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付録C

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付録C.

地すべりの安定化や抑制策の紹介

注:斜面安定化対策法に関する資料の多くは、カナダ国ブリティッシュコロンビア,森林省研究支所によって発行された“A Guide for Management of Landslide-Prone Terrain in the Pacific Northwest”から直接引用したものです.しかしながら、本書には より多くの抑制策に関する総合的な概観が掲載されていますので、私達は、抑制策に関するより詳細な情報を望む人達に強 くお勧め致します.引用刊行物の全内容については、参考文献11,Chatwin and others をご覧下さい.

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パート1.土壌斜面の安定化・抑制策

ここでは、北アメリカで現在採用できるいくつかの安定化工法について図解しています.私達は、詳細な 土質解析あるいは岩盤解析が行われていない場合とか、危険の尐ない場合に、安全に利用できる単純な方法 に重きをおいています.安定化対策工には非常に経費がかかり、施工にも長い期間を要するものがあります. ここでは安定化対策工法の概観を示しています.世界中ではその他多くの方法が用いられています.専門家 によるアドバイスは極めて大切なことであり、施工の前,途中,後に受けておくべきであり(可能なところ ならば)、既往の文献を調べておくことも必要です. 対策が実施されれば、どのような斜面でも安定度の改善が得られるでしょう.それを効果的にするには、 まず斜面の安定度に影響している最も重要な支配要因を把握する必要があります.次に、その要因の影響を 減尐させるのに十分な効果を発揮しうる適切な工法を決める必要があります.抑制策の処方は、調査中の特 定斜面の条件に合うように設計されなければなりません.例えば、ほとんど地下水のない斜面に排水パイプ を設置しても無意味です.斜面安定化対策は、建設途中の段階であるいは建設後に、予期していなかった安 定問題が生じたときに実施されます.大半の斜面土木技術には、詳細な土質特性解析と土質力学や岩盤力学 に関して信頼できる基本的知識を必要とします. 危険性の高い状況下では、地すべりが人の生命を脅かし、財産に悪影響を及ぼす可能性があります. そこで、どのような場合でも安定化工事に着手する前に、地盤工学技術者あるいは土木技術者のよう なプロの地すべり専門家に相談する必要があります. 次のセクションでは、斜面安定度を高めるのに用いられる技術についての一般的な紹介を致します。 掘削 C1,C2,C3 は、斜面掘削に関する一般原理について、縦断面を模式図の形で表し、掘削が行われる斜 面への効果と結果を示したものです.これらの図は、全く一般的なものですので、できればどんな場合でも 地盤工学技術者あるいはその他の専門家に相談すべきです. 移動体頭部からの土の除去 この方法は、推進力を減尐させることによって安定度を増します.この方法は、回転型地すべり(「地す べりの基本型」のセクション参照)が発生するところにおいて、深く切土する場合だけに適用できます.長 く、一定したあるいは板状の斜面での並進型地すべりとかフロー型地すべりに関しては効果がありません. 斜面高の低減 切り立った川岸の高さを低くすれば、土塊の重さを減尐させるので破壊面上の推進力が減尐します.こう したことは、掘削工事によって主要道の上方へアクセス路を作る場合や下方斜面を作る場合などによく起こ ることです.また、公道用地が地すべり地の上部を横断する場合には、主要道路面を深く下げて掘削するこ とも可能です.この方法は、安定度を増すといってもさほど大きな効果は期待できませんので、完全な解決 にはその土地の追加修正が必要です.Chatwin(参考文献 11)によれば、この場合、一般には 10~15%程度 安全率が増加するだけとされています.(「安全率」は、単純な定義をすれば、材料片の最大強度比あるいは そこに掛かると予想される最大荷重に対するある部分の最大強度比です)

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82 頭部からの排土により推進力を下げ、安定度を高める. 末端部の排土は抵抗力を下げ、安定性を低下させる. Ground surface 地表面 Slip surface すべり面 図 C1 斜面頭部と末端部での掘削によって生ずる安定度の違いを表す図. (米国地質調査所Rex Baum による図) 頭部での荷重は推進力を増加させ、安定度を低下させる. 末端部への荷重は抵抗力を増加させ、安定度を高める. 図 C2 斜面の頭部あるいは末端部での荷重による安定度の違いを表す図. (米国地質調査所Rex Baum による図) 地下水面・間隙水圧の低下は、抵抗力を増加させ安定度 を高める. 地下水面・間隙水圧の上昇は、抵抗力を下げ安定度を下 げる. 図 C3 斜面の安定度における地下水の重要性を表す図.(米国地質調査所Rex Baum による図)

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83 軽量材での埋め戻し 高さを低減することに関係した工法には、上部の土を掘削除去し、木材チップとか木の枝のような軽量の 埋め戻し材で置き換えるというやり方があります.次に、粗い骨材からなる薄い層で被えば、通行制限は生 じますが、その埋め戻し材を基礎とすることができます(図C4). 図 C4 軽量埋め戻し材の模式図と写真.応用土木技術として裁断したリサイクルタイヤの使用が増加し てきました.自動車道への応用では、橋台盛土や擁壁の補強をする際に脆弱土の上に盛る軽量材として 裁断したタイヤを利用する方法があります.あるいはまた、非常に寒冷な気候の場合には、凍上を防ぐ ための路床の断熱材やエッジドレイン(訳者注:道路側部の舗装直下に設けられ、路面からの浸透水あ るいは下からの水を排除する設備)のための高透水材として裁断したタイヤを利用します.(参考文献 11 からの図,連邦道路局,米国運輸部からの写真) 木材繊維 暗渠 礫 被い 氷礫土

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84 階段工 階段工は、推進力を低減する目的で、深い土層や岩盤面に一連の階段状のカットを入れたものです.この 工法は、主には浅い崩壊の発生を低減するのに効果的ですが、斜面全体の安定度を改善するのにはさほど効 率的ではありませんので、その場合には他の工法が薦められます.階段工は、落石が生じやすい崖下の構造 物を保護したり、表面排水をコントロールしたり、排水管やその他の構造物を設置するための作業場を確保 するのに役立ちます. 斜面を切り込んだ階段工の写真は図C12 をご覧下さい. 水平化、斜面勾配の低減、その他の斜面整形 この場合は、土荷重を低減し、渓流や川の末端浸食や建設荷重の可能性を減らします. 移動土塊を掘削しないとき ある状況下では、移動土塊全部を除去するのが効果的で経済的な解決法です.しかしながら、一般的には、 小さなスランプとか小さな回転型の崩壊にのみ実効性があります.大規模な地すべり地域の大規模掘削は、 一般には次のようないくつかの理由によりお薦めできません. ・ 掘削はいつも有効とは限りません.大規模な平板状崩壊では、掘削は動きを止める要因とはならず、 地すべりの拡大を招くこともあります. ・ 掘削は、地すべり末端部による支持を取り払うことで大規模地すべりの引き金となることがあります. ・ 掘削は、末端部をカットすることで実際に上方斜面を不安定化させ、斜面を弱くすることがあります. ・ 土層の深い地盤、特に軟質な粘土の場合には、深いものと浅いものの二つの潜在的なすべり面がある 場合があります.最初のすべり面まで掘削すると、それが深いすべり面上での突然な滑動の引き金と なる可能性があります.土質強度資料を使った安定解析をすることが薦められますが、深い粘性土層 の大規模掘削をする場合には、常に安定解析は欠かせません.

