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二 〇 三 月 東 震 災 福 島 子 力 発 電 所 事 故 犠 牲 者 々 被 災 者 々 衷 心 限 哀 悼 見 舞 申 上 げ

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Academic year: 2021

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二 〇 一 一 年 三 月 一 一 日 の 東 日 本 大 震 災、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に よ る 犠 牲 者 の 方 々、 そして被災者の方々に、衷心より限りない哀悼と、お見舞いを申し上げます。

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は じ め に ようやく夏の暑さが過ぎ去り、秋の気配がただようなか、私は空を見上げて立ってい ました。その日、空は青く澄み切り、そよ風の心地良い日でした。 ただ、たったひとつ私はガイガーカウンターを手にしていたのです。 目に見えない恐怖を感じながら、悲痛な思いで、日本の原風景ともいえる福島県 飯 いい 館 だて 村のその美しい自然を眺めていました。 あれから、また半年がたち、日本人を深い絶望に突き落としたあの3・ 11から一年が 経過しました。しかし、未だ復旧、復興、そして日本再生の道筋は見えていません。 震災は、被災地同様、都市に住む私たちにも大きな課題を突き付けました。 「お金はすべてを解決できない」という現実です。 物流が途絶えれば食糧は消え、電気もあっという間に足りなくなる、原発に事故が起 き、汚染されていれば水さえも飲めなくなる。

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大都市とくに「東京」は「自分たちの力、財力で生きている」のではなく「多くのも のに依存して生かされてきた」ことに、気づかざるを得なくなりました。 安心・安全な食を失いかけ、エネルギーもどんなにお金を積んでも 購 あがな うことが出来な いことを知りました。同時に、忘れかけていた暗闇の混乱も実感し、いかに無駄な光に 満ちていたかも知りました。なによりも、人と人との絆、結びつきの大切さを痛感した ときでもありました。 あらゆるものを吸収し、拡大を続け、巨大で効率的なシステムの上に成り立ってきた 東京の姿は、これまで戦後六六年の経済成長を続けた日本社会の到達点そのものでした が、今回の震災は、その 虚 きよ 構 こう 性、 脆 ぜい 弱 じやく 性を露呈してしまったのです。 昨 年、 ド イ ツ の 児 童 文 学 者 ミ ヒ ャ エ ル・ エ ン デ の 著 作『 モ モ 』 ( 岩 波 書 店 ) が、 多 く の人に読まれたとうかがいました。 この物語には「時間どろぼう」によって時間を奪われ、効率や金銭面での裕福さだけ を追い求める、 「生きる喜び」を失った人たちが登場します。 『モモ』を読まれた方々は、時間に、お金に追われる世の中、つまり、現代を生きる私

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たちをこの物語に重ね合わせたのではないでしょうか。これは、新たな生き方を模索し ている一つの表れだと思います。 いま私たちは「これから、どう生きるのか」を問われているのです。 いまこそ、もう一度「お金」の役割を、成長とは何か、次世代に伝えられる豊かさと はどういうものなのかを、根源的に考え直すときなのです。 多 く の 人 が「 無 事 で 安 心 な 暮 ら し 」、 つ ま り、 い の ち を 過 去、 現 在、 そ し て 未 来 へ し っかりとつないでいける確かな世界を求めています。 従来からの成長、効率追求のグローバリズムの延長線上に、確かな未来への希望を見 出すことは難しくなりました。もちろん、これまでの世界を全否定し、生活を一変して しまうことは不可能です。 でも、 「お金を稼ぐ」ことを最優先する従来の考え方から一歩踏み出して、 「いのちの 持続」というもう一つの考え方を人生に組み込むことで、安心と安全を生み出す新たな 暮らし方をみつけることは可能なのです。 それこそが、新しいオルタナティブ (もう一つの) な社会なのです。

