落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 種 特 性 に 基 づ い た
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更 新 機 構 の 解 明
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更 新 機 構 の 解 明
The mechanism of regeneration of
deciduous broad-leaved secondary woods based on species characteristics
2014
年
村
尾
未
奈
落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 種 特 性 に 基 づ い た 更 新 機 構 の 解 明
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落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 種 特 性 に 基 づ い た 更 新 機 構 の 解 明
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目
次
第 1 章 は じ め に 第 1 節 研 究 の 背 景 と 意 義 --- 1 第 2 節 研 究 の 組 み 立 て --- 2 第 3 節 こ れ ま で の 研 究 と 本 研 究 の 位 置 づ け --- 3 第 4 節 調 査 地 概 要 --- 8 第 5 節 本 論 文 中 で 用 い た 語 句 の 定 義 お よ び 説 明 --- 9 第 6 節 本 論 文 中 で 用 い た 樹 種 名 ---10 図 表 ---11 第 2 章 伐 採 直 後 の 更 新 個 体 の 成 長 と 生 残 第 1 節 研 究 目 的 ---13 第 2 節 調 査 方 法 ---13 1 . 調 査 地 概 要 2 . 調 査 方 法 3 . 解 析 方 法 第 3 節 結 果 ---19 1 . 皆 伐 跡 地 に 更 新 し た 林 分 の 構 造 2 . 樹 高 , 根 元 直 径 お よ び 材 積 (D2H) の 成 長 3 . 幹 の 5 年 間 の 生 残 4 . 器 官 重 量 配 分 の 種 間 差 5 . 高 木 種 の サ イ ズ と 器 官 重 量 配 分 様 式 の 関 係 第 4 節 考 察 ---24 1 . 構 成 種 の 器 官 重 量 配 分 比 の 種 間 差 2 . 器 官 重 量 配 分 様 式 と 更 新 個 体 の 成 長 3 . 器 官 重 量 配 分 様 式 と 幹 の 生 残 4 . 器 官 重 量 配 分 様 式 と 群 落 の 初 期 動 態 図 表 ---29 第 3 章 地 下 貯 蔵 物 質 の 動 態 と 萠 芽 再 生 第 1 節 研 究 目 的 ---46 第 2 節 調 査 方 法 ---47 1 . 調 査 地 概 要 2 . 調 査 方 法 3 . 解 析 方 法第 3 節 結 果 ---53 1 . 地 下 貯 蔵 物 質 の 季 節 変 化 と 伐 採 の 影 響 2 . 個 体 サ イ ズ に よ る 地 下 貯 蔵 物 質 の 変 化 3 . 萠 芽 枝 と 地 下 部 サ イ ズ お よ び 地 下 部 TNC濃 度 と の 関 係 第 4 節 考 察 ---55 1 . 地 下 貯 蔵 物 質 の 変 動 に お け る 種 間 差 2 . 個 体 サ イ ズ と 地 下 貯 蔵 物 質 量 3 . 萠 芽 枝 の 発 生 と 地 下 貯 蔵 物 質 図 表 ---60 第 4 章 攪 乱 か ら の 経 過 年 数 に と も な う 群 落 構 造 と 種 組 成 の 変 化 第 1 節 研 究 目 的 ---67 第 2 節 調 査 方 法 ---67 1 . 伐 採 経 過 年 の 異 な る 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 2 . 遷 移 の 進 行 し た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 ( 老 齢 二 次 林 ) 3 . 群 落 構 成 種 の 種 特 性 の 定 義 4 . 解 析 方 法 第 3 節 結 果 ---75 1 . 伐 採 か ら の 経 過 年 数 に よ る 種 特 性 の 変 化 2 . 各 林 齢 で の 主 要 な 優 占 樹 種 の 変 動 第 4 節 考 察 ---79 1 . 伐 採 攪 乱 か ら の 経 過 年 に と も な う 種 構 成 の 変 化 2 . 伐 採 直 後 の 林 分 に お け る 種 の 入 れ 替 わ り 図 表 ---83 第 5 章 壮 齢 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 に 設 け た 群 状 伐 採 地 内 の 更 新 状 況 第 1 節 研 究 目 的 ---87 第 2 節 調 査 方 法 ---88 1 . 調 査 地 概 要 2 . 調 査 方 法 3 . 解 析 方 法 第 3 節 結 果 ---93 1 . 伐 採 区 に 更 新 し た 稚 樹 群 の 林 分 構 造 - 伐 採 初 期 お よ び 17年 後 - 2 . 伐 採 区 内 の 更 新 木 の 個 体 の 由 来 と 個 体 サ イ ズ 3 . 伐 採 区 と 対 照 区 内 に お け る 更 新 木 の 種 多 様 性 第 4 節 考 察 ---94 1 . 伐 採 区 内 の 更 新 個 体 の 種 組 成 に 係 わ る 要 因 2 . 調 査 区 内 の 更 新 木 の 経 年 変 化 と 種 多 様 度 図 表 ---98
第 6 章 ま と め , お よ び 今 後 の 課 題 第 1 節 本 研 究 の ま と め ---107 第 2 節 利 用 伐 採 に よ り 成 立 し た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 更 新 ---108 第 3 節 本 研 究 で の 課 題 と 今 後 の 研 究 ---110 謝 辞 --- 112 参 考 文 献 --- 114 要 約 --- 130 Summary --- 136
1 第 1 章 第 1 章第 1 章 第 1 章 は じ め には じ め には じ め には じ め に 第 1 節 研 究 の 背 景 と 意 義 日 本 で は 古 来 よ り , 食 糧 や 生 活 ・ 建 築 資 材 , 寺 社 ・ 仏 閣 の 建 材 と し て 森 林 が 利 用 さ れ て き た ( 吉 川 ,2004: 佐 々 木 ・ 能 城 ,2004). 戦 国 時 代 以 降 に 社 会 が 安 定 し て く る と 人 口 は 急 激 に 増 加 し , 同 時 に 森 林 の 利 用 圧 は 高 ま り , 木 材 と し て の 利 用 だ け で な く 落 ち 葉 や 下 草 な ど を 含 む 過 度 の 収 奪 が 行 わ れ る よ う に な っ た . そ の 結 果 , こ れ ら の 土 地 は 痩 せ , さ ら に は 禿 山 が 増 え て い っ た ( 石 井 ,2001; 湯 本 ら ,2011). こ の よ う に 古 代 か ら 近 年 に 至 る ま で に , 日 本 の 森 林 の 多 く は 資 源 を 得 る た め に 利 用 し 尽 く さ れ , 人 為 攪 乱 を 受 け て い な い 森 林 は 国 内 に ほ と ん ど 存 在 し て い な い . 攪 乱 を 受 け た 森 林 の 多 く は , 治 山 緑 化 の 推 進 ( 塚 本 ,2006) や 戦 後 の 拡 大 造 林 等 に よ り ( 谷 本 ,2006), そ の 荒 廃 は 軽 減 し た . 一 方 , 人 里 に 近 い 里 山 で は , 人 間 の 影 響 が 色 濃 く 反 映 さ れ た 森 林 植 生 ( 小 椋 ,1992; 原 田 ら ,2011) の も と で , 生 活 資 材 や 薪 炭 等 の 森 林 資 源 が 継 続 的 に 利 用 さ れ た . こ の よ う な 里 山 の 多 く は , 樹 木 の 萠 芽 再 生 能 力 を 利 用 し ,20 ~30 年 程 度 の 短 い 伐 採 周 期 と 収 穫 が 繰 り 返 さ れ る こ と に よ っ て 成 立 し て い る . こ の 萠 芽 再 生 能 力 に つ い て は , 薪 炭 材 や シ イ タ ケ の ホ ダ 木 と し て の 利 用 価 値 が 高 い ク ヌ ギ や コ ナ ラ を 対 象 と し て , 研 究 が 盛 ん に 行 わ れ た ( 明 永 ,1927; 中 島 ,1931; 浅 川 ,1939; 佐 藤 ら , 1966; 柳 谷 ら ,1966; 大 久 保 ・ 青 砥 ,1991). し か し , 日 本 国 内 で は フ サ ザ ク ラ (Sakai & Sakai,1998) な ど 一 部 の 樹 種 を 除 き , 萠 芽 特 性 の 研 究 は ほ と ん ど な さ れ て い な い . ま た , 強 度 な 攪 乱 に よ っ て 更 新 し た 広 葉 樹 林 は , 萠 芽 更 新 以 外 に も 埋 土 種 子 や 草 本 類 , 低 木 類 が 一 斉 に 成 長 し , 様 々 な 種 か ら な る 高 密 度 の 林 分 と な る . そ こ で は , 光 や 養 分 を め ぐ る 激 し い競争の中で種の入れ替えを行いながら,林分が発達していく(Bormann & Likens,1979;Oliver,1981). し か し , こ の よ う な 二 次 遷 移 初 期 の 更 新 に お い て , 萠 芽 個 体 の 果 た す 役 割 は 必 ず し も 十 分 に は 明 ら か と な っ て い な い . そ こ で , 本 研 究 で は , 利 用 伐 採 に よ る 攪 乱 で 成 立 し た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 発 達 過 程 を ,
