誰の視点で眺めるか : 菊池寛『真珠夫人』の視点人物
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(2) 2 0 0 7 . 3 1 8 巻 2号 文学・芸街・文化. け必要だったのではなく、藩璃子の慈力を緊立たせる. による青年の死という篇撃的事件を配置するためにだ. させてしまっただろう。錯持法は、最初に自動車事故. 語られるのであれば、その魅力誌半減し、読者を退屈. これが最初から瑠璃子自身の視点からその半生が先に. 謎に満ちた人物として、読者に訴えかけるのであり、. ら渥美信一郎という会社員の目によって見られるから、. 明らかであろう。瑠璃子は、他者の目、それもことさ. 描かれていたならばどうなっていたかと考えてみれば. ような錯時法を用いずに、ただ時間の流れに沿う形で. 配慮されたことであり、それ誌、もしこの小説がこの. 読むことになるだろう口むろん、これは作者によって. なったのか、この疑問を解く気持ちで瑠璃子の半生を. く一般的立疑関、どうして瑠璃子がこのよう立女性に. 面を眺め克てきたわけで品るから、そこから生ずるご. を言わせた荘園勝平の勝利でるり、理璃子は荘田と結. 子が荘田姓であったことから、この勝負試金の力に物. めから分かっていて、最初に物語に登場していた翠璃. 逃れ得るか、毘唾を飲むこととなる。むろん結末は始. 瑠璃子とともに援を立て、また瑠璃子が荘田の子から. を企てるのである。その後、読者は荘田の卑桧な手に、. 金の力で瑠璃子を直也から奪い、自分の妻にすること. Z﹂せんとばかり、 とを示し、それによってふたりに復讐. ぼった荘田勝平は、逆に金さえあれば何でもできるこ. の成金趣味だと馬鹿にされるのを聞き、頭に血がの. 子(のちの荘田瑠璃子)であり、この園遊会を金持ち. そしてこの若いカップルこそ、杉野直也と唐沢瑠璃. という﹃忠直郷行状記﹂ ωを詰襟させるものである. 然冒合わせてしまい、意菌せず立ち龍きをしてしまう. たりのカップルが畠分の陰口を叩いているところに鍔. 成金の荘田勝平が自分が擢した冨遊会の売で、若いふ. 作者による読者への配慮が施されている。自動車事故. その点が疑問の残るところであり、読者もその一点に. しかし本当にそれは勝手の勝利であったか、どうか。. GO. ためにも必要だったのである。. ほど衝撃的なものではないにせよ、この部分にもやは. 救いを感じながら読み進めることになる。つまり、瑠. 婚することとなる。. り、作者は冒頭に小さな事件を据えて、読者の関心を. 璃子は結婚するにあたり、形式的には夫婦を装うにし. さて、そこでこの瑠璃子の半生であるが、ここにも. 呼び込むことを忘れなかった。その小事件とは、戦争. 1Eム. 00.
(3) 誰の視点で眺めるか一一幕池寛『真珠夫人』の視点人物一一 小林. ても、実質には自分は処女を守り、愛のない夫婦生活. こうしてわれわれ読者は、どうして理璃子が男をも. てあそぶ小悪魔的存在になったのかを知るのである。. こののち視点人物は、再び渥美信一郎に戻り、時間. により勝一平を内側から精神的に追い込むことを父親に 対して誓っているのである。瑠璃子は処女を守り通す. 子に、気の毒るサインを送られて、勇んでい汁、法、じ. も冒頭の部分の続きへと一戻る。信一蕗は、妻のある身. させない工夫がふんだんに施されている小説である。. らされるだけじらされたり、同一持者がいたりする。も. ことができるのか、今震は読者の興味はこの点に移る。. そして瑠璃子を視点人物に据えたこの部分は、鍔平の. ちろん読者も信一郎とともに、瑠璃子に魅了されなが. で品りながら、美しい瑠璃子に翻弄されている。瑠璃. 死によ号、理璃子が勝平から処女を守り通したところ. ら、そのつれ立い態度にじれったさを惑じることとな. ﹃真珠夫人﹂という作品は、このように読者を飽き. で終わる。金の力で涙じ伏せられたかに晃えた瑠璃子. 引っ張ることで、読者の目を引き留めるよう工夫して. る。作者はそのように結果を先送りにして、現状を. だが、勝平への勝利が本当に瑠璃子自身のために. いる。そんななかで信一郎は、亡くなった青木淳青年. はついに勝平に勝ったのである。 なったかどうかは、また別問題であった。作者は、次. たのではないかと考え合わせる。そしてさらには青木. も自分や他の男性諸氏と同じように瑠璃子に翻弄され. 負けた勝平は、負けながら、その死床に人間とし. 淳青年の死の原因もそもそもは、そんな瑠璃子の態度. のように記している。 て救はれてゐる。が、完事に勝った瑠璃子は、救. にあるのではないかと考え、それをなじろうとして、. 妾、男性がしてもよいことは、女性がしてもよ. しょ、つじよ、っ. はれなかった。(・:)彼女の心は、その時以来加入. 逆に瑠璃子に次のように言い負かされる。. ことは、その肉体は許しても、心が許さなかった。. いと云ふことを、男性に思ひ知らせてやりたいと. わたくし. のやうに荒んだ。清浄なる延女時代に立ち婦る 敵と戦ふために、自分自身心に塗った毒誌、いつ J. 思ひますの。男性が平気で女性を弄ぶのなら、女. 、 つ 主. 性も平気で男性を弄び痔ることを一示してやりたい. の関にか、、むの中に深く浸み入って消えなかっ た 。 川 柑. 4tA. QU.