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では、もう一つの暮らし方はどう構想されるのでしょうか。 そ れ に は、 暮 ら し の 起 点 と な る ロ ー カ ル ( 自 然 と 共 生 し て い る 地 域、 地 方 ) か ら、 人 と 人、人と自然、生と死などとの確かな関係性を取り戻す「いのちの紡ぎなおし」が必要 になっていくと考えます。 ロ ー カ ル と 聞 く と、 い ま ま で の、 産 業 が な い、 就 職 先 が な い。 い わ ば、 常 に「 無 い 」 から始まり、都市への、グローバルへの従属的な地位に追いやられてきました。しかし、 もう一度ローカル、つまり私たちみんなの暮らしの起点をじっくり眺めると、忘れかけ、 埋もれていた「価値」がそこにあることに気づくはずです。 ローカルには、その場所独自の文化や伝統が必ずあるはずなのです。 豊 か な 自 然 が あ り、 お い し く て、 安 全 な「 食 」、 そ こ で し か 味 わ え な い 深 い 食 文 化 も 堪能できます。 私は、この一〇年間、たくさんの仲間たちと、ローカルと都市、ローカルとローカル を結びながら、新しい「いのちの紡ぎなおし」の実践活動をしてきました。

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そのなかで、お金とどう向き合っていくべきかを根源的に問いながら、ローカルから 確かな未来を構想することが出来ると確信しています。 そうした希望を生み出すキーワードは、自分なりに考えますと、そのローカルが持つ 「 場 所 文 化 」、 グ ロ ー バ ル な 金 融 に 負 け な い「 温 か な お 金 」、 そ し て 何 よ り も 優 先 す る 「いのちの持続」という三つです。 その意味と連環を読み取り、感じていただくことで、新たな未来を切り拓くあなたの 「確かな一歩」になれば望外の喜びです。 平成二四年三月吉日 吉澤保幸

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はじめに   3 新たな模索 ・・・・・・ 18 「お金」という呪縛 ・・・・・・ 19 もうひとつの呪縛「グローバル化」 ・・・・・・ 21 「東京」は自立できていない ・・・・・・ 23 ローカルと「お金」 ・・・・・・ 24 「確かな未来」を取り戻すために考える二つのこと ・・・・・・ 27 「お金」の役割とは何か ・・・・・・ 29 共同幻想だった「国民国家」 ・・・・・・ 31 グローバル化の終わり、ローカルからのはじまり

「お金」

と「グローバリズム」

あなたは、その呪縛から抜け出せるのか?

プロローグ もくじ

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国家に替わる新たな関係性 ・・・・・・ 33 私の二つの活動の場 ・・・・・・ 35 (「場所文化フォーラム」とNPO法人「ものづくり生命文明機構」 ) いまの延長線上に、確かな未来はない ・・・・・・ 40 リーマンショックは「実体を失ったグローバル資本主義」を意味する ・・・・・・ 40 金融資本主義の行き着く先 ・・・・・・ 43 東日本大震災の意味するもの ・・・・・・ 45 改めて問い直される「戦後」 ・・・・・・ 47

100年に一度の金融危機と、

1000年に一度の大震災が教えてくれること

第1章

第Ⅰ部

  

グローバル化の終わり

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「五五年体制」のほんとうの終焉 ・・・・・・ 47 原発事故が訴える「真実の豊かさ」 ・・・・・・ 52 GDPと幸福度は相関しない ・・・・・・ 55 拡大再生産の論理は破綻している ・・・・・・ 59 認識すべきは「成長の限界」 ・・・・・・ 61 これまでの延長線上に解はない ・・・・・・ 61 確かな未来は懐かしい過去にある ・・・・・・ 64 冷たいお金、温かいお金 ・・・・・・ 70 「都市と地方」の地位はいつから逆転したのか ・・・・・・ 74 「地域より都市」現代社会の構図 ・・・・・・ 74

グローバルマネーに負けない

「温かいお金」

2章

(11)

持続可能な地域社会の構図 ・・・・・・ 78 現状の金融の問題にどう向き合うか ・・・・・・ 79 金融のロジックを問い直す ・・・・・・ 79   利子が限りなくゼロに近い金融 ・・・・・・ 82   どんな問題でも「歴史」がヒントをくれる ・・・・・・ 86 利子にとらわれないお金のまわし方 ・・・・・・ 86 失業者を救った「減るお金」 ・・・・・・ 88    「講」 「無尽」から学ぶお金のまわし方 ・・・・・・ 90 地域金融機関の役割が求められている ・・・・・・ 93    オルタナティブな金融の発見 ・・・・・・ 96 お金を温かく活かす三つの方法 ・・・・・・ 96 志ある地域金融機関への期待 ・・・・・・ 99

