Author(s)
河﨑, 俊一郎; 冨永, 淳; 上原, 直子; 藪田, 伸; 上野, 正実; 川
満, 芳信
Citation
沖縄農業, 47(1): 35-46
Issue Date
2015-02-12
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/21492
沖縄農 業 (J.Okinawaagric.)47(l):35-46(2015) 蘇 芳 窟 文 ■
低
0 2かつ高
CO
2濃度環境下で栽培 した
ホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性
河 崎 俊一郎1・ 2)・冨 永 淳1・ 2)・上 原 直 子1)・薮 田 仲 1)・上 野 正 実1)・川 満 芳 信1) (1)琉球大学農学部, 2)鹿児島大学大学院連合農学研究科)Shun-IchiroKAWASAK Il・2),JunTOMINAGAl・2),NaokoUEHARAl),
ShinYABUTA
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',MasamiUENOl'andYoshinobuKAWAMITSUl': Growth andphotosyntheticcharacteristicsofleaflettuceandspinachgrownunderlow02andhighCO2COnditions
要 約 近年, 日本の各地で植物工場の研究開発が進 め られている.02はC02と同様 に植物の光合 成や光呼吸,暗呼吸に関わる環境要因の一つで あ り,短期的な低0 2処理は光合成速度 を高め ることが知 られている. しか しなが ら,栽培規 模での長期低02処理が及ぼす影響 の知見は十 分ではない.本研 究では, まず短期の低02処 理がホウレンソウの光合成速度 に与える影響 を 調査 し,低02環境下では光合成速度が高まる ことを確認 した.次 に,長期間02濃度および CO2濃度 を制御できるグロースチャンバーを製 作 し,長期の低0 2かつ高
CO
2処理が リー フレ タスおよびホウレンソウの生育および光合成特 性に与える影響を調査 した.その結果,長期間 低02環境で栽培 した植物体は葉面積および比 葉面積 (SLA)が有意に減少す ることが明 らか とな った. また,低02環境で栽培 した植物 の 葉の窒素含有量も有意に低下 していた.さらに, 短期 の低02処理で確認 されたよ うな光合成速 度の増加は確認されなかった.以上の結果か ら, 暗呼吸の低下 によ り窒素吸収が低下 した ことが 生育低下の要因であることが示唆された. 2015年1月20日 受付 2015年1月26日 受理 キーワー ド :暗呼吸,光合成,窒素含有量,比 葉面積,光呼吸 緒 言 現在,地球規模での気候変動や人 口の増加等 の深刻な問題によ り食料の安定的な生産が求め られている. このよ うな状況の中,施設内で環 境 を制御 し,安定的かつ高収量の野菜生産が可 能である植物工場が注 目されている.琉球大学 農学部でも中城村 に閉鎖型のコンテナ式植物工 場 を導入 して実証試験 を2012年度 よ り行 ってい る.植物工場 とは 「植物の生育環境を制御 して 栽培を行 う園芸施設のうち,環境および生育の モニタ リングを基礎 として,高度な環境制御 と 生育予測 を行 うことによ り,野菜等の植物の周 年 ・計画生産が可能な栽培施設」 を言 う (農商 工連携研 究会, 2009).要す るに,栽培環境 を 野菜の生育に最適な環境に制御することによ り, 年間を通 じて安定的な生産 を行 うことのできる 栽培施設の ことであ り,施設外の環境 に依存す ることな く栽培が行 えるため,厳 しい気候環境 の地域 において も野菜の栽培が可能 となる. 完全閉鎖型 と呼ばれる植物工場 においては,一般的に光強度や光質,大気や養液の温度,湿 度や CO2濃度 が コ ンピ ュータ制御 によ り自動 で調節可能 となっている.現在,完全閉鎖型植 物工場 で は高 CO2環境 (1,000-1,500JJmOl mol-1)での栽培が多 くな されてお り, これは 光合成速度 を高め生育期間短縮および収量増加 を 目的 とした ものである (古在, 2012). CO2 濃度 に限 らず,環境を対象植物 に合わせて変え ることによ り,収量の増加や栽培期間の短縮化, または機能性成分の付加な どが見込めることか ら,環境要因 と野菜の生育 との関係 を詳細に理 解す る必要がある. 02濃度 は光合成,光呼吸および暗呼吸 に関 わ る 重 要 な 環 境 要 因 で あ る . Fo汀eSterら (1966)は,短期的な低 02処理実験 によ り 1% 02環境下では光呼吸が抑制 され,光合成速度 が 高 ま る こ と を 明 ら か に し た . ま た , Quebedeauxと Hardy (1975)は長期 間 5%02 環境下で栽培 を行 うと
