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丹沢山麓におけるシカ・サルに対する広域獣害防止柵の効果

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丹沢山麓におけるシカ・サルに対する

広域獣害防止柵の効果

2015 年

大岩 幸太

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ii 序 論 ... 1 第 1 章 丹 沢山麓 にお ける獣 害被 害実態 と住 民の意 識 ... 4 1. 緒言 ... 4 2. 調査地 概要 ... 5 3. 方法 ... 11 4. 結果 ... 12 5. 考察 ... 43 小 括 ... 48 第 2 章 野 生動物 の出 現場所 ... 50 1. 緒言 ... 50 2. 調査地 およ び方 法 ... 50 3. 結果 ... 57 4. 考察 ... 80 5. 小括 ... 82 第 3 章 広域 柵に おけ るニホ ンジ カの侵 入防 止効果 ... 84 1. 緒言 ... 84 2. 調査地 ... 84 3. 方法 ... 86 4. 結果 ... 88 5. 考察 ... 96 6. 小括 ... 100 第 4 章 広域 獣害 防護 柵にお ける ニホン ザル の侵入 防止 効果 ... 101 1. 緒言 ... 101 2. 調査地 ... 102 3. 方法 ... 103

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iii 4. 結果 ... 104 5. 考察 ... 112 6. 小括 ... 113 第 5 章 ニ ホンザ ルの 人馴れ 現象 と逃走 距離 ... 115 1. 緒言 ... 115 2. 調査地 ... 116 3. 方法 ... 118 4. 結果 ... 120 5. 考察 ... 125 6. 小括 ... 126 第 6 章 総 合考察 ... 128 謝 辞 ... 129 引 用 文 献 ... 130 要 旨 ... 136 Summary ... 142

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1 序 論

近 年 ニ ホ ン ジ カ(Cervus nippon 以下、シ カ )やニホ ンザ ル(Macaca fuscata

以 下 、 サ ル )、 ニ ホ ン イ ノ シ シ (Sus scrofa 以 下、 イノ シシ ) な どの 野生 動 物に よ る 農 林 業 被 害 や 生 活 被 害 が 増 加 し て お り 、 そ れ ら 獣 害 へ の 対 応 の 在 り 方 が 問 題 視 さ れ て い る ( 木 佐 貫, 2005)。 環 境 省 は イ ノ シ シ や シ カ 等 、 特 定 の 鳥 獣 や 外 来 生 物 の 生 息 数 増 加 や 生 息 域 の 拡 大 に よ り 生 態 系 や 農 林 水 産 業 へ の 被 害 が 深 刻 化 し て い る こ と を 踏 ま え 、 野 生 鳥 獣 と の 軋 轢 の 解 消 と 野 生 鳥 獣 の 個 体 群 保 護 を 目 的 と し て 1999 年 に「 鳥獣保 護及 狩 猟 ニ 関 ス ル 法 律 」 を 改 正 し 、 特 定 鳥 獣 保 護 管 理 計 画 制 度 を 創 設 し た 。 こ の 特 定 鳥 獣 保 護 管 理 計 画 制 度 に し た が っ て 、46 都 道府 県で 131 計画 が作 成さ れて い る(環 境 省, 2014)。また、今 後の獣 害対 策の取 り組 み方と して、農林 水産 省は鳥 獣被 害 防 止 特 別 措 置 法( 以 下 、特 措 法 )を 制 定 し 、市 町 村 に よ る 被 害 防 除 計 画 の 作 成 し 、 被 害 防 止 の 取 り 組 み を 積 極 的 に 推 進 す る こ と が 規 定 さ れ た ( 農 林 水 産 省, 2012)。 被 害 防 止 計 画 を 定 め た 市 町 村 で は 、 被 害 防 止 の た め の 鳥 獣 の 捕 獲 許 可 の 権 限 が 都 道 府 県 か ら 市 町 村 に 委 譲 さ れ た 。農 林 水 産 省(2008)は集 落ぐる み で鳥獣 被害 対 策 実 施 隊 の 設 置 等 の 実 施 を 推 奨 し て お り 、 特 措 法 で は 財 政 支 援 の 点 で 特 別 交 付 税 の 拡 充 補 助 事 業 に よ る 支 援 な ど の 措 置 が 講 じ ら れ た 。 市 町 村 で は 鳥 獣 対 策 実 施 隊 を 設 置 し 、 そ の 隊 員 は 狩 猟 税 の 軽 減 措 置 等 が 図 ら れ た 。 鳥 獣 被 害 に か か る 予 算 措 置 と し て 2008 年予 算 は 28 億円で あっ たが、鳥獣被 害の 拡大と 地域 から の 要望 に よ り 2011 年 には 113 億円に 増額 された 。鳥 獣被害 防止 総合対 策交 付金と して 95 億 円 を 計 上 し 、 捕 獲 、 侵 入 防 止 、 環 境 整 備 を 組 み 合 わ せ た 総 合 対 策 を 行 う と し て い る ( 農 林 水 産 省, 2012)。 神 奈 川 県 の 丹 沢 山 麓 で も シ カ や サ ル 、イ ノ シ シ 、外 来 種 な ど の 被 害 が 見 ら れ る 。 全 国 的 に は シ カ に よ る 被 害 が 最 も 大 き く 、 イ ノ シ シ が そ れ に 次 ぐ 。 し か し 神 奈 川 県 で は シ カ 害 に 次 い で サ ル 害 が 深 刻 で あ る 。 ま た 、 県 内 産 業 と し て 農 林 業 の 占 め

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2 る 比 率 が 低 く 、 都 市 住 民 が 多 い と い う 特 徴 も あ る 。 農 業 被 害 や 生 活 被 害 が 深 刻 化 し て い る 現 状 を ふ ま え 、2003 年 3 月か ら、「 神奈川 県ニ ホンジ カ保 護管理 計画 」 と 「 神 奈 川 県 ニ ホ ン ザ ル 保 護 管 理 計 画 」 を 策 定 し 、 シ カ の 農 林 業 被 害 の 軽 減 を 図 る た め 、2002 年か ら 2004 年 にかけ て清 川 村等に おい て広域 獣害 防止柵 (以 下、 シ カ 用 広 域 柵 )が 総 延 長 83 km 設置さ れて い る。ま た、鳥 獣被 害防 止特別 措置 法 の 制 度 を 利 用 し 、 厚 木 市 、 愛 川 町 で は シ カ だ け で な く サ ル に も 対 応 し た 広 域 獣 害 防 護 柵( 以 下 、サ ル・シ カ 兼 用 広 域 柵 )が 現 在 総 延 長 30 km 設置 さ れてい る(厚 木 市, 2013; 愛 川町 , 2014)。 その他 、各 市 町村で の有 害獣捕 獲や 集落単 位で の 追 い 払 い や 個 人 柵 設 置 の 支 援 等 の 対 策 が 行 わ れ て き て い る が 、 依 然 と し て 被 害 額 は 減 少 し て い な い 。 広 域 柵 は シ カ 、 イ ノ シ シ 、 サ ル な ど に よ る 獣 害 対 策 の 一 つ と し て 各 地 で 設 置 さ れ て い る ( 山 梨 県, 2007; 兵 庫県 , 2010)。 獣害防 止柵 の防除 効果 にかか る研 究 は 、 電 気 柵 に よ る イ ノ シ シ や サ ル に よ る 農 業 被 害 抑 制 ( 本 田, 2005; 藤 田ほか , 2009) や シ カ 侵 入 防 止 柵 の 開 発 ( 新 井 , 2008) な ど 多 く な さ れ て い る 。 し か し 、 こ れ ま で の 研 究 は 農 家 が 農 地 周 辺 に 設 置 す る 柵 を 主 要 な 対 象 と し て き た 。 行 政 が 設 置 す る 広 域 柵 に つ い て 、神 奈 川 県 環 境 農 政 部 緑 政 課(2007)のア ンケー トで は 、 シ カ 用 広 域 柵 の 設 置 箇 所 で 被 害 が 減 少 し 農 地 へ 侵 入 す る シ カ の 減 少 が 見 ら れ た 一 方 で 、柵 の 未 設 置 地 域 や 開 口 部 で の 被 害 は 増 加 し た と 報 告 さ れ て い る 。永 田(2009) は 広 域 柵 の 維 持 管 理 問 題 を 研 究 し て い る が 、 広 域 柵 の 侵 入 防 止 効 果 に つ い て は ほ と ん ど 研 究 さ れ て い な い 。 広 域 柵 は 、 設 置 に お け る 土 地 の 問 題 や 維 持 管 理 な ど 地 域 住 民 の 協 力 を 得 な い と 効 果 を 発 揮 し な い 。 田 畑 が 野 生 動 物 に よ り 食 害 さ れ る こ と は 、 金 銭 的 被 害 や 精 神 的 苦 痛 を 与 え る だ け で は な い( 江 成, 2010)。獣害 の発 生は、住 民の野 生動 物観に 影響 を与え 、農村 地 域 の 住 民 と 都 市 地 域 の 住 民 と で は 、 野 生 動 物 の 存 在 に 対 す る 考 え が 異 な る こ と が 報 告 さ れ て い る( 宮 川 ほ か, 1993)。これ ま での研 究で は 、被 害を 受けて いる 農

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3 家 の 意 識 調 査 ( 神 崎 ほ か, 2003) やニホ ンザ ル被害 に対 する集 落住 民の対 策意 識 ( 中 村 ほ か, 2007)調 査など 、 あ る動物 種を 特定し た 被 害に対 する 意識調 査は 行 わ れ て い る 。 ま た 非 農 業 従 事 者 に お い て も 獣 害 対 策 に 関 心 は あ る も の の 、 自 ら 協 力 し て 解 決 す る こ と が 少 な い こ と が 報 告 さ れ て い る ( 木 下 ほ か, 2007; 木 下 , 2009)。現在 まで 行わ れてき た対 策の 多 くは 農業者 を対 象 とし てき たもの であ り、 地 域 や 行 政 対 策 を 見 た も の は 少 な い 。 そ こ で 本 研 究 に お い て 、第 1 章で は神 奈川県 におけ る獣 害被害 実態 と行政 や住 民 に よ る 取 り 組 み を 概 括 し 、 同 時 に 住 民 の 獣 害 に 対 す る 意 識 と 行 政 と 住 民 が 求 め る 要 望 を 調 査 し た 。第 2 章では地 域を 実際 に 踏査し て被 害場所 の特 徴や獣 道の 構 造 を 調 べ た 。第 3 章で は広域 柵の 開口部 がシ カの侵 入防 止にど のよ うな影 響を 与 え て い る か 検 討 し た 。第 4 章では 広域柵 のサ ル侵入 防止 効果を 検討 した。第 5 章 で は、サ ル に つ い て は 人 馴 れ も 大 き な 加 害 要 因 で あ る こ と か ら、サ ル の 人 馴 れ と 獣 害 と の 関 わ り を 調 べ た 。第 6 章で はこ れら の結果 から 獣害対 策の 方向を 示し た。

