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大学での「地理学」受講生の現状と講義内容

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Academic year: 2021

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(1)大学 での 「 地 理学 」 受 講 生 の 現 状 と講 義 内 容. 大 学 で の 「地 理 学」 受 講 生 の現 状 と講 義 内容. 辰. 1は. 己. 勝*. じめ に. 高 等 学 校 に お け る1977(昭. 和53)年. の学 習 指 導 要 領 第5次 改 訂 で は、 「現 代 社 会 」 が 新 設 さ. れ 、1982年 か ら第1学 年 で 必 修 と し、 他 の科 目 はす べ て 選 択 科 目 に な る とい う大 幅 な 変 化 が あ った 。 こ の た め 、 地 理 を 履 修 せ ず に高 校 を卒 業 す る生 徒 も現 れ 、 そ の 影 響 で、1985(昭 60)年. 和. の大 学 入 学 生 か ら、 高 校 で地 理 を履 修 して い な い学 生 が み られ るよ うに な った 。. さ らに、1989(平. 成 元)年. の学 習 指 導 要 領 の第6次 改 訂 で は、 高 等 学 校 の社 会科 が 解 体 され 、. 地 理 歴 史 科 と公 民 科 に分 割 され た。 こ の結 果 、 地 理 歴 史 科 で は、 世 界 史A(2単 界 史B(4単. 位)の. み が必 履 修科 目 にな り、 地 理A・ 地 理B・. 日本 史A・. 位)ま. 日本 史Bの. た は世 どれ か の. 科 目を選 択 履 修 す る と、 履 修 条 件 を満 たす こ と と な っ た。 先 の 改訂 以 降 、 一部 の 私 立 の 大 学 で 地 理 が 受 験 科 目か らはず さ れ た こと もあ り、 高 校 で の選 択 率 は 日本 史 が圧 倒 的 に優 勢 とな った。 地 理 は教 科 書 の採 択 率 を みて も世 界 史 の半 分 程 度 に と どま って い るCif)。 そ こで、 大 学 に入 学 して きた学 生 が、 高校 で 地 理 を 履 修 して き たか ど うか を調 べ 、 そ の結 果 を分 析 し、 実 際 の講 義 に どの よ うに対 処 す べ きか を考 え て み た。 筆 者 は、2、3の. 大学で、地. 理 学 専 攻 学 生 と、 そ れ以 外 の学 生 に地 理 学 関係 の科 目を担 当 して お り、 各 講 義 で の 最 初 の時 間 に受 講 生 に対 して表1の 形 式 で ア ンケ ー トを行 って きた。 大 学 で の地 理 学 関 連 の 授 業(地 理 学 の 専 門 教 員 が 講 義 して い る科 目)は 、 地 理 学 専 攻 以 外 で は、 教 職 課 程 の地 理 学 関連 科 目 と、 共 通 教 養 科 目等 の 位 置 づ けで 文 系 の学 部 を 中 心 に 開講 され て い る場 合 が 多 い。 こ れ ま で に ア ン ケ ー トを 行 っ たの は、 文 学 部 の地 理 学 専 攻 生 と、 教 職 課 程 で地 理 学 関係 科 目を受 講 す る学 生 、 お よ び 文 系 学 部 の 共 通 教 養 科 目 「地 理 学 」 等 の受 講 生 に対 して で あ る。. *近畿大学教職教育部. 一51一.

