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豪雨災害対策のための情報提供の推進について

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Academic year: 2021

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豪雨災害対策のための情報提供の推進について ∼平成11年梅雨前線豪雨災害の検証より∼ 平成12年4月20日 国土庁 農林水産省 気象庁 郵政省 建設省 消防庁 昨年6月末から7月初めにかけて、梅雨前線の活発な活動のため各地で豪雨となり、広島県 を中心として、土砂災害等により、死者38名、行方不明1名、負傷者78名、住家の全・半壊 及び一部損壊743棟、床上浸水3,701棟、床下浸水16,368棟など大きな被害が発生した。 小渕内閣総理大臣(当時)は、6月30日から7月1日にかけて広島県内を視察した関谷国土 庁長官(兼)建設大臣(当時)の報告を受け、本災害の深刻さを痛感し、同大臣に対し、斜 面地における住宅立地規制方策の検討を指示した。 一方、7月14日に現地を視察した衆参災害対策特別委員会委員からは、災害危険箇所におけ る災害情報の事前周知および情報収集伝達体制の充実の必要性について、数多くの指摘がな された。 このような状況に鑑み、7月16日、中央防災会議は局員会議を開催し、以下の事項につい て、関係局員会議を設置して検討することを申し合わせた。 1.今回の災害の発生過程の検証 2.今後の検討課題 ① 豪雨災害を軽減するための土地利用のあり方 ② 土砂災害等に対する地域の防災性向上 ③ 効果的な事前周知方法 ④ 情報収集伝達体制 ⑤ 法的側面の整理 中央防災会議では、その後、数度にわたり関係主事による検討会を開催し、上記事項につい て検討を重ねてきたところであるが、人的被害を早急に防止・軽減する見地から、その中で も特に、災害の発生過程の検証、効果的な事前周知方法および情報収集伝達体制のあり方に 着目して検討を行い、本年4月、報告書を作成した。 併せて、今後の豪雨災害を防止し、また被害を軽減するため、本報告書に基づき、下記の4 豪雨災害対策のための情報提供の推進について http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/dosya.htm (1/2) [2001/04/26 15:53:02]

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つの提言(内容は別紙)と自治体の災害対応の参考事例集をとりまとめ、それらの内容を 「出水期における防災態勢の強化について(中央防災会議通達)」をはじめ、各種施策の推進 に反映させていくこととした。 豪雨災害の防止・軽減に関する提言 (1) 気象情報等の収集体制の強化 (2) 連絡手段の確保と情報の整理 (3) 住民等との連携の強化 (4) 早期避難実現のための措置の推進 なお、関係局員会議における検討事項に関して、①豪雨災害を軽減するための土地利用のあ り方、②土砂災害等に対する地域の防災性向上、⑤法的側面の整理については、関係省庁に おける平成12年度予算の執行、建設省による「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対 策の推進に関する法律案」の国会提出等により、目下、検討および施策への反映が進められ ているところである。従って、これら3つの事項に対する考え方については、平成12年度中 に予定されている防災基本計画の修正および土砂災害対策推進要綱の点検などを通じて整理 することとする。 問い合わせ先:国土庁防災局防災調整課 加治屋、箱田 TEL (代表)03-3593-3311(内7252、7253) 豪雨災害対策のための情報提供の推進について http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/dosya.htm (2/2) [2001/04/26 15:53:02]

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(1)気象情報等の収集体制の強化 (提言) ○ 緊急防災情報ネットワーク(※1)や各種防災気象端末(※2)の活用を図るととも に、民間を含む他機関や近隣自治体と相互に連携し、迅速な警戒避難の判断に必要な気象 情報等を入手し得る情報収集体制を構築する。 ○ 局所的な豪雨による斜面崩壊、土石流、洪水に対処するため、必要に応じ、上記に加え 観測地点数の乏しい山間部における雨量計の増設、テレメータ化の推進などにより、詳細 かつリアルタイムの雨量情報の入手に努めるとともに、防災関係機関とのデータの共有化 に努める。 <昨年の豪雨災害における現状と反省点> 昨年の豪雨により、広島で大きな被害が生じた要因の一つとして、降雨が山間部での局所的 ・集中的なものであったことが挙げられる。当時、注警報等の気象情報は、県・気象台から 入手していたほか、自治体独自に設置した雨量計や(財)河川情報センター、(財)日本気 象協会、民間気象業者等の防災気象端末からも雨量データ等を入手していた。しかし、豪雨 が狭い範囲に集中したことや、自治体独自に設置した雨量計は平野部を中心に設置されてい たことから、①地上雨量計で雨量を捕捉できなかった、②テレメータ化されていなかったた めにリアルタイムの情報が得られなかったなどの問題点があった。 これらの問題を解決するためには、緊急防災情報ネットワークや、各種防災気象端末の活用 を図るほか、局所的な豪雨に対応できるよう、約5km四方領域ごとの雨量を把握・予測す るレーダー・アメダス解析雨量及び降水短時間予報を入手できる体制を整備し、その積極的 な利用を推進するほか、きめ細かな情報収集という観点から、民間を含めたその地域の気象 情報等を有する他機関や近隣の自治体との連携を進め、迅速な警戒避難の判断に必要な、タ イムリーかつきめ細やかな気象情報等の入手が可能な情報収集体制を構築する。 さらに、局所的な豪雨による斜面崩壊や洪水に対処するため、必要に応じ、山間部等に雨量 計を増設するとともに、それらのテレメータ化を図ること等により、リアルタイムの雨量 データの入手に努め、加えてこれらのデータの防災関係機関との共有化を図る。 その他、最近では、各機関によるインターネット、FAX、ポケットベルによる気象情報提供 サービスも行われており、これらの活用も検討に値する。 なお、これらの情報については、収集体制を強化するとともに、住民に対して迅速に提供す ることが重要である。 (※1)気象庁が昨年9月から各都道府県等に導入を推進している、高度化した防災気象情 報提供システムで、市町村に対する情報提供については、各都道府県保有のシステムと接続 すること等により可能となる。 (※2)現在、(財)河川情報センター、(財)日本気象協会、民間気象業者など多数の機 関により提供されている。 戻る  気象情報等の収集体制の強化 http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/teigen1.htm [2001/04/26 15:53:20]

