選択に関する振返り調査大学生を対象として」,pp112 -113. 7 大澤弘幸「大学教育と資格取得に関わる諸問題-簿記会計を中心に-」『商業教育論集』第21集,2011年,p101. 8 関根慎吾「大学における簿記導入教育を巡る現状と課題」『石巻専修大学経営学研究』第19号,2008年,p31. 9 社団法人新潟専修協会各種専門学校新潟進学ガイド(進路決定への方策)http://www.niigata-senkaku.jp/guide/guide_4. html(最終アクセス2015年11月26日) 10 文部科学省 学校基本調査http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm(最終アクセス2014年 11月26日)   新潟県「大学等進学状況調査」。http://www.pref.niigata.lg.jp/kyoikusomu/1346792457943.html(最終アクセス2014年11 月26日)   平成24年における新潟県の専門学校進学率は27.4%で全国1位であり、実学志向が高いと考えられる。 11 新潟経営大学「資格サポート」http://www.niigataum.ac.jp/qualification/(最終アクセス2014年11月3日) 12 柏谷和生「導入段階における簿記教育の課題とその解決への取組み」『関東学院大学「経済系」』第239集,2009年,p.130. 13 柏谷 前掲書,pp.136-137. 14 関根 前掲書,p.31.

(8)

得を動機づけに利用した大学生に対する常用リテラシー教育の効果(1)」『神戸海星女子学院大学研究紀要』 第46号,2007 年,pp.192-193.など 17 肯定的なものとして、井上近子「販売士検定試験における資格取得に関する研究」『目白大学短期大学部研究紀要 』 49,pp43-55, 2013。否定的な意見としては、桝山 清人「土木系学生における2級土木施工管理技術検定学科試験受験の 有効活用及び今後の課題」『土木学会論文集』H(教育)Vol. 1 ,pp105-110,2009があった。しかし、前者はゼミの学生の 就職活動において有用な事例があったという言及にとどまっているし、後者も土木系学生が主に受験する資格は就職に 有利にはならないという限定的な事例を扱っているのみである。 18 限定的な場合とは、取得に何年も要するような独占業務を持つ難関資格や、その資格保有者が求められる分野で人手不 足が生じている場合などと考える。 19 ここでは資格予備校とは、資格スクールなどともよばれる各種資格・検定合格のために講座を行うものとした。 20 大澤 前掲書,pp.103-104. 21 資格予備校に通った場合に掛かる費用に比べて割引をしている場合も多いが、学生にとっては学費とは別の追加の費用 負担であることには変わりない。 22 入学までに日商簿記検定や全商簿記検定に合格しているものは一定の手続きにより単位認定される。 23 平成22年度は262人、平成23年度は190人、平成24年度は211人である(述べ受験申込者数)。平成25年度は11月検定まで で155人。本校の在学者数は700人前後であるから受験者の割合は比較的多いと思われる。 24 TACと提携しており、日商簿記1級2級3級のDVD教材を本学のみならず、系列校の短大・高校においても学生が自由 に利用することが可能となっている。 25 入学手続きを取るなど入学が確定した新入生も受講することが出来る契約を結んでおり、毎年数名であるが受講する新 入生もいる。近年AO入試や推薦などにより早期に入学が決まる学生も増えており入学前学習のニーズも高まっている。 26 内定を取った学生が会社からの求めで秋以降簿記の勉強を始めるケースも毎年あり、そのようなニーズにも対応できる。 27 簿記検定の合格者を多く出している大手資格予備校でみても、日商簿記検定3級の受講期間は3か月前後が多い。大手 と言われるTACや資格の大原社会人コースなど複数の予備校がほとんど同じ期間を受講期間としていることから、3か 月前後が適正な受講期間であると思われる。 28 本学では年間50人前後の学生が日商簿記検定3級に合格している。苦労して高校時代に検定に合格していてもその成果 は大学卒業までには多くの学生に埋没してしまう可能性がある。そのため大学での上級検定の指導の要望は高い。 29 税理士試験の学歴による受験資格のひとつとして、大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上 を取得した者とされているため2年生までは学歴では受験できない。そのため、資格による受験資格である日商簿記検 定1級合格者または全経簿記検定上級合格者を目指すこととなる。   国税庁税理士試験情報https://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm(最終アクセス2014年 11月26日) 参考文献 1.井上近子「販売士検定試験における資格取得に関する研究」『目白大学短期大学部研究紀要』第49号,2013年,pp.43-55. 2.大澤弘幸「大学教育と資格取得に関わる諸問題-簿記会計を中心に-」『商業教育論集』第21集, 2011年,pp.101-106. 3. 柏谷和生「導入段階における簿記教育の課題とその解決への取組み」『関東学院大学「経済系」』第239集,2009年,pp.127 -139. 4.桑原正行「大学簿記教育初年度における現状と教育的課題―駒澤大学における1年次簿記教育の現状(中間報告)―」『駒 沢大学経営学部研究紀要 』第43号,2014年,pp.1-18. 5.関根慎吾「大学における簿記導入教育を巡る現状と課題」『石巻専修大学経営学研究』第19号, 2008年,pp.25-34. 6.原田満範「金融・情報化時代の簿記・会計教育のあり方」『松山大学論集』第18巻第4号, 2006年,pp.131-146.

(9)

大学内における簿記講義実施上の諸問題とその解決策 7.本所靖博「多様化する学生に対応する簿記会計教育の考察」『星稜論苑』第32号,2003年,pp.37-46. 8.桝山 清人「土木系学生における2級土木施工管理技術検定学科試験受験の有効活用及び今後の課題」『土木学会論文集』 H(教育)Vol.1,2009年,pp.105-110. 9.米田里香,樋口勝一「資格取得を動機づけに利用した大学生に対する常用リテラシー教育の効果(1)」『神戸海星女子学 院大学研究紀要』第46号,2007年,pp.183-193. 10.渡辺照美・橋本香織・福田公子「私立大学における家政・生活科学系学部の現状と課題 : 学部名称と取得可能資格の視 点から」『くらしき作陽大学・作陽短期大学研究紀要』40(1),2007年,pp.17-33.

(10)

参照

関連したドキュメント

新たに取り組む学校施設の長寿命化 GIGAスクール構想の実現に向けた取組 決算額 29 億 8,997 万2千円 決算額 1億 6,213 万7千円

2014 年度に策定した「関西学院大学

取組の方向  安全・安心な教育環境を整備する 重点施策  学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画

ピアノの学習を取り入れる際に必ず提起される

(今後の展望 1) 苦情解決の仕組みの活用.

市民社会セクターの可能性 110年ぶりの大改革の成果と課題 岡本仁宏法学部教授共編著 関西学院大学出版会

日 時:5 月 30 日(水) 15:30~16:55 場 所:福岡女学院大学ギール記念講堂

課題 学習対象 学習事項 学習項目 学習項目の解説 キーワード. 生徒が探究的にか