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Zornの補題・極大原理 : 選択公理

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(1)

Zorn

の補題・極大原理と選択公理

alg-d

http://alg-d.com/math/ac/

2015

12

20

定義. Rを集合X 上の二項関係とする. 1. Rが反射的⇐⇒任意のx∈ X に対してxRx 2. Rが反対称的⇐⇒ xRyかつyRxならばx = y 3. Rが推移的⇐⇒ xRyかつyRzならばxRz

4. Rがconnected ⇐⇒ xRyまたはx = yまたはyRx

5. Rが前順序関係⇐⇒ Rが反射的かつ推移的 6. Rが順序関係⇐⇒ Rが反対称的な前順序関係 7. Rが全順序関係⇐⇒ Rがconnectedな順序関係 8. x ∈ Xが極大元⇐⇒任意のy∈ X に対して「xRyならばyRx」 9. x ∈ Xが最小元⇐⇒任意のy∈ X \ {x}に対してxRy 10. x ∈ XY ⊂ X の上界⇐⇒任意のy ∈ Y \ {x}に対してyRx 11. Rが整列順序関係⇐⇒ Rが順序関係で,任意のY (̸= ∅) ⊂ X に対して(Y, R)が 最小元を持つ. 12. X が有限性を持つ⇐⇒x ∈ X ⇐⇒任意の有限部分集合y⊂ xに対してy∈ X13. x ∈ Xに対してx↓ :={y ∈ X | yRx} 14. Y ⊂ X が鎖⇐⇒ (Y, R)が全順序集合 15. R−1 :={⟨a, b⟩ ∈ X × X | ⟨b, a⟩ ∈ R} 16. R :={⟨a, b⟩ ∈ X × X | ⟨a, b⟩ /∈ R} 17. I := {⟨a, a⟩ ∈ X × X | a ∈ X} 定義. (X,≤)を順序集合とする. 1. Y ⊂ X が反鎖⇐⇒任意のx, y ∈ Y に対して「x̸= yならばx̸≤ y, y ̸≤ x

(2)

2. (X,≤)がramified ⇐⇒任意の元x∈ X に対し(x↓,≤)が鎖になる 定理 1. 次の命題は(ZF上)同値. 1. Zornの補題. 2. 集合X 上の推移的関係Rに対して極大鎖Y ⊂ Xが存在する. 3. 順序集合(X,⊂)は極大鎖を持つ. 4. 順序集合(X,⊂)が「任意の鎖C ⊂ X に対してあるx ∈ X が存在して,任意の y∈ Cに対してy ⊂ x」を満たすならば,X の極大元が存在する. 5. 順序集合(X,⊂)が「任意の鎖C ⊂ X に対して ∪ y∈C y∈ X」を満たすならばX は 極大元を持つ. 6. 有限性をもつ非空集合X は(に関する)極大元をもつ.(Tukeyの補題) 7. 任意の前順序集合(X,≤)は極大鎖を持つ.

8. 任意の順序集合(X,≤)は極大鎖を持つ.(Hausdorff’s Maximal chain Condition)

9. 任意の順序集合(X,≤)の任意の鎖は,X のある極大鎖に含まれる.

10. 任意の前順序集合(X,≤)は極大反鎖を持つ.

11. 任意の順序集合(X,≤)は極大反鎖を持つ.(Kurepa’s Maximal Antichain Con-dition) 証明. (1 =⇒ 2) Rを集合X 上の推移的関係とする.L :={Y ⊂ X | (Y, R)は鎖}とし て,Lに順序を入れる.この(L,⊂)はZornの補題の仮定を満たす. . ..) C ⊂ Lを鎖として,Z :=Y∈C Y と置く.(Z, R)が全順序集合である事を示す. (i)反射律 任意のx ∈ Z を取る.Z の定義よりあるY ∈ C が存在してx ∈ Y となる.よって (Y, R)が順序集合であることよりxRxである. (ii)反対称律 x, y ∈ Z に対し xRy かつyRx であるとする.Z の定義と C が鎖であることから x, y ∈ Y となるY ∈ C の存在が分かる.このとき(Y, R)が順序集合であることより x = y. (iii)推移律 Rが推移的関係であることから明らか. (iv) connected x, y ∈ Z を取る.Z の定義とC が鎖であることからx, y ∈ Y となるY ∈ C の存在

(3)