(2) 近 畿大学教育論叢. 第16巻. 第2号(2005・3). 表1. 地 理 に 関 す る ア ンケ ー ト ()学. 部 ・番 号() 氏 名(). 1高. 等 学 校 で 地 理 を ど の く ら い 学 習 しま した か 。. 1)高. 校 で 地 理 を 習 っ た 。()年()単. 2)地. 理 を 習 い 受 験 勉 強 も した 。. 3)地. 理 は 習 っ て い な い 、 受 験 で は()を. 4)高. 校 で は 習 わ な か っ た が 受 験 勉 強 は した 。. 2地. 位(地. 理A・. 地 理B). 選 択 した 。. 図 や 空 中 写 真 に つ い て 質 問 します。. 1)5万. 分 の1・2万5千. 分 の1地. 形 図 を も っ て い ま す か 。 →(は. も っ て い る 人 は 何 に 使 い ま した か 。 →(旅. い、. い い え). 行 、 登 山 、 ハ イ キ ン グ 、 地 域 調 査). そ の 他() ま た 、 何 枚 も っ て い ま す か(5万 2)地. 分 の1一. 枚 ・2.5万 分 の1一. 枚). 形 図 を 使 っ て 次 の 作 業 を した こ と が あ り ま す か 。 ・距 離 を 測 る()・. 面 積 を 測 る()・. ・断 面 図 を 作 る()・. 傾 斜(勾. 土 地 利 用 図(土. 配)を. 測 る(). 地 利 用 ご と の 着 色)(). ・そ の 他() 3)次. の よ う な 地 図 を 見 た り 使 っ た り した こ と が あ り ま す か 。(実 ・道 路 地 図()・ 地 質 図()・ 土 地 条 件 図()・ ・植 生 図()・. 海 図()・. 鳥 轍 図()・. 際 に 使 っ た 一 ◎) 土 壌 図(). 住 宅 地 図(). ・国 土 基 本 図(5000分. の1 、2500分 の1)()・ 地 籍 図() ・衛 星 写 真 地 図(ラ ンドサントマップ)()・ 数 値 地 図(コ ンビ1タ マップ)(). 4)空. 中写 真 の判 読(実 体 視)を. した こ とが あ りま す か。 →(は. は い と答 え た 人 は 次 の どの方 法 を使 い ま した か。()実. 眼 で もで きた 。. 理 で は どの分 野 に興 味 が あ りま す か。(複 数 回 答 可). 地 図()地 水 産 業()工 商 業()民. 形()気 業()村 俗()文. 候()人. 口()農. 落()都 化()そ. 市()交. 業() 通(). の他(). きな地 域 や興 味 の あ る地 域 は ど こで す か。.  . 4好. いい え). 体 鏡 を 使 った 。 ()肉. 3地. い、.  . 日本(  . 外 国( な た の 出身 地 は ど こで す か。(. 6出. 身 地 の紹 介 を地 理 的 な事 象 を ま じえ て簡 単 に して くだ さい。.  . 5あ. 出身 高 校(. 一52一.

(3) 大学 での 「 地理学」受講生 の現状 と講義 内容 こ の報 告 で は ア ンケ ー ト内容 の うち、1の 項 目(高 校 で地 理 を学 習 した か)の み を 分 析 し、 地 理 学 専 攻 、 教 職 課 程 、 教 養 科 目 の受 講 生 の順 に そ の結 果 と、 そ れ らの学 生 に対 す る講 義 の 際 の 留意 点 を 示 した。 そ して 、 教 職 課 程 と教 養 科 目 で の講 義 内容 の一 部 に っ い て も紹 介 し、 両 者 で の授 業 の あ り方 を考 察 した。. 2学. 1)文. 生 へ の ア ンケ ー ト結 果 と、 担 当 者 の留 意 点. 学 部 の地 理 学専 攻 学生 の 回 答. 図1か 講)の. ら図4はA大. 学(私. 立)の1年. 生 の必 修 科 目 「地 理 学 実 習 」(毎 年5ク. う ち、 筆 者 が担 当 して きた 毎 年1ク. ラス(2001年. 度 は2ク. ラ ス程 度 を開. ラ ス)の 受 講 生 の回 答 で あ. る。10数 年 前 ま で は、 地 理 学 専 攻 へ の入 学 生 は、 高 校 で 地 理 を学 習 し、 しか もそ の 多 くが 地 理 を受 験 科 目 に選 択 した もの と考 え られ て い た が、 前 記 の よ うな高 校 の指 導 要 領 の 改 訂 に よ り、 ほぼ 全 員 が 地 理 を履 修 して きた とは い え な くな って きた。 