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Ⅱ 自ら考え表現し 考え直しては再度表現する言語活動の充実 について児童が考え直しては再度表現するために 外国語活動では ALTと担任との会話をきっかけに児童が見いだした場に応じた表現を使って 自分の考えを伝えたり相手の考えを聞き出したりする言語活動を仕組む Ⅲ 研究の実際年間を通した取組の中から

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Academic year: 2021

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【実態】 外国語活動を楽しみにしている子どもが多く、毎時間意欲的に学習している。簡単なジェ スチャーを取り入れながら挨拶ができる子どもも増えてきた。 学習中は、グループ学習やペア学習で考え合う活動に取り組んできた。そのとき、他者の 意見や考えを聞こうと、耳を傾けようとしている子どもも多い。しかし約4割の子どもが、 自分の考えをもっていても英語を使って「人前で話す」ことを苦手とし、コミュニケーショ ン活動に積極的に取り組むことができない。 北九州市立今町小学校 教諭 山 口 耕 平 Ⅰ 外国語活動における研究構想

外国語活動<小学校第5学年>

自ら考え表現し、よりよい解決を図る授業の創造(第二年次)

<表出させたい子どもの姿>

<表出させたい子どもの姿>

日本と外国の言語や文化の違いに気付き、外国語を使って伝え合うことの楽しさを知り、間 違うことを恐れずに生き生きと活動を行っている姿。そして、場に応じた表現を使って、自分 の考えを相手に説明したり伝えたりしようとしている姿。これらの活動を繰り返すことで、外 国語を用いたコミュニケーションを楽しんでいる姿。

子どもの「考え表現する」実態

考え表現

する

考え表現

する

自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実

考え表現

する

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Ⅱ 「自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実」について 児童が考え直しては再度表現するために、外国語活動では、ALTと担任との会話をきっかけに児 童が見いだした場に応じた表現を使って、自分の考えを伝えたり相手の考えを聞き出したりする言語 活動を仕組む。 Ⅲ 研究の実際 年間を通した取組の中から、授業研究Ⅰと授業研究Ⅱを中心に、その有効性について検証する。 1 授業研究Ⅰ

⑴ 単元名 Lesson 3 How many?「いろいろなものを数えよう」 ⑵ 指導計画(総時数4時間) 1 様々な言語での数の数え方や英語での1~20の数字の言い方に慣れる。① 2 数の尋ね方Ⅰとして、スキットAから「How many?」を知りその表現に慣れる。① 3 数の尋ね方Ⅱとして、スキットBから「How many 名詞(複数形)?」を知り、その表現に慣れる。 【本時】① 4 1~20の数字を聞いたり言ったりして、友達と積極的に数を尋ねる表現を用いた会話を楽しむ。 ① ⑶ 「自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実」について 本時では、ALTと担任のスキットを聞かせ、二人がどのような表現を使って何について話して いるかを考えさせる。そして、繰り返しスキットを聞くことで、スキットの内容と数を尋ねる時に 必要な表現を見いだすための班での話合い活動を通して、自分の考えをより分かりやすく相手に伝 えるための表現を考え直し、再度表現させるようにする。 2 授業研究Ⅱ

⑴ 単元名 Lesson 9 What would you like? 「ランチメニューを作ろう」 ⑵ 単元設定の理由 ○ 本学級の児童は、外国語活動で、ALTとの会話や英語表現を使ったゲームに意欲的に取り組ん でいる。6月に実施した外国語活動に対するアンケートで、「外国語活動の授業は楽しい・どちら かというと楽しい」と、好意的にとらえている児童が約9割(20名)おり、活動を楽しんでいる ということが分かった。その理由として、これまでの外国語活動で、楽しく英語に慣れ親しむため のゲームを多く取り入れているからだと思われる。しかし、「自分から進んで英語を話すこと」に ついては、約4割の児童が「英語の発音がむずかしい」「みんなの前で話すことが苦手」などの感 想を述べていた。このことから、英語を人前で話すことにまだ慣れておらず、英語で話すことに自 信がない児童が多いということが分かった。第二学期には一般動詞を使った表現を学習している。 第一学期に比べると身に付けなければならない語彙も増え、「人前で話すこと」を苦手とする児童 がさらに増えている。 ○ 本単元は、自分の欲しい食べ物について丁寧な言葉で尋ねたり答えたりする内容である。英語に も丁寧な表現があることを知り、自然にその表現に慣れることをねらいとする。「Lesson 5“What do you want?”(あなたは何がほしいの?)」と内容が関連しており、この単元の学習後に本単元を 設定している。本単元では、児童は、レストランで注文をしたりオリジナルのランチを作成したり する活動を通して、丁寧な表現で尋ねたり答えたりすることを学ぶ。児童にとって、食べ物に関す

