金プラズモニック光触媒の設計、合成および応用に関する研究
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(2) 学位論文審査結果の報告書 氏. 名. 生年月日. 田中淳皓. く西ID 平成60年9月. 本籍(国籍) 学位の種類. 大阪府 博. 士(工学). 工第 202 号. 学位記番号 学位授与の条件. 3 0日. 学位規程第5条該当. (博士の学位). 論文題目. S加dies on designs, syntheses and applications of. goldplasmonicphotocatalysts (金プラズモニック光触媒の設言十、 合成および応用に関する研究). 審査委員. 亀 多田弘明 噂、. (主査). 古南博. /こ就ご、. (副主査). ノノ'、、.'、. 岩崎光伸 {印.・ 1.}. (副主査). '、t --ty. (副査). ⑳. (副査). ⑳. 47.
(3) 塾. ク、. の. ^. 本論文は、可視光領域に幅広い吸収をもつ金(AU)プラズモニック光触媒 を高度に設計し、様々な調製法を駆使して合成することで、多種の反応ヘの 応用を目指し、その結果を3章に分けて論述したものである。 第1章 AUプラズモニック光触媒の合成と各種酸化還元反応ヘの応用 本章では、様々な調製法を駆使して、 AUプラズモニック光触媒(AW酸化 物)を合成し、種々の酸化還元反応ヘの応用について論じる。第1節では、光. 析出法により調製したAU担持酸化セリウム(1V)(Awce0ヲを用いた水中有機 酸の二酸化炭素(C02)への酸化反応を検討した。可視光照射により量論量の C02が生成し、 Awce02は有機酸を定量的に無機化できることが明らかになっ た。第2節では、緑色光照射下におけるAwce02を用いた水中のベンジルアル コール佃AL)のベンズアルデヒド(BAD)への酸化反応を検討した。光照 射に伴い、 B紅が減少し、量論量のBADが生成した。また、本触媒を用いた B紅の酸化反応におけるアクションスペクトルを測定したところ、 AUのSPR. 吸収とよく似た傾向となることから、本反応がSPR吸収により誘起された光触. 媒反応であることが結論された。第3節では、多段階光析出(MS:Mum・step) 法による大きなAU粒子の固定化を行った。同じ担持量にも関わらず、 ce02上 のAU粒子径は、従来(SS:single・step)法で調製した試料SS・AU/ce02 (d=59 nm)よりもMS・Alvce02 (d=92血)のほうが大きくなった。さらに、 MS法 で調製したAwceo"よ強いSPR吸収を示した。2種の方法で調製したAwceqに よる、緑色光照射下、 02雰囲気におけるB紅の酸化反応を行ったところ、 MS・ AU/ce02はSS・Awce02よりも大きな反応速度を示した。これらの結果より、 Awce02はBALの酸化反応においてほぼ完全な選択性を示すこと、および、大 粒径化が高活性化に有効であることが明らかになった。第4節では、 MS法で. 調製したAU担持酸化チタン(1V)(AU/Ti02)を用いた2・プロパノールからの水 素(Hヲ生成反応を検討した。この方法で調製することにより、小さなAU粒. 子と大きなAU粒子がTi02上に共存することを見いだした。2・プロパノールか らのH2生成反応において、 MS・AWTio"よSS、AWTi02と比較して、きわめて高 1舌性であった。 MS・AWTi02を用いたH2生成反応において、大きなAU粒子は. SPR吸収と酸化反応サイトを、小さなAU粒子はプロトン値、)の還元(H2生 成)サイトを担っていると結論した。第5節では、あらかじめ調製したAUコロ ド(平均粒径:13血)溶液に酸化物を懸濁させた後に光を照射するコロイ ド光電着法により、 AUコロイドをその粒径を変えることなく酸化物上に固定 化することが可能となった。この触媒を用いてギ酸の無機化反応を行ったと. - 48 -.