(12)

理想を現実に変えていく ・・・・・・ 105 小さな実践へ ・・・・・・ 105 北の大地「十勝」は熱かった ・・・・・・ 105 地域通貨を活かした「とかプチ」構想 ・・・・・・ 108 「場所文化」という言葉に込めた思い ・・・・・・ 112 実は豊かな「ローカル」 ・・・・・・ 114 「ない」を「ある」に変えること ・・・・・・ 114 場所文化としての方言の力: 「うげる」に徹する高知人 ・・・・・・ 116 全国各地の「場所文化」探しのツアー ・・・・・・ 118 〈五浦〉   〈小田原〉   〈高鍋〉   〈勝沼〉

日本の再生は

「懐かしい」

ローカルからはじまる

3章

第Ⅱ部

 

ローカルからのはじまり

(13)

「おいしい文化」がいちばん伝わる ・・・・・・ 125 懐かしい味を最新のスキームで提供する ・・・・・・ 127 「志民」や「志金」に込めた思い ・・・・・・ 127 配当はお金ではなく「おいしい食事」 ・・・・・・ 130 食材から自然、風土、歴史の「物語」が見える ・・・・・・ 135 物語を伝え、みんなの居場所にする ・・・・・・ 140     「にっぽんの…」は「とかちの…」の発展形 ・・・・・・ 144 地域をあたためる「温かいお金」 ・・・・・・ 148 地域金融機関との連携による「地域活性化モデル構想」 ・・・・・・ 148 高崎田町屋台通りプロジェクト ・・・・・・ 151 十勝ロフトクラブプロジェクト ・・・・・・ 156 宇和島の中心市街地活性化プロジェクト ・・・・・・ 158 「福祉・医療」もコミュニティで解決していく ・・・・・・ 164

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「ローカル」は連帯する ・・・・・・ 168 地域活性化の輪を広げるローカルサミット ・・・・・・ 168 第一回ローカルサミット in十勝 ・・・・・・ 170 第二回ローカルサミット in松山・宇和島 ・・・・・・ 172 第三回ローカルサミット in小田原 ・・・・・・ 174 第四回ローカルサミット in富山・南砺 ・・・・・・ 177 成熟した社会は人も移動をはじめる ・・・・・・ 180 若者はローカルの価値を知っている ・・・・・・ 180 千三百人の村が活気にあふれている理由 ・・・・・・ 182 「田舎に帰ってこい」を合言葉に ・・・・・・ 184

「小さな循環」

が地域を潤し、やがて世界に広がる

4章

(15)

「エコビレッジ」未来のモデルケースへ ・・・・・・ 188 エコビレッジで総合的な街づくり ・・・・・・ 188    温かなお金の使い方による復興支援 ・・・・・・ 193 日本を逆さ地図で見るとわかること ・・・・・・ 197 移行の時代 ・・・・・・ 210 二〇〇八年に「一ドル=七〇円」を予想 ・・・・・・ 211 日本の財政赤字とTPP問題 ・・・・・・ 213 復興への、これから ・・・・・・ 216 謝辞 ・・・・・・ 219

移行する時代

終章

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本文デザイン/ムーブ(新田由起子)

装幀・写真デザイン/

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プロローグ

「お金」と「グローバリズム」

あなたは、その呪縛から

(18)