2 萠 芽 と い う 更 新 形 態 に 着 目 し , 萠 芽 個 体 の 初 期 成 長 過 程 や 更 新 群 落 の 発 達 段 階 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た . 第 2 節 研 究 の 組 み 立 て 本 論 文 で は , 主 に 茨 城 県 北 部 の 過 去 に 伐 採 攪 乱 を 受 け た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 を 調 査 地 と し て 研 究 を 組 み 立 て た . ・ 伐 採 直 後 の 更 新 個 体 の 成 長 と 生 残 ( 第 2 章 ) 伐 採 攪 乱 後 に 更 新 し た 木 本 種 に つ い て , 伐 採 後 1 年 目 か ら 6 年 目 ま で の 成 長 を モ ニ タ リ ン グ し た 結 果 , 伐 採 直 後 の 萠 芽 や 実 生 に は , 地 上 部 の 形 態 に 差 が 生 じ て い た . そ こ で , 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 主 要 15 種 の 萠 芽 と 実 生 の 地 上 部 の 器 官 乾 重 量 配 分 比 か ら 樹 種 の 類 型 化 を 試 み , タ イ プ の 違 い に よ る 成 長 ・ 生 残 の 過 程 を 検 証 し た . そ の 結 果 か ら , 器 官 乾 重 量 配 分 比 が 異 な る 種 間 で の 成 長 や 生 残 の 違 い を 調 べ , 林 分 構 造 へ 与 え る 影 響 を 明 ら か に す る . ・ 地 下 貯 蔵 物 質 の 動 態 と 萠 芽 再 生 ( 第 3 章 ) 第 2 章 で 明 ら か と な っ た 成 長 や 生 残 パ タ ー ン の 異 な る 2 樹 種 の 萠 芽 個 体 に つ い て , 地 下 貯 蔵 物 質 の 動 態 を 比 較 し た . 対 象 に は 器 官 乾 重 量 配 分 比 の 異 な る コ ナ ラ と カ ス ミ ザ ク ラ を 選 び , 地 下 貯 蔵 物 質 に お け る 個 体 サ イ ズ や 季 節 , 伐 採 に よ る 変 動 を 調 査 し た . そ れ ら の 結 果 か ら , 萠 芽 能 力 と 地 下 貯 蔵 物 質 と の 関 係 を 解 析 す る . ・ 攪 乱 か ら の 経 過 年 数 に と も な う 群 落 構 造 お よ び 種 組 成 の 変 化 ( 第 4 章 ) 第 2 章 で は , 初 期 更 新 群 落 で 優 占 種 群 の 入 れ 替 え が 生 じ る 傾 向 が 見 ら れ た こ と か ら , 伐 採 直 後 か ら 壮 齢 林 に 至 る ま で に 生 じ る 種 の 入 れ 替 え を 明 ら か に す る . 調 査 は 各 林 分 の 本 数 密 度 と 胸 高 断 面 積 合 計 か ら , 種 組 成 の 変 化 を 解 析 し た . 長 期 観 測 は 容 易 で な い た め , 本 研 究 で は 調 査 対 象 に 過 去 の 施 業 履 歴 が 明 ら か で , 立 地 環 境 が 類 似 し た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 を 選 ん だ . ・ 壮 齢 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 で の 更 新 状 況 ( 第 5 章 ) こ れ ま で の 調 査 対 象 林 分 は 伐 採 後 に 萠 芽 更 新 が 行 わ れ る こ と を 前 提 と し て お り , 壮 齢
3 化 し た 林 分 で は 伐 採 後 の 更 新 状 況 は ほ と ん ど 報 告 さ れ て い な い . そ こ で 壮 齢 林 の 伐 採 後 の 更 新 状 況 に つ い て 調 査 を 行 っ た . 壮 齢 林 で 行 っ た 17 年 前 の 群 状 伐 採 地 で , 群 状 伐 採 地 内 の 更 新 個 体 の 種 組 成 や 林 分 構 造 を , 伐 採 直 後 と 17年 後 と で そ の 変 化 を 調 べ た . ・ ま と め , お よ び 今 後 の 課 題 ( 第 6 章 ) 第 2 章 か ら 第 5 章 ま で の 結 果 に つ い て , 利 用 伐 採 に よ る 攪 乱 で 成 立 し た 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 更 新 を 総 括 し , 今 後 の 課 題 と 研 究 の 方 向 性 を ま と め た ( 第 6 章 ). 第 3 節 こ れ ま で の 研 究 と 本 研 究 の 位 置 づ け 1 . 攪 乱 と 萠 芽 能 力 広 葉 樹 二 次 林 が 攪 乱 で 更 新 す る と , 実 生 よ り も 萠 芽 が 遷 移 初 期 の 種 組 成 に 強 く 影 響 を 与 え る と い う 特 徴 が あ る (Oliver,1981; 嶋 ら ,1989; 渋 谷 ら ,1997). 多 く の 木 本 植 物 が 有 す る 萠 芽 能 力 は , 伐 採 や 気 象 害 な ど で 地 上 部 が 失 わ れ た 際 に , 地 下 部 が 速 や か に 地 上 部 を 回 復 す る こ と で , 生 残 に 有 利 に 作 用 す る こ と が 知 ら れ て い る ( 酒 井 ,1997;Bond and Midgley, 2001). そ の た め , 皆 伐 さ れ た 林 分 で , 萠 芽 枝 の 成 長 能 力 を 把 握 す る こ と は , 遷 移 初 期 の 種 組 成 の 決 定 要 因 を 理 解 す る 上 で 重 要 と な る . こ の 萠 芽 能 力 の 定 義 は 具 体 的 に は 示 さ れ て い な い . ま た , 萠 芽 の 発 生 位 置 に よ っ て も そ の 取 扱 い が 異 な る た め , 本 研 究 で は 伐 採 攪 乱 に よ る 地 上 部 の 損 傷 に よ り , 伐 り 口 付 近 か ら 発 生 す る 幹 萠 芽 と 地 際 付 近 か ら 発 生 す る 根 頸 萠 芽 ( 外 舘 ,1994) を 「 萠 芽 」 と 定 義 し , 用 い た . 萠 芽 能 力 は 主 に 萠 芽 の 発 生 要 因 に 依 存 す る と さ れ て お り , ひ と つ は 不 定 芽 や 定 芽 と い う 萠 芽 の 原 基 の 存 在 量 (Kauppi,1991), ひ と つ は 植 物 ホ ル モ ン で あ る オ ー キ シ ン と サ イ ト カ イ ニ ン の バ ラ ン ス に よ る 定 芽 か ら の 萠 芽 枝 の 発 生 促 進 (Wignall & Browning,1988), ひ と つ は 地 下 部 に 貯 蔵 さ れ た 炭 水 化 物 の 量 (Zimmermann & Brown,1971) で あ る .
ま た , 萠 芽 能 力 と 地 下 部 の 貯 蔵 炭 水 化 物 量 の 関 係 に は , 地 上 部 の 成 長 や 繁 殖 と の 間 に 同 化 物 質 の 分 配 に 関 わ る ト レ ー ド オ フ が あ る こ と が 知 ら れ て い る ( 酒 井 ,1997;Knox & Clarke, 2005;Schwilk & Ackerly, 2005;Clarke & Dorji, 2008). こ の ト レ ー ド オ フ の 関 係 は ,
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主 に 萠 芽 能 力 の 高 い 種 と 低 い 種 を 比 較 し た 報 告 が 多 い (Pate et al., 1990, 1991;Hansen et
al., 1991). 萠 芽 の 発 生 に 関 す る 研 究 は , 薪 炭 林 や 再 生 産 可 能 な バ イ オ マ ス 資 源 と し て の
需 要 に よ り 国 内 外 で 数 多 く 行 わ れ て い る が ( 舟 山 ,1952; 尾 方 ・ 藤 本 ,1984;Silveira & Cottignies,1994;Del Tredici, 2001;Giudici & Zingg A, 2005), 森 林 の 更 新 ・ 再 生 に 寄 与 す
る 萠 芽 の 役 割 に つ い て の 研 究 例 は 少 な い (Weigel & Peng, 2002; 井 藤 ら ,2008b). そ の た め , 本 研 究 は 伐 採 直 後 に 生 じ る 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 萠 芽 個 体 を 中 心 と し た 成 長 と 生 残 , ま た 代 表 す る 優 占 種 に つ い て , 地 下 部 の 貯 蔵 物 質 量 と 萠 芽 枝 と の 関 係 を 明 ら か に す る も の で あ る .
