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平行平面板による収差発生と補正について

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Academic year: 2021

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1

.はじめに 光学の結像を利用して、高精度な検出で、実 際に製品適用しているものの一つに、半導体製 造装置が上げられる。その中でも本報告は、ア ライメント検出系と重ね合せ検査装置で使用さ れている計測用結像光学系の収差補正に関する ものである。 表1に ITRS 99 におけるリソグラフィの ロードマップから引用した、各DRAM世代での 必要精度を示す。重ね合せ必要精度は、デザイ ンルールの 約1/3であり、重ね合わせ検査装置 必要精度は更にその1/10であり、既に10nm以 下の値を必要としている。又注目すべきは、最 小単位として0.5nmまで記載してある点であり、 サブナノメータを考慮する必要がある事が伺え る。 表1 各DRAM世代での必要精度 より高精度計測の為には、計測用結像光学系 の性能を向上する必要があり、図 1に示した様 な半導体露光装置のアライメント光学系や重ね 合わせ検査装置においては、コマ収差と照明系 の均一性が重要である。このコマ収差と照明系 の評価方法について、本報告者が新たな評価基 準を提案し、既に量産工程で使用され,効果が 確認されている1) 本報告で、設計段階、製造段階においての収 差補正について述べるものであり、特に平行平 面板を使用してどんな収差がどの様に発生し、 その収差発生を使用してどの様に補正できるか を、主にTTL方式のアライメント光学系に対し て適用した場合についての報告を行うものであ る。 重ね合わせ 必要精度 デザイン ルール 0.25 μm 0.18 μm 0.13 μm 0.10 μm 256 M 1 G 85 nm 65 nm 45 nm 35 nm DRAM の世代 重ね合わせ検査 装置必要精度 8.5 nm 6.5 nm 4.5 nm 3.5 nm 4 G 16 G

ORAセミナー

半導体製造における計測用結像光学系の事例

平行平面板による収差発生と補正 について

秀樹、千徳

孝一

キヤノン(株) 製品技術研究所

[email protected], [email protected]

図1 重ね合わせ検査装置 光学系例 CCD カメラ ウエハー 対物 光源 図1に重ね合わせ検査装置の光学系例を示す。 光源としてハロゲンランプ等を使用し、各種光 学フィルターで所望の波長帯域のみを、ファイ バーで光学系に導光し、ウエハー上の専用マー クをケーラー照明する。ウエハーから反射した 光は、光学系で CCDカメラ等の撮像素子上に像 を形成し、光電変換され、そのビデオ信号を各 種画像処理を実施することにより、位置検出を 行なっている。 現在市販されている重ね合わせ検査装置及び びにアライメント検出系の原理としてはほとん どのものが図1に示した、 「 明視野照明+画像処理 」 を採用しており、光学倍率としては100倍程度 の高倍率であり、軸上近傍の像のみを使用して いる。 次にStepperやScannerと呼ばれている半導体 露光装置のアライメント光学系について述べる。 現在使用されているアライメント方式は、 1)TTL方式 2)Offaxis 方式 の二つに分類できる。 次の頁の図2に、アライメントを投影光学系 を通して行う( Through The Lens :TTL) 方 式の例を示す。

(2)

