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糖尿病ラットのミオイノシトール非依存性神経Na/K-ATPase活性制御機構の検討 : cAMPの果たす役割

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Academic year: 2021

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糖尿病ラットのミオイノシトール非依存性神経

Na/K-ATPase活性制御機構の検討 : cAMPの果た

す役割

著者

前田 憲吾

発行年

1993-03-23

URL

http://hdl.handle.net/10422/1947

(2)

着 瀾 t l l 1 1 1 ノ

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 前 田 憲 吾(滋賀県) 博士(医学) 博 士  第141号 学位規則第4粂第1項該当 平成5年3月23日 糖尿病ラットのミオイノシトール非依存性神経Na/K−ATPase活性 制御機構の検討 −CAMPの果たす役割一 審 査 委 員  主査 教授  野 崎 光 洋 副査 教授  北 里   宏 副査 教授  繁 田 幸 男 論 文 内 容 要 旨 [目 的] 糖尿病性神経障害は、糖尿病合併症の中で最も初期に発症し、知覚異常は患者の日常生活の質的低 下をきたすだけでなく、時には患者の生命をも脅かす。しかし、その発症枚序についてはいまだ不明 な点が多い。近年、神経伝導に重要なNa/K−ATPase(以下、ATPase)活性の低下が糖尿病性神経 障害の一因として注目され、同酵素活性低下は神経ミオイノシトール含量低下によるprotein kinase C活性低下に起因すると推測されている。一方、我々は神経虚血が糖尿病性神経障害の発症に関与 している可能性につき検討してきたが、その過程で血管作働薬prostaglandin El(以下、PGEl)製 薬OP1206・αCD(以下、OP)が神経ミオイノシトール含量の改善なしに糖尿病神経ATPase活性 を改善することを見出した。PGElは種々の組織でcAMPをsecond messengerとして作用すること が知られており、本研究は、ATPase活性におけるミオイノシトール非依存性、特にcAMPの関与し た制御機構を解明することを目的とし、①糖尿病ラット神経cAMP含量の変化、②cAMP増加作用を もつ薬剤が糖尿病ラット単離神経ATPase活性に及ぼす作用、(∋OPによるATPase活性増加作用の経 時的変化及び蛋白燐酸化酵素阻害剤の同作用への影響を検討した。 [方 法] 1)糖尿病モデル動物 8週齢SD雄性ラットにストレプトゾシソ45mg/kg静注したものを糖尿病群、緩衝液のみを静注し たものを対照群とした。 2)糖尿病ラット坐骨神経cAMP含量の検討 3週・6週糖尿病ラットを用い、麻酔下にてmicrowave鼎射後、坐骨神経神経内報を塩酸でhomo genizeL、上清中のcAMP含量をRIAで測定した。 3)OPの6週糖尿病ラット単離坐骨神経cAMP含量に及ぼす作用 断頭後摘出した坐骨神経神経内報を種々の濃度のOPとともに30分酵置し、組織中のcAMP含量を 上記の方法で測定した。 4)cAMP増加作用を有する薬剤の糖尿病ラット単離神経ATPase活性に及ぼす影響 糖尿病ラット神経内報を種々の濃度のOP、dibutyri1cAMP、aminophyllineとともに30分解置し、 神経homogenateが3mMATPを分解する速度をFiske−Subarrow無幾燐測定法により測定し、1m M ouabainにより抑制される量をATPase活性とした。 −10針一

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5)opのATPase活性増加作用の経時的変化及び蛋白燐酸化酵素阻害剤の同作用に及ぼす影響 cAMP含量・ATPase活性の最大増加作用を示したOPlOng/mlを用い、上記の神経内報酵置時間 を1、5、15、30分に設定し、同様の方法でATPase活性を測定した。蛋白燐酸化酵素阻害剤はH8あ るいはstaurosporineを用い、単独で10分間作用させた後OPlOng/mlを加え更に30分間イソキュベー ショソを続け、ATPase活性を測定した。 [結 果] 3週・6週糖尿病ラットでは有意な低体重、高血糖、伝導速度遅延が認められた。神経cAMP含量 は3週では両群間で有意差はなかったが、6週糖尿病群で有意に減少し七いた。PGEI製剤OPは糖尿 病ラット単離坐骨神経のcAMPを用量依存的に増加した。CAMPを増加させる薬剤はいずれも糖尿病 ラット単離神経ATPase活性を用量依存的に増加した。OPのATPase活性増加作用はイソキュべ−ショ ソ後1分で急速に現れ、その後30分までゆるやかに持続し、同作用は蛋白燐酸化酵素阻害剤H8及びS taurosporineで完全に抑制された。 [考 察] 糖尿病ラット神経ATPase活性が、invitroで、CAMPを増加させる作用を有する薬剤で増加し、 同作用が1分で発現、蛋白燐酸化酵素阻害剤で完全に抑制されたことは、ATPase活性がcAMPによ り燐酸化を介して増加した可能性を示唆する。CAMPによるATPaseやNa/Kpumpの活性化は、既 に蛙網膜色素上皮・ラット肝細胞で報告されているが、本実験結果は末棉神経にも同様の調節幾棒が 存在する可能性を示唆する。また、既報告によると糖尿病ラットの神経ATPase活性低下は、糖尿病 誘発4週以後で顧著になる。本研究で神経cAMP含量低下が6週で明かとなったことは、糖尿病神経 ATPase活性低下にcAMP低下が関与している可能性を示唆している。本実験において、prOteinkin ase C活性が変化した可能性は否定できないが、少なくともATPase活性制御機構の一つとしてcAM Pによる情報伝達機構もprotein kinase Cと同様に重要であると考えられた。 [結 論] 糖尿病ラット単離坐骨神経ATPase活性は、神経cAMP含量増加により改善される。糖尿病ラット 神経においてcAMP含量が低下していることを考え合わせるとATPase活性低下がcAMP低下に起因 している可能性が示唆された。 学位論文審査の結果の要旨 本論文が、糖尿病性神経障害の一因と考えられている神経Na/K−ATPase活性低下が、プロスタ グラソディソEl誘導体OP1206・αCD治療により神経ミオイノシトール含量増加を伴わずに改善し たことに着眼し、プロスタグラソディソElのsecond messengerとして重要なcAMPがNa/K−ATP ase活性を調節している可能性に関し検討されたものである。 本論文では、ストレプトゾシソ誘発糖尿病ラットの坐骨神経において、Na/K−ATPase活性低下 が生じる時期に一致してcAMP含量の低下が認められること、さらにcAMP作用を異なる機序で増強 させる種々の薬剤をinvitroで糖尿病ラット坐骨神経に作用させることによりNa/K−ATPase活性が 用量依存的に改善されること、またこのNa/K−ATPase活性増加作用は迅速に現れ、蛋白リソ酸化 酵素阻害剤H8・StaurOSPOrineによって完全に抑制されることが確認された。これまで末檎神経では −110− 遥

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ミオイノシト∼ルを前駆物質とするphosphoinositide代謝がNa/K−ATPase活性を制御していると 考えられてきたが、本論文の成績は、Na/K−ATPase活性がミオイノシトール代謝に依存すること なく、CAMPを介しリソ酸化による調節を受けている可能性を示唆している。 本論文は糖尿病神経障害におけるNa/K−ATPase活性低下の機序及び糖尿病性神経障害の治療法 を考える上で極めて意義深いと考えられ、博士(医学)の学位に値すると評価された。 −111−

参照

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