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障害児通所支援を利用する医療的ケアが必要な重症心身障害児の成長に関する母親の認識 −2名の母親の語りから−

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 日本重症心身障害学会誌第 43 巻 3 号 507 〜 514(2018) 

507

1)横浜市立大学 医学部看護学科 学生 2)横浜市立大学 医学部看護学科 看護師 3)横浜市立大学 医学部看護学科 助産師 連絡先 〒 236 − 0004 神奈川県横浜市金沢区福浦 3 − 9 看護教育研究棟 618 横浜市立大学 医学部看護学科 (伊藤千尋) (受付日:2018.3.12,受理日:2018.7.23) 要約 幼児期の医療的ケアが必要な在宅重症児の母親が、障害児通所支援を利用したことによる子どもの成長発 達をどのように感じているのか、母親の認識を明らかにすることを目的として、在宅重症児の母親2名に半 構造化面接を行った。その結果、【子どもの伝えたいことが伝わるようになってきた】【子どもが人との交流 を楽しめるようになった】【子どもが通園を楽しみながら成長している】【いろいろな方法で家族が子どもに 関われるようになってきた】【専門職の手を借り、施設ではいろいろな体験ができるようになってきた】とい う成長への認識が示された。母親は、医療ニーズの高い重症児でも専門職により安全性が確保されれば成長 を促すことができると認識していることが明らかになった。 キーワード:障害児通所支援、医療的ケア児、母親の認識 療的ケアが必要な重症児へのきめ細かな対応とし て、居宅や保育所等でも発達支援が受けられるよう な整備を進めることが定められた4) 幼児期の子どもは周囲との関わりの中で認知や 社会性が発達する時期であり、重症児においても家 族以外の人と関わることは子どもの成長の上で重 要である。重症児の母親は子どもの成長発達につい て在宅生活を作り上げていく中で取り組み、我が子 なりの成長発達の喜びを感じていることが示され ている5)。しかし、重症児が幼児期の場合、母親は家 族間の役割を調整しながら子育てをしなければな らず、子どもの日常生活援助とともに体調管理を行 う難しさがあることが示されている6)。特に、医療 的ケアが必要な在宅重症児の母親においては、子ど もの成長に合わせた支援が必要と感じながらも呼 吸器などの医療機器があることで成長発達への可 能性を見出すことや取り組む困難さを感じており7) 成長発達への支援が課題となっている。 在宅超重症児の成長発達に関する先行研究では、 通園施設等に通うことでスキンシップや音楽遊び、 感覚遊びが体験でき8)、子どもに自発的な動きがみ られるようになるなど9)の発達が促される様子が報

症例報告

障害児通所支援を利用する医療的ケアが必要な

重症心身障害児の成長に関する母親の認識

− 2 名の母親の語りから−

伊 藤 千 尋1)  佐 藤 朝 美2 )  廣 瀬 幸 美3 ) Ⅰ.はじめに 医療の進歩により医療的ケアが必要な重症心身 障害児(以下、重症児)は増加傾向にあり1)、障害児 通所支援(児童発達支援、医療型児童発達支援、放 課後等デイサービス、保育所等訪問支援)の合計利 用者数は、平成24年度の約90,000人から平成26 年度には約130,000人と増加している2)。しかし平 成27年障害児通所支援(以下、通園施設)における 医療的ケア実施施設数は24.6%にとどまり3)、医療 的ケアを必要とする重症児の利用は限られている 現状にある。これらを踏まえ、「障害者の日常生活 及び社会生活を総合的に支援するための法律」およ び「児童福祉法」の一部改正では、平成30年より医

