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キトサンの土壌混和処理が根粒着生及び非着生系統ダイズの生育収量に及ぼす影響

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Coasta18ioenvironment Vol.5 (2005)15~20 15

キトサンの土壌混和処理が棋粒着生及び非着生系統ダイズの生育収量に及ぼす影響

鄭紹輝・南保浩二-有馬進

1)

佐賀大学海浜台地生物環境研究センター 1)佐賀大学農学部

Effects of chitosan application to the soil on the growth and seed yield of nodulating and nonィlOdulatingsoybean

Shao-Hui ZHENG, Koji NANJO and Susumu ARIMA1)

Coasta1 8ioenvironment Center, Saga University, 152-1 Shonan-cho, Karatsu, Saga 847-0021, Japan, lIFac.of Agric., Saga Univ. 要 約 本研究では、キチン・キトサンが土壌I:IJにおける分解過程で生成された無機態窒素化合物が栄養素と して植物に利用されるかどうかを調査するため、根粒非着生系統 (T201)および着生系統 (T202)の ダイズを栽培し、異なる窒素施肥条件下におけるキトサン土壌混和処理を行い、開花期における生育諸 特性、葉内議素濃度、収穫期における収量および収量構成要素などを調査した。 T201の開花期におけ るSPAD値はキトサン処理濃度に比例して上昇し、 T202においてもT201ほどではないが若子の上昇Aが 見られた。 T201の低窓素区、高窒素区及びT202の低笠素IRにおいて間花期までの成長量がキトサン処 理濃度が高いiまほど増加した。葉内窒素濃度についてもSPAD値陪様、キトサン処理濃度が高い思ほど 高かった。なお、 T202の根粒重及び根粒数はキトサン1%区において著しく減少したが、これはキト サン処理ーによる窓素濃度上昇あるいは菌類に対する感染抵抗性の向上によるものではないかと考えられ た。収量及び収量構成要素については、 T201において施肥窒素の多少に関わらずキトサン処理濃度が 高い区ほど増大したが、 T202においては低窒素区のみで微増であった。以上のことから、キトサンの 土壌混和処理は植物に窒素を供給し、低窒素条件下でのダイズの生育収量を向上させる効果があり、そ の程度は特に根粒非着生系統で顕著であった。よってキトサンが有機窒素肥料としても利用できる可能 性が示唆された。 Summary

Chitosan is a huge usable biomass which is contained in the shell of crustacean. The objec古

tive of this study is to clarify if the nutrient released by chitosan analysis in the soil could affect the growth and the seed yield of nodulating (T202) and nonィlodulating(T201) soybean. The growth properties, seed yield and the nitrogen content in the leaves were investigated. The SPAD value increased accompanied with the increase in chitosan concentration at the flowering time. The same effect was also observed with the nitrogen content in the leaves except low nitrogen application in T202. However, the nodule number and weight was very low in low nitrogen application may because of the poor shoot growth, but also very low in high nitrogen application because of either the inhibition of high nitrogen released by chitosan or the increase in the immune system stimulated by chitosan. The shoot dry weight and seed yield increased clearly by the concentration of chitosan in T201 regardless of the amount of nitro四

gen application whereas increased a little in T202 only in low nitrogen application. The results suggested that chitosan is also useful as the nutrient for、thesoybean cultivation when the

(2)