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。植物では乾物重が 増加することを明 らかにした. しか し一方で, 5%02環境下で栽培 を行 ったダイズでは子実収 量が減少する結果 を示 している.また,複数の 研究者が長期間低 02環境下で栽培 を行 うと, 葉面積展 開が抑制 され る ことを指摘 して いる (福山 ら,1974ab,1975;武田ら,1978;Iwabuchi ら,1996).このよ うな低 02濃度 に対す るネガ ティブな反応 の要因として,暗呼吸の抑制が考 え られ るが, 明期のみの低 02処理 にお いて も 葉面積の低下が認め られることか ら,暗呼吸系 以外への影響も示唆されている (武田ら,1978). さらに,近年では地球外施設 (例えば,スペー スステーシ ョン)での植物栽培 も現実味を帯び てきてお り,そ の研 究が活発化 して いる (He ら,2007).地球外の環境 においては,02濃度 が地球上に比べ低 いため,その制御が必須であ り 02濃度 に対す る植物の反応 を詳細 に知 る必 要がある.以上のよ うに, これまで制御が行わ れて こなか った0 2濃度 に対す る植物 の応答へ の理解が求め られる. 本研究では, まず これ まで報告 されている短 期 の低 02処理 による光合成反応 を確認す るた め,ホ ウレンソウを用 いて短期的な0 2処理実 験 をお こなった.次 に,長期 の 02および CO2 制御実験を行 うために特殊なグロースチャンバー を開発 し,長期の低 02かつ高 CO2処理が,ホ ウレンソウとリーフレタスの光合成特性および 生育に与える影響を明 らかにすることを目的 と し実験 をお こなった. 材料および方法 1.低 02濃度の短期処理 におけるホ ウレンソ ウのガス交換速度測定 光 合 成 速 度 の 測 定 に は ホ ウ レ ン ソ ウ(
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を供試 した.種子 を水で湿 らせたキムタオル上に播種 し,暗所の人工気象 栄 (LH-200,NK System)内で 2日間発芽 さ せた.発芽 した種子 をウレタ ンキ ューブ (2.0 Ⅹ 2.0Ⅹ 2.5cm)に移植 し,水で 5日間,演 肥 (Hyponica,KYOWA)で さ らに 7日間育苗 した.育苗 中の人工気象器内の温度は21℃,光 量子束密度 (PFD:PhotonFluxDensity)は 白 色蛍光灯 を用 い200JJmOlm-2S-1とし, 明暗期 はそれぞれ12時間に設定 した.育甫後,正常に 生 育 した苗 を栽 培 棚 に移 植 し, 同様 の液肥 (pH 6.3,EC 1.30 mS cm-1)で21日間栽培 した. 液肥 の組成は450mg L-1NO。-N, 10.1 mg L-1NH4-N,40.9mg L-1p, 169.4mg L-1 K,68.3mgL-1ca,18.6mgL-1Mg,0.52mg L-1Mn,0.41mgL-1B,and 1.54mgL-1Fe であった.栽培棚 の光源 には赤青 LED (赤 : 育 - 3:1,Civilight)を用 い,PFDは 250FLmOl m-2S-1とした.室温は21℃ であった.21日後河晴ら :低02かつ高CO2濃度環境下で栽培したホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性 37 に正常に生育 した個体 をガス交換速度の測定 に 用いた. ガス交換速度の測定は開放型ガス交換速度測 定装置を用いて行 った.装置の詳細はFukuzawa ら (2012)に記載 されている通 りである.光合 成速度の測定後,測定部位 を切除 し葉面積の測 定 (L1-3100, Li-Cor)を行 い, 光合成速度 の 結果 を補正 した. HLightcuⅣe"の測 定 を 2%お よび21%02 濃度で行 った.正常に生育 した異なる4個体 を 各02濃度での測定 に用 いた.02濃度は空気 に 99%N2ガ スを混和 させ る ことで制御 し,赤外 線式ガス濃度測定装置 (CGT-7000,Shimadzu) を用 いてモニタ リング を行 った.