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告されている。しかし、幼児期の医療的ケアが必要 な重症児において、通園施設を利用したことにより 子どもの成長をどのように感じたのかという母親 の認識は明らかにされていない。学童期の重症児を 養育する母親では、特別支援学校に子どもが通学し たことで子どもの生活にリズムができ、学校での活 動を通して自分の意思も伝えられるようになり、通 学の大切さを母親が認識した結果、子ども主体の生 活へと関わりが変化したことが明らかにされてい る10)。このことから、通園施設を利用する医療ニー ズの高い重症児の成長をどのように感じていたの かという母親の認識を明らかにすることで、成長発 達への関わりを困難に感じる母親への支援が検討 できるのではないかと考えた。 そこで、本研究は、幼児期の医療的ケアが必要な 在宅重症児の母親が通園施設を利用したことによ る子どもの成長をどのように感じているのか、母親 の認識を明らかにすることを目的とする。 Ⅱ.方法 1.研究デザイン 質的記述的研究 2.用語の定義 成長:母親が認識する児の形態的変化の成長と身 体機能や心理・社会面の発達について、母親の視点 から成長とした。 3.研究参加者 通園施設を利用して1~2年程度経過し、現在定 期的に(週1回以上)利用している幼児期の医療的ケ アが必要な在宅重症児の母親とした。 4.調査期間 2017年6月~2018年1月 5.データ収集方法 子どもの成長への認識について半構造化面接を 行った。面接はガイドに基づいて、通園施設を利用 して子どもの成長をどのようなときに感じたのか、 子どもの成長としてどのような変化がみられたと 感じているのか、について行った。面接日時は研究 参加者の希望に合わせ、面接時間は約30分とし、面 接場所はプライバシーを考慮し個室で実施した。面 接内容は研究参加者の同意を得て録音した。 6.分析方法 データ分析は質的帰納的に分析を行い、①録音内 容から逐語録を作成し内容を把握、②逐語録にした データを、参加者の「通園施設に通い、子どもの成 長をどのように感じているのか」という認識を示す 語りをコード化、③類似性・相違性を考慮して分類 しサブカテゴリー化・カテゴリー化した。分析の過 程では、妥当性を高めるためにメンバーチェックを 行い、小児看護の質的研究に携わる教員のスーパー バイズを受けた。さらに結果を研究参加者に確認 し、分析の妥当性を確保した。 7.倫理的配慮 研究参加者に研究目的、内容、倫理的配慮、研究 協力の自由意思、個人情報の保護、データの破棄方 法等について書面および口頭で説明し、記名にて同 意を得た。本研究は所属機関の倫理審査委員会によ る承認を受けた(承認番号:A160324045)。 本研究に関する利益相反はない。 Ⅲ.結果 1.研究参加者の概要 研究参加者は、通園施設を利用する重症児の母親 2名。いずれの重症児も幼児後期であり、利用期間 は3年、現在の利用回数は4~5回/週。重症児は 大島分類1にあたり、必要とする医療的ケアは気管 切開、吸引、胃瘻であった。 2.結果 母親の語りより、幼児期の重症児が通園施設を利 用することによる子どもの成長について、141コー ド、22サブカテゴリーから、5つのカテゴリーが抽 出された。文中の【】はカテゴリー、<>はサブカテ ゴリーを示し、その内容を記述する。 1)【子どもの伝えたいことが伝わるようになってき た】 母親は通園する前は、子どもは泣くか無表情で反 応がわかりにくいと感じていたが、通園してからは 表情がすごく豊かになり感情の変化がわかるよう になったと語った。たとえば、笑い方は大笑いやニ ヤっと笑う、かすかに笑うなどがみられ、怒り方は グズグズしていたり身体に力を入れたりするなど、 <いろいろなパターンの表情が出て、自己表現をす るようになった>と感じていた。このような子ども の反応の変化をみて、母親は、詳しくはわからない が表情の変化でだいたい把握したり、本人が動かそ うとしているかわからないが手足の動きを一応返