が分かる.このとき(Y, R)の全順序性からxRyまたはyRxである. 以上より(Z, R)は全順序である.故にZ ∈ L.従ってZCの上界である. よってZornの補題より極大元Y ∈ Lが存在するが,これが極大鎖である. (2 =⇒ 3) ⊂は推移的だから,仮定2よりによって全順序付けされる極大部分集合が 存在するが,これは明らかに(X,⊂)の極大鎖である. (3 =⇒ 4) 仮定3より極大鎖Y ⊂ X が存在する.このY に4の仮定を適用すると,あ るx ∈ X が存在して,任意のy∈ Y に対してy ⊂ xとできる.このxX の極大元で ある. (4 =⇒ 5) 明らか. (5 =⇒ 6) X が有限性を持つとする.順序集合(X,⊂)が5の仮定を満たすことを示せ ばよい.C ⊂ X を鎖としてx :=y∈C yと置く.z ⊂ xを任意の有限部分集合とする.x の定義とz が有限集合であることからz ⊂ y1∪ y2∪ · · · ∪ ynとなるyi ∈ Cが存在する. (C,⊂)が全順序であるからy := max{y1, y2,· · · , yn}が存在してz ⊂ y となることが分 かる.y∈ C ⊂ X,即ちy ∈ X だからXが有限性を持つ事よりz ∈ X である. 従って再びX が有限性を持つ事からx∈ X である. (6 =⇒ 7) C := {Y ⊂ X | Y は鎖 }は空ではない.明らかにC は有限性を持つので, Tukeyの補題より極大元を持つ. (7 =⇒ 8)は明らか. (8 =⇒ 9) C ⊂ X を鎖とする. Y :={y ∈ X |任意のx∈ C に対してx ≤ yまたはy≤ x} とする.明らかにC ⊂ Y である.(Y,≤)は順序集合だから,仮定 8より極大鎖D ⊂ Y を持つ.C ⊂ Dである. . ..) C ̸⊂ Dと仮定する.x∈ C \ D が取れる.Dの極大性よりD∪ {x} ⊂ Y は鎖で はない.故にあるy ∈ D ⊂ Y が存在してx ̸≤ y かつy ̸≤ xとなるが,それはY の 定義に矛盾する. 鎖Ce ⊂ XD ⊂ eC を満たすとする.するとC ⊂ D ⊂ eC だから Y の定義により e C ⊂ Y である.即ちCeはY の鎖でもある.故にDの極大性によりC = De である.即 ちDCを含むXの極大鎖である. (9 =⇒ 8)明らか. (8 =⇒ 1) Zornの補題と同値な整列可能定理を示す.その為に X を任意の集合とし

(4)

A :={f : α −→ A | αは順序数でf は単射}と置く.(A,⊂)は順序集合である.よって 極大鎖C を持つ.するとg :=f∈C f はある順序数からX への単射である.C の極大性 からgは全射.故にX は整列可能である. (6 =⇒ 10) C := {Y ⊂ X | Y は反鎖}は空でない.明らかにC は有限性を持つので, Tukeyの補題より極大元を持つ. (10 =⇒ 11) 明らか. (11 =⇒ 1) Zornの補題と同値な整列可能定理を示す.その為に,整列可能定理と同値 な「全順序集合は整列可能」を示す. ※ 整列可能定理についての定理1を参照.

(X,≤)を全順序集合とする.A :={(Y, y) | Y ⊂ X, y ∈ Y }と置き,Aの順序を

(Y, y)≤ (Z, z) ⇐⇒ Y = Z かつy≤ z で定める.(y ≤ zX の順序である.) 仮定11より極大反鎖C ⊂ Aが存在する.X は全順序だから,明らかに C = {(Y, f(Y )) | Y ∈ P(X) \ {∅}} と書ける.この fP(X) \ {∅}の選択関数である.よって選択公理から整列可能定理を導くのと同様にして X が整列可能なことが分かる. ※ 整列可能定理とZornの補題の定理1を参照. 定義. Xを集合とする.便宜上,次のように定める. 1. (X, R)が関係⇐⇒ RX 上の二項関係 2. (X, R)が推移⇐⇒ RX 上の推移的関係 3. (X, R)が反対称⇐⇒ RX 上の反対称的関係 4. (X, R)が連結⇐⇒ RX 上のconnectedな関係 5. (X, R)が順序⇐⇒ (X, R)は順序集合 6. (X, R)が全⇐⇒ (X, R)は全順序集合 7. (X, R)が整列⇐⇒ (X, R)は整列順序集合 8. (X, R)が有向⇐⇒ (X, R)は有向順序集合 9. (X, R)が分岐⇐⇒ (X, R)はramifiedな順序集合 10. (X, R)が森⇐⇒ (X, R)は順序で,任意のx∈ X に対し(x↓, R)が整列順序集合 11. (X, R)が木⇐⇒ (X, R)が森で,最小元を持つ