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4 第 1 章 丹 沢 山 麓 に お け る 獣 害 被 害 実 態 と 住 民 の 意 識 1. 緒 言 丹 沢 山 麓 に お け る 被 害 実 態 鳥 獣 に よ る 全 国 の 農 作 物 被 害 金 額 は 2013 年 度で 119 億円 であ り、 その内 訳は 8 割が獣類 、2 割 が鳥 類によ るも ので あ る( 農林水 産省 , 2014)。 そのう ち シ カが 76 億円、イノ シシが 55 億円を占 める(農 林 水産省 , 2014)。我 が国 の 489 兆円の 経 規 模 ( 国 際 通 貨 基 金 , 2014) か ら み る と 、 被 害 額 自 体 は そ れ ほ ど 大 き な も の で は な い が 獣 害 対 策 に は 全 国 で 膨 大 な 努 力 が 払 わ れ て い る 。 に も か か わ ら ず 、 獣 害 が こ れ ほ ど 大 き な 問 題 と な っ て い る の は 、 獣 害 に よ る 影 響 が 農 作 物 被 害 額 だ け で は 判 断 で き な い こ と に あ る 。 本 章 で は 丹 沢 山 麓 の 近 代 に お け る 獣 害 の 歴 史 か ら 本 研 究 の 調 査 地 概 要 お よ び 現 在 の 神 奈 川 県 と 丹 沢 山 麓 地 域 に 属 す る 各 市 町 村 の 獣 害 被 害 実 態 を と り ま と め る と と も に 、 行 政 や 住 民 に よ る 取 り 組 み を 概 括 し 、 住 民 の 獣 害 に 対 す る 意 識 を 調 査 し た 。 厚 木 市 に お け る 野 生 動 物 に 対 す る 住 民 意 識 獣 害 対 策 に は 駆 除 や 防 除 な ど の 物 理 的 手 法 だ け で な く 、 住 民 へ の 啓 発 活 動 も 不 可 欠 で あ る 。 後 者 に つ い て は 農 協 に よ る 農 業 者 へ の 講 習 会 、 行 政 に よ る 自 治 会 を 対 象 に し た 講 習 会 や 啓 発 冊 子 配 布 な ど 、 さ ま ざ ま な 方 策 が 用 い ら れ て い る が 、 そ れ ら を 効 果 的 に 行 う た め に は 、 住 民 の 獣 害 へ の 意 識 を 理 解 し て お く こ と が 必 要 で あ る 。 ま た 、 近 年 は 地 域 の 非 農 業 者 を も 巻 き 込 ん だ 地 域 ぐ る み の 対 策 の 重 要 性 が 重 視 さ れ る よ う に な っ て お り 、 農 林 水 産 省 は 地 域 集 落 単 位 で の 対 策 実 施 を 推 奨 し て い る( 農 林 水 産 省, 2007)。し かし同 一地 域 内でも 住民 間では 獣害 に対す る意 識 や 考 え 方 も 異 な り 、 有 効 な 対 策 も 地 域 ご と に 異 な る ( 橋 本, 2011)。 こ れ ま で に 行 わ れ た 獣 害 に 対 す る 地 域 住 民 の 意 識 調 査 か ら は 、 次 の よ う な こ と が 知 ら れ て い る 。 例 え ば 、 農 業 者 と 非 農 業 者 を 比 較 す る と 、 後 者 は 獣 害 に 自 ら 協

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5 力 し て 解 決 す る 考 え が 少 な く ( 木 下 ほ か, 2007; 2008)、 獣害 対策 に 対する 満足 度 や 協 力 度 は 、農 業 収 入 へ の 依 存 程 度 に よ っ て 異 な る( 山 本 ほ か, 2004)。また 、中 型 哺 乳 類 ・ 狩 猟 ・ 農 作 物 被 害 に 関 す る 意 識 は 都 市 化 の レ ベ ル に よ っ て 変 わ る ( 宮 川 ほ か, 1993)。獣 害は 農業意 欲に 大きな 影響 を及ぼ す(神 崎ほ か , 2003)と とも に 野 生 動 物 の 生 息 域 近 く に 住 む 住 民 と 離 れ て 住 む 住 民 の 間 で は 、 対 策 へ の 関 心 や 理 解 が 異 な る 。 こ れ ま で の 普 及 啓 発 な ど の 対 策 は 、 県 レ ベ ル ま た は 各 市 町 村 レ ベ ル の 地 域 全 体 に 向 け た も の で あ り 、 集 落 ご と に 対 応 を 変 え る な ど の き め 細 か い 対 応 は 不 足 し て い る 。 ま た 先 行 研 究 に つ い て も 小 規 模 な 集 落 内 だ け で 実 施 さ れ た り 、 遠 く 距 離 が 離 れ て 各 種 条 件 の 異 な る 農 村 部 と 都 市 部 を 比 較 す る よ う な 手 法 が 中 心 で あ っ た 。 す な わ ち 隣 接 す る 被 害 地 域 と 非 被 害 地 域 の 住 民 意 識 を 比 較 し た 研 究 は 少 な い 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 丹 沢 山 系 に 位 置 す る 神 奈 川 県 厚 木 市 お い て 、 獣 害 被 害 の 深 刻 な 中 山 間 地 域 と そ れ に 隣 接 す る 平 地 農 業 地 域 を 対 象 と し た 。 野 生 動 物 に 関 す る 住 民 意 識 を 農 業 者 、 非 農 業 者 を 含 め て ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 い 、 住 民 の 動 物 へ の 感 情 を 調 べ る と と も に 、 現 在 行 わ れ て い る 獣 害 対 策 が 、 ど の く ら い 住 民 の 希 望 に 沿 っ て い る か 調 べ た 。 2. 調 査 地 概 要 神 奈 川 県 は 都 市 部 に も 近 く 、 東 京 都 に 隣 接 す る と 同 時 に 東 丹 沢 山 麓 地 域 を 背 負 う 状 況 で 市 街 地 と 農 耕 地 が 広 が っ て い る 。調 査 対 象 地 域 は 、獣 害 の 被 害 が 大 き く 、 神 奈 川 県 や 国 の 特 別 措 置 法 に お い て 各 市 町 村 が 広 域 柵 等 の 対 策 を 行 っ て い る 厚 木 市 、愛 川 町 、清 川 村 、伊 勢 原 市 、秦 野 市 、松 田 町 の 6 市町 村を選 定し た(図 1-1)。 ま た 調 査 対 象 と し た6 市町村 の概 要と近隣 2 市町の 統計 データ を 表 1-1 に示 した 。 厚 木 市 は 、神 奈 川 県 の ほ ぼ 中 央 に 位 置 す る( 市 役 所 東経 139 度 21 分 北緯 35 度 26 分)。総 面積は 約 9,400ha、人 口 22 万人で 本調 査地の 中で は一番 人口 が 多

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6 く な っ て い る 。 南 東 部 は 相 模 川 が 流 れ る 市 街 地 に な っ て お り 、 北 西 部 は 丹 沢 に 続 く 山 地 に な っ て お り 、林 野 面 積 が 約 2,700ha で農業 地帯 の耕地 面積 は約 1,200ha を 有 し て い る 。 ま た 耕 作 放 棄 地 は 98ha 存 在 してい る。 愛 川 町 は 、中 央 北 部 に 位 置 し( 役 場 東経 139 度 19 分 北緯 35 度 31 度)、総面 積 は 約 3,400ha、 人口 4 万人 であ る。町 の西 部には 丹沢 山麓の 東端 にあた る仏 果 山 ( 標 高 747m)を 最 高峰す る山 地が連 なり 、 林野 面積 は約 1,500ha、耕地 面積 は 約 300ha であ る。 清 川 村 は 東 丹 沢 山 麓 に 位 置 し( 役 場 東経 139 度 16 分 北緯 35 度 28 分)、人 口 約 3,500 人 で総 面積 が 約 7,000ha で その ほと んどが 林野 面積(約 6,400ha)であ る 。耕 地 面 積 は 46ha と本調 査地 の中で は最 も少な く 、耕 作放棄 地 が 28ha も存在 し て い る 。 集 落 は 山 林 に 囲 ま れ 、 村 の 中 央 谷 間 を 市 街 地 へ 続 く 南 北 の 幹 線 道 路 に 沿 っ て 形 成 さ れ て い る 。 伊 勢 原 市 は 丹 沢 の 南 東 麓 に 位 置 し( 市 役 所 東 経 139 度 18 分 北 緯 35 度 24 分)、 総 面 積 は 約 5,600ha、 総 人 口 は 約 10 万 人 で あ る 。 市 内 の 西 部 に は 大 山 ( 標 高 1,252m)を 中心 とした 山林が 広が り(林 野面 積約 2,100ha)、耕 地面 積は 約 1,100ha で あ る 。 東 部 は 住 宅 地 お よ び 市 街 地 が 広 が っ て い る 。 秦 野 市 は 丹 沢 の 南 麓 に 位 置 す る ( 市 役 所 東 経 139 度 13 分 北緯 35 度 22 分)。 総 人 口 約 17 万人 、総 面積 は 10 万 ha でそ の 約半分 が林 野とな る( 約 5,400ha)。 北 部 に は 、 塔 ノ 岳 ( 標 高 1,490m)、 三ノ 塔( 標高 1,204m) と表 丹 沢山系 の山 々 が 連 な っ て い る 。東 部 は 鍋 割 山( 標 高 1,273m)、西 部は大 山に つづ く山地 が峰 を 連 ね て い る 。 耕 地 面 積 は 約 1,100ha で主 に山 際に広 がっ ている 。 松 田 町 は 丹 沢 山 地 の 南 麓 に 位 置 し ( 役 場 東 経 139 度 08 分 北緯 35 度 20 分)、 総 面 積 は 約 12,000ha で総人 口約 3,800 人 で ある。 周囲 を高松 山( 標高 801m)、 檜 岳(1,167m)、鍋 割 山( 標高 1,273m)な どに囲 まれ 、調 査地 の 寄地区 は 谷 合に 流 れ る 中 津 川 の 両 岸 に 集 落 が 広 っ て い る 。

