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現場薬剤師の薬剤師国家試験実務関連問題に対する意識と評価

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(1)Jpn. J. Drug Inform., 22 (4): 185〜192 (2021).. 現場薬剤師の薬剤師国家試験実務関連問題に対する意識と評価 1). 2). 2,3). 4). 児島惠美子 ,柳奈津代 ,佐藤宏樹 ,堀. *2). 里子 ,澤田康文. 1) 2). 薬剤師国家試験予備校 Medisere(メディセレ) 〒 530-0014 大阪市北区鶴野町 1-9 3) 東京大学大学院薬学系研究科 同 情報学環 〒 113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1 4) 慶應義塾大学薬学部 〒 105-8512 東京都港区芝公園 1-5-30. A Survey on the Attitude of Clinical Pharmacists toward the Questions Related to Pharmacy Practice of the National Examination for Pharmacists 1). 2). 2,3). Emiko Kojima , Natsuyo Yanagi , Hiroki Satoh 1) 2). 4). , Satoko Hori and Yasufumi Sawada. *2). Department of Medical Education, Medisere School of Pharmacology, 1-9 Tsurunocho, Kita-ku, Osaka 530-0014, Japan. Graduate School of Pharmaceutical Sciences, and. 3). Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo,. 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan 4). Keio University Faculty of Pharmacy, 1-5-30 Shibakoen, Minato-ku, Tokyo 105-8512, Japan. ⎛Received April 10, 2020 ⎞ ⎝Accepted October 15, 2020⎠ Abstract A 6-year pharmaceutical education system was initiated over a decade ago in Japan because highly skilled pharmacists are needed by communities and hospitals. The current national examination for pharmacists consists of three sections, and its primary purpose is to assess the ability of students to apply the pharmaceutical knowledge they attained at university or college to real-world practice in medical care. We aimed to examine the attitudes of clinical pharmacists working in community pharmacies and hospitals regarding the practical section of the national examination for pharmacists. An online survey was conducted between November 2018 and January 2019. The results of this survey showed that 15 out of the 50 total pharmacists surveyed attempted to answer or skimmed through some questions from the practical section of the 103rd national examination for pharmacists. On the contrary, a little less than half of the pharmacists disregarded the examination content. The participants answered 10 questions extracted from the 103rd national examination that were related to real-world practice. They considered most information to be necessary knowledge in clinical situations, e.g., that concerning drug and food interactions. Furthermore, self-medication and treatment at home that are and will be increasingly required for pharmacists in the future were considered relevant and important. Key words: pharmacists, education, pharmacy, national examination for pharmacists, survey. 2). 3). 基準の変更 ,禁忌肢の追加 が行われてきた。出題基準. 緒言. 4). は,6 年制教育課程の導入の基礎となった薬学教育モデル・. 近年の医療の高度化,多様化に伴って,薬剤師をとりま. 5). コアカリキュラム および実務実習モデル・コアカリキュ 6). く環境,期待される業務は大きく変化しており,臨床現場. ラム の項目が基本とされている。しかし,2015 年から,. における実践的な能力をもつ薬剤師を養成する 6 年制課程. 卒業時までに習得されるべき「薬剤師として求められる基. の薬学教育が開始されて 10 年以上が経過した。対応する. 本的な資質」を前提とした学習成果基盤型教育(outcome-. 薬剤師国家試験については,2010 年の通知, 「薬剤師法施. based education)に力点を置いた薬学教育モデル・コアカ. 1). 行規則の一部を改正する省令の公布について」 によって. リキュラム平成 25 年度改訂版(以下,改訂モデル・コア. 問題区分や科目が見直され,その後の改正によって,合格. カリキュラム) が適用されたことを受けて,第 106 回薬. *. 連絡先著者). 澤田康文. 東京大学大学院薬学系研究科. 〒 113-0033. 7). 東京都文京区本郷 7-3-1. ―17( 185 )―.