(5)

12. (X, R)が推連⇐⇒ (X, R)は推移かつ連結である 13. (X, R)が反連⇐⇒ (X, R)は反対称かつ連結である 以上のように定めたとき,MP(P, Q)で命題 X は任意の集合で,(X, R)P であるとする.もし 任意のY ⊂ X に対して「(Y, R)QになるならばYX に上界を持つ」 が成り立つならば,X は極大元を持つ. を表す.例えばMP(順序, 全)はZornの補題である. 定理 2. Zornの補題⇐⇒ MP(推移, 整列) 証明. ⇐=は明らか.逆=を示す.その為に定理1の2を用いる. Rを集合X 上の推移的関係とし,任意の部分整列順序は上界を持つとする.部分集合 Y ⊂ X に対してY⇓ := ∪ y∈Y y↓ ={z ∈ X |あるy ∈ Y が存在してzRy}と書くことにす る.W := {Y ⊂ X | (Y, R)は整列順序集合}と置く.W 上の関係Y ≤ Z ⇐⇒ Y ⊂ ZかつZ∩ Y⇓⊂ Y と定める.W の推移的関係である. . ..) Y ≤ ZかつZ ≤ W であるとする.即ちY ⊂ Z ⊂ W, Z∩Y⇓ ⊂ Y, W ∩Z⇓ ⊂ Z である.よってY ⊃ Z ∩ Y⇓ ⊃ (W ∩ Z⇓)∩ Y⇓ = W ∩ Y⇓ となるからY ≤ W で ある. 故に定理1の2により極大鎖V ⊂ (W, ≤)が存在する.Z := ∪ Y∈V Y とする.明らかに (Z, R)は順序集合である.任意のA(̸= ∅) ⊂ Z を取る.Z の定義からあるY ∈ V が存在 してY∩A ̸= ∅である.Y ∈ V ⊂ Wだから,(Y, R)は整列順序.よってx := min(Y ∩A)

が存在する.このxAの最小元でもある. . ..) y ∈ A, y ̸= xとする. (i) y ∈ Y のとき.明らかにxRyである. (ii) y /∈ Y のとき.あるY′ ∈ V についてy ∈ Y′となるが,(V, ≤)は鎖であるから Y ≤ Y′でなければならない.従ってY′∩ Y⇓ ⊂ Y であるからy /∈ Y⇓である.よっ て,x∈ Y だから¬yRxである.x, y ∈ Y′(Y′, R)が鎖であることからxRyでな けらばならない. (i)(ii)よりxAの最小元である.

(6)

よって (Z, R) は整列順序集合である事が分かる.故に Z ∈ W である.この Z は (W, ≤)の極大元である. . ..) W ∈ WZ ≤ W を満たすとする.Z の定義から,任意の Y ∈ V に対し Y ≤ Z,よってY ≤ W である.即ちV ∪ {W }は(W, ≤)の鎖である.V の極大性 からV = V ∪ {W }となる,従ってW ∈ V,よってW ≤ Z となる.即ちZ は極大 元である. (Z, R) ⊂ Xは整列順序だったから,MP(推移, 整列)の仮定によりZ の上界x ∈ X が 存在する. y ∈ XxRyを満たすとする.勿論yZ の上界である.yRzとなるz ∈ Z が存在 する. . ..) 「全てのz ∈ Z に対し ¬yRz」と仮定する.(Z ∪ {y}, R)は整列順序だから, Z ∈ W の極大性からZ = Z∪ {y}である.従ってy∈ Z,故に¬yRyである.一方

xZ の上界であることからyRxであり,ゆえにxRyからyRyとなり矛盾する.