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85 斜面の強化 プラスチックメッシュによる補強 多くの合成地盤補強材が販売されています.一例を挙げれば、軽量で高張力グリッドを形成するための引 き延ばしプラスチックポリマーの補強材があります.このグリッドは、コンクリートの中にセットされる補 強メッシュと同様な効果があり、地盤のせん断強度を補強します. これらのタイプの材料は、浅層地盤の支持力を増強することで、軟弱地盤の上に敷くバラストの量を減ら すのに利用されてきました.これらのタイプのグリッドは、地盤の強度補強,地盤の排水性の改良,擁壁の 建設など斜面安定化対策にも多くの応用性があります. 岩塊盛土による控え壁 斜面の安定度を増加させる簡単な方法は、破壊に抵抗する反力を生じさせるように末端部での荷重を増加 させることです(図C5).盛土の犬走りあるいは控え壁は、斜面の末端に簡単に設けることができます.し かしながら、土の代わりに砕石あるいは捨て石をおくことが望ましいです.それは、せん断力に対して大き な摩擦抵抗力があり、自由排水にも役立ちますので、地下水の流れを妨げるという問題を減尐させます.

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87 渓流路のライニング 水路のライニングは、渓流や小河川およびその側部を安定化させるもう一つの方法です.ライニングは、 一般には高品質コンクリートでグラウトしたセメントモルタルであり、できれば摩耗防止のために鋼繊維マ ットで補強しておくことが望ましいです.コンクリートの中に巨礫を埋め込んでおくと水流のエネルギーを 分散させる効果があります. 水路のライニングは、土石流の発生や量を減らすことができます(図C6).これはまた、橋のアバットを 保護するために橋から上流側の水路の配列を保つのに効果があります.水路のライニングは、不安定な水路 全体をカバーすれば、もっと効果的です.ライニングは、一般に砂防ダムのようなものよりはるかに経費が 尐なくて済みます.特に、安定化すべき距離が長い場合です.しかしながら、両岸が極めて不安定な場合に は砂防ダムの方が望ましいです.それは、ダムは渓岸に楔を打ち込む形になるためであり、末端部を支持し て安定度を高めるからです. 図 C6 米国モンタナ州,ディクソンクリークで岩塊を利用した小水路の事例. (写真と図は米国農業部による)

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88 砂防ダム 砂防ダムは渓床を安定化させるために急流の水路内に建設された小さな貯砂ダムです.これは、水路を通 って運ばれる土石流の頻度や量を抑制するために、ヨーロッパや日本においてよく利用されています.砂防 ダムは稀に土砂崩壊の発生域における表層崩壊や浅いすべりを抑制するのに利用されることもあります.砂 防ダムは建設費がかかりますので、一般にはキャンプ地とか特殊な産卵地のような重要な設備とか野生動物 の生息地が下流にあるといったようなところだけに建設されます.水路を通って運ばれる土石流は、水路勾 配が 25°以上のところに発生し、その搬送量の大半は渓床を洗掘したものです.水路に設置された砂防ダ ムは、3つの目的を持っています(次の情報は参考文献11 から引用したものです). 1. 上流部で渓床勾配を低下させて崩壊の発生を抑制すること. 2. 水路の下刻浸食とそれに続く渓流壁の側方浸食による不安定化を防ぐことと、渓岸斜面の末端を押さ えることで渓床堆積物の量を減らすこと. 3. 渓流の下流部に設置して、土石流堆積物を貯留すること. 崩積土地すべり地内に設置された場合には、ダムは崩積土を貯留し、結果として地すべりの上に小さな段 が形成されて、斜面勾配が減尐します.砂防ダムは、補強コンクリートとか木製井桁で作ることができます (図C7 と C8).練り石積みのコンクリートダムは、通常は高さ 8m を越えません.木製井桁ダムは 2m(6 フィート)を越えてはいけません.ダムの間隔は、水路の勾配とダムの高さによります.例えば、水路の勾 配が20 度で、設計貯砂勾配が 10 度とした場合には、高さ 2m のダムは、12m(36 フィート)毎に設置され ることになります.側方浸食と水通しからの落水による洗掘が主な欠点です. 砂防ダムの崩壊を防止するために 建設中に、コンクリートの袖部や木製井桁の端部は渓谷壁と渓床にしっかりと埋め込み、堆砂土圧や側方 洗掘に耐えうるようにしておかなければなりません.袖部の勾配は約70%とし、最低でも側壁に 1~2m(3 ~6 フィート)以上突っ込んでおくべきです.ダムの基礎はダム総高の 3 分の 1 以上の幅を持たせ、予想さ れる洗掘深より深くしておく必要があります. ダムの裏込めは、自然に埋まるのを待つよりも、構造体にかかる動的な荷重を軽減しますので、より安定 した設計となります.裏込め勾配は、水路勾配の2 分の 1 以下にしておくべきです.一般に裏込めされたダ ムは、土石流に耐えることができます.そうした裏込め材は、洪水の間もその後でも洗掘されることはない でしょう.

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89 リップラップエプロン l 元の勾配 図 C7 砂防ダムの一つである井桁壁砂防ダムの模式図と写真.(参考文献11 からの図,イタリアのトラ フォイで撮影された写真,米国カリフォルニア州,サンタバーバラの森林管理通信局「浸食管理部」の ご厚意による) 水通し

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図 C8 中央に水通しを設けたコンクリート製井桁タイプの砂防ダムを下流から見たところ,米国南カリ フォルニア州.(ロスアンゼルス郡洪水管理区による写真)

