はじめに
毎年、厚生労働省から発出される児童相談所における児童虐待相談対応件数は右肩上がりを続けてい る。2019(令和元)年度は193,780件、対前年度比21.2%増である。 その対応にあたった児童相談所数は全国215か所である。2018(平成30)年の児童相談所数は211か所 で対前年比1.9%増である。これでは相談件数の増加に十分対応できているのかが懸念される。 2019(令和元)年の児童福祉法等の改正により2023(令和5)年4月1日を施行日とした児童相談所 の設置を促進する動きがあるが、極めて高度な専門性を要する行政機関であり、容易に設置できるもので はなく、必要な子どもと家庭への支援になかなか追いつけない。 児童虐待防止対策の強化が叫ばれているものの、一時保護をしなければならない子どもの数が次第に増 えている。児童相談所は2020(令和2)年7月現在、全国220か所あるが、一時保護所数は144か所にと どまっており、児童養護施設などに一時保護委託せざるを得ないケースもあるのが実態である。国も一時 保護所等の量的拡充・一時保護の質的向上に係る方策等に対する支援の在り方について速やかに検討を加 え、必要な措置を講ずるとしている。では何が必要とされているのか、児童相談所の機能の一つである一 時保護所について、身近な事例を通して現場が抱える問題点について明らかにしたい。(1) 一時保護ガイドライン作成の経緯
子どもの一時保護は児童福祉法の第33条に規定され、児童相談所長は、必要があると認めるときは、 児童相談所長が採るべき措置に至るまで、「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童 の心身の状況、そのおかれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な 者に委託して、当該一時保護を行わせることができる」としている。要保護児童の最善の利益を守るため に実施されるものである。しかし最近では、一時保護所は、虐待の疑いのある緊急一時保護に追われてい るのが現状で、非行相談、育成相談などによる支援の一環としての一時保護入所は年々難しくなっている。児童相談所の一時保護所に関する一考察
藤 原 伸 夫
Consideration for facilities of taking temporary custody of children in child guidance center
Nobuo FUJIWARA
要 旨
児童相談所が受ける児童虐待相談対応件数は増加の一途を辿っている。それに伴う一時保護される子ども たちも増えており、一時保護所もその対応に追われている。児童福祉司や児童心理司の増員や資質の向上が 問われているが、一時保護所の体制強化の必要性についてはその陰に隠れている。一時保護の理由等の現状 にふれ、今何が問題となっているのか一考察をおこなった。 キーワード:児童相談所、一時保護所、一時保護一時保護期間中は学校等関係機関と連携しながら、子どもの心身のケアと共にその家族に対する支援を 検討する大切な期間となる。しかしながら、以前から、子ども一人ひとりの状況に合わせた個別的な対応 が充分になされていないことや、教育権保障の観点から学習支援の在り方の問題、被虐待児童の増加によ る心のケアの対応などが充実していないと指摘されていた。また、児童相談所設置自治体間の一時保護の 取り扱いの格差が指摘されていた。 このような問題点が指摘されているにも関わらず、長い間留め置かれていた感が否めない。児童の権利 に関する条約の批准を契機に、法成立後70年もの時間を経て、やっと2016年大幅な児童福祉法の改正に 至った。児童の権利に関する条約の理念を受けて、子どもが権利の主体であること、家庭養育優先の考え のもと、一時保護の目的も見直しが迫られることとなった。すなわち一時保護の目的は、先に述べた現行 法第33条である。2016年の児童福祉法改正を受けた2017年の「新しい社会的養育ビジョン」にも当然の ことながら同様に一時保護の見直しの必要性を説いている。 子どもをその養育環境から一時的に離す一時保護期間においても、当然に子どもの権利擁護が守られ、 安心・安全な環境で適切なケア・支援が提供されることが求められる。このため、一時保護に関して指摘 されている問題点を改善するために、児童相談所設置自治体や関係機関が取るべき方針を定め、自治体間 のレベル合わせ、運営の共通化、認識の共有化を図り、一時保護の在り方を実効性のあるものとして、 2018年、一時保護ガイドラインが作成された。これに伴い同時に、児童相談所運営指針から一時保護に 関する項目が大幅に削除・改正され、ガイドラインに沿って、子どもの安全確保を最優先とした適切な対 応を行うこととしている。
