Title
[報文]焼酎に適した沖縄産カンショ品種の検討
Author(s)
照喜名, 重智; 玉城, 英哉; 仲地, 靖; 大見, のり子; 與儀, 喜
代政; 出花, 幸之介
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 27(1): 25-28
Issue Date
2011-11-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/10925
焼酎に適 した沖縄産カンショ品種の検討
照書名重智*・玉城英哉*・仲地
靖*・大兄の り子**・輿儀喜代政**・出花幸之介**
*
ヘ リオス酒造株式会社 ・**沖縄県農業研究センターSe
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HeliosDistilleryCo.,Ltd.,'*ohinawaPrefecturalAgriculturalResearchCenterキーワー ド :カンシ ョ、焼酎、収量、でん粉歩留、官能評価、アル コール取得量 Keywords:Sweetpotato,Shochu
緒
言 沖縄県の特産農産物 を扱 った商品 としては、サ ト ウキビの搾 り汁か ら作 られる黒糖,パイ ンアップル、 シーク ヮ-サー、マ ンゴーな どの熱帯果樹 を使用 し たお菓子や ジュース、アン トシアニ ン系のカンシ ョ (紅イモ) を使 った紅イモ菓子 な どが代表的な もの としてあげ られる。特 に、紅イモは健康志向の高 ま りか らポ リフェノール を多 く含む機能性食品 として も注 目されている。 これまで、沖縄県 内で栽培 され てきた紅 い もの奨励品種は、 「沖夢紫」 「備瀬」 「富 農36号」の3品種である。紅イモを使 った商品の中 で も紅 いもタル トはそれ ら沖縄県産紅イモを加工 し て作 られてお り、人気商品で沖縄県のお土産 の上位 に位置 している。 また、県 内にお いてカ ンシ ョは菓子原料 のほか、 焼きいもとして も需要が多いため、食味が良 くて外 観の優れた多収系統が求め られている。焼 きいも原 料のほとん どは他県や国外か ら移 ・輸入 されているO 一方、カンショを原料 とした焼酎は九州 を中心 に生 *沖縄県 名護市字許 田405番地 *沖縄県糸満市字真壁820番地*
405Kyoda,NagoCity,Okinawa *820Makabe,ItomanCity,Okinawa産 され、焼酎の原料 に 「コガネセ ンガン」が主 に使 用 されている。近年は原料 いもの品質管理が行 き届 き、イモの臭みを取 り、甘 く ・まろやかな品質への 転換が成功 し、全国的に消費が拡大 している。 こうした中、ヘ リオス酒造株式会社では2007年に 中小企業地域資源活用 プログラムの施行 に際 し、沖 縄県 内で生産 されて いたカ ンシ ョ品種 「ハ ワイ紅」 を原料 として、いも焼酎 「紅-粋」 を開発 した。 「紅 -粋」は紅イモの甘 い香味が引き立ち、芳醇な味わ いで観光客な どへの評判 もよい。使用 している 「ハ ワイ紅」はアン トシアニ ン系なので、赤 ワイ ン風味 の独特の風味があ り、鮮やかな肉色や蒸 した時にほ くほ く感があ り、甘味 も強 く食感の良い。しか し、「ハ ワイ紅」 は古 い時代 に海外か ら導入 された品種で、 立ち枯れ病 にやや弱 く、つるぼけ しやす く、冬期の 肥大が遅 く、イモの変形が多 く3)、収量が 「沖夢紫」 や 「備瀬」 の2.5- 2.0トン/10αと比べ る と3割程 度少ない 13)0 そ こで、近年沖縄県農業研究セ ンターで育成 した 品種 の中1・3 6)で、 「ハ ワイ紅」 に劣 らない酒質及 び高い収量性が期待できる、焼酎 に適 したカンショ 品種系統がないか検討 したO
南方資源利用技術研究会誌
材料および方法