(2) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 剤師国家試験からは,医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家. そこで本研究では,薬剤師国家試験における実務関連問. 試験制度改善検討部会による「薬剤師国家試験のあり方に. 題に対する臨床現場で働く薬剤師の意識や評価を明らかに. 8). することを目的とした。これらは,今後の大学での薬学教. 関する基本方針」 が適用されることになっている。 6 年制課程の薬剤師国家試験は,大学で学んだことを応 用できる力や医療現場で通用する実践力などを測ることを 目的として,医療の担い手である薬剤師として特に必要不 可欠な基本的資質を確認する「必須問題」90 問と「一般 問題」に区分された。後者はさらに,薬剤師に必要な知識. 育や生涯教育,現場で活用し得る医薬品情報の観点からも, 有用な資料になると考える。. 方法 1 . 調査対象者. を中心に,技能・態度を含む薬学の理論に基づいて,薬剤. 特定非営利活動法人 医薬品ライフマネジメントセン. 師が直面する一般的課題を解釈するための資質を確認する. ター(DLM センター)が運営する「全国薬剤師間情報交換・. 「一般問題(薬学理論問題)」105 問と,医療の実務におい. 研 修 シ ス テ ム(ア イ フ ィ ス,Internet-based Pharmacist’s. て直面する一般的課題を解決するための基礎力,実践力お. Information-Sharing System;以下,i-PHISS と記す) に登. よび総合力を確認する「一般問題(薬学実践問題)」150. 録している薬剤師を対象とした。i-PHISS の登録条件は,. 問に分けられ,全体として 3 種別から構成されるように. 医療現場(病院,クリニック,薬局等)で勤務しているこ. なった. 1,4). 。 「必須問題」と「一般問題」はそれぞれ, 「物理・. 12). とである。. 化学・生物」 「衛生」 「薬理」 「薬剤」 「病態・薬物治療」 「法 規・制 度・倫 理」「実 務」の 7 科 目 か ら 出 題 さ れ,合 計. 2 . 調査方法. 345 問となっている。 「一般問題(薬学実践問題) 」におい. 2018 年 11 月 20 日,i-PHISS の登録薬剤師にメールマガ. ては,「一般問題(薬学理論問題)」に含まれない「実務」. ジンを通して,「薬剤師国家試験問題に関するアンケート」. 科目が 20 問出題されるほかは,実務とそれ以外の科目と. への協力を呼びかけ,調査への参加を依頼した。配信時の. を関連させた複合問題で占められている。総合的な問題解. 登録薬剤師総数は 16,871 名(うち,薬局薬剤師 56.5%,. 決能力を評価する観点から出題形式の多様化が促されてお. 病院薬剤師 18.2%,その他 25.3%)であった。電子メー. 9). 「従来の一面的な知識の羅列ではなく,それぞれの り ,. ル上に記載されたアンケート調査サイトへのリンク先にア. 知識の有機的な連携を理解して問題解決に結びつけるよう. クセスしてもらい,そこで入力された回答を収集した。収. な教育を実践し,その結果を測定できるような新しい国家. 集期間は,2018 年 11 月 20 日〜2019 年 1 月 6 日であった。. 試験を作りたい,というのが薬剤師国家試験出題検討委員. 調査に先立って,調査の目的の他,回答は自由意思である. 10). 会のねらいである。」と平井が述べていた ように,大学. こと,回答は無記名であること,データの利用方法と当該. で学んだ知識を現場でどのように活かすかが問われるよう. 目的以外に使用しないこと等について周知した。本調査. になったといえる。. は,東京大学大学院薬学系研究科・薬学部のヒトを対象と. 国家試験問題の事後評価として,一般社団法人 日本私 立薬科大学協会の薬剤師国家試験問題検討委員会による報. する研究倫理審査委員会によって承認を受けている(受付 番号 30-11)。. 11). 告書 が公開されている。全国の国公私立薬科大学・薬学 部よりすべての問題に対する評価・意見を収集した後,各 専門部会の大学教員らによって検討され,全体的な評価に. 3 . 調査項目 3-1. 研究対象者自身について. 加え,不適切と考えられる問題への指摘や,今後の改善要. 年代,性別,薬学教育(4 年制・6 年制),薬剤師実務経. 望などが報告されている。これまで,思考力を問う良問が. 験年数,勤務している医療機関の種別,薬剤師としての勤. 多いことや,複数の領域にわたる意欲的な試みが評価され. 務形態(常勤,非常勤),役職の有無,かかりつけ薬剤師. てきた一方,実践問題における状況(場面)設定に無理が. の算定条件を満たしているかについて尋ねた。. あると考えられるものや,複合性の低さなども指摘されて. 3-2. 第 103 回薬剤師国家試験問題への対応. きた。しかし,これらは基本的に大学の教員らによる評価. 第 103 回薬剤師国家試験について,「必須問題」,「一般. であり,実際に臨床現場での業務を日常とする薬剤師の報. 問題(薬学理論問題)」,「一般問題(薬学実践問題)」に関. 告は含まれていない。. して,問題種別ごとにどのように対応したかを 4 つの選択. 薬剤師国家試験は,地域や現場で活躍できる薬剤師とし. 肢(「実際に問題を解く」,「実際に解かないが問題に目を. ての知識,実践力などを測ることが期待されている。しか. 通す」,「問題に目を通さないが出題傾向は気にかけてい. し,実際に臨床現場で働く薬剤師が,国家試験問題をどの. る」,「問題に目を通さず出題傾向も気にかけていない」 ). ようにとらえ,どのように評価しているのか,ということ. で尋ね,回答を得た。. について,これまで報告されていない。. ―18( 186 )―.