16 鄭 紹 精i.ì'行線浩二・ 3信~逃 1 .はじめに キチン及びキトサンは天然に!六く分布し.地球 上の自然状態の中で年開 100~1000億トン稼度 生産されると推測され、セルロースに次ぐ高分子 多糖体のバイオマスである(次回1988)。近年冷 凍食品の普及に伴いエピやカニの消費量が増大 し、キチン質を豊富に含んでいる莫大な量のエピ やカニ殻が廃棄されるようになり、それらの資源 化が求められるようになった(矢吹1992)。この ような流れの中でキチン・キトサンに関する研究 が促進され、キチン・キトサンは機能性多糖とし て注呂されるようになった。そして近年、廃水処 理用の凝集剤、酵素圏定化剤、医療用品、健康食 品など多くの分野で利用されるようになり、農業 分野においてもその有用性が発見され、実用化に 向けた研究が行われるようになった(次田1990)。 キチン・キトサンの農業分野での機能としては、 キチン・キトサンの粉末を土壌中に混和処理した り、溶液を植物体に直接散布したりすることによ り地上部生育への生長促進効果(福井ら 1989、 福元ら 2003)、植物体内キチナーゼやファイト アレキシン等の活性物質増加作用(福井ら1989)、 フザリワム等の植物病原菌増殖抑制作用(駒田ら 1965)、また土壌改良作用(内田1995)など 様々な機能を果たすことが報告されている。近年 のように農業における集約化が進行する中で、農 薬・化学肥料などの化学物費を多量に投入する農 法により、耕地生態系や人体に及ぼす影響が問題 とされており、キチン・キトサンを利用した農法 が農薬や化学肥料の使用量を抑えられる、環境に 調和した新しい農業技術の一つになり得ると期待 されている。 ところで、脱アセチル化度や分子量によって異 なるが、キチン・キトサンには 5~8% の窒素成 分が含まれており、それらが土壌微生物に分解さ れる過程で土壌中に無機化した窒素成分が放出さ れるので、植物へのキトサン施与は窒素施把効果 も果たすのではないかと考えられる。実際に、藤 野ら (2002)は砂にキチン・キトサンを添加し て300 Cで約1ヶ月培養すると数%の窒素が無機 化され、砂中に放出されたと報告している。千布 ら (2002)は、イネについてはキトサンの窒素 施肥機能により茎葉部の生長が促進され、葉身の

SPAD

値が高くなり、特に無施肥条件下において キトサン処理の効果が顕著であったが、ダイズに ついてはキトサン仁よる窒素施肥効果は明瞭では なかったと報告している。一方、 Aliら(1997) はキチン・キトサンの土壌混和処理によりダイズ の生育後期の生長や根粒形成が促進されたと報告 している。また、原田ら (1995) もキトサンを 土壌混在i処理することによってダイズの生育及び 収量が増加したと報告している。しかしこれらの 報告では、ダイズへのキチンやキトサンの処理効 果は安定して得られておらず、効果の発現程度や その要因、特に施肥条件や、根粒着生との関係に 関しては明確には解明されていない。そこで本研 究では根粒非着生系統及び着生系統のダイズを栽 培して、異なる窒素施肥条件下におけるキトサン の土壌混和処理がダイズの生育及び収量に及ぼす 影響について検討した。

2

.

材料及び方法 {共試材料はダイズの根粒非着生系統T201及び 着生系統T202を用いた。佐賀県・唐津市の佐賀大 学海浜台地生物環境研究センター内の畑土壌を採 取し、 1/5000aワグナーポットに新鮮重で約 3.5kg充填した。施肥は措種前

i

ヨに化成肥料を用 いて、基肥としてN、

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S

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成分量を低窒素 区では0.1、0.33、0.33g、高窒素区ではそれぞ れ0.64g施用し、追肥は行わなかった。低窒素毘 及び、高室素区のそれぞれに土壌乾物震当たり 0%、0.25%及び1 %の割合で中分子の粉末状キ ト サ ン け

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1

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1

キトサン社より分譲)を混和した。 各処理区6ポットを供試した。 2004年7月28EI ポット当たり 6粒を播種し、子葉展開後にポット 当たり

2

個体になるように間引きをし、屋外で 90日間生脊させた。栽培期間中はポット内の土 壌が乾燥しないように適宜潅水を行った。栄養生 長量を確保するために8月6日から8月23日ま での問、早朝3時間と夜間3時間、合計6時間の 補光を行った。調査は開花期(播種後42日)に各処 理区

3

ポットについて生育諸特性、葉内窒素濃度、 収穫期(語種後90日)に残りの3ポットについて収 量及び収量構成要素、また開花期及び眼穫期にお ける土壌窒素濃度について行った。窒素濃度の分 析はケルダール法によって行った。

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キトサンの土壌混和処理が根粒着生及び非着生系統ダイズの生育収量に及ぼす影響 17

3.

