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技術論文 自動車用ハイポイドギヤの高効率化 斎木 康平 1 渡辺 健2 白木 啓一郎 3 俊介 4 深町 飛澤 圭一郎 5 Development of High Efficiency Hypoid Gear for Automotive Application Kohei Sai

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(1)

以上のように本シミュレーションによりモード走行時の 様々な条件における触媒内部での反応状態を詳細に把握する ことが可能となった. (2)NH3排出挙動に対する予測精度検証 尿素 SCR 触媒からの NH3排出挙動を調べるため,高温 (T>300℃)かつ高尿素/NOx 当量比条件で試験を行い,NH3 排出挙動に対するモデルの妥当性検証を行った.図12 に NH3 排出挙動評価モード走行時SCR 触媒入りガス温度と触媒出口 NH3濃度の時間変化を計算予測結果とともに示す.(初期触 媒温度=300℃,平均尿素/NOx 当量比=1.6) 12 より本モデルは評価モード走行条件においても実機の 過渡的なNH3排出挙動に対して精度良く予測可能であること が確認できる. 4.ま と め 尿素SCR 触媒内部での詳細な反応機構解明を目的として尿SCR 詳細反応シミュレーションモデルを開発した. 1)Fe ゼオライト触媒における酸点・塩基点上での NH3-SCR 詳細反応メカニズムを考慮 (2)NH3吸着脱離に関する詳細メカニズム(弱酸点・強酸点 NH3吸脱着挙動)を考慮 (3)直接計測実験から得た尿素分解反応メカニズムを考慮 以上を特徴とする本モデルは実車モード走行時の実触媒から のNOx/NH3 排出挙動を素反応レベルで予測可能である.本モ デルによりモード走行時の尿素SCR 触媒内部での反応状態を 詳細に把握することが可能となり,触媒反応の原理/原則に基 づく新規的な尿素噴射制御ロジックや新規尿素SCR システム 開発への応用が期待される. 参 考 文 献

(1) Grossale A., Nova I., Tronconi E., Chatterjee D. and Weibel M., “The chemistry of the NO/NO2-NH3 fast SCR reaction over

Fe-ZSM5 investigated by transient reaction analysis”, Journal of Catalysis 256 , pp 312-322(2008)

(2) Grossale A., Nova I., Tronconi E., “Study of a Fe-zeolite-based system as NH3-SCR catalyst of diesel exhaust after treatment”, Catalysis Today 136(1-2), pp18-27 (2008)

(3)Yamauchi T., Kubo S., Mizukami T., Sato N., Aono N., “Numerical Simulation for Desiging Next generation TWC sysytem with Detailed Chemistry”, SAE Int. J. Fuels Lubr. 1 pp795-802 (2009)

(4)Yamauchi T., Kubo S., Yamazaki S., “Detailed Surface Reaction Model for Three-Way Catalyst and NOx Storage Reduction Catalyst” (SAE 2005-01-1112)

(5)高鳥芳樹ほか,”尿素 SCR 触媒解析技術(第 1 報)―還元剤 挙動計測―”自動車技術会論文集,Vol.44, No.1,pp1111-1111,(2013)

Fig.12 Time history of NH3outlet conc. and inlet gas temperature

during a vehicle mode test cycle. Time (sec) N H3 ou tlet co ncen trat io n (p pm ) In let Gas T em p.( ºC ) Tinlet NH3outlet concentration

Model Prediction Experiment

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0

20

40

60

80

100

0.0

1.0x10

-5

2.0x10

-5

3.0x10

-5

4.0x10

-5

Fig.11 Instantaneous profiles of NOx concentration and

adsorbed NH

3

amount along the SCR catalyst channel

during the test cycle (t=1000sec).

Reactor length (-)

N

O

x

co

nc

en

tra

tio

n

(p

pm

)

A

ds

or

be

d

N

H

3

am

ou

nt

(m

ol

/c

c)

NH4+ (strong site) NH4+ (weak site) NO NO2

Inlet

Exhaust flow

outlet

自動車用ハイポイドギヤの高効率化

斎木 康平1) 渡辺 健2) 白木 啓一郎3) 深町 俊介4) 飛澤 圭一郎5)

Development of High Efficiency Hypoid Gear for Automotive Application

Kohei Saiki Takeshi Watanabe Keiichiro Shiraki Shunsuke Fukamachi Keiichiro Tobisawa Usually the transmission efficiency of hypoid gear is much lower than helical gear because of its large mesh loss between tooth flanks of pinion and crown gears. Moreover, the friction loss is also remarkable for automotive application since the pinion gear is overhang-supported by preloaded bearings to receive big axial force. Therefore, the improvement of efficiency is an old subject and becomes more important for current fuel economy. This study directly measured the transmitting loss torques of each part of hypoid gear by using a gearbox test rig, and reconsidered the famous Coleman’s efficiency formula of hypoid gear. As a result, the limit of Coleman’s formula is clarified, and several attempts for design high efficiency hypoid gear are tried and practically applied to new developed CVT transmission.