(2) 一時保護所での生活の一例
では、具体的に一時保護所での生活はどのようなものか。神戸の事例を参考にして述べたい。 1) 一時保護所の生活の内容 「一時保護所のしおり」では、日課に沿った規則正しい生活を送り、生活のリズムを立て直すために、 生活指導、学習指導、レクリエーション、健康管理が生活の柱として説明されている。 ①生活指導は、日課に沿った規則正しい生活を送る中で、掃除・食事・入浴・睡眠・学習など、生活場 面のすべてを通じて行われている。 ②学習指導では、学校で使用しているドリルやワークブックを持参させ一人ひとりの学力にあった学習 指導と、集団指導を組み合わせた内容を展開している。 ③レクリエーションでは、季節ごとのお楽しみ会など、月毎の行事を実施している。 ④健康管理では、医師による一人ひとりの健康診断を行っており、看護師による健康管理指導も行われ ている。表1 一時保護所の日課の流れ 時刻 平日 土曜 日曜・祝日 7:00 起床・洗面・掃除・朝食 9:15 ラジオ体操・トレーニング 10:30 学習 大掃除・壁面装飾 12:00 昼食・風呂掃除(中学生男子) 13:30 学習 様々な活動(創作活動等) 15:00 おやつ・掃除 16:00 読書 16:30 入浴 18:00 夕食 19:00 自由時間(フリールームに集合)・入浴 20:30 小学生就寝準備 21:00 小学生消灯・中学生就寝準備・日記記入 22:00 中学生消灯 出所:「一時保護のしおり」を基に筆者作成 2) 一時保護所での約束事 一時保護所に限らず、施設における集団生活には、お互いが気持ちよく生活するための規則、約束事が ある。しかし、一時保護所ならではの約束事もある。約束事は次のようなものである。なお実際のしおり は、小学生にも理解しやすいよう、ですます調でふりがな入りである。 ①先生の指示に従って生活すること。分からないことや心配事があるとき、病気やケガは先生に相談す ること。 ②友達と喧嘩をしたり、弱い者いじめはしないこと。 ③担当ケースワーカーの許可、保護所の行事や通院、その他先生の指示のあるとき以外は、保護所から 外へは出られない。 ④お互いのプライバシーを守ること。友達の入所した詳しい理由、住所などは聞かないこと。 ⑤保護所にある品物などを大切にすること。友達と物を交換したり、あげたり、もらったりしないこと。 ⑥私物は持ち込めない。また保護所の物を取り込まないこと。面会や外出後などで、必要のあるときは 持ち物検査することがある。 ⑦規則正しい生活を送るために次のようなことを守ること。○起床時間、就寝時間を守ること。○食事 は栄養を考えているので、好き嫌いせず残さず食べるようにすること。○服装・身のまわりを整え、 礼儀よく生活すること。 ⑧集団生活が基本なので、相手を思いやって生活すること。言葉遣いに気をつけてみんなと仲良くする こと。 ⑨自分達以外の他の部屋や生活スペースに勝手に入らないこと。保護所では、男子、女子、年齢等によっ て生活の場所を決めているので、先生の許可なく他の生活場所に立ち入らないこと。 以上9項目以外にも担当ケースワーカー等からの説明がある。この内容をみると、決まりごとに縛られ、 とても窮屈な生活を強いている印象を受けるであろう。 近年、児童相談所に対する社会の評判はあまりよくない。児童虐待の対応を巡って、死亡事案が報道さ
