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JAIST Repository: 産学連携における科学技術移転プロセスとしての知的財産管理活用の現状と課題 : 地方国立大学の視点

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 産学連携における科学技術移転プロセスとしての知的 財産管理活用の現状と課題 : 地方国立大学の視点 Author(s) 内山, 大史; 加藤, 陽治 Citation 年次学術大会講演要旨集, 28: 147-150 Issue Date 2013-11-02

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/11686

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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1D10

産学連携における科学技術移転プロセスとしての

知的財産管理活用の現状と課題-地方国立大学の視点-

○内山大史, 加藤陽治(弘前大学) はじめに 知財立国宣言から10年が経過した今年、今後 の中長期政策課題と取組み例をまとめた「知的財 産政策ビジョン」が知的財産戦略本部にて決定さ れた。また、その中核部分を「知的財産政策に関 する基本方針」として閣議決定(平成25年6月 7日:一般案件)した。2002年の総理大臣施 政方針演説以来、戦略大綱、基本法、各年の推進 計画策定等政府が一丸となって「知的財産立国」、 すなわち知的財産をもとに、製品・サービスの高 付加価値化を進め、経済・社会の活性化を図る国 づくりの実現に取り組んできた。 本報告は、新たに示された方針・ビジョン概要、 現時点での企業動向、これまでの大学等の取組み 等に関するデータを基にしたレビュー的性格を もつとともに、地方国立大学において知的財産の 創出・管理・活用に携わる立場からの課題提起の 機会としたい。 1.知的財産政策にみる現状と課題 基本方針によると、見直しは、この間における 新興国のプレゼンスの向上、ビジネス環境のグロ ーバル化・フラット化・オープン化等政策の前提 となる経済社会情勢が急激に変容したためと記 されている。さらに、「幅広い分野の最先端技術 を有しながら、その戦略的活用においては他国に 後れをとっている」との評価から、以下の3つの 目標と4つの柱を新たな軸として展開すること としている。 【3つの目標】 ・国内外の企業や人を引き付けるような世界最 先端の知財システムを構築する ・新興国の知財システム構築を積極的に支援し、 各国で準拠されるスタンダードとなるよう浸透 を図る ・知の担い手となる創造性と戦略性を持った人 財を絶えず輩出する 【4つの柱】 1.産業競争力強化のためのグローバル知財シス テムの構築 2.中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強 化支援 3.デジタル・ネットワーク社会に対応した環境 整備 4.コンテンツを中心としたソフトパワーの強化 ビジョンの中で「大学」に触れた項目は以下の 2点★である。 ★1-2国際的な知財制度間競争を勝ち抜くた めの基盤整備 (7)産学官連携機能の強化 【課題】・中小・ベンチャー企業は、我が国の 産業競争力の源泉をなす存在であるとともに、近 年のグローバル化に伴い、激しい国際競争にさら されている。一方で、大企業と比べると、質、量 的な面で研究開発設備・人財などが不足している 状況にある。 ・大学などには優れた研究開発成果が存在してい る。大学などの知を、更なるイノベーションにつ なげ、グローバルに展開するために、中小・ベン チャー企業が積極的に大学などと連携すること によって、革新的な技術を創造し、国内だけでは なく、グローバルに活躍できるような取組が必要 である。 ・また、大学などの優れた研究成果を効果的にイ ノベーションにつなげ、我が国の社会的課題の解 決や産業競争力の強化を図るためには、世界をリ ードする海外の先端企業や人財など、多様な研究 開発主体の知を活用することが必要である。 ・国内における企業や大学などが保有する知的財 産をより有効的に活用するため、企業や大学など が保有する他社に開放可能な知的財産の流通促 進を支援する人財を確保することが必要である。 ・大学やTLOにおける産学連携活動の評価につ いては、平成25年度から各機関において自主的 な評価が行われることが期待されており、今後は 知の掘り起こしや実用化への取組を高めるこが 必要である。 ★2(5)地域中小・ベンチャー企業及び大学の 知的財産活動活性化