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る内容を話したり聞いたりすることは、興味深く、楽しい活動になると考えられる。また、場に応 じた表現に慣れ親しみ、それらを使った活動を通して、コミュニケーションを図る楽しさを体験で きる単元ともいえる。さらに、丁寧な表現で使われている「would」は、中学2年生で、友達の家 で友達のお父さんとの会話の場面で学習する。このことから、小中一貫・連携教育を視野に入れた 授業に取り組むことができる単元でもある。 ○ 指導に当たっては、「つかむ・表現する」段階で、料理名を使って、英語特有のリズムやイント ネーションを体得させ、日本語と英語の音の違いに気付かせたい。さらに、ALTと担任との会話 を聞かせることにより、新しい表現を見いだすようにする。また、それらを使ったゲームを通して 繰り返し発話させ、新出の表現に慣れ親しませたい。「追究する」段階では、世界の様々な給食を 見せ、自分が食べたいオリジナルの「スペシャルランチ」作成への興味・関心を高め、作成する。 「伝え合う」段階では、ALT、担任、ゲストティーチャーが準備した「ランチの中身」を、相手 との会話によって探り、推測する。活動に入る前に、復習として新出の表現を使ったゲームや発話 を繰り返すことで、間違いを恐れずに活動に取り組むことができるようにする。活動では、ALT、 担任、ゲストティーチャーが準備した「ランチの中身」について、既習の表現を使いながら先生た ちからより正確に情報を得るための会話の仕方や表現の仕方を児童が考え直し、相手意識をもって 友達と話し合ったりALTや担任と英語でコミュニケーションを図ったりできるようにする。この ような手だてを取り、本単元の新出の表現を使う場面を設定することにより表現力の育成を図り、 伝え合う喜びを味わうことができるようにしたい。 また各時間のまとめとして、英語でコミュニケーションを図る活動を通して学んだことや、自己 評価、友達の良かったところを振り返りカードに書かせる。さらにそれらを数人の児童に発表させ ることで、外国語を用いてコミュニケーションを図ることへの関心・意欲を高めるようにしたい。 ⑶ 単元の目標 コミュニケーションへの 関心・意欲・態度【関】 ○ 相手意識をもって、丁寧な表現や既習の表現を使いながら、ALTや 担任、友達との交流を楽しんでいる。 外国語への慣れ親しみ 【関】○ 丁寧な表現で欲しいものを尋ねたり言ったりしている。 言語や文化に対する 気付き【技】 ○ 日本語と英語の発音の違いに気付く。 ○ 世界にはさまざまな料理があることや英語にも場に応じた丁寧な言 い方があることに気付く。 ⑷ 指導計画(総時数4時間) 展 開 主な学習活動・内容 指導上の留意点(○)と自ら考え表現し、考 え直しては再度表現する言語活動の充実(◎) 主眼についての評価 (評価方法) つ か む ・ 1 これまで学習した言い 方で欲しいものを尋ねた り言ったりする。 ○ 復習として、既習のフルーツ名の英語で の言い方を確認する。 ○ これまで学習した言い方(want を使った 表現)を使って、欲しいものを尋ねたり答 えたりできるようにする。 ○ 電子黒板を使ったリスニングの活動を通 して、日本語と英語の発音の違いを理解さ せる。 ○ 日本語と英語の発音の違い に気付いている。 (発言分析、振り返りカード 分析) 【関】