れるたびに、対応の遅さに、世間のパッシングを受けることとなる。一時保護所に至っては浅学な筆者は、 良い評価など聞いたことがない。居場所のない10代の女性を支援する活動をしている仁藤氏は、「都内の ある一時保護所では、安全のため個人情報の交換をさせないという名目できびしい私語禁止の暗黙のルー ルがある」(注1)と述べている。「ルールを守れなかったら夏場でも体育館を100周させる」(注2)と。確かに、 前述の約束事④の遵守を厳格に行えばそのようになる危険性はある。しかしこれが事実としても、筆者の 知る一時保護所では私語禁止までは考えられない。体育館100周も信じられないが、真実とすると体罰以 外の何物でもない。これは、一時保護所の体質の問題か、職員の資質の問題か。このように一時保護所の 運営体制に自治体間の格差が激しく、保護を適切に行い、実効性のある見直しを図るために「一時保護ガ イドライン」が策定された所以である。
(3) 一時保護所の状況
1) 一時保護件数の推移 表2は、神戸市の一時保護所における平成26年度から平成30年度までの5年間の保護児童の件数を表 したものである。 令和元年度の実人員は373人で平成30年度より増加しているが、5年間の平均は327人で、横ばいの状 態である。また、実数は明らかにされていないが、一定数の児童が再入所とされている。家庭に帰宅して も、また要保護を繰り返す支援困難ケースが実態としてある。 表2 過去5年間の一時保護件数の推移 出所:神戸市児童相談所(2020年)『笑顔を求めて 令和元年度事業報告 』 平均保護日数は令和元年度33.0日であるが、5年間の平均は33.2日で、およそ一か月の保護期間中に、 一時保護所では、児童の生活リズムの回復、児童の精神的安定を図るとともに、児童福祉司・児童心理司 等は、家庭環境の調査、家族関係の調整、心理判定等を行い、児童及び保護者の意向も勘案しながら、児 童相談所として、児童の最善の利益のための援助方針を決定することとなる。 全国の一時保護所の平均在所日数は平成30年度29.4日で、神戸市の33日は若干多い日数となっている。 2) 一時保護の相談種別 一時保護に至った理由が表3である。 虐待相談は、養護相談に含まれるため、再掲として示されている。虐待による一時保護は、直近5年間 の平均で、養護相談の62.1%、全体の46.9%、約5割弱を占めており、近年増加傾向にある。一時保護の理由として、社会では児童虐待の印象が強いが、虐待以外にも保護者の入院などの養護相談によるもの、 非行相談、育成相談によるものなどがあることを強調しておきたい。 3) 一時保護された児童の年齢 一時保護された児童の年齢別に示したものが表4である。 なお、2歳児未満の乳幼児は、乳児院に一時保護委託しており、例外的に平成29・30年、計3件の数 が挙がっている。5年間の平均では、5歳までの未就学年齢が、全体の20.2%を占め、6歳から14歳まで の義務教育年齢が65.2%、15歳以上が14.6%である。この表には示されていないが、資料によると令和元 年度、11歳までの相談の93.5%が養護相談であるとされており、そのうちの75.9%が虐待による保護とさ れていることから、11歳までの入所児童187人のうち133人が虐待による入所であったことが浮かび上がっ てくる。 平成30年度は11歳までの入所児童156人のうち、83人が虐待による入所であったことと比較すると、虐 待を理由とする一時保護が増加しており、最近では警察からの虐待通告が増加傾向にあることを勘案する と、それと並行して今後も増加することが推察される。 出所:神戸市児童相談所(2020年)『笑顔を求めて 令和元年度事業報告』 表3 一時保護の相談種別 出所:神戸市児童相談所(2020年)『笑顔を求めて 令和元年度事業報告』 表4 一時保護された児童の年齢
4) 一時保護された児童の措置状況 一時保護された児童に、その後どのような措置が取られたのかを示すものが表5である。 令和元年度の児童福祉施設入所の割合は、30.9%であり、帰宅が61.9%となっている。直近5年間の平 均でみると、施設入所は約32%、帰宅が約61%、比率からするとほぼ2倍の割合で帰宅する児童のほうが 多い。ただ、帰宅したからといってケース終結ではない。その後の経過を把握する必要があり、前述した ように、また一時保護を繰り返す支援困難ケースが実態としてある。 表5 一時保護された児童の措置状況 出所:神戸市児童相談所(2020年)『笑顔を求めて 令和元年度事業報告 』
