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脳 卒 中 J-STGE 早期公開 2015 年 11 月 13 日 Fig. 1 左総頸動脈撮影では起始部から狭窄を認めており 遠位端でも狭窄が強く NSCET 50 狭窄であった MRI plaque imaging sagittal view では T1WI で高信号であり soft plaq

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Academic year: 2021

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 要旨:放射線誘発性頸動脈狭窄症に対して頸動脈ステント留置術(CAS)を行った場合,術後のス

テント内狭窄が多いとの報告がある.今回喉頭癌術後,放射線治療後 11 年の経過で内頸動脈狭窄を 来し CAS 施行後に plaque protrusion を繰り返した症例を経験した.症例は 71 歳男性で糖尿病,高血 圧,高脂血症の既往があった.右上下肢麻痺で発症した脳梗塞で左内頸動脈狭窄 NASCET 50%を認 め,右内頸動脈狭窄 NASCET 80%も指摘された.両側内頸動脈狭窄に対して CAS 施行したが, plaque protrusionを繰り返し複数回の治療が必要であった.放射線治療後の頸動脈狭窄症はアテロー ム性頸動脈狭窄症に比較し虚血性脳卒中が起こる割合が有意に高く,特にアテローム性変化のリス クを合併している場合には厳重な経過観察を行い,soft plaque の蓄積が起こる前に早期の治療介入を 検討する必要がある.

Key words: radiation-induced carotid artery stenosis, carotid artery stenting, repeated plaque protrusion, in-stent

restenosis 1)天理よろづ相談所病院脳神経外科 (2015 年 5 月 11 日受付,2015 年 7 月 1 日受理) doi: 10.3995/jstroke.10348 緒  言  放射線照射により発生する頸動脈狭窄症に対しては創 部や血管周囲の癒着の問題から頸動脈ステント留置術が 選択されることが多い1).今回,喉頭癌術後放射線治療 後 11 年の経過で発症した頸動脈狭窄症に対して頸動脈 ステント留置術を施行し,術後 plaque protrusion を繰り 返し治療に難渋した症例を経験したので報告する. 症  例  71 歳,男性.右上下肢脱力を主訴に当院緊急搬送され た.  既往には糖尿病,高血圧,高脂血症がありそれぞれ内 服加療中であったが,糖尿病については HbA1c 7.2%と コントロール不良であった.また,11 年前に喉頭癌に 対して摘出術および術後放射線治療を施行されており, チラージン内服し発声は電気的人工喉頭を使用していた.  搬送時は意識清明で右上下肢 MMT 4/5 程度の麻痺を 認めるのみであった.頭部 MRI では左前頭葉弁蓋部に 急性期梗塞を認め,頸部 MRA で両側頸動脈起始部狭窄 が見られた.脳血管撮影施行し左内頸動脈起始部狭窄 NASCET 50%,MRI plaque imaging では soft plaque の所 見であった(Fig. 1).また,右内頸動脈起始部狭窄は NASCET 85%,hard plaque の所見であった(Fig. 2).  右上下肢の麻痺症状は発症数日後には完全に消失し た.発症 2 週間後に症候側である左頸動脈狭窄の治療を 行った.喉頭癌術後放射線治療後であり創部や血管周囲 の癒着の問題から,soft plaque の所見ではあったが頸動 脈ステント留置術 CAS を選択した.抗血小板剤は Aspi-rin,Clopidogrel 2 剤とし,plaque の安定化を目的として 術前より strong statin の投与も開始した.Soft plaque で あるため protection として FilterWire EZ を選択した.狭 窄率は NASCET 50%と高度狭窄ではなく,balloon pro-tectionによる虚血耐性の問題も考慮し Filter device を選 択した.術前計測では遠位内頸動脈径は 3.9 mm,近位 内頸動脈径は 7.7 mm であり,前拡張(Ikazuchi 2.5 mm× 20 mm 8 atm/30 sec)の後,ステント留置(Preciese 9 mm× 40 mm)を行ったが,留置直後 non-flow となり意識レベ ル低下,右上下肢脱力が出現した.FliterWireEZ を回収 すると順行性の flow が戻り上記症状も速やかに消失し た(Fig. 3).後拡張は施行せず.術後は Aspirin,Clopido-grel内服継続,および Argatoban 48 時間持続投与とした.

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Fig. 1

左総頸動脈撮影では起始部から狭窄を認めており,遠位端でも狭窄が強く,NASCET 50%狭窄であった(A,B).MRI plaque imaging(sagittal view)では T1WI で高信号であり soft plaqueの所見であった(C).