(4) ころ、高いC02生成速度が得られた。以上の結果から、光析出法を駆使して調 製したAUプラズモニック光触媒が、可視光照射下、有機酸の無機化反応、. 香族アルコールの選択酸化反応、および、 H2生成反応を進行させることを明 らかにした。また、コロイド光電着法を新たに開発し、この方法により、↓ 較的大きなAU粒子を固定することができること、および、 AU粒子の個数によ りSPR吸収を制御できることを明らかにした。以上より、 AUプラズモニック 光触媒の高1舌性化の設計指針は、 AU粒径の増大、および、その個数増加によ るSPR吸収量の増強、ならびに、酸化物担体との適正な組み合わせであると結 論した。. 第2章 AUプラズモニック光触媒の機能化 本章では、 AUプラズモニック光触媒に助触媒を導入し、その機能化につい て論じる。第1、 2、 3節では、光析出法で助触媒を、コロイド光電着法でAU粒. 子をTi02上に分離固定化担持した。また、第4節では、 AU粒子と助触媒を分離 固定化しない、第2の機能化方法として、多段階光析出法でAUコア・pdシェル. 粒子をTi02上に担持した。第1節では、 ptなどの助触媒を従来の光析出法で担 持し、その後、 AU粒子をコロイド光電着法で担持することにより、小さな助. 触媒金属粒子とAU粒子をTi02上で分離共存させた(AU/Ti02・pt)。 AWTi0がPt を用いた2、プロパノールからのH2生成反応を検討したところ、その氏生成速. 度はAWTi02のものと比較して7'5倍であった。対照実験として、同条件下にお けるTi02やTi02、ptを用いた反応を行ったが、 H.生成Υ舌陛を示さなかった。し たがって、 AU/1iorptおよびAWTiqからのH2生成はPtの熱触媒作用やTi02のバ ンドギャップ励起によるものではないといえる。また、様々な金属を助触媒. (M)として用いた材料(AWTi02・M)を調製し、金属の種類の影響を検討し た結果、予想通り、水素過電圧の小さい金属(Pりを助触媒として用いたと. き、もっとも高いH2生成速度が得られた。したがって、 AWTi0がPt試料では、 分離担持されたPtがH2生成サイトとして有効に機能していると結論した。第2 節では、 AUと助触媒であるPtを分離担持したAWTiorptを用いた、 6価クロム. イオン(cr命)共存下、水の酸化反応による02生成反応を行ったところ、 cr酬 の減少と3価クロムイオンの生成が確認され、同時に化学量論通りの02が生成 した。したがって、 AUプラズモニック光触媒は、水を酸化し、 02を生成する ことができる高い酸化力を有することを明らかにした。第3節では、可視光照. 射下における、酸化と還元サイトを分離したAUプラズモニック光触媒. (AWTi02、M)を用いたニトロベンゼンのアミノベンゼンへの還元反応を検討 し、その結果、金属助触媒(M)に銀(Ag)を用いた光触媒(AWTi02・Ag) がニトロベンゼンの還元反応に対して最も高い活性を示すことを見出した。 第4節では、 AU粒子と金属助触媒サイトを分離しないAUコアーパラジウム. - 49 -.
(5) (pd)シェル粒子担持Ti02の調製を検討した。この触媒がクロロベンゼンの 還元的脱塩素反応に優れた活性を示すことを明らかにした。以上の結果よ リ、 AUプラズモニック光触媒の機能化として、助触媒の導入が有効であると 結論した。その方法として、助触媒の分離固定化およびコアシェル形成が有 効であることを明らかにした。. 第3章 AUプラズモニック光触媒のもつ特異な機能、および、さらに高度な 機能化. 本章ではAUプラズモニック光触媒のもつ特異な機能、および、さらに高度 な機能化について検討した。第1節では、コロイド光電着法により調製した. AUプラズモニック光触媒(AWTi02)を用いたギ酸の無機化反応における光 強度依存性を検討した。光量およびC02生成速度の両対数プロットは直線と なり、その傾きは1.87と求められた。以上の結果より、コロイド光電着法に. より調製したAWTi02上で非線形光触媒反応が進行していることが示され た。第2節では、 AUコア・CUシェル形成によるAUプラズモニック光触媒のSPR 吸収の長波長シフトを検討し、赤色光(波長640血)照射下におけるギ酸の. 無機化反応を行ったところ、 CU・Awce02はAU/ce02の約5倍のC02生成速度を 示した。このことからCU・AU/ce02中のCU添加量を増加させることにより、プ ラズモニック光触媒の光応答性の制御が可能となった。第3節では、可視光. 応答型半導体光触媒であるW03にAU粒子をコロイド光電着法で担持した後、 光析出法でPt粒子をAU粒子上に生成させることにより、新規な光触媒材料. PVAIVW03を調製した。緑色光あるいは青色光の一方をPVAIVW03に照射した 場合、 H2の生成速度は非常に小さかった。これに対し、両者を同時に照射す ると生成速度は約40倍になった。アクションスペクトルの結果も合わせて、. 緑色光あるいは青色光の両方を照射すると、 AUのSPR励起およびW03のバン ドギャップ励起の両者が効果的に作用してH2が生成すると結論した。また、 02生成も同様の反応機構で説明できた。 全体を総括すると、適切なAU粒子を半導体表面上に担持・固定化させるこ. とにより、 AUプラズモニック光触媒は、可視光照射下、様々な化学反応を進 行させることを明らかにした。また、適切な助触媒を、適切な方法を用いて 導入することにより、 AUプラズモニック光触媒の高機能化が達成された。さ らに、 AUプラズモニック光触媒の特異な機能やSPRの制御、新規な光触媒材 料の可能性についても明らかになった。これらの結果は、新規プラズモニッ ク光触媒や新規光触媒反応の設計において重要な指針を提供する。. - 50 -.