このとき推移律からxRz である.するとxZ の上界であることからz = xまたは zRxであるが,どちらにしてもyRx である.従ってx(X, R)の極大元であることが 分かった. 定理 3. P, Qが次のいずれかであるとき,MP(P, Q)はZornの補題と同値である. P =推移,順序,分岐,森 Q =連結,反連,推連,全,有向,整列 証明. まず,定理2 で示したように Zornの補題 ⇐⇒ MP(推移, 整列) である.次に, MP(森, 有向) =⇒ MP(森, 連結)である. . ..) (X,≤)を森とし,X の任意の部分連結集合が上界を持つとする.Y ⊂ X を部 分有向集合とする.x, y ∈ Y とすると,Y は有向集合だからあるz ∈ Y が存在して x≤ z, y ≤ z である.よってx, y∈ z↓ ⊂ Xであり,今Xは森だからz↓は整列順序 集合.故にx≤ yまたはy≤ xである.即ち,Y は連結である.従って上界を持つ. 故に仮定のMP(森, 有向)からXは極大元を持つ. P =⇒ P′, Q =⇒ Q′ であればMP(P′, Q) =⇒ MP(P, Q)MP(P, Q) =⇒ MP(P, Q′)

(7)

である.またP =⇒ QであることをP −→ Qと書いて図示すると次のようになる. 整列 全 森 推連 反連 有向 分岐 順序 推移 連結 反対称 任意 以上により次の図式が分かる. 選択公理 MP(推移,整列) MP(推移,全) MP(推移,推連) MP(推移,有向) MP(推移,反連) MP(推移,連結) MP(推移,整列) MP(推移,全) MP(推移,推連) MP(推移,有向) MP(推移,反連) MP(推移,連結) MP(分岐,整列) MP(分岐,全) MP(分岐,推連) MP(分岐,有向) MP(分岐,反連) MP(分岐,連結) MP(森,整列) MP(森,全) MP(森,推連) MP(森,有向) MP(森,反連) MP(森,連結) よって後はMP(森, 連結) =⇒ MP(推移, 整列)を示せばよい. (X, R) を推移とし,X の任意の部分整列順序が上界を持つとする.W := {Y ⊂ X | (R,≤)は整列順序}と置く.W の二項関係Y ≤ Z ⇐⇒ Y = Zまたはあるz ∈ Z が存在してY = z↓ と定める.すると(W, ≤)は森である.連結部分集合V ⊂ W を取ると,明らかに ∪ Y∈V YV の上界である.故にMP(森, 連結)によりW は極大元Y ∈ W を持つ.Y ⊂ X は 部分整列順序だから,上界x∈ X を持つ.このxXの極大元である.故にMP(推移, 整列)が示された.

(8)

定理 4. Zornの補題⇐⇒ MP(有向, 整列) 証明. (=⇒) MP(推移, 整列) =⇒ MP(有向, 整列)であるから明らか. (⇐=) MP(有向, 整列) =⇒ MP(森, 整列)を示せばよい. (X,≤)を森として,Xの部分整列順序は上界を持つとする. X は整列可能でないと仮定する.W := {(Y, R) | Y ⊂ X, (Y, R) は整列順序}と置 く.W の順序(Y, R)⊏ (Z, S) ⇐⇒ Y ⊊ Z または(Y = ZかつR = S) で定める.(W, ⊏)は有向集合である. . ..) (Y, R), (Z, S) ∈ Wとする. (i) Y ̸= Z のとき. V := Y ∪ Z として,V 上の整列順序TaT b ⇐⇒    a, b∈ Y かつaRb または a, b∈ Z \ Y かつaSb または a ∈ Y かつb∈ Z \ Y で定めれば(V, T ) ∈ W, (Y, R) ⊏ (V, T ), (Z, S) ⊏ (V, T )である. (ii) Y = Z のとき. Xは整列可能でないから,Y ⊊ Xである.そこでx∈ X\Y を一つ取りV := Y∪{x} と置く.V 上の整列順序TaT b ⇐⇒ (a, b ∈ Y かつaRb)またはb = x で定めれば(V, T ) ∈ W, (Y, R) ⊏ (V, T ), (Z, S) ⊏ (V, T )である. V ⊂ (W, ⊏) を 部 分 整 列 順 序 と す る .Z := ∪ (Y,R)∈V Y と 置 く .z ∈ Z に 対 し て (Yz, Rz) :=⊏-min{(Y, R) ∈ V | z ∈ Y }とする.Z の順序SzSw⇐⇒ ((Yz, Rz)⊏ (Yw, Rw)かつYz ̸= Yw)または((Yz, Rz) = (Yw, Rw)かつzRzw) で定めると,(Z, S)は整列順序である.故に(Z, S)∈ WVの上界である.故に仮定の MP(有向, 整列)により(W, ⊏)は極大元(Y, R)を持つ.このとき明らかにY = X であ り,X が整列可能でないことに矛盾する. 従って X は整列可能である.(X, R)を整列順序とする.|λ| ̸≤ |X| を満たす順序数λ

(9)

