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介護領域の自己成長感に関する今後の課題 ─対人援助における自己成長感の文献検討より─

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Ⅰ.はじめに  内閣府が実施した「介護保険制度に関する世論調 査」(平成 22 年)の結果によると、介護職に対する イメージについて「夜勤などがあり、きつい仕事」 「給与水準が低い仕事」といった項目に対するポイ ントが高く、介護労働に対する否定的な側面の根強 さを新規参入の阻害要因として指摘している1)2) 一方、介護の現場で活躍している介護職員は「働き がいのある仕事」として介護を選択し、「利用者の 援助・支援や生活改善につながる」「専門性が発揮で きる」「仕事が楽しい」「福祉に貢献できる」「自分が成 長している実感がある」と評価している3)4)  介護に対するイメージアップへの取り組みが十分 効果を得られていない理由としては、介護者の「ス トレス」「バーンアウト」「介護負担」など、介護の否 定的な評価に焦点をあてた研究が多く、「働きがい のある仕事」として介護がもつ肯定的な側面につい て十分検討してこなかったことが指摘されている 5)。仕事に対する動機付けが満足感へ与える影響を 考えると、介護者の満足感を高める「働きがい」や 「やりがい」を促進・保持することは介護人材の定 着につながり、その結果として介護の質の向上、安 定した介護の供給が期待できる。介護の肯定的な側 面についても注目する必要がある。  近年、介護の肯定的な評価による介護継続意志へ の影響など、介護者の肯定的な変化を究明しようと する試みがなされるなか6)7)8)、介護の肯定的な側 面として自己成長感が散見できる9)10)11)  アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズ バーグによると、人間の仕事における満足と不満足 を引き起こす要因は全く別物であり、苦痛を避けよ うとする動物的な欲求をいかに充足しても、人間は 不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加さ せることはないとしている。積極的な満足感を増加 させるためには、動機付けにアプローチすることの 必要性を強調し、動機付け要因の一つとして「成 長」をあげている12)  介護における自己成長と関連して、Lawton, Moss & Kleban(1991)は介護によって得られる喜びや 満足感(Caregiving Satisfaction)が介護負担やス トレス症状の軽減に及ぼす効果を検討しており13)

Skaff & Pearlin は 介 護 役 割 の 満 足 感(caregiver

       * 岡山県立大学保健福祉学部 〒719-1197 岡山県総社市窪木111

介護領域の自己成長感に関する今後の課題

─対人援助における自己成長感の文献検討より─

趙敏廷

要旨:本研究は対人援助における自己成長感の概念について概観し、介護領域の自己成長感に関する今後の課 題を明らかにすることを目的として文献検討を行った。CiNii を用いて教育領域、看護領域、保育領域、介護 領域の自己成長感に関する文献検索を行い、基準を満たした論文 54 編を分析対象とした。結果、対人援助に おける自己成長感の概念や関連要因が概ね確認できた。介護領域の自己成長感については、次の知見が得られ た。第一に、対人援助における研究の知見を踏まえて、介護領域における自己成長感の概念について検討する 必要がある。第二に、家族介護者を対象とした研究の知見を踏まえて、介護職員に焦点をあてた自己成長感に 関する研究が望まれる。第三に、介護職員の多様な背景を考慮した自己成長感について検討する必要がある。 今後、介護職員の自己成長感を促進する資料を得るため、介護職員の自己成長感の特徴や関連要因の解明を行 う研究が求められる。 キーワード:対人援助、介護、自己成長感、介護職員、職務経験

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competence)と介護による個人的成長(Self-gain) を測定している14)  そこで本研究は、対人援助における自己成長感に ついてこれまでの研究の動向を概観し、自己成長感 の概念や関連要因を整理する。また、考察を加える ことによって、介護領域の自己成長感に関する今後 の研究課題を明らかにすることを目的とする。 Ⅱ.研究方法   国 立 情 報 学 研 究 所(NII、National institute of informatics)が運営する学術情報データベースの CiNii の検索システムを用いて行った。また、介護 領域における自己成長感に関する研究の蓄積は少な いため、介護領域のみならず、対人援助領域である 「教育」「看護」「保育」領域における先行研究を検索 範囲に含めることとした。  具体的な文献収集方法としては、まず、検索用語 を ‘ 自己成長感 ’ で検索を行った(検索日:2020 年 1 月)。文献の選定に関する包含基準は、①文献の タイトル、抄録、キーワードのいずれかに「自己成 長感」が含まれていること、②本文中には「自己成 長感」の概念や関連要因などに関する記述があるこ と、③「教育」「看護」「保育」「介護」、いずれの領域 に該当することの 3 条件を組み入れ、基準として設 定し、内容が本研究の趣旨と合致しているものとし た。また、「自己成長感」ではヒットしないが、抄 録に「Jiko-seicho-kan」が含まれており、複数の文 献において引用されている櫻井(1999)の論文も分 析対象に含めることとした。なお、書籍、学会発表 の要旨集、書評は今回の分析対象から除外した。 Ⅲ.倫理的配慮  公表されている文献を分析対象としており、倫理 的侵害はないことを確認した。 Ⅳ.研究結果  文献検索および選定包含基準に該当した 54 編の 論文を分析対象とした。文献を概観し、対人援助に おける自己成長感に関する記述を抜粋して整理した (表 1)。 1.教育領域における自己成長感  教育領域における自己成長感の研究は、教師と学 生を対象としたもののうち、学生を対象に効果的な 教育効果を探るものが多い。神藤(1998)は、中学 生を対象とするアンケート調査を行っており、嶋田 らが構築した学校ストレスモデル(1993)「刺激→認 知→対処→動機づけ→行動」15)を参考に、学業ス トレス過程のネガティブ・ウェイ(学業ストレッ サー→対処方略→ストレス反応(感情))およびポ ジティブ・ウェイ(刺激→認知→対処方略→対処感 情(自己成長感)→動機づけ→行動)における対処 方略の効果を検討し、自己成長感を自分が日々成長 しているという感情としてとらえている16)。信野 (2008)は大学生を対象とアンケート調査を行い、 自己成長感をストレスフルな出来事のあとに生じる 自分が成長したという感覚をとし、自己成長感尺度 の作成を試みた。結果、「自己内の成長感」と「他 者との関係にかかわる成長感」の 2 因子を抽出し た17)。宅(2004)は、自己成長感を “「〜できるよ うになった」「大人になった」「成長したと思った」な どの表現で語られた、自らの成長に対する実感、な いしは手応えを指す ” とし、主観的な成長感である とした。また、高校生を対象としたインタビュー調 査の結果から、ストレス体験と自己成長感をつなぐ 循環モデル(ストレス体験→ストレス体験に対する 意味の付与→自己成長感→部分的な自我の強化まで のプロセスとプロセス全体に影響を及ぼす種々の要 因)を提示した18)。さらに、高校生を対象とした質 問票調査の結果から、ストレスに対する意味付与が 自己成長感に影響していることを明らかにした19) 2.看護領域における自己成長感  看護領域における自己成長感の研究は、看護師、 看護学生、患者を対象としたものに分けられる。と くに援助職である看護師を対象とした研究が増えて きている。  看護師を対象とした実証的研究として、逆井ら (2009)は、患者と死別体験後にはポジティブな心 理的変化とネガティブな心理的変化が同時に生じ、 終末期の患者と接する頻度が多いほどポジティブな 心理的変化が強まるとした20)。船越ら(2010)は、 急性期病院に勤務する看護師を対象とした分析から 看護師の働きがいを構成する心理的実感を「患者・ 家族への親近感」「患者・家族に対する自己存在感」 「達成感」「コントロール感」「自己成長感」「自己効力 感」で分類した21)。奥野(2011)は、看護師を対象 に職務に伴うストレス体験後に生じるポジティブな

