会社法
韓国における会社の設立から清算までの過程は、商法の会社編(第 169 条~第 637 条の 2)で定めている。 商法上、会社は、合資会社、合名会社、有限責任会社、有限会社、株式会社に区 分されているが、ここでは、最も一般的な形態である株式会社についてのみ説明する こととする。 なお、韓国では条文上、取締役を「理事」、監査役を「監事」と規定し、取締役会、監 査委員会もそれぞれ「理事会」、「監事委員会」というが、ここでは日本の名称に合わせ て説明する。 株式会社は、会社の設立時に株式の引受方法によって発起人が全株式を引き受け る発起設立と、発起人及び外部投資者が株式を引き受ける募集設立の 2 つの方法が あるが、次に、発起設立についてのみ説明することとする。1) 定款の作成
株式会社を設立するためには発起人1は定款を作成しなければならない。 定款とは、社団法人の組織・活動を定めた根本規則として、商法では必ず記載しな ければならない絶対的記載事項及び記載することで効力が発生する相対的記載事項 を区分している。定款は公証人の認証で效力が発生する。ただし、資本金が 10 億未 満の単純設立の場合には各発起人が定款に記名捺印又は署名することにより效力が 発生する。 株式会社の定款の絶対的記載事項は、会社の目的・商号、会社が発行する株式総 数、額面株式を発行する場合の 1 株の金額、会社設立時に発行する株式総数、本店 所在地、会社が公告する方法、発起人の氏名・住民登録番号及び住所である。一方、 1 1 人以上であればよく、資格に制限がないため、法人も可能である。Ⅳ
相対的記載事項は、変態設立事項(発起人の特別利益、現物出資、財産引受、設立 費用、発起人の報酬)がその代表的な例である。
2) 株式発行事項の決定
会社の設立時に発行する株式に関する事項(株式の種類及び数、額面株式を発行 する場合、額面以上の株式を発行する場合のその数及び金額、無額面株式を発行2 する場合の株式の発行価額及びその株式の発行価額のうち資本金として計上する金 額)を定款で別途定めていなければ、発起人全員の同意でこれを定める。3) 株式の引受と払込
株式会社の設立時に発行する株式は発起人がすべて引き受ける。発起人は、書面 にて株式を引き受けなければならず、設立時に会社が発行する株式の総数を引き受 けなければならない。 発起人は株式引受価額を払込銀行と払込場所を指定しなければならず、株式引受 後は遅滞なく引受価額の全額を払い込まなければならない。 発起人の株式引受は定款の作成とともに会社を設立する設立行為のうち一つで、 合同行為である。4) 取締役と監査役(又は監査委員会)の選任
発起人の株式引受価額全額の払込と現物出資の履行が完了されれば、発起人は ただちに議決権の過半数をもって会社の規模により以下のように取締役と監査役、又 は監査委員会を設置する場合には監査委員会委員を選任しなければならない。 区分 一般会社 (資本金10億ウォン以上) 小規模会社 (資本金10億ウォン未満) 取締役 3人以上選任 1人以上選任 監査役 1人以上 監査役選任免除 監査委員会 監査役を選任しない場合には、取締役会 内に監査委員会を置かなければならな 監査役選任免除 2 商法第 329 条によると、会社が定款に定めて株式の全部を無額面株式として発行することも可能である。区分 一般会社 (資本金10億ウォン以上) 小規模会社 (資本金10億ウォン未満) い。3人以上の取締役で構成するものの、 その3分の2以上が社外取締役でなけれ ばならない。
5) 取締役と監査役又は公証人の調査報告
取締役と監査役は就任後、ただちに会社の設立に関するすべての事項が法令又は 定款の規定に違反しないかどうかを調査して発起人に報告しなければならない。 取締役と監査役のうち、発起人であった者や現物出資者、又は会社の成立後、譲 受する財産の契約当事者である者は、上記の調査・報告に参加することができない。 取締役と監査役の全員がこれに該当する場合には、公証人が上記の調査・報告を行 わなければならない。 変態設立事項3がある場合には、取締役はこれに関する調査をするために検査人の 選任を裁判所に請求しなければならない。ただし、①現物出資、財産引受の対象とな る財産の総額が資本金の 5 分の1と 5,000 万ウォンのうちいずれか低い金額を超過し ない場合、又は②その財産が取引所の相場のある有価証券として定款に記載された 有価証券の価格が一定の方法で算定された相場を超過しない場合は、検査人の選任、 調査報告を省略することができる。また、変態設立事項のうち、発起人の特別利益、設 立費用、発起人が受け取る報酬に関しては公証人の調査・報告で、現物出資、財産 譲受に関しては、鑑定人の鑑定で検査人の調査に代えることができる。選任された検 査人は変態設立事項と現物出資の履行を調査して裁判所に報告しなければならない。 公証人又は鑑定人で代替する場合、公証人又は鑑定人は調査或いは鑑定結果を裁 判所に報告しなければならない。6) 代表取締役の選任