を取る.X に含まれない元∞ /∈ X を一つ取っておく.f : λ−→ X ∪ {∞}f (α) :=    R- min{x ∈ X \ {f(β) | β < α} 任意のβ < αに対してf (β)≤ x} (このような最小元が存在するとき) ∞ (最小元が存在しないとき) で定める.f の定義から,f (α) = f (β)̸= ∞ならばα = βである.λの取り方からf は 単射でないので,f (α) =∞となるα < λは存在する.そこでγ := min{α < λ | f(α) = ∞}と置く.Y :={f(β) | β < γ}とすればY ⊂ (X, ≤)は部分整列順序である.故に上 界x∈ X を持つ.このときxが極大元である. 定理 5. 次の命題は(ZF上)同値. 1. Zornの補題. 2. 順序集合X が「X の部分整列順序は上界を持つ」を満たすならば,X の極大元が 存在する. 3. 順序集合X が「X の部分整列順序は上限を持つ」を満たすならば,X の極大元が 存在する. 4. 順序集合X が「X の鎖は上限を持つ」を満たすならば,X の極大元が存在する. 5. 順序集合(X,⊂)が「任意の部分整列順序Y ⊂ X に対して ∪ y∈Y y ∈ X」を満たす ならばX は極大元を持つ. 証明. 2はMP(順序, 整列)だから,定理3により1⇐⇒2である.また2=⇒3,3=⇒4, 3=⇒5は明らか. 4=⇒1と5=⇒1は定理1の条件5が成り立つことから分かる. MS(P, Q)で命題 (X, R)P のとき,集合{Y ⊂ X | (Y, R)Qである}に関する極大元を持つ を表すとする. 定理 6. 次の(P, Q)に対してZornの補題⇐⇒ MS(P, Q)である. • P =関係,推移,Q =反対称,連結,反連,推連,順序,全,有向,分岐 • P =反対称,Q =連結,反連,推連,全,有向,分岐 • P =連結,Q =反対称,連結,順序,全,有向,分岐 • P =順序,Q =連結,反連,推連,全,有向,分岐

(10)

• P =有向,Q =連結,反連,推連,全,分岐 • P =分岐,Q =連結,反連,推連,全,有向 • P =森,Q =連結,反連,推連,全,有向,整列 証明. (1) P =⇒ P′ならばMP(P′, Q) =⇒ MP(P, Q)である. (2) 関係R⊂ X × X に対して「(X, R)が連結⇐⇒ (X, R)が反対称」「(X, R∪ I) が 全⇐⇒ (X, R ∪ I)が全」が成り立つ.故にMP(反対称, 連結) ⇐⇒ MP(連結, 反対称)と MP(反対称,反連)⇐⇒ MP(連結,反連)とMP(反対称,全)⇐⇒ MP(連結,全)とMP(関 係, 反対称) ⇐⇒ MP(関係, 連結)が分かる. (3) 次の同値は明らかである. • MP(推移, 反対称) ⇐⇒ MP(推移, 順序) • MP(連結, 順序) ⇐⇒ MP(連結, 全) ⇐⇒ MP(連結, 有向) ⇐⇒ MP(連結, 分岐) • MP(有向, 連結) ⇐⇒ MP(有向, 反連) ⇐⇒ MP(有向, 推連) ⇐⇒ MP(有向, 全) ⇐⇒ MP(有向, 分岐) • MP(森,連結)⇐⇒ MP(森,反連)⇐⇒ MP(森,推連)⇐⇒ MP(森,全)⇐⇒ MP(森, 有向) ⇐⇒ MP(森, 整列) 以上の(1)(2)(3) を合わせると,次の図式が得られる.(は(1), は(2), は

(11)

(3)による.またMS(P, Q)P Q で表した.四角い枠については後述.) 関係 反対称 関係 連結 関係 反連 関係 推連 関係 順序 関係 全 関係 有向 関係 分岐 反対称 連結 反対称 反連 反対称 推連 反対称 全 反対称 有向 反対称 分岐 推移 反対称 推移 連結 推移 反連 推移 推連 推移 順序 推移 全 推移 有向 推移 分岐 連結 反対称 連結 反連 連結 順序 連結 全 連結 有向 連結 分岐 順序 連結 順序 反連 順序 推連 順序 全 順序 有向 順序 分岐 有向 連結 有向 反連 有向 推連 有向 全 有向 分岐 分岐 連結 分岐 反連 分岐 推連 分岐 全 分岐 有向 森 連結 森 反連 森 推連 森 全 森 有向 森 整列 また,Q = 反対称,連結,反連,推連,順序,全,有向,分岐のとき,Zornの補題= MP(関係, Q)である.よって後は「図中で四角に囲まれた命題=⇒ Zornの補題」,即ち 次の(i)(i)(iii)を示せばよい. (i) MS(有向, 全) =⇒ Zornの補題 定理1の条件 8「任意の順序集合は極大鎖を持つ」を示す.(X,≤)を順序集合とする. C := {Y ⊂ X | (Y, ≤)は鎖}とすると(C, ⊃)は有向集合になる.よって仮定のMS(有 向, 全)により極大な部分全順序M ⊂ Cが存在する.このときZ :=Y∈M Y と置けば明 らかにこのZ ⊂ Xが極大鎖である. (ii) MS(森, 全) =⇒ Zornの補題 MP(順序,整列)を示す.(X,≤)を順序集合として,X の部分整列順序は上界を持つとす

