三田村 輝章
建築設備Ⅰ
第8回 空気調和設備(4)
湿り空気線図と空気調和プロセス
• 湿り空気の性質
– 湿り空気とは? – 水蒸気の含有量の表示法 – エンタルピー• 空気調和プロセス
– 湿り空気線図(「空気線図」) – 熱水分比u,顕熱比SHF• 空調機負荷と風量の計算
– 吹出し空気の状態変化 – 空調機負荷,風量の計算本日の内容
• 湿り空気
– 乾燥空気と水蒸気の混合物 ⇒ 室内における空気(通常の空気)湿り空気の性質(1/7)
+
=
乾燥空気 水蒸気 湿り空気《水蒸気の含有量の表示法》
• 相対湿度
j
R[%]
• 水蒸気圧p
w[Pa]
• 絶対湿度x [kg/kg]
• 湿球温度t’ [℃]
• 露点温度t” [℃]
湿り空気の性質(2/7)
• 相対湿度
j
R[%]
– 水蒸気圧pw [Pa]と飽和水蒸気圧pws [Pa]との百分率湿り空気の性質(3/7)
コップの大きさ=飽和水蒸気圧pws コップ中の水量=水蒸気圧pw 0 100 50 40𝜑
𝑅
=
𝑝
𝑤
𝑝
𝑤𝑠
× 100
• 水蒸気圧p
w[Pa]
– 湿り空気の圧力のうち,水蒸気の分圧✓
飽和空気
– ある温度において含むことのできる最大の水蒸気量✓
飽和水蒸気圧p
ws[Pa]
– 飽和空気の水蒸気圧✓温度と水蒸気圧の関係式
– ゴフ・グラッチ(Goff-Gratch)の式 – ウェクスラー・ハイランド(Wexler-Hyland)の式湿り空気の性質(4/7)
• 絶対湿度x [kg/kg]
– 乾燥空気の質量に対する水蒸気の質量の比 – 除湿量や加湿量の計算に使用 ⇒ 空気調和設備において頻繁に用いられる – kg/kg[DA],kg/kg’ ⇒ 乾燥空気に対する質量であることを強調する単位湿り空気の性質(5/7)
乾燥空気 水蒸気𝑥 [kg]
1 [kg]
= 𝑥 [kg/kg]
𝑥 = 0.622
𝑝
𝑤𝑃 − 𝑝
𝑤× 100
飽和水蒸気圧,相対湿度,絶対湿度の考え方 飽和水蒸気圧をコップの大きさに例えると・・・ 10℃,40% 20℃,40% 30℃,40% 空気の温度が高くなれば,コップの大きさ(飽和水蒸気圧)も 大きくなり,たくさん水を入れる(水蒸気を含む)ことが出来る! 0 100 50 0 100 50 0 100 50 ⇒ コップに同じ40%まで水が入っていても, コップが大きいほど水の量は多くなる! コップの何分目まで水が入っているか?= 相対湿度 [%] コップの中に入っている水の量 = 絶対湿度 [kg/kg’] 40 40 40
• 湿球温度t’ [℃]
– 通風式乾湿計の湿球の表示値 – 断熱飽和温度とも呼ばれる• 露点温度t” [℃]
– 湿り空気を冷却してゆき,飽和空気となるときの温度 – 表面温度 < 露点温度 ⇒ 結露発生湿り空気の性質(6/7)
アスマン通風乾湿計ℎ
𝑠
′
− ℎ = 𝑥
𝑠
′
− 𝑥 𝑐
𝑝
𝑡
′
露点温度と結露の考え方 15℃,100% 20℃,70% 30℃,40% 空気の温度が低くなると,コップの大きさ(飽和水蒸気圧) も小さくなり,含むことの出来る水蒸気量が限界になる! 温度が変化するとコップの大きさ(飽和水蒸気圧) が変わるだけでコップ中の水量は変わらない! ⇒ 相対湿度は上昇する! 露点温度 水の量は同じ 水の量は同じ 0 40 100 0 100 60 0 100 結 露
• エンタルピーh [kJ/kg]
– 湿り空気の保有する全熱量(顕熱+潜熱)を表す状態 – 乾燥空気のエンタルピーhaと水蒸気のエンタルピー hvの合計湿り空気の性質(7/7)
乾燥空気のエンタルピー(顕熱) 水蒸気のエンタルピー(潜熱) 湿り比熱 ca:乾燥空気の定圧比熱 1.005 [kJ/(kg・K)] cv:水蒸気の比熱 1.846 [kJ/(kg・K)] ro:水の蒸発潜熱 2,501 [kJ/kg]ℎ = ℎ
𝑎+ ℎ
𝑣= 𝑐
𝑎𝑡 + 𝑟
𝑜+ 𝑐
𝑣𝑡 𝑥 = 𝑐
𝑠𝑡 + 𝑟
𝑜𝑥
ℎ
𝑎= 𝑐
𝑎𝑡
ℎ
𝑣= 𝑟
𝑜+ 𝑐
𝑣𝑡 𝑥
𝑐
𝑠= 𝑐
𝑎+ 𝑐
𝑣𝑥
• 湿り空気線図(「空気線図」)