結果 関 花 期 に お け る 葉 の 栄 養 状 態 の 指 標 と な る

SPAD

植は

T201

では窒素施肥の多少にかかわら ずキトサン処理濃度に比例して上昇し(図

1

、)

T202

においても

T201

ほどではないが若干の上 昇が見られた(図

2)0T201

の抵窒素区、高窒素 豆及び

T202

の低窒素区において開花期における 主茎長や総節数、地上部乾物重などはキトサン処 理濃度が高いほど増加していた(表1)。その割 合は

T201

の低窒素区で大きく、キトサン無処理 SPADu1! MW 初 日 ω 初 お お 叩 M m 5 0 。% 0.25% 1.0% 0% 0.25% 1.0% キトサン処瑳濃度 SPADII量 n u R d n U 民 punuRunuM 4 ・ 向 。 。 d n L 内 ζ 4 2 1 一 。% 0.25% 1.0% 0 % 0.25% 1日% キトサン処理濃度 図1 隠花綴における T201 の本業繁 5~童及び繁 9~震の SPAD 伎 ~低蜜繁忍閤寓E星雲軽区 上告書53童 下 箆9菜 の場合では主茎長、総節数、地上部乾物重などが 著しく劣っていたが、 1 %処理区ではそれらが主 茎長や総節数で、は無処理区の約

2

倍、地上部乾物 重については約

4

倍と改善されており、

T201

の 高窒索、

T202

の低窒素、高窒素の各処理毘と同 等、あるいはそれ以上の生育量となった。なお、

T202

の高窒素区においてはキトサン処理により 総節数などが微増していたが、逆に主茎長や地上 部乾物震などは減少しており、キトサン処理によ る効果は明瞭ではなかった(表

1

)。葉内窒素濃 SPAD!直 50 45 40 35 30 25 20 0.25号色 1.0% O~も 0.25% 1.0'予告 キトサン処理濃度 SPAD!脳: 40 35 30 25 20 15 10 5

0% 0.25% 1.0% 0% 0.25% 1.0% キトサン処理濃皮 図2 閲花期における T202 の本 3章第 5~童及び繁 9 菜の SPAD 綴 図 :j,,~霊祭区塑悩塗音量区 上第 5;童下言語 9~霊 表1開花期における各系統の生育諸特性 窒素・キトすン濃度 主茎長 主茎節数 総節数 分枝数 地上部重 根重 (c m) (g) (g) T201

f

底N・0% 26.6 8.5 8.8 0.0 2.5 1.5 低N・0.25% 45. 1 11.3 12.0 0.0 7.4 2.5 低N・1.0% 51.3 12.8 20.5 1.8 11.2 3.3 高N・0% 47.2 11.3 18. 0 1.8 9.2 2.6 高N・0.25% 40.8 11.3 20.2 1.3 9.0 2.2 高N・1.0% 41.8 11.3 25.0 2.8 11.8 2.9 T202

f

t

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:

N・0% 35.8 10.8 14.5 O. 3 5.0 1.2 低N・0.25% 46.8 12.0 15.3 0.5 8.4 2.0 低N・1.0% 49.4 13.5 21.8 2.8 10.9 3.2 高N'0% 54. 1 12.3 20.8 2.0 11.8 2.6 高N・0.25% 48.9 12.5 21.8 3.0 11.1 2.6 高N・1.0% 46.8 13.3 24.0 2.8 10. 7 2.9

(4)