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表1 対人援助における自己成長感に関する記述 No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 1 神藤 貴昭 中学生の学業ストレッサーと対 処方略がストレス反応および⾃ ⼰成⻑感・学習意欲に与える影 響 feeling of self-growth ⾃⼰成⻑感 を学業場⾯ に限定し、⾃分が⽇々成⻑しているという感情であるとした。中学生が学業活動におけるストレスを乗り越える際に⾃⼰成⻑感を 感じると、後の学習に対する意欲が⾼まることを明らかにし、⾃⼰成⻑感はその後の動機づけに重要な影響を与えることが⽰された。 教育心理学研究 (1998) 2 櫻井成美 介護肯定感がもつ負担軽減効果 介護者の肯定的介護評価のさまざまな側⾯を測定する尺度作成するため、半構造化⾯接の結果に加えてself-gain尺度(Skaff & Pearlin:1992)と Caregiving Satisfaction尺度(Lawton et al.)を参考に20項目を選定し、⾼齢者の家族介護者を対象に4件法で回答を求めた。因子分析の結果、【介護状況 への満⾜度】9項目【⾃⼰成⻑感】3項目【介護継続意志】2項目の3因子が抽出された。【⾃⼰成⻑感】は「お年寄りの世話をすることで、学ぶことがた くさんある」「介護をすることは、⾃分の⽼後のためになると思う」「介護のおかげで⼈間として成⻑したと思う」で構成されていた。満⾜感は、⾼齢者 との関係への満⾜など⽇常介護に直接関係する側⾯があるが、⾃⼰成⻑感は⽇常の介護状況を超えた、介護者⾃⾝の⼈間的成⻑や将来への展望という介護 者個⼈にかかわる側⾯であるとした。介護の肯定的評価のうち、【介護継続意志】は項目数が少ないため下位尺度として扱うことを控え、2つの下位尺度 【介護状況への満⾜度】9項目【⾃⼰成⻑感】3項目と介護負担感軽減効果を検討した結果、特に限界感(「他者に介護を代わってほしい」「介護をやめた い」など、介護者が心⾝ともに追いつめられている状態である)という側⾯の負担軽減に有効であることが⽰唆された。 心理学研究 (1999) 3 熊倉 朋子 , 谷 村 厚子 , 三浦 咲 知的障害児の⺟親における育児 負担感と⾃⼰成⻑感について-ソーシャルサポートとの関連か ら-柏⽊・若松(1994)が作成した⾃⼰成⻑感尺度に、奇(1999)の研究結果を加えて作成した⾃⼰成⻑感尺度を⽤いて、知的障害児の⺟親を対象に質問紙 による調査を行った。因子分析の結果、「⼈間的成熟と社会への関心の広がり」「寛大さと積極廷」「我が子・他者への思いやり」の3因子が抽出され た。また、⾃⼰成⻑感はソーシャルサポート⾼群が低群よりも有意に⾼いことなどを⽰していた。また⺟親の⾃⼰成⻑感は子どもの年齢段階が11歳から中 学生の子どもをもつ⺟親が最も⾼いことを明らかにした。⼀方、育児に伴う⺟親の負担感は子どもの加齢にともなって低くなる傾向を⽰していた。 明治学院大学大学 院文学研究科心理 学専攻紀要 (2000) 4 橋本 真知子,佐 久間 宏 障害児をもつ⺟親の⾃⼰成⻑感 に関する研究 : ⺟親へのアンケー ト調査を通して 養護学校⼩学部から⾼等部に通う子どもをもつ⺟親を対象に質問紙による調査を行った。熊倉ら(2000)が作成した⾃⼰成⻑感尺度を⽤いて、養護学校 ⼊学時から今までで変化が⾒られたと思う項目に「はい」、「いいえ」のどちらかで回答してもらった。結果、⺟親は様々な⾯で⾃⼰の成⻑を感じてい た。 宇都宮大学教育学 部教育実践総合セ ンター紀要 (2004) 5 宅 香菜子 ⾼校生における「ストレス体験 と⾃⼰成⻑感をつなぐ循環モデ ル」の構築--⾃我の発達プロセ スのさらなる理解にむけて “「〜できるようになった」「大⼈になった」「成⻑したと思った」などの表現で語られた、⾃らの成⻑に対する実感、ないしは⼿応えを指す”とし、主観 的な成⻑感であるとした。 ストレス体験と⾃⼰成⻑感をつなぐ循環モデル(ストレス体験→ストレス体験に対する意味の付与→⾃⼰成⻑感→部分的な⾃我の強化までのプロセスとプ ロセス全体に影響を及ぼす種々の要因)を提⽰した。 心理臨床学研究 (2004) 6 片山 陽子,陶山 啓子 在宅で医療的ケアに携わる家族 介護者の介護肯定感に関連する 要因の分析

介護を通しての⾃⼰成⻑感:"self-developing feeling through care-giving"

介護肯定感尺度(櫻井、1999)を採⽤した。家族介護者の介護肯定感は因子分析の結果、【介護を通しての⾃⼰成⻑感】4項目【介護状況への満⾜感】6 項目【介護役割の積極的受容】4項目の3因子で構成されていた。【介護を通しての⾃⼰成⻑感】は、「介護のおかげで⼈間として成⻑したと思う」「介 護のおかげで難しい状況に対処する力など⾃信がついた」「療養者の介護をすることで学ぶことがたくさんある」「介護することは、⾃分の⽼後のために なる」で構成されていた。「医療的ケア有り群」は介護時間が⻑く,在宅介護に対する動機が⾼いという特性が認められた。そして,介護肯定感の「介護 を通しての⾃⼰成⻑感」と「介護役割の積極的受容」が医療的ケア有り群は無し群に⽐べて有意に⾼い結果であった。 ⽇本看護研究学会 雑誌(2005) 7 宅 香菜子 ストレスに起因する⾃⼰成⻑感 が生じるメカニズムの検討-スト レスに対する意味の付与に着目 して

feelings of stress-related self−growth

ストレスに起因する⾃⼰成⻑感とは、「当該ストレス体験の前後で⾃らがポジティブに変容したと感じる主観的な⾃⼰成⻑感」と定義し、⾼校生を対象と した質問票調査を実施した結果から、ストレスに対する意味付与が⾃⼰成⻑感に影響していることを明らかにした。ストレスに起因する⾃⼰成⻑感が生じ るメカニズムとして、これまで⼈生で最も辛かったと思う体験に対して、⾃発的に何らかの主観的意味づけがなされるという心の働きが影響を及ぼしてい る、またその出来事から時間の経過を待つより、⾼校性⾃⾝がその体験に意味を⾒いだしていく過程に目を向けることが有効である可能性が⽰唆された。 心理臨床学研究 (2005) 8 広瀬 美千代,岡 田 進⼀,白澤 政和 家族介護者の介護に対する認知 的評価に関連する要因 : 介護に対 する肯定・否定両側⾯からの検 討 self-growth by caregiving:介護を通しての⾃⼰成⻑感 ⾃⼰成⻑感は、介護により⾃⼰の学びや成⻑が感じられる感覚とした。 認知的介護評価尺度(広瀬ら:2005、「家族介護者の介護に対する認知的評価を測定するための尺度の構造−肯定・否定の両側⾯に焦点を充てて」)の 介護肯定感の下位概念として位置付けられている「⾃⼰成⻑感」を⽤いた。「介護をすることは⾃分の⽼後のためになると思う」「介護のおかげで⼈間と して成⻑したと思う」「〇〇さんのお世話をすることで学ぶことがたくさんある」の3項目で構成されている。 社会福祉学 (2006) 9 松元 ⺠子 障害児の⺟親の⾃⼰成⻑感とア イデンティティに関する研究

the feeling of self-development

肢体不⾃由児、知的障害児、脳性⿇痺児者の⺟親を対象に質問紙調査を行った。⾃⼰成⻑感は、奇(1999)と⽜尾(1998)を参考に18項目を作成し、7段 階「全く思わない」「かなりそう思わない」「ややそう思わない」「どちらともいえない」「ややそう思う」「かなりそう思う」「非常にそう思う」で回 答を求めた。中⾼生の⺟親は⾃⼰成⻑感が⾼く、19歳以上の⺟親では有意に下がっていた。⼀方で、子どもの障害の種類や育児困難度には左右されなかっ た。 リハビリテイショ ン心理学研究 (2006) 10川崎 陽子,⾼橋道子 ⾼齢者介護を通しての家族介護 者の発達に関する⼀考察 : ⾃⼰成 ⻑感の形成から self-growth 家族介護者が認識している成⻑(⾃⼰成⻑感の概念)を検討した結果、「教訓」「理解」「スキル」「⼈間的成⻑」「悪い変化」の5カテゴリーが⾒出さ れた。⾃⼰成⻑感形成される過程として、「未形成期」「潜在期」「半顕在期」「顕現期」の4カテゴリーが⾒出された。⾃⼰成⻑感の形成要因として、 「対⼈」「負担感」「成果」「関係の転換」「ソーシャル・サポート」「貢献の対象」の6カテゴリーが⾒出された。 家族介護者の⾃⼰成⻑感は,「獲得」 や「報酬」に置き換えが可能であったり,「満⾜感」や 「⾃⼰効力感」などと類似する概念も含まれている。 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系 (2006) 11船越 明子,河野 由理 看護師の働きがいの構成要素と 影響要因に関する研究 : 急性期病 院に勤務する看護師を対象とし た分析から sense of self-advancement 看護師の働きがいを構成する心理的実感として《患者・家族への親近感》《患者・家族に対する⾃⼰存在感》《達成感》《コントロール感》《⾃⼰成⻑ 感》《⾃⼰効力感》が分類された。 こころの健康 : ⽇ 本精神衛生学会誌 (2006) 12 大塚 ⼩百合 喪失体験に対する意味の付与と ⾃⼰成⻑感に関する研究 : 体験の 領域による生じ方の差異に注目 して(臨床系) self-growth feeling “喪失を体験することで得るポジティブな主観的感覚”と定義した。 宅(2005)のストレスに起因する⾃⼰成⻑感尺度(4項目)および宅(2005)のストレスに対する意味付与に関する13項目を⽤いた。大学生と中⾼年を対 象に質問票による調査を実施した。結果、喪失体験領域によって「意味の付与」と「⾃⼰成⻑感」の得点には有意な差があることが明らかになった。⾃⼰ 成⻑感を導く意味の付与とは、その得点傾向が⾼いものがそのまま影響するのではなく、各喪失体験に「⾃⼰への評価」をするのか、「ポジティブな側⾯ への焦点づけ」をするのか、「メッセージ性のキャッチ」をするのかという、いわゆる「意味の付与の質」が重要であり、それぞれの領域によって⾃⼰成 ⻑感を導く意味の付与内容が異なると推察した。 九州大学心理学研 究(2008) 13 竹澤 みどり ⾃律的な依存の仕方が依存後の ⾃⼰成⻑感に及ぼす影響につい て Sense of self-growth