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【課題】中小・ベンチャー企業は社内に十分な知 財部門を有しておらず、独力で知財マネジメント を行うのは困難。また、大学の知財部門は一定の 整備が進展しているが、適切な知財マネジメント が十分に行えていないところもある。そのため、 外部の専門家や関係機関からの支援が必要であ る。しかし、地域における専門家や関係機関の支 援体制は未だ十分ではない。地域における中小・ ベンチャー企業及び大学の知財活動を活性化さ せるためには、地域の知財支援ネットワーク強化 を推進する必要がある。 2.近年の産学連携状況概観 産学連携状況を示す指標の一つとして大学と 民間企業等との共同研究件数がよく用いられる。 下図は平成18年度から平成23年度の件数の 推移である。この6年間、民間企業との共同研究 件数は1万2千件から1万6千件へと順調な伸 びを記録してはいるが、我が国での企業体として 殆どを占める中小企業との共同件数の伸びは大 企業に比して高くない。 12,489 13,790 14,974 14,779 15,544 16,302 3,926 4,087 4,149 4,268 4,416 4,520 83 111 127 179 185 214 0 5,000 10,000 15,000 20,000 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 (件) 民間企業・中小企業・外国企業との 共同研究実施件数の推移 民間企業 中小企業(民間企業の内数) 外国企業(民間企業の外数) (出典):文部科学省「平成23年度 大学等における産学連携等実施状況について」 特許庁 作成資料より 3.大手企業の研究開発(R&D)の状況 先日公開された大手企業に対する研究開発調 査によると、研究開発費が5.5%の増加(20 12年度比)と見込まれ、自動車、電機、製薬等 が上位を占めている。社外でのシーズ収集手法と して、「大学関係機関との交流」と回答したのは 実に91%に上った。さらに、「強化したい技術 調達先」として69%の企業が「国内大学・研究 機関」、61%が「海外大学・研究機関」を選択 している。 18% 91% 23% 10% 34% 41% 0% 20% 40% 60% 80% 100% その他 大学関係機関との交流 公的支援機関の仲介 ニーズ開示で一般公募 商社・コンサルタント などの仲介業者利用 サプライヤーなどの 売り込み 社外でのシーズ収集手法(回答216社・複数回答) 12% 23% 24% 25% 23% 26% 61% 69% 0% 20% 40% 60% 80% その他 取引先企業 海外中小企業 海外大企業 国内中小企業 国内大企業 海外大学・研究機関 国内大学・研究機関 強化したい技術調達先 (回答212社) 4.国立大学法人の知的財産状況 国内大学の技術シーズの輩出状況はどうか。も ちろん、大学等からの技術移転形態は多種多様で あり、知的財産権に限ったことではなく、先に挙 げた共同研究をはじめ、受託研究、ノウハウの提 供、ベンチャー企業の立ち上げ等様々であるが、 本報告においては「特許」に焦点を絞りたい。 1,527 1,979 2,775 4,604 7,352 7,569 7,859 7,601 7,151 6,909 6,756 6,962 18% 20% 25% 25% 27% 26% 24% 27% 27% 27% 30% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (件) (年) 我が国の大学等からの特許出願件数及び グローバル出願率の推移 出願件数 グローバル出願率 (出典):「特許庁行政年次報告書2013年版」60頁 特許庁 作成資料より 上図は大学等からの特許出願件数及びグロー バル出願比率の推移である。グラフより、グロー

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バル出願率は上昇傾向が見られるものの、特許出 願件数は2007年を頂点に減少傾向が見てと れる。2004年の国立大学法人化に伴い、教員 の研究成果としての発明が、「原則個人帰属」か ら「原則機関帰属」に制度変更した当初、出願に かかる費用等の優遇措置、それまで眠っていた発 明の掘起こし等により急激に件数を伸ばしたも のの、各大学における知財管理費用の増大、大学 発知的財産の完成度の問題等により、「量から質」 への転換を図った結果である。 次に、国立大学法人を類型別にみてみる。 上図は登録件数であるため、2004年の法人 化以後増大した出願件数が4,5年のタイムラグ を経て、登録件数の急増に反映している様子がみ てとれる。旧帝国大学、附属病院を有する総合大 学、理工系大学、附属病院が無い総合大学の順で ある。 上図は公開件数の推移である。先に大学等総数 で述べたように、2007~8年を境に減少傾向 がみてとれるが、旧帝国大学および附属病院を有 する総合大学が回復傾向を示しているようにも 見える。 5.地域における大学のプレゼンス 報告者は全国都道府県における国公私立大学 の出願・登録件数および各県において大学の占め る割合について調査した。その中で大学出願件数 が都道府県での出願件数に占める割合の高いい くつかのケースを下に示す。 宮城県では旧帝国大学である東北大学の出願 件数が県内大学の殆んどを占めるとともに、宮城 県内企業の出願を含めた総数の44%(2011 年)を占める。2005年以降減少に転じた県全 体の出願件数に依拠する状況であることも認識 できるが、国内トップのプレゼンスを示している。 秋田県では附属病院を有する総合大学である 秋田大学(2011年:40件)に加え、秋田県 立大学(同:18件)の件数により、県内総数の 34%を占める。 高知県では附属病院を有する総合大学である 高知大学(2011年:17件)に加え、それを 上回る高知工科大学(同:28件)の件数により、 県内総数の35%を占める。 鳥取県では附属病院を有する総合大学である 鳥取大学(2011年:45件)のみが出願して いる大学であり、県内総数の31%を占める。