(4) と思ひますの。紛 このような発言は男性中心社会やその道徳への挑戦. 思う一心から稔の申し出を拒絶する。こののち読者は. 稔の気持ちが美奈子に向くことを期待するが、その期. その後、物語は勝平の娘・美奈子が視点人物となり、. 知らされて逆上し、瑠璃子を射して自分の命も絶って. と同じように瑠璃子に翻弄されて苦しんでいた乙とを. 待は裏切られる。失望した稔は、信一郎から兄も自分. 新たな恋の行方ヘ焦点が当てられることとなる。美奈. しまう。まさに物語は悲劇として幕を関じるのでるる。. として、注目されている。紛. 子の恋の椙子は墓地で出合った青年であるが、はじめ. このように﹁莫珠夫人﹂において誌、視点人物の交. 代、錯時法などが効果的に用いられているといえる。. それが誰立のか分から立い。やがて、それが瑠璃子の 口を通して、この物語冒頭の事故で亡くなった青木淳. はここでもじらされることとなる。転機が訪れるのは. 璃子を慕っているため、ふたりの恋は進展せず、読者. うこととなる。さらに青木稔は、美奈子ではなく、瑠. が気付かないでいるのをじれったく、また気の毒に思. である美奈子を応援する気持ちから、なかなか美奈子. より早くそれが青木稔だと気付いた読者は、視点人物. 提供して、飽きさせない工夫をしている。また美奈子. 誤算といいかえてもいい。 vmとその変化を否定的に. 飛躍を余議なくされているのである。プロット構成の. 揺し︿三震の転居毎に瑠璃子の、心理と行動誌不自然な. する義母﹀という具合に次々に変化していくことを指. うユ iディット﹀︿娼婦型騒慢な未亡人﹀︿継娘を庇護. の主人公・瑠璃子の役割が︿清純な美少女﹀︿復讐を誓. 置を占めているのが、前田愛の論文である。この小説. さてこの﹃真珠夫人﹄を研究史的に見て、大きな位. -20-. の弟である青木稔であることを知る。読点人物が美奈 子であるからこそ、しばらくその椙子の人物を謎のま まにしておくことができるのである。このように菊池. 瑠璃子が美奈子の恋心に気付いたときである。美奈子. 捉えた。瑠璃子の性格に変化をもたせて書かれている. 寛は視点人物の交代を巧みに用いて、読者に謎解きを. の恋心に気付いた瑠璃子は継母として美奈子を大切に. 2. 2 0 0 7 . 3 1 8 巻 2号 文学・芸犠・文化.
(5) 誰の視点で挑めるか一一菊地寛 f 真珠夫人 j の視点人物一一 小林. 点は誰の自にも明らかなことである。ただそれが果た. 綻が生じているという。. していたものと異なるものとし、それによ今後半に破. 阿部は次のように書いている。. して成功しているのか、失敗しているのか。﹁真珠夫 人﹂研究は、この点をめぐって論争が繰ち返されてき. 品る。﹀ ωというのが田口の論である。つまり、前田愛. つ龍動的な読書行為を展開していたことが信えるので. ションを働かせ、積極的にテキストの空房を補填しつ. 読者は、﹁待つ時間﹂の中で、及ぶ範囲のイマジネー. きを読むために待たねばならない。そのため︿当時の. 小説の読者は一回に読める分量が規定されており、続. 点に着目して反論したのは田口律男である。新聞連載. この点に関して﹃真珠夫人﹄が新関連載小説である. 弱者瑠璃子を前景化させるためであり、また毘持. 突然視点人物としての存在理由を抹殺されるのは、. 者の授産を代行していた吉一郎が、第四蓄に於て. 冨収の理由を発見できる)。それまで一貫して読. たのではないか(ここにも瑠璃子の死による結末. 共感と憐れみを誘う美しき弱者の役割が求められ. とっての闘う女としての革新性の象徴ではなく、. の手段を作者が自覚した時、瑠璃子には読者に. 以前に先行したことによって新たな読者引きつけ. メディアで成功した﹁真珠夫人﹂現象が非品完結. のいうように、瑠璃子の、心理と行動は、確かに次々と. に読者の弱者への共惑が競合するのを避けるため. た. 変化していっているものの、それは連載小説を読み進. でもあったと考えられるのである. しかし果たして本当にそうだろうか。読者は信一部. c験. めている読者にとっては︿不自然な飛擢﹀とはうつら なかったので誌ないか、定りない部分品空想でおぎ. があるとしたのが、阿部寿行であった。阿部は、作品. しかし、それを踏まえた上で考えても、やはり破綻. めるというのもまた事実ではなかろうか。彼は静子と. ていくうちに、この信一郎という人物に疑問を持ち始. 彼を信用して物語を読み進めていく。ただ、読み進め. が視点人物であることから、確かに被の目を通して、. 完成以前に﹃真珠夫人﹄がメディアで成功したことが. いう妻を持つ身でありながら、瑠璃子にひかれ、妻に. なって読み進めたのではないか、ということである。. 却って、作者・菊池寛の筆の運びを、執筆以前に計画. -21-.