Takezawa & Kodama(2004)で作成した「頼ることによる影響尺度」の下位尺度である「⾃⼰成⻑感」(3項目)に、竹澤・⼩⽟(2004)の⾃由記述調査結果 の⾃⼰成⻑感に関する記述を基に、4項目を新たに加えた。4年生大学生を対象に質問票による調査を実施した。結果、⾃律性を保持した依存の仕方の場 合,依存後に⾃⼰成⻑感や気持ちの安定を⾼め,逆に成⻑阻害感を低めていた。 筑波大学心理学研 究(2008) 14 信野 良太 ⾃⼰成⻑感尺度作成の試み growth “ストレスフルな出来事のあと生じる⾃分が成⻑したという感覚”と定義した。 RSRGS(Armeli et al.2001)を参考に⽇本版の⾃⼰成⻑感尺度作成を試み、信頼度と妥当性を確認した。⽇本⼈大学生における⾃⼰成⻑感尺度は、「⾃⼰ 安定感」「⾃⼰信頼感」といった『⾃⼰内の成⻑感』と「他者への確実な態度」「他者つながり感」「他者尊重」といった『他者との関係にかかわる成⻑ 感』の2つの成⻑感が抽出された。 北星学園大学大学 院社会福祉学研究 科北星学園大学大 学院論集(2008) 15 神原 知愛 大学生の挫折経験に関する心理 学的考察--挫折観と⾃⼰成⻑感 との関連 feeling of self-growth ⾃⼰成⻑感を挫折経験に対するポジティブな意味づけとしてとらえている。ストレスフルな状況である挫折後の⾃⼰成⻑感を測定するものとして、⽯⽑・ 無藤(2005)による⾃⼰成⻑感7項目を使⽤した。挫折観のうち「頻度」以外の「回復」「成⻑」「転機」では、得点が⾼い者が挫折後に感じる⾃⼰成⻑ 感も⾼いという結果であった。 慶應義塾大学大学 院社会学研究科紀 要(2009) 16 竹澤 みどり 依存性が⾃律性に与える影響 :⾃ ⼰成⻑感を媒介として feeling of self-growth

Takezawa & Kodama(2004)で作成した「頼ることによる影響尺度」の下位尺度である「⾃⼰成⻑感」(3項目)に、竹澤・⼩⽟(2004b)の⾃由記述調査結 果の⾃⼰成⻑に関する記述を基にさらに⾃⼰成⻑に関する4項目「前向きになることができたと思う」「強くなったと思う」「物事に対処する力が増した と思う」「様々な側⾯から物事を⾒ることができるようになったと思う」を新たに加えた。大学生を対象に質問票による調査を実施した。結果、⻘年期後 期において、依存欲求を抱えるだけでは、⾃律性を低めてしまうが、依存行動として表出し、⾃⼰成⻑感を感じることによって、⾃律性が⾼まることがわ かった。 学園の臨床研究 (2009) 17 稗田 真由美 若年性アルコール依存症者への 関わりと⾃⼰成⻑感を⾒守るこ とについての⼀考察 Self-Growth 若年性アルコール依存症の退院までの⽀援過程を川﨑・⾼橋(2005)が作成した「⾃⼰成⻑感形成過程」を基に再構成した。 別府大学臨床心理 研究(2009) 18二宮 ⼀枝,坂野 純子,難波 峰子 カリキュラムの相違が看護学生 の職業レディネスと⾃⼰成⻑感 の関連に及ぼす影響 self-development 信野(2008)が開発した⾃⼰成⻑感尺度37項目を 7 件法で記⼊を求めた。 因子分析の結果、27項目、4因子「他者への誠実な態度・他者尊重」(12項目)、「楽観性・⾃⼰安定感」(4項目)、「⾃⼰信頼感」(6項目)、「他者 とのつながり・信頼感」(5項目)を採⽤した。また、相関分析では、職業レディネスの「関心性」「主体性」「限定性」「現実性」は⾃⼰成⻑感の「他 者への誠実な態度・他者尊重」と「他者とのつながり・信頼感」との相関が⾼く、「客観性」は⾃⼰成⻑感の「⾃⼰信頼感」「楽観性・⾃⼰安定感」との 相関が⾼かった。 インターナショナ ルnursing care research(2009) 表 1 対人援助における自己成長感に関する記述①

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表1 対人援助における自己成長感に関する記述(続き①) No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 19⻲田 秀子,相良 順子 過去のいじめ体験が⻘年後期に おいても及ぼす⻑期的影響 : ⾃⼰ 成⻑感を分かつ要因の検討 Self-Growth 「⾃⼰成⻑感」とは、いじめ体験をきかっけに⾃⼰が成⻑したと認識したり、⾃覚したりすることであるとし、辛い出来事でもその体験を経て、⾃⼰の成 ⻑を⾃覚していることを「⾃⼰成⻑感」と定義している。また、いじめ影響尺度(香取:1999)の因子分析結果、6つの因子「情緒的不適応」「同調傾 向」「他者尊重」「精神的強さ」「進路選択への影響」「孤立不安」が確認された。「精神的強さ」尺度は、「⾃分の⼈生を切り開いていく⾃信がつい た」「精神的に強くなった」「我慢強くなった」「⼈間的に成⻑した」「⼈に負けたくないと思うようになった」という5項目で構成されており、いじめ 体験を通して精神的に強くなり、成⻑したと解釈できることから「⾃⼰成⻑感」尺度として取り扱っている。 児童学研究 : 聖徳 大学児童学研究紀 要(2010) 20橋本 真規,奥住 秀之,熊井 正之 障害児を育てる⺟親の「⾃⼰成 ⻑感」尺度の作成と信頼性・妥 当性の検証 a personal growth 障害児を育てる⺟親を対象にした「⾃⼰成⻑感」尺度を新たに作成し、その妥当性と信頼性を検証した。結果、⾃⼰成⻑感尺度は、全18項目で、「思いや り」「精神的強さ」「障害理解」の3因子から構成された。 発達障害研究 (2010) 21 奥野 洋子 対⼈援助職におけるポジティブ な変化について : 看護師の⾃⼰成 ⻑感の特徴について

Sense of personal growth

”対⼈援助職の職務に伴うストレスフルな体験後に生じる⾃分が成⻑したという感覚”と定義した。 ⽇本語版外傷後成⻑尺度( PTGI-J)(18項目)を⽤いて、ストレスイベントを経験した後の変化の程度について「全くない」〜「とてもある」(6件法) で回答を求めた。経験年数4年以上の回答を対象に因子分析を行い、結果、「⾃⼰の発展」(9項目)「⼈間についての確信」(8項目)から構成された2 因子構造の⾃⼰成⻑感尺度が採⽤した。年齢、看護職経験年数が⾼くなると⾃⼰成⻑感は⾼まり、生活状況、役職、職種によって異なっており、看護職経 験年数が4年未満の⼈ではICUや救急部門に勤務している⼈は⾃⼰成⻑感を強く感じにくいとの⾃⼰成⻑感の特徴が明らかになった。 近畿大学臨床心理 センター紀要 (2011) 22⻲田 秀子,相良 順子 過去のいじめられた体験の影響 と⾃⼰成⻑感をもたらす要因の 検討:―いじめられた体験から⾃ ⼰成⻑感に⾄るプロセスの検討 ― self-growth いじめられた体験をきっかけに⾃⼰が成⻑したと認識したり、⾃覚したりすることである。辛い出来事でもその体験を経て、⾃⼰の成⻑を⾃覚しているこ とを「⾃⼰成⻑感」と定義する。宅(2010)の⾃⼰成⻑感と同⼀のものであると考える。 専門学校、短大、大学生を対象に⾯接調査を実施した。結果、いじめられた体験から⾃⼰成⻑感に⾄るプロセスと心の傷・心のしこりに⾄るプロセスを整 理し、いじめられた体験からの回復過程への要因として「⾃⼰開⽰」から「ソーシャル・サポート」を得て積極的な対処法を取っている、また、「重要な 他者の存在」の⽀えにより、肯定的意味づけとポジティブ思考による意味づけがなされていることが⽰唆された。 カウンセリング研 究(2011) 23 松井 弘美 ⽇本における助産学生の分娩介 助実習における学びの様相 feeling of self-growth 助産を選択した11⼈の学生に半構成的⾯接を行った結果、10例の分娩介助実習における共通の学びとして、1例目では【実感できる⾃⼰の世界】、3例目 では【他者の存在の気づきと状況の察知】、6例目では【⼈間関係の構築】、10例目では【助産師としての⾃覚の芽生えと⾃⼰成⻑感】が⾒出された。 金沢大学つるま保 健学会誌(2011) 24 清水 安夫 中学生を対象とした部活動スト レスモデルの構築 : Negative Way モデル及びPositive Wayモデルに よる検討 Awareness of Self-growth