代表取締役は会社を代表し、業務を執行する会社の機関である。ただし、会社が執 行役員を置く場合は、代表取締役を置くことができない。 代表取締役は原則的に取締役会で選任するものの、定款によって株主総会で直接 3 発起人の特別利益、現物出資、財産譲受、設立費用、発起人の報酬選任することもできる。代表取締役の資格や人員数には制限がない。代表取締役は取 締役の資格喪失、辞任、任期の終了、取締役会或いは株主総会の解任決議などによ って終任する。
7) 設立登記
取締役、監査役又は公証人の調査報告が完了した日(変態設立事項がある場合に は、検査人などの調査報告と裁判所の処分が完了した日)から 2 週間以内に本店所在 地で設立登記をしなければならず、本設立登記を行うことで法人が成立する。 会社は設立後、又は新株の払込期日後、ただちに株券を発行しなければならない。 株券は 1 枚でどれほどの株式数を表示するかによって、1 株券・10 株券・100 株券 などに分けられる。株券を紛失した場合には公示催告の手続によって無効にすること ができ、除権判決を受けて株券再発行を請求することもできる。 株式は原則的に自由に譲渡することが可能であるが、非上場法人の場合、譲渡に 際しては取締役会の承認を得るよう定款に定めることができる。また、株式は財産権と して質権などの担保権の目的物ともなり、共有もできる。一方、会社の発行済株式総数 の 100 分の 95 以上を自己の計算で保有している株主(以下、“支配株主”)は、会社の 経営上の目的を達成するために必要な場合、会社の他の株主(以下、“少数株主”)に 当該保有する株式の売却を請求することができ、支配株主がある会社の少数株主は いつでも支配株主に当該保有株式の買収を請求することができる。売却又は買収請 求を受けた株主は請求時点から 2 ヶ月以内に株式を売却又は買収しなければならな い。 会社は直前決算期の財務状態表上の純資産価額から資本金の額、その決算期ま で積み立てられた資本準備金と利益準備金の合計額、その決算期に積み立てなければならない利益準備金4の額、未実現利益5を控除した金額(以下、“配当可能利益”) を限度とし、株主総会の決議(配当決定権が取締役会にある場合は、取締役会の決 議)により自己計算で自己株式を取得することが可能である。また、特別な場合6は配 当可能利益を超過しての自己株式の取得が可能である。
1) 新株の発行
新株発行は、定款の変更ではなく、定款に株主総会の決議を要するという意味の規 定がない限りは取締役会の決議をもって発行することができる。この決議で決定する事 項は定款に別途規定がない限り、発行する株式の種類と数、新株の発行価額と払込 期日、無額面株式の場合は新株の発行価額のうち資本金として計上する金額7、新株 の引受方法、現物出資を行う者の氏名と目的の財産の種類・数量・価額とこれに対し て付与する株式の種類と数などに関するものである。この場合、額面に達しない発行 (割引発行)も可能であるが、その場合には、必ず会社成立後 2 年が経過しなければ ならず、株主総会の特別決議8 及び裁判所の認可を得なければならない。新株引受 人は払込期日に株金払込額の全額を払い込まなければならないが、取締役会の同意 の下で株金払込債務と会社に対する債権を相殺する出資転換も許容している。2) 減資