(3) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 3-3. 現場薬剤師における第 103 回薬剤師国家試験の実. 表1. 回答者の特性(n=50). 務関連問題の評価. 人数 (人). 割合 (%). 男性. 19. 38. 女性. 31. 62. 1 ) 現場薬剤師の国家試験の実務関連問題への理解度を 評価するため,第 103 回薬剤師国家試験で実際に出題され. 性別. た問題のうち,薬剤師の資格・経験をもつ者を含む複数の 研究者が,現場での実務に関連すると考える 10 問を抜粋 した。 「必須問題」の「実務」科目から 1 題(「地域包括ケ. 年代. アシステムの定義」),「一般問題(薬学実践問題)」の複合. 20 代. 12. 24. 問題から 9 題,うち「実務」科目 8 題(「褥瘡の壊死組織. 30 代. 14. 28. への治療方針」, 「骨粗鬆症予防のサプリメント」 ,「睡眠薬. 40 代. 12. 24. の選択」,「ワルファリンと飲食物の相互作用」, 「骨粗鬆症 「足白癬外用剤の服薬指導」, 「後 治療薬の剤形別の注意点」, 発医薬品への変更調剤」, 「かかりつけ薬剤師の業務」) と「衛. 2 ) それぞれの問に対して,臨床現場で必要な知識であ. と思わない」 「必要だと思わない」)から回答を得た。おの. 3-1,3-2,3-3 の 2)については,記述統計量によって要. 6 年制薬学部・薬科大学. 14. 28. 12. 24. 3 年以上 10 年未満. 8. 16. 10 年以上 20 年未満. 19. 38. 20 年以上. 11. 22. 44. 88. 病院薬剤部(科). 5. 10. 診療所. 1. 2. 常勤. 42. 84. 非常勤(週 32 時間以上). 3. 6. 非常勤(週 32 時間未満). 5. 10. 役職なし. 22. 44. 管理薬剤師. 21. 42. 薬局長. 19. 38. 2. 4. 役職(複数回答). 約した。3-3.1)については,問題ごとの理解度を比較する ため,解析対象者の正解の割合(%)を算出した。ただし, 各問題の正解が公開されていることから,正解率は参考に とどめた。3-3.3)の各問における大学での学習経験につい. 72. 勤務形態(薬剤師としての勤務時間). 4 ) 薬剤師国家試験に対する考えを,任意で尋ねた。 4 . 解析方法. 36. 保険薬局. 3 ) この 10 問について,薬学生のときに学んだかどう ない・覚えていない」)で尋ね,回答を得た。. 4 年制薬学部・薬科大学. 勤務医療機関. た。 か,を 3 つの選択肢(「学んだ」「学ばなかった」,「わから. 10. 3 年未満. まあ必要だと思う」「どちらともいえない」「あまり必要だ. る場合は自由記述での回答を依頼し,考察の際に参考とし. 14. 5. 薬剤師実務経験年数. ると思うかを尋ね,5 つの選択肢(「必要だと思う」「まあ. おのその理由についても尋ねた。さらに,意見・感想があ. 7. 60 代以上 教育年数. 生」科目 1 題( 「インフルエンザの感染対策」 )が選定され, これらについて,現場薬剤師に実際に回答してもらった。. 50 代. その他(エリア長,副主任) かかりつけ薬剤師の算定条件. ては,全体のほか,薬学教育の年限別(4 年制,6 年制). 満たしている. 20. 40. でも集計を行った。. 満たしていない. 29. 58. 結果. わからない. 1. 2. 1 . 回答者の特性. つけ薬剤師の算定条件を満たしていると回答したのは,20. アンケートの依頼をした i-PHISS 登録会員のうち,50. 人(40%)であった。. 人から回答を得た。回答者の特性を表 1 にまとめた。女性 が 31 人(62%)であり,30 代が 28%と最も多く,20 代 と 40 代がいずれも 24%であった。大学で履修した教育課. 2 . 第 103 回薬剤師国家試験問題への対応 第 103 回薬剤師国家試験問題についての対応を,表 2 に. 程については,6 年制課程が 14 人(28%)であり,その. 示した。「実際に問題を解く」と回答したのは, 「必須問題」 ,. 他は 4 年制の薬学部・薬科大学を卒業していた。薬剤師と. 「一般問題(薬学理論問題)」,「一般問題(薬学実践問題)」. しての実務経験年数は,10 年以上 20 年未満がもっとも多. のいずれにおいても,15%前後であったが, 「問題に目を. く,19 人(38%)であった。保険薬局の薬剤師は 44 人. 通さず,出題傾向も気にかけていない」割合は,「一般問. (88%)であり,全体のうち 42 人(84%)が常勤,かかり. 題(薬学実践問題)」のみ,半数を少し下回った。. ―19( 187 )―.

