• 検索結果がありません。

低級脂肪酸の環境大気分析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "低級脂肪酸の環境大気分析"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)21. 報  文 1難1閉圓1翻心1翻且闘1組. 低級脂肪酸の環境大気分析 Analyticai Technique of i11−odored Aliphatic Organic Acids.              in Atmosphere. 加藤 龍夫*・仲山 伸次**. Ta£suo KATOU and Shinji NAKAYAMA Synops量s   Aliphatic acids are i11−odQrous substances. But the analysis in environment was very difficult by reason of their adsorpting nature and low odor threshold concentration. The authors established aanalyzing technique of environmental aliphatic acid by a solid reactor tube, The me出od is as follows:sample is adsorpted through the strontium hydrQxide tube and is decomposed by the other acld as formic acid. Then, trapped whole sample is i且troduced to gas chromatograph which has chromosorb 101 column. According to this process, acetic acid, propionlc acid, butyric acid, valeric. acid and capronic acid were able to be analyzed to l PPb quantitatively. 王n this paper, the selections of analytica互condition were investigated and the examples of the field test were reported・. 1. はじめに.  試料ガスは水酸化ストロンチウムをコーティングし たガラスビーズに通気させ捕画する。これに酸性ガス.  悪臭成分としての低級脂肪酸の取扱いは,当初から. (ギ酸)を通して元の有機酸を分解再生し,液体酸素. 懸案事項の1つになっていたが,その主な理由は大気. で冷却したコックなしGC試料管に濃縮する。これを. 中低濃度の捕集導入方法の未解決と.そのために汚染. ガスクロマトグラフに導入,分析を行う。. の実態が知られていない事の2点にあった。これに対.  2,2採取方法  よく洗ったガラスビーズ(15∼28mesh)に水酸化. し,従来の単純なアルカリ溶液による捕集あるいはこ. れをアルカリロ紙に変える改良等が試みられたが,こ. ストロンチウムを1wt%コーティングする。これを. れらの方法では,捕集分のごく一部しかガスクロマト. 試料採取管(固体反応管,径1.5cm,長さ5cln)に. グラフに導入することができない。そのため,低濃度. 2Clnの高さに充漿する。試料採取前に蒸留水500μ旦. 試料に対しては採取量を躯端に多くしなければなら. をピペットでビーズ上に滴下する。この採取管中に試. ず,事実上環境分析は困難である。. 料ガスを通し脂肪酸ガスを捕集する。試料採取管の形.  本報告では,捕集分全部をガスクロマトグラフに導. 状を図1に示す。なお,吸引速度は10£/minを基準と. 入できることを前提として,方法を検討して来た。そ. した。. の1つの解答として,瞬体反応管法を脂肪酸の低濃度.  2.3 分解回収方法. 分析用に採用して好結果をえた。すなわち,捕捉試薬.  試料を捕証した採取管を分解装置に接続する。これ. として水酸化ストロンチウム,分解試薬としてギ酸を. を図2に示す。まず,GC試料管を接続しない状態で. 用いて,大気中ppbオーダの脂肪酸の分離,定量が. 採取管を150℃に加温し,不純物を除去した窒素ガス. 司’能になった。. 3豆を流して,ビーズを乾燥する。ついで図のように. 2.分析方法 2.1方法の原理 *盛センター環境基礎工学研究室 **日;本環境衛生センター. GC試料管を接続,180℃に加熱した気化室より20% ギ酸50μ£を注入する。再び窒素ガスを3£流し,試. 料をGC試料管に再濃縮する。濃縮したGC試料管 は,三方コックを介してガスクロマトグラフに接続,. 試料管を150℃に加熱して導入分新する。なお,コッ.