1.栽培試験 カ ンシ ョ品種 ・系統 の収量性 を検定す るため、沖 育0ト1-7、 沖 育96-1-15、 沖 夢 紫、 備 瀬、 沖 育01-ト 1、富農36号の 6品種 ・系統 を供試 した。春植 え とし て2005- 2009年の 5月下旬 または 6月上旬 に定植、 10月中下旬または11月上旬 に収穫調査 した。 また焼 酎製造試験用 として、2008年11月に秋植 え し、2009 年6月 に堀取 り調査 した。 元肥 と してイ モ配 合5 kg/α (N:P205:K20-0.45:0.45:0.9kg/α) を施用 し、 畦幅85cm、株 間20cmの 1区30株 で、春 植 えで は 3区制秋 (11月)植 えでは2区制 とした。 各 区か ら生芋約2kgを採取 してス ライス し、サ ンプル を100gずつ 2点量 り取 り、温風乾燥機 にて 70℃で 1昼夜乾燥 させ た後、105℃で 6時間乾燥 し て秤量 し、 2点 の平均値 によ り切干歩合 として算 出 した。 上記 の100gのサ ンプル に水250mlを加 えて ミキサーで90秒間粉砕 しサ ンプル を2段階で ろ過 し 繊維な どを取 り除き、デ ンプンを容器 に洗 い落 とし た。 1昼夜放置 しデ ンプンを沈殿 させ てか ら上澄 み を こぼ し、 これ を2回繰 り返 し、 得 られ たデ ン プンを温風乾燥機 にて70℃で 1昼夜乾燥 させ た後、 105℃ に上 げて6時間乾燥 して秤量 し、 2点 の平均 値 によ りでん粉歩留 ま りとして算出 した。 2.仕込み及び蒸留方法 と焼酎の官能評価法 仕込み につ いて、 1次仕込み には米 こうじを使用 した。米 こうじは原料米 にタイ砕米、麹菌は泡盛黒 麹菌を使用 し、温度35℃で約38時間、泡盛の仕込み 用 に製麹 させた ものを一部採取 し使用 した。仕込み 配合 は米 こう じ137g、水174mlと し、酵母 に泡盛 酵母 を使用 し、発酵温度25℃ で 4日間発酵 させた。 2次仕込 み には供試 カ ンシ ョを約60分 間蒸 した 後、破砕 し、 1次仕込み もろみへ投入 し、発酵温度 25℃で10日間発酵 させた。本試験では、米 とカ ンシ ョ の割 合 が1:4、最 終汲 み水 歩 合 は原 料 合 計量 の 70%とした。蒸留はマ ン トル ヒーター を使用 して蒸 留 を行 った (写真 1)。蒸留時間は約90分であった。 また、蒸留 中は原酒 に焦 げ臭がつかないよ うに、加 熱温度 を調節 しなが ら、蒸留 を行 った。 37度の原酒を20度へ和水 したのもを、味、香 りについ て評価を行い、総合評価 を 1点 (倭)∼5点 (劣)の基 準で点数をつけ、評価員6名の平均点で優劣をつけた。 写真1 マ ン トル フ ヒーターを用 いての蒸留結果 と考察
1.カンシ ョ品種 ・系統別の収量性 品種 ・系統別収量特性 の評価 のため春植 えの5カ 年 のデータを用 い、表1
に示 した。単収は、沖縄県 農業研究セ ンターで育成 された焼 きい も用の淡黄 肉 色 の新 品種 (写 真2)、沖育01-1-7が326kg/αと最 も多 く、 ア ン トシアニ ン系 の加 工用新 品種 の沖育 96-1-15が次 いで323kg/αで あ った。 また県 内で最 も作付 けが多 い白皮 のアン トシアニ ン系品種 の備瀬 では217kg/αとなってお り、備施 を標準 とす ると両 新品種 とも1
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倍 の収量性 を示 した。 焼酎原料 の指標 として重要な要素であるでん粉歩 留 は、沖育01-ト7が21.4% と最 も高 く沖育96-ト15も 19.1% と低か った。 また切干歩合では、沖育01-1-7 が35%と固形分 の比率が最 も高か ったが、沖育96 -1-15の切 り干 し歩合は29%で供試 した品種の中で最 も低かった。 沖縄県 は亜熱帯気候で冬期 に温暖であるため、九 州以北 とは異な りカ ンシ ョを周年栽 し,周年収穫す る ことが可能である。その中で も3- 5月に植え付 ける春植 えの生育が良 く、栽培面積 も多 い。次 に多 いのが9- 11月頃 に植 え付 ける秋植 えである。