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91 排水技術 地下水は、おそらく地すべりの発生に最も重要な単一要因です.それ故に、驚くほどではないにせよ、既 往の地すべりにとっても潜在的なものにとっても適切な排水は斜面安定化策の最も重要な要素です.排水は、 地盤の安定度を増し移動土塊の重さを軽くするから有効なのです.排水は、地表でも地下でもできます.表 面排水工は、最小限の設計と経費しかかりませんが、実質的な安定効果をあげます.これは、どんな潜在的 地すべりでも既往の地すべりでも推奨できます. 表面排水の2つの目的は、表層がスランプする可能性を低くして表面の浸食を防止することと、地盤の中 に水が浸透するのを防いで、地下水圧を低下させることです.地下排水も効果的ですが、相対的に高価にな ります.したがって、地下の対策工事が行われる前に地下水が地すべりの原因として確認されているという ことが前提となります.次のように、排水工法にはいろいろなものがあります. 地盤の水平化 地すべり地の地形をなめらかにすることで表流水が貯まったり、表面水と地下水とがつながるのを防ぐこ とができます.継続的な水溜まりとなる斜面上の凹地は、取り除く必要があります.土塊を均すことで地表 面の大きな割れ目を塞いでシールすることが効果的であり、表面水がすべり面に達するのを防ぎます. 排水溝と暗渠工 表面水は排水溝か浅い暗渠工のどちらかで流せます(図C9).排水路は地すべり地の頭部で特に重要です. そこでは地すべりの頭部壁を横断する一連の切り込み排水溝や地すべりの側部付近を流れる雨水を導く横 断暗渠が効果的です.溝の勾配は、不安定域から水が早く流れ出るのを確実にするために尐なくとも2 パー セント以上にすべきです. 暗渠排水の最も単純なものは、不安定斜面の上に設ける横断トレンチです.排水トレンチは基盤岩とか不 透水性の氷礫土の上に乗っている浅い土層の場合にのみ経済的です.すべり面に沿った地下水を抜くために は、トレンチは浅い土層の基盤まで掘削する必要があります.この場合は、溝の側壁の抜け落ちを防ぐため に粗い礫で埋め戻します.水の通りを良くするために排水パイプを設置し、粗い礫でその場所を埋め戻しま す.

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92 礫で埋め戻した暗渠 1.5m 表面排水路 不安定斜面 固い氷礫土 図 C9 暗渠トレンチの模式図と写真(図は参考文献11 による,写真は、南オーストラリア,エネルギー・ インフラ構造物局,運輸部による撮影)

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93 排水管 横孔排水管は、ハイウエイ建設における地すべり防止用の装置として広く利用されています.これは、掘 削初期の段階で設置されると最も効果を発揮します.地下水位を低下させるためには長い時間差が生じます ので、パイプを慎重に設置し、すべり面と交叉し、実際に地盤の排水をしていないと排水効果が上がりませ ん.ほとんどの斜面は地質,水圧,構造が変化しますしので、排水管の配置は個々に設計する必要がありま す.ボーリング掘削が予定深度まで終わってケーシングを挿入した後、孔内の洗浄を行います.そして、フ ィルター材で被った穴あきの塩ビパイプをケーシングの中に挿入し、一本ずつ連結します.その後ケーシン グは引き抜いて、排水管の出口には保孔用の被いを設置します.排水孔は掘削屑や泥を完全に洗浄しておか なければなりません.洗浄を怠ると、その効果はわずか25%しか発揮できない場合もあります. 粘土地盤では、最初の 1 年間で生ずる改善率は 50%程度であって、地下水位面の完全な変化は、最大 5 年もかかることがあります.粘土地盤では、一度水位面が下がると、ほぼ恒久的になります.しかしながら、 季節的な変動が生ずる場合があります.排水管が詰まらない限りは、降雨があっても地盤内の地下水位は変 化しません.砂質地盤の場合は、地下水位面は数ヶ月以内で下がるでしょうが、降雨による変動も生じます. 引張り亀裂 すべり面 横孔排水管 図 C10 排水管の模式図.(模式図は参考文献11 による.)写真は米国カリフォルニア州の地すべり地の 排水管,Andrew Alden 撮影.

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94 藁束や藁俵 藁束(藁蛇篭あるいは藁筒)は、雑草を除いた麦とか稲藁を圧縮して、直径 20~30cm(8~12 インチ) の筒状で7~9m(20~25 フィート)の長さに作られたものです(図 C11).これを黄麻,ナイロン,その他 の光分解性の材料で包み込みます.平均的な重さは16 キログラム(35 ポンド)程度です.これを浅い溝に 設置して、水が勢いよく斜面を流れ下るのを防ぐために等高線沿いに(斜面横断方向)連続したバリアを形 成します.藁束は、70%程度までの斜面に設置すれば、1~2 年の間は効果を保つでしょう.しかしながら、 50%以上の急斜面ではその効果は極めて低くなります.土の厚さは浅くても大丈夫ですが、約 8 インチ以下 でないようにする必要があります.藁束は浸透を促進し、粗度を増し、浸食を低減し、恒久的な植生が育っ て長期的な浸食防止効果が生ずれば、斜面の長期的な保護工となります.藁俵は世界中のほとんどの地域で 容易に入手できますし、運搬が極めて容易です.そして、斜面浸食や排水制御用の規格品への適用性もあり ます(図C12). 図 C11 道路脇の藁束は、堆積土砂を捕獲しその場に固定します.そして、種を入れて発芽させることも できますので、再緑化を促進します.(米国地質調査所,Lynn Highland 撮影) 図 C12 藁俵も同様な適用性があり、広く入手可能です.個々の俵の大きさは、写真右中央部の積み上げ られた俵の様子でわかります.(米国ニューメキシコ州の斜面の写真,入―メキシコ州採鉱・鉱物・自然 資源部門撮影.)

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95 擁壁 どんなタイプの擁壁でも、非常に高い地下水圧が擁壁の背後に作用すると、崩壊につながることになりま すので、構造体の適切な排水が必須です.排水は、粗い裏込め材と基礎材を用いることで簡単にできます. 木製井桁 木製井桁擁壁は木材を連結して作られ、粗粒材で埋め戻される箱形の構造物です(図 C13).これは、危 険なすべり面と交差させることで効果を発揮し、潜在的なすべり面をより深く危険の尐ない深さに下げる役 割を果たします.この構造物は、(1)せん断,(2)転倒,(3)底面での滑動,に耐える必要があります.そのた めには、十分な深さまで埋めておくことと、危険なすべり面を越えるようにして強く構築する必要がありま す.井桁擁壁は、安定化すべき土の量が比較的小さい場合のみ有効です.これは、薄い不安定な土層が、深 い位置にある安定な土層の上に乗っている場合に効果的です.井桁擁壁の構造は、安定化させるべき土量の 10~15%程度にすべきです.この程度の小さな量では、末端での対抗荷重による支持力はあまりありません. したがって、実質的には破壊に対する全抵抗力は、井桁自体の強度に依存しています. 図 C13 木材井桁の模式図と写真.(模式図は参考文献 11 による,写真は英国 PHI グループのご厚意に よる.)