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7 6 市町村の 農産 物生 産 状 況(表 1-2) は、 水 稲では 厚木 市( 2,210t / 440ha) が 最 も 多 く 次 に 伊 勢 原 市(1,680t / 346ha)、秦 野市( 445t / 91ha)で 林地が 多く 耕 地 面 積 の 少 な い 清 川 村 (8t / 2ha)や松 田町 (32t / 7ha)で も生産 されて いる 。 豆 類 は 主 に 秦 野 市 (105ha / 215t) と伊勢 原 市( 16ha / 28t)で 生 産され てお り、 そ の 他 の 市 町 村 の 生 産 量 は 一 桁 で あ っ た 。 野 菜 類 は 秦 野 市 (6,458t / 223ha)、 伊 勢 原 市 (5,779t / 213ha)が多 く、次 いで 厚 木市( 5,206t / 184ha)であ った。 野 菜 類 に つ い て は 、生 産 物 に よ っ て 生 産 面 積(ha)が少 なく ても 収穫 量が多 いも の が 含 ま れ て い る 。 果 樹 類 は 柑 橘 類 を 生 産 し て い る 秦 野 市 (1,985t / 180ha)と 伊 勢 原 市 (2,458t / 176ha)が多 かっ た。 図 1-1 市町 村位 置と 広域柵 の位 置関係 厚木市 伊勢原市 秦野市 松田町 山北町 相模原市 愛川町 ■:林地 ■:耕作地 □:市街地 :広域柵

8km

植生は環境省自然環境保全基礎調査植生調査をもとに作成 丹沢

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8 表 1-1 調査 対象 6 市 町村概 要と 近隣 2 市町 総人口 (人) 総面積 (ha) 耕地 面積 (ha) 耕作放 棄地 面積 (ha) 林野 面積 (ha) 総農 家数 (戸) 平均 標高 (m) 厚木市 224,420 9,383 1,160 98 2,662 1,818 73 愛川町 40,089 3,429 334 63 1,518 587 143 清川村 3,459 7,129 46 28 6,413 103 285 秦野市 170,145 10,361 1,150 191 5,404 1,475 209 伊勢原市 101,039 5,552 1,120 126 2,079 1,298 117 松田町 11,676 3,775 160 38 2,843 293 243 山北町 11,764 22,470 402 76 19,724 593 340 相模原市 717,544 32,884 1,620 571 18,933 3,245 101 農林水産省 わがマチ・まわがムラ HPより作成 表 1-2 調査 地の 農産 物生産 状況 水稲 豆類 野菜類 果樹類 厚木市 2,210/440 7/5 5,206/184 604/91 愛川町 268/56 1/2 1,555/58 43/20 清川村 8/2 0/0 129/3 11/11 秦野市 445/91 215/105 6,462/223 1,985/180 伊勢原市 1,680/346 28/16 5,779/213 2,458/176 松田町 32/7 3/2 240/9 710/56 収穫量(t)/作付面積(ha) 農林水産省 わがマチ・まわがムラ HPより作成 丹 沢 周 辺 に お け る 自 然 環 境 の 変 遷 丹 沢 低 山 帯 ・ 平 地 の 野 生 動 物 を 取 り 巻 く 状 況 の 長 期 変 化 を 表 1-3 に まとめ た。 丹 沢 山 麓 の 潜 在 自 然 植 生 は 、 山 麓 ( 標 高 100m)か ら標 高 800m 付 近まで は常 緑 広 葉 樹 林 、 標 高 900m から 山頂( 標高 1,673m)ま では 夏緑 広葉 樹林に 大 き く 区 分 さ れ る 。 本 研 究 の 調 査 地 で あ る 丹 沢 山 地 の 南 向 き 山 麓 部 で は 、 標 高 300m ま で は ス ダ ジ イ 林 が 、300-600m の 範囲 にはウ ラジロ ガシ 、アカ ガシ 、アラ カシ な ど が 優 占 す る 。 亜 高 木 層 は ヤ ブ ツ バ キ 、 モ チ ノ キ 、 ネ ズ ミ モ チ な ど 、 低 木 層 は ア オ キ 、 ヤ ツ デ 、 ヒ サ カ キ な ど 、 そ し て 草 本 層 は ヤ ブ ラ ン 、 ジ ャ ノ ヒ ゲ 、 シ ダ 植 物 な ど か ら 成 り 立 つ 。 し か し 、 こ う し た 自 然 植 生 が 残 っ て い る 場 所 は 限 ら れ て お り 、 大 部 分 は 人 為 的

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9 な 影 響 を 受 け た 代 償 植 生 で 占 め ら れ る 。 最 大 の 面 積 を 占 め る の は ス ギ や ヒ ノ キ の 造 林 地 で あ る 。 こ れ ら 造 林 地 は 1950-1960 年代の 拡大 造林政 策に よって 急速 に 面 積 を 拡 げ た 。 し か し 現 在 、 木 材 の 輸 入 自 由 化 と と も に 林 業 は 衰 退 し て お り 、 丹 沢 に お け る 針 葉 樹 生 産 量 は 5,000m3程 度 と 想 定 さ れ 、収 量 は 生 長 量 の 10%程 度し か な い 。 拡 大 造 林 が 行 わ れ る 1950 年以 前に 低 山帯 で大 面積を 占め ていた のは ク ヌ ギ - コ ナ ラ の 落 葉 広 葉 樹 林 で あ る 。 こ の 林 は 薪 炭 林 と し て 15-25 年毎 に定 期 的 に 伐 採 す る と い う 人 為 が 加 え ら れ る こ と に よ っ て 存 続 し て き た 代 償 植 生 で あ る 。 山 地 だ け で な く 丘 陵 や 平 地 に も 広 が っ て い た 。 ク ヌ ギ - コ ナ ラ 林 は 丹 沢 山 地 周 辺 の 丘 陵 地 や 相 模 川 周 辺 に か け て の 平 野 部 に も が 広 が っ て い た と 思 わ れ る が 、 平 野 部 で は 江 戸 時 代 に は 新 田 開 発 が 盛 ん に 行 わ れ た 。 用 水 等 の 灌 概 施 設 も 発 達 し 、 相 模 川 周 辺 の 水 田 の 整 備 が 進 め ら れ 、 江 戸 時 代 半 ば に は 畑 地 の 水 田 化 も 進 み 、 現 在 に 近 い 状 態 と な っ た 。 明 治 時 代 に は い る と 、 都 市 で 薪 炭 の 需 要 が 高 ま り 、 丹 沢 の 山 々 で は 19 世紀 前 半 ま で に 里 山 で 炭 焼 き 出 し が 行 わ れ た 。 こ の た め 明 治 後 半 に は ほ と ん ど の 里 山 林 が 伐 採 さ れ 、 ハ ゲ 山 と 化 し て 、 薪 炭 材 は 枯 渇 状 態 と な っ て い る 。 明 治 か ら 昭 和 初 期 に か け て 、 植 林 活 動 は 継 続 さ れ て い た が 、 里 山 の 多 く は ハ ゲ 山 や 草 地 の ま ま で あ っ た 。 厚 木 市 付 近 の 平 地 は 19 世紀後 半、 雑木林 やム ギなど を主 とする 畑地 で あ っ た が 、 明 治 時 代 に 入 っ て 薪 炭 材 の 需 要 が 高 ま り 周 辺 の 雑 木 林 は そ の た め に 伐 採 さ れ 、伐 採 跡 地 は ク ワ 畑 と し て 拓 か れ 、養 蚕 地 帯 と な っ て い っ た 。養 蚕 は 1950 -60 年代 の高度 経済 成 長とと もに 衰退し、ク ワ畑は 住宅 地や工 場用 地に変 わっ て い っ た 。 丹 沢 に お け る 獣 害 状 況 の 変 遷 丹 沢 地 域 の 獣 害 に 関 す る 歴 史 に つ い て 、田 口(1997)は西 丹沢 の小 山町に おけ る 古 文 書 資 料 の 研 究 か ら 、獣 害 状 況 を と り ま と め た( 表 1-3)。小山 町を領 地に 含

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10 む 小 田 原 藩 は 、 江 戸 時 代 前 半 に は 、 鳥 獣 を 保 護 す る 政 策 を と っ て い た 。 野 鳥 の 捕 獲 に 厳 し い 制 限 を 設 け 指 定 さ れ た 地 域 で の 狩 猟 は 禁 止 さ れ て い た 。 し か し 、 鳥 獣 保 護 に 関 す る 資 料 は 江 戸 時 代 中 期 ( 特 に 18 世紀後 半以 降 )以 降は 見られ なく な っ た 。 こ れ 以 降 の 鳥 獣 は 農 作 物 を 荒 ら す 害 獣 と し て 扱 わ れ る よ う に な っ て い る 。 イ ノ シ シ や シ カ に よ る 農 作 物 被 害 の 記 載 は 平 野 部 か ら 丘 陵 地 、 丹 沢 山 麓 の 村 々 へ と 移 行 し て い く 傾 向 が 見 ら れ 、 こ の 段 階 で は シ カ や イ ノ シ シ の 生 息 域 は 丹 沢 山 地 に 限 ら れ る よ う に な っ て い た と 思 わ れ る 。 江 戸 時 代 後 半 の 「 村 鑑 」 な ど 地 域 に 残 る 資 料 に よ る と 、 イ ノ シ シ ・ シ カ に よ る 農 作 物 被 害 が 多 い た め に 、 威 し 鉄 砲 な ど の 銃 器 が 用 い ら れ て い る 。 銃 器 に よ る 駆 除 の ほ か 、 シ シ 追 い 小 屋 を 建 て 、 シ シ 垣 を 築 き 、 堀 切 と い う 名 の シ シ 避 け 堀 な ど を 掘 っ た と い う 記 載 が 度 々 登 場 し て い る 。 鳥 獣 害 の 中 心 は 江 戸 時 代 後 期 の 19 世 紀前半 には、 平野 部では なく 山間部 へ移 行 し て お り 、 猟 師 は 山 裾 の 集 落 に 多 く 分 布 し た 。 駆 除 作 業 に 際 し て 村 は 猟 師 を 雇 い 入 れ 、村 人 が 勢 子 を 勤 め て イ ノ シ シ・シ カ 狩 り を 行 っ て い た 。猟 師 は 獲 物 を 得 、 村 は 猟 師 に 骨 折 り 賃 や 諸 経 費 を 支 払 っ て い た 。 江 戸 時 代 後 期 に 丹 沢 周 辺 で 猟 師 を 副 業 と す る 人 々 は 、 獲 っ た 獲 物 を 江 戸 へ 出 し 、 換 金 し て い る 記 事 が 秦 野 市 や 小 山 町 な ど に 残 る 資 料 に 見 ら れ る よ う に な る 。 す な わ ち 、 丹 沢 に お け る 狩 猟 は 既 に 換 金 経 済 を 前 提 に 営 ま れ て い た 。 明 治 10- 11 年 の丹沢 におけ る捕 獲記録 をみ ると、 シカ 、カモ シカ 、クマ など 大 型 獣 の 捕 獲 地 は 山 地 が 主 で あ り 、 里 山 で は ほ と ん ど 捕 獲 さ れ て い な い 。 里 山 の 雑 木 林 は 薪 炭 用 の 伐 採 が 進 ん で ハ ゲ 山 化 し て お り 、 イ ノ シ シ や ク マ な ど は 奥 の 山 々 に 限 ら れ る よ う に な っ た 。 平 地 に お け る イ ノ シ シ ・ シ カ に よ る 農 作 物 被 害 が 記 録 さ れ な い 状 態 と な り 、 獣 害 対 策 も 行 わ れ な く な っ た 。 イ ノ シ シ ・ シ カ に よ る 被 害 が 再 発 す る の は 、 大 正 期 に 行 わ れ た 植 林 が 成 長 し 、 ま た 戦 後 の 造 林 運 動 が は じ ま る 昭 和 30 年 代は 、ネ ズミ 、ノウサ ギに よる被 害が 主であ った 。昭和 50 年代