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表 現 す る 2 レストランで料理を注 文するときの言い方に慣 れ親しむ。 ① ○ 様々な料理のカードを使い、日本語と英 語の違いに気付かせながら、ALTの発音 を聞かせ、発音できるようにする。 ○ ALTとのやり取りを通して、新出の表 現を理解させる。 ◎ レストランでの場面を設定し、丁寧な表 現を使って、料理を注文するときの言い方 と答え方に慣れ親しませる。 ○ ALTやデジタル教材の発 音をまねし、日本語との違い を意識している。 (行動観察) 【慣】 ○ レストランでの料理を注文 するときの店員と客の対話を 考え、発話している。 (行動観察・振り返りカード 点検) 【慣】 追 究 す る 3 世界には様々な料理が あることを知り、丁寧な言 い方で欲しいものを尋ね たり言ったりする表現に 慣れ親しむ。 ① ○ チャンツやキーワードゲームなど、発話 を繰り返すゲームを通して、新出の表現に 慣れ親しむようにする。 ○ 電子黒板を使って、様々な国の給食の写 真を見せることで、メニュー作りに関心を もたせるようにする。 ○ 自分が食べたい「スペシャルランチ」を 作成する。 ○ 丁寧な言い方で欲しいもの を尋ねたり言ったりしている。 (行動観察・振り返りカード 点検) 【慣】 伝 え 合 う 4 相手意識をもって、丁寧 な言い方で欲しいものを 尋ねたり答えたりしよう とする。 【本時】① ○ 丁寧な表現と英語での料理名を使って、 自分が食べたい「スペシャルランチ」を注 文できるようにする。 ◎ 先生たちの準備した「ランチの中身」を 推測し、話合い活動を通して、既習の表現 と丁寧な表現を使って交流できるようにす る。 ○ 新 出の 丁 寧な 表 現を 使っ て、欲しいものを尋ねたり答 えたりしながら、ALT、担 任、友達との交流を楽しんで いる。 (行動観察・振り返りカード 点検) 【コ】 ⑸ 指導の実際 ① 主眼 場に応じた表現を使って先生たちの準備した「ランチの中身」について聞き取り、さらに、丁 寧な表現を使って尋ねたり答えたりする活動を通して、意欲的により正確な情報を得るための会 話の仕方や表現の仕方を考えるとともに、得た情報を基に「ランチの中身」を楽しんで推測する ことができるようにする。 ② 「自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実」について 本時では、ALT、担任、ゲストティーチャーが前もって準備した「ランチの中身」を推測し、 既習の表現や新出の丁寧な表現の中から場に応じた表現を使って、先生たちからランチの中身に ついての情報を聞き出すことで、児童が考え直し、相手意識をもって友達と話し合ったり先生た ちと英語でコミュニケーションを図ったりすることができるようにさせる。 ③ 準備 児童用・・・Hi, friends!1、ワークシート、のり 教師用・・・Hi, friends!1、絵カード、発表用画用紙、マジック、振り返りカード、電子黒 板

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④ 展開 学 習 活 動 自ら考え表現し、考え直しては再 度表現する言語活動 ○指導上の留意点 ◇主眼についての評価 導 入 展 開 1 英語であいさつを行う。 2 ウオームアップをする。 3 本時のめあてを確認する。 ○ 英語を楽しく学習するための雰囲気を作る。 ○ チャンツでは、本単元の新出の表現(would を使った表 現)を使い、料理を注文したり答えたりする言い方と料理 名の発音の確認をする。 ○ ペア活動では、料理カードを用いてA、B入れ替わりな がら、丁寧な表現を使ってインタビュー活動を行う。 ○ 2人の児童に I’d like ~. を使って前時に考えた自 分のスペシャルランチについて、全体の場で紹介させる。 ALTは児童のスペシャルランチについて簡単な英語でコ メントを言う。その際、ALT、担任、ゲストティーチャ ーは、自分が好きな食べ物について簡単な英語で話し、次 の活動への児童の意欲を高めるようにする。 <自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実>