(6) 1 8 巻 2号 2 0 0 7 . 3 文学・芸術・文化. が、自分の正義惑のみを信じて、能人のことに首を. 突っ込みたがり、他人の事需を考恵せずに自説を押し. 法内諸で、瑠璃子の家へと出かけていく。 彼の頭の裡には、もう半面紫色になった青木淳の. 通したがる一面がはっきり一不されているのである。. プラチナ. 顔もなかった。謎の白金の時計もなかった。愛し. めていく勝平は、悪人そのものである。しかし、娘の. 荘田勝平についても同じことがいえる。第二部にお. このようにあるから、信一郎が瑠璃子の家に行った. 美奈子が直也に撃たれたときの慌てふためき方、それ. てゐる妻の静子の顔までが、此の麓たけた瑠璃子. のは、時計を返してください、という青本淳の遺言に. から障害を持った勝彦を施設に送らずに、きちんと自. いて、金で全てが買えると信じ、相手の弱点(ここで. 従うためばかりとは言えないし、第一、信一郎は、. 分で育てていること、さらには、死を前にして、瑠璃. 夫人の美しい面影のために、屡々消されさうにな. ノiトを捨ててください、というもうひとつの遺言に. 子に子どもたちのことを頼むことなどから、外界に対. は麿沢家の借金)につけこんで執劫に瑠璃子を追い詰. ついては全く無視し、こともあろうに瑠璃子に克せて. して誌悪人だったとしても、家涯のなかでは善人だっ. ってゐた。ぬ. しまっているのである。ただ視点人物でるるがゆえに、. ことがはっきり記されるのが、美奈子が視点人物とな. たことを読者は読みつつ知ることとなる。また、その. 菊池寛の意国は、瑠璃子に限らず登場人物の、良い. る第四部においてである。父の墓参りをする美奈子の. このような悪い一面も読者は許してしまうのである。 面と悪い面、両方を描き出すことにあった。第四部で. 様子が描かれたのち、次のように記されている。. 世間からは、いろ/¥に悪評も立てられ、成金. 信一部が視点人物からはずされるのは、破綻ではなく て、信一部の悪い面をこれまで以上にはっきり描き出. ったが、自分に対しては、世にかけ替えのない優. に対する攻撃を、一身に受けてゐたやうな父であ. ここで信一郎は、青木稔に兄の二の舞を演じないよ. しい父であったことを思ひ出すと、何時ものやう. すためだったと考えられる。 うに説くことで、却って稔の瑠璃子に対する怒りを. に、追慕の涙が、ホロ. /11 と止めどもなく、二. 煽ってしまう。一見、良識家であり、紳士的ではある. -22-.
(7) 点人物を交代させることによって、ひとりの人物の二. かれているのでるる。またこのように見ていくと、視. ひとりの人物のなかに良い面と悪い面が重層的に描. だし、瑠璃子はそのように言葉によって主張する女と. きがけと在るものが多く見られるのは事実である。た. り、瑠璃子の発言には、のちのウ iメンズ・リブのさ. 主張した点を強調している。確かに、駒沢の言うとお. 性中心社会への反逆、女性として言葉に出してそれを. 面性が明確になっていくことが分かる。読点人物の交. して請かれているだけではない。. つの頬を流れ落ちるのだった。 ω. 代誌、ひとりの人物を複線で晃ることによって、その. さまざまな青年続士の舎をとりこにし、思うさま. ない。要するに擬似恋愛を楽しみ男たちを集めて、. 写る壊の遣いから、立体的に浮かびあがらせようとい もちろん瑠槙子とて例外ではない。︿清純な美少女﹀. 女王の如く君臨する。が、ここのところで作者は. ひきつけるが、彼女は決して自分の身も心も与え. ︿復壁画を誓うユ iディッド﹀︿娼婦型の騒慢な未亡人﹀. 多少混乱気味である。つまり、瑠理子に同情的に. う試みなのである。. ︿継娘を庇護する義母﹀と願々に変化していくのでは. 描いてきた作者も、彼女の自由奔放なフラテ i. と理由づけているのである。しかしそのように言. ない。重なりながら変化していくのである。第四部の 男性に対しては、何の真情をも残してゐないやう. 葉では弁明を尾意しながら、瑠璃子は一翼して男. ションをまともに肯定しかねて、彼女の心の荒み. な瑠璃子夫人ではあったが、彼女は美奈子に対し. への復讐を生き切った女として描かれでもいるの. 始めに次のようにある。. ては母のやうな慈悲と婦のやうな親しさとを持っ. である。菊地寛は瑠璃子を、男に対する復讐一一日一の女. 神として描き切ろうとしている。 ω. てゐた。同同 ひとりの人間が持つ二語性、これを描き出すために. 者﹀という瑠璃子の一面を強調するあまり、他の一面、. 駒沢によるこのような論の展開では︿男権への復讐. 駒沢喜美の﹁男権への反逆者 i ﹁真珠夫人﹂の諸藩. 前田愛の言葉を借与れば︿娼婦型の騒穫な未亡人﹀と. 菊池誌視点人物を交代させていったのである。 子 i﹂では、その論文名にある通り、瑠璃子の、男. -23-. 小林. f 真珠夫人』の視点人物一一一 誰の視点で眺めるか一一菊池寛.
