琵琶湖湖岸における地形環境の変遷について--その1、南湖沿岸を中心として
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(2) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 本 稿 で は、紙 面 の 関 係 で 、琵 琶 湖 湖 岸 全 域 の 成 果 を 一 度 に紹 介 で きな い の で 、琵 琶 湖 南 湖(琵 琶 湖 大 橋 以 南)の 調 査 結 果 を 中心 に、 報 告 書 の 内容 を再 編 集 して ま とめ た。 北 湖 沿 岸 に つ い て は 、 続 編 と して 後 日記 載 す る こ と に す る 。. 本 稿 に記 載 した 内容 は、 は じめ に琵 琶 湖 南 湖 の沿 岸 と湖 底 の地 形 の特 徴 を これ ま で の研 究 成 果 か らま と め た。 次 いで 、20年 前 に行 っ た湖 岸 地 形 の類 型 化 の基 準 を示 した の ち、 今 回 の調 査. 表 一1報. 告 書 の 目次. 平 成19年 度. 滋 賀 県 琵 琶 湖 環 境 科 学 研 究 セ ン ター 委 託 研 究 報 告 書 湖 岸 環 境 変 遷 調 査(土 地 条 件) ,.成20年3月 近畿大学 准教授 辰己 勝 目. 次. 一 一. 2 3. 一 一. 4 5. 一 一. 6 7. 一湖. 8. 一 一. 1 2. 現 在 の湖 岸 の 写 真(2007年 査 に よ る). の調. ま とめ. 次. 図II9 図 皿 一10 図III-11 図 皿 一12. 第IV章 図IV-1 図N-2 図IV-3 図IV-4 図IV-5 表IV-1 表IV-2. .!. }. 一. 琵琶湖湖岸平野の地形環境 近江盆地の段丘面分布 と活断層 琵琶湖周辺の地形模式図 琵琶湖湖岸平野の河川別 ・高度別面 積 主要河川の勾配 と位置図 琵琶湖湖岸平野の河川別 。高度別面 積、 距離、平均勾配 琵琶 湖湖岸の各平野 の地 形 南湖西岸低地の地形 分類 図 南湖の湖底地形 および湖岸 低地 の等 高線 図 野 洲川下流平野 の地形分類 図 湖岸 ・湖底 の等 高 ・等深線 図(琵 琶 湖南部) 地形縦 断面 図 野洲 川下流平野 の地形帯 区分 図 湖東平野地形分類 図 湖北平野地形分類 図. 1. 一. 目. 堅 田丘陵前面低地 比叡 山麓低地 大津市街地 南湖東部 の湖岸 湖東地区 の湖岸 湖北平野 の湖岸 湖北 山地 の湖岸 湖西地区 の湖岸. 岸の写真 ヘ リコ プ ター か らの 写 真. 3 3. 図 皿 一8. 2. 図 皿 一6 図 皿 一7. 2 2. 図III-5. 2 2. 図 皿 一3 図u4. 2 2. 一 W W. 図 皿 一2. 一3. W. 第 皿章 図 皿 一1. 一 一. W W W. 図II-4 表II-1. 一 一. W. 図II-3. 一 一. 第II章. 一. W W W. 第V章. 図 表 図II-1 図II-2. 2. 皿 一4-3湖 岸 ・湖 底 地 形 皿 一5湖 西平野 皿 一5-1安 曇 川 ・鴨 川 下 流 III-5-2湖 岸 ・湖 底 地 形 第IV章 湖 岸 の状 況 IV-1湖 岸 地 形 の類 型 IV-2現 在 の湖 岸 の状 況 と20年 間 の変 化. 〔 要 旨〕 第1章 序 文 第II章 琵 琶 湖 湖 岸 平 野 の地 形 環 境 第 皿章 琵 琶 湖 周 辺 に お け る各 平 野 の地 形 皿 一1南 湖沿岸 皿 一1-1南 湖 の西 岸 皿 一1-2南 湖 の東 岸(草 津 川 以 南) III-1-3南 湖 の湖 岸 と湖 底 の地 形 III-2野 洲川下流平野 皿 一2-1野 洲 川 下 流 平 野 の地 形 の 特 徴 皿 一2-2野 洲川下流平野の形成過程 III-2-3平 野 の形 成 時 期 皿 一3湖 東平野 皿 一3-1日 野川下流 皿 一3-2愛 知川下流 III-3-3犬 上 川 ・芹 川 下 流 III-3-4湖 東 平 野 の 湖 岸 ・湖 底 地 形 皿 一4湖 北 平 野(姉 川 ∼ 高 時 川 下 流 域) 皿 一4-1姉 川左岸 皿 一4-2高 時川右岸. 湖 岸 ・湖 底 の 等 高 。等 深 線 図(高 時 川 右 岸) 湖 西 北 部 平 野 の 地 盤 高 と旧 河 道 の 分 布 曽根沼周辺条里復原図 安 曇 川 下 流 平 野 北 部 の 湖 岸 と湖 底 の 地形図 湖岸の状況 地形 分 類 によ る琵 琶 湖 湖 岸 の 地 形 区 分 図(南 部) 地 形 分 類 に よ る琵 琶 湖 湖 岸 の 地 域 区 分 図(中 部) 地 形 分 類 に よ る琵 琶 湖 湖岸 の地 域 区 分 図(北 部) ヘ リ コプ タ ー か らの 湖岸 写 真(2007 年8月 撮 影) 湖岸 の現 地 写 真(2007年 撮 影) 湖岸 地 域 の類 型 区分 表 湖岸 の状 況(25ペ ー ジ).