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96 鋼製箱形擁壁 鋼製箱形擁壁は、コルゲートの亜鉛メッキした鋼製部片をボルトでつなぎあわせて箱形にしたものであり、 中に土を入れたものです(図 C14).重力壁の安定性は、擁壁自身の重さによるものですが、おそらく擁壁 前面の土の荷重が補助となります.荷重の大半は中の土によるものであり、鋼製部分ではありませんので、 裏込め材を準備するときには、そのことを承知しておかなければなりません.大きな擁壁(複数の)の場合 は、荷重と裏込め材の必要量を計算し、個別に工作しなければなりません.これには構造と土木設計チャー トがあって、梁(横部材)の仕様と一般的な荷重条件に対する高さ・幅比が求められます.擁壁の幅は、25m(6~15 フィート)まであり、擁壁の高さの 1/2~3/5 です.滑動抵抗を追加するために、擁壁の底面 は一般に斜面下0.5~1.0m におきますが、浸食されたり不注意に取り除かれる場合を想定し、設計上は追加 支持力としては期待しません.擁壁が1:6 の斜面に設置されると安全率が増加します.裏込め材は、排水性 を良くし、できるだけ20cm(7.8 インチ)毎に良く締め固めなければなりません.擁壁の充填材も排水性を 良くし、適度に締め固めておく必要があります. 図 C14 鋼製箱形擁壁の模式図と写真.(模式図は参考文献11 による.)

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97 補強土壁 補強土は、盛土法面が支持構造物の無い状態で極めて急勾配ないしは垂直な盛土とする特許構築物です (図 C15).この構造物は、柔軟性のある金属性の帯を水平に並べた層を利用するもので、強度の高い土と 金属からなる複合体を形成するものです. 鋼製帯状体 帯の無い状態での安息角 基盤岩 図 C15 補強土壁の模式図と写真.(模式図は参考文献11 による)

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98 フトン籠工 フトン籠は、箱形の金網でできた籠で10~20cm(4~8 インチ)大の大礫を詰めたものです(C16).フト ン籠を積み上げて構築されるフトン籠擁壁をつくることもできます.フトン籠工は一般に安価で簡単であり、 構築するのに時間も掛かりません.柔軟性があるために、基礎部分の動きに耐えることができ、丁寧な基礎 部の仕上げを必要としません.中味が粗い素材のために、非常に透水性が良く、優れた排水性を持っていま す. フトン籠工は、個々のフトン籠列同士間の摩擦力は極めて高く、基礎と下の地盤面との摩擦力も同様です ので、その効果は大です.破壊が発生する際には、ほとんどの場合が、基礎地盤内で生じます.コンサルタ ントによる詳細な技術解析をしない場合には、一般に三層で2.5m の高さまでとします.より高い擁壁にな ると、その追加規模の性状から非常に重いものになりますので、より大きな基礎が必要となり、壁をしっか りと固定させる逆控え壁が必要となるでしょう.(逆控え壁は、壁の背面に固定されるもので、安定度を高 めるために設計されたバットレス(控え壁)です.)粘土質地盤の上に構築されるフトン籠工は、重し荷重 (反力)が必要であり、壁の前面からすべり円弧の範囲を超えるように、フトン籠の前面体として構築され ます.重し荷重は、構造物の構成単位の一つであり、排水機能も果たします.斜面勾配と擁壁の高さに応じ た設計チャートの入手が可能です. 図 C16 道路沿いのフトン籠工の模式図と写真.(模式図は参考文献11 による.)(米国ペンシルバニア州 ポコノ山脈中にあるフトン籠工の写真.米国地質調査所Lynn Highland 撮影.)

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99 杭工 大口径の杭を斜面の末端に打設することで、間隔の密な鉛直の杭壁を形成することができます(図C17). 杭壁は、通常は予備掘削された抵抗体として用いられ、斜面掘削が先に行われます.大口径のコンクリート 杭やカルバート杭壁は、道路建設において成功例がありますが、口径の小さい木材や鋼製杭での成功例はあ りません.(訳者注:日本の場合は、大口径の鋼管を利用した抑止杭による地すべり対策技術が発達してお り、比較的規模の大きな地すべり災害に対しても多くの成功例があります.)ほとんどの土や岩の移動に対 して、木杭は十分なせん断強度が期待できません.これは、安定化させるべき土量が小さいときだけに有効 です.平均的には、一本の木杭当たりで50m3(65.3 立方ヤード)程度の土量しか持ちませんので、大規模 な安定化対策には不十分です.杭の場合は、移動土塊によって、あるいは杭と杭の間を土がすり抜けること によって、前傾しになったり破壊されるということはほとんどありません.(訳者注:崩積土を主体とする 移動中の地すべり斜面に抑止杭を打設した場合には、鋼管杭は地すべりによる推力に対抗するために多尐前 傾し曲がることによって、その効果を発揮します.しかし、地すべり推力に抗しきれない場合は、さらに曲 げが進行してついには破壊してしまいます。日本ではこうした破壊事例も数多く報告されています.) 丸太杭が使用制限される大きな理由は、深さの問題であり、すべり面が杭長以深にある場合が多いからで す.木杭は深部の安定地盤上にある浅い土層の崩壊に関しては、最適です.杭は潜在的なすべり面より十分 深くして、固い地盤にしっかりと打ち込む必要があります.打設深度が十分でないと、その杭は片持ち梁と しての機能を発揮しませんので、その際には、アンカー体を追加して後方に連結しておく必要があります. 図 C17 コンクリートで充填した杭壁工.補強メッシュが杭の前面に貼り付けられ、コンクリートの吹き 付け準備ができた状態です.場所は、オーストラリア,メルボルン地区ブライトンです.(写真はオー ストラリア国ビクトリア州基礎建設事業局のご厚意による.)

