第6学年1組 国語科学習指導案
指導者 ○○ ○○ 1 単元名 作家と作品をかかわらせて読もう 「宮沢賢治」 2 指導観 【子どもの実態】 ○ 5年生の時に教材文を契機にして複数の宮沢賢治作品を読んだ経験はもっているが,日常の読書活動において一人 の作家や同じテーマについて比べて読んだり,深く味わったりする経験をもつ児童は少ない。 ○ 根拠とする叙述を挙げながら人物について自分なりの考えをつくることはできてきた。また,その共通点・相違点 などを明らかにしながら互いの読みを評価して作品の主題に迫ることの大切さに気づいてきた。 ○ 自分の考えを根拠を明確にしたり具体的な例を示したりする際,既習の文章中の必要な語句や文を抜き出したり適 切に組み合わせたりして自分の表現に生かすことができる児童が増えてきた。 ○ 場面単位の表現の工夫はとらえているが,主題を明確にする表現の効果に気付くまでには至っていない。 【めざす子どもの姿】 ○ 宮沢賢治の生き方や理想に関心をもち,伝記や作品を読み比べながら,意欲的に作家と作品をかかわらせて読むこ とができる。 ○ 行動と考え・理想を関係付ける読み取り、異なる2作品と教材文の読み比べなどを通して、賢治の生き方や作者の 捉える賢治の人物像に対する読みを深めることができる。 ○ 推薦したい作品を選び,作品に表れている賢治の理想・それがわかる叙述・書き方のよさという3つの観点を基に 推薦文を書くことができる。 ○ 伝記や賢治の作品を通して、登場人物の行動や会話(心内語),情景描写,象徴性の高い表現,場面の構成などに 作者が主題を明確に表すための表現の効果があることに気付くことができる。 【テーマとのかかわり】 教材の価値 ○ 本教材「宮沢賢治」は,作者の捉える理想を追い求めた賢治の人物像とその作品とのかかわりが導入と結びに,展 開の部分に賢治の生涯が述べられており,賢治の生き方と作品とを年代に即して読み取ることのできる教材である。 また,その生き方と作品を重ねることで双方の読みに深まりが期待できる教材でもある。 ○ 賢治の人物像を際立たせる比喩の多用,「自然」「理想」などのキーワードを軸とした対照的な表現や心内語の多用 により、賢治の考えと行動を関係づけてその生き方を考えることができる。 ○ 教材と賢治の作品,作品と作品を比べ関係付けて読み取ったことを交流することで,賢治の生き方に対する互いの 見方・考え方を広げたり深めたりするとともに自分の生き方を考えることにつないでいくことができる。 読み方を生かした交流活動について 本単元では,伝記と作品を読み比べ,作品に込められた作家の思いを読み取って推薦文を書く活動を通して,宮沢 賢治の生き方を読み深めるとともに,作家と作品をかかわらせる読み方を身に付けさせていきたい。そのために,以 下のような読み方を生かした交流活動を取り入れるとともに、読解を苦手とする子どもにT.Tで個別に対応する場を 増やしたり、課題別の読み深めを促すため少人数分割で賢治の作品を読み深めたりする支援を取り入れていく。 まず,「であう段階」では,「雨二モマケズ」を基に賢治の生き方に関心をもたせ,教材文の感想を交流してめあてを もたせる。次に「つくる段階」では,年表の作成を通して、賢治の生き方を概観させるとともに「理想が実現したかど うか」について叙述に基づき考察する活動を仕組み自分の考えをつくらせる。そして,「みがき合う段階」では,作品 を通して理想の実現とその生き方についての読み深めを図る。その際,「注文の多い料理店」で賢治の理想が作品にど のように表れているかを人物の言動・情景描写・象徴している言葉と賢治の理想を関係付けて交流し、友達に読解を勧 める推薦文を書く活動を仕組む。その読み方を基に、異なる人物像を描いた2作品のグループに分かれて交流し,作品 に表れた理想を読み取る活動を仕組む。