Fig. 2

右総頸動脈撮影では狭窄部位は第 2 頸椎から第 4 頸椎上縁にわたり,遠位端で最も 狭窄が強く,NASCET 85%狭窄であった(A,B).MRI plaque imaging(axial view)で は低信号であり(→),hard plaque の所見であった(C). Fig. 3 Stent留置前(A).Stent 留置直後,右上下肢麻痺が 出現した.造影で non-flow を認め(B),filterwire を回収した.回収後,麻痺症状は速やかに消失し flowも改善した(C). A B C A B C A B C

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術後は Cilostazol を追加し抗血小板剤 3 剤とした.さら に 1 週間後,頸動脈エコーでステント内狭窄が疑われ, 脳血管撮影でも同様の所見であり,distal protection の 下,PTA(Rx-Genity 5.5 mm×20 mm)施行した(Fig. 6).さ らに 1 週間後フォローアップ目的で脳血管撮影行うと, gé 9 mm×60 mm)を行い,後拡張も行った.治療 2 週間 後,フォローアップ脳血管撮影で右内頸動脈ステント内 狭窄が認められ,FilterWire EZ による distal protection で ステント留置術 stent-in-stent(Precise 7 mm×30 mm)施行 した.前拡張および後拡張は行わず.抗血小板剤は 3 剤

Fig. 4

左中心溝近傍に急性期梗塞を認める(A).ステント内に陰影欠損が見られ(B),protrusion により遠位塞栓 が起こり central sulcus artery が閉塞したこと(C)による急性期梗塞と考えられた.

A B C Fig. 6 ステント内に陰影欠損を認める(A). PTA後は陰影欠損は消失している(B). Pre-PTA Post-PTA A B Fig. 5 ステント内に陰影欠損を認める(A).Wallstent 10 mm×31 mm を使用し stent-in-stent を行った(B).ステント留置後は陰影 欠損は消失している. Pre-stenting Post-stenting A B

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継続とし,頸動脈エコーおよび脳血管撮影で再狭窄がな いことを確認し退院となった.  両側内頸動脈狭窄症の治療終了 3 カ月後にフォロー アップ脳血管撮影を施行したが,両側ともステント内狭 窄は認めていない(Fig. 8). 考  察  頭頸部悪性腫瘍に対して放射線治療が行われた場合, 治療後数年の経過で頸動脈狭窄を来すことがある2) Grecoらは放射線により誘発される頸動脈狭窄の割合を 検討するため,頭頸部悪性腫瘍に対して手術療法単独群 と術後放射線治療を併用した手術療法群を比較した pro-spective controlled studyを行っており,術後放射線治療 併用群で 36 カ月後の狭窄率が有意に悪化した(狭窄率悪 化の割合 17% vs 62% P<0.0001)と報告している3).本症 例でも喉頭癌術後放射線治療後 11 年の経過で頸動脈狭 窄を指摘されており,放射線誘発性の可能性が高いと考 えられる.  放射線誘発性頸動脈狭窄の形態的特徴として両側性, 病変の遠位部で狭窄率が高い,病変部位の距離が長いな どが報告されているが,本症例の形態的特徴も上記に一 致するところがあり,本症例が放射線誘発性であると考 える理由の一つである4)  放射線誘発性頸動脈狭窄の病理学的特徴としては,病 変部位の炎症性変化が乏しく線維化が主体であると報告 されている5).動脈壁肥厚 CIMT(Carotid intimal-medial thickness)の主体が線維化であるため狭窄部位が安定し ており,虚血性脳卒中が起こりにくいと推測されるが, 頭頸部悪性腫瘍に対する放射線治療後,平均 11 年の経 過で虚血性脳卒中が発症し相対リスクは 5.6 倍との報告 がある6).Dorothy らは放射線誘発性狭窄に引き続き, 狭窄部位に plaque が蓄積することで虚血性脳卒中が誘 発されるという仮説を提唱している7).本症例でも放射 線の影響により CIMT が起こり,引き続いて糖尿病・高 血圧・高脂血症の合併症によるアテローム性変化が soft plaqueを蓄積させ,それが遠位塞栓の原因となり脳梗塞 を発症させたと考えるとことができる.近年 SAPPHIRE study8)の結果を受け,頸部に対する外科治療後,放射線 治療後の頸動脈狭窄症に対しては CAS が選択されるこ とが多いが9),本症例のように治療に難渋する case があ ることを考慮すると,放射線誘発性頸動脈狭窄症であれ ば CAS を選択するという短絡的な治療方針の決定では なく,基礎疾患,プラーク診断などに基づき個々の症例 毎に薬物療法単独の治療も含め十分な検討が必要と考え られる.  本症例では頸動脈ステント留置術を選択し術後急性期 から亜急性期に plaque protrusion を繰り返し治療に難渋 した.放射線誘発性頸動脈狭窄症の場合は頸動脈ステン ト留置術後のステント内狭窄の割合が有意に高いとの報 告が多く,本症例のように治療に難渋する case も多い と推測される10).本症例では左右の病変で plaque 性状 が異なり,治療経過も大きく異なっている.症候側であ る左側病変は soft plaque であり計 4 回の治療介入を行っ たのに対し,無症候側である右側病変は hard plaque で あり治療介入も計 2 回であった.本症例の経過を考える と,放射線誘発性頸動脈狭窄症であっても蓄積する plaqueの種類により虚血性脳卒中の発症,治療経過が異 なる可能性がある.放射線誘発性頸動脈狭窄症の場合, Fig. 7 PTA後 1 週間の経過で再度ステント内狭窄が出現した(A).再 度 PTA 施行し,治療後陰影欠損は消失している(B). Fig. 8 両側治療 3 カ月後の総頸動脈撮影を行った.左総 頸動脈撮影(A),右総頸動脈撮影(B).両側とも ステント内狭窄は認めていない. Pre-PTA Post-PTA A B A B