2 . 伐 採 に よ る 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 遷 移
伐 採 を 含 む , 攪 乱 に よ る 植 生 破 壊 か ら 始 ま る 二 次 遷 移 の 研 究 は , 主 に 北 米 の 研 究 者 に よ り い く つ か の モ デ ル が 明 示 さ れ て い る . ま ず ,Bormann & Likens(1979) は , 北 米 の 広 葉 樹 林 で 実 験 的 に 森 林 を 伐 採 し , 樹 木 だ け で は な く 養 分 循 環 や 物 質 生 産 を 含 め た 生 態 系 の 変 化 を 検 証 し て い る . 一 方 ,Oliver(1981) は , 北 米 を 中 心 と し て 様 々 な 攪 乱 を 受 け た 森 林 の 動 態 デ ー タ を 集 め , 気 象 害 な ど の 主 要 な 攪 乱 か ら 森 林 が 発 達 す る 過 程 を , 主 に 種 の 入 れ 替 わ り に よ り 示 し た . さ ら に ,Franklin & Hemstrom(1981),Franklin & Spies(1991) は 太 平 洋 岸 北 西 部 の 温 帯 針 葉 樹 林 で , 森 林 火 災 や 人 為 的 な 伐 採 と い っ た 様 々 な 攪 乱 の タ イ プ と , 異 な る 森 林 の 発 達 段 階 の 組 み 合 わ せ か ら , 二 次 遷 移 の パ タ ー ン を 示 し た . こ れ ら の 発 達 過 程 の 解 釈 は 研 究 者 に よ っ て 差 異 が あ る も の の , 当 然 な が ら 共 通 し て い る 部 分 も 多 い . こ れ ら の 研 究 者 に よ る 二 次 遷 移 の 考 え は ,Clements(1916,1936) が 提 唱 し た 天 然 林 や 極 相 に 至 っ た 林 分 で の 二 次 遷 移 の 概 念 と は 異 な り , 陽 性 樹 種 だ け で な く , 耐 陰 性 の 高 い 樹 種 も 攪 乱 当 初 か ら 侵 入 す る な ど , 攪 乱 の 種 類 や 規 模 , 頻 度 に 応 じ て , 種 組 成 や 構 造 が 変 化 す る こ と , ま た 種 の 新 規 加 入 が 連 続 的 で は な い こ と な ど を 示 し て い る . 日 本 国 内 で は , 常 緑 広 葉 樹 二 次 林 で の 台 風 に よ る 自 然 攪 乱 か ら の 再 生 過 程 を , 山 本 ら (1997) が 水 俣 JIBP( 国 際 生 物 学 事 業 計 画 日 本 委 員 会 ) 特 別 調 査 地 域 で モ ニ タ リ ン グ を
5 行 い , 林 冠 木 が 倒 れ た 後 に 耐 陰 性 の 高 い 樹 種 が 成 長 し , 種 の 入 れ 替 え が 生 じ た こ と を 示 し た . ま た , 同 地 域 の 暖 温 帯 林 の 39年 間 に お よ ぶ モ ニ タ リ ン グ 結 果 (Yamada et al.;2011) で は , 台 風 に よ る 攪 乱 が 種 多 様 性 に 強 い 影 響 を 与 え る こ と を 指 摘 し た . 一 方 , 肥 後 (1990) や 渋 谷 ら (1997) は , 北 海 道 の 台 風 の 激 害 を 受 け た 広 葉 樹 二 次 林 の 30~40 年 に 渡 る 回 復 過 程 で , 更 新 個 体 の 幹 数 動 態 に は 萠 芽 の 特 性 が 影 響 し て い る こ と を 明 ら か に し て い る . ま た , 急 傾 斜 で 河 川 の 多 い 日 本 の 森 林 で は , 頻 繁 な 増 水 や 土 石 流 に よ る 攪 乱 を 受 け , 独 自 の 生 態 系 を 維 持 し て い る 渓 畔 林 の 動 態 研 究 も 数 多 く 行 わ れ て い る ( 金 子 ,1995; 崎 尾 , 1995; 正 木 ,1997; 井 藤 ,2008a). こ の よ う に , 国 内 の 広 葉 樹 二 次 林 に お い て , 大 規 模 か つ 長 期 に 渡 る 調 査 に よ り 自 然 攪 乱 が 森 林 に 与 え る 影 響 が 解 明 さ れ つ つ あ る が , 里 山 の よ う に 人 為 攪 乱 を 受 け た 森 林 の 二 次 遷 移 に は 不 明 確 な 点 が 多 い . 広 葉 樹 二 次 林 に お け る 人 為 攪 乱 様 式 の 違 い が 種 組 成 の 違 い を 生 じ さ せ た 例 と し て , 紙 谷 (1987) は , 薪 炭 林 の 伐 採 周 期 の 違 い と , ブ ナ-ミ ズ ナ ラ 二 次 林 の 種 組 成 の 違 い を 明 ら か に し て い る . ま た ,Oosumi(2005) は , 東 北 の 北 上 山 地 に お い て , 過 去 の 土 地 利 用 履 歴 が , 現 在 の シ ラ カ ン バ と ウ ダ イ カ ン バ の 分 布 の 違 い に 関 係 す る こ と を , 過 去 の 攪 乱 の 頻 度 や 方 法 か ら 明 ら か に し て い る . 同 様 に , 後 藤 ら (2006) は 岡 山 県 の 理 水 試 験 地 で , コ ナ ラ を 主 と し た 広 葉 樹 二 次 林 が 松 枯 れ や 山 火 事 な ど の 攪 乱 に よ っ て 成 立 し た こ と を 明 ら か に し た . 西 上 (2004,2010) は , 伐 採 攪 乱 を 受 け た 森 林 の 成 長 予 測 と し て , 栃 木 県 の 複 数 の 広 葉 樹 二 次 林 の 林 分 構 造 を 解 析 し , 放 棄 さ れ た 広 葉 樹 二 次 林 の 管 理 を 前 提 と し た 成 長 予 測 モ デ ル の 提 案 を 行 っ て い る . こ れ ら の 研 究 の 多 く は , 現 在 成 立 し て い る 森 林 の 構 造 や 種 組 成 , 地 形 や 土 地 利 用 履 歴 な ど の 情 報 を 解 析 し , 更 新 過 程 を 類 推 し て い る も の で , 攪 乱 後 に 生 じ る 遷 移 の 推 移 は 直 接 観 察 し て い な い .
伐 採 な ど の 攪 乱 直 後 で は ,Bormann & Likens(1979) が 示 し た 「 生 物 の 現 存 量 が 増 加 す る 再 生 過 程 」 か つ ,Oliver(1981) の い う 「 新 た な 個 体 と 種 が 増 加 し 続 け る 林 分 初 期 段 階 」 と な り う る . こ の 段 階 は , 草 本 類 や 木 本 類 の 実 生 や 萠 芽 が 一 斉 更 新 し , 一 時 的 に 森 林 生 態 系 の 中 で も 多 様 性 の 大 き い 時 期 と な る (Spies & Franklin, 1991). こ の こ と か ら も 攪 乱 を 受
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け た 広 葉 樹 二 次 林 に お け る 二 次 遷 移 の 開 始 か ら 十 数 年 の 段 階 は , 更 新 林 分 の 種 組 成 を 決 定 す る 重 要 な 段 階 と 言 え る . こ の よ う な 点 に 着 目 し , 広 葉 樹 二 次 林 の 皆 伐 後 に お こ る 二 次 遷 移 に お い て , 初 期 発 達 段 階 に 限 定 し た 研 究 事 例 も 国 内 外 で 報 告 さ れ て い る ( 片 桐 ら , 1990; 小 見 山 ら ,1990;Götmark et al, 2005;Dolezal et al.,2009;Lévesque et al.,2011;,志
津 ら ,2012 な ど ). し か し , こ れ ら の 研 究 は い ず れ も 伐 採 直 後 の 1 ~ 3 年 , も し く は 伐 採 か ら 数 年 放 置 さ れ た 後 の 調 査 に と ど ま り , 数 年 間 の ま と ま っ た 調 査 期 間 を 経 て い な い . そ こ で , 本 研 究 で は 6 年 間 継 続 し た 観 察 を 行 う こ と で , 初 期 群 落 の 発 達 段 階 の 短 期 間 で の 変 化 を 詳 細 に 解 析 し た . 3 . 日 本 国 内 で の 薪 炭 林 施 業 研 究 本 研 究 で は , 萠 芽 更 新 を 前 提 し て 伐 採 さ れ た 林 分 を 主 な 研 究 対 象 と し て お り , 本 研 究 地 域 で は お お む ね 20~30 年 周 期 で 晩 秋 ~ 冬 に 地 際 で 伐 採 す る , と い う 方 式 を と っ て い る . こ の よ う な 方 法 が 確 立 し た 背 景 と し て , よ り 収 穫 率 を 向 上 さ せ る た め に 適 切 な 施 業 法 の 研 究 が す す め ら れ て き た こ と が あ る . 薪 炭 林 施 業 の 研 究 は , 田 中 (1895) が 栃 木 県 で ク ヌ ギ 林 を 対 象 と し た 簡 易 な 収 穫 表 を 作 成 し た の が 始 め と い わ れ る . そ の 後 , 明 永 (1927) が 宮 城 県 仙 台 市 の 林 業 試 験 場 の ク ヌ ギ 人 工 林 で , 伐 採 季 節 お よ び 伐 根 サ イ ズ と 発 生 す る 萠 芽 枝 と の 関 係 を 調 査 し た . 明 永 (1927) は , 樹 齢 20 年 生 の ク ヌ ギ を 4 つ の 季 節 に 分 け て 伐 採 す る と ,12 月 の 伐 採 で 萠 芽 発 生 量 が 最 大 と な り , 6 月 で は 株 が 枯 損 す る 恐 れ が あ る と 報 告 し た . ま た , 伐 根 直 径 と 萠 芽 枝 と の 関 係 に つ い て , 伐 根 直 径 の 大 小 が 萠 芽 本 数 に 与 え る 影 響 は 認 め ら れ な か っ た が , 伐 根 直 径 が 大 き い ほ ど 太 い 萠 芽 枝 が 発 生 し , そ れ は 萠 芽 枝 の 長 さ よ り も 著 し く 現 れ る と し た . こ の 研 究 以 降 , 地 域 や 樹 種 を 変 え , 伐 採 季 節 や 伐 根 の 大 き さ , 伐 根 高 さ と 萠 芽 枝 と の 関 係 に つ い て の 研 究 が 報 告 さ れ る よ う に な っ た . そ の ひ と つ に , 中 島 (1931) は 東 京 大 学 千 葉 演 習 林 の 林 齢 34 年 生 の 広 葉 樹 二 次 林 を 対 象 と し , 常 緑 が 6 割 , 落 葉 が 4 割 か ら 成 る