KEY WORDS: Power transmission, Gear, Efficiency, Hypoid gear, Loss torque, Gearbox test rig (A2) 1.は じ め に ハイポイドギヤ(図1)は幾何学上でピニオン外径が大 きく取れて高強度で,ねじれ角も大きく噛合率が高いため に静粛性にも優れており,自動車の最終減速装置に広く用 いられている. 一方,ハイポイドギヤはヘリカルギヤやベベルギヤに比 べて伝達効率が低いことも良く知られている.その主な要 因は以下の二つである.①ピニオンギヤ(以下,ピニオン と呼ぶ)軸とクラウンギヤ(以下,ギヤと呼ぶ)軸は互い に交わることなくオフセットしているため,歯面間の滑り は大きく,歯車としての噛合効率が低い.②オイルシール の摩擦トルクの他,ハイポイドギヤはスラスト力が大きい ため,ピニオン軸もギヤ軸も各々の支持ベアリングに予圧 を付与しており摩擦ロストルクも大きい.特に,自動車用 ハイポイドギヤの場合,ギヤの内側に差動機構を設けるた め,ピニオン軸は片持ち支持構造となって一層大きな予圧 が必要で,摩擦ロストルクは大変大きい. 特に,近年の省エネや環境保護の要求が高まる中,従来 のハイポイドギヤの高強度・低騒音性能を保ちつつ,更な る高効率化が切望されている. そこで,本論文はまず図2に示す歯車箱で,ハイポイド ギヤの各構成部品の伝達ロスを実測し,ハイポイドギヤ伝 達効率の現象を実測で解明する. *2012 年 5 月 23 日受理. 2012 年 5 月 23 日自動車技術会春季学術講演会において発表. 1)・2)・3)・4)富士重工業㈱(181-8577 三鷹市大沢 3-9-6) 5) 富士テクノサービス㈱(181-8577 三鷹市大沢 3-9-6)

Fig.1 Example of Hypoid Gear

H V J

P������G��� ������G��� OP OG H V J

P������G��� ������G��� OP OG

Fig.2 Picture of Hypoid Gearbox Test Rig

P������G�������� ������G��������

H������G������

(2)

次に,従来よく用いられている有名な Coleman ハイポイ ドギヤ効率計算式(1)と比較し,Coleman 式の効用と限界の 両方を明らかにする.最後に,幾つかの高効率化の手段を 試みて効率向上の効果代を実測で確認した上,新開発の CVT トランスミッションに高効率ハイポイドギヤを採用で きたので,報告する. �.ハイポイド歯車箱でのロストルク計測 �.� 軸受などの摩擦ロストルクの計測 図3は歯車箱の中で,ピニオンとギヤを引き離して撮影 した写真である.各々のベアリング部は60℃一定の潤滑 油を直接圧送して強制潤滑し,歯車箱アセンブリ状態と同 じ予圧を与えている.本論文では,まず図3のように,ピ ニオン軸とギヤ軸を単独に空転駆動し,各々空転時の軸受 などの摩擦ロストルクをトルクメーターで直接検出した. 図4は歯数がピニオン Zp=9 枚・ギヤ Zg=40 枚のハイポイ ドギヤの軸受などの摩擦ロストルク測定結果を示す.横軸 はピニオン回転数(ギヤ回転数も歯数比i=Zg/Zp でピニオ ンの回転数に換算)で,縦軸は実測した軸受などの摩擦ロ ストルクの絶対値である.この試験結果から,軸受などの 摩擦ロストルクの絶対値としては片持ち支持のピニオン 軸が両持ち支持のギヤ軸より大きいことが解る. 図5はギヤ軸の摩擦ロストルクを歯数比でピニオン軸 上に換算し,歯車箱全体の摩擦ロストルクを示している. 図5から,ピニオン軸もギヤ軸も各々の軸受などの摩擦ロ ストルクは回転数の上昇に従って大きくなっていること が解る.また,自動車用ハイポイドギヤの場合は大きな減 速比を持っているため,摩擦ロスの中でピニオン軸の軸受 などの摩擦ロスが支配的である.図5の右側のAVE棒グ ラフは各回転数の摩擦ロストルクの平均値を示している. �.� 歯車箱全体の伝達ロストルクの計測 図6はギヤ軸トルク=90Nm 一定でピニオンとギヤを噛 み合わせて運転した場合の歯車箱ロストルクの計測例で ある.左縦軸はピニオン軸上(▲),ギヤ軸上(●)のトルク 実測値で,右縦軸は図中の数式でピニオン軸上に換算した 歯車箱全体(◆)の伝達ロストルクである.図6から,歯車 箱全体の伝達ロストルクは回転数に従って緩やかに上昇 するものの,回転数の影響はさほど大きくない. 図7はピニオン回転数 1000~6000rpm,ギヤ軸トルク 90 ~450Nm の全ての運転条件での計測結果を三次元棒グラフ でまとめて示している.横軸はピニオン回転数,奥行き軸 はギヤ軸トルク,縦軸は歯車箱全体のロストルクである. 図7から,歯車箱全体のロストルクは回転数の影響が小 さく,負荷トルクの上昇に従ってほぼ直線的に増加してい ることが解る.このことから,図5同様に,図7も右側の AVE棒グラフで各回転数の歯車箱の全体ロストルクの 平均値を示している.