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11 に な る と 林 業 の 衰 退 に よ っ て ヤ ブ な ど の 山 の 管 理 が 放 置 さ れ る と シ カ や サ ル に よ る 農 林 業 被 害 が 発 生 し 始 め た 。 こ れ は 2000 年代か ら現 在も続 いて いる。 表 1-3 丹沢 低山 帯・ 平地の 野生 動物を 取り 巻く状 況の 長期変 化 ( 田 口, 1997 を もと に 作成) 時代区分 低山帯の植生 丘陵・平地の植生 獣害の状況 野生動物を取り巻く社 会状況 江戸時代以前 (1600年代以前) ・シラカシなどの常緑広 葉樹林 ・シラカシなどの常緑広 葉樹林 ・情報なし 江戸時代前期 (1600年代) ・薪炭利用のためにクヌ ギ-コナラ林化進行 ・獣害が発生する ・武士の狩り対象として 鳥獣を保護対象 江戸時代中期 (1700年代) ・獣害が深刻化 ・鉄砲による駆除、シシ 垣設置による地域ぐる みの獣害防止対策 ・鳥獣保護の動きはな くなる 江戸時代後期 (1800年代前半) ・獣害地域は平地から 山裾に移行 ・獣肉出荷など貨幣経 済に組み込まれた猟師 の存在 明治時代 (1868-1912年) ・過剰利用による薪炭 林の減少 ・草地・ハゲ山化の進 行 ・大型獣の分布は奥山 に限られ、平地におけ る獣害はなくなる ・毛皮目的の野生動物 の乱獲や、土地利用の 変化によって、野生動 物の生息域が縮小 大正・昭和初期 (1912-1945年) 草地・ハゲ山の多い状 態 ・大正期のスポーツハ ンティング流行 昭和後期 (1946-1988年) ・1950-60年代の拡大 造林によってスギ・ヒノ キ林が増加 ・養蚕の衰退によるクワ 畑消滅 ・高度経済成長による 住宅地や工場用地の 増加 ・1960-70年代にノネズ ミ、ノウサギによる林業 被害が増加 ・1980年代以降の小哺 乳類被害は沈静化。 ・スポーツ・ハンティング ブーム(1950-60年代) ・自然保護思想の普及 によるスポーツハンティ ングの衰退(1970年代 以降) 平成時代 (1989年以降) 管理不足による里山の 荒廃 ・放棄田など管理され ない農地の増加 ・シカによる林業被害の 増加 ・シカ・サルによる農業 被害の深刻化 ・林業衰退や農業者高 齢化による山林の管理 不足 ・狩猟者の減少・高齢 化 ・薪炭利用のためにクヌ ギ-コナラ林化 ・平地では水田開発、 丘陵地では畑地開発 が進む ・薪炭過剰利用による クヌギ-コナラ林が消滅 し、大型獣の生息場所 消滅 ・養蚕の隆盛によるクワ 畑の増加 3. 方 法 1) 神 奈川 県の 野生動 物によ る被 害状況 と対 策状況 神 奈 川 県 の ニ ホ ン ジ カ お よ び ニ ホ ン ザ ル 保 護 管 理 計 画 の 2003-2014 年の被 害 統 計 か ら 獣 害 に お け る 被 害 状 況 を 整 理 し 解 析 し た 。 ま た 行 政 の 担 当 者 へ の 聞 き 取 り 調 査 と 現 場 を 巡 回 し て 農 地 な ど の 対 策 状 況 を 調 べ た 。

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12 2) 厚 木市 の中 山間地 域と平 地農 業地域 の住 民感情 丹 沢 山 麓 に 位 置 す る 神 奈 川 県 厚 木 市 お い て 、 獣 害 被 害 の 深 刻 な 中 山 間 地 域 と そ れ に 隣 接 す る 平 地 農 業 地 域 を 対 象 と し た 。 野 生 動 物 に 関 す る 住 民 意 識 を 農 業 者 、 非 農 業 者 を 含 め て ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 い 、住 民 の 動 物 へ の 感 情 を 調 べ る と と も に 、 現 在 行 わ れ て い る 獣 害 対 策 が 、 ど の く ら い 住 民 の 希 望 に 沿 っ て い る か 調 べ た 。 調 査 地 概 要 お よ び 方 法 、 ア ン ケ ー ト 項 目 は 改 め て 説 明 す る 。 4. 結 果 1) 神 奈川 県の 野生動 物によ る被 害状況 (農 林業被 害・ 生活被 害) と対策 状況 (1) 神奈 川県 の野 生動 物によ る被 害状況 農 林 水 産 省 が 制 定 す る 被 害 防 止 計 画 の 作 成 状 況 は 2010 年 7 月では 厚木市 、愛 川 町 、 秦 野 市 、 湯 河 原 町 の 4 市 町村 しか 作成 してい なか った。 それ が 2014 年 9 月 現 在 で は 秦 野 市 、 厚 木 市 、 伊 勢 原 市 、 中 井 町 、 大 井 町 、 松 田 町 、 山 北 町 、 湯 河 原 町 と 8 市 町村に 増え (農林 水産 省, 2013) モニタ リン グ体制 の充 実が見 て取 れ る 。 以 下 、 神 奈 川 県 の 保 護 管 理 計 画 か ら 過 去 9 年間の 神奈 川県 内にお ける シカ、 サ ル 害 と 、 市 町 村 の 被 害 防 止 計 画 か ら イ ノ シ シ 害 に つ い て 言 及 す る 。 (2) 調査 地の 被害 現状 とシカ 、サ ルの生 息状 況 シ カ 被 害 シ カ は 丹 沢 山 地 に 推 定 生 息 数 約 3,000-5,500 頭のシ カが 生息 して おり、 農地 で は 被 害 が 恒 常 的 に 発 生 し て い る( 神 奈 川 県, 2012)。神奈 川県 ニホ ンジカ 保護 管 理 計 画 か ら 過 去 9 年間(2003-2011)の 農業 被害面 積( 図 1-2)、農 業被害 量( 図 1-3)、農業 被害 額( 図 1-4) およ びシカ の捕 獲頭数 (図 1-5) の 推 移 を 見 て い く 。 神 奈 川 県 と 各 市 町 村 の シ カ に お け る 農 業 被 害 面 積 の 推 移 を み る と 、 神 奈 川 県 全 体 で は2006 年か ら 2008 年に一 度被 害面積 が 減り 2009 年に再 び上 昇に転 じ 2010

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13 年 に 被 害 面 積 が ピ ー ク を 迎 え た 。 こ の 動 き は 市 町 村 別 に み る と 秦 野 市 の 変 化 を 反 映 し て い る 。秦 野 市 以 外 の 市 町 村 で は 2008 年-2011 年では 被害 面積は 減少 傾向 に あ っ た 。 秦 野 市 の 被 害 面 積 が 増 え た 要 因 は 不 明 で あ る ( 図 1-2)。 神 奈 川 県 と 各 市 町 村 の シ カ に お け る 農 業 被 害 量 の 推 移 を み る と 神 奈 川 県 で は 2004 年に最 大被 害量 を記録 し、 減少に 転じ た。 2008 年 から 再び 被害量 が増 えて お り 、 被 害 面 積 と 比 較 す る と 同 じ よ う な 動 き を し て い る ( 図 1-2、 図 1-3)。 神 奈 川 県 と 各 市 町 村 の シ カ に お け る 農 業 被 害 額 の 推 移 ( 図 1-4) をみ ると 、 神 奈 川 県 全 体 で は 2004 年をピ ークに 2009 年 まで減 少し 、 2010 年 から再 び被 害金 額 が 増 え た 。 市 町 村 別 に み る と 、 厚 木 市 と 秦 野 市 は 2004 年が ピー クであ り、 厚 木 市 で は 2008 年以 降 も大き な増 減はな い 。一方 、秦 野市を みると 2008 年以降 被 害 金 額 が 右 肩 上 が り で 増 え て い る 。 秦 野 市 の 隣 に 位 置 す る 伊 勢 原 市 は 秦 野 市 が 減 少 傾 向 に あ る 時 で あ る 2007 年 に被害 ピー クを迎 えて おり、 それ 移行は 秦野 市と は 逆 に 被 害 金 額 は 減 っ て い た 。 こ れ ら 被 害 額 と シ カ の 捕 獲 頭 数 を み て み る と 、 神 奈 川 県 全 体 で は 捕 獲 圧 は 増 え て い る 。 し か し 、 捕 獲 が 行 わ れ て い る の は 森 林 域 で あ る 猟 区 で あ り 、 農 作 物 に 被 害 を 出 し て い る シ カ を 捕 獲 出 来 て い る と は 必 ず し も 言 え な い だ ろ う 。 そ れ で も 有 害 捕 獲 等 に よ る 猟 区 以 外 の 捕 獲 の 推 移 が 2006 年 移 行 増 え て い る こ と が 見 て 取 れ る 。 こ の こ と か ら シ カ の 捕 獲 は 狩 猟 で は な く 有 害 捕 獲 に 依 存 し て い る こ と が 分 か っ た ( 図 1-5)。 また神 奈川 県では 2012 年より ワイ ル ド ラ イ フ レ ン ジ ャ ー ( 以 下 、WLR) と い う 制 度 を 設 け 捕 獲 に 従 事 さ せ て い る 。 WLR と 猟 友 会 の 棲 み 分 け に お い て は 、 前 者 が 丹 沢 の 高 標 域 で の 捕 獲 を 行 い 、 猟 友 会 は 猟 区 の 管 理 や 県 及 び 市 町 村 委 託 の 有 害 駆 除 な ど を 担 当 し て い る 。 神 奈 川 県 全 体 の 農 林 業 被 害 の 推 移 を み る と 、 被 害 面 積 は 1993 年で は林業 被害 が 農 業 被 害 を 上 回 っ て い た 。 し か し 翌 年 か ら 急 激 に 農 業 被 害 が 増 え 2008 年 以降 林 業 被 害 は 少 な く な っ て い る( 図 1-6)。被害 量でみ ると 、林 業被 害 は 集計 で 出 て お ら ず 、 農 業 被 害 が 2002 年以降 集計 され てい た( 図 1-7)。被 害金額 の推移 は 木