A: Hello. What would you like? B: I’d like a hamburger. A: OK. Here you are. B: Thank you. 〔めあて〕 先生たちのランチの中身について、ていねいな表現を使ってたずねよう。 <場に応じた表現を使いながら相手と積極的にコミュニケーションを図ることを楽しむ活動> ここでの言語活動は、①~④の手順で行う。 ① ALT、担任、ゲストティーチャーはそれぞれ自分が食べたいワンプレートのランチのメニューを前もっ て考えているので、そのランチの中身を作成する活動を行うことを知る。 ・班をALT担当班、担任担当班、教頭担当班に割り振りをする。 ② 新しい料理の名前を英語で発音する。 ・メニュー選択の幅を広げるため、「焼き鳥」「ステーキ」「スープ」などの料理を新たに加え、日本語との言 い方の違いを意識させながら、ALTの後に続けて発音させる。 ・料理の絵カードは、ワンプレートにのせることができるように単品の料理カードにする。

・「知っておくと便利英語」として、What would you like?の What をとって、Would you like 料理名? に すると、「~はいかがですか」と料理を勧める言い方になることを伝え、ALTの後に続けて発音させる。 ③ それぞれの先生たちのメニューについて班で話し合い、先生たちに質問をする。 ・先生たちに、ランチの品数や自分たちが作成したランチを基に好きなものや苦手なものを尋ねてもよいこ 【A児のスペシャルランチの ワークシート】 4 先生たちのランチの中身 を推測する。

全員 : What would you like?

A児 : I’d like sushi and omelet and salad and fruits and yoghurt and orange juice. ALT: Wow! Vegetables and fruits are good for

our health. I like orange juice, too. T : I like cola. I like sushi.

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5 発表の準備をする。 ◇ 相手意識をもって、丁寧な表現や既習の表現を使いなが ◇ 相手意識をもって、丁寧な表現や既習の表現を使いなが らALTや担任、友達との交流を楽しんでいる。 (行動観察・振り返りカード点検)【コ】 ○ メニューを選んだ理由を日本語で発表用の画用紙に書か せる。 とを知らせる。尋ねる時は分からない単語は日本語でもよいが、できるだけ今まで学習した表現や知って いる英語を使いながら、先生たちから情報を聞き出すようにさせる。

・先生たちは、児童の表現が分からないときは「分からない」と答える。児童が What would you like?と 尋ねた時は I like fruits.など、なるべく詳しく答えないようにして、さらに詳しく情報を得るために はどのように質問すればよいか、児童に考えさせるようにする。

・各班一人一回は必ず先生たちに質問に行くようにさせる。

④ 児童は自分たちが聞き出した情報を基に、発表用画用紙にあるワンプレートに料理の絵カードを貼る。 C : What would you like?

ALT: I’d like juice.

C : What juice would you like? ALT: I’d like fruit juice. C : Would you like orange juice? ALT: Yes. I’d like orange juice.

C : What would you like? GT: I’d like vegetables. C : Would you like carrots? GT: No.

C : What vegetable would you like? GT: Tomato

C : Tomato? OK.

<予想される児童の考え> ・ALTは納豆が好きかどうか聞いてみよう

・担任は肉料理が好きらしいが、どんな肉料理が好きか聞いてみよう ・好きなものを尋ねる時は、Do you like ~? でいいかな

・品数を尋ねる時は、How many ランチ?で伝わるかな

・Would you like sushi?と言ったら、何と答えてくれるだろう など

C1: トマトは1つでいいの? C2: もう一回聞いてこよう。 何と聞いたらいいかな?

C1: 数を尋ねるときは、How many だっ たよね?