◉新たな模索 私は学者でも研究者でもなく、決して理論家でもありません。新しい金融や経済の論 理を含め、今後の日本社会の在り方を模索している実践家の一人です。 とはいえ、その実践活動の経歴自体は、他人に誇れるほど長いわけではありません。 私の社会人としてのキャリアは、いわば前半と後半に分けられます。一九七八年から、 の二〇年間は、日本銀行の職員として、いわばグローバル金融資本主義が花開くなかで、 日本の金融機関指導や金融危機などへの対応という形で、マクロ金融のコントロールを 生 なり 業 わい としてきました。 そして、一九九七年秋以降の三洋証券倒産、拓銀破綻、そして山一證券特融の対応処 理を最後に、一九九八年春、日銀を巡る接待汚職の責任を取る形で、日本銀行を辞して からが、現在に続く後半生となりました。私自身は、その後民間企業の事業経営支援と、 ミクロの現場からの「日本の金融の新たな模索」に、貢献の軸を置こうと考え、社会人 向け大学院へ通いながら勉強のし直しを始めました。ちょうどそのなかに、地域活性化 の実践活動がシンクロナイズしてきたといえます。

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プロローグ 「お金」と「グローバリズム」あなたは、その呪縛から抜け出せるのか? ところで、なぜ「日本の金融の新たな模索」を後半生のテーマとしたのか? それは自分が日銀を辞めざるを得なかったのは、日本の金融機関や金融行政が国民の 期待から大きく離れてしまったことへの、職責を問われたゆえであると考えたからです。 逆に言えば、それに対して回答を示すことが、自分なりの社会への責任であると強く 思ったのです。 ◉「お金」という呪縛 「お金が人を狂わす」とは昔から使われた言葉です。これは何も「拝金主義」と言われ る人だけでなく、現代では、ほとんどの方がお金に「 翻 ほん 弄 ろう 」されているのです。 「お金が人をおかしくする」とはどういうことかと申しますと、たとえば、原発事故後 の福島県飯館村を訪れたときのことです。 飯 館 村 は、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 北 西 に 四 十 キ ロ も 離 れ た 場 所 に あ り ま す。 「 日 本で最も美しい村」連合のメンバーでもある、のどかで風光明媚な山村でしたが、大量 の放射性物質が降り注ぎ、山林も田畑も家屋も汚染し、目に見えない恐怖にさいなまれ ることになりました。

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それは、これまでのように近くにある自分の畑から採った食べ物を食べるわけにはい かなくなったことでもあります。だからコメも野菜も買わなくてはいけない。いままで コメも野菜も買ったことなどない村人です。それがやむを得ず「買う」のです。 「コメなんか買ったことないのにね」 と老人が苦笑いしながら話されていました。 当然ながらお金が必要となります。そして、お金で「買う」ようになると、思いがけ ない気持ちが生まれたのです。 「この野菜はいくらなの?   これでは足りないんじゃないのかな」 「いま買っておかないと、手に入らなくなるんじゃないか」 といった強迫観念も生まれるのです。 「焦りのようなものが生まれた。それで、余計に買ってしまう」 と一人がポツリとつぶやきました。 お金を出せば「何でも買える」のですが、そのことが人間の欲望を絡めとります。 原発事故以前なら、畑や家の米蔵から、必要なだけ持ってきて食べてきた人々が、お 金との交換だけが生きるすべという状況になったとき、いきなり不安が生まれたのです。

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プロローグ 「お金」と「グローバリズム」あなたは、その呪縛から抜け出せるのか? 原発事故をきっかけに、普段着の人がお金に絡め取られたように見えました。 いわゆる原発マネー以前の、生きる現場で起きた出来事です。 私たちは、第二次大戦後の 飢 き 餓 が の時代から高度成長によって豊かさを享受してきまし た。 し か し 同 時 に、 「 お 金 」 は、 私 た ち 現 代 人 を 強 迫 観 念 で わ し づ か み に し て き た の で はないでしょうか。 脅 迫 観 念 を「 呪 縛 」 と 言 い 換 え て も い い で し ょ う。 「 お 金 を 持 た な い と 生 き て い け な い」という切羽詰まったような観念です。 ◉もう一つの呪縛「グローバル化」 現代人の抱く強迫観念には、もう一つ 「 グローバル化 」 という観念があるのではない でしょうか。 「グローバルに行動しないと、その流れに乗らないと、仲間に入らないと……暮らして いけない」という追い詰められた気持ちです。 これは、個人よりもむしろ企業がその呪縛にはまっているように感じます。

参照

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