7 林 分 を 6 つ の 異 な る 季 節 で 伐 採 し た の ち , そ こ に 更 新 し た 萠 芽 個 体 の 成 長 を 記 録 し た . 中 島 (1931) は , 更 新 個 体 を ア カ ガ シ が 主 と な る カ シ 類 と そ の 他 の 樹 種 に 分 け , 明 永 (1931) よ り も 細 か く 伐 採 季 節 を 区 分 し て , 同 様 に 萠 芽 枝 の 成 長 を 観 察 し た . そ の 結 果 , 短 伐 期 の 更 新 を 目 的 と す る 場 合 は , 4 , 5 , 6 月 の 伐 採 は 中 止 す べ き で , そ れ 以 外 の 季 節 は 伐 採 が 可 能 で あ る が , 支 障 が な い 限 り 休 眠 期 を 最 良 と し て い る . ま た , 更 新 木 の 種 組 成 の 変 化 は , 伐 採 季 節 と は 直 接 的 な 関 係 性 が 見 ら れ な か っ た と し て い る . さ ら に 中 島 (1931) は , 寒 冷 地 域 で は 萠 芽 枝 へ の 霜 な ど の 害 を 防 ぐ た め に , 樹 液 流 動 の 開 始 前 後 に 伐 採 す る の が 安 全 と 述 べ て い る . こ れ ら の 既 報 を 踏 ま え , 浅 川 (1939) は 伐 採 適 期 の 違 い は そ の 地 域 の 気 候 環 境 に よ る も の と し , 夏 期 に 伐 採 を せ ざ る を 得 な い 場 合 も 念 頭 に 置 き , 毎 月 伐 採 を 行 い , 伐 採 時 期 と 萠 芽 発 生 の 許 容 限 界 を 調 べ た . こ の 調 査 は 山 梨 県 の 天 然 生 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 で 行 わ れ , 平 均 林 齢 28 年 の コ ナ ラ が 約 7 割 を 占 め る 林 分 で 行 わ れ た . そ の 結 果 , 伐 根 か ら の 萠 芽 発 生 率 , 萠 芽 成 長 と も に 3 月 伐 採 が 最 良 と な り , 反 対 に 萠 芽 発 生 率 で は 5 月 , 萠 芽 成 長 で は 6 月 が 最 低 の 数 値 と な り , 5 ~ 7 月 の 伐 採 は 中 止 す べ き と し た . こ の よ う に , 浅 川 (1939) は , 萠 芽 更 新 を 行 う 際 の 伐 採 時 期 は , 樹 種 や 地 域 の 違 い が あ る も の の , 成 長 休 止 期 で の 伐 採 が 一 番 萠 芽 更 新 に 良 好 で あ る と い う こ と を 詳 細 な 試 験 に よ り 示 し た . ま た , 台 伐 り 時 の 高 さ は , 柳 谷 ら (1966) の ク ヌ ギ で の 試 験 や , 大 久 保 ら (1991) の コ ナ ラ に よ る 試 験 で は , ど ち ら も 台 伐 り 高 が 2 ~ 5cm 程 度 と 低 い 方 が 萠 芽 の 成 長 が 良 好 と な る と い う 結 果 を 示 し て い た . こ の ほ か に は , 伐 採 後 に 施 肥 を 行 う 試 験 ( 佐 藤 ら ,1966) や , 萠 芽 林 内 で の 下 刈 り や 落 ち 葉 掻 き の 有 無 が 萠 芽 枝 の 成 長 に 影 響 を 及 ぼ す か ( 三 浦 ら , 1940) と い っ た 研 究 も 行 わ れ て い た が , い ず れ も 萠 芽 枝 に 与 え る 影 響 は 顕 著 で は な く , 多 く は 取 り 上 げ ら れ て い な い . 以 上 の よ う に , よ り 効 率 的 に 材 を 得 る た め の 研 究 が 重 ね ら れ た 結 果 , 本 研 究 地 域 で は 冒 頭 に 記 載 し た 20~30 年 周 期 で , 晩 秋 か ら 冬 に か け て 伐 採 す る 方 法 が 広 ま っ た と 考 え ら れ る . 一 方 , 薪 炭 林 利 用 の 拡 大 に と も な い , 短 期 間 で 繰 り 返 し 行 う 皆 伐 が 林 地 の 衰 退 や 有 用 樹 種 の 減 少 を ま ね く よ う に な り , 択 伐 の 研 究 も 対 象 と な っ た ( 小 向 井 ,1930; 山 田 ,
8 1937; 林 野 庁 ,1955). こ れ ら の 研 究 結 果 で は , 皆 伐 よ り も 択 伐 の 方 が 得 ら れ る 材 積 や 林 地 保 全 の 上 で メ リ ッ ト が あ る と い う 成 果 が 報 告 さ れ て い た が , 非 効 率 的 な 択 伐 方 式 が 利 用 さ れ る こ と は 少 な く , 薪 炭 林 施 業 に 関 す る 研 究 も 1960 年 代 頃 か ら 減 少 し て い っ た と さ れ て い る ( 柳 谷 ,1981). 第 4 節 調 査 地 概 要 本 章 で は 全 調 査 地 の 概 要 に つ い て , 気 象 条 件 等 の 共 通 す る 事 項 を 記 載 す る . 詳 細 な 調 査 区 の 設 定 等 に つ い て は 各 章 で 個 別 に 記 載 す る . ま た , こ こ で 説 明 す る 各 調 査 林 分 の 位 置 関 係 は 図-1.1に 記 載 す る . 1 . 茨 城 県 北 茨 城 市 お よ び 福 島 県 い わ き 市 の 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 本 研 究 で は 茨 城 県 北 茨 城 市 関 本 町 小 川 地 区 と , 福 島 県 い わ き 市 田 人 町 お よ び 旅 人 地 区 を 主 要 な 調 査 地 と し た . こ れ ら の 調 査 地 は い ず れ も ほ ぼ 半 径 5 ~ 6km 圏 内 に 配 置 さ れ て お り , 各 調 査 地 の 気 象 や 地 理 条 件 は 同 じ で あ る と み な し た ( 図 -1.1). 調 査 地 一 帯 は , 阿 武 隈 山 地 の 南 部 に 位 置 し , 冷 温 帯 に 属 す る . 基 岩 は 花 崗 岩 で 土 壌 型 は 適 潤 性 褐 色 森 林 土 で あ る . 福 島 県 い わ き 市 田 人 町 に 設 置 さ れ た 気 象 観 測 装 置 ( 標 高 約 700m) の デ ー タ か ら , 暖 か さ の 指 数(WI)は 80.5℃ ・ 月 で , こ の 値 は ブ ナ の 分 布 南 限 (WI = 82.3℃ ・ 月 ) に 近 い . 年 平 均 気 温 は 10.7℃ , 年 平 均 降 水 量 は1910 mmで , 冬 季 の 積 雪 は 多 い 年 で 約50cmに 達 す る (Mizoguchi et al., 2002). 調 査 地 周 辺 は 比 較 的 な だ ら か な 丘 陵 が 連 な っ て お り , 本 研 究 の 調 査 区 は い ず れ も 標 高 500m ~600m前 後 に 設 定 さ れ て い る . ま た , 本 研 究 の 調 査 対 象 林 分 は 全 て 国 有 林 で あ り , 過 去 に 一 度 以 上 の 伐 採 が 行 わ れ た 林 分 を 選 択 し た . 過 去 の 施 業 履 歴 の 確 認 方 法 は , 東 京 営 林 局 ( 現 ・ 関 東 森 林 管 理 局 ) が 所 蔵 し て い る 茨 城 地 域 施 業 計 画 区 第 3 次 経 営 計 画 (1935 年 樹 立 ) か ら , 茨 城 計 画 区 ・ 高 萩 事 業 区 第 5 次 経 営 計 画 (1989 年 樹 立 ) ま で の 森 林 調 査 簿 の 履 歴 を 調 べ て 行 っ た . そ の 結 果 , 調 査 対 象 の 林 分 は 過 去 に 1 度 以 上 の 伐 採 が 行 わ れ て お り , 現 代 か ら 1 代 前 も 落 葉 広 葉
9 樹 二 次 林 で あ る こ と を 確 認 し た . 調 査 対 象 に は 最 後 の 伐 採 か ら の 経 過 年 数 が 1 年 か ら 81 年 ま で の 複 数 の 林 分 を 選 ん だ . ま た , 過 去 に 攪 乱 を 受 け た 後 ,100 年 以 上 人 の 手 が 入 っ て い な い と さ れ る 小 川 群 落 保 護 林 を , 遷 移 が 進 行 し た 老 齢 二 次 林 の 一 例 と し て , 継 続 し た 攪 乱 停 止 後 の 林 分 構 造 や 種 組 成 の 参 考 と し た . こ れ ら の 林 分 に つ い て , 過 去 に お け る 保 育 作 業 の 有 無 は 確 認 で き て い な い が , い ず れ も 国 有 林 の た め 無 用 な 伐 採 は 制 限 さ れ て お り , 伐 採 周 辺 の 居 住 者 が 落 ち 葉 掻 き を 行 う こ と が あ っ て も , 萠 芽 整 理 な ど の 更 新 木 の 採 取 を 行 う こ と は な か っ た と さ れ て い る ( 茨 城 県 北 茨 城 市 在 住 , 山 形 一 氏 談 ). 第 5 節 本 論 文 中 で 用 い た 語 句 の 定 義 お よ び 説 明 本 論 文 中 で 多 用 し , 定 義 の 必 要 な 語 句 に つ い て 以 下 に ま と め た . ・ 薪 炭 林 薪 や 木 炭 の 原 木 な ど , 燃 料 材 を 供 給 す る 森 林 の こ と ( 出 典 ① ) ・ 二 次 林 極 相 林 ( 老 齢 林 , 自 然 林 , 原 生 林 ) に 至 る ま で の 遷 移 の 途 中 段 階 の 相 の 総 称 ( 出 典 ② ). ・ 壮 齢 林 林 木 の 成 長 が 盛 ん で , 林 分 の 現 存 量 が 最 大 値 を 示 し つ つ あ る 森 林 ( 出 典 ③ ). ・ 老 齢 林 ( 高 齢 林 ) 単 位 面 積 あ た り の 現 存 量 が 増 加 か ら 飽 和 状 態 と な っ た 森 林 ( 出 典 ⑤ ). 大 径 木 が 高 密 度 で 成 育 す る と 同 時 に , 小 径 木 か ら 大 径 木 ま で 幅 広 い サ イ ズ の 個 体 が み ら れ , 枯 死 木 や 倒 木 も 高 密 度 で 存 在 す る 森 林 . 地 域 や 植 物 相 に よ っ て 大 径 木 や 林 齢 の 定 義 は 異 な る ( 出 典 ⑥ ). ・ 林 齢 林 分 が 成 立 し て か ら 経 過 し た 年 齢 . 一 斉 に 更 新 し た ほ ぼ 同 齢 天 然 林 の 場 合 も , 更 新 が 完 了 し た 時 点 を 1 年 生 と 数 え る こ と に な っ て い る ( 出 典 ④ ). 萠 芽 更 新 の 場 合 は , 本 来 は 樹 齢 を 用 い る べ き で あ る が , 広 葉 樹 は 樹 幹 コ ア の 読 み 取 り が 容 易 で な い こ と も あ り , 本 研 究
