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2013_ここからセンター_発達障害

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(1)

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

児童・思春期における

発達障害の特徴

大分大学医学部小児科・児童精神科 清田晃生 1 2012/3/15 神経・筋コース 発達障がい研修会 平成25年1月17日 大分県こころとからだの相談支援センター

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

予 定

発達障害概論

ADHD(注意欠如・多動性障害)

自閉症スペクトラム障害

児童・思春期における発達障害の特徴と

治療

まとめ

2

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

発達障害概論

3 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

発達障害者支援法

自閉症,アスペルガー症候群その他の

広汎性

発達障害

学習障害

注意欠陥多動性障害

その他これに類する

脳機能の障害

であってそ

の症状が通常

低年齢において発現

するもの

–言語の障害,協調運動の障害,その他 –心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害 (ICD-10 F8,F9) 4

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

医学における発達障害の定義

DSM-Ⅳ-TR

–発達障害の定義なし

ICD-10

–心理的発達の障害(F8) •発症は常に乳幼児期あるいは小児期 •中枢神経系の生物学的成熟に深く関係した機能発達 の障害あるいは遅滞 •寛解や再発がみられない固定した経過 •会話および言語の特異的発達障害, 学力の特異的 発達障害, 運動機能の特異的発達障害, 混合性特 異的発達障害, 広汎性発達障害

5 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

発達障害の分類

6 精神遅滞 自閉症スペクトラム障害 (広汎性発達障害) ADHD 学習障害 運動・コミュニケーション障害 日本発達障害学会は, 知的障害やてんかんも 含めることを提唱して いる

(2)

発達障害に共通する重要な点

• 幼児期から症状がある –成育歴,発達歴が重要 • 生物学的な基盤がある –基本症状は,環境や躾け,性格などと無関係 –併存障害は環境や性格との相互作用あり • 生涯特徴が持続する –社会自立を考えると,自己理解が必要 • 苦手さをカバーするスキルの獲得が重要 –基本的特性が「治る」ことはない –スキルを身につければ,社会生活は可能(社会的寛解) •近視とメガネ 7 2次性併存障害 1次性併存障害 主症状

発達障害における症状や行動の出現様式

生来的 人格特性 ラ イ フ イ ベ ン ト 環 境 8 この3つが入り混じって, 多様な像を示す

発達障害臨床における医療の役割

診断

–手帳,年金など医療・福祉サービスの根幹 –主診断と副診断

薬物療法

心理社会的治療

–各機関のリソースにより差が生じる –関係機関との連携 •(児童)福祉,教育,司法,保健etc 9

発達障害の診断

面接

–成育歴,発達歴,母子手帳 –保育園や幼稚園の連絡帳 –通知表や絵画,作文

評価尺度

–ADHD-RS,Conners 3 etc –PARS,CARS,AQ-J,TABS etc –CBCL, TRF etc

検査

–心理検査(知能検査,DN-CAS,K-ABC etc) –血液検査,脳波,画像検査etc 10

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

注意欠如・多動性障害(ADHD)

11 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHDの中核症状

• 不注意、多動性、衝動性が中核症状。 • その行動により社会的活動や学業の機能に支障をきたす。   • 低年齢では多動性-衝動性優勢型、混合型が多数を占め る。年齢が高くなると不注意優勢型が多くなる。 • 中核症状の程度は、相手や場面により変動する。 12 不注意 多動性 衝動性

(3)

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHD(注意欠如・多動性障害)

• 多動性・衝動性優勢型,不注意優勢型,混合型 の3型 –最も多いのは混合型 • 学齢期の子どもの3∼7% • 男子に多い(3∼4:1) –女子では不注意優勢型の割合が男子より多い • 遺伝の影響(遺伝率0.7­0.8) –両親・親族に似た人がいる?(同胞では2­5倍)  –一卵性79%>>二卵性32% • ドパミン系とノルアドレナリン系

13 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHD 不注意(DSM-Ⅳ-TR)