測定は PFD 98.5FLmOim-2S-1か ら 6段階 に分 けて上昇 さ せ,最終 PFD 1,738.4FLmOlm-2S-1とした. 測定 中の同化箱 内の温度 は25±0.5℃, CO2濃 度は400±20FLmOlmol-1に制御 した.結果は, Mann-WhitneyUtestによ り 5%水準で有意差 検定 を行 った. 2.低酸素チ ャンバーの開発 図 1に 02および CO2濃度制御 による長期間 の栽培実験 を行 うために製造 したグロースチャ ンバーのシステム図を示す.本チ ャンバーには 02濃度を自由に変えることのできる H低 02室" と,標準大気 の 02濃度 (約21%) で栽培 を行 う H標準室" の 2重 を設けた.1室のサイズは W 1,800Ⅹ D 1,000Ⅹ H 1,800mmであ り, 建材 には断熱性に優れた厚 さ4.2cmの断熱パネ ル を使用 し,芯材には硬質ウレタンフォームが 用 いられている.栽培は循環式の養液水耕栽培 で行われ,光源 には赤青 LED (赤 :育-3:1, Civilight)を用 いた. 温度 は室 内型 エ ア コ ン (CS-F222CZ-W,Panasonic)で制御 し, CO2濃 度は CO2制御装置 (COC-1,EspecMic)にて CO2ボ ンベを使用 して制御 した. 本チ ャンバーの特徴 として,N2ガ スボ ンベ を使用せず に0 2濃度 を長期間制御できる点 に ある.通常,長期間の 02濃度制御栽培実験 を 行 う際には多量の N2ガスボ ンベが必要 となる. 本チャンバーでは,空気か らN2ガス と 02ガス [二二:コ
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M-410A,Ube lnd)を備 えた,N2ガ ス発生装 置 を用 いることで 02濃度 を長期間安定的に制 御 した.N2ガス発生装置はタイマー にてON/
OFF制御が可能である.
各室には CO2(TR 9294,AirTest),室温 (T 型熱電対),相対湿度 (HMP45D,Vaisala)セ ンサーが備え られてお り,低 02室 には 02セ ン サー (FCXIMVLF,Fujikura)も備え られてい る. これ らの環境データはデータロガ- (DA1 100,Yokogawa)に10秒間毎 に集積 され, コン ピ ュータにてモニタ リング した. なお, 低 02 は人体 にも影響を与えるため,安全 を考慮 し, 低 02室の ドアは 02濃度18%以下では 自動 ロッ クが掛かるよ うに設計 されている. 3.栽培方法 栽培実験 にはホウレンソウとレッ ドリーフレ タス (LactucasalivaL.var.crispa)の 2種 を 用いた.ホウレンソウの育苗は上記のガス交換 速度 の測定 と同様 に行 った.播種か ら14日後, 苗 を育苗用の栽培棚 に移植 し,栽培実験 まで 7 日間液肥 を用 いて育苗 した.育苗棚 の温度は21 ℃,PFDは赤青 LEDを用 いて250FLmOlm-2S-1 とした.レッ ドリーフレタスは,ウレタンキュー ブに播種 し,人工気象器内で水で 7日間,続 い て液肥で 7日間栽培 した.人工気象器内の栽培 環境はホウレンソウと同様であった.播種か ら 14日後,苗を育苗用の栽培棚 に移植 し,栽培実 験 まで14日間液肥 を用 いて育苗 した.育苗棚 の 温度 は21℃, PFD は蛍光 灯 を用 いて250JJmOl m-2 S-1とした. 低 02かつ高 CO2環境下での14日間の栽培処 理を行 った.上記の方法で栽培 したホウレンソ ウとリー フレタスを,各処理区24,40個体ずつ 移植 し栽培 を開始 した. 低 02室 の 02濃度 は 3% (低 02区),標準室の 02濃度は21% (標準 区) とした. 両室 とも CO2濃度 は1,500FLmOl mol-1,室温は21℃,PFDは250FLmOlm-2S-1と した. 明暗期はそれぞれ12時間 (明期