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事代わりだと思うなど、子どもの伝えたいことを理 解する難しさを感じながらも、<少しの反応を手が かりに子どもとやりとりできるようになってきた> と感じていた。 また、通園施設では、おもちゃの音が止まると子 どもが声を出して先生を呼んだり、家では母親が きょうだいの世話をしてあまり関わってあげられ ないと、子どもは嫉妬した様子で泣いて怒ると語 り、<人との関わりを求めて、自己主張をするよう になった>と感じていた。 さらに、母親は通園するまで家族以外の人に子ど もの反応はあまり気づいてもらえないと思ってい たが、母親以外の人も表情がわかるようになったこ とがすごいと語っていた。通園施設の帰りに子ども が靴を履きたがらない様子を見た看護師が、“楽し すぎて帰りたくない?”と言ってくれたことに“す みませんわがままで”と子どもの様子について周囲 の人と会話を交わせるようになり、<母親以外の人 も子どもの表情などに気づき、共有できるように なった>嬉しさを感じていた。 2)【子どもが人との交流を楽しめるようになった】 通園するまでは人見知りが強く、母親が一緒じゃ ないとどこにも行けなかったが、毎日通園すること で子どもは施設の人や場所がわかり、安心して過ご せる場だと理解できるようになったと母親は語っ た。以前は子どもがひとりで過ごすことは不安だっ たが、親と離れても泣かなくなり、慣れてきた人に 笑顔を見せ、<母親と離れて過ごせるようになった >と感じていた。 また、家では子どもと二人きりで子ども同士の関 わりは一切持てなかったが、通園施設では同年代の 子どもや多くの人と関わることができ、他の子ども にも興味がある様子がみられるなど、<通園では同 年代の子どもや先生との交流により、周囲の人に興 味が出始めた>と認識していた。さらに、人との交 流では、大人が関わると甘えているようにみえ、子 ども同士では素で接していて少し違うようだと感 じ、母親といるときとは異なる子どもの反応に成長 を感じたと母親は語った。通園施設では他の子ども をニコニコしながら見たり、家ではきょうだいが声 をかけると“お母さんよりお兄ちゃんの方がいい” とばかりに嬉しそうな表情の子どもをみて、<子ど も同士の世界を楽しむようになった>喜びを語っ た。 3)【子どもが通園を楽しみながら成長している】 通園施設では、感覚遊びや楽器遊びなどの初めて の体験や、身体を大きく動かすブランコなどの家で はできない体験ができる。母親は、今までできな かった体験をしている子どもの姿に成長を感じ、通 園は経験の幅を広げるためにすごく大事だと認識 し、<通園では家ではできない経験ができる>と 語っていた。いろいろな人が子どもに触ることや感 覚刺激プログラムを通して、以前は感覚が過敏だっ た子どもが人との接触を楽しめるようになり、<手 足に人や物が触れることを楽しめるようになった> ことにも成長を感じていた。 また、母親は気管切開をしている子どもを動かさ ない方が良いと思い、家では身体を使う遊びを行お うとしなかったが、通園施設ではプールにも入って 楽しんでいる子どもを見て普通の子どもと同じで 楽しいんだと思い、<今まで体験したことのない 身体を使う遊びを子どもが楽しんでいる>驚きを 語っていた。 さらに、通園施設で同じことを繰り返し体験する ことで、子どもは次に行うことがわかってきたと母 親は語った。たとえば、歌うときに使うパネルを出 すと歌が始まることがわかるようで、ニコニコして 声を出すようになり、<繰り返しの体験で次に起こ ることを期待するようになり、自ら遊びを楽しんで いる>ことも大きな変化の一つだと感じていた。 母親は、これまで子どもの身体が大きくなるにつ れて同年代の子と比べてできないことが増えると 感じ、子どもの成長に思いが及ばず、なんで生きて いるのか、何を楽しみにしていけばいいのかとひと り悩んでいたが、通園を始めてから子どもの表情が 豊かになったことに驚いたと語った。さらに、子ど もが変化することは周囲の人だけではなく子ども も嬉しいと思うと語り、<子どもに通園を楽しむ 様子がみられるようになった>ことを活き活きと 語った。 また、母親は、子どもが通園することを楽しんで いることだけではなく、通園するために一定の時間 に睡眠や食事をとり、通園することで昼間は活動し て夜はまとまって眠れるようになり、<通園により 生活リズムが整った>ことも子どもの成長である と捉えていた。