減資の方法では、株式金額の減少による方法(株式金額の一部を返還する有償減資 方法と株主の犠牲により株式金額の一部を減少させる無償減資の方法)、株式消却と株 式併合のような株式数の減少による方法があり、この 2 つの方法の併用も可能である。 株式会社では株主総会の特別決議を必要とし、欠損の補填のために減資を行う場合 を除いては、債権者保護のために債権者の異議提出することを公告し、知っている債権 者に対してはそれぞれ催告しなければならない。 4 資本の 2 分の 1 に達するまで、毎決算期に金銭による利益配当額の 10 分の 1 以上を積み立てる。 5 未実現利益とは、一般的に認定される会計原則による資産及び負債に対する評価により増加した財 務状態表上の純資産額(例えば、売買目的証券に対する評価益、持分法適用投資株式に対する評 価益など)で、未実現損益と相殺していない金額を意味する。 6 合併又は他社の営業全部を譲受した時、会社の権利を行使するにあたりその目的達成に必要な時、 端株の処理時、株主の株式買取請求権の行使時 7 無額面株式の場合、発行価額の 1/2 以上を資本金として計上しなければならない。 8 出席した株主の議決権の 3 分の 2 と発行株式総数の 3 分の 1 以上の決議1) 株主総会
定時株主総会では主に、計算書類の承認・利益配当に関する決議などが行われて おり、臨時株主総会は営業の譲渡、取締役の解任など、必要によって随時招集する。 招集手続・招集場所・招集回数に関しては商法にその規定がある。 株主総会の招集に対しては、取締役会が決定する。ただし、発行株式総数の 100 分の 3 以上に該当する株式を持つ株主又は会社の監査役は、書面或いは電子文書 (E-Mail) を取締役会に提出して臨時総会の招集を要求することができ、一定の場合 は裁判所も代表取締役に株主総会の招集を命ずることができる。 株主総会の議事方法に関しては商法に規定がないため、定款の規定や慣習による。 株主総会の議事においては議事録を作成する必要があり、取締役は本店及び支店に それを備え置く義務がある。 株主総会の議決権行使は書面或いは電子的な方法(インターネット) で可能であり、 決議は多数決の原則を取り、普通決議9と特別決議がある。定款の変更、会社の解散、 会社の合併、会社の継続、取締役・監査役の解任、資本の減少(欠損の補填のための 場合は普通決議で可能である)、設立委員の選任、営業の全部又は重要な一部の譲 渡などの重要な意思決定は必ず特別決議を行わなければならない。2) 取締役及び取締役会
取締役は株主総会で選任され、3 人以上(資本金 10 億ウォン未満は 1 人以上10)で なければならず、取締役の任期は 3 年を超過することはできない。ただし、定款により、 その任期中の最終の決算期に関する定時株主総会の終結に至らせるまで延長するこ とができる。 法令及び定款として株主総会の権限となっていることを除いた業務執行に関する事 項は取締役会の決議によって行われる。商法上、取締役会の決議事項としては株主 9 出席した株主の議決権の 2 分の 1 と発行株主総数の 4 分の 1 以上の決議 10 取締役会構成員が 1 人又は 2 人である場合には、取締役会の固有権限の大部分が株主総会権限 に移転される。総会の招集、重要な資産の処分・譲渡、大規模財産の借入、支配人の選任・解任、支 店の設置・移転又は廃止、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選任と共同代表 の決定、取締役の自己取引の承認、新株発行事項の決定、社債の募集などであり、そ れ以外にも商法上会社が決定しなければならないとなった事項はその性質上、取締 役会の決議事項とみなさなければならない。 取締役会の招集は開催日を定め、その 1 週間前に各取締役及び監査役に通知を 発送しなければならないものの、その期間は定款で短縮することができる。取締役及 び監査役全員の同意がある場合には、招集手続を省略することも可能である。 また、取締役会の決議は取締役の過半数の出席と出席取締役の過半数をもって決 定するものの、定款でその比率を高く定めることができる。決議に特別な利害関係があ る取締役は議決権を行使することができない。 株主総会とは異なり書面決議は不可能であるものの、定款で別途定める場合を除 いては、取締役会は取締役の全部又は一部が直接会議に出席せず、すべての取締 役が音声を同時に送受信する遠隔通信手段により決議に参加することを許容できる。 さらに、取締役会の議事に関しては議事録を作成しなければならず、この議事録に は議事の案件、経過要領、その結果、反対する者及びその反対理由を記載し、議長と 出席取締役及び監査役が記名捺印しなければならない。 なお、取締役会の決議は代表取締役を拘束するが、その内容・招集手続・決議方 法が法令や定款に違反すると無効である。