Fig.5 Detailed Analysis of Friction Loss Torque

Fig.6 Measured Total Loss Torque @90Nm

0 20 40 60 80 100 1000 2000 3000 4000 5000 6000

Pinion Rotational Speed [rpm]

In pu t/ O u tp u t T o rq u e [ N m ] 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 To ta l Lo ss To rq u e [ N m ]

Input Torque (Tin) Output Torque (Tout)

Total Loss Torque on Pinion Shaft (Tin�Tout/i) 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE Pinion Rotational Speed [rpm]

F ri c ti o n L o ss T o rq u e [ N m ] 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 T o ta l F ri c ti o n L o ss [ N m ]

Gear Friction Loss Count on Pinion SFT (Tsg/i) Pinion Friction Loss Torque (Tsp)

Total Friction Loss on Pinion Shaft (Tsp+Tsg/i) Pinion Gear Cro�n Gear

Lu�rication Oil

Fig.3 Inside View of Gearbox

Fig.4 Friction Loss Torque of Pinion/Crown Gear Shaft

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

Pinion Rotational Speed [rpm]

F ri c ti o n L o ss T o rq u e [ N m

] Pinion Friction Loss Torque (Tsp) Gear Friction Loss Torque (Tsg)

2.� ハイポイドギヤの噛合ロストルクの算出 本論文は負荷トルクによるピニオンとギヤ軸の軸受な どの摩擦ロストルクの変化を無視し,歯車箱の全体ロスト ルク(図7)と摩擦ロストルク(図5)の差でハイポイド ギヤの噛合ロストルクを算出する. 図8は算出したハイポイドギヤの噛合ロストルクで,図 7と同じ三次元棒グラフでまとめて示している.図7の歯 車箱の全体ロストルク同様に,図8の純粋な噛合ロストル クも回転数の影響が小さく,負荷トルクの上昇に従って直 線的に増加していることは興味深い. �.ロストルクと伝達効率の計測結果 �.1 ロストルクの内訳分析 以上の計測結果から,歯車箱の全体ロストルクもハイポ イドギヤの噛合ロストルクも負荷トルクの上昇に従って 直線的に増加していることが解ったので,本論文では,実 測したロストルクの内訳を更に詳しく分析した. 図9は横軸が負荷トルクで,縦軸が図5の摩擦ロス及び 図8の噛合ロスの平均値を積み上げ縦棒グラフにまとめ 直した.軸受などの摩擦ロスは負荷トルクに因らず一定と しているが,ハイポイドギヤの噛合ロスは負荷トルクと直 線的な関係になっている.なお,図9の各棒の全高さは歯 車箱の全体ロストルクそのもので,やはり負荷トルクと線 形関係を持っている. �.2 ロストルクの割合分析 図10は図9の平均ロストルクをピニオン軸の入力ト ルクで割り算して,各ロストルクの占める割合(即ち,ロ スの%比率)を求めている. その結果,図10は図9の様相と一転し,軸受などの摩 擦ロスの%比率は負荷トルクの増加に従って2次曲線的 に減少し,ハイポイドギヤの噛合ロスの%比率は負荷トル クに関係なくほぼ一定の値となっている. 図10は個々のロスの%比率であるため,100%から引 き算すれば,各々の伝達効率を求めることができる. �.� 歯車箱全体の伝達効率 図11は歯車箱全体の伝達効率で,図10の各縦棒の全 体高さ(=歯車箱全体の伝達ロスの%比率)を 100%から 引いて求めている.歯車箱全体の伝達効率としては,負荷 トルクの増加に伴って2次曲線的に高くなって,負荷トル クに強く依存している. 図10と図11から,歯車箱全体の伝達効率の強い負荷 トルク依存性は軸受などの摩擦ロスの%比率の負荷トル ク依存性に由来していることが分かる. �.� ハイポイドギヤの噛合効率 図12はハイポイドギヤの噛合効率で,図10中のギヤ 噛合ロスの%比率を 100%から引いて求めている.純粋な ハイポイドギヤの噛合効率は負荷トルクの大小に関係な 0 2 4 6 8 T o ta l L o ss T o rq u e [ N m ] 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE 90 180 270 360 450

Pinion Rotational Speed [rpm]

Crow n To rque [Nm] 0 1 2 3 4 5 M e sh L o ss T o rq u e [ N m ] 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE 90 180 270 360 450

Pinion Rotational Speed [rpm]

Crow n To

rque [Nm]

Fig.10 Percentage Analysis of Loss Torque Fig.8 Mesh Loss Torque of Hypoid Gear

Fig.9 Details of Loss Torque

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] L o ss T o rq u e o n P in io n S h af t [N m

] Total Friction loss Gear Mesh Loss

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] P e rc e n ta ge o f L o ss T o rq u

e % of Total Friction loss % of Gear Mesh Loss Fig.7 Total Loss Torque of Hypoid Gearbox

(3)

