• 検索結果がありません。

由 実 子 : ほんまに 悪 かったと 思 ってる そやけど 直 お 兄 さんに 新 しい 住 所 知 らしてへんって 言 ったろう?そないなことしたら もう 手 紙 届 かへんし 直 貴 : それは 由 実 子 とどんな 関 係 があるだよ? 由 実 子 : 関 係 あらへんけど そんな 寂 しい

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "由 実 子 : ほんまに 悪 かったと 思 ってる そやけど 直 お 兄 さんに 新 しい 住 所 知 らしてへんって 言 ったろう?そないなことしたら もう 手 紙 届 かへんし 直 貴 : それは 由 実 子 とどんな 関 係 があるだよ? 由 実 子 : 関 係 あらへんけど そんな 寂 しい"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1:19:26 から 1:40:19 まで ((1:19:56、由実子の部屋の前に、手紙)) 剛志: 直、手紙ありがとう。仕事の方はどうですか。この前、テレビで秋葉原の特集を見た よ。あの町で、直も働いていたんだよな。 直貴: どうして? 剛志: 倉庫の仕事にはもう慣れたか。サラリーマンはあっちこっち異動があって大変だな。 力仕事は腰に来るから気をつけてな。 由実子: 直。 直貴: どういうこったよ?なんで俺が就職したことを兄貴が知ってんだよ。 由実子: それは 直貴: 俺のふりしてなんでお前が手紙書いたりしてんだよ。 由実子: あかん!そんなこと 直貴: うるせぇや!誰がこんなことをしてくれって頼んだ?もうおれに構うな。 *** 直貴: 何やってんだよ! 由実子: こんなことしたらあかん!大事なものやんか!こんなことしたらあかん! ((1:21:45、由実子の部屋で)) 由実子: 直がな朝美さんと別れたあと、何回か酔いつぶれてしまったことがあったやろう? 直貴: ああ。 由実子: 直をアパートまで担いで行ったときに、偶然、お兄さんの手紙を見てしもうたんや。 直貴: なんで? 由実子: ごめんなさい。勝手なことしたと思ってる。でも、間違ったことだと思っていない。 直貴: 俺に無断で兄貴の手紙読んで、 俺の名前で手紙出して、それが間違ったことじゃない のか。 1

(2)

由実子: ほんまに悪かったと思ってる。そやけど直、お兄さんに新しい住所知らしてへんって 言ったろう?そないなことしたら、もう手紙届かへんし 直貴: それは由実子とどんな関係があるだよ? 由実子: 関係あらへんけど、そんな寂しいやん。たった一人の肉親なのに 直貴: 兄貴とは縁を切ると決めたんだ。兄貴のせいで世間から差別されるのはもう?差別さ れるのは ((会長: 君はもう、始めているじゃないか。少なくともこの手紙の主とは心がつながっている。 あとはその糸を二本、三本と増やしていけばいい。差別のない場所を探すんじゃない。君はこ こで生きていくんだ。)) 由実子: 直。直がどんなに逃げようとあがいたって無駄やねんで。 ((1:24:33)) 直貴: これ? 由実子: 筆跡、ばれるやろう? ((1:25:05、手紙)) 剛志: 直、手紙ありがとう。元気そうな様子でほっとしました。ずっと返事が来なかったか ら、ひょっとしたら病気でもしてるんじゃないかって心配してたんだ。・・・ 直、元気ですか。この間の台風、すごかったな。店の看板が飛ばされたって言ってたけど、け がとかしなかったか。パソコンの手紙って、最初は味気ないと思ってたけど、慣れるとどとこ とないな。お前の癖がある字も味があっていいけど。これはこれで読みやすいし、大切なのは 気持ちだもんな。そうそう、俺が作った製品、買い手が付いたんだ。この前の手紙で直が励ま してくれたおかげかもしれないな。ありがとうな。次の手紙も楽しみにしてます。俺もまた、 来月書くよ。体大事にな。 武島直貴様 武島剛志 直貴: 兄貴はこの手紙、由実子がパソコンで書いた手紙、信じて 由実子: あたしのしたことは、間違ってたかもしらへん。そやけど、お兄さん、ほんまに直 からの手紙やて信じて、喜んでてんで、お兄さんのこころを慰められるのは、直からの手紙だ 2