(12)

る.W := {Y ⊂ X | (Y, ≤)は整列順序}として,W に順序⊴を Y ⊴ Z ⇐⇒ Y = Zまたはあるz ∈ Z が存在してY = z↓ で定める.すると(W, ⊴)は森になる.よって仮定のMS(森, 全)により極大な部分全順 序V ⊂ W が存在する.このときZ :=Y∈V Y と置けば明らかにZ ∈ W だから,Z の上 界x∈ X が存在する.このxが極大元である. (iii) MS(推移, 反対称) =⇒ Zornの補題 選択集合の存在を示す.その為に{Xλ}λ∈Λ を互いに素な非空集合の族とする.X := ∪ λ∈Λ に関係RxRy⇐⇒あるλ ∈ Λが存在してx, y ∈ Xλ と定める.Rは勿論推移的であるから,仮定のMS(推移, 反対称)により極大な Y を得 る.このY{Xλ}λ∈Λ の選択集合である. MS′(P, Q)で命題 (X, R)P であり,Y ⊂ X(Y, R)Qであるとする. このとき集合{Z ⊂ X | Y ⊂ Z(Z, R)Qである}に関する極大元を持つ を表すとする. 定理7. 定理6で述べた組(P, Q)のうち,(森,整列)を除いてZornの補題⇐⇒ MS′(P, Q) である. 証明. 定理 6 と同 様 に し て Zorn の 補 題 =⇒ MS′(P, Q) が分 か る .一 方,明 らか に MS′(P, Q) =⇒ MS(P, Q)であるからMS′(P, Q) =⇒ Zornの補題である. 定理 8. Zornの補題 ⇐⇒順序集合X が「下の条件 (∗)を満たす任意のA ⊂ X が上界を持つ」を満たすなら ば,X は極大元を持つ. (∗) 任意の元x, y ∈ Aに対し{x, y} ⊂ AAに上界を持つ. 証明. (=⇒) X を順序集合とする.(∗)を満たすA⊂ X が上界を持つとする.C ⊂ X を 任意の鎖とすると鎖は(∗)を満たすから,Cは上界を持つ.従ってZornの補題よりX は 極大元を持つ.

(13)

(⇐=) 選択公理を示す.{Xλ}λ∈Λを非空集合の族とする.X :={f : Γ −→λ∈ΛXλ| Γ⊂ Λ, f(λ) ∈ Xλ} と定める.X にで順序を入れる. A ⊂ X が (∗) を 満 た す と す る .g := ∪ f∈A f と 置 く .λ ∈ dom(g) を 取 る . dom(f1), dom(f2)∋ λとなる任意のf1, f2 ∈ Aを取る.条件(∗)より,{f1, f2}A に 上界hを持つ.このとき h(λ) = f1(λ) = f2(λ) である.よってg(λ)は一意に定まる. 故にgは写像であり,g∈ X となる.明らかにgAの上界である. よって仮定よりX は極大元を持つが,それが選択関数である. 定理 9. Zornの補題 ⇐⇒任意の集合Xは次の条件を満たす極大部分集合Y ⊂ X を持つ. 任意の元a, b∈ Y に対してa∈ bまたはa = bまたはb∈ a 証明. (=⇒) Tukeyの補題(定理1の6)により明らか. (⇐=) 整列可能定理を示す.X を任意の集合として W := {(Y, R) | Y ⊂ X, R ⊂ Y × Y, (Y, R)は整列順序}と定める.Wに順序関係 ≦ を次のように定義する. (Y, R) < (Z, S)⇐⇒あるz ∈ Z が存在して(Y, R) = (z↓, S). すると(W, ≤)は木である.W 上の写像ff (Y, R) :={{R}}{f (W, T ) (W, T )∈ W, (W, T ) < (Y, R)} で定める.