C2: How many tomato! C1: 「ズ」がいるよ。 C2: How many tomatoes! 【ALTに質問している児童の様子】 【ゲストティーチャーに質問している 児童の様子】 【メニューについて班で話し合っている様子】

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- 7 - Lesson3 Name( ) めあて [ ] ○ 山口先生とアンドレス先生の会話 を聞いてちがいは何か書こう! 1回目 2回目 動き 言葉 【資料2 B児のワークシート】 終 末 6 発表する。 7 まとめと振り返りをする。 ○ メニューを選んだ理由は日本語でよいが、メニューの名 前は英語らしく発音し、学級全体に伝わるように大きな声 で発表するように伝える ○ それぞれの先生たちが作成していたランチと合っている かどうか確認する。 ○ 本時の学習や自分自身を振り返らせ、次の学習への意欲 を高めるととともに、互いの良さに気付かせ、認め合う場 とする。 ○ 児童の発表内容を受けて、本時のまとめをする。 Ⅳ 「自ら考え表現し、考え直しては再度表現する言語活動の充実」についての考察 授業研究Ⅰと授業研究Ⅱでとった手だての有効性の考察をもって、年間を通した手だての考察とす る。 授業研究Ⅰの「ALTと担任のスキットから自分の考えをより 分かりやすく伝えるための表現を見いだす話合い活動」では、初 めにALTと担任による数を尋ね合う2種類のスキットを見せた。 スキットAは、「How many?」と物を指すジェスチャーで、数を尋 ねる会話であった。スキットBは、「How many pens?」のように「How many+名詞の複数形」を使って数を尋ねる会話で、物を指す等の ジェスチャーはしなかった。2種類のスキットを聞くときの視点 を確認し、2回繰り返して聞いた後、まずは個人でワークシート (資料1)に2つのスキットの違い等気付いたことを記入した。 その後、そのワークシートを基に班で2つのスキットの違いにつ いて話し合った。「鉛筆の名前を言った」「鉛筆を指さないで数を 聞いていた」などの2つのスキットの表現の違いを挙げた。そこ で、自分の気持ちをより分かりやすく相手に伝えるための表現に ついて確認させ、その表現に慣れ親しむためのインタビュー活動 に取り組んだ。活動後の児童の振り返りカードには、「たくさんあ る物や人には、ペンズみたいに~ズとズをつけることにびっくり した」「How many の後に pens と言うとペンを指さなくても数を尋 ねることができた」等の意見が出された。「How many?」 と「How many pens?」の表現の違いに気付き、その後のインタビュー活動では、 自分の考えを伝えやすくするために意欲的によりよい表現を使お うとする児童の姿が見られた。しかし、「違いがよくわからなかっ た」等の意見もあった。ワークシートの記入(資料2)に苦戦し 【資料1 スキットの違いを 見付けるためのワークシート】 〔まとめ〕