(3)

けやねんで。直の手紙には、こんなに大きな力があるんやで。あたしんち、お父ちゃん騙され て借金背負わされて、親子で逃げ回って生活してて、そやからもう逃げるのはいややし、直に も逃げてほしくない。うちな、あんたと同じやねんで。結局最後は家族バラバラになって、妹 と別々の施設に入れられてな、それから、時々届くお父ちゃんからの手紙が何よりも楽しみや った。そやからよう分かんねん、手紙ってめちゃ大事やねん。命みたいに大事な時あんねんで。 そやから直も書いたげて、どこにも逃げんと、お兄さんに手紙 直貴: ごめんな、由実子。こんな俺なんかのために、会長に手紙を書いてくれたのもお前だろ う? 由実子: なんや、ばれとったんか。 直貴: 由実子、ありがとう。ありがとうな。これから俺がお前を守るから。 由実子: 直 ((1:31:19、手紙)) 剛志: 直、手紙ありがとう。みきちゃん、大きくなったな。同封してくれた写真、毎日眺めて ます。由実子さんに似て、美人だよな。実物はこの何倍もかわいいんだろうな。 直貴: おー、かわくしてもらったな。 みき: みきも公園行く 由実子: あとで、「パパ行ってらっしゃい」してから 直貴: 友達できたのか 由実子: うん。えりなちゃんとまなちゃんとけんたろうくん。毎日飽きもせず砂遊びしてる。 直貴: そっか。それじゃ行ってきます。 由実子とみき: 行ってらっしゃい。 直貴: はい、行ってきます ((1:32:14、公園で)) 歌: 「おっぱい飲んで、ねんねして、抱っこして、負んぶしてまた明日」 由実子: 行こう。 母親たち: 帰るよ。あっく、帰ろう。何食べようかね。 3

(4)

子供たち: 何食べる?おやつ 母親: 何食べよっか ((1:32:54、家で)) 由実子: まだ早いというのに、飾っちゃって。気が早いんだから。 直貴: ま、いいじゃないか、せっかく買ったんだから。な、みき みき: にこにこ 直貴: みき、今日公園どうだった? 由実子: 今日行ってないのよ。 直貴: え?なんで? 由実子: ちょっと忙しくて。みき、ケチャップのけていいよ。 みき: うん。 ((1:33:22、倉庫で)) 男性: 武島さん! 直貴: はい! 男性: お客さんです。 直貴: はい 祐輔: 直! 直貴: おっ! 祐輔: 太ったんじゃねぇの、由実ちゃん。 直貴: よ~く言ってよ 祐輔: 冗談だよ! 直貴: テレビでよく見てるよ。頑張ってんだな。 祐輔: いや、ま、最近は新しいのがドンドン出てくるからな。 4

(5)

直貴: お前は大丈夫だや 祐輔: な、直、一回だけ俺と舞台立つ気ねぇかな? 直貴: え? 祐輔: いや、プロに戻れって話じゃないんだ。素人でいい。実は俺さ、半年前から慰問で刑 務所回ってるんだ。塀の中って娯楽が少ないからこれが結構喜ばれてな。でも、受刑者の人た ちって、俺みたいなピン芸より、漫才みたいなのを見たがるんだよ。だから一回でいい。久し ぶりにお前と組んで漫才やりてぇなっと思ってな。 直貴: 千葉か?千葉に行くんだろう。 祐輔: 由実ちゃんから聞いた。お前、もう長いこと兄貴の面会行ってないんだって 直貴: お前の気持ちはありがとうと思うよ。でも、俺は 祐輔: そうか 直貴: また遊びに来いよ。由実子もみきも喜ぶから。 店員: お待たせしました。はい。 直貴: はい。いただきます。 ((1:35:06、家で)) 直貴: 「あ、ぼくが探していたものがやっと見つかった。ぼくはぼくでいいんだね。素敵だ よ。そう、素敵なんだよ、このままが」 おしまい。 みき: パパ、人殺しって何? みき、人殺しの子供なの? 由実子: 一か月ぐらい前からだと思う。社宅の奥さんたちの間で、変なうわさが広まったみた いで。 直貴: うわさ? 由実子: 直のお兄さんが刑務所を出たら、社宅で暮らすとか。 直貴: なんで俺に言わなかった? 由実子: だってあたしもおるし 直貴: 俺がみきの父親だぞ 5