ただし、それは内部的な意思決定に過ぎな いため、それに基づく代表取締役の代表行為は、準備金の資本繰入のような場合を 除いては、原則的に有効である。 取締役は会社の業務を行うにあたって、善良な管理者の注意義務を果たさなけれ ばならず、法令及び定款の規定により会社のためにその職務を忠実に行わなければ ならない。 取締役は取締役会の構成員であるが、会社の業務を行うにあたって、会社の事業 機会を流用する可能性があるため、韓国の商法では、取締役は取締役会の承認なし に現在又は将来の会社の利益となり得る会社の事業機会を自己又は第三者の利益の ために利用してはならないと規定し、これを禁止している。 万一、取締役が故意又は過失により、法令又は定款に違反する行為を行うか、或い
はその任務を怠った場合、その取締役は会社に対して連帯して損害を賠償する責任 がある。ただし、会社は定款で定めるところにより、取締役がその行為を行った日以前 の最近1年間の報酬額(賞与金及びストックオプションの行使による利益などを含む) の6倍(社外取締役の場合は 3 倍)を超過する金額を免除することができる。ただし、(i) 取締役が故意又は重大な過失により損害を発生させた場合及び(ii)取締役の競業禁 止義務(第 397 条)、事業機会の流用禁止義務(第 397 条の 2)、自己取引禁止義務 (第 398 条)を違反した場合は責任を免除することができない。
3) 監査役又は監査委員会
株式会社の監査役は 1 つの必要機関として(資本金 10 億未満の会社は監査役選 任免除)取締役の職務執行を監査する常設機関である。その規定を要約すると、監査 役は株主総会で選任され、任期は就任後 3 年以内の最終決算期に関する定期総会 の終結までである。 監査役の独立性を保障するために、監査役選任の決議時、発行株式総数の 3%を 超過する株式を持った株主はその超過する議決権を行使することはできない。なお、 監査役は、解任時に株主総会で監査役解任に関する意見陳述権を持つ。 監査役は、会社及び子会社の取締役・支配人又はその他使用人の職務を兼ねるこ とはできず、いつでも取締役に営業に関する報告を要求することができる。また、親会 社の監査役は子会社に対して営業の報告を要求することもできる。監査役がその任務 を怠った場合には会社又は第三者(悪意又は重大な過失による場合)に対する連帯損 害賠償責任がある。 監査委員会は取締役会内の委員会として 3 人以上の取締役で構成される。ただし、 構成員の 3 分の 2 以上は業務と関連のない社外取締役で構成されなければならない。 監査委員会の業務は監査役と同一であり、監査委員会を置く場合には監査役を置くこ とはできない。4) 執行役員制度
執行役員制度は取締役会の監督機能を活性化するため、業務執行は執行役員に 任せ、取締役会には重要な戦略的意思決定及び業務執行に対する経営監督機能の みを担当させ、業務執行及び経営監督機能を分離する制度である。執行役員を置く会社(以下、“執行役員設置会社”)は取締役会から執行役員を選出 し、取締役と同様に氏名及び住民登録番号を登記しなければならない。執行役員の任 期は、定款に他の規定がない場合は 2 年を超過できないものの、取締役と同様に任期 満了後に再選が可能である。しかし、取締役は任期中でも執行役員を解任することがで きる。執行役員設置会社と執行役員の関係は、民法のうち委任に関する規定が準用さ れるため、これは取締役と会社との関係と同様である。執行役員の報酬に対しては、定 款に規定がないか、或いは株主総会の承認がない場合、取締役会が決定する。 執行役員は会社の業務を執行し、定款又は取締役の決議により委任を受けた業務 執行に関する意思決定を行う。執行役員を置いている会社は、代表取締役を置くこと ができない代わりに、代表執行役員を置いて代表取締役の役割を果たすことになる。 代表執行役員は執行役員が 1 人である場合はその執行役員が、2 人以上である場 合は取締役の決議により選任される。 取締役が執行役員を兼任することができるかどうかに対しては意見が対立している ものの、実務的に兼任が可能であると解釈している。
1) 財務諸表の作成及び承認