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(2)連絡手段の確保と情報の整理 (提言) ○ 電話回線等の輻輳を回避するため、必要に応じて通常回線の拡充を図るとともに、引き 続き防災無線等の整備を推進し、担当部局間の連絡を密にすることが重要である。また、 災害時優先電話の確認が必要である。 ○ 災害時の情報の処理については、短時間に大量の情報が伝達されるため混乱が予想され ることから、災害時の情報窓口を明確にし、それを住民に周知するとともに、情報を人命 に関わるもの、他部局に連絡するもの、記録にとどめるものなどの分類基準と対応の手順 を設定して、それらを確認しておくことが重要である。 <昨年の豪雨災害における現状と反省点> 昨年の豪雨災害においては、土砂災害が同時多発したため、情報が防災担当部局へ一気に集 中し、回線が輻輳してスムーズな情報伝達が行えなかった。特に通常の電話回線に住民から の連絡が殺到したため、防災担当職員が現場から連絡をとっても、本部につながらないとい う状況が発生した。 また、災害対策本部は、河川の氾濫に対処している中で、住民から土砂災害に係る大量の情 報が短時間に集中して提供された結果、情報の混乱が生じ被害の全体像を捉えるのに時間を 要することとなった。 今後、このような状況に対処するには、電話回線の輻輳を回避するため、必要に応じて通常 回線を拡充するとともに、引き続き防災無線等の整備を推進して防災担当職員間の連絡を可 能にすることが重要である。また、あらかじめ災害時優先電話を確認しておくことが必要で ある。 一方、大量の情報による混乱に対しては、、住民から寄せられる情報には、人命に係わり直 ちに救援を必要とするものから状況報告として記録するだけでよいものまで様々あり、対応 する上で優先性及び重要度も大きく分かれるため、あらかじめ情報の分類基準と対応の手順 を設定するとともに、それらについて事前に確認し、災害が発生した際には円滑な情報の分 類整理を行い、災害の全体像の把握に関連する情報を抽出して対処することが肝要である。 また、災害時の情報窓口を明確にし、それを住民に周知することにより情報の輻輳を回避す ることも必要である。  戻る  連絡手段の確保と情報の整理 http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/teigen2.htm [2001/04/26 15:53:35]