(8) 2 0 0 7 . 3 1 8 巻 2号 文学・芸術・文住. いう一面を切り捨ててしまうことになる。駒沢の強調 する︿男権への復讐者﹀という一面は、前田愛の分類. たわけではない。. ﹁真珠夫人﹄を読む土で視点人物に注意を払ってお. ているという認識がないからである。勝平の死までを. 読点人物の交代によってひとりの人物を多角的に捉え. うなことになってしまっているかというと、駒沢には、. 子橡が欠落しているといわざるを得ない。なぜそのよ. ることで誌あるが、駒沢論文においてこの二点の璃璃. 類した方法によって、ここでヒロインを、それと. 小説﹂のそれを処女型・母性型・娼婦型、などに分. 評舗があるからである。とすれば、残るは﹁家庭. ついに﹁内面的な或長﹂というものがないとする. てしまったのは法かでもない、このヒロインには. ここで前田愛が、ヒロインを四つの役欝に分裂し. く必要がある。日高昭二は﹁貞操の市場!菊池寛. 描いた部分が、瑠璃子に︿同情的﹀に描かれていたの. の同一と差異のうちに見る以外にはない。いま、. でいえば︿復讐を誓うユ!ディッド﹀の一面である。. は、作者が瑠璃子に同情的であったからではなく、瑠. その当否は別としても、ここで最も不審なことは、. ﹃真珠夫人﹄ノ iト﹂において、前田愛による﹃真珠. 璃子自身を視点人物として描かれていたためである。. そういうヒロインを読者に媒介する視点人物の存. 瑠璃子は、他に︿清純な美少女﹀︿継娘を庇護する義. その後、瑠璃子が擬似恋愛を楽しみ女王のごとく君臨. 在が妨失されていることなのである。おそらくそ. 夫人﹄批判を紹八月したのち次のように記している。. する部分は信一一郎を視点人物として描かれている。こ. の防失が、いうところのプロットの﹁欠陥﹂やヒ. 母﹀としても搭かれている。横漫雄二 ωも指描してい. の瑠璃子を︿肯定しかねて﹀いるのは作者ではなく、. ロインの﹁分欝﹂という読みを導いたのかも知れ. このあと、日高は信一郎という視点人物に著自し、. 信一部なのである。視点人物の交代によって、登場人 分だけでなく、悪い面をも熊らし出すというのが、こ. 家路の途中で事故に遭い、その後彼が遅れて家庭への. ない。相脚. の小説における作者菊池寛の基本戦略である。菊池が. 復掃を遂、げることと、復讐をやり遂げた理璃子が、直. 物のひとりひとりを多角的に捉え、その人物の良い部. ︿復讐の女神﹀といった面のみを強調しようとしてい. U. , ,. 4 q.