(4) 一時保護所の現状と課題
1) 入所理由が異なる児童が一緒に生活する 一時保護の理由でみたように、近年児童虐待による保護が増えているが、保護者の入院等による保護で あったり、非行問題による保護であったり、入所の背景は様々である。その児童たちが、たまたま一時保 護所で居合わせることになる。一時保護所の生活でみたように、相談種別によって、生活空間を切り分け ているわけではない。皆それぞれの理由を抱えながら一緒に集団生活しているのである。相談種別によっ て分けられているのは、養護相談担当、児童虐待担当、非行問題担当といった、保護期間中に援助方針を 決定しなければならない各担当の児童福祉司(ケースワーカー)である。 入所児童どうし、個人のプライバシーに深く立ち入らないというルールから、入所生活のしづらさを感 じるかもしれない。かつての経験者が一時保護所の酷さとして訴えるのも分からないでもないが、元々一 時保護そのものが自由を制約することである。だからといって、児童の人権を無視しているわけではない。 自由の制約と人権無視とは異なるものである。この点を児童相談所と要保護児童とがお互いしっかりと認 識して、児童相談所は、入所児童に入所の理由とこれからの生活を送るにあたって不安を懐かないように、 十分な説明を行う必要がある。 前述の問題点で指摘した、入所理由が異なる児童が一緒に生活することについて、例えば児童虐待で傷 つき心のケアが必要なケースと、非行問題で保護されたケースでは、生活面での配慮が当然異なる。一時 保護所の職員は専門職としてその点をわきまえ、支援にあたっているが、児童の背景が多岐にわたってお り、非常な苦労を強いている。 生活空間を全く別にするのは困難としても、年齢・男女による部屋分けだけでなく、入所理由に配慮した部屋分けが必要である。 2) マンパワー不足による児童相談所職員の疲弊 一時保護所の職員だけに限らず、児童相談所の職員全体が疲弊しきっている。一時保護所では必要な子 どものケアを行いながら、一方で児童福祉司・児童心理司が援助方針を決めなければならない。判断が難 しいケースが増えていることで、児童福祉司・児童心理司が疲弊すると、援助方針の決定が遅れ、それに より一時保護が長期化、それにより子どもの不安が増すことになり、その対応に一時保護職員の負担増へ と負の連鎖が起きることになる。 24時間365日対応を求められているにも拘らず、その体制が充分でない。警察・消防といった機関は3 交替制で24時間365日対応している。児童相談所は夜間の体制が手薄い。異動のヒアリングで児童相談所 だけには行きたくないという意見は中堅職員からよく聞く話である。中堅職員ともなると、児童相談所の 大変さをよく熟知しているからである。児童福祉の仕事に熱意があり優秀な新職員を配属していても、現 実とのギャップに燃え尽き症候群を起こす。マンパワーの絶対的不足を生じている現状がある。 2019年の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」では、児童相 談所の体制強化や児童相談所の設置促進が盛り込まれているが、要は児童相談所設置自治体がどこまで本 腰で取り込むかが問われているのである。
(5) 2019年改正の児童相談所の体制強化の課題
1) 人材の確保と人材の育成 2019年改正の児童相談所の体制強化について特に重要なポイントを確認しておきたい。第一点は、一 時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講ずることというものであ る。この点はかなり以前から指摘されており、保護者から児童を引き離す児童相談所の職員が、家族再統 合に向けて保護者支援にあたるのは、右手で保護者の頬をひっぱ叩きながら、左手で握手を求めるような ものであるといわれていた。役割分担することで、家族再統合に向けた支援に保護者との軋轢は少しでも 回避できると思われるが、木を見て森を見ず、ケースの全体像が捉えにくくなるというデメリットもある のではないか。 