(6)

由実子: みき、起きるやろう 直貴: 引っ越そう。どっか別の町でアパート借りよう。 由実子: なんで逃げる?あたし頑張れる。みきやって、あたしらの娘やん。あたしら親がし っかりしていたら 直貴: 俺たちは我慢ができてもみきはどうなる?なんで自分から友達が去っていくのか、その 意味も分からないんだぞ。「人殺し」の意味も分かんないのに、もうみきは差別されてんだぞ。 お前、それ分かってんのか?それでも親か? 由実子: あたしやってみきのためやったらいつでも死ねる。自分だけ不幸の主人公みたいにふ りするのはやめてよ。 直貴: いつ俺が 由実子: 今ので気晴れたんか。みきは何も悪いことしてへん。そやからどこにも逃げへん。直 もそうや。あたしら親子三人、人に何言われたかって、胸張って道の真ん中歩いて生きていく んや逃げへん。絶対逃げへん。 ((1:37:42、刑務所で)) (受刑者たちが運動して) 一、二、三、四 ((手紙)) 直貴: 兄貴、元気ですか。本当言うと、兄貴に手紙を書くのは、四年ぶりになる。その間、ず っと俺の変わりに手紙を出し続けてくれたのは由実子なんだ。ごめんな。俺、弱い人間だから、 どうしても書けなかった。でも、この手紙だけは最後まで俺がちゃんと書く。あの事件からず っと、俺は強盗殺人反の弟というレッテルを張られて生きてきた。そのせいでお笑いの夢も、 大好きだった女性との結婚もあきらめた。そして今度は、俺の家族ということだけで、由実子 もみきも差別され、辛い思いをしてる。みきは「人殺しの子供」と呼ばれてる。俺一人ならい いんだ。由実子も我慢してくれると思う。けど兄貴、みきだけには、俺みたいな人生を送って ほしくないんだ。もっと早く兄貴にちゃんと伝えなきゃいけなかったんだ。これが現実なんだ。 このことから目を背けたままでは兄貴の刑は終わらないんだと思う。兄貴、この手紙は俺から 兄貴に送る最後の手紙になる。これを読んだら二度と俺たち家族に返事を書かないでくれ。い つか出所しても俺たちに会いに来ないでくれ。俺、由実子とみきを守るために、兄貴を捨てる。 ごめんな。許してくれ。体に気を付けてな。兄貴。ごめん。 武島剛志様 武島直貴 6

参照

関連したドキュメント

それから 3

帰ってから “Crossing the Mississippi” を読み返してみると,「ミ

しかしながら、世の中には相当情報がはんらんしておりまして、中には怪しいような情 報もあります。先ほど芳住先生からお話があったのは

【細見委員長】 はい。. 【大塚委員】

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

Esta lição trata do uso de ~とき para dar conselhos relacionados a doenças e saúde, como qual remédio tomar para qual sintoma e o que fazer quando não se sentir bem.. -

これからはしっかりかもうと 思います。かむことは、そこ まで大事じゃないと思って いたけど、毒消し効果があ

Âに、%“、“、ÐなÑÒなどÓÔのÑÒにŒして、いかなるGÏもうことはできません。おÌÍは、ON