図2の様に、投影光学系の固定像高に対して アライメト光学系を偏心させて配置している。 ウエハー上にはレジストと呼ばれる感光材が 塗布されており、レジストに感度のある紫外線 (=露光光)のみに対して、投影光学系は徹底 的に収差補正されている。 一方、アライメント に使用する波長としては、550nm以上のレジス ト感度の無い波長(=非露光光)を使用する必 然性がある。 投影光学系では露光光のみに収差補正されて いる為、アライメントで使用する非露光光に対 しては収差が発生する。アライメントの検出原 理として製品化されているもののほとんどが前 述の様に「画像処理」を採用しているので、こ の場合には非露光光でウエハー上のアライメン トマークの像をCCD等の撮像素子上に形成する 必要がある。 TTL方式でアライメント系を構成する為には、 投影光学系で発生するアライメント波長に対す る収差を、アライメント光学系内で逆補正して 良好な像を形成する必要がある。 アライメント全系での光学倍率は100倍程度と 高く、使用する画角はウハー上φ100um程度な ので、投影光学系の限定画角のみの使用と考え る事が出来る為、ディストーションと像面湾曲 は逆補正する必要はないが、その他の全ての収 差に対しては、逆補正を行ってTTL方式のアラ イメント光学系を構成する。 投影光学系は1m近く長いものであるが、ア ライメントの為の逆補正を如何にコンパクトな 光学系で達成するか、が光学屋の腕の見せ所、 と言える。 Offaxis 方式のアライメント光学系は、図1に 示した重ね合わせ検査装置の光学系とほぼ同じ 構成をしている。この場合は投影光学系を通っ ていないので、逆補正する必要性は生じない。 この場合、設計及びに製造上、収差発生の9 0%以上を対物レンズが担っている。 レチクル ウエハー 投影光学系 アライメント光学系 (含む逆補正系) 図2 TTL方式の構成例

2

.平行平面板により発生する収差について この逆補正方法としては、色々な方法が存在 するが、今回は、平行平面板のみでの補正に着 目して、報告を行う。 まず、平行平面板の厚さ、硝材、傾け角によ り発生する以下の収差について言及する。 球面収差 アス(非点収差) コマ収差

CIS( Chromatic Image Shift )

2-1 球面収差について 図3の様に光学系が理想的(=無収差)に、 像を結んで居る所に、図4に示す様に、厚さD 屈折率 N の平行平面板を挿入すると、球面収 差SAは、像側での開口数がSin

θ

となる光線で は、

SA = D (1/N - tanθ

N

/ tanθ)

但し

θ

N

= sin

-1

( sinθ / N)

だけ発生する。 この量は縦収差(=近軸像面からの光軸方向 へのズレ量)で、Snellの法則から導出したもの である。 図4 平行平面板による球面収差

SA

発生例 SA D

θ

N 図3 無収差で結像している例

(3)

次に光学設計プログラム CodeVを使用し、 球面収差を波面収差で表現し、平行平面板の厚 さとの関係を示す。

評価面を近軸像面からデフォーカスさせて、 波面収差のRMS(Root Mean Square)が最小 になった時の値と、その時のデフォーカスを図 5、6 に示す。 更に図7にはツェルニケ係数で球面収差を表 現し平行平面板の厚さとの関係を示した。 尚、今回計算した条件は、波長632.8nm、硝 材S-BSL7、開口数NAは0.1、0.2、0.3,0.4 で ある。 2-1、アス・コマ収差について 光学系が理想的に結像している所に、図8の 様に厚さD、屈折率 N の平行平面板を、傾け角 αで挿入すると、その時に発生する アス(非点 収差)ASとコマ収差 CM は、開口数がSinθと なる光線では、

AS = Dα

2

(N

2

-1)/N

3

CM = Dαθ(N

2

-1)/(2N

3

だけ発生する2) この式からコマ収差 CM の発生量は、傾け角 αの正負の符号で反転するが、アス AS の発生 量は、傾け角αの正負の符号に寄らない事が判 る。 図5 平行平面板厚 VS. 最小RMS 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0.0 5.0 10.0 平行平面板 厚さ D (mm) 最小 RM S ) NA = 0.1 NA = 0.2 NA = 0.3 NA = 0.4 図6 平行平面板厚 VS. デフォーカス 0.0 0.1 0.2 0 5 10 平行平面板 厚さ D (mm) デフォーカス (mm ) NA = 0.1 NA = 0.2 NA = 0.3 NA = 0.4 次に球面収差と同様に、ツェルニケ係数で、 アス・コマ収差を表現して平行平面板の傾け角 との関係を示すとするが、まず、CodeVを使用 した場合に、ツェルニケ係数を簡便に求める方 法について述べるとする。 平行平面板の傾け角との関係を求める場合の 初期の状態は、平行平面板を傾けない状態での 結像性能を無収差にしておく必要がある。 無収差としておかないと平行平面板を傾けた 時に発生するアス・コマ収差に初期に存在した 収差が影響して、傾けた事による収差発生以外 の収差が現れ、傾け角に対する敏感度の算出に 誤差が発生するからである。 これはツェルニケ係数を使用する場合の注意 項目でもあるが、例えばツェルニケ係数の四番 目の項はデフォーカスを現す成分で、2次項で しか補正しない為、評価面のフォーカスを変え るとその時の収差の状態によっては各ツェルニ ケ係数の値が変化する、と言う事である。

