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Factor structure of the Japanese version of the Quality of Life in Alzheimer's Disease Scale (QOL-AD)(日本語版Quality of Life in Alzheimer’s Disease Scale (QOL-AD) の因子構造)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1712号 学 位 記 番 号 第1210号 氏 名 山田 峻寛 授 与 年 月 日 令和 1 年 9 月 25 日 学位論文の題名

Factor structure of the Japanese version of the Quality of Life in Alzheimer's Disease Scale (QOL-AD)

(日本語版 Quality of Life in Alzheimer’s Disease Scale (QOL-AD) の 因子構造)

Psychogeriatrics. 2019 doi:10.1111/psyg.12459

論文審査担当者 主査: 松川 則之

(2)

論 文 内 容 の 要 旨

日本語版Quality of Life in Alzheimer’s Disease Scale(QOL-AD)の因子構造 Factor structure of the Japanese version of the Quality of Life

in Alzheimer’s Disease Scale (QOL-AD)

【目的】

Quality of Life(QOL) は認知症の研究において重要なアウトカムの一つである。

Quality of Life in Alzheimer’s Disease Scale (QOL-AD)は、認知症に特異的な QOL 尺度として もっともよく用いられている。しかしこの因子構造はいくつか先行研究があるが結果が一貫せず、 確定していない。認知症におけるQOL の理論的な枠組みを明らかにするため、日本人のアルツ ハイマー型認知症患者を対象に行ったQOL-AD の因子分析と、因子の解釈のためにほかの尺度と の相関分析を行った。 【方法】 名古屋市立大学病院精神科に通院する認知症患者とその介護者132 組を対象とした。 NINCDS-ADRDA の診断基準でアルツハイマー型認知症と診断される患者を対象とし、以下の除 外基準を設けた。1)他の神経疾患を合併、2)精神疾患の既往、3)MMSE 10 点未満、4)画像検査で の脳病変、5)介護者と同居していない。 本研究は名古屋市立大学医学部の倫理委員会において承認を受けた。患者本人と代諾者(配偶者・ 子など)の双方に文書での説明を行い、双方から同意を得た。 行動と認知の評価尺度は以下を行った。QOL-AD は本人の QOL を本人と介護者が別々に評価す る半構造化面接で、13 項目を評価しその総得点を QOL の指標とする。認知機能の尺度として Mini-Mental State Examinations (MMSE)、精神症状の尺度として Neuropsychiatric Inventory (NPI)、ADL の尺度として兵庫脳研版日常生活活動評価表 (HADL)、記憶障害の尺度として Short Memory Questionnaire (SMQ) を施行した。NPI では先行研究で示された 3 因子(精神症状・気 分・多幸)を分析に用いた。

QOL-AD の因子分析では 13 の個別項目に主成分分析を行った。バリマックス回転を行い、固有 値が1 以上の因子を採用した。0.30 以上の因子負荷量を基準とした。同定された因子と各評価尺 度(MMSE、NPI、HADL、SMQ)の相関を求めた。必要とされるサンプルサイズは、質問紙の内 容的妥当性の検討に必要とされる独立変数の10 倍である 130 組と推定した。

(3)

【結果】 因子分析では、本人評価・介護者評価ともに同じ項目に高い負荷量を示す3 因子が同定された。 第1 因子は以下の 5 項目に高い負荷を示した。2)活力・気力・元気、3)気分、5)記憶、11)何か楽 しいことをする能力、13)過去から現在までの生活のすべて。これらは肯定的か否定的な気分、活 力や意味ある行動への参加と解釈し、「心理的幸福感」と名付けた。第2 因子は以下の項目に高い 負荷量を示した。6)家族、7)結婚、8)友人。したがって「対人関係」と名付けた。第 3 因子は以 下の項目に高い負荷量を示した。1)身体的健康、4)生活環境、9)自分自身に関して全般、10)家事 をする能力、12)お金。身体や生活全般に関わる項目が主体なので「身体と生活環境」と名付けた。 この3 因子と評価尺度の相関分析を行った。本人評価では、「心理的幸福感」は NPI の気分と精 神症状と、「対人関係」はHADL と NPI の精神症状と、「身体と生活環境」は HADL とそれぞれ 有意な相関を認めた。介護者評価では、「心理的幸福感」はSMQ(記憶障害)と NPI の気分と、「対 人関係」はNPI の精神症状と、「身体と生活環境」は HADL とそれぞれ有意な相関を認めた。 【考察】 日本語版QOL-AD の尺度において、主観的評価(本人)と客観的評価(介護者)の双方で以下の 3 因子が同定された。「心理的幸福感」「対人関係」「身体と生活環境」である。 Lawton は、認知症高齢者の QOL が以下の 4 領域で構成される理論的枠組みを提唱した。すなわ ち、心理的幸福感・自覚されるQOL・行動能力・客観的な環境である。前二者は主観的側面に属 し、後二者は客観的側面に属する。 第1 因子は「心理的幸福感」とした。第 2 因子は「対人関係」とし、対人関係の評価は主観的な 所属感を表しており、QOL の主観的な側面であると考えた。第 3 因子は「身体と生活環境」とし、 Lawton の枠組みによる客観的側面の 2 つの領域 (行動能力・客観的な環境) を含んでいると考え た。