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4県についてデータを示したが、裏返すと研究 開発機能をもつ企業が少ないという、地方国立大 学をとりまく環境についても直感的に理解でき よう。 6.知的財産活動状況にみる企業動向 知的財産活動調査(2013年:特許庁)によ ると、企業(5件以上の産業財産権を出願:標本 数 3119)がライセンスのために企業グループ外に 支出している金額は全国で 668.6 億円となり、業 種別でみると電気機械製造業 203.6 億円、医薬品 製造業 124.1 億円、化学工業 88.6 億円が上位を 占め、この3業種で全体の 62.3%に相当すること がわかる。また、企業全体の譲渡および譲受額は それぞれ 117.7 億円、26.9 億円となっており、譲 渡が金額において4倍以上の値を示している。こ のことは、1年間に5件以上特許出願する企業等 は特許譲受額において収入が支出を上回ってい ると理解できる。 7.むすび 当事者がどのように考え、どのように展開しよ うとしているのかが重要であろう。 中小企業憲章が閣議決定(2010年)された が、中小企業振興条例を制定した都道府県は25 道府県(2002年以降)にとどまっている。市 町村レベルでは全国で83自治体(1979年以 降)にとどまっている。地域の中小企業をどう守 り、どう育てていくのか。 地方大学も同じである。知的財産、技術移転を 含む産学連携、地域貢献の位置づけに濃淡がある のは確実である。限られたスタッフ、資金で何の ために管理するのかを明確にし、その思いを構成 員が共有することが大事である。 さて、最後に「分析用データ」および「大学技 術移転システム」について提言する。 まず、国内大学の産学連携に関するデータに関 してのマクロ分析は限界がある。大学を個体とし てとらえ、個体の特性情報、個体のコホート特性 情報、場所的特性、時間的特性、関係特性を考慮 する必要がある。すなわち社会科学統計分野で議 論される、統計単位とその場所規定性について詳 細に議論される必要がある。ビジネスの成績には 事業所の競合性(マイナス効果)、集合性(プラ ス効果)などの効果が作用していると考えること は極めて自然である。種々データを個体情報とし てもっていることは重要なことである。産学連携 研究の深化のために、多くの個別データが公開さ れることを期待する。 次に、産学連携の深化、技術移転の活性化につ いては、TLO等技術移転機関・機能の集中化が 一つの解決策になり得るのではないだろうか。広 域TLOの機能強化により、地方大学の技術移転 数の増加はもちろん、中小企業からみても、技術 情報へのアクセスや契約締結が飛躍的に容易に なるであろう。さらに、海外企業との交渉におい ても大学側企業側双方の負担が軽減されるであ ろう。 参考文献 ○特許庁、平成24年度知的財産活動調査(20 13) ○特許庁、特許行政年次報告書2013年版(2 013) ○内閣府、知的財産政策に関する基本方針(20 13) ○知的財産戦略本部、知的財産政策ビジョン(2 013) ○知的財産戦略本部、知的財産推進計画2013 (2013) ○内閣官房、知的財産政策に関する基本方針(2 013) ○日刊工業新聞、「R&Dアンケート」2013 年7月25日(2013) ○菊地進、「地方自治体における政策形成と統計 利用」、経済統計学会全国研究大会(2013) ○森博美、「統計調査票情報と場所的特性につい て」、経済統計学会全国研究大会(2013)

参照

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