(4) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 4 に示した。回答者全体において,半数以上が「学んだ」. 3 . 第 103 回薬剤師国家試験の実務関連問題の評価 第 103 回薬剤師国家試験問題のうち,実務に関連する. と回答したものは, 「骨粗鬆症予防のサプリメント」と「ワ. 10 問について,臨床現場薬剤師 50 人のうちの正解した人. ルファリンと飲食物の相互作用」の 2 問のみであった。一. 数と,全体に占める割合(正解率)を理解度の参考として,. 方,7 割以上が「学ばなかった」と回答したのは,「骨粗. 表 3 に示した。10 問のうち,現場薬剤師の 9 割以上が正. 鬆症治療薬の剤形別の注意点」と「かかりつけ薬剤師の業. 解したのは, 「ワルファリンと飲食物の相互作用」「後発医. 務」であったが,これら 10 問において,14〜26%が「わ. 薬品への変更調剤」の 2 問であった。8 割以上が正解した. からない・覚えていない」と回答した。4 年制卒と 6 年制. のは 4 問あったものの,「骨粗鬆症治療薬の剤形別の注意. 卒に分けて集計すると,6 年制を卒業した薬剤師のほうが,. 点」と「かかりつけ薬剤師の業務」に関する問題では,正. いずれの問も「学んだ」と回答した割合が多かった。. 解率が半数に満たなかった。. 考察. これらの 10 問について,現場薬剤師に,臨床現場で必 要な知識だと思うか尋ねた結果を図 1 に示す。「必要だと. 本研究では,現場薬剤師の薬剤師国家試験実務関連問題. 思う」割合がいちばん多かったのは,「ワルファリンと飲. に対する意識と評価を明らかにするために,薬剤師国家試. 食物の相互作用」で,74%を占めた。おのおのの問につい. 験から抜粋した実務に関連する 10 問について,臨床現場. て,「必要だと思う」「まあまあ必要だと思う」を合わせる. の薬剤師 50 人(うち 6 割が実務経験 10 年以上)に実際に. と,10 問中の 8 問に関しては,必要だと思っている割合. 問題を解いてもらい,必要に応じて感想を求めた。問題に. は 9 割を超えていた。「地域包括ケアシステムの定義」に. よって回答者の正解率(48〜92%)にばらつきはあったも. ついては,66%が必要・まあまあ必要であると回答したも. のの,多くの薬剤師(66〜100%)が,各問とも臨床現場. のの,「あまり必要だと思わない」と「必要だと思わない」. で必要な知識であると考えていた。. を合わせると,16%が必要だと思っていなかった。. 臨床現場での必要性に関して,「必要だと思う」との回. 薬学生のときに大学で学んだかどうかを尋ねた結果を表 表2. 答がいちばん多かったのは「問 6 ワルファリンと飲食物. 第 103 回薬剤師国家試験(平成 30 年度実施)に対してどのような対応をしたか(n=50) 必須問題. 一般問題 (薬学理論問題). 一般問題 (薬学実践問題). 人数 (人). 割合 (%). 人数 (人). 割合 (%). 人数 (人). 割合 (%). 実際に問題を解く. 8. 16. 7. 14. 7. 14. 実際に解かないが問題に目を通す. 8. 16. 6. 12. 8. 16. 問題に目を通さないが,出題傾向 は気にかけている. 7. 14. 9. 18. 11. 22. 問題に目を通さず,出題傾向も気 にかけていない. 27. 54. 28. 56. 24. 48. 表3. 薬剤師国家試験より抜粋した 10 問における各問の正解した人数と 正解率(n=50). 国家試験 問題番号. 問題内容. 人数(人). 割合(%). 1. 87. 地域包括ケアシステムの定義. 43. 86. 2. 198. 褥瘡の壊死組織への治療方針. 37. 74. 3. 226. 骨粗鬆症予防のサプリメント. 28. 56. 4. 235. インフルエンザの感染対策. 25. 50. 5. 248. 睡眠薬の選択. 41. 82. 6. 272. ワルファリンと飲食物の相互作用. 46. 92. 7. 280. 骨粗鬆症治療薬の剤形別の注意点. 23. 46. 8. 296. 足白癬外用剤の服薬指導. 30. 60. 9. 316. 後発医薬品への変更調剤. 46. 92. 10. 322. かかりつけ薬剤師の業務. 24. 48. ―20( 188 )―.