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100 植生工による斜面安定化 草や豆科植物の種を蒔いておくことで、ある条件下では地すべりに発展するような表層浸食を軽減します. 灌木を植え付けることで植生の被いをすると、強力な根系が形成され、続いて斜面の安定度を高めることに なります.何らかの手が打たれない場合は、表層浸食や小さく浅い崩壊が、制御できない重大な問題に発展 する恐れがあります.大規模な浸食の場合は、それを修正・制御するのには応用土木技術を必要とします. 「バイオエンジニアリング」とか「バイオテクノロジー」という用語は、斜面崩壊や表層浸食を抑制・防止 するための斜面保護対策として植生を利用することを表しています.バイオエンジニアリングについては、 このハンドブックのセクションⅢで詳しく説明しています. 再植栽化問題をうまく実施するためには、計画が必要です.種まきに着手する前に、その地方での経験を 有する人に相談しましょう.そうした対策の成功や失敗に裏打ちされた地方の知識は非常に貴重です.種ま きをするのは、改変が終わったら直ちに開始すべきであり、最低限、乾燥期とか霜害期間のほぼ6 週前まで にすべきです. 種まきをする前にもできる限り斜面を安定した状態に保っておくと、斜面が将来の浸食や崩壊に対する耐 力を得るのに有益です.種まきを始める前に、表面排水の制御,切り立った川岸のオーバーハング部の除去, 斜面勾配の低減,階段工といったあらゆることをやっておくべきです. 種まきには二つの基本形があります.乾燥蒔き(ドライシーディング)とハイドロシーディングとも言わ れる水力蒔きです. 乾燥蒔き 乾燥蒔きは、回転ディスクや空力種蒔き機で行います.これらの方法は、水力蒔きより安 価ですが、粗い土壌面や緩斜面に限られます.回転ディスク種蒔き機は、種と肥料を遠心力を利用し て蒔きます.最も単純な種蒔き機は、サイクロンタイプで手持ちの種蒔き機です.空力種蒔き機は、 種を吹き飛ばすのに空気を利用するもので、種と肥料を 5~8m(15~24 フィート)程度の範囲まで 飛ばします.その装置は、動力運搬車に取り付けることができます. 水力蒔き,ハイドロシーディング このタイプの種蒔きは、肥料と土壌結合材と腐葉土を水に混ぜて ヘドロ状にしたものに種を加えたものです.この装置は、水で機械的にかき混ぜるものとポンプ排出 する機能を持った攪拌タンクを必要とします.水力蒔きは種蒔きをする種の固着が必要とされる1:1 以上の斜面で効果を発揮します. タネの種類 2~5 種を混合したものが、浸食制御に用いられる通常の草・豆混合材です.タネが適するどうかは、土 壌タイプ,気象条件,種の適合性,種の置換性などによります.地方の条件はいろいろ違いがあり、普遍的 に推奨される草や豆のタイプというものはありません.植生タイプは地方、地方で変わりますので、その地 方の成長条件に詳しい地元の人に相談するのが一番です. 根囲い 根囲い材は、雨による表層浸食からの保護と土壌水分の保持をするために土の表面に広げておく非生命材 です.いろいろなタイプの効果的な根囲い材があり、藁,ガラス繊維,木材繊維,海草,紙製品などがあり ます.

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101 生物工学的斜面保護対策 このタイプの斜面保護策は、地すべり抑制策による環境への影響を減尐させるのに利用されます.地すべ り対策あるいは抑制策として利用される場合に、鋼製あるいはコンクリートからなる従来型の土留め構造物 は、一般に見た目の良いものではなく、環境にも優しいものではありません.これらの伝統的“ハードな” 対策工は、植栽してもっと環境に優しく、土と構造物を一体化したものに取って代わられつつあります.こ の方法は、生物工学的斜面保護法として知られるようになってきました.通常の生物工学的な方法には、草 の種を蒔いた土をその場に定着させるよう土釘を打って留めるジオネットや、隙間に種を蒔いた土を入れた ジオセルといったものがあります. 過剰な浸食を防ぐために地盤を安定化させたり、地すべりの影響を抑制するために植物を利用する研究が 成されてきました.最も有効なタイプの植物の一つを挙げれば、ベチベルソウであり、多くの異なった環境 において、浸食に抗して斜面を安定化させるのに非常に効果を発揮する草です.この植物について、その使 用法や地理的適合性に関する詳しい情報については付録Cをご覧下さい. 生物工学的斜面保護法は次の二つの要素からなっています.生物工学的安定化法と土壌バイオエンジニ アリング安定化法であり、双方とも生命体の使用を必要としています.特に、生物工学的植生安定化法は、 斜面崩壊や浸食を防止したり抑制したりするのに生物学的要素(植物)と組み合わせて機械的な要素(構造 物)を用います.機械的な要素と生物学的な要素は、共に補足し合って機能しなければなりません.一方、 土壌バイオエンジニアリング安定化法は、生物工学的安定化法の特化された形と見なせるものであり、生き ている植物の一部、すなわち、根,幹,枝といったものが、斜面保護体系の中での主な構造的・機械的要素 として機能することになります.生物工学的斜面保護工法は景色にとけ込みます.これは、鋼材やコンクリ ートのような人工物とは対照的に、土,岩,材木,植物といったような自然のもので、その地方で手に入る ものの利用を重要視しています.構造的なあるいは機械的なものは、慣習的に用いられてきた土留め構造物 ほどには視覚的に環境にとけ込みません.構造体自身の中に植物をうまく取り入れるような生物工学的植生 構造物の例を挙げれば、丸太や木製井桁,フトン籠,石張り擁壁,熔接ワイヤ壁,補強土などがあります. バイオエンジニアリングの原理を用いて内部張力補強をすれば、70°もの急な盛土法面の構築も可能になり ます.その他のバイオエンジニアリング法に関する一般的なガイドやより詳細な情報は、参考文献30 に掲 載されています. 前述のように、土壌バイオエンジニアリングは、主に植物の幹とか枝,石,木材,土といった現地材料の 利用に依存しています.バイオエンジニアリングに適当な植生は、柳やハンノキやその他の現地性で容易に 繁殖する品種などその地方から入手できるものです.それに加えて、土壌バイオエンジニアリング工法は、 一般に機械の導入や作業員の往来をあまり必要としませんし、そのために比較的大きな改変も生じませんの で、建設段階においてうまく環境になじみます.時間の経過と共に、バイオエンジニアリング工法は、見た 目にも疎外感がなく、周囲の自然にとけ込みます.このことは、公園や水辺の地域や、美しさ・野生動物の 生息地・生態回復が大事であって、景色の良い場所のように環境に敏感な地域に好ましい属性です.木材を 利用したバイオエンジニアリング構造物が古くなると、それはさらに有益であり安定化して、最後には自然 の継承と森林種の長期的な定住を助けることになります.ほとんどの場合、現地性の草,灌木,樹木といっ たものが、バイオエンジニアリングによる安定化対策に用いる植物として利用されます.柳は世界中の多く の場所で非常に有効に利用されてきました.熱帯および亜熱帯地方では、安定化対策としてベチベルソウの 生け垣が非常に良く用いられるようになりました.この草は、成長が早く、根が深くまで入るからです.し

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102 かしながら、外来の植物あるいは樹木種が入ると、現地性の植生と競合し、実際に危険なことになる場合が あります. 利用される可能性のある方は、ベチベルソウのホームページに目を通されることをお薦めします. http://www.vetiver.org 図 C18 コンゴ民主共和国で、ベチベルソウ工法が市街地の浸食渓流の制御や道路安定化対策として使 用されているところです.このようなガリー浸食はこの地域やその他の西アフリカ諸国での大きな問 題となっています(上).同じ斜面に、現在では改良された排水路が設けられ、ベチベルソウが植え られています(中).このベチベルソウの植え付けは、約3ヶ月経過した状況です(下).