θ

α

N

D

図8 傾けた平行平面板による アス、コマ収差 発生例 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 0 2 4 6 8 10 NA=0.1 NA=0.2 NA=0.3 NA=0.4 Z ern ik e 係数 Z9 平行平面板 厚さ D (mm) 図7 平行平面板厚 VS. ツェルニケ係数 (Z9:球面収差分)

(4)

そこで無収差の状態を簡便に作り出す為に、 「 逆ツェルニケ係数 」 と言う概念を新たに考えて使用したので、そ の手順を以下に説明する。 例えば、物体面を無限遠とし、ある焦点距離 の光学系により結像する場合を考える。 先の球面収差の場合は、初期の状態が平行平 面板の厚さがゼロなので、無収差の結像状態は 理想レンズ(CodeVでは Black Boxレンズ、

modコマンドで対応)を使用すれば良い。 ところが 平行平面板を傾けた時に発生する アス、コマ収差のツェルニケ係数成分を求める 場合には、初期値はある厚さの平行平面板を傾 けないで構成する状態であり、光学系に理想レ ンズを使用しても、平行平面板により球面収差 が発生していて、無収差の状態ではない。 実際の光学系と所定厚さの平行平面板の構成 を自動設計により、無収差状態まで収差補正し て使用しても良いが、各種変数(NA、厚さ、 硝材)が変わる度に収差補正する必要が出てく るので、簡便ではない。 そこで自動設計を必要とせずに、簡便に無収 差の状態を作り出すのに「逆ツェルニケ係数」 と言う概念を新たに定義して、以下の様に使用 した。 まず、無収差状態でない場合、例えば「理想 レンズ+平行平面板」のツェルニケ係数を求め る。CodeVにおいては、

CodeV > pma;zfr exp 36;go

で36のツェルニケ係数が求まる。 このツェルニケ係数を求める前に、評価面の フォーカスを変化させて、波面収差のRMS (Root Mean Square)が最小になる位置に評価 面を設定する必要がある。これは球面収差に対 してのツェルニケ係数を求める場合にも同様に 行った事であるが、前述のツェルニケ係数が評 価面のフォーカスを変化すると変わる場合があ る事を考慮してのことであり、こうして求めた ツェルニケ係数の四番目の項のデフォーカス分 は(それぞれのFittingの誤差は生じるが)ほぼ ゼロとなっている。 RMSを最小とデフォーカスするのは、 CodeV >wav;rfo;go により設定できる。 次に求めたツェルニケ係数を入射瞳上に正負 の符号を「逆」にして入力する。 入力後の光学系は、無収差光学系となる。 この様に正負の符号を「逆」にして入力する ので、「逆ツェルニケ係数」と呼ぶ事とした。 CodeVにおいてこの逆ツェルニケ係数を入力 する為には、Textエディターでファイルを作成 しておく必要がある。 ここではそのファイルを input36.int として 所定の逆ツェルニケ係数を入力しおき、