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14 材 価 格 の 低 迷 に よ る 収 益 性 の 低 下 、林 業 そ の も の が 衰 退 し た 影 響 も 受 け て い る( 図 1-8)。 神 奈 川県 ( 2013)に よ る と、 2010 年 以降 シ カ によ る 林 業被 害の 実 績は 0 と い う 報 告 で あ っ た 。 以 上 の こ と か ら 、 当 初 は 林 業 被 害 が 中 心 で あ っ た 被 害 対 象 が 林 業 か ら 農 業 に 移 り 変 わ っ た こ と が 知 ら れ た 。被 害 指 標 で 用 い ら れ る 被 害 面 積(ha)、被害量( t)、 被 害 金 額 ( 千 円 ) を そ れ ぞ れ 比 較 す る と 、 必 ず し も 統 計 推 移 は 一 致 し て い な か っ た 。 図 1-2 神奈 川県 と各 市町村 のシ カに お け る 農 業 被 害 面 積 の 推 移 (ha) 図 1-3 神奈 川県 と各 市町村 のシ カに お け る 農 業 被 害 量 の 推 移 (t) 図 1-4 神奈 川県 と各 市町村 のシ カに お け る 農 業 被 害 額 の 推 移 ( 千 円 ) 図 1-5 シカ の捕 獲頭 数推移 (頭 /年 ) WLR:ワイ ルドラ イフ レンジ ャー の略 0 10 20 30 40 50 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 神奈川県 厚木市 愛川町 清川村 秦野市 伊勢原市 松田町 被害面積 (h a) 0 100 200 300 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 被害量 (t) 神奈川県 厚木市 愛川町 清川村 秦野市 伊勢原市 松田町 0 10,000 20,000 30,000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 被害額 (千円 ) 神奈川県 厚木市 愛川町 清川村 秦野市 伊勢原市 松田町 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 捕獲頭数 神奈川県(県央、湘南、西湘) 猟区外可の捕獲 WRL捕獲 分布拡大防止区域

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15 図 1-6 農林 業被 害面 積の推 移( ha) 図 1-7 農林 業被 害量 の推移 ( t) 図 1-8 農林 業被 害金 額の推 移( 千円 ) 2010 年以降 シカ によ る林業 被害 の 実 績 は 0 で ある。 サ ル 被 害 神 奈 川 県 の 丹 沢 大 山 総 合 調 査(1997)によ る と 、東 丹沢地 域に 7 群 が確認 され て お り 、 そ れ 以 外 の 群 れ の 有 無 は 不 明 で あ っ た 。 西 丹 沢 に も 群 れ は 分 布 し て い る が あ ま り 人 目 に つ か な い よ う な 低 密 度 な 分 布 と 推 測 さ れ て い た 。 現 在 サ ル は 丹 沢 地 域 個 体 群 、 南 秋 川 地 域 個 体 群 、南 湘 地 域 個 体 群 の 3 地 域個体 群が 確認さ れて お り 、 合 計 23 群 、推 定 生息数 約 1,000 頭 が確 認され てい る ( 図 1-9)。サル によ る 被 害 は そ の う ち 18 群 が農業 被害 を発生 させ て いる こと が確認 され て おり 、 モ ニ タ リ ン グ は 充 実 し て い る 。 神 奈 川 県 内 の 2013 年 の農業 被害 面積は 17ha、被害 金額は 14,327 千円で ある ( 神 奈 川 県, 2014)。丹 沢地域 個体 群 では 本調 査地内 にお いて清 川村 、厚木市 、愛 川 町 、伊 勢 原 市 、秦 野 市 が 含 ま れ る 。生 息 す る 群 れ は 川 弟 群 、鳶 尾 群 、経 ヶ 岳 群 、 0 20 40 60 80 100 120 140 160 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 被害面積( ha ) 農業被害 林業被害 0 50 100 150 200 250 300 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 被害量( t) 林業被害 農業被害 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 被害金額( 千円) 農業被害 林業被害

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16 煤 ヶ 谷 群 、 日 向 群 、 大 山 群 が 主 に 林 縁 部 沿 い を 使 用 し 、 行 動 圏 が 市 町 村 の 境 界 を ま た い で 広 が っ て い る ( 図 1-10)。 図 1-9 神奈 川県 のサ ル生息 地域 図 10km :南秋川地域個体群(4群) :丹沢地域個体群(14群) :西湘地域個体群(5群) :各群れ行動圏 :丹沢 野生動物保護管理事務所(2012)をもとに作成

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17 図 1-10 調査 地に 生息 するサ ル群 の位置 と行 動圏 サ ル に 関 す る 統 計 は 第 3 次神奈 川県ニ ホン ザル保 護管 理計画 を参 照し、神奈 川 県 全 体 と サ ル の 生 息 す る 地 域 別 で は な く 地 域 個 体 群 ご と に 見 て い く 。 被 害 面 積 の 推 移 は 、1997 年の丹沢 大山 総合 調 査では 群れ の確認 が山 奥でし かさ れ て い な か っ た 丹 沢 地 域 個 体 群 に お い て 2003 年の 統計 開始 から被 害が 増 えて い る( 図 1-11)。西 湘地 域 では 2004 年 と 2009 年に被害 面積 が一 時 的に増 える も全 体 的 に は 減 少 傾 向 に あ る 。 南 秋 川 地 域 で は 丹 沢 、 西 湘 と 比 べ る と 被 害 は 極 端 に 少 な い ( 図 1-11)。 生 活 被 害 、 生 活 上 の 脅 威 お よ び 人 身 被 害 の 件 数 の 推 移 は 、 丹 沢 で は 2009 年 に 生 活 被 害 が 多 か っ た ( 図 1-12)。 生活被 害は 主に 雨 どい を壊さ れた な等 の 物的 被 害 で あ る 。 生 活 上 の 脅 威 は 主 に 威 嚇 で あ り 、 人 身 被 害 は 実 際 に 噛 ま れ た 等 の 被 害 で あ る 。人 身 被 害 を み る と( 図 1-13)、生活 被害件 数が 減った 2010 年に最も 発生 国土地理院1/25000より作成 煤ケ谷群 52頭 半原集団 20頭 子易群 23頭 鳶尾群 89頭 片原群 25頭 大山群 50頭 経ヶ岳群 46頭 川弟群 56頭 川弟分派群 59頭 日向群 67頭 5km 野生動物保護管理事務所(2012)のカウント数より

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18 し て お り 、威 嚇 な ど の 生 活 上 の 脅 威 で は( 図 1-14)、2005 年の 230 件から 比べ る と 減 少 し て い る た め 、 統 計 上 一 致 し て い な い 。 西 湘 地 域 に お い て 農 作 物 へ の 被 害 状 況 は 減 少 傾 向 だ が 、 生 活 被 害 と 生 活 上 の 脅 威 は 増 加 傾 向 に あ る 。 以 上 の こ と か ら サ ル か ら 受 け る 被 害 は 農 業 被 害 よ り も 人 と の 接 触 で 起 こ り 2003 年から 増加 して いた。 図 1-11 神 奈川県 と地 域別の サル に よ る 農 業 被 害 面 積 の 推 移 (ha) 図 1-12 神奈 川県 と地 域別の サル に よ る 生 活 被 害 ( 件 数 ) 図 1-13 神奈 川県 と地 域別の サル に よ る 人 身 被 害 ( 件 数 ) 図 1-14 神奈 川県 と地 域別の サル に よ る 生 活 上 の 脅 威 ( 件 数 ) サ ル の 対 策 に お い て 、 ニ ホ ン ザ ル 保 護 管 理 計 画 か ら 県 央 地 域 、 湘 南 地 域 、 西 湘 地 域 が そ れ ぞ れ と っ て い る 対 策 を 表 1-5-1、 表 1-5-2 にま とめた 。 対 策 の 流 れ か ら み る と 、図 1-11 の農業 被害 の防除 対策 に直接 関わ るよう な資 材 の 支 給 は 少 な く 、 行 政 職 員 に よ る パ ト ロ ー ル 、 注 意 喚 起 や 追 い 払 い の 対 策 が 先 行 0 5 10 15 20 25 30 35 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 被害面積 (h a) 神奈川県 西湘 丹沢 南秋川 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 生活被害 (件 ) 西湘 丹沢 南秋川 0 10 20 30 40 50 60 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 人身被害 (件 ) 西湘 丹沢 南秋川 0 50 100 150 200 250 300 350 400 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 生活上の脅威 (件 ) 西湘 丹沢 南秋川

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19 し て い た 。2004 年頃か ら地域 住民 による 追い 払いが 行わ れた。指導 や講習 会が 開 か れ は じ め た の は 2008 年頃から であ った。また 2008 年は 県央 地 域にお いて 広域 柵 の 設 置 が 始 ま っ た 年 で あ っ た 。 生 態 的 な 追 い 払 い や 緩 衝 帯 設 置 な ど の 試 み は 2009 年頃か ら検 討さ れ始め た。県 央地 域で は計画 当初 から多 くの 対策が 取ら れは じ め 、西 湘 地 域 で は 年 を 追 う 事 に 増 え た 。こ れ は 生 活 被 害( 図 1-12)と生 活上の 脅 威( 図 1-14)の増 加 と比例 して いた。対策 内容は 年々 増加 し 、新 たな取 り組 が 取 り 入 れ ら れ て お り 、 取 り や め ら れ た 対 策 は な か っ た 。

