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体験型によるセキュリティ研修ツールの開発と評価

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 82 回全国大会. 4F-04. 体験型によるセキュリティ研修ツールの開発と評価 大久保 隆夫† 情報セキュリティ大学院大学†. 青山. 祐輔‡. 株式会社企‡. 1. はじめに 筆者らは,重要インフラ分野の運用従事者 を対象とした,サイバー攻撃等を擬似的に体験 可能な教材を開発した.本稿はその教材の提案 およびその評価について述べる. 2020 年の東京オリンピック,パラリンピッ クを控え,大会期間中やその前後におけるサイ バー攻撃の危険がさけばれている.特に,電力 や交通,通信,放送などの重要インフラは,一 度攻撃を受けると大会の運営だけでなく社会に も交通麻痺や電力供給の停止など,社会にも深 刻なダメージを与えかねない.したがって筆者 らは,重要インフラの運用担当者を教育対象と して教材の開発を行った. セキュリティインシデントの適切な対応 のためには,故障やヒューマンエラーなど他に 発生している事象に加え、セキュリティインシ デント発生時の状況がどのようなものか認識す る能力が必要とされる.セキュリティインシデ ント発生時の切り分けをより適切に行なう能力 の向上を図るため、インシデントの 1 次対応を 行う運用従事者を対象とし,サイバー攻撃の基 礎を体験的に学ぶ教材の開発を目標とした.. 小村. 誠一☆. NTT アドバンステクノロジ株式会社. 受ける実環境を用意し,攻撃により被害を受け る様子を実際に体験してもらうものである.こ の方法であれば,利用者の操作により,攻撃を 受けて被害にあう様子を実際のインシデントと 同様に体感することは可能である.ただし,ラ ンサムウェアなどの場合,感染によって実環境 は破壊されてしまうため,受講後に復旧などの 作業が必要になる.(3)の仮想環境を用いる手法 は,実環境ではなく仮想環境で体験するため, (2)の実環境とほぼ同等の体験が可能である.そ れに加え,(2)のように実環境を壊すことなく, マルウェアに感染した仮想環境は状態を戻すこ とで,再度の利用が可能になる.しかし,仮想 環境はそれを実行するために一定のメモリ,CPU 性能と実行環境のソフトウェアが必要になる. このため,特に大規模の受講者を要する場合に は計算機環境の用意が障害になり得る.また, (2)や(3)の手法では利用者の行動に自由度があ りすぎるため,意図した操作をするためには適 切な誘導や制約が必要になる.. 3. javascript を用いた体験教材 筆者らは,既存手法の課題を解決するため, javascript を用いて攻撃の体験を提供する教材 2. 従来技術と課題 を開発した.教材の画面の例を図 1 に示す. サイバー攻撃を体験的に学ばせる手法とし 画面は Windows7 の画面をキャプチャして表示 ては,(1)スライドや動画を用いる手法 [1] (2) しているが,javascript を用い,マウスで対象 実環境を用いる手法 [3] (3)仮想環境を用いる 領域をクリックやダブルクリックすることで, 手法 [2]がある. 次の画面への遷移を実行する.この実装を利用 (1)のスライドや動画は,攻撃を受ける様子 し,利用者が不適切な操作を行うと,攻撃によ を時系列で利用者に体験させることはできるが, り被害を受ける様子をマウス操作のキャプチャ 利用者のインタラクションがないため,利用者 と画面の遷移により表現している.図 1 はラン がどんな操作をしたらまずいことが起きてしま サムウェア攻撃を説明する教材の画面である. うのかという,当事者意識を持たせることがむ ランサムウェアはメールの添付ファイルを開く ずかしい.(2)の実環境を用いる手法は,攻撃を ことにより感染するので,メールの添付ファイ Development and evaluation of a hands-on security training ルのアイコンおよびそれをクリックすることに より,感染が起きた場合の画面を用意すること tool †Takao Okubo, Institute of Information Security により,添付ファイルの開封によりランサムウ ‡Yuusuke Aoyama, Kuwadate inc. ェアに感染する様子を利用者が体験できる.ま ☆Seiichi Komura, NTT Advanced Technology Corporation た,利用者の不適切な操作を誘導するため,次 に操作すべき場所と操作内容を画面に吹き出し. 3-403. Copyright 2020 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 82 回全国大会. 謝辞 本研究は内閣府が進める戦略的イノベーション 創造プログラム(SIP)「重要インフラ等における サイバーセキュリティ確保」(管理法人 NEDO)の 委託費により実施されました.. 参考文献. 図 1: 体験型教材の画面例 で表示する.これにより,利用者は攻撃により 被害に合うシナリオを効率的に再現できる. この教材に,通信事業者に聴き取りを行い,次 の 6 つの攻撃シナリオを実装した.(1)ランサム ウェア(2)フィッシング(3)バックドア(4)SQL イ ンジェクション(5)SD カードからのマルウェア感 染(6)Web カメラの脆弱性 4. 教材の評価 開発した教材の有効性について,セキュリ ティに関する技術経験の少ない学部生 9 名と, 社会人を中心とする大学院生 10 名に受講させ, 受講前と受講後で当該攻撃に関する知識状況を 5 段階評価してもらったところ,各攻撃シナリオ の知識の向上率の平均が学部生,院生共に 25%で あった.また,学部生の平均知識レベルが 3.2 だったのが,受講後は平均 4.0 になり,院生の 受講前の知識平均 4.0 と一致した.このことか ら,セキュリティ知識に乏しい運用技術者に実 装した教材を体験させることで,セキュリティ 有識者に近いレベルまで引き上げることが期待 できることがわかった.. [1] 神奈川県生活消費課, “「インターネット の危ない世界」を体験しよう!PART1,” 19 12 2019. [ オ ン ラ イ ン ]. Available: https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r7b/c nt/f535323/p415459.html. [ ア ク セ ス 日 : 25 12 2019]. [2] IPUSIRON, ハッキング・ラボのつくりかた 仮想環境におけるハッカー体験学習, 翔泳 社, 2018. [3] 情報処理推進機構, “脆弱性体験学習ツー ル AppGoat,” 22 12 2019. [オンライン]. Available: https://www.ipa.go.jp/security/vuln/app goat/. [アクセス日: 25 12 2019].. 5. おわりに 筆者らは,重要インフラ分野の運用従事者 を対象とした,サイバー攻撃等を擬似的に体験 可能な教材を開発した.教材はブラウザ上で動 作するため,仮想環境や実環境を用意すること なく,また実環境に影響を与えることなく利用 者に攻撃を引き起こす不適切な操作やその影響 を学ばせることが可能となる.また,開発した 教材を学生に受講させ,知識の向上が見られる ことを確認した. 現在は,作成した教材を複数のインフラ 事業者に試行してもらっている.今後,その評 価分析と攻撃シナリオの拡充を行う予定である.. 3-404. Copyright 2020 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(3)

図 1: 体験型教材の画面例  で表示する.これにより,利用者は攻撃により 被害に合うシナリオを効率的に再現できる.   この教材に,通信事業者に聴き取りを行い,次 の 6 つの攻撃シナリオを実装した.(1)ランサム ウェア(2)フィッシング(3)バックドア(4)SQL イ ンジェクション(5)SD カードからのマルウェア感 染(6)Web カメラの脆弱性  4

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