取締役は定時株主総会の 6 週間前までに財務諸表(財務状態表11、損益計算書、 資本変動表、利益剰余金処分計算書<又は欠損金処理計算書>を意味し、会社が 株式会社の外部監査に関する法律第 2 条による外部監査の対象会社である場合は、 キャッシュ・フロー計算書、注記が追加される)及び営業報告書を作成して監査役(又 は監査委員会)に提出しなければならない。また、作成した財務諸表を定時総会に提 出して承認を要求しなければならず、承認を得たらただちに財務状態表を官報又は日 刊新聞に公告しなければならない。 11 K-IFRS の導入により、従来の“貸借対照表”が“財務状態表”にその名称が変更されたものの、商法で はまだこれが反映されていない。ここでは、便宜のために改正商法で使用している“貸借対照表”とい う用語の代わりに“財務状態表”と記載した。ただし、会社は定款に定めて財務諸表を取締役会の決議により承認することができ る。この場合、①財務諸表が法令及び定款により会社の財務状態及び経営成果を適 正に表示しているとの外部監査人の意見があり、②監査役(監査委員会設置会社の場 合は監査委員を意味する)全員の同意があることの 2 つの要件を満たさなければなら ない。
2) 準備金
商法上、会社の純資産額から資本金を控除した金額のうち、利益として配当せず、 会社に留保する金額である法定準備金と法の規定によらない任意準備金がある。法 定準備金は利益準備金と資本準備金に区分され、使用も制限されている。ただし、会 社は積み立てられた資本準備金及び利益準備金の総額が資本金の 1.5 倍を超過す る場合、株主総会の決議により、その超過した金額の範囲で資本準備金及び利益準 備金を減額することができ、減額された資本準備金及び利益準備金は配当などとして 処分が可能である。任意準備金は会社の定款の規定や株主総会の決議によってさま ざまな目的のために積み立てられるもので、用途には制限がない。3) 利益配当
会社は営利活動による利益を、株主に分配することを目的とする営利法人であるた め、株主の利益配当請求権は多数決をもってしても不当に剥奪・制限できない最も重 要な固有権限である。 利益配当は株主総会(上記の通り、財務諸表を取締役会が承認できるようにした場 合は取締役会)で決定する。 会社は株式配当の場合を除いては、その資本金の 2 分の 1 になるまで決算期毎に 利益配当額の 10 分の 1 以上を利益準備金として積み立てなければならず、会社が配 当可能な金額は財務状態表上の純資産価額から以下の金額を控除した金額を限度と する。 ① 資本金 ② その決算期まで積み立てられた資本準備金と利益準備金の合計額 ③ その決算期に積み立てなければならない利益準備金の額 ④ 未実現利益配当可能金額の計算の例示は、以下の通りである。 2013 年 12 月 31 日現在における会社の財務状況は、以下の通りである。 ①財務状態表の純資産価額(資産-負債):4 億 ②資本金:2 億 ③資本準備金:0.3 億 ④利益準備金:0.5 億 ⑤未実現利益:0.1 億 この時、2013 年の決算期に対する配当可能金額を計算すると、以下の通りである。 算式:(純資産価額-資本金-資本準備金-利益準備金-未実現利益)/1.1(*) 配当可能金額:(4 億ウォン-2 億ウォン-0.3 億ウォン-0.5 億ウォン-0.1 億ウォン)/1.1=1 億ウォン (*)1.1 は、当該配当金額に対する追加積立利益準備金によるものである。 利益配当は配当可能利益を超過することができない。配当可能利益を超過して配 当することは違法配当となる。しかし、人的会社である合名会社・合資会社の場合は法 で特別に規定していないため、定款によって利益配当をする。 配当の時期は毎営業年度末であり、中途では損益を確定することができないために 物的会社での中間配当は許容しないことが原則であるが、営業年度中 1 回に限って 取締役会の決議で一定の日を定め、その日の株主に対して金銭での利益配当ができ るよう定款で定めることができる。 配当の基準は原則的に株式数によるものとするが、優先株などがある場合は例外と なる。支払は現金を原則とするものの、株式会社の場合、例外的に利益配当総額の 2 分の 1 を超過しない範囲内で株式により配当することが可能で、定款に定めて金銭以 外の財産で配当できることを定めることもできる。
1) 合併