(3) 琵 琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環 境 の 変 遷 につ い て 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中 心 と して 一. の 成 果 と して 、 各地 域 の現 在 の 湖岸 の状 況 を 図 示 し、20年 間 の 変 化 の 実 態 を 明 らか に した 。 筆 者 は教 職 の 自然地 理 学 を 担 当 して お り、 この 研 究 を 琵 琶 湖 の地 形環 境 の 把 握 と、 湖 岸 環 境 の保 全 を取 り組 む た あ の教 材 と して 活用 して い る。. 皿. 琵 琶 湖 湖 岸 平 野 の地 形 研 究 こ れ ま で、 琵 琶 湖 を含 む近 江 盆 地 の地 形 研 究 は、 次 の三 つ の側 面 か ら進 め られ て き た。 一 っ. は、 周 辺 の 山地 ・丘 陵 の形 成 を含 め、 第 四紀 全 体 か らみ た 「地 形 発 達 史 」 と 「形 成 営 力 」 の研 究 で 、 段 丘 地 形 の対 比 な どが 精 力 的 に行 われ た。 近 年 で は湖 中 や周 辺 山地 ま で及 ぶ 活 断 層 に関 す る変 動 地 形 の研 究 も含 めて 、 その 成 果 は滋 賀 県 全 体 の地 形 学 図(池 そ れ に都 市 圏 活 断 層 図(国 土 地 理 院)等. 田 ほか1991、 植 村2001)、. に表 現 され て い る。. 二 つ 目は 湖 岸 を含 む 低 地 の 地 形 が 細 か く区 分 され 、 国 土 地 理 院 や 滋 賀 県 に よ る地 形 分 類 図 (土地 条 件 図)が 作 成 され 、 湖 岸 平 野 は そ の 「形 態 」 に よ って扇 状 地 ・三 角 州 等 に 区分 さ れ た。 三 つ 目 は 湖 岸 部 の地 形 の形 態 に関 す る 研 究 で あ る。 これ は前 記 の琵 琶 湖 研 究 所 の 委 託 調 査 「湖 岸 に お け る土 地 条 件 」 で、 湖 岸 地 形 の 類 型 化 が行 わ れ 、 琵 琶 湖 全 域 の 湖 岸 を13の 類 型 に分 け て、 そ れ ぞ れ の特 徴 が詳 し く記 され た(北 澤 ・辰 己1990)。 そ の 概 要 はIV章 に記 載 した 。. 皿. 琵 琶 湖 南 湖 沿 岸 と湖 底 の地 形 琵 琶 湖 周 辺 に発 達 す る各 平 野 の地 形 の特 徴 につ い て、 琵 琶 湖 大 橋 よ り南 側 の南 湖 沿 岸 を 中心. と して ま と め た。 記 載 順 は西 岸 か らは じめ、 反 時 計 回 り と した。 これ はす べ て の調 査 の際 につ け られ た1kmご. との ポ イ ン ト(No.0∼No.219)に. 対 応 した た あで あ る。 以 下 に は南 湖 を西 岸 と. 東 岸 に分 けて 地 形 の 特 徴 を 記 載 した 。 た だ し東 岸 の 野 洲 川 下 流 域 につ いて は、 琵 琶 湖 岸 を 代 表 す る平 野 で 、 研 究 成 果 も多 く、 平 野 の 形 成 時 期 や 形 成 過 程 に まで 言 及 した 拙 稿(辰 己2004)も あ るの で 、 本 稿 で の 記 載 は 割 愛 した。 1南. 湖 の西 岸 の地 形. 南 湖 の西 岸 の地 形 は、 背 後 の丘 陵 や 山地 との 関連 か ら、 北 部、 中部 、 南部 の三 つ に 分 け られ る。 図 一1は 和 遡 川河 口 か ら瀬 田川 ま で の地 形 分 類 を示 した もの で あ る。 北 部 は背 後 に古 琵 琶 湖 層 群 よ りな る堅 田丘 陵 が あ り、 そ の 中 を流 れ て き た 中小 の河 川 に よ って で き た低 地 が湖 岸 に 広 が って い る。 北 部 の和 遡 川 河 口 は典 型 的 な尖 状 デ ル タ を形 成 し、 そ の南 の真 野 川 や天 神 川 は 流 路 沿 い の 自然 堤 防 が そ の ま ま湖 中 に没 した形 を と っ て い る。 ま た、 雄 琴 川 や大 正 寺 川 は かつ. 一61一.
(4) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 図 一1南. 湖 西 岸 低 地 の 地 形 分 類 図(辰 己1989). 一62一.
(5) 琵 琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環 境 の 変 遷 につ い て 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中 心 と して 一. て はデ ル タ上 で 何 本 か に分 流 し、 そ れ ぞ れ の 河 道 ご と に河 口 にデ ル タを 伸 展 させ 、 湖 中 に張 り 出 した 鳥趾 状 三 角 州 を 形 成 した こ とが 図 か ら も読 み 取 れ る。 中部 は 背 後 に比叡 山地 が連 な って い るた め、 低地 部 は山 裾 か ら2km内. 外 と狭 くな って い る。. 山麓 には 各 河 川 の 形成 した小 規模 な 扇状 地 が連 続 し、 そ の 扇端 部 か らは 氾濫 原(扇 状 地 性 低地 と して 図示)に 移 行 して、 湖岸 近 くは デ ル タ とな って い る。 しか し、 平 野 全 体 と して は や や勾 配 の あ る地 形 で、 扇 状 地 が そ の ま ま湖 岸 に ま で達 して い る と も表現 で き る。 南 部 は、 大 津 市 街 地 の あ る緩 斜 面 で、 背 後 に古 琵 琶 湖層 群 よ りな る膳 所 ・石 山丘 陵 と醍 醐 山 地 が湖 岸 近 くま で迫 り、 湖 岸 ま で の低 地 の 幅 は狭 い と ころ で は数100m前. 後 で あ る。 湖 岸 部 は、. 大 半 が市 街 地 とな り、 埋 立 地 の人 工 地 形 が多 い。 打 出浜 や に お の浜 の埋 立 地 の前 面 は、 近 年 さ らに整 備 され 「な ぎ さ公 園」 な どに な って い る。 2南. 湖 東 岸 の地 形(旧 草 津 川 以 南). 旧草 津 川 下 流 部 よ り南 側 は、 背 後 に古 琵 琶 湖 層 群 よ りな る瀬 田丘 陵 が あ り、 そ の丘 陵 を水 源 とす る 中小 河 川 に よ って形 成 され た低 地 が 大 部 分 を 占 め て い る。 そ の代 表 的 な もの は伯 母 川 や 狼 川 で、 河 道 が 固定 され た の ち は、 いず れ も天 井 川 とな り、 か つ て の東 海 道 本 線 は河 道 の下 を トンネル で 通 過 して い た。 河 口部 は小 規 模 なが ら湖 中 に突 出 した尖 状 デル タ の形 態 が 残 って い る。 低 地 は瀬 田丘 陵 内 の谷 底 低 地 か ら続 く氾 濫 原 と、 湖 岸 近 くの三 角 州 の二 面 に大 き く区 分 され る。 両 者 の境 界 は明 瞭 で はな いが 、 ほぼ 標 高87m付. 近 で あ る。. 旧草 津 川 は、 そ の 下 流 に お い て わ が 国 を 代 表 す る天 井 川 と な り、 河 道 に沿 った 高 い堤 防 が、 草 津 市 街 地 お よ び下 流 平 野 を 南 北 に二 分 して いた 。 天 井 川 の 成 因 につ いて は、 源 流 域 が 風 化 し や す い花...岩類 の 山地 で 、 供 給 され る土 砂 の 量 が 同 規 模 の 河 川 に比 べ て か な り多 い こ と、 そ し て 古 代 か ら木 材 の 利 用 の た あ に森 林 の 伐 採 が 進 み 禿 山 とな った こ とな どが あ げ られ る。 そ の た あ 河 道 が 固 定 され た 近 世 以 降 は、 大 雨 の た び に破 堤 を 繰 り返 し、 そ れ を 防 止 す るた あ に さ ら に 高 い 堤 防 が 積 み 上 げ られ る結 果 とな った 。 現 在 で も湖 中 に突 き出 た 河 口部 や 、 下 流 の 自然 堤 防 は 、 粗 粒 の 花w岩 砂 に よ って 構 成 され て い る。 な お 、 現 在 で は 新 草 津 川 が 平地 河 川 と して 南 側 に開 削 され 、2004年 か ら通 水 を 開 始 し、 か つ て の 平 野 内 の 天 井 川 の 部 分 は 河 川 と して の 機 能 を 終 え て い る。 3南. 湖 の 湖 岸 と湖 底 の地 形. 図一2に は南 湖 全 域 の等 高 線(高 度90m以. 下)と. 一63一. 湖 底 の 等 深線 を 図示 した。 図 よ り判 明 す る.