Negative Way モデルを検討した結果、「Optimistic Coping(楽観的対処)」は、「Irritated & Angry(不機嫌・怒り)」「Depression& Anxiety(抑うつ・ 不安)」「Helplessness(無力的認知・思考)」の各ストレス反応を助⻑することが⽰された。さらに、「Problem-focused Coping(問題解決的対処)」 は、「Irritated & Angry(不機嫌・怒り)」「Helplessness(無力的認知・思考)」を低減させるが、「Depression & Anxiety(抑うつ・不安)」を助⻑す ることが⽰された。⼀方、Positive Way モデルを検討した結果、「Problem-focused Coping(問題解決的対処)」が「Awareness of Self-growth(⾃⼰成⻑ 感)」と「Motivation for Club Activities(部活動意)」を促進させることが⽰された。

桜美林論考. ⾃然 科学・総合科学研 究(2011) 25橋本 真規,奥住 秀之,熊井 正之 障害児を育てる⺟親の⾃⼰成⻑ 感に関連する要因の検討 Personal Growth 筆者らが作成した障害児を育てる⺟親の「⾃⼰成⻑感尺度」(橋本ら:2010)を⽤いて、障害児を育てる⺟親を対象に質問紙調査を行った。「⾃⼰成⻑ 感尺度」は、18項目「思いやり」「精神的強さ」「障害理解」の3因子構造からなる尺度で、信頼性と妥当性が確認されている。「障がいのあるお子さま を育てる中で、ご⾃⾝はどのように変化してきていると思いますか」と尋ね、「1.全くそうなっていない」「2.あまりそうなっていない」「3.わりとそう なった」「4.とてもそうなった」の4件法で回答を求めた。関連要因は、先行研究で確認されている「⺟親要因(年齢、職業、⺟親役割受容)」「子ども 要因(年齢、障害種別)」「環境要因(SS源、SSの質)」とした。⾃⼰成⻑感に関する実態と関連要因を分析した結果、⺟親要因である「充実感」と環 境要因である「共感的サポート」との関連が⽰唆された。 SNEジャーナル (2011) 26宮本 礼子,川又 寛徳 総合臨地実習経験を通した作業 療法学生の⾃⼰成⻑感を涵養す る成因 : Focus Group Interview を⽤いた質的研究 personal-growth ⾃⼰成⻑感とは、⾃らの努力によって苦境や困難な出来事を乗り越えられた時に敏感に感じられる(信野:2008)感情とした。 作業療法学科学生の臨地実習は学生⾃⾝の知識・技術の不⾜をはじめとした⾃⾝の問題点に気づく機会となり、その気づきや変化を実感することが⾃⼰成 ⻑感につながる可能性が⽰唆された。また⾃⼰成⻑感の涵養により⾃⾝の働くイメージが確立されていくことが⽰唆され、その将来像にはSVから受けた 指導内容や指導姿勢が影響を及ぼすと考えられた。 ⽇本保健科学学会 誌(2012) 27磯野 誠,飛永佳代 大学教育成果としての学生⾃⼰成⻑感 Growth 「大学教育・大学生活を通して生じる,⾃分が成⻑したという感覚」を学生⾃⼰成⻑感とした。大学生を対象に、インタビュー調査を行った結果、学生⾃ ⼰成⻑感とは,ストレス起因型⾃⼰成⻑感と同様,プロセスとして捉えられ,また出来事―過程―成⻑感のセットとして捉えられること,学生⾃⼰成⻑感 とストレス起因型⾃⼰成⻑感とは,その成⻑感を得る前提となる出来事の性質,そのコンテクストにおいて異なること,であるとした。また学生⾃⼰成⻑ 感を構成する側⾯とは,主体性・⾃立性が⾝についたという感覚,⾃律性が⾝についたという感覚,協調性が⾝についたという感覚,⾃分とは何かを考え るようになったという感覚,社会に対する関心を持つようになったという感覚,⾃⼰表現ができるようになったという感覚,専門性が⾝についてきている という感覚,といった大きく7つの側⾯であること,さらにそれら成⻑感側⾯の前提となるような出来事,そこから成⻑感を⾄る過程であるとした。 九州共立大学研究 紀要(2012) 28 吉田 琢哉 ⻘年期⼥子における怒りの感情 体験による⾃⼰成⻑感の獲得− 社会的共有における聞き⼿の受 容的反応を含めた制御方略の影 響 personal growth 原因となる体験を怒り感情体験に限定し ていることから,ストレスや心的外傷のように対象を限定しない “⾃⼰成⻑感(personal growth)”を使⽤してい る。⾃⼰成⻑感の尺度は、“今回の調査でお答えいただいた ⼀連の出来事によって,あなた⾃⾝の生き方になにか変化はありましたか”という教⽰の後,⽇ 本語版PTGI尺度(Taku et al., 2007)を⽤いた。大学、専門学校の⼥子学生を対象に調査票による調査を行った。結果、怒りの感情体験に直⾯した際に は,特に⾝近な他者に開⽰したくなるほど重要な出来事である場合には,開⽰相⼿から⾼い受容的反応を得 るような会話ができるかどうか,出来事の再 解釈を試 みて肯定的な側⾯に注目できるかどうか,怒り 感情生起対象に対して建設的な表出を行うことで状況の改善を図れるかどうかが,⾃⼰成⻑感の 獲得を左右する要因であるとした。 感情心理学研究 (2012) 29 平田 治 学校掃除「⾃問清掃」実践者の 教師成⻑ : <⾃⼰成⻑感>の連関 的形成 Self-Growth Feeling 〈⾃⼰成⻑感〉とは、教師として成⻑したかどうかを⾃⼰評価する尺度である。教育観、信念、態度などの側⾯がある。〈原因帰属認識〉とは、〈⾃⼰成 ⻑感〉を持っている教師が、⾃分が成⻑できた原因を何だと捉えているかという認識である。〈実践期間〉は、その活動に関わった期間の合計を表す。 〈子ども成⻑感〉とは、教師から⾒て、以前の様子と⽐較して子どもが成⻑したかどうかを評価する尺度である。 教師学研究 (2013) 30髙橋 南海子,岡田 昌毅 大学生の就職活動による⾃⼰成⻑感の探索的検討 Feeling of Self-Growth 大学生が就職活動を通じて変容し,⾃分が成⻑したと感じる主観的な感覚を「就職活動による⾃⼰成⻑感」と定義し、尺度を開発した。「課題遂行スキル の獲得」「⾃⼰理解と⾃⼰受容」「社会への積極的関与」「感情の統制」「他者関係の構築」の5因子(35項目)により構成されている。 産業・組織心理学 研究(2013) 31 奥野 洋子,萬羽 郁子,⻘野 明 子,東 賢⼀,奥 村 二郎 看護職の⾃⼰成⻑感,バーンアウ トに影響を与える要因について sense of self-growth ⽇本語版外傷後成⻑尺度(PTGIーJ)(4下位尺度、18項目で構成)のうち、奥野(2011)で看護師を対象とした調査で確認された2下位因子(17項目)を ⽤いた。看護経験年数が11年以上では、⾃⼰成⻑感は⾼まり、患者に関連したバーンアウトは低くなっていた。経験年数の違いによって、⾃⼰成⻑感と ハーンアウトを促進する要因は異なっており、経験年数によって影響を与える要因も異なっていることを明らかにした。 健康心理学研究 (2013) 32 奥野 洋子,萬羽 郁子,⻘野 明 子,東 賢⼀,奥 村 二郎 対⼈援助職のストレス体験が1 年後の⾃⼰成⻑感に与える影響 に関する縦断的研究 sense of self-growth ⽇本語版外傷後成⻑尺度(PTGIーJ)(4下位尺度、18項目で構成)のうち、奥野(2011)で看護師を対象とした調査で確認された2下位因子(17項目)を ⽤いた。個⼈特性としてハーディネスのコントロールの傾向が⾼いこと、看護職の経験年数が浅いこと、仕事上でのストレスが多かったこと、仕事を⾃分 でコントロールできていたこと、働きがいを感じていたこと、加えて、1年後の職務上の⾝体的・環境的なストレッサーが強いこと、同僚からのサポート があることと⾃⼰成⻑感の間には有意な関連性が認められた。仕事上でのストレス体験がポジティブな方向に働くかネガティブな方向に働くかは、体験を どのような意味づけをするかという心の働きによることが⽰唆された。 近畿大学医学雑誌 (2013) 33髙橋 南海子,岡 田 昌毅 大学生の就職活動による⾃⼰成 ⻑感が⼊社初期の対処態度及び 適応感に及ぼす影響 Feeling of self-growth 髙橋・岡田(2013) による「就職活動による⾃⼰成⻑感尺度」を⽤いた。 筑波大学心理学研 究(2014) 34隅谷 皐月,坂本 障害児を育てる保護者の「⾃⼰成⻑感」尺度に関する⼀検討 A personal growth 障害児の⺟親⽤に開発された⾃⼰成⻑感尺度(橋本ら:2010)を特別⽀援学校商学部在籍児の保護者を対象に質問紙調査を行った。結果、モデル適合度 はやや低いものの、⽗親も⺟親と同じ因子構造で適⽤することの可能性が⽰唆された。 岐阜大学教育学部 特別⽀援教育セン ター年報(2014) 35瀧 水城,中村 真理 発達障害児を養育する保護者の ストレスと⾃⼰成⻑感 : ソーシャ ルサポートとの関連 Personal Growth 橋本らによる「⾃⼰成⻑感」尺度(2010)を使⽤し、ソーシャルサポートの想定には、宋ら(2004)が作成したものを使⽤し「よくあった」「たまに あった」「あまりなかった」「全くなかった」「該当なし」の5件法で回答を求めた。「⾃⼰成⻑感」の因子ごとの得点では、「障害理解得点」が有意に ⾼い結果であった。⾃⼰成⻑感とサポートでは、精神的強さと親の会、障害理解と親の会、障害理解は家族、近所、医療、思いやりと配偶者の間において 有意な相関がみられた。 東京成徳大学臨床 心理学研究 (2014) 36 広瀬 美千代 ホームヘルパーの業務に関する 楽観的態度を測定する尺度の開 発 a feeling of self−growth 「ヘルパー業務楽観的態度」尺度の下位概念である「⾃⼰成⻑感」は、広瀬ら(2005)介護肯定感の下位概念である「⾃⼰成⻑感」(3項目)を⽤い た。「⾃⼰成⻑感」は、ヘルパーの仕事をすることは、今後⾃⼈生のためになると思う」、「ヘルパーの仕事をすることは、学ぶことがたくさんある」 「ヘルパーの仕事をすることで、⼈間として成⻑したと思う」の3項目で構成されている。 メンタルヘルスの 社会学 : ⽇本精神 保健社会学会年報 (2014) 表 1 対人援助における自己成長感に関する記述②