CodeV > int enp input36

で入射瞳に入力する事ができる。 逆ツェルニケ係数をどの係数まで入力する必 要があるかは、無収差と、どの状態で考えるか であるので、逆ツェルニケ係数入力後にその状 態での波面収差や「ツェルニケ係数」を算出し て判断する必要がある。 又、ここまでの光学系の初期値として、 「理想レンズ+平行平面板」 を使用したがこれに限定するものでなく、 例えば 「単レンズ+平行平面板」 としても同じ手順で無収差光学系とする事が できる。 逆ツェルニケ係数を入力し、無収差と判断し た状態で、平行平面板を傾け(CodeVでadeコ マンドで対応)て、そこで、平行平面板を傾け た時に発生するアス、コマ収差のツェルニケ係 数成分を求める事が可能となる。 この逆ツェルニケ係数を使用した場合と、実 際に自動設計により無収差状態まで収差補正し た光学系を使用した場合とで、平行平面板を傾 けた時に発生するアス、コマ収差のツェルニケ 係数成分を求めた結果が同じである事は事前に 確認している。 この様な「逆ツェルニケ係数」と言った新た な概念を導入して使用する場合には、信憑性を 確かめる必要があるのは当然の事である。 更にソフトウエア固有の Bug の存在の可能 性も考慮して、社内作成の光学計算プログラム を使用しても「逆ツェルニケ係数」の信憑性を 確認した。

(5)

今回、平行平面板を傾けた時に発生するアス、 コマ収差のツェルニケ係数成分を簡便に求める為 に、「逆ツェルニケ係数」と言う考えを導入したが、 他の場合においても「逆ツェルニケ係数」を使用し て簡便に光学性能を評価する事ができる。 例えば光学系の収差補正の仕様がはっきりして いない場合に以下の様に使用する事ができる。 レーザーを集光して使用したいが、その光学仕 様が不明だとする。その時レンズ設計もまだ収差 補正が不完全なものを使用して、今の光学条件で 収差がどこまでなくなったら、集光ビームサイズが どうなるか? を「逆ツェルニケ係数」を入力して求 める事ができ、その設計条件での収差補正の目 標値を算出する事ができる。 又自動設計時の 「 Local Minimum」な状態から 抜け出す場合にも効果があるのでは?と考えてい る。(現在未検討) 図9、10にここまで述べてきた、我々が今 回新たに提案する「逆ツェルニケ係数」を使用した 方法でCodeVを適用して求めたツェルニケ係数 で、アス・コマ収差を表現した、平行平面板の 傾け角との関係を示しす。 (平行平面板の厚さは 3mm) 図11において、平行平面板の波長λ1、λ2対する屈折率をそれぞれ N1、N2 とすると 波長 間の像ズレ CISは、

CIS = D (tanα

2

- tanα

1

) cosα

但し

α

1

= sin

-1

( sin α / N

1

α

2

= sin

-1

( sin α / N

2

だけ発生する。 図11では組み立て時での、部品の傾きと言 う偏心が原因でCISが発生した例である 。 更に部品単体での心取り誤差、角度誤差によ りCISは発生する。 又、図2の様なTTLアライメント光学系おい ては使用画角が狭いので、投影光学系で発生す る倍率色収差は、画角内では変化しない為、補 正する場合にはCISと考える事が適切である。 ある半導体プロセスでは露光装置のアライメ ントで発生するOffset 量とCIS との相関がある事 が判明していて、CIS を nmオーダーにする必要 性がある事が既に報告されている3) これを達成する為に各光学部品を高精度に作製 し、無調整で組み立てを行う事は大変困難であ り、CIS計測後、調整機構で対応する必要性があ る。 2-3. CISについて 平行平面板が傾くとアス・コマ収差の発生 のみでなく、波長間の像ズレCISも発生する。

CIS とは Chromatic Image Shift の略であり、

図11に示す様に平行平面板が、角度 α 傾 くと硝材の色分散(屈折率の波長依存性)に より、波長間 (Chromatic)で、像( Image)がず れる (Shift) 事を意味している。

図11 傾けた平行平面板によるCIS

( Chromatic Image Shift) 発生例

α

N=N (λ)

D

CIS

λ

2

λ

1 図9 平行平面板 傾け角 VS. ツェルニケ係数(Z5:アス分) 0.0 2.0 4.0 6.0 0 5 10 15 NA = 0.1 NA= 0.2 NA = 0.3 NA = 0.4 平行平面板 傾け角α (Deg.) Z ern ik e 係数 Z5 平行平面板厚 3mm 図10 平行平面板 傾け角 VS. ツェルニケ係数(Z8:コマ収差分) Z ern ik e 係数 Z8 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 0 5 10 15 NA = 0.1 NA = 0.2 NA = 0.3 NA = 0.4 平行平面板 傾け角α (Deg.) 平行平面板厚 3mm