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カテゴリー サブカテゴリー   主要なコード 子 ど も の 伝 え た い こ と が 伝 わ る よ う に な っ て き た いろいろなパターンの 表情が出て、自己表現 をするようになった 表情がすごく豊かになり、感情の変化がわかるようになった 大笑い、ニヤっと笑う、かすかに笑うパターンが増えた 怒り方もいろいろあり、グズグズしているときや、キーっと体に力を入れて怒る時もある 少しの反応を手がかり に子どもとやりとりで きるようになってきた 詳しくはわからないが、言葉が出ないので表情の変化をみてだいたい把握している わかりやすいのは手足の動きだが、本人が動かそうとしているかわからない ビョーンってビックリしたり、何かしようとして力が入るのが一応返事代わりだと思っている どれだけ本人が認識しているかは分からないが、やってみている 表情は嬉しいのか悲しいのかわからないが、ご飯なんだ、わかったよ、みたいな感じになる 人との関わりを求めて、 自己主張をするように なった 先生が少し離れている間におもちゃの音が止まったりすると、声を出して先生を呼ぶ姿がみられる 関わってあげられないと、少し嫉妬するのか泣いて怒ることがある 通園が始まってから、自己主張をするようなところが出てきた 母親以外の人も子ども の表情などに気づき、 共有できるようになっ た 家族以外に気づいてもらえるのはあまりないと思っていた 通園から帰る時に靴を履きたがらない様子を「楽しすぎて帰りたくない?」と看護師が言ってくれた 子どもの表情や行動を話題に周囲の人と会話できるようになれた 私以外の人が見ても表情がわかるようになったことがすごいと思う 子 ど も が 人 と の 交 流 を 楽 し め る よ う に な っ た 母親と離れて過ごせる ようになった 今もそうだが、昔は人見知りが強かった 初めての人に対してすごく構えてしまい、母親が一緒じゃないとどこにも行けない感じだった 何回か会ってだんだん人に慣れてきたり、なんとか先生だとわかると、笑顔を見せるようになってきた 毎日通うことで、施設の人や場所がわかり自分がそこで安心して過ごせる場所だと理解できるようになっ てきた 通園では同年代の子ど もや先生との交流によ り、周囲の人に興味が 出始めた 通園では、たくさんの人との関わりが持てる 家では二人きりでべったりなので、母親から関わっていってしまう 通園するまで子ども同士の関わりは一切持てなかったが、通園に来ることで同年代の子と関わることがで きる 他の子に興味がある様子がみられ家族だけでいるときとは違う刺激があると感じる 周りの子どものことをよく見ている 子ども同士の世界を楽 しむようになった 同年代の子と同じ空間にいるのは母親といるのとは違う感じがあると思う 大人が関わるとちょっと甘えている感じだが、子ども同士だと素でという感じで、少し違うように感じる 朝の体操で隣の子をすごくみてニコニコしたり、仲のいい友達をニコニコしながら見ている きょうだいが声をかけるととても嬉しそうにする お兄ちゃんが大好きで、母親よりお兄ちゃんの方がいいのにみたいな感じを示す 子 ど も が 通 園 を 楽 し み な が ら 成 長 し て い る 通園では家ではできな い経験ができる 通園では初めての体験もいっぱいやらせてもらえる ブランコは家でやったことがなかった ブランコや滑り台、大きく体を動かす遊びなど、スペースもないので家ではできないことを通園ではできる 月ごとに、いろんな姿勢を体験する、こんな感触遊びをするなど、先生がテーマを考えてプログラムを組 み、いろんな遊びを取り入れている 経験の幅を広げるという意味で、通園はすごく大事 手足に人や物が触れる ことを楽しめるように なった いろんな人が触ったり声をかけたり、感覚刺激プログラムを通して、人との接触をすごく楽しめるように なった 感覚が過敏で手足に触ることを嫌がっていたが、1、2年かけて人との接触をすごく楽しめるようになり、す ごく成長したと思う 最初は刺激に驚くが慣れると楽しいという表情をするのが面白い 今まで体験したことの ない身体を使う遊びを 子どもが楽しんでいる 動かして大丈夫かと思ったが、本人は大丈夫そうで、普通の子どもと一緒で楽しいんだなと思った 気管切開をしているから動かさない方がいいのかと思ったが、楽しそうだった プールにも入ることができ、気持ちよさそうな独特の表情をしていた ショッピングモールにも通園と同じようにボールプールや滑り台があり、そこで一緒に遊んで楽しんだ 繰り返しの体験で次に 起こることを期待する ようになり、自ら遊び を楽しんでいる 繰り返し何度も同じことをするので、これを見せたらこれが始まるというのが結びついてきたようだ 歌をうたうときのパネルを出すと、歌が始まるというのが分かるようで、すごいニコニコして声を出した りする 反復して同じことをやることで、次にこれをやるということが分かってきたんだと思う 1年目は週1回通園していたが、週4回にしてからみるみる表情が良くなり、積み重ねや繰り返しが大切だ と思った 最初は意味ないかな、反応するのかなと思っていたが、反応するようになり、やっぱり違うんだと思った 子どもに通園を楽しむ 様子がみられるように なった 身体が大きくなるにつれて同年代の子と比べてできないことが増え、何で生きているのかと思っていた 発達の遅れや医療的ケアがあることで何を楽しみにしていけばいいのかと思っていた 半分あきらめた感じで通園に来たら、表情が無かったのが出るようになり、身体を動かすことで笑ったり し始めた 子どもが成長すると思っていなかったが、成長というか変化したことにすごく驚いた 音楽や楽器遊びなど振動や音を感じる遊びをしており、面白そう 成長というより変化することは周りも本人もすごくうれしいと思う 通園により生活リズム が整った 週4-5回通園することで、生活リズムが整った 睡眠導入剤でも寝ないことがあったが、通園することで昼間は起きて活動するのでまとまって眠れるよう になり、生活リズムが整った 通園してから食事や睡眠などの生活リズムが一定になった 生活のリズムが安定してきたことで、体調も落ち着いてくる 表 障害児通所支援を利用する医療的ケアが必要な重症心身障害児の成長に関する母親の認識