商法上、企業の合併には新設合併と吸収合併の 2 つがある。 会社は原則的に自由に合併することができ、種類が異なる会社、即ち、人的会社と 物的会社間でも合併することができ、目的が異なる会社間の合併も可能である。ただし、 合併を行う会社の一方又は双方が株式会社、有限会社又は有限責任会社である場 合は、合併により社員の責任が加重されてはならないため、存続会社又は新設会社は 必ず株式会社、有限会社又は有限責任会社とならなければならない。 合併の対価として被合併会社の株主に合併会社の株式を支給することが一般的で あるが、韓国の商法は合併の対価として合併会社の株式のみならず、現金又は合併 会社の親会社の株式を支給することが許容されているため、韓国でも三角合併が可能 である。これに従って、子会社である合併会社が子会社による親会社の株式取得を禁 止する商法第 342 条 2 にも関わらず、親会社の株式を取得することが許容された。 株式会社が合併を行うためには株主総会で合併契約書を承認しなければならない。 この時の決議は特別決議により(一定の要件を満たした簡易合併及び小規模合併の 場合は取締役会の承認で可能)、合併反対株主は会社に対して株式買取を請求する ことができる。 合併時には必ず債権者保護手続を取らなければならず、合併無効は各会社の株 主、取締役、監査役、清算人、破産管財人又は合併を承認していない債権者に限り、 合併登記日から 6 ヶ月以内に訴訟のみでこれを主張することができる。2) 分割
商法上、企業分割には分割された会社の持分を分割前の会社の株主が所有する 人的分割と分割前の会社が所有する物的分割があり、大部分が人的分割に対する規 定を置いており、物的分割は人的分割規定を準用するようにのみ定められている。 株式会社が分割を行うためには株主総会で分割計画書の承認を得なければならな い。この時の決議は特別決議によるものの、議決権のない株式も議決権を行使するこ とができる。分割によって新設される法人は、分割される会社の債務に対して原則的に連帯責 任を負担する。従って、分割の場合は合併とは異なり、債権者の保護手続を行う必要 がない。ただし、分割合併の場合及び分割により設立される会社が分割される会社の 債務のうち出資した財産に関する債務のみを負担する場合には、債権者の保護手続 を行わなければならない。
1) 解散
会社の解散は会社の法人格喪失に至る原因となるものの、ただちに権利能力を喪 失するのではなく、清算が終了される時に法人格が消滅する。 従って商法では、会社は解散後でも清算の目的範囲内で存続するものと規定して おり、破産による解散でも破産の手続が終了されて初めて法人格が消滅する。 解散の事由としては、存立期間の満了や定款で定めた事由の発生、合併、分割又 は分割合併、破産、裁判所の命令や判決、株主総会の特別決議などがある。2) 清算
合併の場合を除き、解散によってただちに会社が消滅するのではなく、既存の法律 関係が終結するまで存続する。この終結するまでの手続を清算といい、清算中である 会社(清算会社)は解散前の会社と同一な人格を持続し、ただ清算という目的の範囲 内で存続するものと解釈される。 従って、社員の出資義務と責任はそのまま存続するものの、営業を前提とするさまざ まな制度は適用されない。株式会社は債権者保護のために商法で定めた厳格な清算 手続を経なければならない。 なお、清算は財産状態の調査、現存事務の終結、債権の取立と債務の返済、財産 の換価処分、残余財産の分配、計算書の作成と承認、清算終結の登記、帳簿・書類 の保存手続による。持株比率 主な権利 1% 差止請求権-*取締役が法令や定款に違反し、会社に回復不能の損害が発生する 恐れがある場合 (商法第402条) 株主代表訴訟(商法第403 条) 3% 株主提案権(商法第363条の2第1項) 臨時総会の招集請求権(商法第366条第1項) 取締役選任に関する累積投票の請求権(商法第382条の2第1項) (裁判所に対する)取締役の解任請求権-*取締役がその職務に関して不正行為又 は法令や定款に違反する重大な事実があるにも関わらず、その取締役に対する解 任決議案の否決が条件(商法第385条第2項) 会計帳簿閲覧請求権(商法第466条第1項) (裁判所に対する)検査人の選任請求権-*業務執行上の不正行為と法令・定款違 反した事実があることを疑う自由があることが条件(商法第467条) (裁判所に対する)清算人の解任請求権-*不適格事由又は違反行為がある場合の み(商法第539条第2項) 10% (裁判所に対する)会社の解散請求権 -*会社の業務が著しい停滞状態を継続して 回復できない損害が発生したか、或いは発生する懸念がある場合、又は会社資産 の管理或いは処分の著しい失当により会社の存立を危うくした場合(商法第520条 第1項) 過半数 総会普通決議事項の決 議要件(商法第368条第1 項)(発行済株式総数の 1/4、出席株主の過半数 以上) ① 取締役又は監査の選任(商法第382条第1項、 第409条第1項) ② 財務諸表の承認(商法第449条) ③ 株式配当(商法第462の2条) ④ 取締役の報酬決定(商法第388条) ⑤ 総会の延期又は続行決定(商法第372条)