次に,従来よく用いられている有名な Coleman ハイポイ ドギヤ効率計算式(1)と比較し,Coleman 式の効用と限界の 両方を明らかにする.最後に,幾つかの高効率化の手段を 試みて効率向上の効果代を実測で確認した上,新開発の CVT トランスミッションに高効率ハイポイドギヤを採用で きたので,報告する. �.ハイポイド歯車箱でのロストルク計測 �.� 軸受などの摩擦ロストルクの計測 図3は歯車箱の中で,ピニオンとギヤを引き離して撮影 した写真である.各々のベアリング部は60℃一定の潤滑 油を直接圧送して強制潤滑し,歯車箱アセンブリ状態と同 じ予圧を与えている.本論文では,まず図3のように,ピ ニオン軸とギヤ軸を単独に空転駆動し,各々空転時の軸受 などの摩擦ロストルクをトルクメーターで直接検出した. 図4は歯数がピニオン Zp=9 枚・ギヤ Zg=40 枚のハイポイ ドギヤの軸受などの摩擦ロストルク測定結果を示す.横軸 はピニオン回転数(ギヤ回転数も歯数比i=Zg/Zp でピニオ ンの回転数に換算)で,縦軸は実測した軸受などの摩擦ロ ストルクの絶対値である.この試験結果から,軸受などの 摩擦ロストルクの絶対値としては片持ち支持のピニオン 軸が両持ち支持のギヤ軸より大きいことが解る. 図5はギヤ軸の摩擦ロストルクを歯数比でピニオン軸 上に換算し,歯車箱全体の摩擦ロストルクを示している. 図5から,ピニオン軸もギヤ軸も各々の軸受などの摩擦ロ ストルクは回転数の上昇に従って大きくなっていること が解る.また,自動車用ハイポイドギヤの場合は大きな減 速比を持っているため,摩擦ロスの中でピニオン軸の軸受 などの摩擦ロスが支配的である.図5の右側のAVE棒グ ラフは各回転数の摩擦ロストルクの平均値を示している. �.� 歯車箱全体の伝達ロストルクの計測 図6はギヤ軸トルク=90Nm 一定でピニオンとギヤを噛 み合わせて運転した場合の歯車箱ロストルクの計測例で ある.左縦軸はピニオン軸上(▲),ギヤ軸上(●)のトルク 実測値で,右縦軸は図中の数式でピニオン軸上に換算した 歯車箱全体(◆)の伝達ロストルクである.図6から,歯車 箱全体の伝達ロストルクは回転数に従って緩やかに上昇 するものの,回転数の影響はさほど大きくない. 図7はピニオン回転数 1000~6000rpm,ギヤ軸トルク 90 ~450Nm の全ての運転条件での計測結果を三次元棒グラフ でまとめて示している.横軸はピニオン回転数,奥行き軸 はギヤ軸トルク,縦軸は歯車箱全体のロストルクである. 図7から,歯車箱全体のロストルクは回転数の影響が小 さく,負荷トルクの上昇に従ってほぼ直線的に増加してい ることが解る.このことから,図5同様に,図7も右側の AVE棒グラフで各回転数の歯車箱の全体ロストルクの 平均値を示している.

Fig.5 Detailed Analysis of Friction Loss Torque

Fig.6 Measured Total Loss Torque @90Nm

0 20 40 60 80 100 1000 2000 3000 4000 5000 6000

Pinion Rotational Speed [rpm]

In pu t/ O u tp u t T o rq u e [ N m ] 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 To ta l Lo ss To rq u e [ N m ]

Input Torque (Tin) Output Torque (Tout)

Total Loss Torque on Pinion Shaft (Tin�Tout/i) 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE Pinion Rotational Speed [rpm]

F ri c ti o n L o ss T o rq u e [ N m ] 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 T o ta l F ri c ti o n L o ss [ N m ]

Gear Friction Loss Count on Pinion SFT (Tsg/i) Pinion Friction Loss Torque (Tsp)

Total Friction Loss on Pinion Shaft (Tsp+Tsg/i) Pinion Gear Cro�n Gear

Lu�rication Oil

Fig.3 Inside View of Gearbox

Fig.4 Friction Loss Torque of Pinion/Crown Gear Shaft

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

Pinion Rotational Speed [rpm]

F ri c ti o n L o ss T o rq u e [ N m

] Pinion Friction Loss Torque (Tsp) Gear Friction Loss Torque (Tsg)

2.� ハイポイドギヤの噛合ロストルクの算出 本論文は負荷トルクによるピニオンとギヤ軸の軸受な どの摩擦ロストルクの変化を無視し,歯車箱の全体ロスト ルク(図7)と摩擦ロストルク(図5)の差でハイポイド ギヤの噛合ロストルクを算出する. 図8は算出したハイポイドギヤの噛合ロストルクで,図 7と同じ三次元棒グラフでまとめて示している.図7の歯 車箱の全体ロストルク同様に,図8の純粋な噛合ロストル クも回転数の影響が小さく,負荷トルクの上昇に従って直 線的に増加していることは興味深い. �.ロストルクと伝達効率の計測結果 �.1 ロストルクの内訳分析 以上の計測結果から,歯車箱の全体ロストルクもハイポ イドギヤの噛合ロストルクも負荷トルクの上昇に従って 直線的に増加していることが解ったので,本論文では,実 測したロストルクの内訳を更に詳しく分析した. 図9は横軸が負荷トルクで,縦軸が図5の摩擦ロス及び 図8の噛合ロスの平均値を積み上げ縦棒グラフにまとめ 直した.軸受などの摩擦ロスは負荷トルクに因らず一定と しているが,ハイポイドギヤの噛合ロスは負荷トルクと直 線的な関係になっている.なお,図9の各棒の全高さは歯 車箱の全体ロストルクそのもので,やはり負荷トルクと線 形関係を持っている. �.2 ロストルクの割合分析 図10は図9の平均ロストルクをピニオン軸の入力ト ルクで割り算して,各ロストルクの占める割合(即ち,ロ スの%比率)を求めている. その結果,図10は図9の様相と一転し,軸受などの摩 擦ロスの%比率は負荷トルクの増加に従って2次曲線的 に減少し,ハイポイドギヤの噛合ロスの%比率は負荷トル クに関係なくほぼ一定の値となっている. 図10は個々のロスの%比率であるため,100%から引 き算すれば,各々の伝達効率を求めることができる. �.� 歯車箱全体の伝達効率 図11は歯車箱全体の伝達効率で,図10の各縦棒の全 体高さ(=歯車箱全体の伝達ロスの%比率)を 100%から 引いて求めている.歯車箱全体の伝達効率としては,負荷 トルクの増加に伴って2次曲線的に高くなって,負荷トル クに強く依存している. 図10と図11から,歯車箱全体の伝達効率の強い負荷 トルク依存性は軸受などの摩擦ロスの%比率の負荷トル ク依存性に由来していることが分かる. �.� ハイポイドギヤの噛合効率 図12はハイポイドギヤの噛合効率で,図10中のギヤ 噛合ロスの%比率を 100%から引いて求めている.純粋な ハイポイドギヤの噛合効率は負荷トルクの大小に関係な 0 2 4 6 8 T o ta l L o ss T o rq u e [ N m ] 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE 90 180 270 360 450