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カテゴリー サブカテゴリー   主要なコード い ろ い ろ な 方 法 で 家 族 が 子 ど も に 関 わ れ る よ う に な っ て き た 子どもの好みがわかる ようになった にぎやかな話し声を聞いてニコニコしていて、好きなのかなと思う 建物に入ったときにニコニコするときもあり、相当好きなんだねと思う その時々でまったく反応しないときもあるけれど、まぐれかもしれないが、今日はこっちをすごく見てい るとか、選ばせるとニコーと笑ったりする 子どもは見慣れたり声や雰囲気でわかるようになってきて、楽しいと感じているようだ 子どもとの関わりを家 族が楽しむようになっ た 子どもに表情がでてから、子どもと接する家族が明るくなった きょうだいは、チューブに抵抗があったが表情が出て反応がわかると話しかけ、痰を拭くなどするように なった いろいろな姿勢で過ご せるようになった 普通に座位がとれない子たちなので、横向きや仰向け、うつ伏せなどにする 訓練では、呼吸が一番難しいので呼吸を整えて、体の緊張をほぐしたり、力を抜いていろんな姿勢をとっ たりしている 一緒に訓練を見て、どうすると子どもが楽な姿勢をとれるか、手を動かしやすくなるのか、教えてもらい ながらやっている いい姿勢をとるコツや身体の動かし方を知ることができ、家でも取り入れられるようになってきて、子ど ももより楽に過ごせるようになったと思う 子どもの好きな遊びを 自 宅 で で き る よ う に なった 特に好きな遊びは歌で、歌を歌ってあげて、歌いながら手をとって手遊びすることが好きなようだ 自分からは動かさないが、親ががんばって踊ったり歌ったり身体を張った動きを一生懸命すると、ニコニ コしたり、すごく喜ぶ 知らない曲だと全く反応しないが、通園でよく歌っている歌を家でも歌ってあげると、ニコーって笑った りする 子どもの反応を見なが ら日常生活での関わり を工夫することができ るようになった 通園でやっていることを自宅でも取り入れてやってみることができるようになった 服を選ぶとき、目をどちらに向けるか、どちらの方が表情がいいかを見て選ばせることを家でやってみて いる 通園にきて、コミュニケーションの取り方を教えてもらった 専 門 職 の 手 を 借 り 、 施 設 で は い ろ い ろ な 体 験 が で き る よ う に な っ て き た いろいろな場所に外出 することができるよう になった 親一人ではブランコや滑り台、大きく体を動かす遊びはできないので、どうしても閉じこもりがちだった 通園後などに日中一時支援に行き、看護師の食事の注入や吸引などの医療ケアを受けたり、遊びや散歩に も連れて行ってもらっている 今年から乗馬や音楽療法がある地域訓練会に入った もっと外に出て、初め てのことや本人が楽し めることを体験させて あげたい いろんな場所に慣れさせる意味も含め、遊園地や動物園など、できるだけもっといろんなところに連れて 行きたい 乗馬や動物とのふれあいなど、したことがないことをしたい 初めての体験もこれから少しずついろんなことをやっていきたい 医療的ケアが必要な子 どもの成長の場は限ら れている 生活の場が、家か通園か日中一時支援の場所が中心で、なかなか簡単には遊びに行けない 医療ケアがある子どもを預けられる場所が無い もう少し身近なところに、少し困った時に預けられる場所が増えてほしい 専門職の工夫や指導に より安全に活動できて いる プールでの活動は少し制限されるが、医療的ケアがあってもできる 胃瘻があるため、うつ伏せ活動ではクッションを当てたりして工夫をしている 通園では看護師もついているので、ケアがあることでそれほど大きく活動に影響することはない プログラムの間でも閉塞呼吸で苦しそうなときは、顎を支えて呼吸介助をしたり吸引したりして、常に付 き合いながらやっている 4)【いろいろな方法で家族が子どもに関われるよう になってきた】 母親は、子どもが通園施設の中に入るとニコニコ するので通園することが相当好きだろうと感じた り、家族のにぎやかな話し声をニコニコして聞いて いるので好きなのだろうと思うなど、表情から<子 どもの好みがわかるようになった>ことを語った。 きょうだいは、始めは子どもに近づくことに抵抗が あったが、表情で好みがわかるようになると痰を 拭いて話しかける姿がみられ、子どもも嬉しそうに 反応することから、子どもと接する家族も明るくな り、<子どもとの関わりを家族が楽しむようになっ た>と、子どもだけではなく家族が成長したことを 母親は感じていた。 また、母親は通園後の日常生活で、自らの子ども への関わり方が変化したことを語った。たとえば、 子どもは普通に座位をとれないが、通園施設でいろ いろな姿勢で遊ぶ体験や、母親が子どもの訓練の様 子を通して良い姿勢をとるコツや身体の動かし方 を家で取り入れるようになり、<いろいろな姿勢で 過ごせるようになった>と生活の広がりを語った。 また母親は、通園施設での子どもの好きな歌を家で も取り入れて手遊びをしたり、子どもが好きな体操 を真似して遊ぶなど、<子どもの好きな遊びを自宅 でできるようになった>と遊びの拡大を語った。さ らに、母親は、食事の前にいただきますと手を合わ せたり、トイレの前にオムツを見せるなど通園施設 での子どもとの関わりを家で取り入れたり、着替え