– 湿り空気の状態値を図に表したもの ⇒ 空気調和設備のプロセス(加熱,冷却,除湿,加湿, 混合など)を図上に示すことができる ⇒ 湿り空気の2つの状態値を与えることにより,他のす べての状態値を知ることができる• h-x線図
– 絶対湿度とエンタルピーを斜交軸としたもの• t-x線図
– 温度と絶対湿度を直交したもの空気調和プロセス(1/10)
乾球温度
絶対湿度・水蒸気圧 露点温度
湿球温度 比エンタルピ
• 熱水分比u [kJ/kg]
– 熱量の変化量と水分量の変化量との割合空気調和プロセス(2/10)
加熱量 加える水分の質量 風量 加熱コイル 加湿器空気調和プロセス(3/10)
16 加熱量 加える水分の質量 風量 熱平衡式 物質平衡式𝐺ℎ
1
+ 𝑞
𝑠
+ 𝐿ℎ
𝐿
= 𝐺ℎ
2
𝐺𝑥
1
+ 𝐿 = 𝐺𝑥
2
ℎ𝐿:加える水分のエンタルピー [kJ/kg] 加湿前のエンタルピー 加湿後のエンタルピー 加湿前の絶対湿度 加湿後の絶対湿度• 先ほどの平衡式を以下に変形
空気調和プロセス(4/10)
熱水分比 熱水分比が一定 ⇒ h-x線図上での勾配は一定 エンタルピー(熱量)の変化量 水分の変化量𝑞
𝑇
= 𝐺 ℎ
1
− ℎ
2
+ 𝑞
𝑠
+ 𝐿ℎ
𝐿
𝐺 𝑥
2
− 𝑥
1
= 𝐿
𝑢 =
𝑞
𝑠+ 𝐿ℎ
𝐿𝐿
=
𝑞
𝑠𝐿
+ ℎ
𝐿=
ℎ
2− ℎ
1𝑥
2− 𝑥
1• 顕熱比SHF(
S
ensible
H
eat
F
actor)[-]
– 全熱変化に対する顕熱変化の割合 – 室内に吹き出した冷風または温風の室内での状態 変化の表示に使用 – SHFが一定 ⇒ h-x線図上での勾配は一定空気調和プロセス(5/10)
𝑆𝐻𝐹 =
𝑞
𝑠
𝑞
𝑇
=
𝑞
𝑠
𝑞
𝑠
+ 𝐿ℎ
𝐿
《空気調和プロセスの空気線図上での表示》
• 加熱および冷却
《空気調和プロセスの空気線図上での表示》
• 冷却・除湿
《空気調和プロセスの空気線図上での表示》
• 冷却コイルの計算モデル
空気調和プロセス(8/10)
冷却のみ 冷却+除湿 コイル入口付近《空気調和プロセスの空気線図上での表示》
• 加湿(
水加湿
)
空気調和プロセス(9/10)
24 加熱量qs=0 熱水分比𝑢 =
𝑞
𝑠
+ 𝐿ℎ
𝐿
𝐿
𝑢 = ℎ
𝐿
ℎ𝐿:加える水分のエンタルピー [kJ/kg]加湿方式の原理 蒸 気 加 湿 水 加 湿 水噴霧加湿 気化加湿 .5 . 5 蒸気噴射型加湿器 蒸気噴霧 ノズル 蒸発 水滴 充填材 排水パン 給水 滴下式加湿器 空気 加湿空気 空気 熱交換器 蒸気 蒸気 ドレンと蒸気 空気 ノズル 蒸気 水 滴 多孔質材 蒸気 空気 加湿方式は、大きく蒸気 加湿と水加湿がある。 水加湿は、蒸発する場所 の違いで水噴射と気化に 分かれる。 加熱により蒸気をつくり、 その蒸気で加湿する。 ⇒空気の温度変化はない 空気中で蒸発 ⇒水の中の不純物は 空気中に拡散 空気との接触で、空気の 熱を気化熱として蒸発に 利用し、加湿する。 ⇒空気の温度は低下する 物の表面で蒸発 ⇒水の中の不純物は 多孔質の表面に付着
《空気調和プロセスの空気線図上での表示》
• 混合
⇒ P.119~120 【例題1】参照
空気調和プロセス(10/10)
26 G1, G2:混合する空気1,2の風量 G3 = G1 + G2 k (1-k) k (1 -k) 【別解】 式5.18~式5.21により算出してもよい!𝑘 =
𝐺
1𝐺
3=
𝐺
1𝐺
1+ 𝐺
2 𝐺1ℎ1 + 𝐺2ℎ2=𝐺3ℎ3• 吹出し空気の状態変化
⇒ P.120 【例題2】参照
《手 順》 1. 空調室の熱負荷計算結果による室の顕熱負荷と 潜熱負荷からSHF を計算 2. 吹出し空気の温度を求める(式5.22) 3. 空気線図上のSHF一定の線上を移動し,吹出し 空気の状態値を求める空調機負荷と風量の計算(1/4)
𝑆𝐻𝐹 = 𝑞𝑠 𝑞𝑇 = 21 21 + 5.8 = 0.78 𝑡𝑑 = 𝑡𝑟 − 𝑞𝑟𝑠 𝑐𝑎𝐺 = 26 − 21 1.0 × 2.0 = 15.528
吹出し温度 15.5℃
室内の状態値 26℃,50%