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2. 企業会計の資本金 と 学校法人会計の基本金 それぞれの会計の目的の違い 1) 事業を始めるためには 営利企業であれ学校であれ 元手 ( 創設及び当面の運営に係る資金 ) が必要です 企業はその元手を準備するために たとえば株式会社であるならば 株式という形で多くの人々から出資金を集め 出資者は

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Academic year: 2021

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学校法人会計の特徴と企業会計との違い

1. 概要 1) 学校法人とは、私立学校法に基づき文部科学省をはじめとする所轄庁の認可を受けて設 立される法人です。学校教育法で定める学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中 等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校)は、同法第2 条により国、地方公 共団体、学校法人のみが設置できることが原則になっています。それゆえ、学校法人は 公教育の一翼を担っていることから高い公共性が求められるとともに、それぞれの私立 学校の特性(建学の精神)に基づきその自主性を重んじた教育活動等を行っていく責務 が課されているのです。 ちなみに、東京家政大学は、学校法人渡辺学園が設置している大学です。本法人の名 称は創立者渡辺辰五郎先生に由来します。 2) 学校法人は、学校法人会計基準に基づき会計処理され、学校法人が行う公共的な教育等 を支える財政、経理を明らかにするとともに、財務諸表等を作成し、財務情報の公開が 義務付けられています。学校法人会計に基づく財務諸表(計算書類)は、国や地方公共 団体から補助金を受けるための条件であり提出が義務付けられています。 3) 学校法人会計、企業会計とも、一般原則としての①真実性の原則、②複式簿記の原則、 ③明瞭生の原則、④継続性の原則に基づき、会計処理を行い計算書類を作成している点 は同じです。 4) また、どちらの会計も上記の原則に基づき、適正な財務会計情報を利害関係者に提供す る点でも同じであり、そのために公認会計士の法定監査が義務付けられています。 ※ 公認会計士による監査は、企業は会社法、金融商品取引法、学校法人は私立学校振興 助成法に基づき行われるものである。 5) 学校法人会計と企業会計の大きな違いは、その収支計算の目的にあるといえます。企業 会計は、一会計期間の収益と費用から当期利益を算定し経営成績を明らかにすることが その目的です。学校法人会計は、一会計期間の事業活動収入と事業活動支出を算定し、 基本金組入前当年度収支差額を算定し、さらにそこから基本金組入額を控除し当年度収 支差額を求め、その均衡状態を明らかにすることが目的です。 また、この目的の違いは、「企業会計の資本金」と「学校法人会計の基本金」の制度、 趣旨によく表れているといえます。次にこの資本金と基本金の違いについて説明します。

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2. 「企業会計の資本金」と「学校法人会計の基本金」、それぞれの会計の目的の違い 1) 事業を始めるためには、営利企業であれ学校であれ、元手(創設及び当面の運営に係る 資金)が必要です。企業はその元手を準備するために、たとえば株式会社であるならば、 株式という形で多くの人々から出資金を集め、出資者はその事業の経営成績により配当 金を受ける権利を得ます。その集まった出資金が、貸借対照表の資本金となり、事業創 立及び運営のための資産を取得することができるのです。 2) 私立学校を創立するためには、校地、校舎、機器備品、運営資金が必要です。これらの 元手(財産・資金)は、個人または多数人による財産の寄付により準備されます。この 寄附された財産の取得価額が基本金となります。 この基本金は、第1 号から第 4 号基本金まで 4 つに分類され、貸借対照表に表示さ れます。 第1号基本金は、校地、校舎、機器備品等の固定資産の取得価額の合計です。 第 2 号基本金は、中長期事業計画を実現するための資金積立を前もって基本金とす るものであり、たとえば新たに学校等を設置するためや現設置学校等の規模拡大のた めに積み立てる金銭等資産です。 第 3 号基本金は、学生へ給付する奨学金の運用原資(基金)であり、継続的に保持 し運用していく金銭等資産です。 第4号基本金は、学校を運営していくための資金である恒常的支払資金相当額(年 間支払総額の1/12 程度)です。 なお第2 号基本金及び第 3 号基本金は、学校法人の中長期的な事業計画に基づいた 基本金組入れ計画表に基づき、貸借対照表の基本金に組入れることが厳格に定められ ています。 3) 以上のように、企業会計は経営成績を明らかにし出資者への利益配当を確定することが 主な目的であり、学校会計は設置学校を安定して永続的に運営していく財産を保持する ために基本金組入後の収支均衡を明らかにし健全な財政基盤を保持することを主な目 的としている点に大きな違いがあると考えます。 3. 各種計算書類 1) 学校法人会計基準に基づく決算の計算書類は、資金収支計算書、事業活動収支計算書、 貸借対照表からなります。その他内訳表等の附属表が添付されます。企業会計において は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書が必須の計算書類となっていま す。 2) 資金収支計算書(学校法人会計)とキャッシュフロー計算書(企業会計) 学校法人会計の資金収支計算書、企業会計のキャッシュフロー計算書のどちらの計算