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は子どもの視線や表情を見て着たい服を選ばせる など、<子どもの反応を見ながら日常生活での関わ りを工夫することができるようになった>と、子ど もとの関わりの変化を語った。 5)【専門職の手を借り、施設ではいろいろな体験が できるようになってきた】 通園するまでは母親一人で医療的ニーズの高い 子どもに関わることには限界があり、家に閉じこも りがちだった。しかし、通園してから子どもが自宅 以外の場でも過ごせるようになり、日中一時支援の 利用や地域訓練会に参加するようになるなど、<い ろいろな場所に外出することができるようになっ た>ことを母親は語った。 子どもが自宅以外の場でも楽しめる様子を見て、 母親は今後、遊園地などいろいろなところに連れて 行きたい、動物と触れ合うなどやったことがないこ とを体験させたいとの意欲が出てきたと感じてお り、<もっと外に出て、初めてのことや本人が楽し めることを体験させてあげたい>と、これからの成 長を考えるようになったことを語っていた。 しかし、子どもを遊ばせたいと思っても、医療的 ケアが必要な重症児はケアと常に付き合わなけれ ばならないため簡単には外に行けない現状があり、 <医療的ケアが必要な子どもの成長の場は限られ ている>と感じていた。一方、通園施設では、専門 職のケアを受けながら活動ができ、苦しそうなとき は呼吸介助や吸引をしたり、うつ伏せの活動は胃瘻 にクッションを当てる工夫をするなど、<専門職の 工夫や指導により安全に活動できている>と認識 し、多くの体験ができるようになったことを語った。 Ⅳ.考察 1.医療的ケアが必要な重症児の母親が感じた、通 園による子どもの成長 本研究の母親は、通園前は子どもの表情があまり なく反応が判りにくいと感じていたが、通園後は表 情が豊かになり、母親以外の人までもが子どもの反 応に気づいてくれ共有できるようになったことを 喜びとして語っていた。 重症児を育てる母親は、もともと意味づけが難し い子どもの微細な反応を判断材料として理解した り、時に反応の意味を人から教えてもらいながら子 どもからのメッセージを意味づけ、理解することが 明らかにされている11)。本研究の母親は、子どもが “靴を履きたがらない様子”を“通園が楽しすぎて帰 りたくない”という反応だと意味づけられるように なっただけでなく、通い慣れた通園施設の看護師と その意味を日常会話として共有できるほど、子ども のメッセージが確かなものとして他人に伝達でき ていることに成長の喜びを感じたのだと考える。 さらに、本研究の母親は通園するまでは、「子ども はなんで生きているのか、何を楽しみにしていけば いいのか」とひとり悩んでいる様子もあったが、通 園後は子どもがこれまでに体験したことのない遊 びを楽しみ、次に起こることを期待して能動的に遊 びに取り組む様子に、成長することの楽しみを語っ ていた。笹島9)は、継続的な遊びの関わりを通して、 重症児は受動的に遊びを楽しむだけではなく、次の 関わりを期待して発声するようになるという、定期 的な関わりの効果を報告している。また田中11)は、 重症児の母親は、子どもの反応から子どもの楽しみ や好きなことがわかると、どのような関わりが成長 につながるかを理解できるようになることを示し ていた。本研究の母親も、子どもが定期的に通園に 通うことで能動的に遊びや人との交流を楽しめる ようになったこと、今までにない体験をとおして子 どもが変化していく様子に成長を感じていたこと から、母親は子どもが通園に通い能動的に楽しめる 体験をさせることが成長につながると認識してい たと考えられた。 2.医療的ケアを必要とする重症児の成長に取り組 むための母親への支援 本研究の母親は、専門職の手を借り医療的ケアが 必要な子どもが安全に過ごせるという経験をとお して、施設の中で子どもに新たな経験をさせたいこ と、通園施設以外の場所でも多様な体験をさせたい との希望をもてるようになったことを語っていた。 幼児期にある医療ニーズの高い在宅重症児の母 親は、子どもの症状の悪化や医療的ケアの困難さか ら子育てをしにくいと感じているとの報告がある12) 本研究の母親も、はじめは医療デバイスに抵抗を感 じ重症児にきょうだいが近づけなかったとの語り から、家族にとって医療的ケアは子どもの成長への 関わりに支障を来していたことが推察された。しか し、通園施設で専門職から胃瘻部にクッションを当 てれば腹臥位にできること、気管切開をしていても