10 で は 皆 伐 一 斉 更 新 を 前 提 と し て , 伐 採 時 を 0 年 , 翌 年 を 林 齢 1 年 と 定 義 し た . ・ 里 山 里 に 住 む 人 々 が 日 常 的 に あ ま り 遠 く な い 山 に 立 ち 入 り , 山 の 産 物 利 用 を 繰 り 返 す こ と に よ り , 里 に 住 む 人 々 の 生 活 に 役 立 つ 山 に 改 変 さ れ た も の を い う ( 出 典 ① ). ・ 更 新 群 集 や 個 体 群 の 世 代 交 代 を 意 味 す る 場 合 .「 天 然 更 新 」 は 伐 採 後 の 林 分 を 植 栽 す る こ と な く 世 代 交 代 さ せ る こ と を 指 し ,「 ギ ャ ッ プ 更 新 」 は ギ ャ ッ プ に 定 着 し た 稚 樹 が 成 長 し て 群 集 ・ 個 体 群 が 世 代 交 代 す る こ と で , 天 然 更 新 の ひ と つ で あ る ( 出 典 ⑥ ). 9 . 成 層 構 造 「 林 冠 層 > 亜 林 冠 層 > 下 層 > 低 木 層 > 草 本 層 」 な ど , 種 や 個 体 が 垂 直 方 向 に 不 連 続 な 層 を 形 成 す る パ タ ー ン の こ と ( 出 典 ⑥ ). ※ 出 典 ① 広 葉 樹 資 源 の 管 理 と 活 用 , 鳥 取 大 学 広 葉 樹 研 究 刊 行 会 編 , 海 星 社 ,2011 出 典 ② 森 林 生 態 学 持 続 可 能 な 管 理 の 基 礎 , 藤 森 隆 郎 , 全 国 林 業 改 良 普 及 協 会 ,2006 出 典 ③ 森 林 総 合 科 学 用 語 辞 典 , 関 岡 東 生 監 修 , 東 京 農 業 大 学 出 版 会 ,2012 出 典 ④ 森 林 ・ 林 業 百 科 事 典 , 日 本 林 業 技 術 協 会 ,2001 出 典 ⑤ 森 林 の 百 科 , 井 上 真 ほ か 編 集 , 朝 倉 書 店 ,2003 出 典 ⑥ 森 林 生 態 学 ( シ リ ー ズ 現 代 の 生 態 学 8 ) 日 本 生 態 学 会 編 , 共 立 出 版 ,2011 第 6 節 本 論 文 中 で 用 い た 樹 種 名 こ の 論 文 中 で 用 い た 樹 種 名 , 学 名 お よ び 図 中 で の 略 語 を 表 -1.1 に 示 す . 樹 種 名 は 本 文 中 で は 和 名 で , 図 表 中 で は 学 名 で 記 載 す る . 学 名 は Ohwi(1975) に し た が い , 種 小 名 ま で の 記 載 と し た . 掲 載 順 は 学 名 ア ル フ ァ ベ ッ ト 順 と す る . な お , 略 語 は 全 種 に つ い て 掲 載 し , 本 文 中 で 略 語 を 用 い な か っ た 種 に つ い て も 掲 載 し た .
11 茨 城 県 北 茨 城 市 お よ び 福 島 県 い わ き 市 の 詳 細 林 班 図 図 -1.1 調 査 地 位 置 図 白 地 図 に 記 載 し た 番 号 は 各 林 班 詳 細 図 に 対 応 す る 番 号 を 示 す . ① 白 地 図 ( 国 土 地 理 院 ) ② 八 溝 多 賀 森 林 計 画 区 第 2 次 国 有 林 野 施 業 実 施 計 画 図 ( 平 成2 0年 樹 立 ) ③ 磐 城 地 域 施 業 計 画 図 勿 来 事 業 図 第 4 次 計 画 図 ( 昭 和5 7年 樹 立 ) ④ 磐 城 森 林 計 画 区 第 1 次 国 有 林 野 施 業 実 施 計 画 図 ( 平 成2 0年 樹 立 )
④
④
④
④
②
②
②
②
③
③
③
③
①
①
①
①
福 島 県 い わ き 市 田 人 ③ 緯 度 : 3 6度5 9分1 1秒 経 度 : 1 4 0度3 5分5 2秒 福 島 県 い わ き 市 旅 人 ④ 緯 度 : 3 6度5 5分3 4秒 経 度 : 1 4 0度3 5分4 7秒 茨 城 県 北 茨 城 市 小 川 ② 緯 度 : 3 6度5 5分5 7秒 経 度 : 1 4 0度3 4分5 6秒 0 5 0 0 m 0 5 0 0 m 0 5 0 0 m12
表 -1.1 論 文 中 で 用 い た 樹 種 名 , 学 名 お よ び 図 中 で の 略 語
Japanese name Scientific name Abbre-viation Japanese name Scientific name Abbre-viation
モミ Abies firm a Af ネジ キ Lyonia ovalifolia Lo
コシ ア ブラ Acanthpanax sciadophylloides As ホオノキ Magnolia obovata Mo
オオモ ミ ジ Acer amoenum Aa オオウラジ ロノキ Malus tschonoskii Mt
チドリノキ Acer carpinifolium Ac ア ワブキ Meliosma myriantha Mm
ウリ カエ デ Acer crataegifolium Acr ヤマグワ Morus australis Ma
ヒトツバカエ デ Acer distylum Ads コクサギ Orixa japonica Orj
イタヤカエ デ Acer mono Am ア サダ Ostrya japonica Oj
メグスリノキ Acer nikoense An キハダ Phellodendron amurense Pa
テツカエ デ Acer nipponicum Anp ア セビ Pieris japonica Pij
ウリ ハダカエデ Acer rufinerve Ar ア カマツ Pinus densiflora Pd
コハウチワカエ デ Acer sieboldianum Asi カマツカ Pourthiaea villosa Pov
ヒナウチワカエ デ Acer tenuifolium At チョウジ ザクラ Prunus apetala Pa
ヤマハンノキ Alnus hirsuta Ah イヌザクラ Prunus buergeriana Pb
タラノキ Aralia elata Ae ウワミズ ザクラ Prunus grayana Pg
ヤマボウシ Benthamidia japonica Bj ヤマザクラ Prunus jam asakura Pj
ミズ メ Betula grossa Bg カスミ ザクラ Prunus verecunda Pv
シラカンバ Betula platyphylla Bp オオバア サガラ Pterostyrax hispida Ph
ムラサキシ キブ Callicarpa japonica Cj クヌギ Quercus acutissim a Qa
サワシ バ Carpinus cordata Cco ミ ズナラ Quercus crispula Qc
クマシ デ Carpinus japonica Cj ア ラカシ Quercus glauca Qg
アカシ デ Carpinus laxiflora Cl コナラ Quercus serrata Qs
イヌシ デ Carpinus tschonoskii Ct ヤマツツジ Rhododendron obtusum Ro
クリ Castanea crenata Cc バイカツツジ Rhododendron semibarbatum Rs
サワラ Chamaecyparis pisifera Cp ヌルデ Rhus javanica Rj
クサギ Clerodendrum trichotom um Clt ヤマウルシ Rhus trichocarpa Rt
リョウブ Clethra barbinervis Cb ノイバラ Rosa multiflora Rm
クマノミ ズキ Cornus macrophylla Cm バッ コヤナギ Salix caprea Sac
ハシ バミ Corylus heterophylla Ch ニワトコ Sam bucus racemosa Sr
ツノハシ バミ Corylus sieboldiana Cs ア ズ キナシ Sorbus alnifolia Sa
スギ Cryptom eria japonica Crj ウラジ ロノキ Sorbus japonica Soj
ヤマウコギ Eleutherococcus spinosus Es エ ゴ ノキ Styrax japonica Sj
ニシ キギ Euonymus alatus Ea ハクウンボク Styrax obassia So
ツリバナ Euonymus oxyphyllus Eo ミ ズキ Swida controversa Sc
マユミ Euonymus sieboldianus Eus サワフタギ Sym plocos chinensis Sc
タカノツメ Evodiopanax innovans Ei スノキ Vaccinium sm allii Vs
ブナ Fagus crenata Fc ガマズ ミ Viburnum dilatatum Vd
イヌブナ Fagus japonica Fj オオカメノキ Viburnum furcatum Vf
マルバア オダモ Fraxinus sieboldiana Fs オトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichum Vp
マンサク Ham amelis japonica Hj ヤブデマリ Viburnum plicatum Vpl
ノリウツギ Hydrangea paniculata Hp ミ ヤマガマズ ミ Viburnum wrightii Vw
アオハダ Ilex m acropoda Im ニシ キウツギ Weigela decora Wd
ハリ ギリ Kalopanax pictus Kp タニウツギ ※ Weigela hortensis Wh
ヤマハギ Lespedeza bicolor Lb サンシ ョウ Zanthoxylum piperitum Zp
ミヤマイボタ Ligstrum tschonoskii Lt ケヤキ Zelkova serrata Zs
ヤマウグイスカグラ Lonicera gracilipes Lg
