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3)第55回ガラスおよびフォトニクス材料討論会参加報告

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Academic year: 2021

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11月13日から14日にわたって,第55回ガ ラスおよびフォトニクス材料討論会が東京工業 大学大岡山キャンパスで開催された。今年は東 工大矢野研究室の御世話の元,2日間にわたっ て円滑な運営がなされた。討論会両日の天候も 幸いにして快晴となり,口頭発表会場からポス ター会場までの移動道からは雪化粧した富士山 を望むことができた。討論会の内容は,今年も 共催特別企画ガラス技術シンポジウム(GIC 10),ガラスおよびフォトニクス材料討論会の 2部構成となっていた。 まず GIC10の内容について紹介する。発表 件数は特別講演2件,ポスター発表25件であ り,今回は丁度開催10度目という節目であっ た。特別講演の1件目は,日大/住友電工社 OB の渡辺氏から「低損失光ファイバ開発の歴 史」との題目で,シリカファイバの損失低減な どの開発経緯について御自身が苦労されたエピ ソードを交えながらお話しされた。続いて日本 板硝子の坂口氏から「ガラス技術イノベーショ ンの系譜―過去の技術発展に学ぶ」という題目 で,板ガラス,ディスプレイガラス,結晶化ガ ラスなどの生産手法,開発史などについて講演 をいただいた。さらにその講演の後,小松先生 (長岡技科大),矢野先生(東工大),松岡先生 (滋賀県立大)の3方からそれぞれショートス ピーチをいただく機会も設けられた。「シーズ を発掘するのは大学だけではない。面白いテー マは意外と企業との共同研究で見つかることが 多い」と,産学連携について小松先生がお話し た内容が印象的であった。 続いてガラスおよびフォトニクス材料討論会 の内容であるが,今年の発表件数は招待講演2 件,ポスター発表48件,研究機関紹介21件, 一般口頭発表40件であった。口頭発表は例年 同様,A,B と2つの会場に分かれて行われ, A 会 場 で は ガ ラ ス の 物 性・構 造 関 連 の 講 演 が,B 会場ではフォトニクス材料関連の講演が 主となっていた。筆者は A 会場を中心に聴講 したので,以下その中で興味深かった講演につ いて紹介したいと思う。 北海道立総合研究機構からは,X 線 CT を用 いた鉛含有ガラスの鉛分離過程観察に関する報 告 が あ っ た。SiO2―PbO―Al2O3―Na2O 系 ガ ラ ス

を所定の温度で還元熔融させ,X 線 CT 観察, XRD,熱分析などから Pb が沈殿分離する過程 を考察した。不透明体や,割断すると構造が崩 れてしまうような試料でも X 線 CT を用いる

Nikon Corporation Materials & Advanced Research Laboratory

Kohei Yoshimoto

Report on the 55th Conference on Glass and Photonics Materials

吉 本 幸 平

(株)ニコン 材料・要素技術研究所

第55回ガラスおよびフォトニクス材料討論会参加報告

ニューガラス関連学会

〒252―0328 神奈川県相模原市南区麻溝台1―10―1 TEL 042―740―6491 FAX 042―740―6333 E­mail : Kohei.Yoshimoto@nikon.com 44

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ことで内部観察が可能になるため,有用な観察 手法であると感じた。また,X 線 CT を用いた 観察については東工大のグループからも報告が あった。

京大化研からは,Na2O―Cs2O―(SiO2,B2O3)