(6) 近 畿大 学教 育 論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 図 一2南. 湖 の 湖 岸 ・湖 底 の 等 高 ・等 深 線 図(辰. 一64一. 己1993).
(7) 琵 琶 湖 湖 岸 にお け る地 形 環 境 の 変 遷 につ いて 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中 心 と して 一. こ との 一 つ に、 現 在 とは 異 な った場 所 にか つ て の河 口 を 持 った 河 川 が多 い こ とが あ げ られ る。 た とえ ば 、 琵 琶 湖 環 境 科 学 研 究 セ ン ター もか つ て の 柳 川 の 河 ロデ ル タ に立 地 して い る。 ま た湖 底 の 等 深線 を 、 詳 細 に調 べ る と、 東 岸 の 狼 川 、 西 岸 の 大 宮 川 ・雄 琴 川 ・天 神 川 の 現 河 口 お よ び 旧 河 口の延 長 上 の 湖 底 に、 沈 水 した デ ル タを 想 定 させ る張 り出 しが み られ る。 これ は、 規 模 の 差 は あ る もの の 、野 洲 川 下 流 部 にお け る鳥 丸 崎 お よ び そ の南 側 の沖 合 に あ る 一3mの. 等深線の. 張 り出 しに酷 似 して お り、 お そ ら く同 時 期 の 形 成 と考 え られ る。 した が って、 一 時 的 にせ よ、 当 時 の 湖岸 線 が現 在 よ り湖 中側 にあ った こ とが、 東 岸 と西 岸 で と も に指摘 で き る。 そ の 時 期 に つ い て は、 赤 野 井 湾 の 一4mの. 湖 底 で、 縄 文 遺 跡 を 覆 うア カ ホ ヤ 火 山灰(約7300年. 前 に降 下). が検 出 され て い る こ とな どか ら、 縄 文 時代 前 期 と推 定 で き る。 一 方 、 現 在 の河 川 の河 口部 の デ ル タ地 形 は、 そ の伸 展 が近 世 以 降 と新 し く、 前 記 の 天井 川 の 形 成 時 期 と も関連 し、 近 世 以 降 の湖 岸 線 は変 化 が大 き か った こ とが判 明 した。. 1V湖. 岸 地 形 の現 況. 1湖. 岸 地 形 の類 型 化. 湖 岸 の地 形 に よ る類 型 につ い て は20年 前 の報 告 書 で示 さ れ て い る もの をベ ー ス と した。 そ の 手 順 は、 は じめ に、 「山 地 部 」 と 「平 野 部 」 に二 分 した の ち、 次 の よ う に3段 階 に 分 けて 区分 した。 ①. 第1段 階 と して 、 「山地 部 」 は 山地 ご との 区 分 、 「平 野 部 」 は平 野 の形 成 に関 与 した河 川 ご と の区 分 を行 っ た。. ②. 第2段. 階 は 「山 地 部 」 は 山 地 と崖 錐 に 区 分 、 「平 野 部 」 は 現 河 口 部 、 そ の 他 の 湖 岸 、. 人 工 湖 岸 に区 分 した 。 ③. 第3段. 階 で は 「山地 部 」 は 各 山 地 と各 崖 錐 に 区分 、 「平 野 部 」 は三 角 州 、 氾 濫 原 、 扇. 状 地 な どの 平 野 の 特 性 と、 湖 岸 で の 砂 堆 の 有 無 、 デ ル タの 形 状 、 人 工 湖 岸 な どで 区 分 し、 湖 底 地 形 も考 慮 した 。 こ の第3段. 階 で の 区 分 とそ の代 表 例 の分 布 を 表 一2に ま と め た 。 これ に よ る と、 「山地 部 」. は 山地 をaタ イ プ、 崖 錐 をbタ イ プ に した 。 平 野 部 は現 在 の 河 川 の 河 口部 をc∼eの3タ そ の 他 の 湖 岸 をf∼kの6タ. イ プ、 人 工 湖 岸 をL・Mの2タ. イ プ に分 け、 全 部 で13の タイ プで. 湖 岸 を 示 した。 当 時 の タ イ プ 別 の 距離 の 比率(全 長219.5km)を. 一65一. イ プ、. 以 下 に示 す。.
(8) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). ・山 地 部. 50.75km. 23.12%(a. 19。02%、b:4ユ0%). ・現 河 口 部. 44.00km. 20.04%(c. 10.59%,d:8.77%,e:0.68%). ・そ の 他 の 湖 岸. 96.50km. 43.97%(f. 15.38%,g:5.81%,h:7.97%,. .1 ・人 工 湖 岸. 12.87%(L. 28.25km. タ イ プ別 で 最 も長 い の は、aの. 5.01%,. 6.04%,k:3.76%) 6.95%.,M:5.92%). 山地 で 湖 岸 全 体 の20%近. くを 占 めて い る。 これ は湖 北 山地 が. 出入 りの多 い リア ス式 湖 岸 に な って い る た め で あ る。 次 いで 長 い の は、 そ の他 の湖 岸 の う ち、fの 湾 と な って い る部 分 で 、 南 湖 の 山 の下 湾 や雄 琴 湾 、 赤 野 井 湾 の湾 入 部 分 の湖 岸 線 と な って い る。 ま た、 大 き な河 川 の河 口部 の デル タが 全 体 の 10%余. りを 占 めて い る。 一 方 、 人 工 湖 岸 は全 体 で 約13%で. あ っ た。. 図 一3は 上 記 の基 準 に よ って 分 け た湖 岸 の う ち、 南 湖 を 中心 と した状 況 を示 した もの で あ る。. 表 一2湖. 類型 地 山 部. 現 在 の 河 口. そ の 他 の 湖 岸. 人 工 湖 岸. a. 岸 地 形 の 類 型 区 分(北 澤 ・辰 己1990を 一 部 改). 湖岸地形の特徴 基 盤 山地 が 直 接 湖 岸 に没 す る岩 礁 ・岩 石 湖 岸 。 粘 板 岩 、 チ ャー ト、 花 商 岩 類 、 流 紋 岩 類 が 多 い 。. 代. 表. 例. 葛篭尾崎 ・海津大崎. b. 崖 錐 が 湖 岸 に達 して お り、 岩 石 。砂 礫 湖 岸 。. 飯 浦 ・菅 浦 ・月 出. C. 大 河 川 の 河 口部 で 、 尖 状 の デ ル タを 形 成 。 幅 広 い 砂 堆 を もつ こ とが 多 い 。. 真 野 川 ・草 津 川 ・旧 野 洲 川 ・ 姉川. d. 中 小 河 川 の 河 口部 とそ の 周 辺 の 尖 状 デ ル タ。 規 模 は小 さ く、 砂 堆 の 発 達 も顕 著 で はな い。. 石 田 川 ・百 瀬 川 ・天 神 川 ・際 川. e. 小 河 川 の 河 口部 で 、 明 瞭 な デ ル タの 突 出 も少 な い。. 大 浦 川 ・大 川. f. 背 後 は三 角 州 ま た は 氾 濫 原 で、 砂 堆 の 規 模 は小 さい 。 湖 底 は緩 傾 斜 で あ る。. 山の 下 湾 ・雄 琴 湾 ・赤 野 井 湾. g. 