13 第 2 章 第 2 章第 2 章 第 2 章 伐 採 直 後 の 更 新伐 採 直 後 の 更 新伐 採 直 後 の 更 新伐 採 直 後 の 更 新 個 体 の 成 長 と 生 残個 体 の 成 長 と 生 残個 体 の 成 長 と 生 残個 体 の 成 長 と 生 残 第 1 節 研 究 目 的 皆 伐 な ど の 強 度 攪 乱 の 直 後 で は , 実 生 や 萠 芽 に よ り 一 斉 に 更 新 が 開 始 す る . 地 上 部 器 官 は 上 方 へ の 空 間 確 保 の た め に , 幹 や 枝 の 成 長 を 先 行 さ せ る こ と , す な わ ち 支 持 器 官 ( 幹 + 枝 ) を 先 行 し て 発 達 さ せ る こ と で 種 間 競 争 に 有 利 に な ろ う と す る 戦 略 と , 光 合 成 産 物 を 多 く 獲 得 す る た め に 支 持 器 官 よ り も 葉 へ の 器 官 配 分 を 高 め る 戦 略 が 仮 説 と し て 考 え ら れ る . し た が っ て , 木 本 の シ ュ ー ト で の 物 質 配 分 の 関 係 と 同 じ よ う に ( 竹 中, 1996;Yagi, 2000), “ 萠 芽 枝 の 支 持 器 官 と 同 化 器 官 へ の 配 分 の 間 に ト レ ー ド オ フ の 関 係 が 生 じ る ” と 予 測 さ れ る . 同 化 物 質 の 器 官 重 配 分 に つ い て 樹 種 間 の 比 較 を 行 っ た 研 究 は , ク リ と ミ ズ ナ ラ (Imaji & Seiwa,2010), コ ナ ラ と ク リ ( 長 谷 川 ら ,2011) な ど が 知 ら れ て い る が , 実 生 を 対 象 と し て 行 わ れ る ケ ー ス が 多 い . こ れ ら は , 実 生 の 各 器 官 の 物 質 配 分 様 式 と , 成 長 過 程 や 林 分 構 造 を 比 較 し , 各 種 の す み わ け や 種 の 入 れ 替 え な ど を 論 じ て い る . こ の よ う な 種 間 の 違 い は 実 生 の 段 階 だ け で な く , 成 長 し た 稚 樹 や , 萠 芽 枝 に つ い て も 起 こ り う る と 考 え ら れ る が , こ れ ら を 調 査 対 象 と し た も の は わ ず か で あ る (Ito,1992; 菅 原 ら ,2005). ま た , い ず れ の 報 告 で も 対 象 種 数 は 10 種 以 下 で あ り , 複 数 の 種 間 の 関 係 を 取 り 扱 っ た 例 は な い . そ こ で , 本 章 で は 上 記 の 仮 説 を 検 証 す る た め に , 伐 採 履 歴 の あ る 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 の 皆 伐 直 後 の 群 落 で , 6 年 間 の 成 長 と 生 残 過 程 を 調 査 し た . そ の 結 果 か ら , 更 新 し た 個 体 の 地 上 部 器 官 の 乾 重 量 配 分 様 式 に 種 間 の 違 い が あ る か , ま た , そ れ ら の 種 間 差 が 群 落 の 構 造 ・ 動 態 と ど の よ う に 関 連 す る か を 解 析 す る . 第 2 節 調 査 方 法 1 . 調 査 地 概 要 調 査 は , 茨 城 県 北 茨 城 市 の 落 葉 広 葉 樹 二 次 林 で お こ な っ た . 調 査 林 分 (1012 林 班 か 小 班 ,4.39 ha) は1930 年 以 降 , 主 に 薪 炭 利 用 の た め に 複 数 回 の 伐 採 が 行 わ れ , 伐 採 か ら 23
14 年 経 過 し た 2006 年 の 秋 か ら 冬 に か け て 主 に シ イ タ ケ の ホ ダ 木 生 産 用 に 皆 伐 さ れ た . 翌 2007 年 8 月 , 調 査 林 分 内 に 等 高 線 に 対 し て 水 平 方 向 に 幅 5m, 長 さ 145m, 垂 直 方 向 に 幅 5m, 長 さ195mの ベ ル ト ト ラ ン セ ク ト を 設 け , そ れ ぞ れ の 内 部 に2m×1mの コ ド ラ ー ト を 5m お き に 設 置 し た ( 計 68 個 ). ま た , 実 生 セ ン サ ス を 行 う た め ,2m×1m の コ ド ラ ー ト の 中 に 1 m × 1 m の サ ブ コ ド ラ ー ト を 設 け た . 以 後 , 本 調 査 地 を 本 章 で は 「 皆 伐 林 分 」 と 呼 ぶ . ま た , 伐 採 前 の 胸 高 断 面 積 合 計 (BA) の 推 定 を す る た め に , 調 査 コ ド ラ ー ト 内 の 伐 り 株 の 長 径 と 短 径 か ら 根 元 直 径 を 求 め , 近 隣 の 約 22 年 生 の 二 次 林 で ラ ン ダ ム に 測 定 し た 根 元 周 囲 長 と 胸 高 周 囲 長 の 関 係 か ら (n=80), 伐 採 前 の 胸 高 直 径 を 推 定 し た . そ の 結 果 , 伐 採 前 の 推 定BAで の 優 占 種 は コ ナ ラ11.9m 2 ha-1, ク リ5.1 m 2 ha-1, ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ2.7 m 2 ha-1で あ っ た . コ ナ ラ と ク リ の 伐 採 前 BA を 合 計 す る と 全 体 の 約 6 割 と な り , 伐 採 前 は ブ ナ 科 を 主 と し た 二 次 林 だ と 推 測 で き る ( 図 -2.1). 2 . 調 査 方 法 ( 1 ) 皆 伐 林 分 の 更 新 , 成 長 過 程 設 置 し た コ ド ラ ー ト 内 で ,2007 年 か ら 2012 年 ま で 毎 年 , 成 長 が 休 止 に 入 る 9 月 か ら 10 月 に 樹 高30cm以 上 の 木 本 種 ( ツ ツ ジ 科 な ど 明 瞭 な 主 幹 を も た な い 低 木 種 と ツ ル 性 の 樹 種 を 除 く ) を 対 象 に 根 元 直 径 を 測 定 し , そ の 生 残 を 確 認 し た .2009 年 ,2010 年 ,2012 年 に は 樹 高 を 計 測 し た . ま た , 次 項 で 述 べ る サ ン プ リ ン グ 個 体 の 根 元 直 径-樹 高 の 相 対 成 長 関 係 か ら 2007 年 と 2008 年 の 樹 高 を ,2012 年 に 計 測 し た 根 元 直 径-樹 高 の 相 対 成 長 関 係 か ら 2011 年 の 樹 高 を 推 定 し た . な お , 幹 折 れ な ど に よ り 30cm 以 下 と な っ た 個 体 も , 継 続 し て 観 測 を 行 っ た . 観 測 個 体 は , 2 本 以 上 の 複 幹 個 体 は 萠 芽 個 体 , 単 幹 個 体 は 実 生 と し て 区 別 を 行 っ た . 以 後 , 萠 芽 株 の 一 部 を 表 す 場 合 は 「 幹 」, 単 幹 お よ び 萠 芽 株 全 体 を 表 す 場 合 は 「 個 体 」 と 記 載 す る . ま た , 更 新 で の 実 生 の 貢 献 度 を 調 べ る た め に , 伐 採 か ら 2 年 後 の 2008 年 の 4 月 ~ 9 月 に , サ ブ コ ド ラ ー ト 内 の ツ ル 性 を 除 く 木 本 性 実 生 に 目 印 を つ け ,
15 樹 種 お よ び そ の 消 長 と 植 生 高 を 測 定 し た . 既 に 伐 採 か ら 2 年 経 過 し て い る た め , 当 年 生 実 生 に 加 え , 樹 高 30cm以 下 の 実 生 と み な せ る 個 体 も 対 象 と し た . ( 2 ) 稚 幼 樹 の 器 官 乾 重 量 分 配 2008 年 9月 中 ~ 下 旬 と 2009年 9 月 中 ~ 下 旬 の 2 回 に 分 け て , ベ ル ト ト ラ ン セ ク ト 外 で 萠 芽 枝 を サ ン プ リ ン グ し た . 対 象 は 正 常 に 成 長 し て い る 個 体 と し , 大 個 体 ( 最 大 で 樹 高 約 3m) か ら 小 個 体 ( 最 小 で 樹 高 約 0.3m) ま で 含 ま れ る よ う に 各 樹 種 か ら 5~6 本 の 幹 を 発 生 基 部 で 伐 採 し , 樹 高 と 根 元 直 径 ( 根 元 か ら 20cm 上 の 位 置 で , 垂 直 2 方 向 の 値 の 平 均 ) を 測 定 し た . 供 試 個 体 は 器 官 別 ( 枝 と 幹 お よ び 葉 ) に 分 け , 実 験 室 に 持 ち 帰 り 絶 乾 さ せ た 後 (70℃ ,3 日 間 ), 電 子 天 秤 ( ひ ょ う 量 0.001g ま で ) で 重 量 を 測 定 し た . 対 象 種 は 本 調 査 地 お よ び 周 辺 に 見 ら れ る ツ ル 性 を 除 く 木 本 種 と し , ア カ シ デ , ク リ , ノ リ ウ ツ ギ , ヤ マ グ ワ , ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ , ヤ マ ザ ク ラ , カ ス ミ ザ ク ラ,ク ヌ ギ , コ ナ ラ , ヌ ル デ , ヤ マ ウ ル シ , エ ゴ ノ キ , サ ワ フ タ ギ , ガ マ ズ ミ の 10 属 14 種 と し た ( 学 名 ア ル フ ァ ベ ッ ト 順 ). さ ら に , 萠 芽 で は な く 実 生 由 来 で 伐 採 地 に 多 く 出 現 す る タ ラ ノ キ に つ い て も , 同 様 の サ ン プ リ ン グ を 行 い , 全 11属 15種 を 対 象 と し た . 3 . 解 析 方 法
以 下 の 解 析 に は い ず れ も R 2.15.2 (R development core team,2012) お よ び WinBUGS ver.1.4.3を 使 用 し た . ( 1 ) 実 生 の 死 亡 率 皆 伐 後 に 定 着 し た 実 生 個 体 が 更 新 で き る 可 能 性 を 確 認 す る た め に ,2008 年 に 行 っ た 実 生 セ ン サ ス の 結 果 か ら , 実 生 の 発 生 数 が 増 加 し は じ め た 5 月 の 個 体 数 を 基 準 と し て , 同 年 9 月 ま で の 実 生 の 死 亡 率 m を 求 め た . 対 象 樹 種 は 5 月 の 時 点 で 個 体 数 が 10 個 体 以 上 と な っ た 種 の み 行 っ た . 死 亡 率 を 求 め る 計 算 式 は 以 下 の と お り で あ る . = log × 100 -(2.1)