(2) 22. o. カラム:Chromosorb 101,90∼80raesh,2mx 3    mmφ,ガラスカラム カラム温度:50℃→230℃昇温,15℃/1nin. インジェクション,ディテクタ温度:250℃ キャリヤーガス:N2110m£/皿in, Air 90m毎min, 15.    H240m£/min. 串.   π   呂 ⊥.⊥. 3. 検討事項. ガラスビーズ ガラスフィルター.  3.1分解試薬の検討  分解試薬として,塩化水素ガスD, トリクロル酢 酸2}, シュウ酸,リン酸,ギ酸の5つについて検討を. 行った。これらの試薬は,すべて酢酸より解離定数が 大きく,かっ取り扱いやすいことにより検討の対象と 図1 試料採取管(固体反応管). した。塩化水素ガスの揚合,高濃度試料に対しての分 解置忘は良好であったが,低濃度試料に対してはブラ. 分解試薬用  マイクロシリンジ. ンクが無視できなくなり定量が困難であった。しか し,試料量平均5μg以上では精度よく定量すること が可能である。ただ,強酸であるため,カラムの劣. ヒータ. 化,ステンレス針の腐蝕等の問題が生ずる。トリクロ. ←N.. ル酢酸は,分解装置に用いているシリコン0リングが 試薬のため劣化を起こしてしまい,そのためであろう. か,この条件ではブランクが高く定量不可能であっ 締. た。シュウ酸,リン酸については,ブランクは少なか ヒータ. りイく. 聖. ったが,分解率が悪く適当でなかった。ギ酸について. は,分解回収率も良く,ブランクも少なかった。以上. ’1藷’. の点より,分解試薬としてギ酸を用いることとした。  3.2 カラムの検討.  分解試薬としてギ酸を用いるため,ギ酸と催の成分 コックなし. ボンブ.  GC試料管. ←. との分離のよいかラムを選択する必要がある。このた. め,FAL−M(POSE十PEG20M),PEG20M, ReoPlex 400, D E G S, Chromosorb 101の5つに. ついて比較検討した。FAL−Mはギ酸のリテンショ. z. ンタイムが酢酸の後になるため,酢酸のピークが消え 液体酸索. 酢酸が定量できなかった。プロピオン酸については,. 高濃度の場合は良いが,低濃度の場合野立のテーリン. 図2 分解装置. グのすそにかくれ,定:量が不可能になる。PEG20M の場合は,ギ酸と酢酸のリテンションタイムがほぼ重. クなしGC試料病中にはChromosorb WAWを充. なり不都合であった。Reoplex 400およびDEGSの. 圭眞した。. 場合は,通常の分離は良好であるが,本実験の場合,.  2.4試薬. ギ酸が他の成分に比べて過多であるため,酢酸のリテ.  ギ酸:特級 岩井化学薬品製. ンションタイムが移動し,ギ酸のピークに酢酸のピー.  水酸化ストロンチウム=特級 関東化学製. クが吸収されてピークが現われなくなってしまった。.  酢酸,プロピオン酸,酪酸,イソ酪酸,吉草酸,イ. Chromosorb 10!は以上のカラムに比べると,ギ酸と.   ソ吉草酸=特級 和光純薬製. 他の酸との分離が良く,ギ酸を加えることによる変動.  2.5分析条件. も少なかった。従って,本実験では,Chromosorb 101.  装置:日立6Q3型ガスクロマトグラフ. をカラムとして用いることにした。.  検出器:水素炎イオン化検出器(FID).  3.3試料管追い出し効率.