背 後 は三 角 州 で 、 小 規 模 の 砂 堆 が つ く。 か つ て は内 湖 が 分 布 。 沈 水 デ ル タ ・砂 州 が み られ る。. 新 海 ∼ 柳 川 ・海 老 江 ∼ 尾 上. h. 小 河 川 や 旧 河 川 の 形 成 した デ ル タ。 砂 堆 が 発 達 し、 一 部 で 閉 塞 され た 内 湖 が 分 布 す る。. 堅 田 漁 港 ・近 江 白浜. i. 背 後 は氾 濫 原 また はデ ル タで 砂 堆 が 発 達 し、 小 規 模 な 湿 地(か つ て の 内 湖)分 布 す る こ とが 多 い 。. マ イ ア ミあ や め 浜 ・知 内 浜. J. 内 湖 干 拓 地 の 湖 岸 。 閉 塞 す る小 規 模 な 砂 堆 が 分 布 す る が 、 未 発 達 の 場 所 もあ る。. 津 田 内 湖 ・入 江 内 湖. k. 背 後 が 氾 濫 原 や 扇 状 地 で 、 湖 岸 部 には 砂 堆 の 発 達 が 微 弱 で あ る。 小 河 川 が 流 入 して い る こ とが 多 い 。. 下 坂 本 ・ビ ワ コマ リー ナ 付 近. L. 人 工 湖 岸 の う ち、 大 規 模 な 埋 立 地 が 多 い 。. 大 津 市 街 地 ・木 浜 人 工 島 ・長 浜港. M. 人 工 湖 岸 の う ち、 旧 湖 岸 の 部 分 的 な 盛 土 に よ る もの 。. 筑 摩 ・世 継. 一66一.
(9) 琵 琶 湖湖 岸 に お け る地 形 環 境 の 変遷 に つ い て一 そ の1、 南 湖沿 岸 を 中心 と して一. 図 一3地. 2現. 形 分 類 に よ る琵 琶 湖 湖 岸 の 地 形 区 分 図(南 部)(北 (・0∼ ・55は地 点 番 号). 澤 ・辰 己1990). 在 の湖 岸 の状 況 一 現 地 調 査 の結 果 か ら. 今 回行 っ た現 地 調 査 を もと に して、 湖 岸 の地 形 の現 状 を 図 に ま と め た。 実 際 の調 査 で は、1 kmご. との ポ イ ン トを さ ら に10等 分 した100mの. ポ イ ン トを入 れ た地 図 に 湖 岸 の 現 状 を書 き込. ん で い っ た。 それ を、今 回示 した よ うな 図 に仕 上 げ た。 以 下 に は、 地 点 番 号(ポ イ ン ト)のNo. 0か らNo.53ま で の 、 南 湖 を 中 心 と した 地 域 の 湖 岸 の 状 況 を 簡 単 に説 明 す る。 本 稿 で は報 告 書 で作 成 したす べ て の図 表 や 写 真 を示 す スペ ー スが な い ので 、 南 湖 の なか で も 代 表 的 な地 域 の 区分 図(西 岸3図 、 東 岸2図)と. 一67一. 、 ヘ リコ プ タ ーか らの写 真(5枚)と. 現地調.
(10) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 査 で の写 真(12枚)を (1)堅. 選 ん で示 した。. 田丘 陵 前 面 低 地(No.0∼14付. 近). この地 域 は背 後 に堅 田丘 陵 が あ り、 丘 陵 内 と前 面 の低 地 で は住 宅 の 開発 が盛 ん な地 域 で あ る。 湖 岸 は真 野 川 デ ル タ か ら大 宮 川 河 口北 側 ま で で、 真 野 川 デ ル タ の み北 湖 に な るが、 大 半 は琵 琶 湖 大 橋 よ り南 の南 湖 の湖 岸 で あ る。 この地 域 は琵 琶 湖 の湖 岸 の 中 で も、 最 も細 か く入 り込 ん だ 湾 と、 小 規 模 な が ら湖 中 に 多 くの 尖 状 デ ル タ が 突 出 して い る。 この 湾 入 の 代 表 例 は 山 の 下 湾 、 雄 琴 湾 で、 尖 状 デ ル タ は真 野 川 、 天 神 川 、 雄 琴 川 、 大 正 寺 川 の河 口 とな り、 雄 琴 川 や大 正 寺 川 で は 旧河 道 の延 長 上 に も突 出 した デ ル タが 見 られ る。 湖 岸 の状 況 は、デ ル タ に は砂 浜 が 広 が って い るが 、琵 琶 湖 大 橋 か ら南 側 の 出 島 灯 台(写 真 ①)、 堅 田漁 港 、 堅 田浮 御 堂 付 近(写 真 ②)は に ヨシ帯 が 混 在 して い る(図. コ ンク リー トと石 積 み湖 岸 の人 工 湖 岸 が 多 く、 部 分 的. 一4参 照)。. 一 方 、 天 神 川 河 口か ら山 の下 湾 に は ヨ シ帯 が卓 越 す る。 そ の南 側 の雄 琴 川 の 新 旧 デ ル タ も、 雄 琴 港 の コ ン ク リー ト護 岸 を除 いて ヨ シ帯 と 自然 植 生 の湖 岸 が 目立 って い る。 20年 間 の変 化 と して は、 真 野 浜 水 泳 場 北 側(No.0)で こ と と、 真 野 川 デル タ は南 岸 で 砂 堆 が50∼100mも い る こ とが あ げ られ る。 デ ル タ先 端 の 北 側 に は3年 琵 琶 湖 大 橋 まで の500mの. 湿 地 が ヨ シ の茂 る湖 岸 に変 わ って い る. 大 き く湖 中 に伸 び、 河 口の 形 状 が 一 変 して ほ ど前 の流 木 が放 置 され て い た。 そ して、. 間 に は ヨ シ帯 と砂 浜 も増 え て い る。. No.5の 天 神 川 で も、 デ ル タの 砂 堆 は河 口の 北 側 で は減 少 し、 南 側 で 若 干 増 加 して い る。 天 神 川 デ ル タの 南 側 に あ った 「名 鉄 マ リー ナ ホ テ ル」 の 建 物 は解 体 さ れ た が 、 桟 橋 は 増 加 して マ リー ナ と して の湖 岸 の 利 用 は拡 大 して い る。 そ の 南 のNo.6の 御 呂戸 川 の デ ル タ も先 端 が50m 余 り伸 び て い る。 雄 琴 川 デ ル タで は、 南 部 に 「ア ク テ ィバ 琵 琶 」(高 齢 者 向 け マ ン シ ョン)が 建 設 さ れ 、 そ の 前 面 の 湖 岸(No.9∼No.10)は. ヨ シ の育 成 地 とな って い る(写 真 ③)。 そ の 南 の 「琵 琶 湖 グ ラ ン. ドホ テ ル」 と雄 琴 港 に は 大 き な 変 化 は な い。 さ ら に、No11の 大 正 寺 川 の 河 口(写 真④)も. 少し. 砂 堆 が 伸 び て い るが 、No.14まで の 湖 岸 で は、 高橋 川 デ ル タ の 北側 が コ ン ク リー ト護 岸 に 変 化 し た以 外 は 大 き な 変 化 は 見 られ な か った。 (2)比 叡 山麓 低 地(No.14∼21) この地 域 は 背 後 に 比叡 山 か ら流 れ 出 る河 川 の作 った複 合 扇 状 地 とそ の前 面 の低 地 か らな って お り、 大 宮 川 河 口(写 真 ⑤)か. ら旧柳 川 デ ル タ ま で の地 域 で あ る(図. ・:. 一5参 照)。.