(6)

図 14 メリジオナル断面での逆補正系 PPP4 図 13 サジッタル断面での逆補正系 PPP1 PPP2 PPP3 この時CISも発生する。このCISと投影光学系 で発生する倍率色収差が逆方向の場合には、厚 さ、硝材、傾け角を選拓する事で打ち消し合う 事が可能である。 平行平面板 PPP1を傾ける事で、アスASPPP1 も発生するので、サジッタル断面で、アスの量 を

-

( ASPASPPP1)/2 だけ発生させる様に 平行平面板 PPP2を設定する。この時平行平面 板 PPP2により、サジッタル断面内でコマ収差 とCISも発生する。

3

.平行平面板による収差補正について 平行平面板で発生する各収差を、定量的に表現 できたので、この発生量で逆補正する事で所望の 結像性能にする方法について説明を行う。 まず、設計段階での収差補正について述べる。 三枚の平行平面板を組み合わせる事で、図2の TTL方式のアライメント光学系の逆補正系を構成 した例を図12,13に示す。 今、図2の構成例において投影光学系において アス ASP、コマ収差 CMPだけアライメント波 長で発生したとする。 まず図12に示すメリジオナル断面において平 行平面板 PPP1をコマ収差が

-

CMP だけ発生さ せる様傾けるに設定する。 そこで、平行平面板 PPP2と同じ部品を平行平 面板 PPP3として、平行平面板 PPP2と逆の傾け 角で設定する。 平行平面板 PPP3も平行平面板 PPP2と同じく

-( ASPASPPP1)/2 だけアスが発生するので 平行平面板PPP2、 PPP3合わせて、

-

( ASPASPPP1)アスを発生でき投影光学系と平行平面板 PPP1で発生したアス ( ASPASPPP1)を打ち 消し合い全体でアスが存在しない様補正する事 ができる。 平面板 PPP3により、サジッタル断面内でコマ 収差とCISも発生するが、傾け角を逆とした事で、 平面板 PPP2で発生した値と絶対値は等しく正負 の符号は逆の値となる為、サジッタル断面内で 発生したコマ収差とCISは補正する事ができる。 この様に平行平面板 PPP1、PPP2、PPP3を使 用する事で、アス -ASP、コマ収差

-

CMPだけ 発生する事ができ、投影光学系で発生したアラ イメント波長での収差を逆補正する事が可能と なる。 もちろん三枚の平行平面板が挿入されるので その分の球面収差が発生する。この増分を考慮 して、投影光学系+アライメント光学系の全系 で、設計段階で、補正しておく必要がある。 この平行平面板三枚の構成での逆補正系は、 全ての場合で対応できるものではない。例えば 図12で、アスの逆補正は、投影光学系と平行 平面板PPP1で発生しているアスの和を、サジッ タル断面に平行平面板 PPP2、PPP3を傾けて、 サジッタル断面の光路長をメリジオナル断面の 光路長より長くする事で補正している。 アスの発生がこの方向ではない場合も存在す るが、同じ様な考えで対応する事は容易であり メリジオナル断面に二枚の異なった厚さの平行 平面板を逆の傾け角で配置する事で、逆補正が 可能となる。 更に一枚の平行平面板で対応できる場合もあ り、 現実にキヤノン製半導体縮小投影露光装置

FPA3000i5+ の TTL方式のアライメント光学

系の逆補正系は、図14に示す様な一枚のみの 平行平面板の構成である。 PPP1 PPP2 PPP3 図 12 メリジオナル断面での逆補正系

(7)