図1は1993年. か ら6年 間 の 履 修 別 の 実 数 で あ る。 この6年 間 の 受 講 生 の 総 数 は145人 で毎 年. 1ク ラス の人 数 は25名 前 後 で あ った。6年 に受 験 勉 強 を した比 率 が49%あ. り、 半 数 が 地 理 で受 験 し地 理 学 科 に入 学 した こ とが判 明 した 。. そ して 、 地 理 を 履 修 した 学 生 は75%を 入 学 して きた 学 生 が25%で 次 に図3と. 間 を ま とめ た 図2を 見 る と、 地 理 を 履 修 し、 さ ら. 占 め て い る。 た だ し、 地 理 を 履 修 せ ず に地 理 学 専 攻 に. あ った ことが 注 目 さ れ る。. 図4で 最 近4年 間 の136名. の 回 答 結 果 を み る と、 地 理 を履 修 した学 生 は65%に. 減 った 。 そ の うち 受 験 勉 強 を した もの が 全 体 の44%と して い な い もの が35%も. あ り、 多 い年(2002年)は48%、. な って い る。 一 方 、 高 校 で 地 理 を 履 修 少 な い年(2004年)は24%で. あっ. た。 この結 果 、 近 年 で は毎 年 地 理 学 専 攻 へ の入 学 生 の3分 の1程 度 は高 校 で 地 理 を 履 修 して い な い こ とが 判 明 した。 図1に. 比 べ 、 そ の比 率 が10%も. 高 くな った の は、 高 校 で の 地 理 選 択 率. の低 下 と、 大 学 側 の入 試 制 度 の多 様 性 を反 映 した もの と考 え られ る。 高 校 生 に と って み れ ば 、 高 校 で 地 理 を履 修 しな くて も、 地 理 学 専 攻 へ 入 学 で きる 門戸 が広 が った こ とに な る。 地 理 学 専 攻 へ 入 学 の動 機 を聞 い て み る と、 高 校 の時 か ら地 理 が好 き で あ った とい う学 生 も多 いが 、 地 理 を履 修 して い な い学 生 は、 旅 行 が 好 き、 多 くの地 域 を知 りた い、 将 来 の仕 事 に生 か した いな どの 地 理 学 に期 待 を して い る と い う答 え が か え っ て き た。 図5は 、 ほぼ 同 じ規 模 の 地 理 学 専 攻 生 を 抱 え るB大 学(私 立)の 専 門 科 目 の受 講 生 に よ る 回 答 結 果(2004年. 度 、3・4年. 生82名)で. あ る。 この大 学 で は、A大. 一53一. 学 に比 べ地 理 の 受 験 勉 強.

(4) 近畿大学教育論叢. 第16巻. 第2号(2005・3). 図1. 図2. 図3. 図4. 54一.

(5) 大 学 で の 「地 理 学 」 受 講 生 の現 状 と講 義 内 容. 図5. を した 学 生 の割 合 は40%と 学 生 を 合 わ せ る と69%と. 少 し低 いが 、 地 理 を履 修 の み した学 生 は29%で. 、 受 験 勉 強 を した. な った。 逆 に 地 理 を 履 修 して い な い もの は31%で. 、A大 学 と ほ ぼ 同. じ割 合 で あ る こ とが わ か った。 た だ し、 この 大 学 で も3分 の1の 学 生 が 高 校 で 地 理 を履 修 しな い ま ま地 理 学 専 攻 に 入学 して い る こ とが 明 らか に な った。B大 学 で の 地 理 学 専 攻 生 へ の開 講 科 目 はA大. 2)地. 学 と大 差 な く、1年 生 で は地 理 学 の入 門 的科 目 と基 礎 的 な 実 習 が 行 わ れ て い る。. 理 学 専 攻 を も つ大 学 で の教 員 の対 応. 前 述 の よ うに近 年 で は地 理 学 専 攻 に 入学 した学 生 の3分 の1が 、 高 校 で 地 理 を 履 修 して い な い と い う こ とが判 明 した。A・B両. 大 学 と も1年 次 か ら地 理学 研 究 入 門 ・地 理 学 実 習 の ほか に. 人 文 地 理 学 概 論 や 自然 地 理 学 概 論 等 を履 修 さ せ て い るが 、特 に1年 生 の 前 期 は高 校 地 理 の 復 習 的 な 内容 を取 り入 れ る必 要 が あ る。 