(i) f (Y, R) = f (Z, S)⇐⇒ (Y, R) = (Z, S) . ..) ⇐= は明らか.= を示す.f (R) = f (S) かつ (Y, R) ̸= (Z, S) であるとす る.するとR ̸= S であるから{R} ̸= {S}となる.よって,f (R) ⊂ f(S)だから {R} ∈ {f(W, T ) | (W, T ) ∈ W, (W, T ) < (Z, S)}でなければならない.故にある (W, T ) < (Z, S)が存在して R = f (W, T )となる.よって{T } ∈ f(W, T ) = R ⊂ Y × Y となり矛盾する.

(ii) f (Y, R)∈ f(Z, S) ⇐⇒ (Y, R) < (Z, S) .

..) ⇐=f の定義から明らか.f (Y, R) ∈ f(Z, S)とする.すると f の定義より f (Y, R) = {S}f (Y, R) ∈ {f(W, T ) | (W, T ) ∈ W, (W, T ) < (Z, S)}のどちら かである.しかしf (Y, R) = {S}はありえない.故にある(W, T ) < (Z, S)が存在

(14)

してf (Y, R) = f (W, T )と書ける.すると(i)により(Y, R) = (W, T )となるから,

(Y, R) < (Z, S)である.

集合f (W)に仮定を適用して,Q ⊂ f(W)を得る.V := f−1(Q)と定める.(i)(ii)によ り,V ⊂ W は「任意の(Y, R), (Z, S)∈ V に対し(Y, R) < (Z, S)または(Y, R) = (Z, S)

または(Z, S) < (Y, R)」を満たす極大部分集合である.W := ∪ (Y,R)∈V Y, T :=(Y,R)∈V R とすれば,明らかに(W, T )∈ Wである. X ̸= W と仮定する.x ∈ X \ W を取る.T := Te ∪ (W × {x}) ∪ {⟨x, x⟩} と 置くと (W ∪ {x}, eT ) ∈ W である.V := V ∪ {(W ∪ {x}, ee T )} を考えると,これは 「任意の (Y, R), (Z, S) ∈ eV に対し (Y, R) < (Z, S) または (Y, R) = (Z, S) または

(Z, S) < (Y, R)」を満たす.明らかに V ⊊ eV だから V の極大性に矛盾する.よって X = W であり,T はXを整列する. 定理 10. 集合X と整数n≥ 2に対して,UN(X, n)で次の命題を表すとする. 任意のR⊂ Xnに対して{Y ⊂ X | Yn⊂ R}(に関する)極大元をもつ. n≥ 2を整数とするとき,次の命題は(ZF上)同値. 1. Zornの補題 2(n). 任意のX に対してUN(X, n) 3. あるn≥ 2が存在して任意のX に対しUN(X, n) 4. 任意のX に対してあるn≥ 2が存在してUN(X, n) 証明. 1=⇒2(n)と2(n)=⇒3と3=⇒4は明らか. (4=⇒2(2)) R ⊂ X × X を二項関係とする.仮定4 により,あるn ≥ 2が存在して UN(X, n)が成り立つ.そこでR× Xn−2UN(X, n)を適用して極大なY を得る.こ のY は明らかに{Y ⊂ X | Y2 ⊂ R}の極大元である. (2(2)=⇒1) 2(2) =⇒ MS(関係, 連結)を示せばよい.R ⊂ X × X を二項関係とする. R∪ R−1∪ I に2(2)を適用して{Y ⊂ X | Y2 ⊂ R ∪ R−1∪ I}の極大元Y を得る.明ら かに,このY{Y ⊂ X | (Y, R)は連結}の極大元である. 定義. 集合X 上の二項関係を次のように定義する. 1. xDy ⇐⇒ x ∩ y = ∅ 2. xKy ⇐⇒ x ⊂ yまたはy⊂ x

(15)

3. xJ y ⇐⇒ x ̸⊂ yかつy ̸⊂ xかつx∩ y ̸= ∅ R⊂ Xを関係とする.部分集合Y ⊂ X が「任意の異なる二元x, y ∈ Y に対しxRy」を 満たすとき,Y はproperty Rを持つということにする. 定理 11. 関係Rに対しN(R)で次の命題を表すとする. 任意のX に対し{Y ⊂ X | Yproperty Rを持つ}は極大元をもつ このとき Zornの補題⇐⇒ N(D) ⇐⇒ N(D) ⇐⇒ N(K) ⇐⇒ N(J) ⇐⇒ N(J) 証明. (Zornの補題=⇒ N(J)) Tukeyの補題より明らか. (N(J ) =⇒ N(D)) 任意の集合X をとる.uを「任意のx, y ∈ Xに対し⟨x, u⟩ /∈ y」を 満たすように取り,x ∈ Xに対しf (x) := x∪ {⟨x, u⟩}と定める.仮定N(J )f (X)に 適用すると,property J を持つ極大部分集合S ⊂ f(X)の存在が分かる.Y := f−1(S) と定める.