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103 詳細な斜面安定評価は、通常は地盤工学技術者や地質技術者によって行われます。しかし、バイオエンジ ニアリングの安定化対策技術を適用する際には、評価すべき植生と土と構造物間の有機的相互作用は、おそ らく土壌学者,農学者,森林学者,水文学者等の方が良くわかっているはずです.このように、斜面安定化 対策へのバイオエンジニアリングの取り組みでは、地盤工学と植物科学分野の人達が並行してかつ調和して、 協力しながら働く必要があります. 世界中の異なる地域において、それぞれどのようにすれば効果的であるかということを書いた本が入手で きます.ベチベルソウに関する概要を記述した“Vetiver Grass: A Thin Green Line Against Erosion”は、初心者 に手頃な参考書です.本書の全文は参考文献22 をご覧下さい.(参考文献 47 もご覧下さい.) 図 C19 ベチベルソウ計画が活動的に行われている地域の世界分布.図はベチベルソウウのホームページ から(http://www.vetiver.org) ベチベルソウに関する追加注釈:発展途上国にとって,極端な土壌浸食をもたらす地すべりは、その対応を 余儀なくされる最も大きな自然災害の一つです.広く適用でき、安価で、説得力のある適用性を持った浸食 対策法は、ほとんど完成されておりません.しかし、熱帯地域の草であるベチベルソウの植栽は、浸食防止 にとって実際的で安価な方法です.傾斜地の等高線に沿って植栽すると、ベチベルソウは短期間に非常に密 な生け垣を形成します.すると、その固い葉が土砂の移動を阻止します.この深く根をはって持続性のある 草が、フィージーやインドそしてカリブ海諸国では、浸食されやすい土壌を数十年にわたって保持してきま した.図 C18 は、コンゴ民主共和国でのベチベルソウ計画の写真であり、それが浸食渓流や道路の安定化 のために、どのように利用されているかを示しています.このプロジェクトは、多くの国家機関による資金 援助を受けています.このような状況と写真は、ベチベルソウのホームページに掲載されており、このセク ションの最後にも引用しております.

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パート2. 岩盤斜面安定化・抑制工法

落石は、拳大の石から大きいものでは崖の一部を成すような巨礫まであります.そして、それは大きさや 形状によりますが、回転し、跳躍し、斜面を勢いよく転げ落ち、落下線から遠くかけ離れたところに着地し ます.崖に近い海岸や公園といったレクレーション地域や広いスペースの箇所が落石の被害を受けます.そ して、人々が度々このような災害の危険に曝されています.人々が崖や岩が剥き出しの斜面に敢えて近づく と、すでに脆くなっているオーバーハングした箇所などにさらに余計な力を加えることになり、下にいる人 達に落石が当たるとか、崖に登っている人達自身が怪我をする原因となります.ハイキング,キャンピング, ウオーキング,崖の付近や岩石斜面での作業などいろいろな場合に、人々が警告も無く災害に遭遇する機会 は、たくさんあります.落石の危険を抑えるにはいろいろな形での土木技術を施すことができます.そのい くつかをここで説明します.ある場合には、一つだけの工法に頼らない方が良いケースもあります.そして、 一箇所の落石災害地に適用された複合改良工法を図C20 に示しています. 図 C20 この写真は、マスコンクリートの擁壁,フトン籠(この二つのタイプは写真の上部にあります), 防護フェンス,巨礫処理,控え壁といったものからなる落石対策工を示しています.(写真は英国北部 ウエールズの自動車道のペンワイクリップトンネル.英国ポーツマウス大学土木地質コンサルタンシー グループのDave Giles 撮影.)

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105 安全捕獲工法 捕獲溝 落石を抑えるには、広めの捕獲溝が効果的ですが、その設計に当たっては、崖の形状を考慮に入れなけれ ばなりません.そして、細目については専門家に相談するのが最善です.溝の底部は、落石が跳ねたり細片 化するのを防ぐためにルーズな土でカバーしておく必要があります.もし、設計通りの広さの溝を設ける十 分な余裕がない場合には、下方斜面側にフトン籠工とか岩盤壁と組み合わせた小さめの溝を設けるという方 法もあります. ケーブル,メッシュ,フェンス,ロックカーテン 道路とか歩道を保護するためには、ケーブルを連結したものとかワイヤネットが単純で安価な方法です. 大きく不安定なブロックに対しては、ブロックの周りに金属ケーブルのより線を巻いて、斜面にアンカーで 留めます.その岩盤に亀裂が多くて、個々のケーブルでは留めきれない場合には、ケーブルネットを使用し ます.もう尐し小さく75cm(2.4 フィート)以下のサイズの岩塊が落下するのを抑えるのには、ワイヤメッ シュ(間隔を密に編んだワイヤ網)を使用します.(ワイヤメッシュの事例写真は C21 参照).標準的なメ ッシュは、二重螺旋蛇篭メッシュか重規格の金属鎖環です.メッシュ網は、岩斜面がなめらかな場合にはゆ るく垂れ下げた状態のままかボルトで留める場合もありますが、崖が不整形でメッシュが岩とうまく接触し ない場合には、ボルトでしっかりと固定します.メッシュをボルトで留めておくと、ずれが生ずるのを防ぎ、 斜面あるいは岩盤面を全体として安定化させることになります.ワイヤメッシュは、急な土砂の切土、特に 崖錐斜面にも有効です. ケーブルやワイヤメッシュ製の捕獲ネットは、ガリーや斜面に落下する石を捕獲するために作ります.ア ンカーで留めたケーブルからつり下げておくと、メッシュ網は、柔軟性の高い障壁を形成し落石のエネルギ ーを消散させます.そして、しっかりと確保されていれば、一般には最大直径1m 程度のものまで止めます. 加えて、捕獲ネットは道路脇の捕獲溝と合わせて利用することができます. 図 C22 に示したようなロックフェンスは、かなり容易に設置され、小さな石が路上へ落ちるのを抑える ことができます.ただし、フェンスの上を跳び越えてしまう石は致し方がありません.図 C23 に示したよ うなロックカーテンは、石を捕獲溝とかその他の捕獲構造物に向かわせ、下にある道路とか構造物の上に跳 ね落ちるのを防ぐのにより効果的です. 図 C21 落ちてきそうな岩のある岩石斜面を被うワイヤメッシュ網の事例.

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A

B

図 C22 米国ペンシルバニア州の土側道沿い(A)と米国カリフォルニア州海岸地域の道路沿い(B)の 落石防護フェンス.(Aは米国地質調査所 Lynn Highland 撮影,Bは米国連邦道路管理局による道路写真.)