16 こ こ で , あ る 期 間 の 始 め の 生 残 本 数 を , あ る 期 間 t で 生 き 残 っ た 本 数 を と し ,log は 自 然 対 数 と す る . こ こ で の 期 間 は 調 査 期 間 で あ る 4 か 月 と し た . ( 2 ) 実 生 個 体 と 萠 芽 個 体 の 個 体 サ イ ズ 伐 採 に よ っ て 更 新 し た 群 落 で , 実 生 由 来 と 萠 芽 由 来 の ど ち ら が 貢 献 す る か を 調 べ る た め に , 個 体 の 由 来 別 に 個 体 サ イ ズ ( 樹 高 お よ び 根 元 直 径 ) の 比 較 を 行 っ た . 個 体 サ イ ズ は , 2008 年 ,2010 年 ,2012 年 の デ ー タ を 選 び , 実 生 個 体 と 萠 芽 個 体 に つ い て , 各 個 体 数 お よ び , 個 体 サ イ ズ の 平 均 値 と 標 準 偏 差 お よ び 最 小 値 と 最 大 値 を 求 め た . ま た ,Wilcoxon の 順 位 和 検 定 を 用 い て , 実 生 個 体 と 萠 芽 個 体 間 の 平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 っ た . 有 意 水 準 は 5 % と し た . ( 3 ) 樹 高 , 根 元 直 径 お よ び 材 積 (D 2 H) の 成 長 更 新 個 体 の 成 長 に , 種 ご と の 成 長 パ タ ー ン が あ る か を 確 認 す る た め , 観 察 期 間 中 の 生 残 個 体 に つ い て , 期 首 サ イ ズ と 成 長 増 加 率 の 種 間 差 を 解 析 し た . 樹 高 (
H
) が 伐 採 後 の 年 数u
に と も な っ て 指 数 関 数 的 に 増 加 す る 傾 向 が み ら れ た こ と か ら , 6 年 間 生 存 し て い た 個 体 に つ い て , 関 数 の パ ラ メ ー タ が 種 に よ っ て 異 な る と い う 2.2 式 に よ る モ デ ル を 仮 定 し た .u
H
=
α
+
β
×
log
-(2.2) こ こ で ,α
は 0α
+α
iにβ
は 0β
+β
iに そ れ ぞ れ 分 解 , 0α
お よ び 0β
は 全 種 に 共 通 す る 平 均 的 な パ ラ メ ー タ を 示 し , iβ
お よ び iβ
は そ れ か ら の 種i
の 偏 差 を 表 す .α
とβ
は 全 種 に 共 通 す る 平 均 的 な パ ラ メ ー タ 0α
お よ び 0β
, お よ び そ れ ら か ら の 種i
の 偏 差 を 表 す iα
お よ び iβ
に 分 解 , 下 記 の 方 法 に よ り 種 間 差 を 解 析 し た . あ わ せ て , 根 元 直 径 D お よ び 材 積 の 指 標 と し て の D 2 H の 成 長 に つ い て も 同 様 の モ デ ル で 解 析 を お こ な っ た . パ ラ メ ー タ の 推 定 に は 階 層 ベ イ ズ 法 を 用 い , 0α
と 0β
の 無 情 報 事 前 分 布 は 平 均 値 0, 分 散 1000 の 正 規 分 布 と し , iα
と iβ
の 事 前 分 布 は 平 均 値 0, 分 散 2 aσ
お よ び 2 bσ
の 正 規 分 布17 と し た . こ こ で 2 a
σ
と 2 bσ
は 超 パ ラ メ ー タ で あ り , そ れ ぞ れ の 逆 数 が 非 負 の 無 情 報 事 前 分 布 ( 形 状 母 数 0.001, 尺 度 母 数 1,000 の ガ ン マ 分 布 ) に 従 う も の と し た . マ ル コ フ 連 鎖 モ ン テ カ ル ロ 法 (MCMC) の 初 期 値 に は , ラ ン ダ ム に 発 生 さ せ た 3 セ ッ ト を 供 し た . 3 つ の 連 鎖 の 収 束 状 況 を み な が ら 試 行 を お こ な っ た 結 果 か ら ,MCMC の 繰 り 返 し 数 は 120000 ス テ ッ プ と し , 最 初 の 20000 ス テ ッ プ は 切 り 捨 て , 残 り の 100000 ス テ ッ プ か ら 事 後 分 布 を 推 定 し た (Gelman-Rubin の 収 束 診 断 は 1.03 未 満 だ っ た ). そ し て , 得 ら れ た 事 後 分 布 か ら 各 パ ラ メ ー タ の 中 央 値 お よ び 95%信 用 区 間 を 求 め た . 式 (2.1) で 推 定 さ れ た 各 種 固 有 の パ ラ メ ー タ iα
の95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば そ の 種 は 期 首 樹 高 ( あ る い は 直 径 , 材 積 ) が 平 均 的 な パ ラ メ ー タ 0α
を 持 つ 種 よ り も 大 き く , 負 の 値 で あ れ ば 小 さ い 傾 向 が あ る と 解 釈 で き る . ま た パ ラ メ ー タ iβ
の95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば 樹 高 ( あ る い は 直 径 , 材 積 ) の 年 増 加 率 が 平 均 的 な パ ラ メ ー タ 0β
よ り も 大 き い こ と を , 負 の 値 で あ れ ば 小 さ い こ と を 示 す . iα
α
0+
は 種i
の 期 首 の サ イ ズ を 指 標 し , iβ
β
0+
は 種i
の サ イ ズ の 増 加 率 に 該 当 す る . パ ラ メ ー タ iα
α
0+
と パ ラ メ ー タ iβ
β
0+
と の 間 の 関 係 を 調 べ る た め にPearsonの 積 率 相 関 係 数 を 求 め た . ま た , 途 中 死 亡 も 含 め た 全 個 体 に 対 し ,3年 間 の 樹 高 成 長 (H) , 根 元 直 径 成 長 (D) お よ び 材 積 (D 2 H) に つ い て 各 測 定 年 の 平 均 値 にJonckheere検 定 を 行 い , 年 成 長 の 増 減 傾 向 を 調 べ た . Pearson の 積 率 相 関 係 数 の 検 定 お よ びJonckheere 検 定 の い ず れ に お い て も , 有 意 水 準 は5%と し た . ( 4 ) 幹 の 生 残 率 主 な 個 体 の 枯 死 要 因 に は , 萠 芽 個 体 の 同 株 内 の 競 争 や , 伸 長 成 長 が 遅 く 他 の 個 体 に 被 圧 さ れ る こ と が 挙 げ ら れ る . そ の た め 枯 死 要 因 に は 期 首 樹 高 と 株 内 本 数 が 関 係 す る と 考 え ら れ る . そ こ で , 萠 芽 個 体 に 生 残 の パ タ ー ン が あ る か を 確 認 す る た め に , 生 残 率 に 関 与 す る と 考 え ら れ る 萠 芽 株 内 の 幹 数 と 期 首 樹 高 に つ い て , 生 残 率 と の 関 係 を 調 べ た . 解 析 方 法 は ,2007 年 か ら2012年 に か け て の 幹 の 生 残 率 (S
と す る ) をlogit変 換 し た 値 は , 同 じ 株 内 の 幹 数 stemn
( 個 体 内 で の 競 争 効 果 を 指 標 ) と 期 首 樹 高H
( 光 を め ぐ る 競 争 効 果 を 指18 標 ) の 線 形 関 数 で あ る と い う モ デ ル を 仮 定 し ,2.3式 お よ び 2.4式 に よ り パ ラ メ ー タ の 種 間 差 を 推 定 し た . = log × 100 -(2.3)
H
z
z
n
y
y
x
x
S
)
i(
i)
stem(
i)
logit(
=
0+
+
0+
+
0+
-(2.4) 生 残 率 を 求 め る 式 (2.3) で は , あ る 期 間 の 始 め の 生 残 本 数 を , あ る 期 間 t 年 で 枯 死 し た 本 数 を と し ,log は 自 然 対 数 と す る . 式 (2.4) で は , 個 体 サ イ ズ の 成 長 解 析 と 同 様 に , 各 パ ラ メ ー タ は 全 種 に 共 通 す る パ ラ メ ー タ 0 0 0,
y
,
z
x
お よ び そ れ ら か ら の 種i
の 偏 差 を 表 す i i iy
z
x
,
,
に 分 解 し て 推 定 し た . ix
x
0+
は 種i
の 幹 数 0, 樹 高 0 と 仮 定 し た 時 の 生 残 率 に 該 当 し , そ の 種 の 伐 採 後 に 萠 芽 し た 瞬 間 の 萠 芽 枝 の 生 残 率 ( 「 初 期 生 残 率 」 と 定 義 ) を 指 標 す る . パ ラ メ ー タ iy
は 95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば そ の 種 は 幹 本 数 が 増 加 す る と 生 残 率 が 平 均 よ り も 高 く な り , 負 の 値 で あ れ ば 平 均 よ り も 低 く な る 傾 向 が あ る と 解 釈 で き る . ま た パ ラ メ ー タz
iの 95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば 期 首 樹 高 が 大 き く な る と 生 残 率 が 平 均 よ り も 高 く な り , 負 の 値 で あ れ ば 平 均 よ り も 低 く な る 傾 向 が あ る こ と を 示 す . な お , 同 株 内 幹 本 数 や 樹 高 を 対 数 変 換 し て 説 明 変 数 に 用 い る モ デ ル も 試 行 し た が ,DIC(Deviance Information Criterion) で 評 価 さ れ る モ デ ル の 当 て は ま り が 低 下 し た た め , 最 終 的 に 式(2.4)を 用 い る こ と と し た . ま た , パ ラ メ ー タ ix
x
0+
と , iy
y
0+
お よ び iz
z
0+
と の 間 の 関 係 を 調 べ る た め に Pearsonの 積 率 相 関 係 数 を 求 め た . ( 5 ) 器 官 乾 重 量 配 分 比 パ ラ メ ー タ の 推 定 地 上 部 の 器 官 乾 重 量 配 分 に , 地 上 部 の 成 長 と 関 連 し た 種 間 差 が 生 じ る か を 調 べ る た め に , 萠 芽 枝 の 器 官 乾 重 量 を 計 量 す る こ と で , 支 持 器 官 ( 枝 + 幹 ) と 同 化 器 官 ( 葉 ) と の 配 分 比 の 解 析 を 行 っ た . 基 本 的 な モ デ ル と し て , 地 上 部 の 器 官 重 量 の 総 和 を V と し ,V が p : 1-p で 同 化 器 官 (葉 :L)と 支 持 器 官(幹 + 枝 :W)に 配 分 さ れ , 同 化 器 官 へ の 配 分 比 p が 種 に よ っ て 異 な っ て い る と 仮 定 し た . 配 分 比 pの 推 定 値 を 種 間 で 比 較 す る こ と で , 物 質 配 分 様 式 の 検 討 を お こ な う が , こ の 値 は 個 体 サ イ ズ と と も に 変 化 す る 可 能 性 が あ る の で , 本 研 究 で は 配 分 比 pを19 logit 変 換 し た 値 が logV の 線 形 関 数 で あ る と 仮 定 し た . 数 式 と し て は 以 下 の よ う に 表 現 さ れ る .