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書も、発生主義で会計処理される学校法人会計の事業活動収支計算書及び企業会計の損 益計算書を補完し、事業活動収支計算書及び損益計算書では表すことのできない一会計 期間の実際の資金(現金・預金)の有り高を示します。 企業会計のキャッシュフロー計算書は、営業活動、投資活動、財務活動ごとに資金の 有り様、有り高を示します。資金収支計算書は、学校におけるすべての収入と支出活動 の資金のてんまつ・有り様、有り高を示しています。また資金収支計算書の付属表であ る活動区分資金収支計算書では、学校法人の活動を教育活動、施設整備等活動、その他 の活動に区分し、その資金の流れを表示しています。 これらの計算書類は、資金が何によって生み出され、どのように使われているかを示 し、発生主義で会計処理される事業活動収支計算書及び損益計算書では把握しがたい事 業運営における資金ショート(不足)を防ぐために有用なものです。 ※ 発生主義とは、現金の収入・支出(受け渡しの)の時点ではなく、収益と費用の対象 となる事実が起きた時点で計上を行う会計原則のこと。 ※ 活動区分資金収支計算書は、学校法人会計基準の改正により、平成 27 年度決算から導 入されたものである。 3) 事業活動収支計算書(学校法人会計)と損益計算書(企業会計) 以下に両計算書の基本的な計算構造により、その特徴、趣旨、目的を見ていきます。 ① 損益計算書(企業会計)の基本的計算構造は以下のとおりです。 当期の収益 - 当期の費用 = 当期純利益 ② 事業活動収支計算書(学校法人会計)の基本的計算構造は以下のとおりです。 事業活動収入 - 事業活動支出 = 基本金組入前当年度収支差額 基本金組入前当年度収支差額 - 基本金組入額 =当年度収支差額 ※ 事業活動収入とは、一会計期間における学生納付金等、負債にならない収入の総額である。 ※ 事業活動支出とは、当該会計期間の費用の総額である。 ※ 基本金組入額とは、当該会計期間に取得した固定資産(建物、設備等-学校が保持すべき資 産)を主とし、取得当初から取得財源を確保しなければならないものの総額である。 ※ なお事業活動収支計算書は、これまで消費収支計算書と呼ばれていたものであるが、学校法 人会計基準の改正により、平成27 年度決算から導入され、上記の計算構造となり、さらに 経常的な収支である教育活動収支及び教育外活動収支と臨時的な収支である特別収支に区 分されている。教育活動収支差額と教育活動外収支差額を合計したものが経常収支差額とな る。経常収支差額と特別収支差額を合計したものが基本金組入前当年度収支差額である。 上記の計算構造からもわかるように、学校が保持しなければならない資産等に係る 支出額である基本金組入額を、事業活動収支差額(基本金組入前当年度収支差額)か ら控除し、その収支均衡を図るところに、学校法人会計の特徴があります。これは学

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校を運営するために必須の財産を安定かつ永続して保持していくための仕組みである と考えます。 4) 貸借対照表 学校法人会計、企業会計ともに同じ名称である貸借対照表は、計算書構造としてはほぼ 同じ構造であるといえます。下記に示す等式の左辺である「資産」は、資金の運用状態を 表し、右辺である「負債+資本金又は基本金」は資金の調達源泉を表しています。 企業会計では、資産=負債+資本金という等式が成り立ちます。 学校法人会計では、資産=負債+基本金という等式が成り立ちます。 以上の等式からも分かることですが、自己資金の部分(資本金又は基本金)の名称が異 なっているように資本金と基本金では、その制度、趣旨、目的も大きく異なっています。 その違いの特徴は、上記2.で述べたとおりです。 4. 各勘定科目の説明 1) 資金収支計算書の勘定科目 A) 学生生徒等納付金収入:授業料、入学金、施設設備維持充実費等、学生・生徒から 納付される収入 B) 手数料収入:入学検定料、成績証明書等各種証明書の発行手数料等として受け取る 収入 C) 寄付金収入:個人・法人からの寄付金の受け入れに係る収入。用途指定のある特別 寄付金と用途が指定されていない一般寄付金がある。 D) 補助金収入:国や地方公共団体から交付される補助金 E) 資産売却収入:学校の資産(土地、建物、有価証券等)を売却して得る収入 F) 付随事業・収益事業収入:学校の附属事業(保育所等)、補助活動(食堂、学寮等)、 企業等からの受託事業で得られる収入のほか収益事業に係る収入 G) 受取利息・配当金収入:預金等の利息、国債、社債等有価証券の利息、教室等の施 設の貸し出しによる収入等学園資産の運用に係る収入 H) 雑収入:主に退職金財団及び東京都私学財団からの交付金収入、その他学校法人に 帰属する収入 I) 借入金等収入:銀行等からの借り入れ J) 前受金収入:入学手続き時に受け取る翌年度入学の学生・生徒の入学金等