今 表1 春植え における品種系統別の収量性 品 種 単収1) 切干歩合 でん粉歩留2)でん粉収量 系 統 名 (kg/a) % % (kg/a) 沖 育01-1-7 326 沖育96-1-15 323 沖 夢 紫 213 備 瀬 217 沖 育01-1-1 202 宮 農 36号 138 35.3 21.4 70 29.0 19.1 62 32.7 21.1 45 31.5 20.7 45 32.8 18.1 37 32.9 21.1 29 1)単収は50g以上のイモにおける収量。 2)でん粉歩留は2008- 2009年の平均データ。沖育01-1-7 備瀬 i Fi lT ■S i 写真2 供試 したカ ンシ ョ品種の外観 と切断面 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2
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0 9 8 7 6 2 22
2 ー ・l l l (% )馳 騎ry
:S JY P Q TY 理 藩 18.0 19.0 20.0 21.0 春植えのでんぷん歩留(%) 22.0 図 1 秋植え と秋植えのでんぷん歩留の関係 回の焼酎製造試験で供試 した原料は、11月植 えの6 月収穫 である。両作型 における品種 ・系統間のでん ぷん歩留 ま りの相関関係 を検討 した。カ ンシ ョ品種 ・ 系統 のでんぷん歩留 にお いて、春植 え と秋植 えには r-0.845と5%レベルで有意 な正 の相 関関係 が認め られ る ことか ら、春植 えででんぷん歩留の高 い品種 ・ 系統 は秋植 えで も高 く、両作型間で安定 して いるこ とが認め られた (図 1)。 本試験 の結果、沖育01-1-7は単収 とでんぷん歩留 が高 い。 また沖育01-1-7は皮色が赤、 肉色が淡 黄色 で 食 味 の 良好 な多 収 系統 で あ り、 イモ の揃 いが 良 く焼 きいも4)に適 して いる。 また薬 の収益が多 く、 葉柄が長 くえ ぐみが少な いため食味が比較的良 く、 茎葉利 用 も期待 され る5)な ど、 多用 途 向 けの品種 で あ る事 が確 認 され て い る。 さ らに沖育96-1-15は イモの外観 の良い多収系統で、紫 肉色が濃 く均一で 安定 してお り、焦げに くく加熱後 の発色が良いため チ ップスや ペー ス トのな ど加工 に適 して いる6)と されて いるが、本試験 の結果では単収が商いがでん ぷん歩留が低か った。 2.仕込み及び蒸留方法 と焼酎の感応評価 いも焼酎 には、米、麦、蕎麦な どの焼酎 にはない 独特な風味や甘味がある。その代表的な香 りは柑橘 系の香 りとされ、モ ノテルベル アル コール類 と呼ば れ る微 邑香気成分が関係す るといわれて いる。 これ らの香気成 分 の立や 比率 が 品種 によ って異 な るた め、 いも焼酎 の香気 は品種 によって変わ る とされて いる。 今回、供試 したカ ンシ ョ品種 は秋 (11月)植 えで 6月堀 りの ものを使用 した。官能評価 の結果 は次の 通 りで ある (表2)。 香 りにつ いて は、 6品種 とも に、 カ ンシ ョ独特な甘 い香 りが感 じられ、全体 的に 表2 いも焼酎の官能評価 品種 ・系統名 純アルコール収得虫(
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沖 育 01-1-7 175 沖 育96-1-15 174 沖 夢 紫 156 備 瀬 172 沖 育 01-1-1 166 宮 脇 36 号 191 官 能 評 価 概評 (香 り) 概評 (咲) 総合評価' 甘い、いも香薄い 甘い、飲みやすい 2.70 いも香、うすい かるい、あっさり 3.33 甘い、うすい あまい、 しぶい 2.80 甘い、いもらしい バランスが良い 2.66 いもらしい、甘い 甘い、飲みやすい 3.16 いもらしい、特徴的 かるい 3.00 *5点評で1点 (倭)∼ 5点 (劣)で評価。軽いという評価であった。味については 「甘 い」、「飲 みやす く軽 め」 だ とい う意見 が多か った。総合評 価では、 「い もらしい」、 「バ ランスが良い」 とされ た備瀬が