筆 者 が担 当 したA大 学 で の地 理 学 実 習 の 場 合 、 地 形 図 の 読 図 の基 礎 か らは じめ て い る。 そ して 、1年 生 の 終 了 時 点 で、 「全 員 が 地 理 学 を 学 ぶ た め の 基 礎 が で き、 こ こ で初 め て ス タ ー トライ ンに立 った」 と学 生 に告 げ て い る。 1年 生 を担 当 す る教 員 は、 そ れ ぞ れ の授 業 が、 学 生 の そ の後 の地 理 学 に対 す る学 習意 欲 を 左 右 す る と い うこ と を十 分 に念 頭 に お い て授 業 計 画 を立 て、 授 業 内容 を精 選 しな けれ ば な らな い 。. 3)教. 職 課 程 を 受 講 す る学 生 の 回 答. 図6か. ら図8は 教 職 課 程 の地 理 学 関 係 科 目 を選 択 して い る学 生 の回 答 で あ る。 この うち、 図. 6は 前 記A大. 学 の2年 生 か ら受 講 可 能 な 「教 職 自然 地 理 学 」 の受 講 生(69名)の. 結 果 で あ る。. 受 講 生 に は数 名 の 地 理 学 専 攻 生 が 混 じって い るが 、 大 半 が 文 系 学 部 の教 員 免 許 取 得 を 目指 す学 生 で あ る。 こ こで は地 理 を 履 修 した学 生 は受 験 勉 強 を した 学 生 を含 め て も38%に. 一55一. と ど ま り、.

(6) 近畿大学教育論叢. 第16巻. 図6. 第2号(2005・3) A大 学. 教 職 課 程 地 理 学 関係 科 目. 2001年69人. 受験勉強 のみ 2% 履修 の み 履 Zvi 履修せず 62%. 関. 履 修+受 9%. 監. 験. 図7. 図8. 残 りの62%の 地 理Bが. 学 生 が 高 校 で 地 理 を 履 修 して い な い こ とが 判 明 した 。 この 大 学 で は文 系 学 部 で. 入 試 科 目 に あ る に もか か わ らず この数 字 で あ る。. 図7は 、 地 理 学 専 攻 を持 た な いC大 学(私 立)で. の教 職 課 程 に お け る地 理 学 関係 科 目の受 講. 生 の回 答 で あ る(「 地 理 学 概 論1」 ・「地 誌 学 概 論1」 、 と もに2単 位)。 この大 学 はA大. 学 と同. 様 に地 理Bが 受 験 科 目 に あ る近 畿 地 方 で は数 少 な い総 合 大 学 で あ るが、 高 校 で地 理 を 履 修 して い な い学 生 が2003年. 度 は73%、2004年. 度 は68%に. 一56一. な り2年 間 を あ わ せ た数 値 を 図7に 示 した.

(7) 大学 での 「地理学」受講生 の現状 と講義 内容 が、72%に. もな って い る こ と に注 目す べ きで あ る。 逆 に、 受 験 で地 理Bを 選 択 して入 学 した学. 生 はわ ず か6%に. と ど ま って い る。. 一 方 、 図8は 一 般 入 試 で は地理Bが 受 験 科 目に な いD大 学 に お け る教 職 課 程 の 「地 理 学(地 誌)」 受 講 生(3・4年. 生)の. 回 答 で あ る。 回 答 数 は2年 間 で107名. が地 理 を 履修 して お らず(2003年 年6割. 度 は68%、2004年. 度 は53%)、C大. で あ るが 、 ここ で は、60% 学 よ りや や 少 な いが 、 毎. の学 生 が高 校 で地 理 を履 修 して い な い こ と にな る。 一 般 入 試 で 地 理Bの 選 択 が で き な い. に もか か わ らず、C大 学 よ り受 験 で地 理 を選 択 した学 生 の 比 率 が 高 いの は、 セ ンタ ー試 験 の受 験 者 が 含 ま れ て い るた め で あ る。 後 述 す るが 、 教 職 課 程 で の地 理 学 関 係 科 目の担 当者 は、 この よ うな 実 態、 す な わ ち高 校 で 地 理 を履 修 して い な い学 生 が6∼7割. 前 を 占 め て い る こ と と、 これ らの学 生 が将 来 教 壇 に立 って. 中 学 、 高 校 で 地 理 を教 え る教 師 に な る こ とをふ ま え て、 講 義 を進 め て い か な けれ ば な らな い。 