(3) 23.  コックなしGC試料管における脂肪酸の追い出し効.  3.5分解用品酸濃度およびビーズ充填層高さの. 率を求めた。この結果を表1に示す。なおここで用い.   影響. た各成分の標準試料盤はつぎの通りであり,以下の検.  分解用量酸濃度と充墳層高さを変えてそれぞれ分解. 討実験においては,溝じ標準試料を用いた。. 回収率を求めた結果を表3に示す。これから,充墳層.  高濃度用標準試料=酢酸31.5μg,プロピォン酸. の高さは,回収率に大きな影響を与えないことが示さ.   29。8μg,酪酸28.7μg,イソ酪酸28,5μg,吉草. れた。また,分解試薬としてのギ酸は,20%水溶液50.   酸 28.2μg, イソ吉草酸 27.8μg. μg用いることとした。なお,山上を薄めないで,同量.  低濃度胴標準試料:酪酸L89μg,プロピオン酸. に相当するギ酸10μgで分解回収を行ったところ,平.   U8μg,酢酸574ng,イソ酪酸570ng,吉草酸. 均75%と分解回収率の低下がみられた。.   564ng,イソ吉草酸556ng  3.4追い出し流量の検討.  3.6 分解回収率.  分解追い出しの際必要な窒素の流董を求めた。180. 準試料について,分解回収率を求めた。この結果を表.  前項の検討結果に基づいて,高濃度用,低濃度用標. ℃に加熱した気化室より前記高濃度用標準試料を入. 4に示す。. れ,1慮窒素を流し,ビーズに捕集させる。つぎに.  3.7 捕集条件の検討. 2.3と同様に,ギ酸を加え,採取管を150UCにあたた.  捕集における流速の影響とビーズ充填層の高さによ. め,窒素1£を流し,GC試料管に濃縮する。引き続. る影響を調べるために,条件を変えて,それぞれにお. いて辺,また1重と同様に濃縮し,それぞれについ. ける捕集効率を求めた。本実験に用いた装置を図3に. て回収率を求める。以上のようにして全体の回収率を. 示す。活性炭で不純物を除去しバッグにたくわえた空. 計算した結果を表2に示す。これから見て,追い出し. 気を通しながら,180℃に加熱した気化室よりマイク. に必要な流量は3£とした。. ロシリンジで試料を注入し,これを二丁する。その後. 表1 コックなしGC試料管の追い出し効率. 酸iカピオ・酸イ. 酢. 高濃度用標準試料. 101. 低濃度用標準試料. 88.1. (劣). 酸イソ吉草酸吉草酸. ソ酪酸  酪. 96.1. 91.0. 99.5. 92.8. 96.8. 93.1. 95,7. 98.5. 93.1. 91.9. 表2 追い出し流量による隣収率の変化. 追い出し流量:. 1旦. (%). 2£. 3旦. 100. プ ロ ピ オ ン 酸. 38. 64. 酪        酸. 36. 65. 10Q. 吉    草    酸. 34. 62. 100. 表3 ギ酸濃度,充土眞層高さによる回収率の変化 ギ酸の濃度(%). 33. (%). 33. 33. 20. 20. 11. 1.  2 112.  1 106.  2.  1. 充墳層高さ(cの…. 0.5. プ・ピオソ酸i 酪    三. 92.7 84.3. 97,3. 吉  草  酸. 94.0. 99.3. 99.3. 100. 表4  分  解 . 90.3. 95.0. 90.4. 107. 1亘1 収 . 111. 率. 65.9 93.6. 107. (弩). 酸 1プロピオソ酸1イ ソ酪酸  酪. 酸 イソ吉草酸吉草酸.   ヌ. 高濃度用標準試料!. 94。3. 90.3. 99。8. 低濃度用標準試料…. 80. 87.9. 90.5. 109. 75,1. 107. 82.7. 82.1. 108. 97.0. 91.2. 94.4. 97.7. 107 99.2.