Pinion Rotational Speed [rpm]

Crow n To rque [Nm] 0 1 2 3 4 5 M e sh L o ss T o rq u e [ N m ] 1000 2000 3000 4000 5000 6000 AVE 90 180 270 360 450

Pinion Rotational Speed [rpm]

Crow n To

rque [Nm]

Fig.10 Percentage Analysis of Loss Torque Fig.8 Mesh Loss Torque of Hypoid Gear

Fig.9 Details of Loss Torque

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] L o ss T o rq u e o n P in io n S h af t [N m

] Total Friction loss Gear Mesh Loss

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] P e rc e n ta ge o f L o ss T o rq u

e % of Total Friction loss % of Gear Mesh Loss Fig.7 Total Loss Torque of Hypoid Gearbox

(4)

く殆ど変化せず,トルク負荷依存性はないことが解る. �.ハイポイドギヤ噛合効率の�論計算 �.1 Coleman 計算式 ハイポイドギヤ効率計算式の一つとして,有名なグリー ソン社の Coleman 式(1)がよく用いられている. ここで,各変数は下記の通りである. η:噛合効率(%) T:ピニオン駆動トルク(Nm) Tmax:歯元応力=2.75×30000psi 相当のトルク Tmax=2.75×21/(0.06104×Q) (Nm)

Q:Strength Factor of Bending Stress μ:歯面摩擦係数(本論文はμ=0.06 とする.) φ:平均圧力角(deg) ψG:ギヤのねじれ角(deg) ψP:ピニオンのねじれ角(deg) E:ピニオンのオフセット量(mm) D:ギヤの大端ピッチ径(mm) この Coleman 式は歯筋と歯形方向の滑り率の平方根に摩 擦係数や圧力角及びトルク比の平方根を掛けたシンプル なもので,ハイポイドギヤの基本諸元(オフセット量・ピ ッチ径・ねじれ角など)を入力すれば,誰でも簡単に噛合 効率を求めることができるため,広く使われている. 一方,この式は分母の中で,軸受などの摩擦ロスの%比 率を1%(=0.01)一定とし、ギヤの噛合ロスの%比率(歯 筋と歯形の合成滑り率)に負荷トルク比を掛けて負荷トル クの影響を考慮しており,“ハイポイドギヤ効率が負荷ト ルクに強く依存する”拠り所とされているが,厳密に実測 で検証された報告が殆ど無い. 図13は上記の Coleman 式の効率計算値を図11の歯車 箱全体の効率実測値と比較している.Coleman 式の効率計 算値は歯車箱全体効率の実測値より大幅に低くギヤの噛 合ロス率を過大に評価しているが,実測結果同様に強い負 荷トルク依存性を示している.この結果から,Coleman 式 はハイポイドギヤの噛合ロスだけでなく,歯車以外の軸 受・オイルシール等の摩擦ロスも含めた実験式であること を改めて示唆していると考えられる. �.2 Coleman 改�式 一方,図10~図12の効率実測結果から考察すると, Coleman 式は負荷依存性の強い軸受ロスの%比率を1%一 定としている上,負荷依存性の無いギヤの噛合ロスの%比 率に負荷トルク依存性を持たせていることなど,説明でき 80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] T o ta l Ef fi c ie n c y o f G e ar bo

x Measured Gearbox Total Efficiency

Fig.11 Measured Gearbox Total Efficiency

Fig.13 Gearbox Efficiency vs. Original Coleman Fig.12 Measured Gear Mesh Efficiency

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 AVE Output Torque [Nm] M e sh E ff ic ie n c y o f H yp o id G e ar