(9) が記されていると捉えてかまわないのだが、一箇所ど. れた場面、おおよそ瑠璃子の視点で考え、思ったこと. ているものはめずらしい。錯時法によって時間を戻さ. てきた。﹀織と記しているが、このようにはっきり示し. 第一回章までは瑠璃子というように視点人物が変色し. 神田秀美泣︿第一章から第西章は信一郎、第五章から. としていいものか、という疑問が残るのも事実である。. ことはできても、第二部の視点人物を果たして瑠璃子. もっとも第一部の視点人物を信一蒔であると定める. において瑠璃子は、父と兄との対立関係の間で︿清純. ける役割の変化に応じていると論じた。つまり唐沢家. 瑠璃子の性格の変化は、そのとき置かれている家にお. 珠夫人﹄における女主人公!﹂初において、横漬は、. たのが、横漬雄二であった。﹁家の交代劇 i 菊池寛﹃真. て、家を軸とした物語として読み苔えることを提唱し. なお、前田愛が指摘した理璃子の性格の変化につい. 一部、美奈子と交代していくと考えるべきなのである。. ではなく、信一路、勝平から瑠璃子へと移り、再び語. 璃子、再び語一部、美奈子と交代していくと考えるの. 以降は勝平の内面は描かれず、専ら理璃子に降りか. うしてもそれで誌説明のつかないところがあるからで. な美少女﹀としてそのどちらにも従顕な娘でなくては. 也と美奈子のもとに帰結することを重ね合わせている。. ある。それほどこかというと諸持法によって時間が戻. ならない。次に、荘田勝平によって危機に路れられた. かってきた事件とそれに対する瑠璃子の心情が描かれ. された亘後の第五章﹁そのかみの事﹂である。ここで. 窟沢家を守ることためにユ lディットとして復讐する. 日高が視点人物に注巨したのはよいとして、その視点. 勝平法理璃子と藍匙の会話を立ち寵きしてしまう。描. こととなり、復讐が叶ったあとの瑠璃子は、妖婦とし. ているわけだから、ここは瑠璃子を視点人物と考えて. かれているのは、その発言内容に怒りを感じている勝. て登場するが、それとともに勝平から後事を託された. 人物として信一郎しかあ、げていないのは私としては不. 平の心構であり、つまり、この部分は瑠璃子を視点人. 荘田家の家長として︿継娘を庇護する義母﹀となるわ. 支障はない。つまり、視点人物の交代は、信一郎、瑠. 物と考えると辻棲が合わず、どうしても勝平が視点人. けである。これまで、瑠璃子自身が女の自立などを主. 満が残るところでるる。. 物になっていると考えるしかない。第六章﹁父と子﹂. -25-. 小林 誰の視点で眺めるか一一菊池寛『真珠夫人』の視点人物.
(10) 2 0 0 7 . 3 1 8 巻 2号 文学・芸術・文北. 張することから脱封建主義的な物語とされがちだった. の親としての慌てぶりについては先にも記したが、さ. 子どもの発言に耳を傾け、自分の主張を間引っ込める器. らに注自しておきたいのは、そのとき怒りから直也を. ただしここで家ということに関連して指摘しておき. 量の持ち主であることがここからうかがえる。横漢は. ﹃真珠夫人﹂を、家にとらわれている理璃子を示すこ. たいことは、この物語のふたつの中心となる唐沢家と. 瑠璃子の家から家への移動に注呈するあまり、このふ. 警察に突き出そうと考えていたのを、美奈子の発言か. 荘田家はともに母親のいない、いわば不完全主家庭. たりの家長の対燕性には触れていないが、ここでも菊. とによって逆に捉えた論考として、興味深く、また肯. だったということである。家族構成も、父、恵子ひと. 池は人物の内面と外面を書き分けており、また家の明. ら思いとどまっているところである。どんなときでも. り、娘ひとりと全く同じである。この二組の不完全な. 暗をこの家長の性諮および生きる姿勢から描き出して. ける意見であった。. 家庭に対して、読者は、主人公でるる理璃子が最初に. いる。子どもの声に耳を賛さず、自己の考えに執着す. ﹃恩讐の彼方に﹄ ωに代表される菊池寛の仇討小説を. 属していた唐沢家に加担してしまいがちだが、唐沢男. い人物であり、油絵をやめなかった息子を家から追い. 見ても分かるように、菊池はその仇となる人物を一方. る家長を持つ麿沢家が次第に求心力を失っていくのに. 出してしまう。外では、藩閥政治と戦う立派な政治家. 的に悪人として描くことはしなかった。悪人の内部に. 爵は、書画に関しては素人鑑定家であり、北宗画高宗. である反面、家庭で誌、息子の発言に耳を貸さず、自. 盛ず善人の要素をも描きこんだ。﹁真珠夫人﹂において. 対し、子どもの声に耳を傾ける家長を持つ荘田家は、. 分の考えを息子に押し付ける存在である。一方、荘田. も同じことが言える。菊池は荘田勝平を一方的に悪人. 画においてはその道の権威というほどでありながら、. 勝平の方は、外では成金だと批判される存在であるが、. として搭かなかった。その内部に善人の要素をも描い. 磐石なのである。. 家庭では子どもたちに擾しい人物である。障害を持つ. たのである。また反対に、一口元良識的な善人と晃られ. 同じ絵画でも息子の油絵に関しては全く理解を一芯さな. 勝彦を大窃に育て、美奈子が直也に撃たれたときの人. ぷU. qL.