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動きを制限すればプールに入れること、呼吸苦に対 応したケアをすれば活動できるという支援を受け たことをとおして、多くの体験ができるようになっ たと語っていた。このことから、母親は医療的ケア が必要な重症児でも専門職の手を借りて安全性を 確保すれば成長を促す関わりができると認識出来 たのではないかと考えられた。 近年、医療的ケアを必要とする重症児が利用でき る公的サービスは特に供給が少なく、居住地域から 離れた場所にあることから利用しにくいため6)、医 療ニーズの高い重症児は通園施設の利用が限られ てしまうことが考えられる。児童福祉法の改正によ り、子どもの発達支援の場が居宅や保育所などの身 近な場に拡大し通園施設以外での発達支援が可能 になっている。そのような状況から、医療ニーズの 高い重症児の母親が発達支援に取り組めるように するためには、施設の看護師や理学療法士などの専 門職が、重症児との関わりから見出した医療的ケア への工夫や方法を、施設や居宅での保育サービスと 共有し実践できるようにすることで、医療的ケアを 必要とする重症児に成長を促す環境と機会を提供 できるのではないかと考える。 また、母親が医療的ケアに対する安全への工夫を 具体的に知ることで、生活に取り入れ重症児の成長 発達への関わりに意欲をみせたことから、専門職が 安全に過ごせる工夫を母親に見せたり一緒にやっ てみたりすることは、医療的ケアが必要な重症児の 発達に母親自身が取り組めるようになるための支 援となることが示唆された。 Ⅴ.結論 幼児期の医療的ケアが必要な在宅重症児の母親 が、通園施設を利用したことによる子どもの成長発 達をどのように感じているのか、母親の認識を明ら かにすることを目的に、在宅重症児の母親2名に半 構造化面接を行った。その結果、【子どもの伝えた いことが伝わるようになってきた】【子どもが人と の交流を楽しめるようになった】【子どもが通園を 楽しみながら成長している】【いろいろな方法で家 族が子どもに関われるようになってきた】【専門職 の手を借り、施設ではいろいろな体験ができるよう になってきた】という発達への認識が示された。母 親は、医療ニーズの高い重症児でも、通園施設等で 専門職の手を借りて安全性を確保すれば成長を促 す関わりができること、施設での体験により成長を 促すことができるとの認識を持っていることが明 らかになった。 Ⅵ.研究の限界と今後の課題 本研究は、同一施設に通う重症児の母親2名への インタビューであるため、受けるケアや医療的ケア の状況に偏りが生じていると思われる。今後は、研 究参加者の幅を広げることや、母親が感じた成長発 達に関わる要因や発達の捉え方なども含め、調査す る必要があると考える。 謝辞 本研究を行うにあたり、ご多忙の中ご協力をいた だきました重症児のお母様、親の会の皆様に心より 御礼申し上げます。 本研究は、文部科学省科学研究費助成事業・基盤 研究(C)(15K11714)の助成を受けて行った。 文献 1)厚生労働省.「医療的ケア児に対する実態調査と医療・福 祉・保健・教育等の連携に関する研究」の中間報告. http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000147259.pdf 2)厚生労働省.第1回障害児通所支援に関するガイドライン策 定検討会資料 放課後等デイサービスの現状. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000- Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikaku-ka/0000060448.pdf 3)厚生労働省.医療的ケアが必要な障害児の支援に係る報酬・ 基準について. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000- Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikaku-ka/0000178395.pdf 4)厚生労働省.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援 するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(概 要). http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/190 -21.pdf 5)水落裕美ら.気管切開管理を必要とする重症心身障害児を養 育する母親が在宅での生活を作り上げていくプロセス.日本 小児看護学会誌21:48-55.2012. 6)長谷美智子.重症心身障害児(者)と在宅生活をする母親の 健康状態の認知と対処行動に関する研究.日重障誌34:383