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20 表 1-5-1 ニホン ザル 保護管 理計 画の 変 容( 2003-2008 年) 2003年 2005年 2004年 2007年 2006年 2008年 県央地域 湘南地域 県西地域 現状把握・生息状況調査・被害状況調査 ・捕獲状況調査 保護管理計画の策定 ・保護管理目標の設定 生息頭数等、生息環境 ・保護管理方策の検討 個体数管理、生息環境管理、 被害防除対策 保護管理事業の実施 モニタリング調査の実施 ・生息状況・被害状況 ・捕獲状況 等 監視員の設置 住民、農業者等による追い払い 広報車による呼びかけ 啓発用パンフレット配布 猟友会、協議会による追い払い 監視員の設置 広域獣害防止柵の設置 個々の農業者による防除 猟友会による追い払い 組織的追い払いの実施 簡易柵の設置 爆音器の設置 市職員による追い払い 組織的追い払いの実施 小田原市専従追い払い員配置(2名) 農業者の農地管理強化 住民の追い払い支援 農協各支店に追い払い協力体制整備を要請 地域の協力体制を整備 エアガン購入費補助(愛川町) 津久井町専従追い払い員配置(2名) 相模湖町専従追い払い員配置(1名) 携帯用受信機を携帯 組織的追い払いを実施 広域獣害防止柵の保守点検 広域獣害防止柵の維持管理を地元主体とし防除へ の意識啓発を図る 電波受信機を使い移動監視員を配置し収穫期の 監視を強化 群れ位置の把握 猟友会による銃器を用いた追い払いの通年実施 村民への自衛方法の普及啓発 発信機および目視による生息状況の把握 HPによる農業者、市民へサル被害、生態の普及啓発 被害等の情報を市、農協へ提供依頼 収集したデータを効果的な組織的追い払いに活用 出没状況や被害情報の収集強化 猟友会の空砲を使った追い払い 風祭モデル地域に接近警報装置を導入 鳥獣被害対策専門員による巡視 追い払い道具、被害防止ネットの貸出(箱根町) 被害防除パトロールを実施(相模原市) 電気柵の保守点検 サル移動監視員を配置し通年の追い払い体制を確 立(愛川町) 接近警報装置を利用した集落一体の防除体制を 確立(愛川町) 定期巡回の実施 情報収集に努め地域の協力体制を整備 被害防除対策モデル地域を設置 地区追い払い隊を設置 被害実態の把握に努め、被害の未然防止に努める 追い払い資材提供 加害個体の捕獲および捕獲検討 猟友会の監視、追い払いを通年実施 関係機関に耕作放棄地対策を働きかける 追い上げについて検討 人家周辺の果樹の早期撤去等の啓発 防護柵、防護網、エアガンの購入費補助(愛川町) 特定の個体捕獲 県と連携を密にし適正な個体数調整に努める 電気柵の整備 簡易電位柵等の設置補助 分派のおそれがある群れの個体数調整を検討 人家周辺の果樹の早期収穫 放棄果樹の伐採 観光客、住民等への餌付け禁止の啓発活動強化 協議会や座談会などで誘引要因の撤去等を啓発 農作物の早期収穫や農作物の取り残しの除 去を農協機関紙等により啓発 廃果の徹底処理を要請 人身被害を発生させる又はおそれがある場合 には加害個体を特定し捕獲 被害対策協議会での検討 人身被害を発生又は発生させるおそれがある場合 には加害個体を特定して捕獲 農作物の早期収穫や農作物の取り残しの除去を農 協機関紙等により啓発 高森地域住民による追い払い 不用農作物の除去等の徹底 ハイカーによる食べ残し等の放置禁止を周知 牛放牧によるサル等に対する追い払いや 荒廃地復元を図る 農家や市民からの情報を丹念に収集し、被害軽減 対策に反映 より効果の高い追い払い資材を提供するなど地道 に防除対策を継続 弘法山の入口でハイカーへの被害記入カードを配 布し、出口で回収するなどのアンケート調査を常時 実施できる方法の検討。 荒廃遊休農地や山林等の管理を 指導 ハナレザルによる人身被害の危険性が 高まれば、加害個体を捕獲 小田原市広報による啓発 生息環境管理を農業者に呼びかける 夏季に大きく行動域を変える群れを県に技術指導 を仰ぎ対策を検討する HPによる啓発 被害状況や被害防除対策、生息環境整備の結果 から、個体数調整について検討 追い上げ目標地の具体的な場所や方法を検討し、 各地域の追い払い方向について統一を図る。 人身被害が深刻化した場合、猟友会による個体数 調整を検討 市街地での効果的な追い払い方法の検討 人身被害や住居侵入を及ぼすおそれや事実が 複 数回確認された特定個体の捕獲 放棄果樹伐採 自主防衛組織と協力しながら地域環境の整備 群れの分裂による 被 害 拡 大防止のための個体 数調整実施 村民に農作物を守るための自衛策を要請 目視による生息実態把握 人身被害が発生した場合は加害個体を特定 して捕獲 ハナレザルによる人身被害の危険性が高まれば、 加害個体を捕獲 餌やり等が見られる場合には看板等警告表示を 実施 神奈川県ニホンザル保護管理計画から作成

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21 表 1-5-2 ニホン ザル 保護管 理計 画の 変 容( 2009-2014 年) 2011年 2009年 2010年 2014年 2013年 県央地域 湘南地域 県西地域 市内から群れ完全排除のため、関係機関と調整し、 追い払い方法を検討、実施 野猿対策自治会への説明会を開催し、追い払い 隊の形成を計る 受信機の整備 追い払い器具の貸出を進め、住民による追い払い を支援 わな猟免許を保持した職員により加害個体の捕獲 を実施する 本市域からの完全排除を目指し、関係機関と調整 して、従来の追い払い方法を見直す 通報時の追い払い 広報等による草刈り及び誘因要因撤去の意識啓発 や、山林整備、緩衝帯設置の必要性の検討 地域一体となった追い払い体制を確立する 継続して分派しているため分裂による被害拡大防 止のための個体数調整を実施する 自主防衛組織と協力しながら地域環境の整備 広報等を通し、情報収集に努め、地域の協力体制 を整備 獣害防護柵(電気柵)の設置 電気柵の保守点検 未収穫農作物の除去等の徹底 農家や市民からの情報を丹念に収集し、被害軽減 対策に反映 市およびJAのHPを利用した生ごみの持ち帰り、餌 付け禁止をハイカー、住民などに周知 和牛、ヤギ放牧による荒廃遊休農地の復元および 獣害忌避 地域学習会を開き、被害対策や意識の啓発を 行う 町広報等で被害届の提出を促進す る 捕獲檻の購入 地区による追い払いの実施 第2次計画策定時には未確認の新たな集団であり、 生息地は市街地で隣接した群れがいるため追い払 い場所がない。さらに、人家侵入・人への威嚇など 人身被害発生の恐れが高いため、積極的な捕獲を 実施する。 餌付けの目撃情報があるため、禁止看板の設置と パトロールの実施 行政界を越えた追い払いや追い上げについて、県 の指導のもとに実施する 住宅地周辺の車への器物損壊が発生しており、人 身被害の恐れがあるため被害発生時には捕獲を 実施する 追払い効果を高めるため、位置情報の収集や迅 速な連絡体制の構築等を図る 被害等情報の届出が容易にできるよう工夫し、多 くの情報の集約と住民等の被害防除意識の高揚 を図る 2012年 野猿対策自治会への説明会を開催し、追い払い 隊の形成を計る 西湘地域追い払い隊等との情報交換を密に、効 果的な追い払いを行う 町鳥獣対策協議会追い払い隊による週3~4日の 追い払い(空砲・ゴム弾使用) 広報等による草刈り及び誘因要因撤去の意識 啓発や、山林整備、緩衝帯設置の必要性の検 討 地域学習会を開き、被害対策や意識の啓発を行う 町広報等で被害届の提出を促進する 委託日数の増 自主防衛組織の組織化 厚木市との連携による追い払いを検討・実施 追い上げ方法の検討 職員は、サル発見の通報があり次第迅速に対 応する 地域追い払い隊は出来るだけ巡回実施できる よう依頼 防災行政無線による情報提供 サル対策用パンフレットを配布若しくは回覧 地域住民による自主的な追い払い 広域獣害防止電気柵周辺の除草等の実施 森林整備の実施 新たな加害群の個体数調整早期着手 緊急雇用創出事業を活用した追い払い隊員の設 置(行動域調査及び追払い活動) モンキードッグ等新たな追い払い方法の導入を 検討 HP等でサルの位置情報を提供する 食害を防止するためのネット等の自衛策を農家お よび市民農園利用者に啓蒙していく 野菜残渣の埋設を励行する 追い払い研修会の実施 鳥獣被害総合対策交付金を活用した農地を囲う侵 入 防止柵の設置 加害レベル低下のための学習放獣を実 施(学術研究捕獲) S群の広域的な追い払い方法に関して、県、周辺 市町等と検討し、実行する 野猿の泊まり場の解消を、専門的な知識を有する 県の主導のもとで行い、最終的には被害が発生し ない地域に行動域を移動させる 委託日数の増及び勤務時間の検討 新たな被害把握方法の検討 音波式追い払い機器の導入 一定方向に向けた通年の組織的な追い払い 生活被害及び人身被害軽減のための個体数調整 秦野市と連携した組織的追い払いを実施 緩衝地帯の整備 秦野・伊勢原市間で檻を移動するなど、両市連携し 効率的な捕獲を実施 広域獣害防護柵の開口部対策 捕獲効率を上げるため麻酔銃捕獲等新たな取り組 みに着手 携帯メールへのサルの位置情報を提供 群れの頭数が年々増加し、被害の範囲も拡大し、 分裂の可能性も高くなってきていることから、群れ 分裂による被害拡大防止のための個体数調整を 実施する 神奈川県ニホンザル保護管理計画から作成