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表1 対人援助における自己成長感に関する記述(続き②) No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 37 ⼩早川 茄捺,杉 村 和美,⽯田 弓 いじめられた体験を通した⾃⼰ 成⻑感を促す他者からの⽀援 feelings of self-Growth ⽇本語版外傷後の成⻑尺度 (PTGI-J) 18 項目を⽤いた。 ほぼ全ての PTGI-J と⻘年⽤適応感尺度の下位尺度の聞に有意な正の相関がみられ,⾃⼰成⻑感と適応感は概ね関連があり,⾃⼰成⻑感を⾃覚している状 態は概ね適応的な状態であることが⽰された。いじめられた体験による心の傷跡の回復には,⾃⼰成⻑感を⾃覚しているか否かが関連しているものの,そ れ以外にも多くの要因が関連していることが推察される。 広島大学心理学研 究 (2015) 38 中嶋 みどり 本学部学生の就職活動による ソーシャルスキルの向上と⾃⼰ 成⻑感との関連 psychosocial growth 髙橋・岡田(2013)の「就職活動による⾃⼰成⻑感尺度」を⽤いた。就職活動期間の⻑さと説明会に行った回数が関連しており、多い群が⾃⼰成⻑感を ⾼く感じられる傾向が⽰された。就職活動量の多い群が有意に⾃⼰成⻑感の下位因子である積極的関与や⾃⼰受容が⾼まったと感じていた。内定獲得者の 方が未内定者より有意に感情統制について成⻑した点であると感じている結果が⽰唆された。 広島国際大学心理 学部紀要(2015) 39末益 友佳子,門 間 晶子 在宅筋萎縮性側索硬化症患者の 主介護者の介護肯定感とその関 連要因 self-growth 介護肯定感尺度(櫻井、1999)を使⽤し、表現を⼀部変更して使⽤した。ALS患者の家族介護者の介護肯定感は、因子分析の結果【介護状況への満⾜度】 【⾃⼰成⻑感】【介護継続意志】の3因子が抽出された。【⾃⼰成⻑感】は「介護のおかげで⼈間として成⻑したと思う」「患者さんの介護をすることで 学ぶことがたくさんある」「介護をすることは⾃分の⽼業のためになると思う」「介護のおかげで難しい状況に対処する力など⾃信がついた」の4項目で 構成されていた。⾃⼰成⻑感を⾼める要因は、〖介護におけるペース 配分〗〖 介護役割の積極的受容〗〖 公的⽀援追求〗で あった。 ⽇本看護研究学会 雑誌(2015) 40 田中 いずみ ⽐ 嘉 勇⼈, 山田 恵子 精神看護臨地実習における看護 学生の⾃⼰成⻑感の内容

the feelings of personal growth

⾃⼰成⻑感とは、精神看護臨地実習において、学生が⾃らの努力によってできたと感じられたこととした。看護学生4 年次生の実習記録と⾯談記録から内 容分析の結果、【精神症状の捉え方・アセスメントの仕方の理解】【患者の全体像の理解】などの⾃⼰成⻑感があげられた。 Toyama Medical Journal (2015) 41⼩谷 裕実,⽯井 栄子 知的障害児の⺟親の子育て負担 感および⾃⼰成⻑感に影響を与 える要因 self-development 特別⽀援学校に在籍する知的障害児の⺟親を対象に質問紙調査を行った。⺟親の⾃⼰成⻑感は、熊倉ら(2000)による⾃⼰成⻑感尺度(37項目)を使⽤ し、「子どもが特別⽀援学校に⼊学・転⼊してからの変化」に限定して回答を求めた。因子分析の結果、⾃⼰成⻑感は、7因子「⼈生観の深まり」「視野 の広がり」「他者との調和」「精神的寛容・強さ」「子どもの受容」「社会への関心の広がり」「運命受⼊れ」で構成されており、「多くのサポートを知 覚している⺟親」は「子育て負担感は⾼く、⾃⼰成⻑感も⾼い」ことが明らかになった。 花園大学社会福祉 学部研究紀要 (2015) 42野上 美樹,⼩島 道生,井澤 信三 ⾃閉スペクトラム症児の親の⾃ ⼰成⻑感と障害受容 A personal growth ⾃閉症の親の会などに所属する親92名を対象に質問紙調査を行った。⾃⼰成⻑感んは、先行研究(橋本ら:2008、橋本ら:2010)を参考に18項目を作成 した。障害受容は、先行研究(松下:2003、大野:2011)を参考に19項目を作成し、親⾃⾝がどれくらい当てはまるかを尋ねた。因子分析の結果、⾃⼰ 成⻑感は「感受性・思いやり」(7項目)、「精神的強さ」(4項目)、「積極性」(3項目)が、障害受容は、「家族」(5項目)、「⼈とのつながり」 (4項目)、「⾃⼰肯定」(3項目)、「否定感」(4項目)が抽出された。 発達障害⽀援シス テム学研究 (2015) 43 ⻲田 秀子 , 会 沢 信彦 , 藤枝 静暁 いじめ被害からの回復とその要 因に関する質的研究 : いじめを 扱った学術論文・大学紀要論文 における質的分析による検討 いじめ被害からの回復において、いじめられた体験から「安全を確保」し、⾃⼰開⽰によりソーシャルサポートを得て「心の整理」をし、⾃⼰と他者への 「信頼感の回復」から「体験の肯定的な意味づけ」を経て、「⾃⼰成⻑感」を実感し、「心の傷の回復」へと⾄るプロセスが⽰唆された。 教育研究所紀要 (2016) 44岩田 昇,堀口 和子 要介護者の性別および家族介護 者の続柄別に⾒る在宅介護の認 知評価,対処方略および生活へ の影響の相違