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-18:00)で行 った.低 02処理は明期のみ行 い, 暗期開始 の18:00には N2ガ ス発生装置は停止 させた. しか しなが ら,02濃度 を 3%まで再度 低下 させ るの に約3時間かか る ことか ら,N2 ガ ス発 生装置 の始動 時間は 明期 開始3時間前 (3:00)とした. CO2制御 装置,養液循環ポ ンプ,養液エア レーシ ョンも明期の間のみ稼働 させた. 3.ガス交換速度測定および生育調査 14日間の処理終了後,各処理区か ら平均的な 1個体 を選び,携帯型光合成測定装置 (LL6 400-40LCF,Li-Cor)を用 いてガス交換速度 および クロロフィル蛍光の測定 を行 った.測定に使用 す る葉面積は 2cm2であった.LightcuⅣeの測 定 を 3%および21%の 02濃度 で行 い, CO2濃 度は1,500FLmOlmoi-1,温度は21℃,湿度は露 点発生装置 (LL610,Li-Cor)を用 いて60-70 %で制御 した. また, ホ ウ レンソウは CO2濃 度400FLmOlmol-1での測定 も行 った. 14日間の処理終了後,ホウレンソウとリーフ レタスの各処理区か ら6個体 と 8個体 をそれぞ れ収穫 し生育調査 に用いた.各個体 を地上部 と 地下部 に分け,葉数,葉面積,新鮮重の測定を 行 った.地上部 と地下部は80℃ の乾燥機 内で 3 日間乾燥させた後,乾物重の測定 を行 った.乾 物重の測定後,サ ンプル を粉砕 し,粉末サ ンプ ル25mgをNCアナライザー (NC190A,Shimadzu) を用いて全窒素 ・炭素含有量の測定に供試 した. 結果 は,Mann-Whitney U testによ り5%水準 で有意差検定を行 った.河晴ら :低02かつ高
CO
2濃度環境下で栽培したホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性 39 結果および考察 1.低 02濃度の短期処理 におけるホ ウレンソ ウのガス交換速度 2%02で測定 したホウレンソウの光合成速度 は21%02で測定 した値 に比べ有意 に高 まって いた (図 2).2%および21%02の光飽和点は ともに1,000JJmOlm-2S-1よ りも高 い値であっ たが,本実験 における光合成の最大速度は 2% 02が27.OJJmOlm-2S-1, 21%02が 19.8JJmOl m-2S-1と 2%02が高か った.低 02条件下で 5 0 5 0 5 0 50
3 3 2 2 1 1 ( 」 .s N .∈ 一O uJ r1 ) 世 増 唱 和米
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。植物 の光合成速度 が高 まる ことはすで に知 られている(
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のオキ シゲネーシ ョン反応 を始点 とす る光呼吸系が抑制されることで,光呼吸系での 炭素の放出およびエネルギーの消費が抑え られ た ことによ り,炭素固定効率が高まるためであ る.本研 究 において も,低 02条件下でホ ウレ ンソウの光合成速度が高まった ことか ら,既報 の結果 と一致す る. 500 1000 1500 2000 PFD(LJmOlm12sl1) 図2.短期間的な2%02処理がホウレンソウの光合成速度 (LightcuⅣe)に与える影響. バーは標準偏差を示す. 2.低 02かつ高 CO2環境下で長期間栽培 した 莞野菜の光合成特性 長期間低 02かつ高 CO2環境下で光呼吸を抑 制 した.その結果,1,500FLmOlmol-1C02では, いずれの植物および処理区において も光合成速 度 に差は認め られなかった (図 3).一万,400 FLmOlmol-1C02では,低 02区が標準区に比べ 光合成速度が低下する傾向が認め られた.光呼 吸は高 CO2環境下 で も抑制 され る ことが知 ら れている.そのため,1,500FLmOimoi-1co2条 件で測定 した場合, 02濃度 に関わ らず光呼吸 が抑制 されているため,光合成速度 に差が生 じ にくかった と推察 される. 一万,400FLmOlmol-1C02では CO2濃度 によ る光呼吸の抑制は生 じてお らず,02濃度 によ る影響 を強 く受けていた と言える.実際に,低 02区,標準区 ともに 3%02で測定 した光合成 速度 が21%02よ りも高 くなる傾 向を示 し,光 呼吸が抑制 されていた と推察 された. しか しな が ら,興味深 い点 として,低 02区のホウ レン◆ 低02区(3%02測定
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● 低02区(21%02測定) ◇ 標準 区(3%02測定)
○ 標準 区(21%02測定).