18 契1\ 総指ll. 南俊 1)~f二・有 jお進 4.0 350 署長 3.5 300 内 3.0 250 窒 2.5 繁 2.0 粒 20自 3霊 滋 1 .5 150 E霊 (mg) (同) 1.0 100 0.5 50 。 。号1> 0.25号也 1.0% 0 % 0.25号古 1.0% O~も 0.25号色 1.0号色 O号も 0.25号令 1.0~色 キトサン処理幾度 キトサン処返;濃度 140 4.0 120 蒸 3.5 根 内 3.0 数 100 窒 2.5 数 80 雪量 緩 2.0 60 E霊 1.5 40 (今6) 1.0 20 0.5 。 。 0.25弔6 1.0令号 0 ..も 0.25年告 1.0~も O~色 0.25写也 1.0号も O号色 0.25~色 1. 0早も キトサン処返幾度 キトサン処号室主翼皮 図4開 花 織 に お け る 根 粒 笈 お よ び 根 粒 数(T202) 隠3 開 花 期 に お け る3案内蜜繁;笈震 図 低E霊童詩箆 麿 E基盤雪量区 上 T2 Q 1 下 T2Q2 図 低皇霊祭区 関;$量産室長箆 上 : 様 救 援 下 : 根 粒 数 表2収種期における生育諾特性および子実収重量 窒素・キトサン濃度 主茎長 総、節数 茎重 爽数 子実重 百粒重 (c m)

l

l

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倍体) (gj個体)

w

T201 低N・0% 34. 1 18.0 低N・0.25% 51.5 20.9 低N・1.0% 65.2 43.3 高N・0% 64. 7 29.0 高N・0.25% 62.4 37.3 高N・1.0% 59.3 45.6 T202 低N'0% 49.9 44.4 低N • 0.25% 63.9 45. 1 低N・1.0% 60.2 37.6 高N・0% 65.6 45. 2 高N・0.25% 66.9 55.3 高N・1.0% 60.6 47.2 度については、 T201のキトサン1 %処理区及び T202の高窒素・キトサン1 %処理区において高 L寸立を示したが、 T202の低窒素区内では差は見 られなかった(I~13)。なお、 T202の開花期にお ける根粒重及び根粒数はキトサン1 %処理区にお いて著しく減少しており、また抵窒素・キトサン 無処理区においても値が小さくなっていた(図 4)。 すべての処理区が成熟期に達した10丹

26

日に 収穫し、収量及び収:量構成要素について調査した (表2)0 T201において施肥窒素の多少に関わら 1.6 1.2 0.1 10.0 4. 5 7.0 1.0 11.2 11.6 21.6 3. 7 13.5 9. 5 7.4 1.6 11.2 11.4 12.5 2. 3 12.3 12.3 26.6 4.3 14.6 6.4 45.8 8.0 15.5 10. 1 51.3 8.8 16.3 8.0 43.6 9.3 15.4 10.5 52.8 9. 3 15.6 11.8 42.0 10. 1 16.5 11.2 50.2 9.4 16.3 ずキトサン処理濃度の高い区ほど稔実英数、子実 収量、百粒重が培大し、特に低窓素区での増加割 合が大きかったが、 T202においては低窒素区の みで微増であり、高窒素

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においてはキトサン処 理による効果はほとんど見られなかった。また、 系統間で比較するとT201のキトサン1 %処理区 では主茎長、総節数、茎重など、 T202の同じ処 理区に匹敵する生育;量であったが、稔実英数や子 実収量では半分にも1rliljたなかった(表

2

)

(5)

キトサンの土壌混和処理が根粒諸生及び非殺生系統ダイズの生育収量に及ぼす影響 19

4.

考察 本実験ではキトサンの土壌混和処理が根粒着生 及び非着生系統ダイズの生育及び収量に及ぼす影 響が調査された。その結果根粒非着生系統T201 においては低窒素匹、高窒素匿ともにキトサンの 処理濃度に比例して開花期(播種後42日)にお ける葉身の

