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紹介 小島清編著『太平洋経済圏の形成 第3集』

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紹介 小島清編著『太平洋経済圏の形成 第3集』

著者

福本 真弓

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

43

1

ページ

95-95

発行年

2002-01

出版者

日本貿易振興会アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00007939

(2)

本書は,2001年10月中旬に開催された APEC閣僚 会議,および首脳会議に向けて諸提言を行うために 刊行されたものであり,2部構成となっている。第 1部では,アジア太平洋地域における地域統合を制 度論から分析し,その経済的な効果を明らかにして いる。第2部では太平洋貿易開発会議(PAFTAD) の1991年から2000年までの成果がまとめられている。 第1部の内容については,以下各章の概要を簡単に 紹介したい。 第1章 グローバル化と新世界経済秩序 では, 新しい世界経済秩序のあり方を模索しており,世界 的なグローバル化の流れと地域統合の役割について 察を行っている。また,貿易自由化は国民国家の 世界経済に対する浅い統合(shallow integration) であるとする一方で,受入国の経済構造に様々な影 響を与える直接投資や技術移転は,より深い(deeper) 統合に分類されるとしている。特に,他国の経済発 展と自国の貿易拡大を有機的に結びつけるためには, このようなより深い国民経済間の統合が必要である と分析している。 第2章 地域統合の経済学 では,地域統合の経 済的な効果に着目し,いくつかの有用な理論モデル (部分 衡分析,一般 衡分析)と統合の動態的効 果を分析する手法について説明を行っている。 第3章 東アジアにおける貿易・直接投資の拡延 では,東アジアにおける貿易・直接投資の拡大と域 内依存度の関係に焦点を当てつつ,それらの拡大要 因と両者の関連について分析が行われている。貿易・ 投資の関連についてはグラビティーモデルを用いた 分析が行われており,結果として直接投資の拡大は 貿易の増加をもたらすことが示されている。また, 国際産業連関表を用いた分析により,投資・貿易面 に加え生産面においても域内依存度が高まっている ことが確認されている。 第4章 アジア経済圏の胎動 では,第1章での 察を踏まえ,より深い地域統合の形態を担うべき 主体として APECを挙げ,その中でも アジア経済 圏 (ASEAN10+日韓中)が域内の経済発展を促進 する上で積極的なイニシアティブを取るべきである と提案している。また,WTOは浅い統合(貿易・投 資の世界的自由化)を推進することを目的とする機 関であり,APECとはその役割分担が異なることを 指摘している。 第5章 アジア太平洋の地域主義と日本の戦略 では,地域主義の流れについてまとめた上で APEC の現状とその地域主義との関わりについて 察を行 っている。特に,APEC加盟国のほとんどが域内依 存度だけでなく域外依存度も同時に高いことから, APECが閉鎖的な地域ブロックになることはあり得 ず,あくまでも開かれた地域主義を原則とすること を強調している。 本書は,深い地域統合,しかも 開かれた 地域 統合を APEC,中でもアジア経済圏が中心的な役割 を果たしながら進めていく必要があるとしている点 で興味深い。APECは今年で発足13年目を迎えた が,域内自由化のプロセスは遅々として進んでいな い。特に,早期自主的分野別自由化(EVSL)交渉の事 実上の失敗により,1990年代後半以降は個別行動計 画(IAP)の改善と経済技術協力(ECOTECH)に議論 が集中しており,APECの活動は自由化を目指しな がらもその自由化を支援する 円滑化 と経済技術 協力に焦点が当てられている。このような APECの 自由化を支援する活動は,本書で提案されているよ り深い地域統合を実現する上で重要な役割を果たす ものと えられる。今後の APECの活動に期待した い。 (アジア経済研究所経済協力研究部) アジア経済 XLIII-1(2002.1)

小島 清編著

太平洋経済圏の生成 第3集

文眞堂 2001年 ix+277ページ 福 本 真 弓 紹 介

参照

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