現 実 に、 高 校 で 地 理 を履 修 して い な い学 生 が 教 育 実 習 で地 理 を担 当 す る こ とに な り、 真 剣 な面 持 ちで 相 談 に来 る ことが 多 くあ る。. 4)共. 通 教 養 科 目 「地 理 学 」 受 講 生 の 回 答. 大 学 で の 地 理 学 は文 系 学 部 にお いて は教 養 科 目 と して 開 講 して い る場 合 が 多 い。 そ こ で、C 大 学 とD大. 学 の受 講 生 を対 象 に行 った 同様 の ア ンケ ー トの結 果 を示 した。. 図9はC大 2004年)の. 学 の共 通 教 養 科 目 「地 理 学 」(2単. 位)の 経 営 学 部 の受 講 者(1・2年. 回 答 で あ る。 こ こで は 受 験 で地 理 を勉 強 を した学 生 は8%に. 者 を あ わ せ て も27%に. と ど ま り、 残 りの73%の. 明 した 。 こ の大 学 で は前 記 の よ うに地 理Bが. ・161名 、. す ぎず 、 地 理 の 履 修. 受 講 生 が 地 理 を履 修 して い なか った こ とが 判 一 般 入 試 の受 験 科 目 に あ るが 、 大 学 で の 「地 理. 学Jの 受 講 生 に 占 め る地 理 履 修者 の比 率 が 低 い。 そ の理 由 と して 、 高 校 で す で に地 理 を 履 修 し た た め、 大 学 で は あ え て選 択 しな か った の か、 あ るい は大 学 全 体 で、 も と も と入学 生 に 占め る 高 校 で の 地 理 履 修 者 が30%に. 満 た な い の か な ど が 考 え られ る。 この 点 に っ い て は、 今 後 検 討. して み た い。 これ に対 し、 図10のD大 る と、2003年 と2004年. 学 の共 通 科 目 「地 理 学 のす す め」 の受 講 者 か ら得 られ た 回答 を み. の1年 の み の 集 計 で は、 高 校 で の地 理 の履 修 者 は36%と. ち 受 験 勉 強 を した学 生 は11%と. な り、 そ の う. な って い る。 これ は前 記 の よ う に この大 学 で は セ ン タ ー試 験. で地 理 を受 験 した学 生 が 入 学 して い る た めで あ る と思 われ る。 しか しなが ら、 こ こで も、62% は高 校 で地 理 を 履 修 して いな い。 教 養科 目の 場 合 、 高 校 で 地 理 を履 修 した、 ま た は受 験 勉 強 を. 一57一.

(8) 近畿大学教育論叢. 第16巻. 第2号(2005・3). C大. 教 養 科 目 「地 理 学 」2004年1・2年161人. 図9 学. 受験勉強のみ 1%履. 修の. ■1. 騨闘 熱. 履修せず 73. 履修+受 験 8%. 図10. した 学 生 が、 大 学 で 再 び 「地 理 学 」 を選 択 す るか ど うか は全 く不 確 定 で あ る。 実 際 にD大 が 行 った 学 生 に よ る授 業 評 価(2003年)で 「時 間 割 が あ い て い たか ら」 も33%あ. は、 「興 味 関 心 が あ った か ら」 が63%あ. 学. っ た が、. り、 積 極 的 に 「地 理 学 」 選 択 した学 生 は受 講 生 の6割 程. 度 で あ る こ とが 分 か った 。 C大 学 ・D大 学 と も教 養 科 目で の 「地 理 学 」 受 講 生 の 数 は最 大 で400名. に及 ん だ年 もあ る。. この た め担 当者 は、 学 生 の 高 校 で の 地 理 履 修 率 が 低 い こ と を認 識 した上 で 、 大 人 数 で も 「地 理 学 」 に興 味 関心 を 抱 か せ る講 義 を 進 め な けれ ば な らな い。. 3大. 学 で の授業 例. こ こで は、C大 学 とD大 課 程 の 「地 理 学 概 論1」(2単 の す す め」(2単 位)の. 学 で の教 職 課 程 と教 養 科 目の授 業 内容 を紹 介 した い。C大 学 の教 職 位)、 「地 理 学 概 論1工」(2単. 位)と 、D大 学 の 共 通 科 目 「地 理 学. シ ラバ ス か ら講 義 計 画 を 抜 きだ して そ れ ぞ れ 表2、 表3お. した。. 一58一. よ び表4に 示.