(5) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 図1 表4. 各問の内容が臨床現場で必要な知識であると思うか. 各問の内容を薬学生のとき大学で学んだか(教育課程の年限別) 全体(n=50). 国家試験 問題番号. 問題内容. 4 年制(n=36). 6 年制(n=14). わから わから わから 学ばな な い・ 学ばな な い・ 学ばな な い・ 学んだ 学んだ 学んだ かった 覚 え て かった 覚 え て かった 覚 え て いない いない いない (%). (%). (%). (%). (%). (%). (%). (%). (%). 0. 75. 25. 50. 21. 29. 1. 87. 地域包括ケアシステムの定義. 14. 60. 26. 2. 198. 褥瘡の壊死組織への治療方針. 10. 66. 24. 3. 72. 25. 29. 50. 21. 3. 226. 骨粗鬆症予防のサプリメント. 58. 24. 18. 42. 33. 25. 100. 0. 0. 4. 235. インフルエンザの感染対策. 36. 40. 24. 14. 53. 33. 93. 7. 0. 5. 248. 睡眠薬の選択. 40. 36. 24. 28. 47. 25. 71. 7. 21. 6. 272. ワルファリンと飲食物の相互作用. 58. 18. 24. 50. 22. 28. 79. 7. 14. 7. 280. 骨粗鬆症治療薬の剤形別の注意点. 8. 74. 18. 0. 81. 19. 29. 57. 14. 8. 296. 足白癬外用剤の服薬指導. 16. 60. 24. 8. 64. 28. 36. 50. 14. 9. 316. 後発医薬品への変更調剤. 18. 66. 16. 6. 78. 17. 50. 36. 14. 10. 322. かかりつけ薬剤師の業務. 12. 74. 14. 0. 86. 14. 43. 43. 14. の相互作用」であった。現場では,医薬品に関わる情報を. メディケーションへの関与は,薬剤師全般に求められるス. 患者の日常生活に繋げて活用することが求められるため,. キルの 1 つとして,現場薬剤師の評価が高かったといえる。. 活用できる情報を知識として知っておくことの必要性が認. また,96%が「必要・まあまあ必要」と回答した「問 2. 識されていると考えられた。現場薬剤師全員が,「必要だ. 褥瘡の壊死組織への治療方針」では,「在宅医療で褥瘡ケ. と思う」または「まあまあ必要だと思う」と回答したのは,. アは必要な知識」「褥瘡の処方箋を目にする機会が増えて. 「問 3 骨粗鬆症予防のサプリメント」であった。アンケー. きたから」 「在宅業務で意見を求められることもある」など,. トに記述された必要だと思う理由では, 「患者へのアドバ. 在宅医療が増える中で,薬剤師に求められる知識であると. イスやセルフメディケーションで必要な知識である(薬局. 認識されていた。しかし,私立薬科大学協会による薬剤師. 薬剤師) 」,「セルフメディケーションの推進には必要な知. 国家試験問題の評価 では,褥瘡ケアチームでの壊死組織. 識(同) 」, 「生活面でもアドバイスできる薬剤師が求めら. 対応は,大学では通常教えない難易度の高い問題であるも. 11). れているから(同)」,「予防医学,栄養学,サプリメント. のの実務実習で経験した学生には容易であり,「実習施設. に関する知識も薬剤師に必須である(病院薬剤師)」など. 間でのばらつきが国家試験に反映される」という懸念が示. の意見がみられた。予防や健康維持を念頭においたセルフ. された。現場では必要な知識であっても,国家試験問題と. ―21( 189 )―.