SPAD

{I菌、生育及び葉内窒素濃度が上 昇した(図l、3、表 1)。このことから、この 時期にはすでに混和処理したキトサンが分解さ れ、生成された無機態窒素成分がダイズ lこ吸収さ れていることが示唆された。しかし、根粒着生系 統では、キトサンに対する反応はT201ほどでは なかったのは、捕撞42日後では根粒がすでに形 成され、植物に窒素を供給しているためであると 考えられた。藤野ら (2002) もキチンやキトサ ンを砂に添加して約 1ヶ月培養すると無機態窒素 濃度が上昇したと報告している。よって、キトサ ンの土壌混和処理後1ヶ月ほどで窒素施肥効果が 期待できるのではないかと考えられる。また、収 穫期の調査でもT201においてキトサン処理濃度 が高いほど、生育及び収量が増加していた(表2)。 しかし系統閤で比較した場合、 T201の低窒素、 高室素キトサン1 %処理区では生育量はT202の 同じ処理区と同等であったにもかかわらず、収量 では半分にも満たなかった(表2)。このことか ら、開花後の生殖生長期においてはキトサン処理 による窒素供給効果は弱まっていたのではないか と推測される。収穫期のポット内の土壌には有機 態窒素が残っていたことから、キトサンの分解は 緩やかに進んでいたために、窒素を多量に必要と するダイズの生殖生長期における窒素要求量を満 たすほどの無機態窒素を供給できなかったのでは ないかと考えられた。一方、 T202の開拓期にお ける根粒霊及び根粒数を誠査したところ、キトサ ン1%処理法において根粒数、根粒霊ともに減少 していた(図4)。これはキトサン処理による土 壌窒素濃度の上昇、あるいは菌類に対する感染抵 抗性の向上のどちらかによって摂粒の着生が阻害 されたのではないかと考えられるが、詳しくは解 明されていない。いずれにしても、キトサンの土 壌混和処理が根粒形成に抑制的な影響を及ぼすこ とが分かった。また、低窒素・キトサン無処理匿 においても値が小さくなっていた(図4)が、こ れは窒素条件が悪く、生育が不十分であったため だと考えられる。 キトサンの数種作物の牛育に対すお影響につい ての研究はすでに行われており、

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(997)

や原田ら

(

1

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)

はキトサンの土壌混和処理に よってダイズの生育が促進されたと報告してい る。本研究でもダイズの生育促進、収量増加が認 められた。一方で、千布ら (2002)はキトサン の土壌混和処理はダイズの生育に明瞭な影響を及 ぼさなかったと報告している。このように、キト サン処理による生脊促進効果は一定した結果が得 られていない。藤野ら (2002)は様々な種類の キチン、キトサンを砂地で培養した後の無機態窒 素含量を調査しており、無機態窒素合震の増加を 認めているが、脱アセチル化度の高いキトサンは 無機化した窒素が少なく、窒素肥料としての効果 発現が遅いことや、キチン、キトサンのモノマー であるアセチルグルコサミンやグルコサミンは分 解されるとアンモニア態窒素となり、作物の生育 を抑制したことを報告している。これは比較的微 生物の繁殖が少ない砂培地での実験であり、他の 研究にそのまま当てはめることはできないが、施 用したキトサンの脱アセチル化度や分子量の違い もキトサン処理効果が一定しない要因の一つでは ないかと考えられる。事実、キチンやキトサンは 脱アセチル化度や分子量など様々なものが存在 し、そのモノマーも含めて総合的にキチン・キト サン、キチン質などと呼ぶ場合もあるので、キチ ンやキトサンを使用する場合には留意しておく必 要があるだろう。またキチン・キトサンの分解に は土壌中の微生物が関わっているので、土壌の性 質や微生物相によって分解速度も変わり、施用効 果も異なってくると考えられる。従って、今後は 7様々な種類のキチン・キトサンを用いて、様々な 土壌、気象、施肥条件のもとで、検討を行っていか なければならない。また、本研究で註キトサンを 土壌混和処理することによってダイズの生育が促 進され、キトサンの有機窒素肥料としての可能性 が示唆されたが、キチンやキトサン処理により植 物の生育が促進されるのは、単にキチン・キトサ ンによる窒素供給機能だけでなく、キチン・キト サンが植物細胞を活性化させてタンパク質の生合 成 を 高 め る た め で も あ る と さ れ て い る ( 平 野

1

9

8

8

)

。その地にもキチン・キトサンは様々な機 能を有しており、これらの機能について複合的に

(6)

20 契[5 紹 輝 ・ 南 修 行 き こ ・ 有 潟 巡 研究していく必要があるだろう。

5

.

謝辞 本研究の実施にあたり、中分子キトサンをご提 供し、ただいた脊限会社九州キトサンに深く謝意を 表します。

6

.

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