(9) 大学で の 「地理学」受講生 の現状 と講義 内容 表4D大. 学 「地 理 学 のす す め」. 表2C大. 学 「地 理 学 概 論1」. 第1回. 地 理学 の研究 方法 と現 代世 界. 第2回. 地 図 の発 達 と地理 的視 野 の拡大. 1.地 理学 の研 究 方法 と現 代世 界. 第3回. 地 図 の種 類 と利用 方法. 2.地. 第4回. 地形 図 の特徴 と実 際 の作業(1). 第5回. 地形 図 の特徴 と実 際 の作業(2). 第6回. 世界 の地 形環 境 と各種 の地 形. 第7回. 世界 の気 候区 分 と気候 区 の特色. 第8回. 日本 と近 畿地 方 の 自然 環境. 第9回. 大阪 平野 の変 遷(先 史∼古 代 ・中世). 第10回. 大阪 平野 の変 遷(近 世 以降). 第11回. 世界 の人 口分 布 と人 口問題. 第12回. 世界 の地 域開 発. 第13回. 世界 と日本 の環境 問題. 第14回. まとめ 一人 間 と環 境 につ いて 一. 第15回. 前期 試験(試 験期 間 中 に実 施). 授業 計画 ・概. 要. 図 の発達 と地理 的視 野 の拡大 古 代 ・中世 の地 図 と地理 上 の発見 時代. 3.地. 図 の種類 と利用 法 世 界地 図 と身近 な地 域 の地図. 4.地. 形 図 の特色 と実 際 の作業 等 高線 、地 図記号 と読図 の基 本. 5.世 界 の地 形環 境 変動 帯 と安 定大 陸 の地形 の相 違 6。 世界 の気 候環 境 気 候区 分 と各気 候 区の特 色 7.農 業 地域 の区 分 と特色 世 界 の農業 形態 と食 料問 題 8.世 界 の鉱 工業 の立 地 と地域 の変 容 エ ネルギ ー資源 と世 界 の工業 立地 9.村 落 ・都 市 の機能 と生 活. 表3C大. 学 「地 理 学 概 論 皿」. 第1回. 世界 の農 業地 域 の区 分 と特 色. 第2回. 世界 各地 の農 業形 態 の特色. 第3回. 世界 の鉱 工業(1)、 エ ネル ギー資 源. 第4回. 世界 の鉱 工業(2)、 工 業立 地 とその変遷. 第5回. 世界 の鉱 工業(3)、 世 界各 地 の工 業地域 の特色. 第6回. 日本 の鉱 工業 の特 色 と工業 地域 の変遷. 第7回. 村落 の立 地 ・形態 と機 能. 第8回. 都市 の立 地 と機能 、 その変 化. 第9回. 地 図 に見 る集 落 の変遷. 第10回. 都市 の拡 大 と都市 問題. 第11回. 日本 にお ける都市 へ の人 口集 中. 第12回. 第三 世 界で の プ ライメ イ トシテ ィの形 成. 第13回. 京 阪神 にお け る都 市 の発展 と変遷. 第14回. 東大 阪市 の 発展 と将 来 につ いて. 第15回. 後期 試験(試 験期 間 中 に実 施). 村 落 の形態 と都 市 の機能 お よ びその変 化 10.人 口の都 市集 中 と都市 問題 都 市 の拡大 と第 三世 界 の都市 問題 11.京 都 盆地 の地 形 と災害 鴨 川 ・宇治 川 の流路 変遷 と洪 水 活 断層 と地 震災 害 12.伏 見 の 町並 みの特 色 と変容 地 図 に見 る伏見 の歴 史 と町並 み の変遷. 一59一.