以上より、日本語版QOL-AD は 3 因子から構成され、Lawton による認知症高齢者の QOL に関 する理論的枠組みを支持することが示された。本研究は、日本語版QOL-AD が認知症患者の QOL の評価において有用な評価法であり、認知症患者への薬物・非薬物療法の介入や社会資源の有効 性の検証にはQOL の 3 側面を考慮する重要性を示唆した。

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論文審査の結果の要旨

【背景】Quality of Life in Alzheimer’s Disease Scale (QOL-AD)は、認知症に特異的な QOL 尺度としてもっとも用いられているが、この因子構造は確定していない。 【目的】認知症における QOL の理論的枠組みを明らかにするため、アルツハイマー型認知症患者 を対象として、QOL-AD の因子構造を明らかにするとともに、他の尺度との相関を検討した。 【方法】名古屋市立大学病院精神科に通院するアルツハイマー型認知症患者とその介護者 132 組 を対象とした。本研究は名古屋市立大学医学部の倫理委員会において承認を受けた。患者本人と 代諾者の双方に文書での説明を行い、双方から同意を得た。行動面と認知的側面を評価するため QOL-AD に加えて、Mini-Mental State Examinations (MMSE)、Neuropsychiatric Inventory (NPI)、兵庫脳研版日常生活活動評価表 (HADL)、Short Memory Questionnaire (SMQ) を施行し た。得られた QOL-AD のデータに対して因子分析を行うとともに、同定された因子と各評価尺度 の相関を検討した。 【結果】因子分析では、本人評価・介護者評価ともに同様の 3 因子が同定された。第 1 因子は肯 定的か否定的な気分、活力や意味ある行動への参加と解釈し「心理的幸福感」と名付けた。第 2 因子は「対人関係」と名付けた。第 3 因子は身体や生活全般に関わる項目が主体であり「身体と 生活環境」と名付けた。この 3 因子と評価尺度の相関分析では、本人評価では、「心理的幸福 感」は NPI の気分と精神症状と、「対人関係」は HADL と NPI の精神症状と、「身体と生活環 境」は HADL とそれぞれ有意な相関を認めた。介護者評価では、「心理的幸福感」は SMQ(記憶障 害)と NPI の気分と、「対人関係」は NPI の精神症状と、「身体と生活環境」は HADL とそれぞれ 有意な相関を認めた。

【考察】Lawton は認知症高齢者の QOL が、1.心理的幸福感、2.自覚される QOL、3.行動能力、4. 客観的な環境の 4 つの領域で構成される理論的枠組みを提唱しており、前二者は主観的側面、後 二者は客観的側面を示している。今回得られた因子構造として、第 1 因子は「心理的幸福感」、 第 2 因子は「対人関係」としたが、これらは主観的な側面を示しているものと考えられた。第 3 因子は「身体と生活環境」としたが、これは客観的側面の 2 つの領域 (行動能力・客観的な環 境)を示しているものと考えられた。以上より、日本語版 QOL-AD は 3 因子から構成され、Lawton による認知症高齢者の QOL の理論的枠組みを支持することが示された。また日本語版 QOL-AD の 有用性と、認知症患者への介入の有効性の検証に QOL の 3 側面を考慮する重要性が示された。 約 20 分間のプレゼンテーションの後に、主査の松川からは、認知症診療にどのように活かす目的 で本研究を実施したのか、アルツハイマー型認知症の症候学的特徴は何か、なぜ NINCDS-ADRDA の診 断基準を用いたのか、因子分析の詳細な方法と得られた数値の意味、本研究から学んだことについて の 6 つの質問を行った。第一副査の道川教授からは、因子負荷量の意味、先行研究と一致しなかった 理由、因子分析における回転の意味、得られた知見の実臨床における意義など 8 つの質問がなされ た。第二副査の早野教授からは、対象の選択バイアスは得られた結果にどのような影響があるのか、 患者と介護者から得られたデータの差が示す意味、因子間の相関を検討する意義、因子分析から得ら れた結果の解釈など 8 つの質問がなされた。幾つかの質問に対しては十分な説明がなされなかった が、全般的には概ね満足のいく回答が得られ、学位論文の主旨を十分理解していると判断した。本研 究は、QOL-AD の因子構造と有用性を明らかにしたはじめての研究であり、意義の高い研究である。 以上をもって本論文の著者には、博士(医学)の称号を与えるに相応しいと判断した。 論文審査担当者 主査 松川 則之 副査 道川 誠 早野 順一郎

参照

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