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22 イ ノ シ シ 被 害 神 奈 川 県 で は イ ノ シ シ の 保 護 管 理 計 画 は 策 定 し て い な い 。 イ ノ シ シ の 被 害 は 、 厚 木 市 で は 林 縁 部 の 山 林 に 面 し た 農 地 を 中 心 に 年 間 を 通 し て 発 生 し て い る ( 厚 木 市, 2008)。清川村 では イモ類 を中 心に被 害を 発生さ せて いる(永 田 ほか , 2009)。 ヤ マ ビ ル 被 害 丹 沢 山 麓 で は ヤ マ ビ ル に よ る 吸 血 被 害 も 深 刻 に な っ て い る 。 シ カ や イ ノ シ シ は ヤ マ ビ ル を 運 搬 す る と さ れ 、 ヤ マ ビ ル の 生 息 地 お よ び 吸 血 被 害 を 拡 大 さ せ て い る ( 神 奈 川 県 ヤ マ ビ ル 対 策 共 同 研 究 推 進 会 義, 2009)。調査 で山に 入る と春先 から 秋 口 ま で 5- 10 匹程 度の ヤマビ ルが 靴や服 につ いてい た。丹沢 に入 る 時はヤ マビ ル 用 の 忌 避 剤 が 必 須 で あ っ た 。 (2) 行政 によ る獣 害対 策状況 と地 域の対 策状 況 神 奈 川 県 は 2003 年 3 月から 「ニ ホンジ カ保 護管理 計画 」と「 ニホ ンザル 保護 管 理 計 画 」 を 策 定 し 、 広 域 的 な 被 害 軽 減 に 資 す る た め に シ カ 用 広 域 柵 を 清 川 村 を 始 め と す る 市 町 村 に 述 べ 83 km にわた り丹 沢 に設置 した。この シカ 用広域 柵は こ れ ま で の 造 林 業 や 農 地 お よ び 集 落 と い っ た 被 害 地 を 個 々 に 囲 む の で は な く 、 丹 沢 山 地 と 人 の 生 活 域 を 区 切 る よ う 山 地 の 麓 を 網 羅 的 に 設 置 し た ( 神 奈 川 県, 2003)。 ま た 厚 木 市 と 愛 川 町 は サ ル ・ シ カ 兼 用 の 電 気 式 広 域 柵 ( 以 下 、 サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 )を 林 縁 部 の 市 町 村 の 境 界 に 設 置 し 2013 年に総延 長約 25 km が完成 した( 厚 木 市, 2012; 愛川 町, 2009)。シ カ用 広域 柵と サル・ シカ 兼用広 域柵 の設置 は市 町 村 の 主 に 山 麓 側 お よ び 林 縁 部 も し く は 市 町 村 の 境 界 に 沿 っ た 形 で 設 置 さ れ て い る ( 図 1-15)。

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23 図 1-15 広域 柵の 設置 地 赤 線 : シ カ 用 広 域 柵 青 線 : サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 広 域 防 護 柵 の 構 造 と 概 要 厚 木 市 の 広 域 柵 は 愛 川 町 と 清 川 村 の 境 に サ ル ・ シ カ 兼 用 の 電 気 柵 が 設 置 さ れ 、 厚 木 市 と 清 川 村 の 境 界 に あ る 林 縁 部 が 区 切 ら れ て い る 。 愛 川 町 の 広 域 柵 は 厚 木 市 の 境 と 宮 ヶ 瀬 湖 の ダ ム サ イ ド 地 区 の 一 部 に サ ル・シ カ 兼 用 電 気 柵 が 全 長 約 5.4 km に わ た り 設 置 さ れ て い る 。清 川 村 の 広 域 柵 は 集 落 を 囲 う 様 に 全 長 約 15 km にわた り 設 置 さ れ て い る 。 南 部 は ゴ ル フ 場 の 外 周 に 沿 っ て 張 ら れ て い る 。 伊 勢 原 市 の 広 域 柵 は 市 内 を 南 北 に 16 km に わた って設 置さ れ、西側 の山 林と 東側 の市街 地を 区 切 っ て い る 。 南 端 は 秦 野 市 か ら 続 く 広 域 柵 と 連 結 し て い る 。 秦 野 市 の 広 域 柵 は 全 長 約 25 km 設置 され、丹沢山 地の 裾に沿 い市 内を東 西に 横断し 東端 で伊勢 原市 内 丹沢 5km 国土地理院1/25000より作成 シカ用広域柵 サル・シカ兼用広域柵

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24 の 広 域 柵 に 途 切 れ な く 連 結 し て い る 。途 中 4 つのゴ ルフ 場に跨 り、各ゴル フ場 の 外 周 に 沿 う 様 に 設 置 さ れ て い る ほ か 、 登 山 道 沿 い に 設 置 さ れ て い る 区 間 も あ る 。 松 田 町 寄 地 区 の 広 域 柵 は 煤 ヶ 谷 地 域 と 同 様 に 集 落 を 囲 う 様 に 全 長 12 km 設 置さ れ て い る 。 シ カ 用 広 域 柵 シ カ 用 広 域 柵 は 、概 ね 民 家 か ら 数 百 m 以内の 山地に あり 、一部 民家 のすぐ 裏手 や 農 地 に 隣 接 す る 箇 所 も あ る 。 シ カ 用 広 域 柵 は 、 丹 沢 山 地 周 辺 の 清 川 村 を 含 め た 6 市町 村に 跨って いる 。人里 と山 側を柵 によ り分断 する ような 防除 方法を とっ て い る 。 柵 の 構 造 は 、 高 さ 180 cm、15 cm メ ッシュ の金網 柵で 、スチ ール 製の支 柱が 200 cm 間隔に 設置 さ れてい る(図 1-16)。柵 裾は動 物の 潜り抜 け防 止のため 30 cm 地 面 に 這 い 合 わ せ て あ る 。 支 柱 の 間 隔 や 詳 細 な 構 造 は 地 形 や 土 地 ご と に 狭 ま っ て い た り 、 広 が っ て い た り と 異 な っ て い る 。 図 1-16 シカ 用広 域柵 の構造 180cm 200cm

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25 サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 の 設 置 場 所 は 、 シ カ 用 広 域 柵 と 同 じ よ う な 場 所 に 設 置 さ れ て い る が 、 厚 木 市 で は 行 政 区 分 の 境 目 付 近 の 林 縁 部 お よ び 森 林 内 に 設 置 が 行 わ れ 愛 川 町 と 清 川 村 の 境 目 を 区 切 る よ う に 繋 が っ て 設 置 さ れ て い る 。 愛 川 町 で は 被 害 の 出 て い る 地 域 を 中 心 に 部 分 的 に 設 置 し 、 厚 木 市 の よ う に 繋 げ る 計 画 は な い 。 対 象 動 物 は 厚 木 市 と 愛 川 町 で 農 作 物 被 害 を は じ め と す る 獣 害 を 発 生 さ せ て い る 主 な 対 象 を サ ル と し 、 シ カ も 含 ま れ る 。 柵 の 構 造 は 、高 さ 200 m、12.7×7.6 cm メッ シュの 金網 柵で 、上 部 に 4 段の電 柵 線 が 設 置 さ れ て い る ( 図 1-17)。 柵裾は 動 物潜り 抜け 防止の ため 30 cm 地面に 沿 わ せ て あ る 。 支 柱 や 間 合 い の 詳 細 な 構 造 は シ カ 用 広 域 柵 同 様 、 地 形 が 急 な 斜 面 に な る 場 所 で は 狭 ま っ て い た り 、 比 較 的 平 坦 な 場 所 で は 広 が っ た り と や や 異 な っ て い た 。 サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 で は 広 域 柵 支 柱 部 分 に 設 置 さ れ る 電 圧 線 の 突 起 部 分 が 出 て い る 方 を 山 側 と し 、 そ の 逆 が 人 里 側 で 設 置 さ れ て い る ( 図 1-18)。 厚木 市 の サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 は 主 に 日 亜 鋼 業 株 式 会 社 の 作 製 し た 柵 を 使 用 し て い る が 、2008 年の 設置 始め の荻野 地区 の約 2 km 間では 株式 会社末 松電 子 製作 所の 製 作 す る 柵 ( 図 1-19)を 使用し てお り、メ ー カ ー が 異 な っ て い る 。 図 1-17 サル ・シ カ兼 用広域 柵の 構造 2m 22cm 178cm 250cm 山側との緩衝帯

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26 図 1-18 柵上 部の 構造 と調査 にお ける定 義 図 1-19 上荻 野地 区に 設置さ れて いる サ ル・ シカ兼 用広 域柵 丹 沢 山 麓 地 域 に お け る 自 治 体 に よ る 獣 害 対 策 被 害 の 発 生 し て い る 各 市 町 村 は 保 護 管 理 計 画 を も と に 、 実 施 計 画 案 の 作 成 や 市 町 村 鳥 獣 対 策 会 議 等 を 設 置 し 、 広 域 柵 の 設 置 や 追 い 払 い 等 の 実 施 お よ び 住 民 へ の 支 援 、 適 切 な 農 地 利 用 の 普 及 啓 発 等 を 行 っ て い る 。 ま た 住 民 や 農 業 者 か ら は 、 計 画 に 対 す る 意 見 や 、 県 、 市 町 村 等 が 実 施 す る 被 害 防 除 対 策 等 へ の 要 望 や 支 援 の 要 請 を 受 け て い る 。 農 協 や 関 係 機 関 で あ る 狩 猟 者 団 体 へ の 地 域 鳥 獣 対 策 協 議 会 お よ 人里側 山側 電圧線 50cm 150cm 300cm 100cm 中間FRP 200cm

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27 び 市 町 村 鳥 獣 対 策 協 議 会 等 へ の 参 画 、 被 害 防 除 対 策 と し て の 追 い 払 い へ の 協 力 お よ び 個 体 数 調 整 に よ る 捕 獲 の 協 力 、 森 林 整 備 等 へ の 協 力 等 ( 神 奈 川 県, 2003) 多 岐 に わ た る 。 厚 木 市 の 鳥 獣 被 害 対 策 に お い て は 、 農 業 被 害 や 生 活 被 害 、 ヤ マ ビ ル 対 策 な ど の 事 業 課 が 複 数 分 か れ て い た こ と と 市 内 の 被 害 状 況 を 踏 ま え 、2009 年 4 月に鳥獣 被 害 対 策 課 に と い う 専 門 の 課 を 設 立 し 一 元 化 を は か っ た 。 こ の 試 み は 当 時 全 国 で 初 め て で あ っ た 。 し か し 2012 年 の広域 柵完 成 後廃 止さ れて、 元の 農業政 策 課 にも ど り 、 現 在 は 森 林 鳥 獣 対 策 係 と し て 残 っ て い る 。 広 域 柵 の 設 置 経 緯 に つ い て は 、地 域 で の 追 い 払 い 活 動 や 猟 友 会 に よ る 有 害 捕 獲 、 住 民 に よ る 個 人 柵 の 設 置 な ど が 行 わ れ て い た が 、 地 域 住 民 や 生 産 者 か ら 行 政 が 主 体 と な り 広 域 的 か つ 効 果 的 な 被 害 対 策 を 実 施 す る こ と が 切 望 さ れ た こ と 、 そ し て 広 域 柵 の 設 置 は 「 人 と 動 物 の 棲 み 分 け 」 を 基 本 と し た 保 護 管 理 計 画 下 で の 対 策 と し て は 最 も 効 果 的 が 期 待 さ れ 、目 に 見 え る 対 策 で あ る こ と か ら 設 置 に 至 っ て い た 。 清 川 村 に お い て 柵 の 維 持 管 理 に つ い て 聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た と こ ろ 、 シ カ 用 広 域 柵 の 管 理 は 主 に 地 元 自 治 会 お よ び 猟 友 会 が 行 い 、村 役 場 も 管 理 に 携 わ っ て い た 。 年 間 の 管 理 状 況 は 夏 場 の 草 刈 り と 月 1 回 の見 回りを 猟友 会メン バー が中心 とな り 行 っ て い た 。 見 回 り に よ っ て 柵 破 損 が 見 つ か っ た 場 合 の 修 復 作 業 は 適 宜 行 わ れ て い た 。修 復 が 必 要 な 場 所 に 関 し て は 広 域 柵 の 地 図 上 に 場 所 と 日 付 が プ ロ ッ ト さ れ 、 修 復 前 と 修 復 後 に は ナ ン バ ー が つ け ら れ 、 役 場 が 写 真 で 管 理 を 行 っ て い た 。 同 じ シ カ 用 広 域 柵 が 設 置 さ れ て い る 周 辺 市 町 村 と の 維 持 管 理 お よ び 修 復 方 法 等 に つ い て の 情 報 交 換 は 行 わ れ て い な か っ た 。 今 回 の 調 査 で は 各 自 治 会 の 面 積 規 模 や 人 数 に つ い て は 分 か ら な か っ た 。 サ ル ・ シ カ 兼 用 電 気 柵 の 維 持 管 理 は 、 主 体 は 柵 設 置 地 域 の 地 元 自 治 会 で あ っ た が 、 市 役 所 や 町 役 場 も 管 理 に 関 与 し て い た 。 管 理 状 況 と し て は 厚 木 市 で は 自 治 会 で の 月 1 回 の見回 りと 年 2 回の草 刈りが 行わ れ、参 加者 には 報酬( お弁当 と お 茶

