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Academic year: 2021

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巻頭の言葉

京都文教大学人間学研究所所長鵜飼正樹

2008年4月から、人間学研究所所長をひきう けています、鵜飼正樹です。 「人間学研究』第9号を、お届けいたしま す。 私が人間学研究所所長になると同時に、京都 文教大学も、人間学部と臨床心理学部の2学部 体制となりました。それぞれの学部で紀要が 刊行されるようになったため、この『人間学研 究』をふくめ、小さな大学に3つの紀要が鼎立 することになりました。 くつに、3つの紀要が対立しているわけでは ないので、鼎立というのは大げさかもしれませ ん。しかし『人間学研究』が、学部紀要に飲み 込まれてしまうのではという心配がないといえ ば、うそになります。 そもそも、学部に紀要があるのに、研究所で も紀要を出す必要はあるのでしょうか。もちろ ん、「ある」と答えたいのですが、なかなかス トレートにそう答えられないのが、率直なとこ ろです。 人間学研究所の役割は、共同研究の推進と、 その成果を学外に向けて発信することにありま す。そのために必要なことは、「場」をつくる ことです。共同研究の場、教員・学生・市民の 交流の場。所長室、研究室、教室など、現実 空間の場もあれば、インターネット空間のよう な、ヴァーチャルな場もあります。紀要も、そ うした場のひとつです。 研究所が独自の紀要を出す以上、それは、学 部が出す紀要とちがっていなければなりませ ん。もっといえば、学部紀要に書けないことが 書かれた、学部に出せないような紀要を出すべ きです。 では、学部に出せないような紀要とは、どん なものなのでしょうか。 研究所の紀要は、いかにあるべきか。この問 いを来年度にもひきつぎ、私なりに考え続けて いきたいと思っています。 憂慮されるのは、教員が多忙をきわめるよう になってきたことです。共同研究は、時間的 に、心理的に、余裕がなければできません。自 分自身の研究テーマにさえ、充分な時間をあて られないのに、共同研究になんかふりむける時 間はない。そういう悲鳴が聞こえてきます。同 僚とは、大学の現状や学科・学生の問題につい て話すことは多くても、研究の話など、このと ころほとんどした覚えがありません。 いささか誤解を招く言い方になりますが、共 同研究は遊びであり、余技です。自分の専門で はないからという理由で、共同研究への参加を 遠慮される先生もおられますが、私は逆に、自 分の専門でないからこそ、共同研究では、勝手 な思いつきが許され、無責任な議論ができる、 それが共同研究のおもしろさだと思うのです。 けれども、そのためには、やはり余裕というも のが必要です。 しかしここでも、逆に考えてみましょう。忙 しくても、「共同研究マインド」を持ち続ける ことが、余裕を生むのだと。人間学研究所は、 多忙な教員が息抜きできる、オアシスのような 場でもいたいものです。 紀要の出版にあたっては、人間学研究所所員 の先生方、研究支援課の職員のみなさんにお世 話になりました。あらためてお礼を申し上げま す。

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