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(3)住民等との連携の強化 (提言) ○ 自らの安全を確保するためには、早期自主避難が重要であることを住民に周知し、その 協力を得るとともに、住民の円滑な避難のため、自主防災組織等の地域のコミュニティを 活かした避難活動を促進する。 ○ 行政においては、平常時より、災害危険箇所やその他防災情報について、ハザードマッ プ、ダイレクトメール、インターネットなど多様な手段により周知を図る。災害時には、 サイレン、戸別受信機、広報車、マスコミなど多様な手段を通じて情報を住民に伝達す る。 ○ 多様かつ多数の住民に対し情報伝達を行うことが必要であることから、協定の締結、連 絡会議の設置など「行政−報道機関」の連携を推進する。 ○ 住民の側も行政と連携し、異常な自然現象を察知した場合には、その情報を速やかに行 政に伝達する。 <昨年の豪雨災害における現状と反省点> 土砂災害のような突発的・局所的な災害を、全て行政で予測し対応することは困難である。 このため、自らの安全を確保するためには、早期自主避難が重要であることを住民に周知す るとともに、行政はそのための環境整備に努める必要がある。その際に、防災リーダーの育 成、自治会長など地域の防災リーダー宅への防災無線等の整備、情報端末の設置等により、 自主防災組織等の地域コミュニティを活用した避難体制の整備を図ることが重要となる。 昨年の豪雨災害により被災した広島市、呉市では、土砂災害の危険箇所について事前に把握 していたものの、住民に対する具体的危険区域図等の配布は実施されていなかった。また、 全国的に見ても、危険箇所の周知は十分でない状況にある。自主避難により人的被害を回避 できた事例を見ると、災害の前兆現象等から危険を察知して避難しており、災害危険箇所、 災害の前兆現象、避難場所などの情報を事前に周知しておくことは重要である。このため、 ハザードマップの配布、ダイレクトメールの送付、広報誌やインターネットを用いた情報提 供など様々な手法を用いた事前周知の実施を推進することが必要である。 また、災害時には、防災行政無線の音が聞こえにくかったなどの問題も指摘されていること から、サイレン、戸別受信機、広報車による広報や、マスコミを通じた広報等様々な手段を 組み合わせた情報伝達を行うことが必要である。また、例えば、雨量情報等を示す電光掲示 板を設置するなど、異なるメディアを活用して情報伝達を行うことを検討することが必要で ある。 この場合、多数かつ多様な対象に情報を提供しなければならないことから、今後、協定の締 結、連絡会議の設置などにより「行政−報道機関」の連携をさらに推進することが求められ る。さらに、土砂災害のように局所的かつ突発的に発生しうる災害に対応するため、例え ば、自治会長など地域の防災リーダー宅への、地域の雨量状況や近隣の災害発生状況をリア ルタイムで伝える情報端末の設置など、新たな方策について検討することも重要となる。 一方、住民は災害現場の近くにおり、日頃から地域の状況等を知っていることから、自治体 においては、地域住民からの情報を活用できるような体制の整備をさらに推進することが大 切である。例えば、「土砂災害110番」の整備や、あらかじめモニターに指名した地域の 住民などから情報を収集するなどの工夫が考えられる。また、平常時においても、地域住民 住民等との連携の強化 http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/teigen3.htm (1/2) [2001/04/26 15:53:48]

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の間に残る災害に関する伝承等を積極的に収集し、蓄積、発信するなど、行政と住民との連 携を強化し一体となった防災体制の確立に努めることが肝要である。

 戻る 

住民等との連携の強化

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(4)早期避難実現のための措置の推進 (提言) ○ 土砂災害に対する住民の早期避難実現のため、気象警報等を活用するとともに、行政 側の警戒避難体制の基準となる指標を地域の実情に応じ複数設定する。 ○ 指標の数値を客観的な事実として、気象警報や近隣地域の災害発生状況の情報等とと もに、早い段階から継続的に住民へ伝達する仕組みをつくる。 ○ 災害の発生に対応して、指標や基準の適否を検証し、必要に応じこれを見直す。 ○ 気象警報等や、設定された警戒避難基準の考え方、発表方法等について、平常時から 住民への周知を図る。 <昨年の豪雨災害における現状と反省点> 昨年の豪雨災害においては、避難勧告は発令されなかったものの、住民が自主的に早期避難 を行い被災を免れた例が見られた。その際に、住民の多くは、消防団員等による避難の呼び かけや、付近で起こったがけ崩れ等の異常現象を避難の契機としており、きっかけがあれば 避難を開始する状態にあったと言える。 住民の早期避難を可能にするためには、気象警報等を活用するとともに、各地域毎に雨量強 度、実効雨量など、必要に応じ一つまたは複数の客観的な指標を設定し、当該地域における 指標の変化や、近隣地域における災害発生状況等を、当該地域において、災害発生の危険性 が小さい段階から継続的に住民に伝達し、住民の災害の危険性に対する認識を高めるととも に、避難の準備をする時間をできるだけ確保できるよう図る必要がある。 また、行政側の警戒避難体制レベルや避難勧告・避難指示の発令までの手順を指標の数値と 対応させた警戒避難基準を設定することで、迅速に避難勧告・指示等を発令することが可能 になる。 警戒避難基準の運用に当たっては、気象警報等の活用を図るとともに、指標の精度の向上 と、警戒避難基準の信頼性の確保のため、災害の発生に対応して、指標・警戒避難基準の適 否を検証し、必要に応じ、見直しを実施することが重要である。また、土壌雨量指数など新 たな指標についても、導入に向け開発を進めることが重要である。 さらに、行政においては、気象警報等や、指標の表す意味、設定された警戒避難基準の考え 方、発表方法について、平常時から住民に周知し、避難勧告等の情報が発せられた場合に は、その内容を住民が十分理解し、速やかに避難行動に移るよう普及啓発を図る。  戻る  早期避難実現のための措置の推進 http://www.nla.go.jp/boutsu/dosya/teigen4.htm [2001/04/26 15:53:56]

参照

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