(6) ヨ△. 査. 、. の. ^. 本論文は、可視光領域に幅広い吸収をもつ金(AU)プラズモニック光触媒 を高度に設計し、様々な調製法を駆使して合成することで、多種の反応ヘの 応用を目指し、その結果を3章に分けて論述している。 第1章第1節および第2節では、光析出法により調製したAU担持酸化セリウ. ム(1V)(Awce02)を用いた水中有機酸の二酸化炭素(C02)への酸化反応 (第1節)およびベンジルアルコールのベンズアルデヒドへの選択酸化反応. を検討している。第1節では、 Awce02はギ酸を定量的に無機化できること を、また、第2節では、ベンジルアルコールを高選択的にベンズアルデヒド ヘ酸化できることを明らかにしている。第3節では、多段階光析出(MS)法. を用いることで、 ce02上に従来法よりも大きなAU粒子を担持することがで き、この試料がベンジルアルコールの選択酸化反応に高い活性を示すことを 明らかにしている。第4節では、 MS法で調製したAU担持酸化チタン(Ⅳ). (AIVTi02)を用いた2、プロパノールからの水素(H2)生成反応を検討してい る。この方法で調製することにより、小さなAU粒子と大きなAU粒子がTi02上 に共存することを明らかにしている。2、プロパノールからのH2生成反応にお いて、 MS、AWTi02は従来法で調製した試料と比較して、きわめて高1舌性であ ることを明らかにした。 MS、AWTi02を用いたH2生成反応において、大きな AU粒子はSPR吸収と酸化反応サイトを、小さなAU粒子はプロトンの還元(H2 生成)サイトを担っていると見いだしている。第5節では、あらかじめ調製 した粒径の均一なAUコロイドをTi02上に安定に固定化する方法(コロイド光 電着法)を確立し、調製したAWTi02が高い光触媒活性を示すことを明らか にしている。. 第2章では、 AUプラズモニック光触媒の機能化(丘lnctiona1稔ation)につい て検討している。第1節では、 H2生成反応におけるプロトンの還元反応の促 進を意図し、光析出法とコロイド光電着法を組み合わせることによる、各種. 助触媒(M)とAU粒子がTi02上に分離固定化したAWTi02・Mの調製、およ び、これを用いたH2生成反応に対する助触媒の効果を検討し、白金(pt)が 助触媒として高い効果を示すことを明らかにしている。第2節では、機能化 AUプラズモニック光触媒のひとつであるAWTi02・ptによる可視光照射、 6価ク ロムイオン存在下、水の酸化による酸素(02)生成反応を検討し、 ptが助触 媒として機能することを明らかにしている。第3節では、機能化AUプラズモ ニック光触媒AWTi02、Agを調製し、可視光照射下、ニトロベンゼン還元ーア ルコール酸化によるアニリンおよびケトンの同時生成反応を検討し、最も適. - 51 -.
(7) した助触媒がAgであることを明らかにしている。第4節では、 AUプラズモ ニック光触媒の第二の機能化の方法として、 MS法により、コアシェル型AU. コアーパラジウム(pd)シェル粒子担持Ti02を調製し、可視光照射下におけ るクロロベンゼンの還元的脱塩素反応を検討し、pdが助触媒として機能した ことを明らかにしている。. 第3章第1節では、コロイド光電着法により調製したAWTi02を用いたギ酸 の無機化反応における光強度依存性を検討し、光量およびC02生成速度の両 対数プロットは直線となり、その傾きは1.87となった。また、従来の光析出 法で調製したAWTi02を用いた場合の傾きは1.04であった。これらの結果よ. リ、コロイド光電着法で調製したAWTi02上で非線形光触媒反応が進行して いることを明らかにしている。第2節では、 AUコアー銅(CU)シェル形成に よるAUプラズモニック光触媒のSPR吸収の長波長シフトを検討し、赤色光 (波長640血)照射下におけるギ酸の無機化反応を行ったところ、 CU、. AU/ce02はAU/ce02の約5倍のC02生成速度を示すことを見いだしている。.以 上より、 CU・Awce02中のCU添加量を増加させることにより、プラズモニック 光触媒の光応答性の制御が可能であることを明らかにしている。第3節で. は、 W03半導体のバンドギャップ励起とAUのSPR励起を組み合わせた新規二 段励起型光触媒を合成し、可視光照射下におけるH2および02生成反応を検討 し、高い生成速度を得るには、両者の励起が必要であることを明らかにして いる。. 全体を総括すると、適切なAU粒子を半導体表面上に担持・固定化させるこ. とにより、 AUプラズモニック光触媒は、可視光照射下、様々な化学反応を進 行させることを明らかにしている。また、適切な助触媒を、適切な方法を用. いて導入することにより、 AUプラズモニック光触媒の高機能化が達成されて いる。さらに、 AUプラズモニック光触媒の特異な機能やSPRの制御、新規な 光触媒材料の可能性についても明らかにしている。これらの結果は、新規プ ラズモニック光触媒や新規光触媒反応の設計において重要な指針を提供する ものである。. これらの研究内容は学術誌 Che抗. C0形抗Uπ.,冱PPI. catal.豆J Geπ., j互規 Che111. SOC., catα1. sci. rechπ01.,ιaπ8711呪ir,4Cs catal., j phys. che111. C, Che形CωChe柳で公表されており、学位論文として高く評価される。. 以上、本論文で述ベられた知見は、多数の独創性と優れた結果を含み、学 術的にも工業的にも価値があり、博士(工学)論文として値すると認めた。. - 52 -.
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