再度、伝記にもどって理想の実現について交流し,賢治の生き方に対する自分 の考えを付加・修正・強化しながらまとめることができるようにする。最後に「生かす段階」では,読み広げた中から 紹介したい作品を選び,推薦文を書いて紹介し合う活動を仕組む。 特に本時では,「虔十公園林」に表れている「ほんとうのさいわいとは,自然と人間が一つになって心を通わせる ことができること。自分だけの幸せでなくみんなが幸せになること」という賢治の理想を読み取らせていきたい。 そのために,まず,めあてを基に読みの着眼点と方法を確かめ,着目した言葉をボードに書いて可視化するととも に,2人組で対話し考えを確かにさせる。そして,「みがき合う段階」では,前半と後半を比べさせ,登場人物の言 動や心情の変容を関係付けながら,賢治の理想・生き方を強く意識させる叙述を基に作品に表れた賢治の理想に迫 る。最後に「生かす段階」では,自分の読みを振り返り,虔十の人物像に賢治の生き方を重ねて読むことによる読 みの深まりを感じることができるようにする。3 本時の主眼 ○ 虔十や公園林に対する周りの人々の言動の変容と賢治の考え方や生き方を関係付けて,作品に表れている「ほんとう のさいわいとは,人間と自然が一つになって心を通い合わせることができること,自分だけの幸せでなくお互いがお互 いを幸せにしてみんなが幸せになること。」という理想を読み取ることができる。 ○ 根拠とした言葉や読み取ったことの共通点・相違点を明らかにしながら交流し,「公園林が教えるほんとうのさいわ い」という考え方から,「公園林と虔十,そして賢治が教えるほんとうのさいわい」へと考えを広げることができる。 4 準 備 学習ノート 前時までの読み取り図 ボード 5 展 開 (11/15) 段階 学 習 活 動 主 な 支 援(※主 要 発 問) で あ う つ く る み が き 合 う 生 か す 1 本時のめあてをつかむ。 ○ 前時に書いた自分の読みを振り返り,めあてをつかむ。 2 自分の読みを確かめ,発言の準備をする。 ○交流に生かす読み方を確認し,2人組で読みを伝え合う。 (着眼点)賢治の理想や生き方が表れている表現:虔十や杉林に対する登 場人物の行動や会話・情景描写・暗示,象徴するものや言葉 (方法) 取り出した叙述をもとに前半と後半で変わったもの・変わらな いものを関係付け,賢治の理想や生き方とのつながりを書いて 意味付ける。 3 作品に表れている賢治の理想について話し合う。 ○ 周りの人々の見方・考え方の変化から賢治の理想に迫る。 ○ “そして林は,虔十のいたときのとおり~”という文からど んなことを感じ取ったか話し合う。 ・ みんなが幸せになって虔十も喜んでいる感じがする。 ・ これからも虔十がすばらしいと思ってきたものが残されていくこと が分かる。 ・ 虔十と杉林が一体となって,ほんとうのさいわいが何だかをみんな に教え続けている感じがする。 4 読みの内容と方法を振り返り,読みの高まりを評価する。 ○ 「今日の学習で」を書き,読みや読み方を振り返る。 ・ 賢治の考え方や生き方と虔十を重ねて読んだので,自然と心を通わせ,み んなが幸せになって喜んでいるような虔十の気持ちも,こうなって欲しいと いう賢治の願いも伝わってきた。賢治はこの作品でわたしたちに「ほんとう のさいわい」が何なのかを伝えようとしていると思う。 わたしも虔十や賢治のように自然と心を通い合わせてみたい。 ○ 作品の叙述とつないで考えられるように賢 治の理想を表す言葉や理想と生き方の関係を まとめた読み取り図を掲示する。 ○ 根拠を明確にしながら交流できるように, ボードに着眼した言葉を書くよう指示する。 ○ 自分の考えを話すことで整理し,確かにで きるように,発言モデルをもとにした2人組 での交流を仕組む。 ○ 賢治が作品に表した理想に迫るために,虔 十や杉林に対する周りの見方の変容ときっか けを考える交流を仕組む。 ※ 虔十公園林が教える「ほんとうのさいわい」 とは何だろう。 ○ 公園林が教える「ほんとうのさいわい」が 何であるかを読み深めるために,賢治の理想 である「まことの幸せ」とつないで解釈する 活動を仕組む。 ※ 賢治は,なぜ虔十を生かして杉林が公園林 になるのを見届けさせなかったのだろう。 ○ 構成の工夫に気づかせるために,賢治の理 想や生き方がより伝わる表現の仕方を問う。 ※“ほんとうのさいわいが何だかを教えられま せんでした。”で終わるのと“そして林は,虔 十のいた時のとおり~”の文があるのとでは 感じ方がどのように違いますか。 ○ 杉林に込められた虔十の変わらない思いと 賢治の伝えたい理想に迫ることができるよう に最後の文の表現の効果を問う。 ○ 作品の特徴をとらえることができるよう に,「注文の多い料理店」と「虔十公園林」の 理想の表し方の違いを確認する。 ○ どんな読み方をしたから何が分かったのか と作品に表した賢治の理想に対する自分の考 えについて学習を振り返るよう助言する。 ・ (叙述)が(叙述)に変わった・変わらないのは,~(原 因)だからだと思います。これは,賢治の(理想・生き方を 表す言葉)とつながっていると思います。 宮沢賢治が「虔十公園林」に表した理想とは何か読み取ろう。 「虔十公園林」に表した賢治の理想 『ほんとうのさいわいとは,人間と自然が一つになって心を通い合わせることが できること。自分だけの幸せでなくお互いがお互いを幸せにすることであり,み んなが幸せになることである』 交流を通して自分の考えの根拠やその関係付け 方を付加・修正・強化し,ほんとうのさいわいを 教え続けるのは杉林だけではなく虔十や賢治でも あることを読み取ることができる。(発言・ノート) 子どもたち・村の人(虔十や杉林に対する見方の変容) ・ いつもばかにして →ああまったく,たれがかしこくたれがかし こくないかは分かりません。 ・ あんなところに杉など~→いつまでも,このとおり保存するように 虔十が育てた杉林(変わらない) (変わらないものが変えていく) ・毎日毎日子どもたちが ・ 雨の日 すきとおるつめたいしずくを 虔十の思いが 変わらず残る ほんとうのさいわい 自然と人間が心を通い 合わせるすばらしさ みんなを幸せにする
6 単元計画(全15時間) 段階 配時 学 習 活 動 主 な 支 援 で あ う ① ① 1 単元のめあてをつかみ,学習の見通しをもつ。 ○ 「雨二モマケズ」を読み,宮沢賢治の考え方や生き方に ついて考える。 ・「ソウイウモノ」とは何だろう ・この詩を書いた宮沢賢治はどんな生き方をした人だろう。 ○ 全文を読み,初発の感想を出し合って学習のめあてと見 通しをもつ。 ○ 事前に「雨二モマケズ」の推薦文を提示し た上で継続的に音読させる。既習の「注文の 多い料理店」についても読み返させておく。 ○ 教室に宮沢賢治の童話を集め,作品に親し める環境を作っておく。 ○ 個々の課題を整理して,賢治の理想と生き 方を関連付けていく読みの課題をつくる。 つ く る ① ① ① ① 3組 本時 ① 2 宮沢賢治の理想と生き方とのかかわりについて考えを つくる。 (1)作者がとらえた賢治の人物像と賢治の生涯を関係付け て,その生き方を考える。 ○ 導入・展開・結びの構成をとらえ,導入から作者が賢治 という人物とその作品をどう捉えていたか読み取る。 ○ 賢治の生涯を生まれた環境や行動・考え(願いや理想)・ 詩や童話とのかかわりの3点で簡単な年表にまとめる。 ○ 自然の魅力が忘れられず童話や詩を書き始める教師時 代までの賢治の理想と生き方のかかわりについて考える。 ○ 農民として生きながら詩や童話を書いた賢治の理想と 生き方とのかかわりについて考える。 (2)賢治の生き方と理想の実現について考えをつくる。 ○ 賢治の理想が端的に表れている叙述から,賢治の理想に 迫る。