x, y ∈ X, x ̸= y とする.定義から f (x)Kf (y).故に f (x)J f (y) ⇐⇒ f(x)Df(y) が成り立つ.一方,f (x) ∩ f(y) = x ∩ y だから f (x)Df (y) ⇐⇒ xDy となる.即ち f (x)J f (y)⇐⇒ xDy であり,従ってY ⊂ Xproperty Dを持ち極大である.

(N(D) =⇒ N(D)) 任意の集合 X をとる.x ∈ X に対しf (x) := {{x}}{{x, z} z ∈ X, xDz}と置く. x, y ∈ X, x ̸= yとする.定義からf (x)Df (y)⇐⇒ xDyである.よって仮定N(D)f (X)に適用すれば,N(D)の成立が分かる. (N(D) =⇒ Zornの補題) 選択公理を示す.{Xλ}λ∈Λ を互いに素な非空集合の族とす る.X := {{⟨0, x⟩, ⟨1, λ⟩} λ ∈ Λ, x ∈ Xλ } とする.仮定 N(D)X に適用して, property D を持つ極大部分集合Y ⊂ X を得る.{⟨0, x⟩, ⟨1, λ⟩}D{⟨0, y⟩, ⟨1, µ⟩} ⇐⇒ λ ̸= µだから,各λ∈ Λに対し{⟨0, xλ⟩, ⟨1, λ⟩} ∈ Y となるような ∈ Xλが唯一つ存 在する.よって{xλ| λ ∈ Λ}が選択集合である. (Zornの補題=⇒ N(J)) Tukeyの補題より明らか. (N(J ) =⇒ N(K)) 任意の集合X をとる. ∪ x∈X xに含まれない元uを取り,x ∈ X に 対しf (x) := x∪ {u} と置く.すると任意のx, y ∈ X, x ̸= y に対しf (x)Df (y)となる から,f (x)J f (y)⇐⇒ f(x)Kf(y) ⇐⇒ xKy が分かる.故に仮定N(J )f (X)に適用

すれば,N(K)の成立が分かる.

(16)

定理 12. Zornの補題⇐⇒ N(K) 証明. X を集合とするとき,Y ⊂ Xproperty K を持つのは,Y が順序集合(X,⊂)の 反鎖となるときである. (=⇒) 定理1の条件11より明らか. (⇐=) 定理1の条件11を示す.(X,≤)を順序集合とするときA :={x↓ | x ∈ X}とす れば順序同型(X,≤) ∼= (A,⊂)が成り立つ.よって仮定から{B ⊂ A | Bproperty K を持つ}の極大元Bを取れば,それに対応するY ⊂ X が極大反鎖である. 定理 13. Zornの補題⇐⇒順序集合(X,≤)が「任意の鎖は上界を持つ」を満たすとき, あるt ∈ X が存在してt :={x ∈ X | t < x}は最小元を持たない. 証明. (=⇒) Zornの補題により極大元t ∈ X が存在する.このときt = は最小元を持 たない. (⇐=) Zornの補題が成り立たないと仮定する.即ち極大元を持たない順序集合(X,≤) で「任意の鎖は上界を持つ」を満たすものが存在する.X× N上の順序を辞書式順序で定 める.X× Nは「任意の鎖は上界を持つ」を満たす. . ..) C ⊂ X × Nを鎖とする.π : X× N −→ Xを標準射影とするとπ(C)⊂ X は鎖 である.故に上界u0 ∈ Xを持つ.X は極大元を持たないからu > u0 となるu ∈ X が存在する.このとき⟨u, 0⟩ ∈ X × NC の上界である. 一方,任意の⟨x, m⟩ ∈ X × Nに対して⟨x, m⟩は最小元⟨x, m + 1⟩を持つから仮定に 矛盾する.

参考文献

[1] H. Rubin and J. Rubin, Equivalents of the axiom of choice II, North Holland, 1985.

[2] Horst Herrlich, Axiom of Choice,Springer, 2006

参照

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