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12sll) 2000 図3.低 02かつ高CO2環境で栽培されたリーフレタスとホウレンソウの光強度の変化に対する光合成 速度反応. 上図 :リーフレタス(CO2濃度1,500JJmOlmol-),中図 :ホウレンソウ(CO2濃度l,500JJmOlmol-), 下図 :ホウレンソウ(COZ濃度400〃molmol'). ソウの光合成速度は標準区の光合成速度 に比べ 著 しく低下 していた. この要因 として, まず暗 呼吸の抑制が考え られ る.本実験では,暗呼吸 を抑制 させな いよ う暗期 にはN2ガ ス発生装置 を停止 していた. しか し,低02室内の 02濃度 は暗期には増加す るものの最大で10%程度 にと どまってお り,暗期の暗呼吸は少なか らず抑制 され,その結果下記で示すような窒素の吸収 に 影響が生 じた と推察 され る. 気孔 コンダクタンスはいずれの植物および処 理 区にお いて もP
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に関わ らず, ほぼ一定の 値で推移 した (図4).一般的 に,気孔 コンダ クタ ンスは弱光域ではP
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に対 し敏感 に反応 し,強光域で飽和する (Fukuzawaetalリ2012). 本実験 のよ うに, 気孔 コンダ クタ ンスがP
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に反応 しない原因は定かではないが, これ まで河晴ら:低02かつ高CO2濃度環境下で栽培したホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性 41 ◆ 低02区(3%02測定
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● 低02区(21%02測定) ◇ 標準区(3%02測定)○ 標準区(21%02測定)■
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0 図4.低02かつ高CO2環境で栽培された リーフレタスとホウレンソウの光強度の変化に対する気孔コ ンダクタンス反応. 上図 :リーフレタス(CO2濃度1,500JJmOlmol-),中図 :ホウレンソウ(CO2濃度l,500JJmOlmol-), 下図 :ホウレンソウ(COZ濃度400〃molmol'). 琉球大学で行 った実験 によ り,植物工場で栽培 した野菜では本実験 と同様 の気孔 コンダ クタ ン スの結果 が度 々認 め られ て いる (未発表). こ の ことか ら,植物工場 のよ うな水,光,C02が 潤沢 にある環境下で栽培す ることが影響 して い ると推察 され る. また,光合成速度 と同様 に, 400FLmOlmol-1C02では低02区が標準 区に比 べ, 気孔 コ ンダ クタ ンスが低下 して いた.02 濃度 に対す る気孔 コンダ クタ ンスの反応 に関す る知見 はほ とん どな い.今後,詳細 に調べ る必 要がある. 光化学系ⅠⅠの量子収率 (⑳PSII)は1,500FLmOl morlc02では差は認 め られなかったが,400JJ molmol-1C02では低02区が標 準 区 に比べ低 くな る傾 向が認 め られた (図5).この結果 か ら,低02区では光傷害 を受 けて いた可能性が1
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● 低02区(21%02測定) ◇ 標準 区(3%02測定)○ 標準 区(21%02測定)∩
0 500 1000 1500 2000PF
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12sl1) 図5.億
02かつ高COZ環境で栽培されたリーフレタスとホウレンソウの光強度の変化に対する PSII の量子収率 (◎ PSII)反応.上図 :リーフレタス (CO2濃度l,500JJmOlmol-),中図 :ホウレンソウ(CO2濃度l,500JJmOlmol-), 下図 :ホウレンソウ(COZ濃度400〃molmol').
示唆された.ClarkeとJohnson (2001) は低
02
条件下 で の⑳PSIIの低下 を報告 して い る.⑳ PSIIは下記の式 によ り計算 され る.