personal growth through caregiving

広瀬らの認知的介護評価短縮版(2005)15項目(肯定的側⾯下位尺度に「⾃⼰成⻑感」3項目が含まれる)を⽤いた。 ⽇本公衛誌 (2016) 45 菅原直美,坂田 由美子,⾼田ゆ り子 家族介護者の介護評価と居宅 サービス利⽤状況との関連−要 介護4,5の要介護者の家族介護者 を対象とした横断調査− 家族介護者を対象に質問票による調査を行い、広瀬ら(2005)が開発した認知的介護評価尺度(肯定的側⾯下位尺度に「⾃⼰成⻑感」3項目が含まれる) を⽤いた。要介護者の属性による下位尺度の有意差は認められなった。 ⽼年社会科学 (2016) 46有川 まどか,原 口 芳博 介護がもたらす意識変容につい て : 経験への意味の付与に着目し た⾃⼰成⻑感 A feeling of self-growth 家族介護者の介護経験に対する意味の付与に関する質問(以下,意味の付与尺度)として、宅(2005)のストレスに対する意味の付与に関する13 項目に 4 件法で記⼊を求めた。介護経験に起因する⾃⼰成⻑感を精緻する質問(⾃⼰成⻑感精緻尺度)として、信野(2008)の⾃⼰成⻑感尺度19項目を 7 件法で 記⼊を求めた。結果、⾃⼰成⻑感精緻尺度では「⼈との関わり感」8項目「生活安心感」7項目「アクシデントへの耐性」4項目の3因子が抽出された。 臨床心理学 : 福岡 ⼥学院大学大学院 紀要(2016) 47乾 匡登,⻄村 昭徳 大学生の悩み体験に対する意味 づけと⾃⼰成⻑感との関連 self-growth feeling 大学生を対象に質問紙による調査を実施した。⾃⼰成⻑感は、信野(2008)による⾃⼰成⻑感尺度を、悩み体験に対する意味づけは、宅(2006)による ストレスに対する意味の付与尺度を⽤いた。意味づけの3つ下位尺度「ポジティブな側⾯への焦点づけ」「出来事を経験した⾃⼰に対する評価」「出来事 のもつメッセージ性のキャッチ」は、⾃⼰成⻑感の4つの下位尺度「⾃⼰安定感」「他者への誠実な態度」「他者つながり感」「他者尊重」とそれぞれ有 意な正の関係があることが明らかとなった。 東京成徳大学大学 院心理学研究科臨 床心理学研究 (2016) 48山田 ⼩織,越田 美穂子 新⼈保健師が⾃⼰成⻑感を獲得 していくプロセス

the sense of personal growth

保健師活動経験から獲得される⾃⼰成⻑の感覚とした。 ⼊職1年目の新⼈保健師を対象に半構造的⾯接法による調査を実施した。結果、⾃⼰成⻑を実感するプロセスとして《保健活動に対する⾃信喪失》《開き 直りと⾃分の殻破り》《⾃⼰効力感に基づく行動化》であることを明らかにした。 ⽇本看護研究学会 雑誌(2017) 49 天谷 祐子 ⾃我体験経験後の⾃⼰成⻑感が ⾃⼰意識・⼈生への態度・脱中 心化に及ぼす影響 : 大学生を対象 とした質問紙調査より self-growth 竹澤(2008)による⾃⼰成⻑感尺度(体験後の主観的な⾃⼰成⻑感をたずねる5項目)を改変して5項目使⽤した。同じように⾃我体験を経験しても、主 観的に⾃⼰成⻑感を感じていることが、より積極的な⼈生への態度や意味・目的のある⼈生を目指す志向や、⾃⾝の各種体験に関して否定的思考が浮かん だとしても、そこから距離を置ける程度が強く、志向・認知の仕方にポジティブに寄与する点があることが明らかにされた。 名古屋市立大学大 学院⼈間文化研究 科⼈間文化研究 (2017) 50 天谷 祐子 ⾃我体験経験後の⾃⼰成⻑感に 対する批判的思考態度・観点取 得の寄与 : 大学生を対象とした質 問紙調査より self−growth 竹澤(2008)による⾃⼰成⻑感尺度を改変して7項目使⽤。⾃我経験の有無と⾃⾝のその経験による⾃⼰成⻑感を感じているか否かと観点取得・レジリエ ンスとの関連を検討した。結果、レジリエンスの「意欲的な活動性」(⽯⽑、無藤:2006)では、⾃我体験経験者のうち、⾃⼰成⻑感の⾼い⼈がそうで ない⼈よりも⾼かった。これにより、⾃⾝の⾃我体験の意味づけや⾃⼰成⻑感を強く感じられる⼈はそうでない⼈よりも⾃⾝の経験について好奇心を持っ て意欲的適応的に捉える特性を持つ可能性が⽰唆された。 名古屋市立大学大 学院⼈間文化研究 科⼈間文化研究 (2017) 51 広瀬 美千代,杉 山 京,清水 由 香,岡田 進⼀ 「ホームヘルパーの専門職アイ デンティティ」の構造とその関 連要因 : 楽観的な態度からの検討 self−growth 「ホームヘルパー業務楽観的態度」は介護業務において感じる困難に対して楽観的な解釈をし、⼈生における意味づけや⾃⼰成⻑を認識することができる 態度」と定義し、広瀬(2015)の「ヘルパー業務楽観的尺度」の下位概念である「⾃⼰成⻑感」を⽤いた。 ⽼年社会科学 (2018) 52 大⻄ 将史 大学生の就職活動を通した⾃⼰ 形成 : 就職活動による⾃⼰成⻑感 尺度の作成とアイデンティティ との関連性の検討

sense of self development

大学生の就職活動における⾃⼰成⻑感とし、⻘年への調査を通じて就職活動による⾃⼰性成⻑感の特徴を明らかにすることを目的とし、就職活動による⾃ ⼰成⻑感尺度を作成した。「⾃⼰明確化」「⾃賛・⾃信」「肯定的職業意識」の3側⾯が⾒出され、信頼性・妥当性が認められた。 福井大学教育実践 研究(2018) 53風間 文明,山下 倫実 就職活動中のストレスと⾃⼰成 ⻑感の規定因に関する縦断的検 討−就職活動前の⾃⼰効力感、 進路決定、役割占有感に着目し て− Feeling of Self-Growth ⾃⼰成⻑感は、危機的な経験が⼈格的な成⻑によい影響を与える可能性に⾔及した概念とした。就職活動による⾃⼰成⻑感は、⾼橋・岡田(2013)によ る就職活動による⾃⼰成⻑感尺度(33項目)を使⽤した。就職活動中の⼥子学生を対象に、質問紙による縦断的調査を行った。結果、3因子「⾃⼰明確 化」「就業準備性」「関係性強化」が抽出された。そして、就職活動前の⾃⼰効力感は就職活動による⾃⼰成⻑を促進する。また、就職活動前の進路決定 の確信度は、就職活動中のストレスを低減する効果を持つが、⼀方関係性強化の⾯での就職活動による⾃⼰成⻑を疎外する可能性がある。役割占有感のう ち、居場所感は、就職活動中の他者⽐較によるストレスを緩和し、役割遂行感は、⾃⼰明確化と関係性強化の⾯での⾃⼰成⻑を促進することを明らかにし た。 十文字学園⼥子大 学紀要 (2018) 54 広瀬 美千代 ホームヘルパーの⾃⼰成⻑感に 関連する要因 : 個別ケアの実践度 に焦点をあてて 訪問介護員を対象とした質問紙調査において、広瀬(2015)のヘルパー業務楽観的尺度の下位概念である「⾃⼰成⻑感」を⽤いた。ホームヘルパーの 「⾃⼰成⻑感」は、信頼性と構成概念妥当性が得られたことから尺度として使⽤可能であると判断した。また、「新たな気づきと突発的⽀援」は「⾃⼰成 ⻑感」と関連がみられた。さらに、ヘルパーの経験年数と「新たな気づきと突発的⽀援」、仕事継続意識と「⾃⼰成⻑感」の間には、有意な関連が確認さ れた。本研究結果から、ヘルパーとしての経験を積み、様々な気づきを通じて突発的な対処能力が⾼まることで個別ケアが可能となると、学びや成⻑を⾃ 覚していく可能性があることが⽰唆された。 厚生の指標 (2018) 表 1 対人援助における自己成長感に関する記述③