(11) 琵琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環境 の 変 遷 に つ い て 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中 心 と して 一. 湖 岸 線 に 大 き な 変 化 は な い が 、 桟 橋 の 増 減 が 目 立 っ た 。No.15の ト艇 庫 」 が 「ヤ マ ハ マ リー ナ 琵 琶 湖 」 に 変 わ り、5基. 北 に は 、 「永 大 モ ー タ ー ボ ー. の 桟 橋 が 新 設 さ れ て い る。No.17の 唐 崎 の. 松北 方 で は、「琵 琶 湖 ロ ッジ」の 湖岸 で2基 の桟 橋 が 消 滅 した が す ぐ南 に4基 が 新設 され た。 唐. 位 置. 第1 段階. No.. 第2 般階. 第3 段階. 地形 分類. 現 在 の湖岸の 状況. 類型. 0. ←真 野取水 場 自然湖 岸(湿 地 な し) ※ ヨシ群 生. コ ン ク リー ト護 岸. 現 河. 1 一. 口. 真 野 川 河. 河 口. デ ノレ. ←真野 浜水泳 場. 砂浜. ←真野 川河 口. 自然湖岸 ※河 口南岸 に砂 が堆 積 ・沖 に延び る 一部 で ヨシ群生. C. タ. 口. 砂地 堅. ←米プ ラザ. 田. ←琵琶湖 大橋. 2 一. ▲. 丘. ヨシ群生. 陵. ▼ ム. Y. 剛 ← 出島灯 台. 石積(集 落 は石垣 の上). 面 ▼. の 3 一. 低 地. そ の. 他 の. 湖 岸. 堅 田 漁 港 周 辺. 砂 堆 2 部 人. ← 堅 田漁 港. ‡ ・ン,,一. ・. 1砂 浜 コ ン ク リー ト. h. 工. 護 岸. ← 堅 田港. v. ヨシ群 生 コ ン ク リー ト. ←浮 御堂. ¢礪. 4 一. ‡ ・ン ・ ・一 ・. 1・ シ群生. 現 河 口. 天 神 川 河 口. 図 一4湖. 1テ ・ラボ ・ ・ ヨシ群生. デ ノレ. d. タ. 自然湖岸. 岸 の 状 況(No.0∼No.4)〔. ・'. 堅田丘陵前面の低地〕.
(12) 近 畿大 学教 育 論 叢. 第20巻 第1号(2008・9). 崎 の 松 の す ぐ南 で も3基. 新 設 さ れ2個. が 消 滅 し て い る。 ビ ワ コ マ リー ナ で も 桟 橋 が 拡 幅 さ れ た 。. な お 、No.15の 藤 ノ 木 川 の 河 口 に あ っ た 尖 状 デ ル タ は カ ッ ト さ れ て 平 滑 な コ ン ク リー ト湖 岸 に 変 化 した。. 位 置. 第1 段階. No.. 第2 段階. 第3 段階. 地形 分類. 類型. 15. 現在 の湖 岸の状 況 ←藤 ノ木 川河 口. ▲ 砂 浜 、 ヨシ 群 生(コ. そ の 他 の 湖. 下阪 湿 地 本. ン ク リー ト湖 岸 混 在). k. 岸 1s. 一. ▼ ▲. 砂 浜(河 口部 のデル タ). 現 河 口. 17. 野 JAI. 恋 IL タ. ← 四ツ谷川 河 口 ▼. d. ヨ シ 、 砂 浜 、 コ ン ク リー ト堤. 一 △ コ ン ク リー ト ※ 桟 橋 消 滅(2基)f. ▲. ※桟橋新 設(4基) 砂 浜、石積 、 ヨシ混在. 比. 叡 山麓. 唐 崎. 低 地. 旦. ア ノレ タ. h ←唐 崎の松. そ. ▼ ▲. の 18 一. ※石 垣. 他. ヨシ群生. の. 河 口 ビ ワ. 琴 リ 1 t. 19. 湿 地. ※桟 橋消滅(2基). k. 】 【. 砂浜. ← ビ ワ コマ リー ナ. 一. ※桟 橋多数 あ り. ▼. ←際川 旧河 口 自衛 隊駐 屯地. 現 河 口. 際 川. A. 砂 浜(一. 部 コ ン ク リー ト). 里. ア ノレ タ. d ※桟橋 消失(1基) ※マ ンシ ョン建 設 中 ← 際川河 口. 図 一5湖. 岸 の 状 況(No.15∼19)〔. -70一. 比叡山麓低地〕.