⑳PSII - qP
・ Fv
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(1)qP (Photochemicalquenching)は光化学系ⅠⅠ か ら光合成および光呼吸へ流れた電子 の割合,
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■は測定光 照射時 におけ る光化学 系ⅠⅠの 量子収率 を示 して いる. この式か ら,⑳PSIIの 低下 の要 因はqPの低下つ ま り光化学系ⅠⅠ以 降 の抑制 によるか,Fv
■
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■の低下つ ま り光化学 系ⅠⅠ自体 の抑制 によるものか を推測す る ことが で き る. そ の結果,qP,Fv
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■ともに低0 2 区が標準区に比べ低 くな る傾 向が認め られ,電 子伝達系だけでな く,それ以降の光合成や光呼河晴ら:低 02かつ高CO2濃度環境下で栽培したホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性 43 吸の代謝 が低下 して いる ことが示唆 され た (図 6). しか し, 本 実験 で は これ 以 上 の詳 細 な検 証は行 って いな いため,傷害 の生 じて いる過程 やそ の要 因に関 しては 明 らかでな い.光 呼吸系 の役割や存在意義 につ いては研 究が進 め られ て いる ところではあ るが,役割 の一つ として強光 環境下 のよ うな過剰 なエネルギ ーが発生す る状 況 にお いて,そ のエネルギ ー を消費 し光 傷害 を 緩 和 す る 役 割 が 指 摘 さ れ て いる (Kozakiと
d
b.∈
」
\ ゝ 」 0 8 6 4 2 0 0 8 6 4 2 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 Takeba, 1996). この ことか ら, 光 傷害 が光 合 成 を阻害 して いる ことが考 え られ る. 3.低02かつ高CO2環境 下 で長期 間栽培 した 莞野菜の生育 および炭 素 ・窒素含有量 ホ ウ レンソウ, リー フ レタス ともに低0
2環 境下で栽培 した植物体 の葉面積 は標準 区の葉面 積 に比べ有 意 に低 下 して いた (表1
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. また, ホ ウ レンソ ウで は低02区の新 鮮 重 も標 準 区 に√
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㌔転 .
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● 低02区(21%02測定) ◇ 標準区(3%02測定)○ 標準区(21%02測定)等
竃 岩 喜
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2S1) 図 6.億 02かつ高COZ環境で栽培された リーフレタスとホウレンソウのCOZ濃度400〃molmol'測 定時における光強度の変化に対するPhotochemicalquenching (qP,上図)および測定光照射時 における光化学系ⅠⅠの量子収率 (Fv●/Fm-,下図).表1. 14日間の低02かつ高CO2処理がホウレンソウおよび リ-フレタスの生育に与える影響.
作 目 処理 区 葉数 葉 面積 新 鮮 重 美 乾 物 重 根 乾物 重 SLA (枚plant1) (cm2plant1) (gplant1) (gplant1) (gplantll) (cm2mg 1)
ホウレンソウ 低0
2
区 16・3 155・7 11・3 1・62 0・27 0・10 (∩=6) 標 準 区 17.8 390.8★★ 31.3★★ 2.05 0.50 0.20★★ リーフ 低02
区 レタス (n=8) 標 準 区 17.4★★ 395.8 20.0 0.98 0.21 0.43 13.3 476.5★ 23.3 0.84 0.20 0.57★ ★, ★★は5, 1%水準で有意差を示す.(MWU test)比べ有意 に低下 してお り,生育が抑制 されて い た.一方, リー フ レタスの葉数は低0 2区が標 準 区 に比べ有意 に多か った. これ は,低02区 では未発達の葉が多 く存在 していたためである. 一方,葉および根乾物重は両植物 とも処理区間 に差は認 め られなかった.葉面積 に差がある一 方,葉乾物重 に差がなかった結果か ら,比葉面 積
(
S
L
A)
は低02区が標 準 区 に比べ有 意 に低 くな った.S
L
A
は葉 の厚 さの指標 とな る こ と か ら,低0 2区では葉が厚 くな って いる ことが 示唆 された. 低02環境下 で栽 培 した植物 にお ける葉面積 展 開の低下 は,複数 の研 究者が C。植物 を用 い た実験 によ り指摘 して いる (福 山 ら, 1974ab, 1975;武 田 ら, 1978;Iwabuchietal" 1996). また,武 田ら (1978)はC4
植物 を用 いた実験 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 3 2 1 0 0 0 0 0 0 6 5 4 3 2 1 (N .∈ 6 ∈ ) 叫 仲 如 催 洲 緋 (∼ .∈ 6 ∈ ) 叫 仲 如 傭 堪 緋 にお いて も,C
。植物 と同様 に葉面積 展 開の低 下 が認 め られ る ことを示 した.そ してC4植物 はC
。植物 とは異な り,C4