Measured Gear Mesh Efficiency

Calculated Efficiency by Modified Coleman

Fig.14 Gear Mesh Efficiency vs. Modified Coleman

tan tan

0.15 1 0.01 cos 1 1 2 16 2 max                              D E T T g p      80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] Me sh Eff ic ie n c y o f H yp o id G e

ar Measured Gear Mesh Efficiency

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] T o ta l E ff ic ie n c y o f G e ar bo

x Measured Gearbox Total EfficiencyCalculated Efficiency by Original Coleman

ない疑問点が多く残っている. これに対し,本論文は歯車以外の軸受・オイルシール等 の摩擦ロスを排除した純粋なギヤの噛合ロスを考慮した ハイポイドギヤの噛合効率の計算式を提案する. まず,図12に示す通り,実測したハイポイドギヤの噛 合効率はトルク負荷依存性がないため,そのまま Coleman 式が使えないと考えられる. そこで,本論文は,滑り率のみを考慮するヘリカルギヤ の効率計算式(2)を参考に,Coleman 式の中で,トルク項と 軸受ロス項を省略した改良式を試みた. 図14はこの Coleman 改良式の効率計算値を図12のハ イポイドギヤ噛合効率の実測値と比較している.Coleman 改良式の効率計算値は実測結果同様に負荷トルクに関係 なく一定で,ハイポイドギヤ噛合効率の実測値ともほぼ一 致している. 5.�� CVT 用�効率ハイポイドギヤの�� 図15は世界初の縦置き4輪駆動チェーン式 CVT(3)のカ ットモデル図で,前輪を駆動するフロントハイポイドギヤ を内蔵している.このハイポイドギヤは常時噛み合いのた め,その効率は燃費にとって極めて重要で,ギヤ噛合効率 向上と軸受摩擦ロス低減の両面で改善している。本論文で は,その中のギヤ噛合効率の向上策の一部を紹介する. 5.1 オフセットの�� 図16は試作して実験した3種類のオフセットE =23mm, 15mm,0mm のハイポイドギヤの写真で,ギヤ大端ピッチ径 Dが各々異なっている.オフセット=0mm 品は所謂スパイラ ルベベルギヤである. 図17はこの3種類のハイポイドギヤの噛合効率を比 較し,それぞれ実測値と計算値を示している.なお,計算 値は本論文で提案した Coleman 改良式によるものである. 図17に示す通り,ハイポイドギヤの噛合効率はピニオ ンオフセットの減少に伴ってヘリカルギヤの噛合効率(約 99%)に近づいていく. 5.2 ねじれ角の�� 図18は試作して実験した2種類のねじれ角ψP=50deg, 46deg のハイポイドギヤの写真である.ねじれ角が異なっ ても,歯数やオフセット及び組立寸法が同一になるよう設 計しているため,同じ CVT トランスミッションや計測用歯 車箱に組み込むことができるようにしている. 図19は机上でノミナル歯面同士を噛み合せて求めた ギヤ歯面上の滑り速度分布を同じコンタースケールで比 Engine Front Axle Rear Hypoid Gear Chain CVT

Fig.15 Symmetrical AWD-Chain Type CVT

E =23

D =170

E =15

D =175

E =0

D =130

Fig.16 Tested Hypoid Gears with Different Offset

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 23 15 0 Pinion Offset [mm] M e sh Effi c ie n c y o f H yp o id G e ar

Measured Gear Mesh Efficiency

Calculated Efficiency by Modified Coleman

Fig.17 Mesh Efficiency vs. Offset

                             2 16 2 0.15 1 tan tan cos 1 1 D E g p

(5)

く殆ど変化せず,トルク負荷依存性はないことが解る. �.ハイポイドギヤ噛合効率の�論計算 �.1 Coleman 計算式 ハイポイドギヤ効率計算式の一つとして,有名なグリー ソン社の Coleman 式(1)がよく用いられている. ここで,各変数は下記の通りである. η:噛合効率(%) T:ピニオン駆動トルク(Nm) Tmax:歯元応力=2.75×30000psi 相当のトルク Tmax=2.75×21/(0.06104×Q) (Nm)

Q:Strength Factor of Bending Stress μ:歯面摩擦係数(本論文はμ=0.06 とする.) φ:平均圧力角(deg) ψG:ギヤのねじれ角(deg) ψP:ピニオンのねじれ角(deg) E:ピニオンのオフセット量(mm) D:ギヤの大端ピッチ径(mm) この Coleman 式は歯筋と歯形方向の滑り率の平方根に摩 擦係数や圧力角及びトルク比の平方根を掛けたシンプル なもので,ハイポイドギヤの基本諸元(オフセット量・ピ ッチ径・ねじれ角など)を入力すれば,誰でも簡単に噛合 効率を求めることができるため,広く使われている. 一方,この式は分母の中で,軸受などの摩擦ロスの%比 率を1%(=0.01)一定とし、ギヤの噛合ロスの%比率(歯 筋と歯形の合成滑り率)に負荷トルク比を掛けて負荷トル クの影響を考慮しており,“ハイポイドギヤ効率が負荷ト ルクに強く依存する”拠り所とされているが,厳密に実測 で検証された報告が殆ど無い. 図13は上記の Coleman 式の効率計算値を図11の歯車 箱全体の効率実測値と比較している.Coleman 式の効率計 算値は歯車箱全体効率の実測値より大幅に低くギヤの噛 合ロス率を過大に評価しているが,実測結果同様に強い負 荷トルク依存性を示している.この結果から,Coleman 式 はハイポイドギヤの噛合ロスだけでなく,歯車以外の軸 受・オイルシール等の摩擦ロスも含めた実験式であること を改めて示唆していると考えられる. �.2 Coleman 改�式 一方,図10~図12の効率実測結果から考察すると, Coleman 式は負荷依存性の強い軸受ロスの%比率を1%一 定としている上,負荷依存性の無いギヤの噛合ロスの%比 率に負荷トルク依存性を持たせていることなど,説明でき 80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] T o ta l Ef fi c ie n c y o f G e ar bo

x Measured Gearbox Total Efficiency

Fig.11 Measured Gearbox Total Efficiency

Fig.13 Gearbox Efficiency vs. Original Coleman Fig.12 Measured Gear Mesh Efficiency