(10) 近畿大学教 育論 叢. 第16巻 第2号(2005・3). ま ず 、C大 学 の前 期 の 「地 理 学 概 論1」(教 職 科 目 の 「人 文 地 理 学 」 に相 当)で. は、 最 初 の授. 業 で 、学 生 に対 し 「私 の この 授 業 は、 高 校 ・中 学 で の地 理 の 教 え 方 の例 を毎 時 示 して い る と思 い な さい」 と言 って 授 業 を は じめ て い る。 テキ ス トと して 、 高 校 の地 理Bの 教 科 書 を全 員 に購 入 させ 、 高 校 で 使 って い た 地 図 帳 を 毎 時 持 参 させ て い る。 地 図 帳 もテ キ ス トと して シ ラバ ス に 示 し、 も って い な い 学 生 に は購 入 させ て い る。 実 際 の 授 業 で は、 地 形 図 や 白地 図 を使 って の作 業 を取 り入 れ 、 作 業 を 通 じて 判 明 した こ とを ま と め た り、 発 問 を多 く して それ に答 え る時 間 を 設 けて い る。 高 校 で 地 理 を 履 修 して い な い学 生 に と って 、 初 めて の地 形 図 の作 業 に は時 間 が か か る こ と もあ るが 、 慣 れ る に した が い 高 校 生 に比 べ る と要 領 よ く進 め る こ とが で き る。2単 位 の た め 、 表1の. よ うに10数 回 の講 義 で は教 科 書 の 系 統 地 理 的項 目の 約 半 分 を終 え る こ と を め. ざ し、 残 り は後 期 の 「地 理 学 概 論1工」 で 続 きを 行 って い る。 毎 時 、 実 際 の高 校 の授 業 で重 要 と な る項 目を取 り上 げ て はい るが 、 そ れ が 十 分 理 解 で き たか ど うか は疑 問 で あ る。 この大 学 で は、 学生 時 代 に 地 理 学 を 学 ぶ 機 会 は、 上 記 科 目 の他 に教 職 の地 誌 学 や 自然 地 理 学 と教 養 科 目 を履 修 して も最 多 で14単 位 、 最 少 は 中学 社 会 科 の免 許 取 得 の場 合 で4単 位 に とど ま り、 これ で、 実 際 に 教 壇 に 立 って 地 理 を 教 え られ るか ど うか 不 安 で な らな い。 もち ろ ん、 歴 史 の場 合 も大 学 で の履 修 条 件(歴 史 学 専 攻 学 生 を 除 く)は ほ ぼ同 じで あ るが 、 高 校 で世 界 史 を 習 い、 さ らに 日本 史 を 選 択 して い る学 生 に と って 、 歴 史 を教 え る こと に は地 理 の場 合 に比 べ る と抵 抗 感 は少 な い よ うで あ る。 次 に 表4に 示 したD大. 学 の共 通 教 養 科 目 「地 理 学 の す す め」 は お もに1年 生 配 当 で あ り、. 高 校 で の地 理 の 延長 とい う見 方 もで き る。 こ こで は 「地 理 学 」 に興 味 関 心 を深 め られ る よ うな 工 夫 が必 要 とな る。 た だ し、6割 以 上 の 学 生 が 地 理 を 履 修 して い な い こと を考 慮 し、 テ キ ス ト と して高 校 で使 用 して い る地 図 帳 を 指 定 した 。 一 般 の 市 販 の 地 図 帳 で は な く、 主 題 図 が 充 実 し て い る地 図 帳 を毎 時 持 参 させ て 授 業 を 行 って い る。 こ こで もほぼ 毎 時 の よ うに作 業 を取 り入 れ、 写 真 や ビデ オ も使 用 して い るが 、 完 全 な セ メ ス タ ー制 の 導 入 に よ り13∼14回. の授 業 時 間 しか. 確 保 さ れ ず、 シ ラバ ス に 示 した 内容 を 消 化 す るの に苦 心 して い る。 お もな内 容 は、 地 形 図 の読 図 の基 礎 的 な作 業 の の ち、 世 界 の 自然環 境 と世 界 の 農 業 地 域 、 人 口 と村 落 ・都 市(京 阪 神 を事 例)、 地 元 の地 域 学 習 な ど を 中 心 に進 めて い る。 具 体 的 に は、 自然 環 境 で は世 界 と 日本 の 地 形 や気 候 を比 較 しな が ら 日本列 島 の 特 殊性 を 述 べ 、 人 口の 項 目で は京 阪 神 の 都 市 を取 り上 げて 作 業 を行 い、 最 後 に地 元 の地 域 の変 容 に っ い て 歴 史 地 理 的 アプ ロ ー チを 取 り入 れ て 考 察 して い る。 両 大 学 と も、 地 理 学 の専 任教 員 は少 な い が 、 各 教 員 の 専 門 を 生 か した講 義 が 展 開 され て お り、 そ れ らを受 講 した学 生 が将 来 、 教 職 を 含 め職 場 で 地 理 学 を 生 か し、 地 理 学 的 手 法 を活 用 して も. 一60一.