図 C23 問題箇所の落石を抑えるロックカーテンの事例.(ハイアングルテクノロジー社のDoug Hansen 撮影)

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107 擁壁 ある地域からの落石が外に飛び出さないようにする斜面安定化工法について前述しましたが、擁壁はそれ と全く同じような効果を発揮します.これは落石防護フェンスに似ていますが、ほとんどの場合、もっと実 効的なものであり強度のあるものです.擁壁は、鋼製,コンクリート,木材,その他の材料から作れるもの であり、落石が生じた時に転倒しないように適切にアンカーされていなければなりません. ロックシェッド・ロックシェルター これらは、道路や鉄道の上に建設され、時々発生する落石や岩屑なだれからその場所を保護するための構 造物です.シェッド(格納)構造物は、片端を開けておくかあるいはコンクリートとか鋼製(あるいはその 他の材質)の構造物で完全に落石箇所を包み込みます.そして、落石が道路や鉄道あるいは構造物からそれ るようにします.図C24~C27 はロックシェッド・ロックシェルターの事例を示したものです. 岩棚の補強 これは特殊な状況にのみ効果を発揮し、注意深く設計・施工し、構造的にも強いものでなければなりませ んので、一般的に行われるというものではありません. 図C27 はその事例です. 図 C24 カナダ国ブリティッシュコロンビア州のピットクアーロックシェッド.これらのシェッドは、鉄 道の箇所を囲い込み、落石や岩屑なだれを防いでいます.(John Carer 撮影,www.trainet.org.)

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108 図 C25 ニュージーランドのオープンロックシェッドの事例(写真はロッククライマーRichard Wright 氏 のご厚意による). 図 C26 フランス国モンテンヤード地域の岩屑なだれシェルター.シェルターの長さが不十分で、右端の 部分を見ると、土石流が発生した場合には被害を受ける可能性があります.(英国ポーツマウス大学土 木地質コンサルタンシーグループ,Dave Giles 撮影.) 図 C27 岩 棚 の 補 強 事 例 . 南 ア フ リ カ 国 ケ ー プ タ ウ ン , チ ャ ッ プ マ ン ズ ド ラ イ ブ . 写 真 は 、 http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Chapmans_peak_dr.jpg による.

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109 岩盤掘削 ベンチカット 岩盤斜面に掘削した水平なベンチは、落石防止の最も効果的なやり方の一つです.落石を途中で捕獲する のに加えて、表層岩盤の引張り応力を低減し、表層浸食速度を抑えます.また、落石の発生率も低減します. しかしながら、潜在的な深層岩盤崩壊にはほとんどあるいは全く効果がありません. 落下する石がベンチの上に留まりますので、ベンチ壁は斜面全体の勾配より急にすることができます(図 28).しかしながら、ベンチ壁を垂直にするのはやめるべきです.そうした場合には、引張り亀裂や危険な オーバーハングが生じて、落石が多くなってしまいます.ベンチ面を設けるのは、脆弱な岩層,亀裂の発達 したゾーン,帯水ゾーンの底面で止める必要があります.ベンチの推奨幅は最低4m であり、ベンチには斜 面を水が流下しないようにすべて排水溝を設ける必要があります. 図 C28 岩盤ベンチの模式図と写真.(参考文献11,米国アリゾナ州ツクソンにおける鉱山の写真,米国 ウイスコンシン大学,Steve Dutch 撮影.)

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110 スケーリング(整形)とトリミング(剥ぎ取り) 通過中の車や歩行者を危険に曝す恐れのあるルーズで不安定な、あるいはオーバーハングしている岩塊は、 スケーリングあるいはトリミングで除去することができます.スケーリングとは、人手によるテコ棒や小発 破でルーズな岩塊を除去することです.トリミングはスケーリングの前にボーリングや爆薬による軽い発破 を行い、大きなオーバーハング箇所や不安定な岩を除去することです.スケーリングやトリミングは制御発 破をすることで減らすことができますが、発破はいつでも効率的に実行できるとは限りません.オーバーハ ングした岩は、除去するか安定した部分まで切り落とすかします.スケーリング作業は、一般にはロープあ るいはその他の手段によって吊り下げられた作業員が、テコ棒やジャッキや爆薬を使って行います.これら の作業は、時間のかかる作業であり、高価(時には危険)でもあります.そして、活動的な斜面の場合は、 数年毎あるいは状況に応じて繰り返す必要が生ずる場合もあります.スケーリングは高度な熟練を要する仕 事であり、危険でもあります.つまり、スケーリングを行う人達は、訓練を受ける必要があり、その仕事は プロの職人に任せる必要があります. 写真C29 と C30 は岩盤のスケーリングとトリミング作業を示しています. 図 C29 スケーリングと発破によって除去された岩.(米国ワシントン州運輸部による撮影)

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図 C30 斜面から岩塊を落とす作業をしている油圧ロックハンマー.これは発破による岩塊の除去に代わ るものです.(米国ワシントン州運輸部による撮影.)

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112 潜在的な落石危険箇所の補強 ショットクリートとガナイト(吹き付けコンクリート) ショットクリートとガナイトは、不安定な岩盤斜面の表面に直接エアージェットで吹き付けるタイプのコ ンクリートです.ショットクリートは、乾燥混合か水と混合したコンクリートあるいはモルタル吹付けの総 称です.ガナイトは乾燥混合する場合だけを言い、乾燥セメントとの混合物がホースを通ってノズルから放 出されるもので、水は吹き付けの直前に注入されます.これは、速くて比較的単純な方法であり、岩塊ブロ ック間の表面補強をしたり、風化や表層のはげ落ちを抑えるのにもよく用いられます.ショットクリートは 2cm 大までの骨材を混ぜており、もっと小さな骨材を混ぜたガナイトよりも一般的に使用されています.双 方ともエアジェットで急速に吹き付けますので、短時間に広い面積をカバーできます.図 C31 はハイウエ ー法面のショットクリートの作業を示しています. 図 C31 米国コロラド州ロッキー山脈中のウルフクリーク峠,落石箇所を安定化させるショットクリート 作業.(コロラド州運輸部による撮影.)

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113 アンカー,ボルト,ダウエル(合い釘) これらは、鋼製のロッドとかケーブルでできており、岩盤斜面の安定度を増すために補強したり結びつけ たりします.アンカーは大きな岩盤ブロックを固定するために用いられるのもので、最後に引張って緊張し ておきますが、ボルトはもっと短いもので岩盤の表層部を固定します.ダウエルはボルトと同様ですが、緊 張しません.スチールでの岩盤斜面の補強には、岩盤安定解析,グラウチング技術,試験手順の知識を持っ た専門家を必要とします.効率的なアンカー工の施行には、潜在的な破壊面の方向を決めることが第一に重 要であり、かなりな土木施工の経験を必要とします.図C32 と C33 はロックボルトとハイウエー沿いのロ ックボルトの打設状況を示しています. 図 C32 岩盤斜面上に、追加保護用のメッシュを被せたロックアンカーの接写.アンカーは岩盤内に約 5m(15 フィート)の深さまでセットされています. 図 C33 ロックボルトの打設状況.岩盤の破壊(破砕)状況に注目.(米国ワシントン州運輸部による撮 影)