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 AVE Output Torque [Nm] M e sh E ff ic ie n c y o f H yp o id G e ar

Measured Gear Mesh Efficiency

Calculated Efficiency by Modified Coleman

Fig.14 Gear Mesh Efficiency vs. Modified Coleman

tan tan

0.15 1 0.01 cos 1 1 2 16 2 max                              D E T T g p      80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] Me sh Eff ic ie n c y o f H yp o id G e

ar Measured Gear Mesh Efficiency

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 90 180 270 360 450 Output Torque [Nm] T o ta l E ff ic ie n c y o f G e ar bo

x Measured Gearbox Total EfficiencyCalculated Efficiency by Original Coleman

ない疑問点が多く残っている. これに対し,本論文は歯車以外の軸受・オイルシール等 の摩擦ロスを排除した純粋なギヤの噛合ロスを考慮した ハイポイドギヤの噛合効率の計算式を提案する. まず,図12に示す通り,実測したハイポイドギヤの噛 合効率はトルク負荷依存性がないため,そのまま Coleman 式が使えないと考えられる. そこで,本論文は,滑り率のみを考慮するヘリカルギヤ の効率計算式(2)を参考に,Coleman 式の中で,トルク項と 軸受ロス項を省略した改良式を試みた. 図14はこの Coleman 改良式の効率計算値を図12のハ イポイドギヤ噛合効率の実測値と比較している.Coleman 改良式の効率計算値は実測結果同様に負荷トルクに関係 なく一定で,ハイポイドギヤ噛合効率の実測値ともほぼ一 致している. 5.�� CVT 用�効率ハイポイドギヤの�� 図15は世界初の縦置き4輪駆動チェーン式 CVT(3)のカ ットモデル図で,前輪を駆動するフロントハイポイドギヤ を内蔵している.このハイポイドギヤは常時噛み合いのた め,その効率は燃費にとって極めて重要で,ギヤ噛合効率 向上と軸受摩擦ロス低減の両面で改善している。本論文で は,その中のギヤ噛合効率の向上策の一部を紹介する. 5.1 オフセットの�� 図16は試作して実験した3種類のオフセットE =23mm, 15mm,0mm のハイポイドギヤの写真で,ギヤ大端ピッチ径 Dが各々異なっている.オフセット=0mm 品は所謂スパイラ ルベベルギヤである. 図17はこの3種類のハイポイドギヤの噛合効率を比 較し,それぞれ実測値と計算値を示している.なお,計算 値は本論文で提案した Coleman 改良式によるものである. 図17に示す通り,ハイポイドギヤの噛合効率はピニオ ンオフセットの減少に伴ってヘリカルギヤの噛合効率(約 99%)に近づいていく. 5.2 ねじれ角の�� 図18は試作して実験した2種類のねじれ角ψP=50deg, 46deg のハイポイドギヤの写真である.ねじれ角が異なっ ても,歯数やオフセット及び組立寸法が同一になるよう設 計しているため,同じ CVT トランスミッションや計測用歯 車箱に組み込むことができるようにしている. 図19は机上でノミナル歯面同士を噛み合せて求めた ギヤ歯面上の滑り速度分布を同じコンタースケールで比 Engine Front Axle Rear Hypoid Gear Chain CVT

Fig.15 Symmetrical AWD-Chain Type CVT

E =23

D =170

E =15

D =175

E =0

D =130

Fig.16 Tested Hypoid Gears with Different Offset

80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 23 15 0 Pinion Offset [mm] M e sh Effi c ie n c y o f H yp o id G e ar

Measured Gear Mesh Efficiency

Calculated Efficiency by Modified Coleman

Fig.17 Mesh Efficiency vs. Offset

                             2 16 2 0.15 1 tan tan cos 1 1 D E g p

(6)

