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日記抄 (創立三十周年紀念)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

文 重

E

ただ一人友のたより打たえて淋しきま

L

に春逝かむとす

t u

とづれきけば白雲の湧き山づる山のとひしかりけり

むし暑き一日は暮れて山里のあちらとちらにひぐらしの鳴く

亡き友よ今はいづとに在するや君と語りし秋は来たるに

とほろぎの鳴く昔うれしき友ときくすぎ行く秋の夜半の一とき

秋風花木

k

の葉裳く散りそめてつめたく成りぬ夕暮の誼

何筑たく取りしタホルの冷たさにひとじ限装し初冬の朝

さら/\と雑木林に風立ちて多の短日くれて行伝り

故郷の冬聞につづく雑木山梢にみゆるあはきタ月

河 F U z

− −

E

山原に霧たちとめてこの朝け蛇錆の昔ふかくともらふ

春るさき種蒔くと我が堀る土ゆとろがり出でし多鑑り虫

-{; 菅のみが、設しく夜長の寂しさを諾ってゐ る 。

世 ﹁母﹂﹁お母さんよとの言葉は僕にとって 親み深︿感ぜられるのず口ある。子供が母 t g 呼ぶこの準を聞︿時は、僕はいつもやさし い慈愛に満ちた母の額を頭の中に息ひ起す のである。世の中には西洋文明の讃美者、所 謂新しが

P

宇が、品ゅのことを、子供に﹁ T 、 ﹂

k

呼ばせてゐるのを聞︿が、何となく 申告な、そして親しみが商い様な気がする。 や は P 日本人は日本人らし︿﹁お母さん﹂ ξ 咋んだ方が櫨曜かに親しみ深︿良質が ζ も って居ると息ふ、 世の中に母性の愛ほ P ﹄偉大なものはなく その思ほど品極めて深︿高いものはない.母 性 愛 在 一 X ふ も の は 人 間 ほ か も ” で な ︿ 、 . あ ら ゆる動物でさへ特に持ワて屠る共渇した貰 いものである。どんな高貨な人でも、賎し

(2)

いっとせを皐び終りてやすらけし春の日なたに開蒔かむ去す

照る波をまぶしみひと

L

ふたべりにまむかひ立てぽ一言ふとともたき

かたくなの吾をたぐさむるひとの瞳とふとかちあひて心しびれね

爆音をつLめる雲のすさまじき勤きを透きて影をみとめね

刻 K

と生活へ及ぶた

L

かひの飴波にそなへてつ

L

ましき何

︿りごとを言ひっ

L

のぼる坂道に雲のむらだち夕焼を見つ

生官の止みしタペの山頂にさやけく月の上りたるかも

救はる

L

と一五ふを信じて老若男女一堂に飽り祈れるをきく

所在たく部屋にともれば破瑠越しに木の葉落して雨の来る見ゆ

定まらぬ沿もひ−なるから夜あらしの雨戸をた

L

︿音に夢みつ

散りしきる百来紅に射す光の粗きが位に秋たらむとす

冷えびえと友の微笑が背に秘みる荻の花咲く細き野の道

木犀の脊にたっ露路に踏入りでたどならぬ巷の相をぞ見き

文 重 喜 欄 い身分の人でも。子を息ふ母親の愛には襲 りがない c 背から今までに子供の銭に犠牲 止なワた母は敏限りなく多い。伶人も多く は、母の偉大な献身的の愛に感化されたの であワて、近江聖一人とまでいはれた中江藤 樹先生宇孟子の母はとの好い例であらう。 一例の生物として生れ出てから、震の人 聞と成うて枇舎に出るまで、一合枇舎に出て から後までも何事に秋、 b ず殺を受け、世話 になるのは皆散である。その問母は子と官官 びを共にし、また如何なに悲しみ、脅しみ も共にして、絶えず子の側にあワて教訓と 惑愛の光を子の上に投げて、一生泥死ぬま で子の皆川に悉すのである。故に僕等は母の 恩と変とを一生忘れずに必ずこれに報いな ︿ではならない。

i

それは尋常六年の時であった。山闘の抗 ん中に育った僕は、それまで一度も海を見 t

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