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しれない.また,頸動脈狭窄の評価方法である CIMT は,放射線治療後早い場合であれば 1 年から 2 年の経過 で変化が認められるようになり,虚血性脳卒中発生のリ スク予測に有用との報告が複数ある11).CIMT が 0.1 mm 増加すれば脳卒中のリスクが 13∼18%増加するとの報 告もあり12),CIMT などを元にした治療基準なども検討 の余地があると考えられる.放射線誘発性頸動脈狭窄症 に対しては合併症の徹底的な管理と,CIMT などの新し い指標を利用し早期に治療介入が可能な診断基準の確立 が重要であり,今後のさらなる症例の蓄積が必要である. 結  語  放射線誘発性頸動脈狭窄症でアテローム性変化のリス クがある症例については,厳重な経過観察と徹底した合 併症コントロールを行い,たとえ狭窄率が低い場合で あっても,アテローム性変化による soft plaque の蓄積が 起こる前に早期の治療介入を検討することが重要であ り,その指標として CIMT などが有用であり今後のさら なる検討が必要である. 利益相反  著者は日本脳卒中学会への COI 自己申告を完了して おり,本論文の発表に関して,開示すべき COI はない.

4) Shichita T, Ogata T, Yasaka M, et al: Angiographic characteris-tics of radiation-induced carotid arterial stenosis. Angiology 60: 276–282, 2009

5) Fokkema M, den Hartog AG, van Lammeren GW, et al: Radia-tion-induced carotid stenotic lesions have a more stable pheno-type than de novo atherosclerotic plaques. Eur J Vasc Endovasc Surg 43: 643–648, 2012

6) Dorresteijn LD, Kappelle AC, Boogerd W, et al: Increased risk of ischemic stroke after radiotherapy on the neck in patients younger than 60 years. J Clin Oncol 20: 282–8, 2002

7) Gujral DM, Chahal N, Senior R, et al: Radiation-induced carotid artery atherosclerosis. Radiother Oncol 110: 31–38, 2014 8) Yadav JS, Wholey MH, Kuntz RE, et al: Protected carotid-artery

stenting versus endarterectomy in high-risk patients. N Engl J Med 351: 1493–1501, 2004

9) Fokkema M, Hartog AG, Bots ML, et al: Stenting versus sur-gery in patients with carotid stenosis after previous cervical ra-diation therapy: systematic review and meta-analysis. Stroke 43: 793–801, 2012

10) Huang MP, Fang HY, Chen CY, et al: Long-term Outcomes of Carotid Artery Stenting for Radiation-Associated Stenosis. Biomed J 36: 144–149, 2013

11) Gujral DM, Shah BN, Chahal NS, et al: Clinical features of ra-diation-induced carotid atherosclerosis. Clin Oncol (R Coll Ra-diol) 26: 94–102, 2014

12) Lorenz MW, Markus HS, Bots ML, et al: Prediction of clinical cardiovascular events with carotid intima-media thickness: a systematic review and meta-analysis. Circulation 115: 459–467, 2007

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Abstract

Radiation-induced carotid artery stenosis:

a case report of repeated plaque protrusion after carotid artery stenting

Sadaharu Torikoshi, M.D.,1) and Yoshinori Akiyama, M.D., Ph.D.1)

1)Department of Neurosurgery, Tenri Hospital

Many articles report that the incidents of in-stent restenosis after carotid artery stenting (CAS) were higher in ra-diation-induced carotid stenosis. We report a case of repeated plaque protrusion after CAS for rara-diation-induced ca-rotid stenosis, in a patient who received surgical treatment and adjuvant radiotherapy for neck cancer 11 years previ-ously. The patient was a 71-year-old man who received treatment for diabetes mellitus, hypertension, and hyperlipidemia. He was diagnosed with cerebral infarction that caused right hemiplegia. Diffusion-weighted magnetic resonance imaging (MRI) revealed infarction at the frontal operculum, and cerebral angiography revealed bilateral in-ternal carotid artery stenosis; the left side, symptomatic, showed 50% stenosis with soft plaque seen on MRI plaque imaging and the right side, asymptomatic, showed 80% stenosis with hard plaque. We chose carotid stenting instead of carotid endarterectomy for both carotid arteries because of the risks of surgery and radiation therapy. However, re-peated carotid stenting and angioplasty were needed on both sides due to rere-peated in-stent restenosis. The incidence of ischemic stroke is significantly increased in patients receiving radiotherapy to the neck, especially in patients with risks of atherosclerotic disease. In such cases, strict observation and early intervention are thought to be important be-fore accumulation of soft plaque due to atherosclerotic change, which may result in difficulty of treatment for carotid stenosis.

Key words: radiation-induced carotid artery stenosis, carotid artery stenting, repeated plaque protrusion, in-stent

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