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心理的変化を自己成長感とし、「自己の発展」「人間 についての確信」の 2 因子で構成されていることを 明らかにしている22)。さらに、奥野(2013)は、ス トレスの体験後に自己成長につながっているかにつ いて縦断的研究を行い、仕事上のストレス体験の多 さは、その時点よりも 1 年後の自己成長感を高め、 周囲の状況に対してコントロールできると考える性 格傾向がある、個人特性としてのハーディニスのコ ントロール傾向の高さは自己成長感を高める可能性 があることを示唆した23) 3.保育領域における自己成長感  保育領域における自己成長感の研究は、障害児を 養育する保護者を対象としたものが主であった。熊 倉らは、柏木・若松(1994)が作成した自己成長感 尺度24)に、奇(1999)の研究結果25)を加えて作成 した自己成長感尺度を用いて、知的障害児の母親を 対象に質問紙による調査を行った。結果、「人間的 成熟と社会への関心の広がり」「寛大さと積極性」「我 が子・他者への思いやり」の 3 因子が抽出された。 また、自己成長感はソーシャルサポート高群が低群 よりも有意に高いことなどを示していた26)。橋本ら (2010)は、障害児を育てる母親の自己成長感尺度 を試み、結果「思いやり」「精神的強さ」「障害理解」 の 3 因子で構成された尺度を作成した27) 4.介護領域における自己成長感  介護領域における自己成長感の研究では、櫻井 (1999)は家族介護者を対象としたアンケート調査 の 結 果 か ら、Skaff & Pearlin と Lawton ら が 用 い た尺度を参考に介護の肯定的評価尺度を作成し、検 討した。結果、介護がもつ肯定的側面について、 「介護状況への満足感」「自己成長感」という二側面 を明らかにし、自己成長感を「日常の介護状況を超 えた介護者自身の人間的成長や将来への展望という 介護者個人に関わる側面」であるとした28)。陶山 ら(2004)は、介護肯定感を構成する「介護状況に 対する充実感」「自己成長感」「高齢者との一体感」の 3 因子を抽出し、なかでも「自己成長感」には、介 護負担感を軽減させる「問題解決型」や介護におけ るストレッサーを一時遠ざける「回避型」の対処行 動が有効であるとした29)。張(2008)は、特別養護 老人ホームに勤務する介護職員を対象に介護業務に 対する意識調査を行うなかで、介護肯定感を測定す るために「介護する充実感尺度、自己成長感尺度、 高齢者と一体感尺度」から構成された尺度を作成し ている。また、アンケート調査の自己記述からは、 介護肯定感を「介護状況に対する充実感、自己成長 感、高齢者と一体感」に加えて「自己存在価値、満 足感、同僚や上司の支えの実感」で分類した30)。広 瀬ら(2014)は、訪問介護員を対象とした質問紙調 査において、「ヘルパー業務楽観的態度」尺度の下 位概念に、介護肯定感の下位概念である「自己成長 感」(3 項目)を用いている31)  一方、川﨑ら(2006)は、家族介護者を対象とす る自己成長感の形成に焦点をあてて調査研究を行っ た。結果、高齢者介護を通して形成される自己成長 感について、介護者が認識している成長を「教訓」 「理解」「スキル」「人間的成長」「悪い変化」の 5 つの カテゴリーを抽出し、自己成長感形成過程を未形成 期(ショック、混乱、閉塞)、潜在期(あきらめ)、 半顕在期(受容)、顕現期(発展)とし、各形成過 程に対応する自己成長感カテゴリーおよび概念を提 示した32) Ⅴ.考察  先行研究の内容を精査することにより、以下のよ うな点が明らかになった。  第一に、対人援助における自己成長感の概念や関 連要因を踏まえながら、介護領域における自己成長 感の概念について検討する必要があることが明らか になった。  対人援助における自己成長感の概念として、苦 痛や困難な体験後ポジティブな自己変化が生じる 現象は「ストレスに起因する成長(Stress Related Growth)」33)が基礎概念として多数用いられてい る。教師、看護師など、職業として人との係わりを 行う対人援助職は、職務内容、人間関係におけるス トレスが高く、ストレスをネガティブに捉え、職務 ストレスとバーンアウトに焦点をあてた研究が多い 34)。しかし、ストレッサーの影響は必ずしも精神的 な病理に進展していくわけではなく健康的な結果を もたらし得ることが知られている35)。精神的な健康 に問題を抱える人を想定したモデルや尺度を用いた 研究が多いが、今後の研究においては精神的に健康 な人としてとらえた上で自己成長の側面も合わせて 検討する必要がある。介護に携わることによる自己 成長感について、櫻井(1999)は家族介護者の調査

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の結果から、介護がもつ肯定的側面について、「介 護状況への満足感」「自己成長感」という二側面を明 らかにし、自己成長感を「日常の介護状況を超えた 介護者自身の人間的成長や将来への展望という介護 者個人に関わる側面」であるとしている36)など、 介護者に対するポジティブな影響の可能性を示唆し ている。介護の否定的な側面のみならず、肯定的な 側面も含めて多面的な視点から検討が求められると いえる。  加えて、川崎ら(2006)は、介護者の自己成長感 が、「獲得」「報酬」に置き換えが可能であり、「満足 感」「自己効力感」などと類似する概念も含まれてい るとの見解を述べ、これまで自己成長感があまり検 討されなかったことを指摘している37)。また、神田 (2012)は先行研究から「self-gain」、「self-growth」 「Competence」など、自己(個人的)成長に関連す る概念を整理している38)が、肯定的介護の評価を 表す概念としてとらえて紹介することに留まってお り、自己成長感の概念についてはさらに検討の余地 があるといえる。  以上から、今後、介護領域において自己成長感の 概念整理の必要性が示唆された。  第二に、介護職員の自己成長感に関する研究の蓄 積が求められることが明らかになった。  対人援助における自己成長感については、各領域 別に概観すると学生、患者などに焦点をあてた研究 が多い。次いで、障害児の保護者、高齢者の家族介 護者に焦点をあてた研究が多い。援助の対象者の自 己成長感を高めるための示唆を得ることによって効 果的な支援につなげることをねらいとした研究が主 であるといえる。  一方、看護領域においては、近年、看護師を対象 とした自己成長感に関する研究が注目に値する。奥 野(2013)は、看護師を対象とした調査研究の結果 から、対人援助職に携わることによってもたらされ る自己が成長したとの実感は、仕事への満足感やや りがいを高め、離職・休職者数を抑制するだけでは なく、被援助者に対する良質なサービス提供につな がる可能性を示唆しており39)、自己成長感の重要性 に触れている。介護職員の自己成長感を促進するこ とは、介護を肯定的に捉え、職務に対する動機付け や満足感につながり、職務継続意向にも影響する可 能性がある。  介護領域においては、家族介護者の介護を通じた 自己成長感の概念や形成過程などについて一定の知 見が得られているが、介護職員の自己成長感に関す る研究の蓄積が少ない現状がある。介護職員を対象 とした自己成長感に関する先行研究も散見できる が、あくまでも介護の肯定的な評価概念の下位概念 の一部として取り扱われていることが多い。  以上から、今後、介護領域においては家族介護者 を対象とした研究の結果から得られた介護を経験す ることによる自己成長感の知見を踏まえながらも、 介護職員を対象とした自己成長感に関する研究が望 まれるといえる。  第三に、介護職員の多様な背景を考慮した研究が 課題であることが明らかになった。  今回対象となった文献を概観すると、特別養護老 人ホームの介護職員から訪問介護員まで調査対象者 は様々である。佐伯ら(2011)による、介護老人保 健施設と特別養護老人ホームに勤める介護職員を対 象としたアンケート調査では、特別養護老人ホーム の介護職員特有なものとして、利用者の「死」に直 面し、それを受け入れ乗り越えていくことによる精 神的成長について考察している40)。しかし調査対象 者の基本属性をみると介護福祉士の有資格者は全体 の 6 割であり、資格経路も不明である。また、介護 職員の調査対象者の属性が多様であることに対す研 究の課題について、中澤(2015)は様々な資格を背 景とする介護職員の特徴から一般化する上での限界 を述べている41)。さらに、介護福祉士の資格取得経 路が混在していることが、介護福祉士の能力の多様 さにつながっているとの指摘もある42)。今後、介護 人材の質的確保にかかる基本的な視点の一つとして 介護福祉士の資格取得経路の一元化が議論されてい る43)ことから、資格取得経路などを考慮した特徴 を検討していく必要があると考える。  以上から、介護職員の多様な背景を考慮した自己 成長感の特徴について明らかにする必要性が示唆さ れた。 Ⅵ.結論  本研究は、対人援助における自己成長感の概念と 関連要因について概観し、介護領域の自己成長感に 関する今後の研究課題を明らかにすることを目的と した。選定した文献を精査した結果、今後の介護領 域における研究課題が明らかになった。  第一に、対人援助における自己成長感の知見を踏