(6) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). いう性質上,学習の機会が一律でないものは望ましいとは. 尋ねたところ,いずれの問題でも,6 年制教育を受けた薬. いえないだろう。「必要・まあまあ必要だと思う」と回答. 剤師のほうが「大学で学んだ」割合が高く(7〜100%), 「問. した割合が最も低かったのは,「問 1 地域包括ケアシステ. 3 骨粗鬆症のサプリメント」と「問 4 インフルエンザの. ムの定義」の 66%であった。必要である理由として,「保. 感染対策」については,90%以上が「学んだ」と回答した。. 険薬局が目指すべき姿である」,「薬剤師は地域包括ケアシ. 現行の薬剤師国家試験は,薬学教育モデル・コアカリキュ. ステムの一端を担う」 ,「患者が地域の中で,よりよく生き. ラム が出題基準であることから,6 年制卒薬剤師が「学. 5). 生きと暮らしていくためには,たんに医療を提供するだけ. んだ」と回答する割合が高いことは妥当な結果と考える。. ではいけないと思うから」,「患者から質問を受けることが. しかし,大学で教える範囲を超えた難易度が高いと考えら. ある」などがあげられた一方で,必要だと思わない理由と. れる問題や,先述の「問 198 褥瘡の壊死組織への治療方針」. しては, 「常識問題のように思う」「文面から予想できるた. のように,実習先での経験による違いが影響する可能性の. め」といった知識としての穴埋め問題としての出題に対す. ある問題も指摘されており ,6 年制卒薬剤師の中でも「学. る意見や,「現状の仕事で使用しない知識のため」「実践に. んだ」と回答した割合は,問題によって異なっていた。「問. 11). は関係ない」といった業務における,地域での取り組みへ. 4 インフルエンザの感染対策」は,「実務」と「衛生」と. の消極的な態度がみられた。また, 「地域包括ケアシステ. の複合問題であり,科目としては「衛生」であるが,実践. ムの内容や意義等を把握することは必須であると考えられ. 現場では,毎年多数のインフルエンザ患者が来局し,感染. るが,単語 1 つ 1 つまでおさえる必要があるかは疑問に感. 予防が重要であることから,今回の抜粋 10 問に含めた。. じる」との記述にみられるように,地域包括ケアシステム. 自由記述から明らかになったことは,回答肢のうち,予防. そのものを理解する必要性と捉えたのか,定義を理解する. 対策の部分では,現場薬剤師から重要であるとの意見が得. ことの必要性と捉えたのかによって,回答が異なった可能. られた一方で,感染症法(感染症の予防及び感染症の患者. 性がある。そのため,本調査結果から,必要と思っている. に対する医療に関する法律)による分類に関しては, 「分. 現場薬剤師が少ないと結論づけるのは注意を要する。「問. 類が重要なのか?」「現場では必要ない」という意見がみ. 10 かかりつけ薬剤師の業務」に関しては,92%が現場で. られた。多くの 4 年制卒薬剤師にとっては,薬学生時代に. 必要な知識であると回答した。必要な理由としては,「こ. は現行の感染症法はなく, 「学んでいない」ことから,薬. れからはさけて通れない」「患者から質問されるケースが. 剤師として知っておくべきことでも,現場で必要とする経. ある」 「加算の算定に必要な知識」のような現場での必要. 験がない場合は,必要である・重要であるとの認識がされ. 性から,「かかりつけ機能を薬局がもつことは厚生労働省. ていない様子もうかがえた。インフルエンザの予防接種に. のビジョンとして示されているため」のように,国の政策. ついては,第 105 回国家試験にも出題されており,感染症. として必要な知識であると認識している様子もみられた。. 法における感染症とその分類について説明できることは,. 厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」. 13). の中で,. 薬学教育モデル・コアカリキュラムに含まれ,改訂モデル・ 7). かかりつけ薬剤師・薬局によって患者本位の医薬分業が実. コアカリキュラム にも引き継がれている。改訂モデル・. 施されることや,薬剤師が患者のために地域包括ケアシス. コアカリキュラムは,薬学生が 6 年制課程の卒業時までに. テムの一員として多職種で連携しながら取り組むことが求. 身に付けておくべき必須の能力(知識・技能・態度)の到. められており,これらを意識している現場薬剤師もみられ. 達目標を分かりやすく提示したものであり,第 106 回国家. た。. 試験から適用される新たな出題基準の基盤となってい. 全体として 90〜98%が必要だと回答した問題は,必要. 14). る 。. な理由として,いずれも「服薬指導時に必要な知識」「在. 表 2 に示した国家試験への対応について,教育課程の年. 宅医療で必要な知識」「現場で質問を受ける」「患者指導に. 