較している.計算条件は同じで,ピニオン回転数が同じ 1000rpm である.ねじれ角の小さい方が滑り速度も小さく なっていることが解る. 図20はこの2種類のハイポイドギヤの噛合効率を比 較し,それぞれ実測値と計算値を示している.なお,噛合 効率の計算値は本論文で提案した Coleman 改良式によるも のである.図20に示す通り,ハイポイドギヤの噛合効率 は僅かではあるが,ピニオンねじれ角の減少に伴って向上 している. 以上のことから,新型 CVT シリーズ(4)~(5)には強度や振 騒も勘案して小オフセット 15mm,弱ねじれ角 46deg の高効 率ハイポイドギヤを投入している. �.� と め 本論文はハイポイド歯車箱で各構成部品の伝達ロスを 詳細に実測してハイポイドギヤ伝達効率の実態を解明し た上,新開発 CVT トランスミッション用ハイポイドギヤの 高効率化を試みた. (1) ハイポイド歯車箱全体の伝達ロスは軸受などの摩擦ロ スとハイポイドギヤの噛合ロスに分けられる. (2) 歯車箱全体の伝達効率は負荷トルク依存性が強く,軸 受摩擦ロスの%比率の負荷依存性に由来している. (3) 従来のColeman式はハイポイドギヤの噛合ロスだけで なく,軸受などの摩擦ロスも含めた実験式となってい るが,負荷トルク依存性の強い軸受摩擦ロスの%比率 を1%一定としており,負荷トルク依存性の無いギヤ 噛合ロスの%比率に負荷トルク依存性を持たせている ことなど,説明できない疑問点が多く残っている. (4) ハイポイドギヤの純粋な噛合効率は負荷トルク依存性 がなく,従来のColeman式からトルク項と軸受摩擦ロス 項を無視したColeman改良式が理に適う. (5) ハイポイドギヤの高効率化には小オフセット化と弱ね じれ角化が有効であることを解析と実測の両面で検証 し,新型CVTに投入できた. 今後は軸受摩擦ロスへの油温や負荷の影響解明を試みる.

� � 文 �

(1) Coleman W.: Computing Efficiency for Bevel and Hypoid Gears, Machine Design (1975)

(2) 両角宗晴: 遊星覇者と差動歯車の理論と設計計算法, P89, 日刊工業新聞社 (1989) (3) 星加直明,広瀬隆,阿比留裕樹:“リニアトロニックの 開発”,スバル技報, No.39, P51-57 (2009) (4) 佐藤直樹,松前和伸,西田裕之,里村聡:“新型インプ レッサ用リニアトロニックの開発”,自動車技術会シン ポジウムテキスト, No.03-11, P25-28 (2011) (5) 木倉崇晴ほか5名:”新型リニアトロニックの開発”, 2011年度関東支部学術研究講演会前刷集, A1-3 (2012) 80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% 50 46

Pinion Spiral Angle [deg]

M e sh E ff ic ie n c y o f H yp o id G e ar

Measured Gear Mesh Efficiency

Calculated Efficiency by Modified Coleman

Fig.20 Mesh Efficiency vs. Spiral Angle Fig.18 Hypoid Gears with Different Spiral Angle

ψ

p=50deg

ψ

p=46deg

Toe

Toe

Root

Root

Min:0.5[m/s]       Max:2.0[m/s]

ψp

�50deg

ψp

�46deg

Fig.19 Sliding Speed on Gear Tooth Flank @1000rpm

低速旋回時の目標車両運動

−ヨーレート・車体スリップ角の定常ゲインの関係考察−

服部 義和 浅井 彰司 土屋 義明 リムピパンデン ティーラワット は じ め に 前後輪操舵システムの開発により,車両の平面運動は大きく 変革し,所望の車両運動特性をより容易に実現できるように なった .一方でその自由度を活かしてどのような運動 目標を設定すればよいかについては様々な議論がされている が,それらの多くは車体スリップ角ゼロ化制御に代表される ような主に中高速域での操縦安定性に焦点を当てたものが多 い 我々はこれまでに主に中高速域の目標車両特性の決定法と それを実現する前後輪操舵システムの制御手法について検討 してきた.これらの検討ではドライバの視覚と体性感覚に対 する感受特性に注目し,これらに基づきドライバが感じる車両 運動の大きさを適切に調整することが重要であることを述べ てきた . 本報告では低速時の車両運動目標特性について検討する. 交差点での右左折や駐車時など,低速では大きな操舵量が必要 年 月 日受理. 年 月 日 自動車技術会 春季学術講演会において発表. (株)豊田中央研究所 愛知県長久手市横道 トヨタ自動車株式会社 静岡県裾野市御宿 番地 になる場合が多く,これまではドライバの操作量を軽減するた め,車両特性としてはハンドル角からヨーレートまでのゲイン を大きく設定することが試みられてきた.しかしながら狭路 や駐車場などでは微小な位置あわせが必要とされる場面も多 く,大きすぎるヨーレートゲインは操作性を損なうことにな る.一方で,低速走行時には中高速時に比較して大きな車体ス リップ角が発生するため,ドライバが感じる車両運動対する車 体スリップ角の影響は大きいことが予想される.本報告では 種々の車体スリップ角とヨーレートの組み合わせがドライバ の旋回運動の感受特性や官能評価に与える影響について検討 する. 本報告の構成を以下に記す.第 章に実験に用いた前後輪 ステアシステムの概要と運動モデルを示す.次に,第 章で 前後輪操舵システムを用いた低速旋回時の操作性に対する評 価試験について述べる.テストドライバによる官能試験の結 果,一般には外向きとなる低速旋回時の車体スリップ角を小 さくするほどドライバはハンドル角に対するヨーレートのゲ インが大きくても違和感なく操縦できることがわかった.第 章では,この結果をドライバモデルに基づく解析によって解釈 する.ドライバーは車体の向きと目標地点とのなす角を前方 注視角と認識して 次の前方注視モデルに基づいて操舵する と仮定し,曲線路追従時の人間−自動車系閉ループにおけるド ライバモデルのゲインがドライバが感じる車両の旋回特性に 影響すると考えると,前述の車体スリップ角とヨーレート組み 合わせに対するドライバの官能評価結果を説明できることを

参照

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