持株比率 主な権利 2/3 総会特別決議事項の 決議要件 (商法第434条)(発行済 株式総数の1/3、出席株 主の2/3) ① 株式分割(商法第329の2条) ② 株式の包括的交換(商法第360の3条) ③ 株式の包括的移転(商法第360の16条) ④ 営業譲受渡(商法第374条) ⑤ 取締役や監査役の解任(商法第385条) ⑥ 額面未満の株式発行(商法第417条) ⑦ 定款の変更(商法第434条) ⑧ 減資(欠損補填のための場合は除く)(商法第 438条) ⑨ 転換社債を株主以外へ発行(商法第513条) ⑩ 新株引受権付社債を株主以外へ発行(商法第 516条の2) ⑪ 会社の解散(商法第518条) ⑫ 会社の継続(商法第519条) ⑬ 合併(商法第522条) ⑭ 会社分割又は分割合併(商法第530の3第2項) 全株主 決議要件 ①法令・定款に違反した行為を行うか、その任務を 怠った発起人や取締役、監査役 清算人の免責 (商法第400条、第324条、第415条、第542条) ② 株式会社から有限会社への変更(商法第604条 第1項) 反対株主 株式の買取請求権 ① 包括的株式交換及び株式移転(商法第360の5 第1項、第360条の22) ② 営業譲渡、譲受、賃貸など(商法第374の2第1項) ③ 合併、分割合併(商法第522の3第1項、第530条 の11第2項) 上場会社の場合には、商法上、株主総会の招集、取締役・監査役の選任、利害関 係者との取引などに関連して優先的に適用する特例規定を置いているが、その主な 内容は以下の通りである。
1) 少数株主権及び株主総会の招集
上場会社の 1.5%以上の株を 6 ヶ月以上保有する株主は株主総会の招集を要求す ることができる。会社が株主総会の招集を通知又は公告する場合には、社外取締役な どの活動内訳及び報酬に関する事項、事業概要などの事項を通知又は公告しなけれ ばならず、1%以下の持分を保有する株主には日刊新聞や電子的な方法12で招集を 公告することにより招集手続が簡素化できる。万一、取締役・監査役の選任に関する 株主総会を招集通知又は公告する場合には、取締役・監査役候補者の氏名、略歴、 候補者と最大株主との関係などの内訳を通知或いは公告しなければならない。2) 取締役・監査役の選任
上場会社は取締役総数の 4 分の 1 以上を社外取締役としなければならない。ただ し、資産総額が 2 兆ウォン以上である上場会社は社外取締役を 3 人以上にするもの の、取締役総数の過半数を構成しなければならず、社外取締役が 2 分の 1 以上で構 成されている候補推薦委員会を設置しなければならない。 一方、資産総額が 1 千億ウォン以上である上場会社は常勤監査役を 1 人以上おか なければならず、資産総額が 2 兆ウォン以上である場合には監査委員会を義務的に 設置しなければならない。監査委員会を設置した場合には常勤監査役の選任が免除 される。監査委員会の委員は株主総会で選任し、その構成は非上場会社の監査委員 会の構成と同一であるが、追加的に会計又は財務専門家を含めなければならず、社 外取締役を監査委員会の代表にしなければならない。3) 主要株主など利害関係者との取引
上場会社は主要株主及びその特殊関係人、取締役及び監査役と金銭貸付などの 信用供与をしてはいけない。ただし、福利厚生のための特定信用供与などの場合には これを許容する。 資産総額が 2 兆ウォン以上である上場会社は最大株主、その特殊関係人及びその 上場会社の特殊関係人と資産総額の 1%以上の単一取引或いは事業年度のうち資産 総額の 5%以上の累積取引をする場合には、取締役会の承認を受け、定期株主総会 12 金融監督院又は証券取引所の電子開示システムに公告に報告しなければならない。ただし、約款により定型化された特定取引や取締役会が 承認した取引総額の範囲の中で履行する取引は除外する。