限別に集計したところ,「一般問題(薬学実践問題)」につ. 役立つ」「よくある症例」などと記述されており,現場薬. いて「実際に解く」と回答したのは,6 年制卒 29%に対し. 剤師としての経験によって必要性を感じたといえる。中に. て 4 年制卒では 8%のみであった。「問題に目を通さず,. は,「医師が詳しく指導していない場合もある」「見逃して. 出題傾向も気にかけていない」のは,4 年制卒では半数を. はならない症例」といった薬剤師の業務の重要性を再認識. 超えており(6 年制卒 36% vs 4 年制卒 53%),6 年制卒薬. させる回答もみられた。また, 「どちらともいえない」と. 剤師のほうが,出題された問題に関心を持っている傾向が. 12%が回答したために,「必要である」との回答が 88%に. みられた。4 年制卒の薬剤師は,4 年制課程の薬学教育の. 留まったのは, 「問 9 後発医薬品への変更調剤」であり,. ほか,現場での経験や,生涯学習の一環として学んでいる. 「頻繁に行う業務」「基本事項」「必要な知識」など,日常 業務において必要であるとの認識であった。. ことも多いと思われるが,薬学や医学等に関わる科学技術 の進歩は著しく,日々の研鑽でも網羅的な対応は容易では. これら 10 問に関して,大学で学んだかどうかについて. ないだろう。国家試験においては,学術の進歩および薬剤. ―22( 190 )―.

(7) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 師業務の変化に伴い,出題基準についておおむね4年を目 14). ついて,現場で勤務する薬剤師は,各問ともおおむね臨床. 途に改定する とされている。すなわち,現場で勤務する. 現場で必要な知識であると考えており,薬と飲食物の相互. 薬剤師が,毎年の薬剤師国家試験問題に目を通すことは,. 作用などのほか,セルフメディケーションや在宅医療など,. その時代に求められる薬剤師像や知識を一通り確認するこ. これからの薬剤師に求められる業務に関する問題への評価. とができるのではないかと考える。近年,健康サポート薬. も高かった。. 局や,在宅業務関連事項なども出題されており,地域での 活躍が期待されていることが感じられる。本調査の現場薬. 利益相反:発表内容に関連し,開示すべき利益相反を以下. 剤師では国家試験を気にかけていない割合が多かったが,. に示す。児島惠美子は,薬剤師国家試験予備校 Medisere(メ. 毎年公開される国家試験問題について,このような観点か. ディセレ)の取締役社長である。柳奈津代,佐藤宏樹,堀. ら,有効活用されることを期待する。. 里子,澤田康文は,薬剤師国家試験予備校 Medisere(メディ. 最後に, 薬剤師国家試験についての意見を尋ねたところ, 「今後も,実践に即した試験をお願いしたい」「実務に必要 なことを出題するべきだと思う」等の現場で実践できる内. セレ)より,共同研究費を受領した。. 引用文献. 容を期待する一方で, 「実務も大切だが,一般問題も大事. 1 ) 厚生労働省,“薬剤師法施行規則の一部を改正する省. だと思う」「知識が行動となって結びつくには時間がかか. 令の公布について(平成 22 年 1 月 20 日)” ,https://www.. る。アカデミックな知識は現場では身につかせることは難. mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5892&dataType=1&page. しいので,まずは国家試験で知識をつけてから,それから. No=1(2020 年 8 月 11 日閲覧). 現場に出てもよいと思う」といった大学教育の重要性を再. 2 ) 厚生労働省,“ 「新薬剤師国家試験について」の一部改. 認識する記述もあった。また, 「不適切問題が多くみられ. 正について(平成 27 年 9 月 30 日)”,https://www.mhlw.. るため,設問の見直しに力を入れたほうがいいと思う。 「国 」. go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1403&dataType=1&pageNo=1. 家試験で何を担保させたいか,一度きっちりと議論をした. (2020 年 8 月 11 日閲覧). 方が良いと思う。 」という根本的な課題への意見もみられ. 3 ) 厚生労働省,“「新薬剤師国家試験について」の一部改. た一方, 「ルールは変化する。本質的なことを考える内容. 正について(平成 30 年 8 月 31 日)”,https://www.mhlw.. がいいのでは。 」「症候学,トリアージなどを取り入れても よいのでは。 」などの提案もみられた。症候学関連の提案 7). go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3666&dataType=1&pageNo=1 (2020 年 8 月 11 日閲覧). に関して,改訂モデル・コアカリキュラム の「E 医療薬学」. 