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K) その他の収入:前期末の未収入金に係る収入等、上記の各収入以外の収入 L) 資金収入調整勘定:期末未収入金、前期末前受金が該当し当該年度には現金の受け 取りがないものを控除するための勘定 M) 前年度繰越支払資金:前年度から繰り越された支払資金総額 N) 人件費支出:教職員に支給する本俸、期末手当、役員に支払う報酬、教職員の退職 金等 O) 教育研究経費支出:教育研究のために支出する経費 P) 管理経費支出:理事会に係る経費、学生・生徒等の募集経費等、教育研究経費以外 の経費 Q) 借入金等利息支出:借入金に係る利息 R) 借入金等返済支出:借入金元本の当年度返済分 S) 施設関係支出:建物、構築物等の取得のための支出 T) 設備関係支出:教育研究機器備品、図書等の取得のための支出 U) 資産運用支出:有価証券の購入や特定資産(預金)積み立てのため支出 V) その他の支出:前期末未払金支払い支出、前払い金支払い支出等、上記以外の支出 W) 資金支出調整勘定:期末未払い金、前期末前払い金が該当し、当該年度には現金の 支出がないものを控除するための勘定 X) 次年度繰越支払資金:次年度へ繰り越される支払資金総額 2) 事業活動収支計算書の勘定科目 A) 学生生徒等納付金:資金収支計算書と同じ B) 手数料:資金収支計算書と同じ C) 寄付金:資金収支計算書の寄付金収入から施設設備関寄付金を除き、施設設備以外 の現物寄付(消耗品)を加えた収入 D) 経常費等補助金:資金収支計算書の補助金収入から同じ施設設備関連補助金を除い た収入 E) 付随事業収入:学校の附属事業(保育所等)、補助活動(食堂、学寮等)、企業等か らの受託事業で得られる収入 F) 雑収入:資金収支計算書の同収入に現金収入のない図書値引き額の調整等に係る収 入を加えたもの G) 受取利息・配当金:資金収支計算書と同じ H) 資産売却差額:資産売却額が帳簿価額を超えた差額 I) その他の特別収入:臨時的収入である施設設備関連の補助金、寄付金、現物寄付金 J) 人件費:資金収支計算書と同じだが、退職金は前年度まで積み立てている退職給与 引当金を控除した額、そのほか将来的な準備である現金支出のない退職給与引当金 繰入額を加えたもの K) 教育研究経費:資金収支計算書と同じ、そのほか現金の支払いのない減価償却額

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L) 管理経費:資金収支計算書と同じ、そのほか現金の支払いのない減価償却額 M) 徴収不能額等:徴収不能の債権に係る額及び徴収不能の虞のある債権に関するその 見込額 N) 借入金等利息:資金収支計算書と同じ O) 資産処分差額:資産の帳簿残高が当該資産の売却収入金額を超える場合の差額、資 産処分時の帳簿残高(除却損) P) その他の特別支出:臨時的な支出である災害損失や過年度修正額 3) 貸借対照表の勘定科目 A) 固定資産:貸借対照表日後 1 年を超えて使用される資産をいい、土地、建物などの 有形固定資産と有価証券や特定資産(特定目的の積立金)等のその他の固定資産か らなる B) 流動資産:貸借対照表日後1年以内に使用される現金・預金等の資産 C) 固定負債:その支払期限が貸借対照表日後1年を超えて到来する長期借入金や退職 給与引当金等の負債 D) 流動負債:その支払期限が貸借対照表日後1年以内に到来する短期借入金等の負債 E) 第1号基本金:学校法人が設立当初に取得した固定資産で教育の用に供される価額 又は新たな学校の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上 のために取得した固定資産の価額 F) 第2号基本金:学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模の拡大若しくは 教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産 の額 G) 第3号基本金:基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額 H) 第4号基本金:学校法人の運営のため恒常的に保持すべき資金 I) 繰越収支差額:過年度からの事業活動収支計算の結果、累積された当年度収支差額 の収入又は支出の超過額

参照

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