次に製造段階での収差補正について述べると する。前述の様に投影光学系は、露光光に対し て徹底的に収差補正され、組み立てられている。 その為、非露光光(=アライメント光)で発生す る収差の量は大きく、投影光学系の組立ての調 整時に更にさまざまな収差が発生している。 (含む、各レンズの偏心が原因の収差) この製造段階での収差補正については、一番 簡便に行っているのは球面収差のみの補正で、 設計段階でそれなりの厚さの平行平面板を入れ て設計しておき、球面収差を計測後、別の厚さ の部品に交換する事で、製造で発生する球面収 差の補正を行っている。 又、図12、13の例においては、三枚の平行 平面板の傾け角を変える事で製造段階での収差 補正に対応できる。しかしながら、傾け角を変 えると球面収差、アス・コマ収差、CIS 全てが 変化する。 そこで予め、各種収差への敏感度が異なる所 に、傾け機構を複数個構成しかつ各平行平面板 に対し厚さ、硝材が異なる別の部品も用意し、 調整前の各種収差量を求めた後、それぞれの傾 き機構に対する傾き量を求め(含む部品交換) 全収差を組み合わせで補正する事で、製造誤差 に対して、対応する事ができる。 この様な収差補正方法を、半導体製造の様な 高精度の計測系への適用する場合には、 -高精度に収差を分離して計測する手段 -各収差を異なる調整機構への振り分け -高精度に調整可能な調整機構 の技術に支えられて達成できるものである。 又製造上の誤差として重要なものに照明系が ある。 半導体の計測系においては、Telecentricityと 言う言葉を本来の「瞳が無限遠にある」と言う 意味でなく、被計測物のフォーカスを変えた時 の計測値変化が無いと言う意味で使用している が、照明系の不均一がTelecentricityの悪化を生 じさせる。 又、照明系の不均一性と球面収差と合わさると コマ収差の様な挙動となり、大問題となる。 報告者の拙い経験によるものではあるが、結 像系より照明系を実際作り上げる方が困難、と の認識がある。この原因は、LDやLED等の光源 の光の指向性、ファイバーの特性等が実際には カタログ通りでなかったり、1個1個のばらつき が大きかったり、振動や温度等の外乱により変 化する為であると思われる。 新規の照明系の場合は、試作が必須と考える。 4. 結論 今回平行平面板を使用した収差補正に限定 して報告を行い、厚さ、硝材、傾け角を変える事 で各種収差に対して、設計段階、製造段階におい て補正が可能な事を示した。 別の見方をすれば、部品製造誤差、組み立て誤 差で、この様な収差が発生するので考慮する必要 があると言う事であり、平行平面板は曲率無限大 のレンズであるので、実際の Powerのあるレン ズの場合においても、今回求めた敏感度が、基本 には存在する事になる。 勿論、発生する収差によっては、平行平面板の みの使用で逆補正できない場合も存在する 。 平行平面板以外を使用する例としては、今回取 り上げた、計測結像光学系の様な光学倍率が100 倍程度の高倍率な場合では、低画角のみを検出に 使用しているので、レンズを偏心系で構成すると か、楔、シリンドリカルレンズを含む非球面光学 系、更に張り合わせ部品を組み合わせる事で、各 種各様な諸収差に対応できる事は判明しているが、 この件に関しては機会が有れば別途報告を行いた い。 以上説明した、平行平面板を使用した収差補正 方法を、アライメント検出系や重ねせ検査装置に 適用する事で、計測結像光学系のコマ収差等を設 計段階、製造段階で補正し、必要精度を満たし得 る光学性能を達成することができ、半導体の微細 化に伴って要求される高精度化への計測系の対応 が可能となる。 参照文献 1)H.Ina et al.,: 第23回光学シンポジウム(1998) 2)Warren J.Smith: Modern Optical Engineering

(McGraw-Hill,USA,1966) ,PP.84

3)E.Kawamura et al., :Jpn.J.Appl.Phys.

図 14 メリジオナル断面での逆補正系PPP4図 13 サジッタル断面での逆補正系PPP2PPP1PPP3この時CISも発生する。このCISと投影光学系で発生する倍率色収差が逆方向の場合には、厚さ、硝材、傾け角を選拓する事で打ち消し合う事が可能である。平行平面板 PPP1を傾ける事で、アスASPPP1も発生するので、サジッタル断面で、アスの量を-( ASP+ASPPP1)/2 だけ発生させる様に平行平面板 PPP2を設定する。この時平行平面板 PPP2により、サジッタル断面内でコマ収差 とCISも発生する。

参照

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