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-8.2009. 7)野口裕子ら.在宅における超重症児の子育てと子育て支援に 関する養育者の意識(第一報).日本赤十字広島看護大学紀 要7:11-8.2007. 8)菊池紀彦ら.医療機関・重症心身障害児施設を対象とした就 学前の超重症児の調査.三重大学教育学部研究紀要67:301 -7.2016. 9)笹島朋浩.重症児の期待・自発性を育む取り組みについて. リハビリテーション研究紀要18:35-7.2009. 10)鈴木真知子.在宅療養中の重度障害児保護者の子育て観.日 本看護科学会誌29:32-40.2009. 11)田中美央ら.重症心身障害児の反応に関する母親の内面的支 え体験.新潟大学保健学雑誌14:69-78.2017. 12)草野淳子.在宅療養児の母親が子育ての喜びを感じるまでの プロセス.母性衛生57:718-25.2017.

Mothers' recognition of growth of children with severe motor and intellectual disabilities requiring medical care in development support center: narratives of two mothers.

Chihiro Ito, Tomomi Sato, Yukimi Hirose

Yokohama City University School of Medicine Nursing Course, Yokohama, Kanagawa School of Medicine College of Nursing Semi-structured interviews were conducted with two mothers of children with severe disabilities requiring pediatric medical care at home to reveal how they felt about their children's growth and development since they started using a development support center. The results of the interviews suggested that they had recognized their children's growth as follows: “children could express what they want to express", “they came to be able to enjoy communications with others", “they are growing while they enjoy visiting the development support center", “the family members came to be able to deal with children in various ways" and “they came to be able to have various experiences with the help of professionals". It was revealed that mothers had recognized that professionals could promote development as long as safety was assured even in children with severe disabilities requiring medical care.

参照

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