回路 によ り維管束小 細胞 内のC02の濃縮 を行 うことによ り光 呼 吸 を抑制す る ことか ら,葉面積展開の低下は光呼 吸 に関係な く生 じる と結論付 けて いる. 次 に,単位葉面積 あた りの窒素含有量および 炭素含有量 の結果では,窒素含有量では処理区 間 に差は認 め られなかったが,炭素含有量は両 植 物 と もに低0 2区が有 意 に高 い値 を示 した (図 7).Priestlyら (1988) も低02による葉面 積 の低下 と,同時に可溶性糖 の多糖類への変換 比率 を低下 させている点 を指摘 している. この ことか ら,低0 2葉 内 には糖 が蓄積 して いる可 能性が考 え られ る. また,単位乾物重 あた りの 窒 素含有量 は両植物体 とも低02区が有意 に低 ホウレンソウ リーフレタス 図7.14日間の低 02かつ高COZ処理がホウレンソウ (n=6)およびリーフレタス (n=8)葉の窒素,炭素 含有量 に与える影響. バーは標準偏差を示す.★は5%水準で有意差を示す.(MWUtest)河晴ら :低02かつ高CO2濃度環境下で栽培したホウレンソウおよびリーフレタスの生育および光合成特性 45 い値 を示 してお り,窒素吸収の阻害が示唆され た (デ ータ略). 窒素吸収が阻害 され る と葉 の 厚化 が生 じる ことが知 られ て いる (Larcher, 2003).窒素吸収 には他 の養分吸収 と同様 にエ ネルギーが必要であ り,そ のエネルギーは暗呼 吸 に依存 して いる. この ことか ら,低0 2によ る暗呼吸の低下が窒素吸収 を阻害 し,葉 の厚化 が生 じた と推察 され る. 謝 辞 本研究は沖縄振興特別推進交付金 の一部 によ り行 われた.本研 究 を取 り纏めるにあた り多 く の助言 を下 さった鹿児 島大学農学部 山本雅 史 准教授, 鹿児 島大学大学 院連合農学研 究科
J
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Thanankom 氏, 渡遥健太 氏 に厚 く御 礼 申 し 上げる. Abstract The number ofcompletely closed-type plant factorieshasbeengrowingremarkablyinJapan. CO2enrichmentisacommon methodfori n-Creaslngthenetphotosynthesisinsuchclosed plantfactories.Theresponsesofleafphotos yn-thesisto O2COnCentration in C3Plantshave a lsobeenrecognizedasanimportantenviro n-mentaHactorregulatlngPhotosynthesis.Inthis study,丘rstly,wemeasuredphotosyntheticre -sponsestoacutechangeof02COnCentrationin splnaChandcollfirmedthatthephotosynthetic ratewasenhancedbyshort-term exposureto low O2COnCentrations.Next,a new growth chamberwasdevelopedinordertodetermine theeだectsoflong-term exposuretolow 02and highCO2COnditionsongrowthrateandphoto -synthesisinleaflettuceandsplnaCh Leafarea andspeci丘cleafareaofplantsgrown at3%02 were slgni丘Cantly lowerthan those ofplants grown at21% 02inleaflettuceandsplnaCh Moreover, total nitrogen content of plants grown at3%02WasSlgni丘Cantlylowerthan thatofplantsgrown at21% 02.From the presentresults,ltisthoughtthatthedecrease ingrowthratewascausedbyadecreaseinni -trogenaccumulationrelatedtodarkresplration. 引用 ・参考文献 Clarke,∫.E.and G.N.Johnson 2001.1n vivo temperature dependence of cyclic and pseudocyclic electron transport in barley. Planta212:808-816. Fo汀eSter,M.L,G.Krotkov and C.D.Nelson 1966.Eだectofoxygen on photosynthesis, photoresplration andresplration in detached leaves.I.Soybean.PlantPhysi01.41:4221 427. 福 山正 隆 ・武 田友 四郎 ・谷 山鉄 郎 1974a.醍 素濃度が作物 の光合成および生育 におよぼす 影響.第 1報 数種 の生育温度下で の小麦 と 水稲 の生育 におよぼす酸素濃度 の影響. 日作 紀 43(2):267-277. 福 山正 隆 ・武 田友 四郎 ・前 田均 1974b.酸素 濃度 が作物の光合成および生育 におよぼす影 響.第2報 光呼吸制御 と葉面積展開 との関 係.日作紀 43(3):453-461. 福 山正 隆 ・武 田友 四郎 ・大城正市 1975.酸素 濃度 が作物の光合成および生育 におよぼす影 響.第3報 長期間の低酸素濃度処理が大麦 の生育 におよぼす影響. 日作紀 44(1):1-6. Fukuzawa,Y, J.Tominaga, K Akashi,S.Yabuta,M.Ueno and Y.Kawamitsu 2012. Photosynthetic gas exchange characteristics inJatroPha curcas L PlantBiotechnoiogy
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