児童相談所の介入機能と支援機能の分離状況は2020(令和2)年4月の時点では、表6の通りである。 明確に分けているところが36%となっているが、どの児童相談所も、ケースによっては担当を変えたり、 複数対応等、所の経験を生かした柔軟な対応を取っているのが現実である。 施行期日は2023(令和5)年4月1日となっているが、一時保護所の所でも述べたが、つまるところ 体制の構築は人材確保に尽きるとともに、役割分担しても同じ児童相談所の職員としか見られず、信頼さ れにくいというようなデメリットを回避する構築が望まれる。表6 介入機能と支援機能の分離状況 厚生労働省HP 『令和2年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料』p1134 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000019801_00003.html (2020年12月30日閲覧) 人材確保の関わるのが第二点として、児童福祉司の数を人口、児童虐待相談対応件数等を総合的に勘案 して都道府県が定めるとして、さらには児童福祉司の専門性の向上と資質の向上を図るよう求めているこ とである。しかし、専門性の高い児童福祉司の確保は、一朝一夕にできるものではない。この点について は施行期日を2022(令和4)年4月1日としているが、ベテランの先輩児童福祉司から、観て体験して 学ぶものである。マニュアルのようなものがあっても、どれ一つとして同じケースはない。非科学的で根 拠がないといわれるかもしれないが、経験豊富なベテランの児童福祉司ともなると、子どもを帰宅させて 安心・安全かは臭いで分かるといったことも現場では往々にしてある。 また更に児童相談所の設置促進がいわれているが、新たに設置するとなれば、中心となる経験のある児 童福祉司を他からヘッドハンティングして集めなければならないであろう。人の奪い合いになるであろう。 図1は、厚生労働省子ども家庭局調べの児童福祉司の勤務年数の資料のうち、1年未満、1∼3年、3 ∼5年、5∼10年、10年以上と5区分のうち、1年未満、5∼10年、10年以上について取り出し図式化 したものである。育成が必要な新人職員と中堅・ベテラン職員の動向を探るためである。最近の動向とし て中堅・ベテラン職員の比率が下がり1年未満の新人職員の比率が増加傾向にあることが分かる。
図1 児童福祉司の勤務年数 厚生労働省HP 『令和2年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料』 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000019801_00003.html (2020年12月30日閲覧)を基に筆者作成 元来、児童相談所の職員は地方公務員であり、自治体によっては、一般行政職員と同様3年程度のサイ クルで異動という考えをもつところがある。福祉現場とすれば、仕事がやっと分かりかけてきた頃である。 ここでは、特に児童福祉司の勤務年数を取り上げたが、児童心理司についても同様の傾向がみられ、全体 的に児童相談所職員の配属勤務年数が短くなっている。残念ながら、国の資料では、一時保護所職員の勤 務年数のデーターは無い。 2) 一時保護職員と児童福祉司等職員の連携 人事を担当する部署は、単なるデスクワークだけではない児童福祉司等の育成には時間がかかることを もっとよく認識ないと体制の強化にはつながらない。一時保護所の職員も同じである。単なる子どもの世 話だけではない。児童福祉司が「社会診断」、児童心理司が「心理診断」をおこなうのと同様に、一時保 護所の職員は、一時保護した子どもについて「行動診断」をおこなう重要な役割がある。 先にふれた児童相談所における介入機能と支援機能の分離も大事であるが、筆者は児童心理司等が一時 保護中の子どもの様子を、すぐにいつでも窺えることのできる環境、すなわち事務所と一時保護所が隣接 していることが重要であると考えている。一時保護所での子どもの実際の様子を観て一時保護所職員と情 報交換・意見交換することが、きめ細かい支援方針の決定につながると考える。