(13) 琵 琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環 境 の変 遷 に つ い て一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中心 と して一. 旧 際 川 デ ル タ の 北 側 で は砂 浜 が 増 加 した。No.20の 柳 川 河 ロ デ ル タ も砂 堆 が 伸 び て い る。 柳 が崎 の 旧柳 川 デ ル タ先 端 は コ ン ク リー ト化 さ れ、 琵 琶 湖 環 境 科 学 研 究 セ ンタ ー の南 側 の湖 岸 は 観 光 船 の 乗 り場 や、 桟 橋 が 増 え 、 「紅 葉 パ ラ ダ イ ス」 跡 地 の 湖 岸(写 真 ⑥)に. 位 置. 第1 段階. No.. 第2 最階. 第3 段階. 地形 分類. 現在 の湖岸 の状 況. 類型. 20. は マ ン シ ョ ンが. ←柳 川河 口. 柳が崎水泳場 比. 叡 麓 山 低. 現 河 口. 柳 ケ 崎. E IL. d. ← 旧柳川河 口. ※ コ ン ク リー ト堤. タ. 地. 21 ←紅 葉パ ラダイ ス. ・ コ ン ク リー ト堤. (跡地). ※桟橋 消失(1基). ←不 動川河 口 ←小 港新設 (コ ン ク リー ト堤) ▼. 琵琶湖競艇場 22. 競艇場 の鉄製 の しき り. 一. ←第2琵 琶湖 疏水 ←第1琵 琶湖 疏水. ‡石積 ム. コ ン ク リー ト. ※多数の桟 橋 ・埠頭新 設 ※ これ よ り人 工湖 岸が 中心. 大津港. 23. 一. 大 人 津 工 市街 湖. 大 津 街 市. 岸. 地. 地. 塑 z. L. ¶. X. 地. 階段状 の石積湖 岸が 主体 (湖岸線 が大 き く変 更). 24. 一. ←びわ湖 ホール. ※桟 橋新設(1基) ← 諸子川 河 口. 図 一6湖. 岸 の 状 況(No.20∼24)〔. 一71一. 大津市街地〕.
(14) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 建 設 され た 。 レジ ャー 施 設 の 変 化 を 見 る と、 南 湖 西 岸 だ けで16箇 所 の マ リー ナ が あ り、 近 年 の 琵 琶 湖 の 湖 上 レジ ャー の 主 流 とな って い る こ とが わ か る。 逆 にホ テ ル や 遊 戯 施 設 が 減 少 ま た は 消 滅 して い る。 (3)大 津市 街 地(No.21付 近 ∼No.29) 大 津 市 街 地 の 湖 岸 は1960年 代 にす で に 埋 め 立 て られ た 人 工 湖 岸 で あ った が 、 さ ら に この20年 間 に 埋 め 立 て や 護 岸 工 事 に よ り湖 岸線 が 大 き く変 化 して い る。 そ れ は 大 津 港 か ら瀬 田 川 ま で の 区 間 で 、 ほぼ 連 続 した 階段 状 の 石 積 み 湖岸 と して 整 備 され た こ とで あ る。 No.23付近 の 大 津 港 が最 も改 変 が 大 き く、 沖 合 に 向 か って200m以. 上 も埋 あ立 て られ 、 新 しい. 大 津港 が誕 生 した。 港 の東 側 は 「浜大 津 ア ー カ ス」、 「琵琶 湖 ホ テ ル」 が建 設 され、 そ の前 面 の 湖岸 は埠 頭 と多 くの 桟橋 とな って い る(図. 一6参 照)。. 「琵 琶 湖 文 化 館 」 の 東 側 か らの新 た な 埋 め立 て 部 分 に は、 「び わ 湖 ホ ー ル」 が建 ち、 「大 津 プ リンスホ テル 」 ま での湖 岸 は階段 状 の石 積 み湖 岸 とな り、 遊歩 道 も付 け られ た公 園 とな って い る。 大 津 浄 化 セ ン タ ー の 北 側 に は新 た な 埋 立 地 に市 民 プ ラ ザ が 作 ら れ、 南 の 近 江 大 橋 まで は 幅 100m以. 上 も あ る新 しい 「大 津 湖 岸 な ぎ さ公 園 」 と その 前 面 に小 礫 混 じ りの 砂 浜 を持 つ 「サ ン. シ ャイ ン ビー チ」 が建 設 さ れ た。 さ らに湖 尻 に 当 た るJR瀬. 田川 鉄 橋 ま で は、 湖 岸 道 路 に沿 って 幅20∼50mの. 公 園 が 連 続 し、. 「膳 所 晴 嵐 の 道 」 と名 づ け られ た 遊 歩 道 が 作 られ た。 (4)南 湖 東 岸 の湖 岸 JR瀬. 田川 鉄 橋 か ら琵 琶 湖 大 橋 東 詰 ま で の南 湖 東 岸 は、 琵 琶 湖 全 体 か ら見 て も、 最 も大 き な. 改 変 が連 続 す る場 所 で あ る。 特 に人 工 島 の建 設 と、 湖 岸 道 路 が 湖 中 に 付 け られ た 場 所 が 多 く、 明治 ・大 正 期 の地 形 図、 あ る い は1970年 頃 の地 形 図 と現 在 を比 較 して も、 各 地 で湖 岸 の変 化 が 指 摘 で き る。 以 下 に は、 旧草 津 川 河 口 ま で と、 そ の北 側 と に分 け て変 化 を調 べ て み る。 1)湖. 尻 ∼ 旧 草 津 川 河 口(No.29∼37). JR瀬. 田川 鉄 橋 の北 側 か ら近 江 大 橋 東 詰 まで の湖 岸 は、 玉 野 浦 ・萱 野 浦 と呼 ばれ る人 工 の湖. 岸 で 、1963年 に完 成 した 埋 立 地 で あ る。 面 積 は31.89haの. 広 さ で、 直 線 道 路 が 湖 岸 に接 して い. る。 も と の湖 岸 と は ク リー クで 隔 て られ た人 工 の 島で もあ り、 建 設 当時 は、 北 側 の萱 野 浦 は ゴ ル フ場 で あ っ たが 、 現 在 で は湖 岸 に面 して ロ イ ヤル オ ー ク ホ テル ・テニ ス コー ト ・商 業 施 設 が 建 ち、 東 側 の 一 部 が 住 宅 地 とな って い る。 南 側 の 玉 野 浦 は、 ゴル フ練 習 場 と グ ラ ン ドにな って. 一72一.