(11) 小林. f 真珠夫人 j の視点人物一一 誰の規点で眺めるか一一菊池寛. の要素をも撞きこんだのでるる。. る渥美信一郎や岩沢男爵においては、 その内部に悪人. は読み返した可能性がある。メリメといえば杉捷夫訳. ン﹄が収録されているので、こちらで読むか、あるい. が・有名であるが、杉捷夫訳﹁カルメン﹂が岩波文庫と. して訳されるのが昭和国年なので、﹁真珠夫人﹂刊行. 以後のこととなり、時間的に見て、菊池寛が﹃真珠夫. さまざまな意見を見てきたが、ここで問題になるのは、. 以上、前田愛による分類に触発される形で出てきた. キャラクタi造型に関わったものとしてあげたことは. 田秀美が︿娼婦型の騒慢な未亡人﹀としての瑠璃子の. このメリメの﹃カルメン﹄についてはこれまで、神. 人﹂執筆以前に杉捷夫訳で読むことは不可能である。. 視点人物の交代であろう。これを菊池寛はどこから学. あった。神田はそこで、﹃カルメン﹄の主人公カんメ. 柏木監雄による一連の仕事が詳しい。餓柏木誌、メリ. 5本近代文学におけるメリメの受容史については、. ルメン﹄については、上野の糧養軒での諜奏からの帰. 刺されて死んでしまう点﹀鈴をあ、げている。この﹃カ. であること﹀︿家庭的な役裂を持たないこと﹀︿恋人に. ンと瑠璃子との類似点を︿男を翻弄する娼婦型の女性. メの作品に触れた作家して夏目激石、泉鏡花、芥川龍. り、瑠璃子と信一部との関で交わされる話題のひとつ. 0. 之介と名があ、げているが、︿じっさいメリメの名前が. ﹁メワメは、どのようなものがお好きです。﹂. でもある。. たって﹀のこととしている。また、激石は英訳、芥川. ﹁みんない弘、ぢゃありませんか。カんメンなんか、. 正四年には厨川白村・二宮栄訳﹃メリメ傑作集﹄が大. ﹁あの女主人公を何うお考ヘになります。﹂. 作はほんたうにい¥ぢゃありませんか。﹂. 日本では通俗な名前になってしまひましたが、原. 日本図書から刊行されている。そのなかに﹃カルメ. 菊池寛も英訳で読んでいてもおかしくはないが、大. は英訳、一部を仏語原典で読んだとしている。. 読書子の口にの迂るの法大正も半ば、芥州龍之介にい. 私はそれをメリメの﹁カルメン﹂からだと考える. んできたのだろうか。. 3. i 円 ワu.
(12) 1 8 巻 2号 2 0 0 7 . 3 文学・芸術・文化. 心を移すと、亘ぐ何とか非難を受けなければなり. してゐますのに、女性が反対に男性から男性へと、. 女性から女性へと心を移してゐながら、平然と済. の甚だしい我偉だと思ひますの。大抵の男性は、. すなんて、本当に男の暴虐だと思ひますの。男性. ﹁妾さう思ひますのよ。女に捨てられて、女を殺. 言下にさう答へながら、夫人は嬬黙と笑った。. ﹁好きでございますよ。﹂. を見て、ドン・ホセという人物橡を形成していくこと. の視点から、ガイドのアントニオの恐れる素振りなど. あり、焦点化人物はドン・ホセである。読者は︿私﹀. しまう。この場面、視点人物は作者と思しき︿私﹀で. 立て、ドン・ホセにそのことを告げて、ホセを助けて. その後、槍騎丘ハを呼びに馬で走り去ったガイドに腹を. ドン・ホセと一夜をともにすることを決めてしまい、. ︿私﹀はガイドのアントニオの呂配せにもかかわらず、. ン・ホセとめぐり合う場面から始まる。この場面で. わたくし. ませんのですもの。妾、ホセに弼し殺されるカ. となる。. わたくし. ルメンのことを考へる慶毎に、男性の我量と暴虐. よって瑠璃子の悲劇的な最期を読者に予想させ︿物語. 神田はさろにこの時点で、カルメンを出すことに. する。読点人物は前の場面と変わらず︿私﹀だが、焦. てもらいに彼女の家に行き、そこでドン・ホセと再会. 物がカルメンと出会う。氷屋に誘ったのち、占いをし. 次の場面はコルトパである。やはり作者と思しき人. の結末に関するすり込みが読者の意識下でなされてい. 点化人物はカルメンとなっている。ジプシー女と怪し. とを、慎らずにはゐられないのです0 1. る﹀ことを指摘している。卓見だろう。. また、ここで忘れてならないのが、懐中時計という. げな占いの魅力が描かれている。. 果たしてそれだけにとどまるものであろうか。私は、. 小道具である。︿私﹀は音の鳴る金の時計を持っていた。. ただし﹁真珠夫人﹂における﹃カルメン﹂の利用は 菊池寛がこの作品から﹃真珠夫人﹂の視点人物の交代. いと言つては、︿私﹀に時計を取り出すようにしむけ、. カルメンはその時計に興味を持ち、何時か教えてほし. メリメの﹃カルメン﹄は、作者と思しき︿私﹀がコ. その時討を眺めていた。その後、ドン・ホセに追い出. させていく書き方のヒントを得たものと考える。 ルトパ郊外のカチェナの平野をさまよううちに、ド. -28-.