(a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意すること ができない、または不注意な過ちをおかす。 (b)課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。 (c)直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える。 (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げるこ とができない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではな く)。 (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。 (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事する事をしば しば避ける、嫌う、またはいやいや行う。 (g)(例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など) 課題や活動に必要 なものをしばしばなくす。 (h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。 (i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。 14

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHD 多動性・衝動性の症状

(a) しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。 (b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離 れる。 (c)しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上ったりす る(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも 知れない)。 (d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。 (e)しばしば じっとしていない または、まるで エンジンで動かされるよ うに 行動する。 (f)しばしばしゃべりすぎる。 (g)しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。 (h)しばしば順番を待つことが困難である。 (i)しばしば他人を妨害し,邪魔する(例えば会話やゲームに干渉する)

15 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHD診断(DSM-Ⅳ-TR)

B.多動性―衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以 前に存在し、障害を引き起こしている。 C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例 えば学校[または仕事]と家庭)存在する。 D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に 著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなけれ ばならない。 E.その症状は広汎性発達障害、統合失調症、または、そ の他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではな く、他の精神疾患(例えば気分障害、不安障害、解離性 障害、または人格障害)ではうまく説明されない。 16

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHDの発症要因

17

ADHD

環境要因

喫煙、鉛など

遺伝的要因

DAT、DRD4 etc. 神経解剖学的異常 CSTC回路 神経化学的異常 低ドパミン仮説 胎生期・周産期・ 出生後の 中枢神経障害

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

ADHD治療薬の薬理プロファイル

18 化合物 DAT Ki (nM) NET Ki (nM) 5-HT transporter Ki (nM) 小胞モノアミン transporter Ki (nM) MPH 341) 339 1) >10,000 1) D-アンフェタミン 4002) 593) >1,0004) 2,1005) ATX 1,4511) 51) 77 1) 1)ヒト組換え型、2)ラット線条体、3)ラット皮質、4)ラット全脳、5)ラット線条体から調整したシナ プス小胞、Ki値:解離定数、数値が小さいほど親和性が大きい

Fone KCF, et al Current Opinion in Pharmacology 5: 87-93, 2005 Bymaster FP, et al. Neuropsychopharmacology 27: 699-711, 2002

(4)

認知的特徴_1

実行機能

–ものごとを論理的に考えたり、順序立てて考 え、状況を把握して行動に移す思考・判断力の こと(出力系) •企画・計画,実行の意思決定,適切な行動選択,目的 達成の確認 •プラニング,ワーキングメモリetc •「休みの最後に慌てて宿題を終わらせる」 !具体的な計画を立てる練習 !アルゴリズムのように予測を明示(視覚化) !実行できているか定期的に確認 19

認知的特徴_2

報酬系

–先の報酬を期待して,いま我慢することが困難 •待てない・・・衝動性と関連 •「トークン・エコノミー」 !報酬までの期間を短めにする •短期報酬と長期報酬 !現在どこまで達成できたかを明示する !現在の努力を肯定的に評価する 20

自閉症スペクトラム障害(ASD)

広汎性発達障害(PDD)

21

広汎性発達障害(PDD)

重い 障害の程度 軽い 低い   知的発達   高い 小児自閉症 高機能自閉症 アスペルガー障害 小児期崩壊 性障害 22 傾向のある人 診断

自閉症的傾向を持つ人は0.6∼1%!

–ASDの有病率:1.16%(2006,UK) –自閉症:1万人当たり4-5人"60人

原因:不明

–1-2割は身体疾患と関連(重複診断) –遺伝:一卵性(0.5-0.77)>二卵性(0.21-0.36)        (2012,US)

精神遅滞・てんかん(脳波異常)

–70-80%はFIQ 70 –1/4にてんかん発作(思春期で初発も多い) 23

ASD

ある分野では有能 (サヴァン)

–学習障害,努力不足等と誤解

トラブルメーカー(社会性,対人関係) 

"いじめ "自信喪失,不登校,抑うつ,非行

自宅では問題がないことも多い

24

ASD

(5)

25

ASD

の3徴(Wing)

