目的:東京歯科大学千葉病院において歯科麻酔科が
対応した救急症例の臨床統計学的検討および医療関
係者の救急対応に対する意識調査を行ったので報告
する。
方法:2008年1月∼2010年12月の3年間に歯科麻酔
科が対応した救急症例を対象に症例数,男女比,年
齢分布,基礎疾患の有無,発生場所,発生時期,対
応内容および年次推移についてそれぞれをレトロス
ペクティブに集計した。また当院の歯科医師,登院
学生およびコメディカルのスタッフを対象に無作為
抽出し,医療事故発生時のフローチャートや AED
設置場所の認識等についてアンケート調査を行っ
た。
成績および考察:3年間での救急症例数は44例で総
症例に対する発生頻度は0.
005%(44/787985症例)
であった。2008年は21例,2009年は7例,2010年は
16例であった。その内訳は血管迷走神経反射が最多
で12例,次いで過換気発作8例,低血糖5例となっ
た。男女比は1:2と女性に多くみられた。年齢分
布では最高年齢が85歳,最少年齢は9歳で平均年齢
は42.
4歳であった。発生場所としては口腔外科,保
存科,インプラント科外来で約半数を占めており,
発症時期は治療中が最多で24例,治療後は9例で
あった。基礎疾患を有するものは37例で,循環器疾
患を有するものが最多で14例であった。歯科麻酔科
の対応としては酸素投与を行ったものが11例,薬剤
の投与を行ったものが10例,監視のみで状態改善み
られたものが9例であった。アンケート調査では歯
医師と比較して登院学生とコメディカルではフロー
チャートの認知度が低い傾向にあった。全体でも
「医療事故発生時のフローチャートを知らない」と
回答したのは約20%であり,また,「AED 設置場所
を知らない」と回答したのは約40%であった。
これまでの報告と比較し院内救急症例の発生率に
は差が認められなかった。院内で発生した救急症例
は医療安全管理マニュアルに示されている医療事故
発生時のフローチャートに従い,対応を行うことに
なっている。しかしながらそのフローチャートの認
知度は低い結果となった。アンケート回答者の約80
%は救急対応に関する講習会が開催された場合に参
加したいと考えており,救急症例に対する学習意欲
の高さがうかがえた。歯科医師だけでなく学生やコ
メディカルも対象に講習会などの機会を増やし,フ
ローチャートの認知度を一層高めていくことが必要
であると考えられた。
目的:近年,歯科大学における入学希望者の減少と
それに伴う歯科学生の学力低下が指摘されてきてお
り,この問題に対し,各教育機関では学生教育への
様々な試みが検討・実施されている。入学時に大き
な個人格差がある新入生の学力向上を目的として,
教養系教員を中心とした初年次教育のあり方の検討
もそのひとつである。
平成23年度入学の122期生においては,教養・基
礎・臨床の分野から4名の専任教員が主任・副主任
に指名され学生の指導に当たっているが,卒業まで
の6年間の勉強をはじめとする学生生活,進級試験
や歯科医師国家試験,さらには卒業後の進路などに
対して,多くの学生が漠然とした不安を持っている
ことを様々な機会に知らされ,学生から相談を受け
て対応している。このような現状から,特に新入学
生に対する「学生支援システム」の充実が緊急の課
題であると思われたことから,医科大学を含む他大
学における学生支援システムを比較し,東歯大型と
して提案することを目的に本研究を行った。
方法:学生の現状を把握するために,新入学生に対
して多肢選択および自由筆記のアンケートならびに
個人面接を行った。他大学における学生支援システ
ムの調査のためには,他大学の学生支援担当者の協
力を得て現状を把握するとともに,各大学で公開し
ている資料を集めて分析し検討した。
成績および考察:122期新入学生との個人面接やア
ンケートを行なった結果からは,入学直後における
学生の歯科医療の勉学に対するモチベーションは非
常に高く,自己肯定感も高い学生が多いものの,な
ぜ歯科医師になるのかという目的意識は個人差が大
きく,明確な目標を設定できていない学生が認めら
れた。このような問題に対して,新入学生の現状を
的確にとらえ,学生のニーズを把握し,目的意識や
学習意欲の低い学生に対して的確なアプローチを行
うような,教育カリキュラムとは別の独立した,
「学生支援システム」の充実が必要であると思われ
た。
そこで,現在,滋賀医科大学において行なわれて
いる「学生アドバイザー」すなわち,主に基礎系教
員から実際の医療,最先端の研究等について聞き,
寛いだ雰囲気の中で直接,自由に話し合うことに
よって,学生のモチベーションをあげることを目的
として成果を上げている取り組みを参照し,歯科大
学として,また移転を控えている特殊性等も考慮
し,臨床系教員も参加する東歯大型「学生アドバイ
ザー」を考案した。
№23:東京歯科大学千葉病院における救急症例の検討(2008年1月∼2010年12月)
岡本聡太,正村 綾,征矢 学,岸本敏幸,遠藤真唯,黒田英孝,川口 潤,武田慶子,
小鹿恭太郎,塩崎恵子,松浦信幸,松木由起子,間宮秀樹,櫻井 学,一戸達也
(東歯大・歯麻)
№24:東京歯科大学における初年次教育の重要性について −第1学年主任・副主任か
らみた現状と新入学生に対する「学生アドバイザー」の検討−
橋本貞充
1)
,茂木悦子
2)
,高際 睦
3)
,山 貴希
4)
,山本 仁
5)
,橋本正次
6)
(東歯大・生物学)
1)
(東歯大・矯正)
2)
(東歯大・数学)
3)
(東歯大・超微)
4)
(東歯大・歯科医学教育開発センター)
5)
(東歯大・法人類学)
6)
学 会 講 演 抄 録
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