目上の人や知らない人に、丁寧な言い方で欲しいものを尋ねるときは、What would you like? を使う。

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【資料3 オリジナルランチにつ いて発表している児童の様子】 【資料4 先生にインタビューを している児童の様子】 ていたB児は、「何と言ったらいいのかよく分からなかった」と書いていた。どの児童も生き生きと コミュニケーションを図ることができる活動にするためには、ジェスチャー等も入れながら、繰り返 し必要な内容について「聞くこと」「話すこと」の指導を行うことが必要であると感じた。 授業研究Ⅱの「先生のランチの中身を推測し、情報を聞き出す活動」では、既習の表現と前時で見 いだした新出の表現(丁寧な表現)を使って先生たちにランチの中身について質問し、得た情報を基 に班で話し合い、料理カードを画用紙に貼って「先生が食べたいランチ」を作成した。 これまで児童は、ALTと担任のスキットから自分の考えをより分かりやすく伝えたり、相手から 聞き出したりするために見いだした表現を使って、ゲームやインタビュー活動などのコミュニケーシ ョンを図るための活動に取り組んできた。 本時では、既習の表現と would を使った新出の丁寧な表現を 使い、相手から情報を聞き出すという活動を行った。まず、2 人の児童が前時で作成したオリジナルランチについて発表した。 その際次のインタビュー活動への児童の意欲を高めるために、 ALTはコメントをし、ALT、担任、ゲストティーチャーは それぞれ自分が好きな食べ物について簡単な会話をした(資料 3)。「場に応じた表現を使いながら相手と積極的にコミュニケ ーションを図ることを楽しむ活動」として行ったインタビュー 活動では、3人の先生のランチの中身について推測し質問した。 児童は先生に「What would you like?(何になさいますか)」と 質問をする。先生はそれに対して、ランチの中身がすぐに分かるような答え方をせずに、「I’d like vegetables.(野菜をいただきたい)」のように答えることで、児童が再度考え質問しないといけない ように会話の流れを仕組んだ。そうすることで児童が先生から情報を聞き出すために、既習の表現と 新出の表現を駆使して使いながらも、楽しんで会話をする場を設定することができた。自分の英語に 自信がなく、「人前で英語を話す」ことを苦手としている児童は、班の中で尋ねる表現を確認してか ら質問していた。日本語で質問内容について班で確認し、必要に応じて班員にアドバイスをもらいな がら英語で質問し、情報を聞き出すことができた。 さらに、日本語と英語の音の違いに慣れさせるために、「tomato(トマト)」「carrot(人参)」など の料理のカードの種類を増やし、繰り返し発音を練習した。また、「What vegetable would you like? (何の野菜になさいますか)」と、中学2年生で学習する「Would you like ~?(~はいかがですか)」 の表現を教え、繰り返し発音練習したことで、表現の幅を広げることができた。自分が尋ねたいこと を的確に伝えるために、既習の表現と新出の表現の中から、場 に応じた表現を選択し、楽しそうに表現する児童の姿が見られ た。さらに、インタビュー活動ではジェスチャー、既習の表現、 新出の表現を使って、間違うことを恐れずに生き生きと自分の 考えを相手に英語で伝えようとする姿が見られた。班での話合 い活動では、尋ねたい内容を英語で表現するためにはどうすれ ばよいか、意欲的に意見を出し合い質問に臨んでいた。 このように必要な情報を伝えたり聞き出したりする場を設 定して言語活動を繰り返すことで、児童は場に応じた既習の表 現や新出の表現の使い方を理解し、意欲的に人前で英語を話す

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【資料6 A児の振り返りカード】 ことができるようになったと考える(資料4)。 手だてである先生のランチの中身を推測し、既習の表現と新出の表現を駆使して先生から情報を聞 き出す活動の場面を仕組んだことは、考え直しては再度表現する言語活動に有効であった。 これらのことから、手だて「場に応じた表現を使って、自分の考えを伝えたり相手の考えを聞き出 したりする活動を仕組むこと」は、考え直しては再度表現する言語活動の充実に有効な手だてと考え る。 Ⅴ 研究のまとめ 1 研究の成果 第一学期からALTと担任によるスキットを聞くことで場 に応じた表現を見いだし、その表現を使ってコミュニケーシ ョンを図る活動を行ってきたが、授業研究Ⅰでは、振り返り カードに「楽しかったが発音するのが難しい」「使い方がよく 分からない」等の意見があった。「自分が尋ねたいと思ったこ とをうまく英語で伝えられましたか」という質問に対して、 4段階の自己評価「とてもよくできた」に値する「4」を選 んでいた児童は約3割で、「2」と「1」を選んだ児童が約5 割いた(資料5)。しかし、回数を重ねることで、外国語を注 意深く聞いて内容を理解しようとしたり他者に対して自分の 思いを伝えることの難しさや大切さを実感したりしながら、 コミュニケーションへの積極的な態度を示すようになった。 授業研究Ⅱでの振り返りカード(資料6)では、「楽しく活動 ができましたか」という質問に対して、約9割の児童が「4」 を選び、「自分が尋ねたいと思ったことをうまく英語で伝えら れましたか」という質問に対しても約6割の児童が「4」を 選び、「1」を選んだ児童はいなかった(資料5)。授業研究 Ⅰの振り返りカードで「3」を選び、「文の使い方がよく分か らなかったので、うまく言えなかった」と書いていたA児は、 授業研究Ⅱで自分のオリジナルランチを進んで発表し、「What would you like? の使い方がよく分かった」と感想を書いて いた。自己評価も「4」を選んでいた(資料6)。授業研究Ⅰ で「2」を選んでいたB児は、授業研究Ⅱでは「4」を選び、 「先生からメニューを聞き出すことができてうれしかった」 と書いていた(次頁資料7)。また、授業研究Ⅰで「1」を選 び、振り返りカードに「自分から進んで話ができなかった」 と書いていたC児は、授業研究Ⅱでは「3」を選び、「今日の授業で何回も英語が話せてとても楽しか った」と書いていた(次頁資料8)。授業研究Ⅱでは「2」を選んだ児童は3人いた。しかし、これら の児童は「まだ言いたいことが言えないけど、言えるようになりたい」「次は頑張りたい」等の前向き な言葉で感想を締めくくっていた。これは、コミュニケーションを図る活動を通して繰り返し「聞く こと」「話すこと」を指導してきた結果、既習の表現や新出の表現の使い方を理解し、自分の考えを伝 【資料5 「自分の考えを伝えること が で き た か 」 に 対 す る 自 己 評 価 授業研究ⅠとⅡの比較 (児童数22人)】