社会性の障害

コミュニケーションの障害

想像力の障害及びそれによる行動の障害

DSM-Ⅴでは, ①社会的コミュニケーションと相互作用における持 続的な欠損 ②行動や興味,活動における限定的で反復的な型 の2つの領域に再編成されている。 26

社会性の障害

目が合わない

人の気持ちが読めない

相手によって振る舞いを変えない

自分の空間を守る

双方向の交流が出来ない etc

○社会性からみた3型

–孤立型 –受け身型 –積極・奇異型 27

コミュニケーションの障害

言葉の発達の遅れ(健診)

比喩や冗談がわからない

どう意見を言って良いかわからない

表情や身振りの理解が困難 etc

28

想像力の乏しさと行動の障害

別の視点から考えられない

こだわり行動、固執!パニック

常同行為

興味の限局

ファンタジーへの没頭 etc

関連症状

• 感覚過敏 • 不器用:器用な人もいる(個人差が大) • 睡眠障害:入眠困難,夜泣き • 注意力の転導性:興味の有無で差が大きい • 多動 • 癇癪:head-banging, bitingなどの自傷行為 • クレーン現象

心の理論(Theory of Mind)

サリー・アン課題 正常な4歳児  ⇨通過 ダウン症  ⇨MA=4yo:通過 ASDs  ⇨4歳以上:失敗   (6-7歳) 30

(6)

全体的統合(中枢性統合)

Central coherence

別々の情報をまとめて,状況に応じたより

高次の意味に構築していく能力

­

局地的情報処理>包括的情報処理

­

「積木」が得意

­

同一性保持,興味の限局etc

31 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

DSM-5案

32

ADHDの変更点

発症年齢が7歳から「12歳までに」に変更

3つの下位分類!現症に

–過去6か月の状況で

症状型が4つに

–混合 –不注意優勢:多動症状3/9以上 –不注意(限定):多動症状2/9以下 –多動性/衝動性優勢

ASDの除外基準の撤廃

大人のADHDは保留

33 34

PDD!ASD

自閉性障害やアスペルガー障害などの下位

分類が消失!すべてASDに

Rett障害が除外

発症年齢が「小児期早期」に

三つ組み!2つの症状カテゴリーに

重症度(支援が必要な程度)で分類

Draft:社会的コミュニケーションの障害

社会的・情緒的相互性の障害

社会的相互交流に用いる非言語的コミュニ

ケーション行動の障害

発達段階に相応しい,対人関係の発展と維

持および社会的文脈に行動を適応させるこ

との障害

上記3つを「現在」有していること

年齢,発達段階に応じて判断する具体的な例を聴取することが必要呖臨床的セン スが重要になる 35

限局した興味・反復行動

以下の4つのうち2つ以上が現在または過去

に存在しなければならない

–常同的あるいは反復的な話し方,運動・動作, あるいは物の使い方 –日常的習慣,言語的あるいは非言語的行動の儀 式的なパターン,あるいは変化することへの過 度の抵抗 –強度や焦点が異常である,極めて限定され固定 した興味 –感覚入力への過剰あるいは過小な反応,あるい は環境の感覚的側面への通常でない関心 36

(7)

ASD重症度分類

37 ASDの重症度 社会的コミュニケーション 興味の限局・反復行動 レベル3 非常に重度の 支援が必要 言語的・非言語的な社会的コ ミュニケーションにおける重 度の欠陥 没入,固定した儀式,反 復的行動によりすべての 領域で機能に影響する。 レベル2 重度の支援が 必要 言語的・非言語的な社会的コ ミュニケーションにおける著 明な欠陥:支援を受けても社 会的機能障害がある 反復的行動,没入,限局 した興味を,誰もがしば しば目にする。種々の面 で機能に影響する。 レベル1 支援が必要 必要な支援がない場合,社会 的コミュニケーションの欠陥 により明らかな機能障害があ る。 反復的行動が1つまたは複 数の文脈で明らかに機能 に影響する。