系ガラスにおけるアルカリ金属イオンの局所構 造解析に関する報告があった。上記組成におい て Cs2O/Na2O 比を変化させ,NMR で133Cs,23Na の測定を行った。結果,Cs2O/Na2O 比の上昇 に伴い Cs+ イオンの平均配位数は上昇し,反対 に Na+ イオンでは平均配位数は低下することが わかった。これは Cs+ イオンが高配位数のサイ トを,Na+ イオンが低配位数のサイトを選択的 に占有していることを示唆しており,これがア ルカリ金属イオンにとって活性化障壁となるの ではないかと考察した。 岡山大からは,メタリン酸塩ガラスの異方性 構造解析に関する報告があった。最近,冷却固 化時に一軸引張応力を印加することで巨大な構 造異方性を示すメタリン酸組成が発見されてい る。そのガラスの変形時の時間,温度,応力な どのパラメータに対し,異方性がどのような影 響を受けるかを分子動力学計算によって評価し た。結果,印加応力が大きいほど,また印加時 のガラス温度が低いほど構造異方性が大きくな ることを明らかにした。さらに得られた粒子座 標から構造因子を求め,PO4四面体の回転がガ ラスの異方性発現に寄与していることなどにつ いて説明した。 愛媛大からは,ZnO―SnO―P2O5―B2O3系ガラ スの耐水性向上に関する報告があった。現在実 用化されているゼロ光弾性ガラスは鉛を含有し ており,今後環境規制の対象となる懸念があ る。鉛フリーかつゼロ光弾性定数を有するガラ スとして ZnO―SnO―P2O5系がこれまで報告さ れていたが,耐水性に課題があった。今回この 系に B2O3を導入することで,浸出法による耐 水性を2∼3桁程向上させることに成功した。 またラマン分光から,B2O3添加に伴い Q1主体 であったリン酸構造が Q0 に変化すること,P― O―B 構造が増加することが確認され,耐水性 良化に寄与したと考察した。一方,光弾性定数 は ZnO 量に伴い単 調 上 昇 す る 傾 向 が あ り, ZnO 量を調整することで B2O3を一定量含んだ 組成でもゼロ光弾性を実現した。 産総研からは,BaO―Nb2O5―P2O5系ガラスに おいて,特に高 Nb2O5域で生じる黄着色の発 現メカニズムに関する報告があった。Nb/P 比 で0.3を超えると,NbO6の三次元構造が形成 されることがラマン分光,IR 吸収結果から確 認された。また,Nb2O5量の増加に伴い Nb―O 距離の分布が長距離側へシフトし,分布幅もブ ロードになることが高エネルギー X 線回折か らわかった。これは三次元 NbO6ユニットの歪 によって Nb―O 距離に分布が生じるからであ り,吸収端の長波長シフトにも影響しているの ではないかと考察した。 旭硝子からは,シリカガラス中の空隙サイズ とレイリー散乱損失との相関に関する報告があ った。シリカガラスに HIP 処理を施すと,温 度,圧力に伴い空隙サイズが収縮し,レイリー 散乱損失もそれに伴い低減されるという興味深 い結果が得られた。空隙サイズは陽電子寿命測 定法を用いて測定された。現在,光ファイバに おける損失の約80% をレイリー散乱が占める といわれており,今後の発展を期待させられる 内容であった。 東大生研からは,永久高密度化させたシリカ ガラスの光学特性に関する報告があった。φ 5 mm 程度と比較的大きい試料に高温高圧処理を 施すことで,これまで報告された中で最高の 21∼22% を上 回 る23% の 密 度 上 昇 を 確 認 し た。他 の 報 告 で は 結 晶 化 し て し ま う 条 件 (1200℃,7.7GPa)でもガラスが得られたの は,試料サイズが大きく表面起因の結晶化を抑 制できたためではないかと推察した。圧力印加 により屈折率は上昇し,α―クオーツを上回っ たが,アッベ数はα―クオーツよりも小さい値 であった。構造解析結果についても今後報告予 定とのことであった。 45

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日本の大学のガラス研究者地図

長岡技科大(小松教授、本間准教授) 福井大(葛生教授) 北陸先端大(牧島教授) 滋賀県大(松岡教授、吉田(智)准教授、山田准教授) 京都大(平尾教授、田中(勝)教授、田部教授 藤田准教授、下間准教授、 兵庫県立大(矢澤教授、嶺重准教授) 九州大(土肥教授、藤野教授) 愛媛大(武部教授、山下准教授) 岡山大(難波教授、早川(聡)教授、紅野准教授) 大阪府立大(辰巳砂教授、林准教授、高橋教授) 関西大(幸塚教授、内山准教授) 三重大(那須准教授、橋本准教授) 名古屋工大(春日教授、早川(知)准教授) 東京大(井上(博)教授) 東京理科大(安盛教授、曽我教授) 東京工大(吉本教授、矢野教授) 青山学院大(重里教授) 東北大(藤原(巧)教授、高橋准教授) 北大(田中(啓)教授、西井教授、忠永教授、 海住准教授、樋口准教授) 京都工繊大(角野教授、若杉教授) 神戸大(内野教授、蔵岡准教授) 豊橋技科大(松田教授、武藤准教授) 徳田准教授) 甲南大(町田教授、内藤准教授) 名古屋大(大槻教授) (2015 年 1 月の教授及び准教授を掲載:ニューガラスフォーラム作成) 三浦教授、中西准教授、 首都大学東京(梶原准教授) 豊田工大(大石教授、斎藤教授、鈴木准教授、) 金沢大(奥野教授) 立命館大(小島教授) 諏訪東京理科大(西澤教授) 秋田大(菅原准教授) 慶応大学(藤原教授) 九工大(城崎准教授) 千葉大からは,リチウムホウ酸ガラスの有効 核電荷解析に関する報告があった。分子動力学 法を用いてシミュレーションを行い,Li の電 荷補償は特定の原子によってではなくガラスネ ットワーク全体でなされていること,B は構造 によって明確に電荷分布が分かれていること, O は架橋,非架橋に関わらず有効核電荷はほぼ 等しくなることなどを明らかにした。 全体の発表件数は例年に比べるとやや少なく 感じられたものの,質疑応答で時間が余るとい ったようなこともほとんどなく,活発な意見交 換が行われていたように思う。また GIC10で も話題に挙がっていたが,今後も産と学の密接 な連携によって,ガラス研究の分野がより一層 発展していくことが期待される。その意味で, 本討論会は大学,企業問わず情報を共有できる 大変貴重な場となっているということを改めて 実感した。来年の第56回ガラスおよびフォト ニクス材料討論会は名古屋工業大早川研究室の 御世話の元,開催される予定である。 46

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