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えたり相手の考えを聞き出したりするために、場に応じた表現を考えそれを表現することができるよ うになったからだと考える。 このように、外国語活動では児童が喜ぶような楽しい活動を行うだけではなく、ALTと担任との 会話をきっかけに児童が考え、見いだした表現を使って、さまざまな相手と互いの思いを伝え合う、 または相手から情報を聞き出すような活動を通して、コミュニケーションを図ることの楽しさを実際 に体験できる場を設定することが大切である。児童はどのような表現を使えば自分の思いが伝わるの かを考え、使える表現を駆使することで、コミュニケーションへの積極的な態度の育成を図ることが できたと考える。また、活動後の「友達のよかったところの発表」では、「前で発表しているときに はずかしがらずに堂々と言えていた」や「英語らしく言えていたのでよかった」という感想を述べて いた。毎時間友達のよかったところを振り返りカードに記入させ発表させたことは、他者理解や自尊 感情などを高め、コミュニケーションへの更なる意欲の向上につながったと思われる。 2 今後の課題 ○ 授業研究Ⅱでは、場に応じた表現を使って、自分の考えを伝えたり相手の考えを聞き出したりす る活動を通して、既習の表現や新出の表現を使い、自分の思いを伝えようとする姿が見られた。し かし、児童が考える時のヒントになる既習の表現の復習が十分でなかったので、会話の中で次の質 問内容を考えるためにかなりの時間を必要とした。児童の感想の中に、「メニューは分かったが品 数が分からなかった」「聞きたいことはあったが、何と言ったらいいのか分からなかった」「質問を 考えていたら時間が足りなくなった」等の感想があった。 今後は、学習した表現がヒントとして活用できる教材を用意し、コミュニケーション活動をより 積極的に行うことができるような教材研究を進めていきたい。そして、児童が「言いたい、聞きた い」という必要感をもって活動できるように場の設定を工夫したい。 ○ 教師に対してのインタビュー活動を行う際、一斉に活動に入ったために、どのように表現してよ いか分からない児童に対して十分な支援をすることができなかった。活動場面での児童一人一人へ の支援の方法について課題が残った。今後は、活動形態と振り返りカードを工夫し、的確な声掛け とともに、指導と評価の一体化が図れるような評価を行い、児童のコミュニケーションを図る活動 への意欲につながるように、言語活動の更なる充実に努めていきたい。 <参考文献> ・ 文部科学省 「小学校学習指導要領解説 外国語活動編」 平成20年 ・ 菅 正隆編著 大牟田市立明治小学校著「成功する小学校英語シリーズ5 “Hi, friends!” 指導案&評価づく りパーフェクトガイド」 明治図書 平成24年 ・ 直山 木綿子監修 東京都大田区教育研究会小学校外国語活動部編著 「これで完璧!“Hi, friends!” 誰でも できる全時間の基礎・基本」 東洋館出版社 平成25年 【資料8 C児の振り返りの変容】 自分から進んで話ができなかった。 (授業研究Ⅰ) 今日の授業で何回も英語が話せて とても楽しかった。 (授業研究Ⅱ) 何と言っていいか分からなかった。 (授業研究Ⅰ) メニューを聞き出すことができて うれしかった。 (授業研究Ⅱ) 【資料7 B児の振り返りの変容】

参照

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