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

児童・思春期における

発達障害の特徴と治療

38

Oita University, Child and Adolescent Psychiatry

発達障害の治療目標

39 ! 子どもがADHDの症状を持ちながらも成長発 達することを支援すること 上林靖子, 他: 注意欠陥/多動性障害 ‒ADHD- の診断・治療ガイドライン じほう: 2003 改変 ! こども=成長する存在 "QOL(生活の質)の最大化 ! 米国小児科学会=機能の最大化 "そのために、今、何が必要か(可能か) "長期目標と短期の目標

アイデンティティの確立

自分の特性を受容・承認すること

–自尊感情,自己肯定感が必要

成功体験を通じて自分の特性を理解するこ

とが望ましい

–発達障害の特性を「資源」と思える –まず,周囲が「資源」と思えるか? 40

児童・思春期の発達課題

2次性併存障害 1次性併存障害 主症状

発達障害における症状や行動の出現様式

生来的 人格特性 ラ イ フ イ ベ ン ト 環 境 41 この3つが入り混じって, 多様な像を示す

主訴となる症状

42 年   齢 基本症状 併存症状 性格特徴

(8)

Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry 43

治療・支援の役割

症状 学校不適応 自己評価↓! 他者評価↓ 周囲への不満↑! 症状改善 学校適応改善 自己評価↑! 他者評価↑ 周囲との関係↑! 治療・支援 家族のQoL↑

Oita University, Child and Adolescent Psychiatry

発達障害の治療

! 心理社会的支援 " 環境調整 ! TEEACH,ABA(応用行動分析)etc " 親ガイダンス, 学校への説明 " 行動修正(教育的介入) ! 教育的介入を通じて、「自分の特性に応じた対処行動 を、自らとれるようになる」 ! 薬物療法 " 基本症状!抗ADHD治療薬 " 併存症状!対症療法として 44 45 Oita University, Child and Adolescent Psychiatry 63

仲間との関係構築(小中学校)

本人

友人 友人 友人 信頼 同世代的指導 いじめ・ からかい 関わり方 の伝達 大人 助言 指導 社会性↑ 医療 機関 薬物 行動修正

他機関との連携

医療機関の限界

年齢に応じた連携先

–教育,福祉(療育),保健,司法,労働など –他機関の機能の理解 46

Oita University, Child and Adolescent Psychiatry

薬物療法の原則

! 標的症状の設定(重症度評価・総合評価) " 社会機能(学校生活,対人関係)の状態 " 基本症状? or 併存障害? " 薬物療法は対症療法 ! アドヒランスの評価(親・本人) " 親機能の評価!学校の協力 " 薬物乱用・依存の危険(特に思春期以降) " 親の流用(乱用)は? ! 効果・有害反応の評価 " チェックリスト(ADHD-RSなど)の活用・・親・学校 の評価 " 標的症状のコントロールと有害反応のバランス

47 Oita Univ. Child and Adolescent Psychiatry

まとめ

(9)

Take Home Message

• 発達障害は脳の機能障害である • 症状や行動は,生来の人格,基本症状,併存障害 (症状)が入り混じったもの • 医療の役割は適切な診断・薬物療法,そして心理 社会的治療の一部 • 子どもは成長する存在であり,長期的目標と短期 的目標を考える • アイデンティティ獲得には自己理解が重要であ り,健全な自尊感情がその前提になる • 治療では,環境調整と行動修正が主体で,適宜薬 物療法を行う • 他機関との連携が必要な場合も多い 49

参考文献

映画

Rain Man Mercury Rising

I am Sum Stand by Me/西の魔女が死んだ

図書

–尾崎他「ADHD及びその周辺の子どもたち」同成社 –シンシア・ウィッタム「読んで学べる ADHDのペア レントトレーニング」明石書店 –上林靖子他「こうすればうまくいく 発達障害のペア レント・トレーニング 実践マニュアル」中央法規 –シーラ・リッチマン「自閉症へのABA入門 親と 教師のためのガイド」東京書籍 –内山登紀夫他「こんなとき、どうする?発達障害のあ る子への支援 小学校 (特別支援教育をすすめる本)」ミ ネルヴァ書房 50

参照

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