・世界が全体幸福にならないうちは~。人間も動物も自然も一つになって心を 通い合わせることのできる「まことの幸せ」。だれもが幸せになれる新しい世界 ○ 賢治の理想が実現したかどうかについて,作者が賢治を 評する叙述を基に自分の考えをつくる。 ○ 書くために必要なことの見通しをもたせる ために推薦文の例示をする。 ○ 作者が捉えた賢治の人物像や作品に込めら れた夢を表す言葉を意識してその生涯と関係 付けていけるようカード化しておく。 ○ 行動と考えを着眼点とし,それを関係付け て自分の読みをつくる方法を一人ひとりが身 に付けられるようT.Tで演示をしたり,個 別指導をしたりする。 ○ 叙述を基にした自分の考えをもたせるため に,「賢治の理想は実現したのか」と問う。 み が き 合 う ① ③ 3/3 1組 本時 ① ① 2組 本時 3 作品を通して賢治の生き方と理想の実現について読み 深める。 (1)「注文の多い料理店」に表れている賢治の理想を読み 取り,推薦文を書く。 (2)自分の選んだ作品に表れている賢治の理想を読み取 り,推薦文を書く。 「なめとこ山の熊」グループ 「虔十公園林」グループ (賢治がこうあって欲しくないと願う世界) (賢治がこうあって欲しいと願う世界) ○ 賢治の考え方や生き方が表れている登場人物の言動や 象徴している表現を関係付けて作品に表れている理想を 読み取る。 ○ 作品を通して考えたことを基に推薦文を書き,賢治の理 想は実現されたと思うか自分の考えを再構築する。 (3)理想は実現したのか話し合い,生き方について深める。 ○ 作品を通して読み深めたことと賢治に対する作者の考 え方が分かる叙述を関係付けながら,理想の実現について 見つめ直す。 ○ 生涯をかけて理想を探し続けた賢治の生き方に対する 自分の考えをまとめる。 ○ 選んだ作品に読み方が生かせるように,読 みの抵抗の少ない既習作品で着眼点・方法を もとに読み取り,推薦文を書く活動を仕組む。 ○ 賢治の考えが顕著に表れている文を探し, 叙述と叙述を関係付けて作品に表した理想を 捉えるために読み方をT.Tで演示する。 ○ 「こうあって欲しい」「こうあって欲しくな い」という理想の表し方をした2つの作品を 通して思考を深めていくために課題別の少人 数のグループに分けて取り組む。 ○ 他の作品と比べた特徴を明らかにするため に推薦文の書き方を演示する。 ○ 理想の実現について振り返るために,理想 の実現度を表すノートの工夫をするとともに 発言モデルを示す。(初めは~と思っていたけど~と 思いました。それは(叙述)から~が分かったからです。) 生 か す ① ① 4 賢治の理想と作品をかかわらせて読み,推薦文を書いて クラスの友達に紹介する。 ○ 自分が紹介したい宮沢賢治の作品を選ぶ。 ○ 作品に表れている賢治の理想を読み取り,推薦文を書く ・これまでの読みを生かし,他の作品との共通点・相違点を書く。 (課外)推薦文を教室や図書室に掲示し,互いに読み合って読書につなぐ。 ○ 既習の読み方が生かせるよう着眼点・方法 を振り返らせながらT.Tで個別指導をする。 ○ 作品を読むことや紹介することが賢治の理 想の実現にもつながることを意識化する。 賢治の理想や生き方を読み取り,作品の中にそれがどの ように表れているかが分かる推薦文を書こう。 詩や既習学習から宮沢賢治の理想や生き方を想 像することができる。 (発言・感想文) 賢治の理想を読み取って,その生き方と理想の 実現について自分の考えをつくることができる。 (ノート・発言) 賢治の理想がどのように表れているのかを作品 を比べながら読むことができる。(ノート・発言) 叙述を根拠にして,3つの観点から推薦文を書 くことができる。 (推薦文) 3つの観点:作品に表れている賢治の理想・賢治の理想 がはっきり表れた言葉・書かれ方のよさ (他の作品と比べて 共通していること・特徴)