(13) ︿私﹀はドメニコ会修道読を訪れ、神父から、あなた. かけ存うくる結果となる。再び、コルトバにもどった. そのことがさらにドン・ホセと︿私﹀との再会のきっ. ンの子に入らずドン・ホセの手に渡ってしまったが、. る働きをしているということである。時計は、カルメ. は時計という小道旦︿が、カルメンと︿私﹀を結びつけ. を盗む目的で︿私﹀と接点を持ったのであり、つまり. いうこと、つまれソカルメンは︿私﹀の持つ高価な持計. ︿私﹀とカルメンとを結びつけたものが持計だったと. 向けて出発するが、ここで注吾しておきたいことは、. 腹を立てるものの、訴え出ることはせず、セビリアに. すられてしまっていたのである。そのことで︿私﹀は. まさにカルメンのために、次々と罪をおかしてしまう. ことを知り、その夫・片眼のガルシアも殺してしまう。. 輸団に加わることとなる。やがてカルメンに夫がいた. いていることもできず逃げ出し、カルメンとともに密. 刺し殺してしまったために、軍隊にそれ以上、身をお. カルメンが親しそうに話しているのを許せず、上官を. その後ようやく宇獄を出たホセは酒場で自分の上官と. 獄に入れられ、間近であった昇級をふいにしてしまう。. 罪人としてつかまったカルメンを逃がしてしまい、牢. 培、カルメンである。カルメンに魅了されたホセ辻、. も、魅力的で、かつ謎にみちた人物として描かれるの. しい人物としては描かれてはいない。ここで恐ろしく. ホセ自身が語る話であるから、もはやホセは、恐ろ. り、視点人物は、当然のことながら、 その自らの半生. の詩計を盗んだ犯人がつかまったと告、げ知らされる。. という形である。そしてついに、カルメンが自分に内. される形でカルメンの家をあとにした︿私﹀は、時計. 神父は、︿私﹀の持っていた時計を覚えていて、それ. 諾で、関牛士のルカスと会っていたことを知り、激し. を語るホセ自身となる。. がつかまった男の所持品の立かから出てきたことから. い嫉妬にかられたホセ誌、カルメンまでをも殺してし. がなくなってしまっているのに気付く。ドン・ホセに. ︿私﹀が死んだと考えていたのである。. 最後に、小説には︿私﹀によるジプシー研究が加え. 歩でつ。. ドン・ホセ自身の語る半生を開くこととなる。時間は、. られている。ジプシ iはエジプトで発生したものだと. ︿私﹀は囚人となったドン・ホセと再会し、そこで、 ホセが山賊に会る以前、軍人だったころまでさかのま. -29-. 小林 菊池寛『真珠夫人 j の視点人物一一 誰の提点で践めるか.
(14) 1 8 巻 2号 2 0 0 7 .3 文学・芸術・文化. も少なくない。もっともホセの語る情熱的な物語のあ. から加えられたものであり、無駄な部分だという意見. いう説を展開する形になっているが、この部分はあと. 眺め、立体として浮き上がらせようという意図が見ら. の交代によって、ひとりの人物を多角的に、複眼的に. ﹃カルメン﹂から学んだのでは立かろうか。視点人物. また、メリメの﹁カルメン﹄において、ドン・ホセ. れるという共通点から私はそう考える。. た頭を海やされるような心地がする。作者メリメもお. による屈想という形で時間が一戻されたのに呼応するよ. とで、このような学問的な文章に出会うと、熱くなっ そらくは、情熱的な物語を中和するために、この部分. うに、﹁真珠夫人﹄において法﹁そのかみの事﹂以降. の十章分が錯持法により、毘じように持関が一戻されて. を加えたのだろう。 以上、メワメの﹁カルメン﹄を読み返してみると、. れたために人生の道を踏みはずしてしまったものの、. たネセだが、ネセ自身が一語るホセは、嫉妬にわれを忘. では、近寄りがたい、恐ろしい人物として描かれてい. よって、ホセの描かれ方も変化している。︿私﹀の視点. 具合に代わっていく。そしてこの視点人物の交代に. ﹃カルメン﹂では︿私﹀からホセ、再び︿私﹀という. とが浮かび上がってくる。まず視点人物の交代である。. 子の読点が加わったものの、大まかなところでは同じ. まり﹃真珠夫人﹄は、途中に勝手、そして最後に美奈. 再び視点人物になっている点に注目しておきたい。つ. ば信一郎が、錯時法によって語られた部分が終われば. 視点人物に戻るのと同じように、﹃真珠夫人﹄であれ. あれば︿私﹀が、ホセによる回想が終わったのち再び. まぐるしいこと誌確かである。しかし﹃カルメン﹂で. もちろん、﹃真珠夫人﹂の視点人物の交代の方がめ. いる。. 本来は普通の男であったというように描かれている。. ような形で視点人物の交代が行われているのである。. その書き方において﹃真珠夫人﹂との共通点があるこ. ﹁真珠夫人﹂でも毘じように、渥美信一郎から荘田勝. さらに共通点を品、げれ、ば、﹁カルメン﹄において、. ルメンを結びつけたり、ドン・ホセとの再会をう立が. 時計が重要な小道具として機能しており、︿私﹀とカ. 平ヘ、また勝平から瑠璃子へとうつり、再び渥美信一 蕗へ戻り、最後に荘呂美奈子へとうつっていく。 この視点人物の交代を、菊池寛誌、このメリメの. -30-.