(15) 琵 琶 湖 湖岸 に お け る地 形 環 境 の変 遷 に つ い て一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中心 と して一. い る 。 湖 岸 は 道 路 横 に 植 樹 帯 が あ り、 そ の 下 が 石 積 み と な っ て い る(図. 一6参. 照)。. No.31付 近 が 近 江 大 橋 の 東 詰 に あ た り、 そ こ は か つ て の 狼 川 の デ ル タ の 跡 で 、 ヨ シ を ま じ え た. 自然 植 生 の樹 林 地 帯 にな って い る。 現 狼 川 河 口か ら北 は、 矢 橋 帰 帆 島 と な り、 面 積 が67haの 1976年 に完 成 した人 工 島 で あ る。 琵 琶 湖 流 域 下 水 道 湖 南 中部 浄 化 セ ンタ ー と して利 用 さ れ て い. 現在 の湖岸 の状況. 埋立 地. M. デ ルタ. 矢橋帰帆島. 人工堤. 搾 剛州 ←長沢川 橋. ヨシ群生(一 ヨシ d. 部工 事中). 木群 生. ← 近江大 橋. 人 工 護 岸(コ. ン ク リー ト). 帰帆島 L. コンク リー ト前面 に石積. 人工湖岸. 34. 草 津川 河 口∼ 湖 尻. 33. 狼 川河 ロデ ルタ. 現河 口. 32. 形類 地分. 人工湖岸. s1. 3階 第 段 大江埋立地. 2階 第段. 1階 第般. 置α 位N 30. 類型. ←伯母 川水 門 ←山寺 川. ≡E. ヨシ 、木 群生. 湖岸堤. 湖岸堤. I. 人工護岸 前面 に ヨシ群生 (自然湖 岸が形 成 されてい る). M. ← 湖岸緑 地 ← 北 山田漁港. 35. ←湖 岸緑 地. P . 灘. 阜 120年 前は道 路、埋 立地 な し ウ. 人 工護岸 前面 に ヨシ群 生. ←湖 岸緑 地. デ ルタ. 現河 口. 草 津川河 口. 36. 砂浜 C. ← 旧草津川 河 口. 37. 湿地. 下笠湖岸. その他の湖岸. 砂 地 所 々 ヨシ ヨシ群 生 所々木 ヨシ. 木群 生. ←下 笠第一樋 門 コ ン ク リー ト. ←下笠 第二樋 門 ← 葉 山川 河 口. 図 一7湖. (h). 湖岸堤. 志那∼津田江 湖岸堤. 入工湖岸. 39. 野洲川下流低地. 38. ← 中島樋門. h. ※20年 前 と比 べ河 口部 に大 きな変化. 平湖. 人工砂 浜 人工護岸. 岸 の状 況(Nα30∼39)〔. 一73一. 前 面に ヨシ. 前 面に ヨシ. 南湖東岸南部〕.
(16) 近 畿 大 学教 育 論 叢. 第20巻 第1号(2008・9). る。 西 側 の 湖 岸 は コ ン ク リー トで 固 め られ、30m前. 後 の緑 地 帯 を と もな っ て い る(写 真 ⑧)。 も. との 湖岸 の道 路 沿 い は、 矢橋 大橋 付近 を 中心 に ヨ シ帯 が 広 が って い る。 島 の 北部 の 対 岸 は 伯 母 川 の デ ル タ と湖岸 道 路 で結 ば れ て い る。 そ して、 新 草 津 川 の 河 口 も伯母 川 の 南 に 建設 され 、 変 化 の著 しい地 域 で あ る。 伯 母 川河 口か ら北 山 田集 落 ま で は 湖岸 道 路 が も との 湖岸 に沿 って 建設 され、 北 山 田港 は新 た に竣 深 して建 設 され た。 そ の北 側 の 旧草 津 川 河 口 ま で は、20年 前 に は 湖岸 道 路 が建 設 中 で、 北 山 田 の 北 で は湖 中 を 走 り、 湖 岸 地 形 が 一 変 した 場 所 で もあ る。 現 在 は道 路 と湖 岸 との 間 に 幅 50m前. 後 の湖 岸 緑 地 が作 られ て い る。. 旧草 津 川 デ ル タ は、 草 津 川 の付 け替 え で上 流 か らの土 砂 の運 搬 は な くな った た め、 先 端 の砂 堆 が や せ細 り、 河 口 が大 き く後 退 し、 今 後 も縮 小 す る もの と思 わ れ る。 2)旧. 草 津 川 河 口 ∼琵 琶 湖 大 橋(No.37∼53). 旧草 津 川 河 口 か ら志 那 町 ま で の湖 岸 道 路 と湖 岸 緑 地(写 真C)も20年 湖 岸 に 沿 って道 路 が作 られ た。 志 那 町 付 近(写 真 ⑨)で. 前 は建 設 中 で、 も との. は湖 岸 道 路 は湖 中 を通 り、 志 那 漁 港 と. そ の北 側 の鳥 丸 半 島付 け根 ま で は、 人 工 湖 岸 と な って い る。 特 に かつ て の津 田江 湾 は湖 岸 道 路 と緑 地 で塞 が れ、 周 囲2.5krnの. 内 湖 に一 変 して い る(図 一7参 照)。. 烏 丸 半 島 は、 かつ て は 「くの字 型 」 の細 長 い砂 堆 で、 樹 林 に お お わ れ、 内側 の水 面 で は真 珠 の養 殖 が 行 われ て い た。20年 余 前 か らの埋 立 て と湖 岸 の整 備 で、 現 在 で は琵 琶 湖 博 物 館 な ど が 建 ち、 こ こ も景 観 が 大 き く変 化 した。 西 側 は コ ンク リー トの船 着 場 、 北 側 は石 積 み の護 岸 でハ ス の群 生 と樹 林 の あ る ヨ シ帯 に な って い る(写 真D、 ⑩ ・⑪)。 鳥 丸 半 島 の付 け根 か ら北 側 は、 も と の赤 野 井 湾 の湖 中側 に湖 岸 道 路 が 付 け られ 、 港 も新 た に 作 られ た。 湖 岸 道 路 と も との 湖岸 との 間 が 沼 沢 地 に な って い る。 そ の北 側 の1km余. はもとの. 湖 岸 沿 い に道 路 が 付 け られ た が 、No.49か ら木 浜 人 工 島の 南 西 角 まで の 湖 中 に道 路 が 付 け られ た。 こ こで も、 道 路 の 湖 岸 側 に緑 地 を 設 けて い る。 新 た にで きた 内 湖 は 「守 山市 魚 釣 り場 」 とな っ て い る。 な おNo.49の ポ イ ン トは20年 前 は ヨ シ帯 と され て い るが 、現 在 で はそ の 付 近 の ヨ シ帯 は 消 滅 して い る。 木 浜 人工 島 は1966年 に完 成 した、面 積 が125haの. 琵 琶 湖 岸 最 大 の 埋 立地 で あ る。 四 つ の 島 に. 分 か れ て い る が、 面 積 の 広 い南 側 の 二 つ の 島 が ゴル フ場 に な っ て い る。 湖 岸 は前 面 が テ トラ ポ ッ トの あ る護 岸 で 、 一 部 で ヨ シが植 え られ て い る(写 真 ⑫)。 琵 琶 湖 大 橋 の 東 詰 の南 岸 に は 「ヤ マハ マ リー ナ」 の桟 橋 が 多 数 見 られ る。. 一74一.