)
1
(
p
V
B
=
×
−
-(2.5)p
V
L
=
×
-(2.6))
log
(log
)
logit(
p
=
a
+
b
×
V
−
V
-(2.7) こ こ で ,a
は 0a
+a
iにb
は 0b
+b
iに そ れ ぞ れ 分 解 さ れ ,a
0お よ びb
0は 全 種 に 共 通 す る 平 均 的 な パ ラ メ ー タ を 示 し , ia
お よ び ib
は そ れ か ら の 種 の 偏 差 を 表 す . ま た ,WinBUGS の 計 算 上 の 特 性 を 考 慮 し て , 式(2.7)で はlog
V
か ら 標 本 平 均 値 のlog
V
を 引 い た 値 を 用 い る こ と と し た . パ ラ メ ー タ は 樹 高 , 根 元 直 径 お よ び 材 積 の 成 長 と 同 様 に , 階 層 ベ イ ズ 法 で 推 定 し た . 推 定 さ れ た 各 種 固 有 の パ ラ メ ー タ ia
の 95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば そ の 種 は 同 化 器 官 で あ る 葉 へ 相 対 的 に 多 く 配 分 し , 負 の 値 で あ れ ば 支 持 器 官 へ 相 対 的 に 多 く 配 分 す る 傾 向 が あ る と 解 釈 で き る . ま た , パ ラ メ ー タ ib
の 95%信 用 区 間 が 正 の 値 で あ れ ば 個 体 サ イ ズ が 大 き い ほ ど 同 化 器 官 へ の 配 分 比 が 増 加 し , 負 の 値 で あ れ ば 個 体 サ イ ズ が 大 き い ほ ど 支 持 器 官 へ の 配 分 が 増 加 す る 傾 向 に あ る と 解 釈 で き る . 第 3 節 結 果 1 . 皆 伐 跡 地 に 更 新 し た 林 分 の 構 造 調 査 コ ド ラ ー ト 内 の 本 数 密 度 は 伐 採 か ら 2 年 後 に は 最 大 値 に 達 し ( 約 72,000 本/ha), そ れ 以 降 は 連 年 減 少 し た ( 表 -2.1). 実 生 セ ン サ ス の 結 果 ( 表 -2.2) で は , 当 年 生 実 生 で 樹 種 の 判 別 が で き な か っ た も の を 除 い て , 木 本 種 で は 25 種 が 確 認 で き た . そ の う ち , 10 個 体 以 上 出 現 し た 樹 種 は 全 部 で 10 種 で あ っ た . 亜 高 木 で は 先 駆 種 で あ る タ ラ ノ キ や ヌ ル デ が , 高 木 種 で は ス ギ が 多 く , 落 葉 樹 で は ア カ シ デ , エ ゴ ノ キ , ミ ズ キ が 確 認 で き た . 死 亡 率 は タ ラ ノ キ が 15.5% と 一 番 高 く , そ れ 以 外 の 種 は お お む ね 2 ~ 3 % 程 度 と な っ た . 平 均 植 生 高 は ノ リ ウ ツ ギ が 60cm 台 と な っ た が , そ れ 以 外 の 種 は 15cm~30cm 前 後 で あ っ た .i
20 伐 採 か ら 6 年 目 と な る ,2012 年 の 種 組 成 と 個 体 群 構 造 を 表 -2.3 に 示 す . 調 査 区 内 に は 39 種 が 出 現 し , 平 均 樹 高 は 276.5cm, 平 均 根 元 直 径 は 2.24cm と な り , 最 大 個 体 で は ク リ で 樹 高 740.0cm, 根 元 直 径 11.75cm に 達 し た ( 出 現 幹 数 が 少 な い た め 表 -2.3 で は 高 木 の 「 そ の 他 」 に 分 類 ). 個 体 数 は 萠 芽 株 が 約 3 割 で 残 り は 実 生 で あ っ た が , 幹 本 数 の 割 合 で は 萠 芽 が 全 体 の 約 6 割 を 占 め た . 生 活 型 別 で は , 高 木 種 と 低 木 種 で は 約 3 割 , 亜 高 木 種 で は 約 2 割 弱 が 萠 芽 個 体 で あ っ た . 実 生 と 萠 芽 個 体 間 で 個 体 サ イ ズ の 比 較 を 行 っ た 結 果 ( 表 -2.4), そ れ ぞ れ に 樹 高 の 最 小 値 が 幹 折 れ な ど に よ り 30cm 以 下 と な る 個 体 が あ っ た . 各 最 大 値 は 萠 芽 個 体 の 方 が 全 て の 年 で 実 生 個 体 よ り も 大 き な 値 と な っ た .2008 年 で は 実 生 個 体 と 萠 芽 個 体 間 の 個 体 サ イ ズ に 有 意 差 は 検 出 さ れ な か っ た が ,2010 年 お よ び 2012 年 に は 萠 芽 個 体 が 樹 高 , 根 元 直 径 と も に 有 意 に 大 き な 値 と な っ た (Wilcoxon の 順 位 和 検 定 , 根 元 直 径 [2010 年 ]p=6.5e-04,[2012年 ]p=4.1e-05, 樹 高 [2010 年 ]p=7.6e-04,[2012 年 ] p=1.9e-05). 実 生 も 萠 芽 個 体 も 含 め て , 根 元 直 径 と 樹 高 お よ び 材 積 の 平 均 値 は , 調 査 期 間 中 に い ず れ も 年 を 追 う ご と に 増 加 傾 向 を 示 し た (Jonckheere検 定 , い ず れ もp=2.2e-16). 2 . 樹 高 , 根 元 直 径 お よ び 材 積 (D 2 H) の 成 長 皆 伐 後 に 更 新 し た 個 体 は い ず れ も 旺 盛 な 成 長 を し て い た が , 表 -2.3に 示 し た よ う に , 種 に よ っ て 成 長 に 差 が 生 じ て い た . 例 と し て , 高 木 種 で は ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ や カ ス ミ ザ ク ラ の 最 大 樹 高 が 7 m を 超 え る 一 方 , コ ナ ラ の そ れ は 6 m 弱 程 度 で あ っ た . ま た , 同 様 に 根 元 直 径 も , 種 に よ っ て 3cmか ら 7cm程 度 と い う 成 長 の 差 が み ら れ た . こ の よ う な 傾 向 は 亜 高 木 種 や 低 木 種 で も 同 様 で あ っ た . こ れ ら の 差 が 生 じ る 要 因 と し て , 期 首 サ イ ズ や 種 に よ る 成 長 率 の 違 い が 関 係 す る と 考 え ら れ る . そ こ で , そ れ ら を 明 ら か に す る た め に 次 の 解 析 を 行 っ た . 期 首 個 体 サ イ ズ の 種 間 差 を 指 標 す る パ ラ メ ー タ i
α
の 比 較 か ら , 期 首 樹 高 ( 表 -2.5, 図 -2.2A) で は , ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ , エ ゴ ノ キ , ク リ , ヤ マ ザ ク ラ が 平 均 よ り 有 意 に 大 き く , ガ マ ズ ミ , サ ワ フ タ ギ , ヌ ル デ , ヤ マ ウ ル シ , ヤ マ グ ワ が 有 意 に 小 さ い こ と が 示 さ れ た .21 期 首 根 元 直 径 ( 表 -2.6, 図 -2.2B) で は , ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ , ク ヌ ギ , ク リ , タ ラ ノ キ が 有 意 に 大 き く , ガ マ ズ ミ は 有 意 に 小 さ か っ た . 材 積 ( 表 -2.7, 図 -2.2C) で は , 期 首 材 積 に 樹 種 間 の 有 意 な 差 は 検 出 さ れ な か っ た . 個 体 サ イ ズ の 年 増 加 率 を 指 標 す る パ ラ メ ー タ i