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パート3.土石流抑制策

このセクションでは、住宅所有者,企業,その他の人のために、土石流災害に関する簡単な抑制方法をい くつか説明します.浸食,火事,それに続く土石流や洪水は互いに相関性のある災害ですので、ここでは、 浸食や火事の対応に関しても簡単に触れておきます. 浸食・土石流に対する斜面強化法 浸食は、ガリーの勾配を急にしたり、長くする原因となることがあり、土壌,植物の屑,岩盤,巨礫とい ったものをルーズにする原因となり、土石流による被害を拡大させます.火事にあった斜面は、土石流の発 生や浸食に対して弱くなっているので、燃えやすいものを沢山貯めておかないようにすることも土石流抑制 策の助けとなります(図C34).火事による強い熱や燃焼が原因で、その場に土を保持しておく植生が無く なったり、土壌の物理的化学的変化が起こると、その土壌はさらに土石流を起こしやすくなります. 図 C34 米国カリフォルニア州リトルクリークの山火事で焼けた斜面と火事の直後に発生した土石流. (米国地質調査所,Sue Cannon 撮影.) 浸食 地殻の物質がルーズになり,溶解し,分解し,ある場所から違う場所に移動する現象.この現象に は風,雨,凍結融解,風化,物理的剥離の作用を含みます.

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115 浸食対策のための地盤強化 浸食は、ある箇所を補強しようとする際に考慮しなければならない現象であり、浸食の影響を低減させる のに取ることのできる簡単なやり方がいくつかあります.浸食は時には斜面崩壊や排水の問題に発展します. それを防止するには、もっと大きな斜面崩壊の問題に直面する前に、住宅所有者が先を見越して処置できる ことがあります.麦藁とか木材チップは、土をその場に保持するのに効果があります.それは、土壌の有機 成分を増すという点においても価値があります.斜面や土の条件に合わせて、約2 分の 1cm(4 分の 1 イン チ)の厚さでチップとか藁を敷いて下さい.肥料も加えましょう.その上に数cm の土を被せて下さい. 編んだ土嚢(一般に安価な緩く編んだ繊維質の材料)を斜面において、風や水で剥がされないように杭を 打ち込んでしっかりと留めます.繊維は斜面上での成長を促すのに邪魔にはなりませんので、土嚢を置く前 にキチンとした植栽手順を整えておきます.土嚢は、最終的には分解しますが、植生がうまく育つまでの間、 十分長くそこに残っています. 斜面上の適切な植栽は浸食を防止できる 植物には水を絶やさず、やり過ぎないようにしましょう.裸地になっているところとか燃えたところには 再植栽しましょう.雨の時は様子を見に行きましょう.ガリーが生じないよう気を付けましょう.問題が生 じた場合にはできるだけ早めに対処しましょう. 山火事で燃えやすいものを斜面に置かないようにする 土石流の発生しやすい地域で火事に遭った斜面は、雨で飽和すると土石流が発生する恐れやその強さが増 しますので、危険な状況となります.住宅所有者や企業は、山火事で燃えやすい余計なものを所有地内に置 かないことであり、山火事が広がったり、広い地域を焼かれないよう対応する必要があります.山火事は、 植生斜面を裸にし、土壌の化学成分を変化させ、結果的に土石流による災害を強めることになります.枯れ た草木を積み上げておくとか、その他の燃えやすいものを敷地内に積んでおくのは、山火事が発生したり広 がったりしないように、最小限に留めておく必要があります.多くの地域社会には、燃えやすいものが過剰 にならないようにするための各地域のガイドラインがあり、敷地内をきれいにしておくよう実用的なアドバ イスを行っています.地方自治体では、例えば地方条例によって、ゴミをかってに燃やすと罰則が課せられ るような地域対応をとることができます.雷による山火事は自然に発生しますが、燃えやすいものを最小限 にしておくことで、この種の山火事の広がりを予め排除するといった方法を取ることができます.何らかの 理由で農場を燃やす必要が生じたような場合には、例えば、急傾斜地に住んでいる住民は、絶えず警戒を怠 らないようにすることであり、そうすれば山火事が制御できなくなったり、他の地域に広がったりすること はありません. 注:洪水,泥流,土石流(これらの内のあるものは一般に「マッドスライド」として知られている)は、多 くの似た特徴を持っており、似たような処置の仕方があるということを知っておきましょう.洪水,「マッ ドスライド」,土石流は、時には一緒に発生することがありますが、いつもというわけではありません.

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116 土石流を抑制する構築物 土石流貯砂地 捕獲盆(貯砂地)は、通常は土石流が頻繁に発生する斜面の麓に作ります(図C35).それは特に土砂を 抑えなければならないところに作ります.そうすることで、その影響を被りやすい海岸とか川岸、あるいは 斜面の麓に土石流災害に弱い構造物があるようなところに、土砂が流れ込むのを防ぎます.この貯砂地は、 最後には土石流堆積物でいっぱいになるでしょうから、定期的に土砂を除去しなければなりません.そうし ないと溢れ出してしまいます.通常は、土砂の掘削・運搬にはダンプトラックやパワーショベルのような大 型機械が必要です.しかし、小さな貯砂地の場合は、人力でもできます.貯砂地は、土石流が発生したとき に溢れ出さないようその場所の最大流量に対応できるよう設計しておく必要があります. 図 C35 米国カリフォルニア州サンベナルディーノにおいて、斜面の麓に作られた土石流貯砂地の空中写 真.(米国地質調査所Doug Morton 撮影.) 砂防ダム 砂防ダムも土石流による災害を軽減するために用いられますが、その方法については、付録C「パートⅠ. 土壌斜面の安定化・抑制策」をご覧下さい.

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117 土石流待ち受け擁壁 これは、いろいろな材料で作ることができる構造物です.土砂の落下が広がるのを防いだり、傷つき易い 場所からその流れを阻止したり、逸らしたりするよう設計されます.こうした構造物は、逸れた土砂が意図 しない別の弱い場所に向かってしまわないよう注意して設計する必要があります(図C36 と C37). 図 C36 土石流待ち受け擁壁の設置と建設には注意深さが求められます.この写真は、擁壁の一部が破壊 された状況を示したもので、メキシコ国メキシコシティーの郊外イツタパラパ(Iztapalapa)で発生した地 すべりによるものです。この地すべりは、豪雨によって発生したものであり、斜面の末端にあった家に 乗り上げ、2人の方が亡くなりました。この家は5m(15 ヤード)の高さの擁壁の下にあったのですが、 岩や土塊の押し出しに耐えることができませんでした。(Chinagate/Xinhua 撮影)(訳者注:日本では通 常の場合はこのような擁壁は仮設工としてのみ利用されており、恒久対策のための構造物としては利用 されていません.) 図 C37 日本国上高地盆地における土石流待ち受け擁壁.(写真はGoncalo Vieira 氏のご厚意による)

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