(11) 大 学 で の 「地 理 学 」 受 講 生 の 現 状 と講 義 内容 ら え る こ と を 願 っ て い る。. 4.お. わ りに. 大 学 生 に対 し高 校 で地 理 を履 修 した か ど うか等 に っ い て の ア ンケ ー トによ る と、 地 理 学 専 攻 へ の入 学 者 と、 そ れ以 外 の文 系 学 部 へ の入 学 者 とで は、 履 修率 に大 きな違 い が み られ た。 す な わ ち、 高 校 で 地 理 を履 修 して い な い学 生 は、 地 理 学 専 攻 で約3分 以 外 で は3分 の2か. の1で あ るの に対 して 、 そ れ. ら4分 の3に 達 して い る こ とが分 か った。 この こ と は、 大 学 で地 理 学 関係. の 講 義 を す る場 合 、 地 理 に対 す る学 生 の基 礎 的 な知 識 を測 る目安 とな る。 各 大 学 で の担 当者 は、 高 校 で 地 理 を 履 修 して い な い学 生 や 、 履 修 を したが 受 験 勉 強 を して い な い た め、 ご くわ ず か な 事 項 しか 思 い出 せ な い学 生 が 多 い と い う こと を念 頭 に お いて 、 学 生 に興 味 関 心 を持 た せ るよ う な 「地 理 学 」 の 講 義 を して も らいた い。 さ らに 、 将 来 、 社 会 科 ・地 歴 科 の 教 師 を め ざ して 教 職 課 程 を履 修 して い る学 生 に は、 自 らが 教 壇 に立 って地 理 を教 え て い る姿 を 想 定 して 、 毎 時 講 義 に臨 む こと を促 した い。 そ して、 教 職 課 程 に お け る地 理 学 関係 科 目の担 当者 は、 講 義 を 通 じて 実 際 に中 学 ・高 校 で 地 理 を教 え る際 の 留 意 点 を提 示 しな が ら授 業 を 進 め て い きた い。 そ の た め に は、 地 図 や 統 計 を 用 い た作 業 を取 り 入 れ る な ど して、 地 理 的技 能 の修 得 を め ざ す 時 間 も随 所 に 設 定 した い もの で あ る。 そ の際 、 テ キ ス トや参 考 書 に、 中学 ・高 校 の地 理 の教 科 書 を使 う こ とや 、 地 図 帳 を 毎 時 持 参 させ て 授 業 を 行 う ことが 極 め て有 効 で あ る こ とを強 調 して お きた い。 最 後 に、 近 年 よ うや く地 理 学 関 係 学 会 に よ る 中学 ・高 校 生 や一 般 市 民 へ の普 及 活 動(講 演 ・ セ ミナ ー ・エ ク ス カ ー シ ョ ン等)も 盛 ん に な って きて い る。 これ らに も多 くの学 生 が 参 加 し、 身 近 な と こ ろか ら地 理 学 を学 ぶ 機 会 を増 や して い く こ とに よ り、 地 理 学 の裾 野 が広 が る もの と 期 待 して い る。 大 学 で も、 各 課 程 に お いて 「地 理 学 」 の 内容 を さ らに充 実 さ せ魅 力 あ る講 義 に して い きた い。. (注)小. 宮正美. 「次 期 学 習 指 導 要 領 の 改 善 へ の 取 り組 み 」、 「地 理 』50-22005、. は 、 世 界 史 約150万. 冊 、 日 本 史 約100万. 冊 、 地 理80万. る。. 61一. 冊(2004年. 度)と. 古今 書院、 で い う報 告 が あ.

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