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まえて、介護領域における自己成長感の概念につい ては今後検討が必要である。第二に、家族介護者を 対象とした研究の知見を踏まえながら、介護職員の 自己成長感に関する研究の蓄積が望まれる。第三 に、介護職員の多様な背景を考慮した自己成長感に ついて検討する必要である。  以上の知見を踏まえて、今後は介護職員の自己成 長感を促進する資料を得るために介護職員の自己成 長感の特徴や関連要因の解明を行う研究が求められ る。 引用文献 1 )内閣府.平成 22 年度介護保険制度に関する世 論調査.介護保険制度について.https://survey. gov-online.go.jp/h22/h22-kaigohoken/2-3.html (2020.8.1 閲覧). 2 ) 厚 生 労 働 省. 第 1 回 福 祉 人 材 確 保 対 策 検 討 会(平成 26 年 6 月 4 日).介護人材確保につい て.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushi bu-Kikakuka/0000047617.pdf(2020.8.7 閲覧). 3 )公益財団法人介護労働安定センター.平成 30 年度介護労働実態調査.介護労働者の就業実態 と就業意識調査.http://www.kaigo-center.or.jp/ report/pdf/2019_chousa_roudousha_chousahyou. pdf(2020.8.7 閲覧). 4 )公益財団法人介護労働安定センター.令和元年度介 護労働実態調査.介護労働者の就業意識調査.http:// www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_ chousa_roudousha_chousahyou.pdf(2020.8.7閲覧). 5 )立花直樹、九十九綾子、中島裕、多田裕二、永 井文乃 (2014).介護職員の就労継続に関する意識 調査の研究-大阪市内の特別養護老人ホームに 対するアンケート調査報告-.新潟医福祉誌 13 (2):31-37. 6 )佐伯美奈子・長野恵子(2011).施設介護職の 介護肯定感に焦点をあてた基礎的研究.西九州大 学健康福祉学部紀要.42:25-34. 7 )末益友佳子、門間晶子(2015).在宅筋萎縮性 側索硬化症患者の主介護者の介護肯定感とその関 連要因.日本看護研究学会雑誌.38(2):43-55. 8 )菅原直美、坂田由美子、高田ゆり子(2016). 家族介護者の介護評価と居宅サービス利用状況と の関連.老年社会科学.37(4):406-416. 9 )川﨑陽子、高橋道子(2006).高齢者介護を通 しての家族介護者の発達に関する一考察:自己成 長感の形成から.東京学芸大学紀要 総合教育科 学系.57:115-126. 10 )溝田順子、原田規章(2008)介護職員のソー シャル・サポート体制と自己成長意識の関連.人 間生活科学研究.44:33-37. 11 )有川まどか、原口芳博(2016).介護がもたら す意識変容について-経験への意味の付与に着目 した自己成長感-.福岡女学院大学大学院紀要臨 床心理学.13:1-7. 12 )フレデリック・ハーズバーグ(著).北野利信 (翻訳).仕事と人間性 動機付け-衛生理論の新 展開.東洋経済新報社.東京(1968).

13 )Lawton, M.P., Moss, M., & Kleban, M.H.(1991) A two-factor model of caregiving appraisal and psychological well-being. Journal of Gerontology, 46, 181-189.:櫻井成美(1999).介護肯定感がも つ負担軽減効果.心理学研究.70:203-210 から 再引用.

14 )Skaff,M.M., & Pearlin,L.I. (1992)Caregiving: Role engulfment and the loss of self. Gerontologist, 32,656-664:櫻井成美(1999).介護肯定感がもつ 負担軽減効果.心理学研究.70:203-210 から再 引用. 15 )嶋田洋徳、岡安孝弘、坂野雄二(1992).児童 の心理的ストレスと学習意欲との関連.健康心理 学研究.5:7-19. 16 )神藤貴昭(1998).中学生の学業ストレッサー と対処方略がストレス反応および自己成長感・学 習意欲に与える影響.教育心理学研究.46:442-451. 17 )信野良太(2008).自己成長感尺度作成の試 み.北星学園大学大学院社会福祉学研究科北星学 園大学大学院論集.11:125-136. 18 )宅香菜子(2004).高校生における「ストレス 体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」の構築- 自我の発達プロセスのさらなる理解にむけて.心 理臨床学研究.22(2):181-186. 19 )宅 香菜子(2005).ストレスに起因する自己成 長感が生じるメカニズムの検討-ストレスに対す る意味の付与に着目して.心理臨床学研究.23 (2):161-172. 20 )逆井麻利、松田英子(2009).終末期医療に携

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わる臨床看護者のストレスとストレス関連成長 (Stress–Related Growth)に関する研究.健康心 理学研究.22(2):40-51. 21 )船越明子、河野由理(2006).看護師の働きが いの構成要素と影響要因に関する研究:急性期病 院に勤務する看護師を対象とした分析から.ここ ろの健康.21(2):35-43. 22 )奥野洋子(2011).対人援助職におけるポジ ティブな変化について: 看護師の自己成長感の特 徴について.近畿大学臨床心理センター紀要.4: 19-30. 23 )奥野洋子、萬羽郁子、青野明子、東賢一、奥村 二郎(2013).対人援助職のストレス体験が 1 年 後の自己成長に与える影響に関する縦断的研究. 近畿大医誌 38-3(4):115-124. 24 )柏木恵子、若林素子(1994).「親となる」こと による人格発達-生涯発達的視点から親を研究す る試み-.発達心理学研究.5(1):72-83. 25 )奇恵英(1999).障害児をもつ親から学ぶ.教 育と医学.47(3):19-25. 26 )熊倉朋子、谷村厚子、三浦咲(2000).知的障 害児の母親における育児負担感と自己成長感につ いて-ソーシャルサポートとの関連から-.明治 学院大学大学院文学研究科心理学専攻紀要.5: 1-15 27 )橋本真規、奥住秀之、熊井正之(2010).障害 児を育てる母親の「自己成長感」尺度の作成と信 頼性・妥当性の検証.発達障害研究.32(5): 458-468. 28 )櫻井成美(1999).介護肯定感がもつ負担軽減 効果.心理学研究.70:203-210. 29 )陶山啓子、河野利恵、河野保子(2004).家族 介護者の介護肯定感の形成に関する要因分析.老 年社会科学.25(4):461-469. 30 )張允楨(2008).特別養護老人ホームにおける 介護業務・介護環境に対する職員の意識に関する 研究.大阪府立大学社会福祉学研究科博士論文. 4-47. 31 )広瀬美千代(2014).ホームヘルパーの業務に 関する楽観的態度を測定する尺度の開発.メンタ ルヘルスの社会学.20:62-70. 32 )前掲書 9.

33 )Park CL, Cohen LH, Murch RL(1996)Assessment and Prediction of Stress-Related Growth. Jouranl

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表 1   対人援助における自己成長感に関する記述 No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 1 神藤 貴昭 中学生の学業ストレッサーと対処方略がストレス反応および⾃ ⼰成⻑感・学習意欲に与える影 響 feeling of self-growth ⾃⼰成⻑感 を学業場⾯ に限定し、⾃分が⽇々成⻑しているという感情であるとした。中学生が学業活動におけるストレスを乗り越える際に⾃⼰成⻑感を感じると、後の学習に対する意欲が⾼まることを明らかにし、⾃⼰成
表 1   対人援助における自己成長感に関する記述(続き①) No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 19 ⻲田 秀子,相良 順子 過去のいじめ体験が⻘年後期に おいても及ぼす⻑期的影響 : ⾃⼰ 成⻑感を分かつ要因の検討 Self-Growth 「⾃⼰成⻑感」とは、いじめ体験をきかっけに⾃⼰が成⻑したと認識したり、⾃覚したりすることであるとし、辛い出来事でもその体験を経て、⾃⼰の成⻑を⾃覚していることを「⾃⼰成⻑感」と定義している。また、いじ
表 1   対人援助における自己成長感に関する記述(続き②) No 著者名 論文名 「⾃⼰成⻑感」を表す⽤語、「⾃⼰成⻑感」の概念、「⾃⼰成⻑感」の関連要因 雑誌名 37 ⼩早川 茄捺,杉村 和美,⽯田 弓 いじめられた体験を通した⾃⼰成⻑感を促す他者からの⽀援 feelings of self-Growth ⽇本語版外傷後の成⻑尺度 (PTGI-J) 18 項目を⽤いた。 ほぼ全ての PTGI-J と⻘年⽤適応感尺度の下位尺度の聞に有意な正の相関がみられ,⾃⼰成⻑感と適応感は概ね関連があり,⾃⼰成⻑感を⾃

参照

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