(15) したりしたように、﹁真珠夫人﹄においても、渥美信 一郎は青木淳から白金の時計を預かることから、その 持ち主を探して、瑠璃子と出会うのである。 以上の点から、私は﹁真珠夫人﹄において﹃カルメ ン﹄は、その登場人物の造形や、物語の結末を培示さ せるために袈われているだ汁で誌なく、視点人物の交 代や錯時法といった、読者をひきつけるための工夫を 作者に思い浮かばせるヒントになったのではないか、 と考える。 注. )c. ﹃近代文学の成立﹂(有精堂昭和四八年一 一月二 OB)。. i﹂(﹃霞文事﹂事燈社昭和五三年三月号. m 九四真。. 締﹁プロットの力学/大衆小説的主力│干潟地寛﹃真珠夫人﹂の. 戦 略 i﹂(﹃呂本近代文学﹄第五O集 日 本 近 代 文 学 会 平 成. ﹁動毘としての︿読者﹀論i菊池寛﹃真珠夫人﹄現象の琵達. 六年五月)。五九貫。 W 的. 点への軌跡i﹂ ( ﹃E本 文 学 ﹂ 日 本 文 学 協 会 平 成 一 O年二丹 号)。二九頁。. 締注的参昭一。﹁真珠夫人﹄﹁客間の女王﹂一七回頁。. ω 注ω参照。﹁真珠夫人﹄﹁初恋﹂一二八頁。 ω 注∞参照。﹃宣言珠夫人﹂﹁初恋﹂一二六頁。. o. ﹁家の交代制劇 i 菊 池 寛 ﹃ 真 珠 夫 人 ﹄ に お け る 女 主 人 公 i﹂. 鵠 詮 紛 参 熊 。 一 二O頁 MW. (﹁日本近代文学﹄第六九集司本近代文学会平成一五年一. 的﹃大阪華日新龍﹂﹁東京日B新同期﹂(大正九年六月九日i 一 一 一 月二二日)。但し、このあとの引用は、﹃真珠夫人︿注解・考. G月 ) 。. 締﹃真珠夫人︿注解・考察﹀注解・考察編﹄(萄池寛萌究会編. 三三頁。. 服﹃資料と研究﹂(第二輯出葉県立文学館平成九年一月)。. 察﹀本文編﹂(菊池寛研究会編翰林書房平成一五年八月二 ﹃中央公論﹄(大正七年九月号)。. 六日)を用いる。引用頁もそれに顕ずる。. ω. 。この︿立ち聞き﹀という点にお汁る﹃真珠夫人﹂と﹃忠直. 翰林書房平成一五年八丹二六呂)一二三頁。 間注. 勝行状記﹄の類叡牲については、既に浅井清が﹁欲望と争関 の家族謹として﹂(﹁圏文皐﹄皐燈社平成九年一 O丹号)にお. 錨﹁中央公論﹂(大正八年一月号)。. 。注的参照。宣言珠夫人﹄﹁彼女の云分﹂一二回頁。. 結注的参照。宣言味夫人﹄﹁患を第いて﹂一五八頁。. 初期作品とプロスペル・メリメ﹂(日本比較文学会篇﹃激石に. 誤解﹄をめぐって i﹂(﹃ガリア﹂不当昭和睦六年)、﹁激石の. 鵠﹁芥川川龍之介に見るプロスペル・メリメ!﹁秋﹂と﹁二重の. 。 M参 W照. いて指摘しでいる。. 的 た と え ば 駒 沢 喜 美 ﹁ 男 権 へ の 反 逆 者i ﹁真珠夫人﹂の理璃子. -31-. 小林. f 真珠夫人』の視点人物 誰の視点で眺めるか一一菊池寛.
(16) おける東と酉﹂主婦の友社詔和五一年)、﹁妖異の語り方 鏡花とフランス文学﹂(﹁幻想空慢の東西泉鏡花をとおして見 たフランス文学﹄十月社平成一克年)、﹁太宰治とメリメ﹂(﹃太. 一六九貫。. 宰治研究﹂七和泉書院平成二一年二月)主ど。立お引司 法﹁太宰治とメリメ﹂二一一七頁。 鵠注鱒参照。九五頁。. ω参照。﹃真珠夫人﹄﹁魅惑﹂. 的注. -32-. 2 0 0 7 . 3 1 8 巻 2号 文学・芸術・文化.
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