(4) 24. マイクロン、)ンジ.    つぐ. @. ノくック.1. →3. ピー.一タ. 試料採取管. 図3 捕集実験装置 表5 流速,充墳;層高さによる捕集率の変化. ?嚢. プロピオン酸  89.7…94.3 93.6i 61.7.92。0 酉各         肖凌    77.8  90.4  89.9旨 60.9  85.9. 吉   義{〔  轟竣  83.3 99.6 93.3 79.7 92.9. 2.3と同様に分解回収操作を行い,注入最と比較して 捕三二を求めた。結果を表5に示す。なお充!眞簡の高. さは1cm,2cmについて,流速は5,!0,20釧min で行ない,3分間に相当する空気量を通した。この結. 果充墳潜の高さは,2cm(59)が適当であった。ま た,流速は,20砂minで良い結果が出ているが,通常 0. のポンプの性能を考えて実際のサンプリングの場合は. 5. 10. 15 而n. 図4 分解回収後のクロマトグラム. !0卯minで行うこととした。なお,ビーズに水を含ま せないで捕高率を求めたところ,プロピオン酸57%, 酪酸58%,吉草酸77%と捕集率の低下がみられた。. 生ずるブランクに大きく影響を受ける。図5(a)に低濃.  3.8  再現,1生. 度用標準試料を用いた時のの分解隊収量のクPマトグ.  本法における再現駐をみるために,3.6と同様の方. ラム,(b)にこの時のブランクのクロマトグラムを示. 法により,捕集回収実験をくり返し行い,測収率およ. す。(b)のクロマトグラム上において,各成分に相当す. びくり返し精度を求めた。結果を表6に示す。なお,. る堂は,酢酸323ng,プロピオン酸98ng,イソ酪酸. 試料は前記高濃度用標準試料を胴いた。分解回収後の. 10ng,1略酸60ng,イソ吉草酸40ng,=吉草酸65ngと. クロマトグラムを図4に示す。. 計;算される。このことから判断して,本法により正確.  3.9定量限界. に定量でき得る量は,酔酸,プロピオン酸が1μg以.  固体反慈管法における定量限界は,分析操作過程に. 一と,その他の成分は0.5μg以上であると考える。. 表6 捕集回収率および変動係数 酸  プロピオン酸  イソ酪酸  酪. 醇. 捕 集 疸i. 収 率   % ) 平. 1. [豆1. 2. 回. 3. 回. 4. 回. 5. 回 均(%). 変動係数(%). 103 106 91.5. 104 97.8 !00. …i. 98.0. 酸 イソ吉華酸 吉草酸 105. 85.3. 90.2. 98.7. 97.5. 90.2. 85,8. 76.2. 91.1. 95.9. 88。4. 85,3. 99,5. 99.6. 92,2. 89.0. 78.5. 89.1. 89.9. 96.g1. 89,4. 85.5. 96.9. 99.4. 6.0. 10.2.  8.2.  8.6. 108. 7・21. 95.7. 109. U2 90.6.

(5) 25. ㌶. 零1蒙華. 0       5       10       15  min 5. 0. 10. nlin  15.  図6 へい獣処理工場環気のクPマトグラム. 図5(a)分解回収後のクロマトグラム. 酪酸が顕著な検出成分であった。濃度は,酢酸25.7 ppb,プロピオン酸6.3ppb,イソ酪酸1.5ppb,酪酸 5.Oppb,イソ蓬髪酸1.4ppb,吉草酸0.8ppb,イソ. カブロン酸1.6ppb,カプロン酸1.1ppbが測定され た。なお,クロマトグラムを図6に示す。.  5. 考  察  塞実験で用いた低濃度朋標準試料は,恐気量100重と. して,酢酸7.5ppb,プロピオン酸3.8ppb,酪酸1.6. ppb,吉草酸1.3ppbに相当する。従って,1ppb以 上であれば本法により十分定堂できる。しかしなが ら,ガスクロマトグラフの感度としては,あと10倍余 裕がある。脂訪酸の閾値が//10ppbオーダーである ことから,ブランクを少なくし,1/10ppbまで定量す るため,カラム,分解装置等の検討を今後も続ける必 要がある。. 051G 15min.         文   献.  図5(b)ブランクのクロマトグラム.  4.実施例  本法を用いて,へい獣処理工場環境において分析を 実施した例を示す。その結果,醇酸,プロピオン酸,. 1)加藤龍夫:大気汚染のガスクロマトグラフ技術.  日召禾目50年, P3エ2, 2) 力匹酵き龍夫・「雫1野イ言彦: 日本イヒ学会第22[亘i年会発表.   (昭44年).

(6)

参照

関連したドキュメント

2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度

工場等に対するばい煙規制やディーゼル車排 出ガス規制等の実施により、多くの大気汚染物 質の濃度が低下傾向にあります。しかし、光化

生活環境別の身体的特徴である身長、体重、体

建屋環境整備 R/B南側線量低減 (更なる線量低減) R/B1階線量低減 PCV内⽔位低下 放射性物質の. 閉じ込め機能 気密性がやや⾼い

都市 の 構築 多様性 の 保全︶ 一 層 の 改善 資源循環型 ︵緑施策 ・ 生物 区 市 町 村 ・ 都 民 ・ 大気環境 ・水環境 の 3 R に よ る 自然環境保全 国内外 の 都市 と の 交流︑. N P

 千葉 春希 家賃分布の要因についての分析  冨田 祥吾 家賃分布の要因についての分析  村田 瑞希 家賃相場と生活環境の関係性  安部 俊貴

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 地点数.

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 地点数.