(17) 琵琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環境 の 変 遷 に つ い て 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中心 と して一. 形類 地分. 人 工石堤(所 々水草). L. 湖岸緑地. (h ). 人 工堤. 志 那∼津 田江湖岸 堤. 人 工湖岸. 41. 3階 第段. 2階 第段. 1階 第段. 置 0。 位 N. 40. 現在 の湖岸 の状 況. 類型. 人工護岸 自然湖岸 人 工の埋立 湖岸(所 々 ヨシ). 42. 内湾. 津 田江内湾. 43. 自然湖 岸(ヨ シ植 生) f. ← マ リー ナ. ‡人磯 岸 人 工石堤(所 々水 草). ← 水門 湖 岸緑 地. 人 工湖岸. 砂堆. 烏丸崎. ← 船着 き場 9. ← 烏丸崎 ← 琵琶湖博 物館 ← 水生植 物公園. 人 工堤防. i. 石堤. 1人 工の砂浜. みず の森. 46. 内湾. 赤野井湾. 47. 自然湖岸 人 工護岸(ヨ シ、木植 生). そ の他 の湖岸. 45. 野洲川下流低地. 44. f. ← 山賀川樋 門 ← 境川 ← 山賀 大橋 新守 山川 f. 1一 1…. ← 天神川 水門 ← 赤野井 港 ← 法竜川 水門 ← 吐 出樋 門. 48. 1砺 . 旧デ ルタ. 木浜南部. 人工 の石垣(前 面 に ヨシ群 生) h. 49. 図 一8湖. Vま. 岸 の 状 況(Nα40∼49)〔. 南湖東岸北部〕. とめ. 今 回 紹 介 した 地 域 は、 大 津 市 街 地 を 含 む 湖 岸 で 、 この20年 間 に変 化 の 大 きか った 地 域 で あ る。 大 津 は近 世 以 降 、 宿 場 町 、 城 下 町 、 港 町 と して 発 展 し、 特 に湖 岸 は江 戸 時 代 を 通 じて 琵 琶 湖 水. 一75一.
(18) 近畿大学教育論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 運 の 要 と して 繁 栄 した。 この ため 早 くか ら湖 岸 が 整 備 され て 、 人 工 の 湖 岸 が 多 か っ た。 な か で も昭 和30年 代 に浜 大 津 か ら膳 所 まで の 湖 岸 が 埋 立 て られ 、 完 全 な 人 工 湖 岸 とな った 。 今 回 の 調 査 で は、 この 埋 立 地 の 前 面 に さ ら に人 工 の 砂 浜 を 復 活 させ る試 み が な され 、 親 水 公 園 とな って い る こ とが 明 らか にな った 。 一方. 、 草 津 市 や 守 山市 の 湖 岸 で は、 この20年 間 で 湖 岸 堤 や 湖 周 道 路 が 完 成 し、 こ こで もか つ. て の 自然 湖 岸 が 大 き く変 化 した。 各 所 で ヨ シ地 の 再 生 が 試 み られ て お り、 今 後 の 自然 湖 岸 の 復 活 を 注 視 した い地 域 で あ る。 [付記]本 稿 は平 成20年3月. に作 成 した 、滋 賀 県 琵 琶 湖 環境 科 学 研 究 セ ン ター 委 託 調 査 報 告 書. 「湖 岸 環 境 変 遷 調 査(土 地 条 件)」 の 内容 の一 部 を 紹 介 す る た あ に ま と あ た もの で あ る。 ま た、 平 成20年3月4日. に 同 セ ン タ ー主 催 の 「第5回. 湖 岸 生 態 系 保 全 ・修 復 研 究 会 」(於:大. 津市、. 琵 琶 湖大 津 館)で 、「琵 琶 湖 の 湖岸 地 形 と最 近20年 間 にお け る地 形 環 境 の変 遷 」 と題 して調 査 の 成 果 を発 表 した。 調 査 を通 じて お世 話 に な った皆 様 に感 謝 の意 を 表 しま す。. 参考文献 池 田. 碩 ・大 橋. 健 ・植 村 善 博(1990):滋. 賀 県 ・近 江 盆 地 の 地 形 、 『滋 賀 県 の 自 然 誌 』、 滋 賀. 県 自然 保 護 財 団 、105-295. 植 村 善 博(2001):近 北 澤 武 夫 ・辰 己. 江 盆 地 と 琵 琶 湖 湖 底 の 地 殻 変 動 、 『比 較 変 動 地 形 論 』、 古 今 書 院 、88-111. 勝(1990):地. 形 分 類 に よ る琵 琶 湖 湖 岸 の地 域 区 分 、 平 成 元 年 度 琵 琶 湖 研 究. 所 委 託 研 究 報 告 書 、 『湖 岸 に お け る土 地 条 件 』、 ㈱ 総 合 計 画 辰 己. 勝(2003):琵. 琶 湖 湖 岸 平 野 の 形 成 につ い て 一 野 洲 川 下 流 平 野 を 事 例 と して 、 シ ンク タ. ン ク 京 都 自 然 史 研 究 所 、 「自然 と環 境 」 第5巻 辰 己. 勝(2004):琵. 一=:、38-63.. 、9-17.. 琶 湖 湖 岸 平 野 の 形 成 と変 遷 一 野 洲 川 下 流 平 野 を 中 心 と し て 、 『地 形 環 境 と. 歴 史 景 観 』、 古 今 書 院 、77-86. 辰己. 勝(2005):近. 江 盆 地 ・琵 琶 湖 一 日本 最 大 の 湖 を 湛 え る 盆 地 、 『地 形 と 人 間 』、 古 今 書 院 、. 16-31.. 一76一.
(19) 琵 琶 湖 湖 岸 にお け る地 形 環 境 の 変 遷 につ いて 一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中心 と して 一. ヘ リ コプ タ ー か らの 写 真(2007.8.辰. 己. 勝 撮 影)〔No.は 図4∼ 図8の 位 置 番 号 〕. 饗 饗繋藩 銑 一 ㌧羅. 享認 融. 黙 戯 幽 藻'…防`譲 ・. 懸講 逡 ・ 趨 A雄. 琴 港(No.10付. 近). B膳. 所 公 園(Nα26付 近). 曝. 鰍. 轄熟哩 乱.. 欄'駈 『 踏 種縫. 雛 騰. 馨雲蓼義 軌 D烏. 一77一. 丸 半 島(No.45付. 近).
(20) 近 畿大 学教 育 論叢. 第20巻 第1号(2008・9). 湖 岸 の 写 真(2007.8∼12辰. 己. 勝 撮 影)〔No.は. 図4∼. 図8の. 〔 南湖西岸〕. ①. 堅 田 ・出 島 灯 台(No.2) 〈石 積 み 湖 岸 〉. ③. 「ア ク テ ィ バ 琵 琶 」 の 湖 岸(No.9) 〈ヨ シ保 全 区 域 〉. ⑤. 大 宮 川 河 口(Na.14) 〈砂 礫 デ ル タ 〉. 78一. 位置番号〕.
(21) 琵 琶 湖 湖 岸 に お け る地 形 環 境 の変 遷 につ い て一 そ の1、 南 湖 沿 岸 を 中心 と して 一. 〔 南湖東岸〕. ⑦. 琵 琶 湖 文化 館 西側(No.23) 〈大 津市 街地 ・石 積 み湖 岸〉. ⑨. 草 津 市 志 那 町 湖 岸(No.39) 〈ヨ シ、 樹 林 湖 岸 〉. ⑪. 烏丸 半 島 北 西 岸(No.45) 〈ハ ス 群生 地〉. ⑩. 79. 烏 丸 半 島先 端(No.45).
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