4 ) 厚生労働省,“薬剤師国家試験出題制度検討会報告書. に「身体の病的変化から疾患を推測できるようになるため. (平成 20 年 7 月 8 日)”,https://www.mhlw.go.jp/shingi/. に,代表的な症候,病態・臨床検査に関する基本的事項を. 2008/07/dl/s0708-5a.pdf(2020 年 8 月 11 日閲覧). 修得する。 」が成果の 1 つとして掲げられていることから,. 5 ) 日本薬学会 薬学教育カリキュラムを検討する協議会,. セルフメディケーションにおけるサポートや受診勧奨を念. “薬学教育モデル・コアカリキュラム(2002 年 8 月) ”,. 頭におくと,今後,重要になる分野と考えられるだろう。. https://www.pharm.or.jp/kyoiku/modelcore_curriculum.html. 本研究には,いくつかの限界がある。まず,本調査は. (2020 年 8 月 11 日閲覧). i-PHISS に登録している薬剤師 50 人の回答であり,現場. 6 ) 文部科学省 実務実習モデル・コアカリキュラムの作. 薬剤師の意見を代表するものではない。また,現場の実務. 成に関する小委員会報告,“実務実習モデル・コアカリ. に関連する問題から抜粋した 10 問に関する評価や意見を. キュラム(平成 15 年 12 月 3 日)”,https://www.pharm.or.. 示したが,これも本調査の参加者に限られた結果である。. jp/kyoiku/modelcore_curriculum.html(2020 年 8 月 11 日. 今回はこの 10 問に限定していることから,第 103 回国家 試験全体への評価ではないことにも注意が必要である。. 閲覧) 7 ) 文部科学省 薬学系人材養成の在り方に関する検討会,. 以上のことを考慮しても,これまで薬剤師国家試験の実. “薬学教育モデル・コアカリキュラム 平成 25 年度改訂. 務関連問題に対する現場薬剤師の意識や評価をまとめた報. 版(平成 25 年 12 月 25 日)”,https://www.mext.go.jp/a_. 告はみられていないことから,本調査結果は,臨床現場で. menu/01_d/08091815.htm(2020 年 8 月 11 日閲覧). 日常的に患者に接する薬剤師の視点や意見として,現場で. 8 ) 厚生労働省 医道審議会薬剤師分科会 薬剤師国家試験. 活躍できる薬剤師を養成する今後の薬学教育や,薬剤師国. 制度改善検討部会, “薬剤師国家試験のあり方に関する. 家試験の発展にも資するものであると考える。. 基本方針(平成 28 年 2 月 4 日)”,https://www.mhlw.go. jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/H28. 結論. kihon.pdf(2020 年 8 月 11 日閲覧). 第 103 回国家試験の実務関連問題から抜粋した 10 問に. 9 ) 栗原順一.薬剤師国家試験の実施状況と課題.ファル. ―23( 191 )―.

(8) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). マシア 2016;52:656-8.. 用いた薬剤師間情報交換・研修システムの構築と運用.. 10) 平井みどり.4 年制薬学卒業生と 6 年制卒業生の同等 性をいかに確保するか―国家試験に対する立場から―.. 薬剤学 2009;69:413-5.. YAKUGAKU ZASSHI 2002;122:185-92. 13) 厚生労働省,“患者のための薬局ビジョン〜「門前」 から「かかりつけ」,そして「地域」へ〜(平成 27 年. 11) 一般社団法人 日本私立薬科大学協会 薬剤師国家試験 問題検討委員会, “薬剤師国家試験問題検討結果報告書”, http://www.yakudaikyo.or.jp/publics/index/17/(2020 年 8. 10 月 23 日)”,https: //www. mhlw. go. jp / stf / houdou / 0000102179.html(2020 年 8 月 11 日閲覧) 14) 厚生労働省,“新たな薬剤師国家試験出題基準を策定 しました(平成 28 年 11 月 24 日)”,https://www.mhlw.go.. 月 11 日閲覧) 12) 大谷壽一,松田真実,掛樋麻里ら.インターネットを. jp/stf/shingi2/0000143748.html(2020 年 8 月 11 日閲覧). ―24( 192 )―.

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参照

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