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28 代 程 度 ) が 支 払 わ れ て い た 。 参 加 規 模 は 各 集 落 単 位 で 行 わ れ て い る と い う こ と で あ っ た が 、 今 回 の 調 査 で は 正 確 な 人 数 等 は 把 握 で き な か っ た 。 ま た 自 治 会 で は 修 復 が 難 し い 破 損 等 は 市 と 設 置 業 者 に よ っ て 補 修 が 行 わ れ て い た 。 愛 川 町 に お い て も 、地 元 自 治 会 が 主 体 で 2 カ月に 1 回の 見回 りが行 われ、夏場 1 回 程度の 草刈 り が 行 わ れ て い た 。 補 修 は 町 と 業 者 が 行 っ て い た 。 広 域 柵 設 置 の 問 題 点 と し て 、 広 域 柵 の 設 置 に は 地 権 者 の 了 解 が 必 要 な の で 、 柵 25 km の設置 を完 了す るのに 5 年 を要し た。設置費 用は 12,000 円 / m、年間 維持 管 理 費 用 は 年 間 100 円 / m であ った 。 メ ー カ ー が 推 奨 す る 柵 の 耐 用 年 数 は サ ル ・ シ カ 兼 用 広 域 柵 で は 同 じ メ ー カ ー で あ る に も 関 わ ら ず 、 厚 木 市 が 16 年 、愛 川町 が 8 年 と耐 用年 数に 倍 の違い が見 ら れ た 。 設 置 費 用 に 関 し て は 各 市 町 村 が 発 注 す る 事 業 の 落 札 金 額 の 違 い で 発 生 し た 違 い だ と 思 わ れ る ( 表 1-6)。 表 1-6 市町 村別 の広 域柵管 理状 況 市町村名 設置柵の種類 メーカー 耐用年数 (メーカー推奨) 柵設置年数 設置費用 年間維持管理費用 清川村 シカ用広域柵 北原電牧株式会社 14年 ― 年度によって異なる※ 株式会社 末松電子製作所 不明 8年 日亜鋼業株式会社 16年(14年でサ ビが出る) 7年 愛川町 サル・シカ兼用広域柵 日亜鋼業株式会社 8年 8年 13,000円/m 通電と維持管理で25,000円程度 12,000円/m 年間100円/m設置距離約 25km(25,000×100円) 2,500,000円程度 ※清川村のシカ用広域柵は猟友会によりその場で破損の修復を行う場合があるため年度によって補修費用が異なっている。 サル・シカ兼用広域柵 厚木市 広 域 獣 害 防 止 柵 以 外 の 自 治 体 に よ る 獣 害 対 策 (1) 広 報 活 動 厚 木 市 、 愛 川 町 、 清 川 村 で は 被 害 が 発 生 す る 時 期 に 合 わ せ 、 回 覧 板 の 広 報 誌 に 情 報 を 記 載 す る こ と に よ る 広 報 活 動 が 年 1- 2 回行 われ ていた 。広 報誌の 内容 と し て は 、 住 民 か ら 生 活 、 農 産 物 、 人 身 被 害 等 の 情 報 提 供 を 求 め る も の や も し 不 意 に 動 物 に 遭 遇 し て し ま っ た 時 の「 目 を 合 わ さ な い よ う に す る 」「 大 声 を 出 さ ず に 静 か に 後 退 る 」 な ど の 対 処 方 法 が 記 載 さ れ て い た 。 ま た 厚 木 市 と 清 川 村 で は 獣 害 に

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29 関 す る 被 害 防 除 に 関 す る 情 報 や 出 没 情 報 等 を 厚 木 市 役 所 お よ び 清 川 村 役 場 の 各 ホ ー ム ペ ー ジ 上 に も 載 せ て い た が 、 愛 川 町 で は 載 せ て い な か っ た 。 ま た 、 愛 川 町 で は 個 人 の 簡 易 電 気 柵 な ど の 設 置 に 一 部 補 助 費 用 の 制 度 と 追 い 払 い 用 電 動 エ ア ガ ン 購 入 費 補 助 金 の 制 度 が あ っ た が 、 広 報 誌 で の 取 り 扱 い 欄 は 大 き く は な か っ た (8×9 cm 枠)。2008-2010 年 までに 補助 費用を 利用 し簡易 電気 柵 を 設 置 し た 人 数 は 31 名で、追 い払 い用エ ア ガン購 入補 助を使 用し た人は 2008 年 に 1 人であ った。現 場 での地 元住 民から の聞 き取り 調査 の中で、エ アガン につ い て は「 使 用 方 法 が 分 か ら な い 。」「 大 き く て 、重 く 年 寄 り が 持 っ て 走 る の は つ ら い 」、 「 バ ッ テ リ ー の 充 電 が 7- 8 時 間程度 かか り使用 した いとき にす ぐに使 用で きな い 」 な ど の 意 見 が 聞 か れ て お り 、 追 い 払 い の 道 具 の 使 用 方 法 に 関 す る 普 及 、 広 報 活 動 が 出 来 て い な い こ と が 分 か っ た 。 (2) 追 い 払 い サ ル が 出 没 す る 地 域 で は 、住 民 や 農 業 者 、市 町 村 職 員 、農 業 協 同 組 合 、猟 友 会 、 シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー の サ ル 追 い 払 い 員 等 に よ る 追 い 払 い が 行 わ れ て い た 。 神 奈 川 県 の 報 告 に よ る と 、厚 木 市 で 964 回、愛川 町 282 回、清 川村 91 回(神 奈川 県 , 2010)の 追い 払い が行 われて おり 、サル の群 を 3- 4 群かか える 厚 木市の 追い 払 い 回 数 が 群 を 抜 い て 多 く な っ て い た 。 厚 木 市 で は サ ル の 被 害 が 甚 大 な こ と を 受 け 、 毎 年 自 治 会 単 位 で 追 い 払 い 等 の 講 習 会 が 行 わ れ 、2009 年は 6 会場で 78 名 の 参加が あり 、こ れまで の講習 会の 活動 か ら 5 地域 におい て、自主防 衛隊( 追い 払い 隊 )が結 成さ れた。ま た 2009 年 11 月 か ら 国 の 緊 急 雇 用 と し て シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー に よ る 追 い 払 い 員 を 厚 木 市 に 出 没 す る 4 群に 1 群 4 名 (1 日 2 名、交 代制 ) 配置し 、年 末年始 を除 き活動 して い る 。 し か し 、 サ ル を 追 跡 す る た め の 技 術 や 機 材 が 十 分 と は 言 え ず 、 市 役 所 の 担 当 職 員 も 地 元 住 民 か ら の 連 絡 が あ れ ば 現 場 に 専 用 の 自 動 車 で 出 動 す る 場 合 が 多 い 。

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30 そ の た め 、 担 当 職 員 や 神 奈 川 県 が 設 置 し て い る 鳥 獣 被 害 防 除 対 策 専 門 員 と の 連 携 が 必 要 で あ る 。 清 川 村 は 主 に 猟 友 会 が ゴ ム 弾 等 を 使 用 し 、 地 元 住 民 か ら の 通 報 や 要 請 が あ っ た 場 合 に 追 い 払 い を 行 っ て い た 。愛 川 町 は 週 5 日、サ ル群 を 監 視する 監視員が 1 名 配 置 さ れ 、 農 地 や 住 宅 地 周 辺 に サ ル が 出 没 し た 場 合 に 即 座 に 対 応 で き る 体 制 を と っ て い た 。 担 当 課 の 職 員 も 地 元 の 人 の 通 報 で 現 場 へ 出 動 し て い た が 、3 回 ほど 現 場 に 遭 遇 し 、 様 子 を 見 た と こ ろ で は 、 追 い 払 い 用 具 の 使 用 方 法 な ど に 慣 れ て い な い 様 子 で あ っ た 。 (3) 電話 によ る対 応 厚 木 市 に は 2009 年の 4 月より 全国 で初め て 獣害を 専門 に扱っ た鳥 獣被害 対策 課 が 設 置 さ れ た こ と に よ り 、 全 国 の 注 目 を 集 め 神 奈 川 県 内 だ け で は な く 、 獣 害 が 発 生 し て い る 全 国 の 各 市 町 村 か ら 問 い 合 わ せ や 現 地 研 修 の 依 頼 等 が あ っ た 。 各 市 町 村 と も 被 害 を 出 し て い る 野 生 動 物 に 関 す る 知 識 を 持 っ た 人 が 1 名で もい る こ と が 望 ま し い が 、 行 政 と し て の 仕 事 は 獣 害 関 連 に 関 す る こ と だ け で は な い の で 難 し い と い う こ と で あ っ た 。

図 2-19  辺 室 山 中 腹 に お け る 獣 道 分 布 図

参照

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