創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第58巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.58,No.1. 平成19年8月 August,2007. 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や 表現力を育む算数・数学教育の研究. 大久保和義・浜野 雅輝*・加瀬 富久*・斉藤 康夫**・上田 雅也**. 北海道教育大学札幌枚数学教室 *北海道教育大学附属札幌小学校 **北海道教育大学附属札幌中学枚. AStudyofMathematicsEducationtoDiscussActivelyandto BringuptheAbilityofMathematicalThinkingandExpressing OKUBOKazuyoshi,HAMANOMasaki*,KASEAtsuhisa*,SAITOYasuo**andUEDAMasaya** DepartmentofMathematics,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation. *sapporoElementarySchoolattachedtotheFacultyofEducation,HokkaidoUniversityofEducation ** sapporoJuniorHighSchoolattachedtotheFacultyofEducation,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 教育課程審議会答申(平成10年)の算数・数学科の改善の基本方針として「…多面的にものを見る力や論 理的に考える力など創造性の基礎を培う。」が掲げられ,創造性の基礎の育成が重視されている。算数・数 学学習において,より主体的に児童・生徒を授業に参画させ,創造的な活動をさせるためには,個々で発見 し,考えたことを児童・生徒間で交流することによって,自分の考えを表現したり,いろいろな角度から問 題を解決できることを理解したり,問題の本質を捉えたり,自ら発展的に考えたりする力を育成することが 大切である。. そのためには,教師は日常の授業の取り組みで,自ら問うこと,また能動的に話し合いに参加することを 習慣づける指導と,児童・生徒がそのような活動を生み出す課題を設定する授業を小,中学校を通して継続 的行っていくことが必要であると考える。本研究では,児童・生徒の創造性の基礎を培うための1つの工夫 として,話し合い活動を大事にした実践を取り上げる。. 1.数学教育における創造性 創造性とは一般的に「既存の知識や技能をベー. 算数・数学教育における創造性に関しては,平 成10年7月に出された教育課程審議会答申におい て,算数・数学科の改善の基本方針として「/ト学. スに,新しい価値あるものを創り糾す能力とその. 校,中学校及び高等学校を通じ,数量や図形につ. 活動を動機づける態度」と捉えることができる。. いての基礎的・基本的な知識・技能を習得し,そ.
(3) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. れを基にして多面的にものを見るカヤ論理的に考. り,具体的な事象と関連づけたりするなど,意味. える力など創造性の基礎を培うとともに,事象を. を伴って理解をすることである。このような理解. 数理的に考察し,処理することのよさを知り,自. を通して具体的な場面で実際に適応でき,また,. ら進んでそれらを活用しようとする態度を一層育. 新たな学習でも活用することが可能になる。. てるようにする。」と示されている。ここでは,. 2)「構造的な理解」(コンセプトマップ等). (1)「多面的にものを見る力」 (2)「論理的に考える力」. 基礎・基本の確実な定着を目指すためには,学 習した内容をバラバラに理解しているのではな. 等が創造性の基礎を培うことと押さえられてい. く,児童・生徒がそれらを構造的に捉えておくこ. る。新たな発想を生み出すためには,論理的な思. とが大事である。たとえば,単元の学習を終えた. 考力,想像力,直観力などの能力の育成が大事で. 後に,獲得した知識等をコンセプトマップ等を用. ある。特に算数,数学科では,小,中学校段階か. いて,再構成し,新たな学習に使える知識体系を. ら,それぞれの段階に応じて徐々に多面的にもの. 形成しておくことも効果的である。附属札幌中学. を見たり,論理性のあるいろいろな考え方に触れ. 校の実践では,MATHターシートというネーミ. たり,それらの力を育成する学習が重視されてい. ングで,個々の生徒が自らの学びを全体構造図で. る。. 表していく活動を行っている。生徒が全体構造図. 先に述べた創造性の捉えから,学校教育におい て創造性を発揮するためには(1),(2)以外に. (3)「今までの学んだ内容,方法等の確実な定. を作成した時の自己評価の一部を紹介しておこ う。「数の範囲が広がり,さらに難しくなってき. ました。はじめはプラスの世界しか知らなかった. 着と新しい学習に対してそれらを自ら活用しよう. 私がこんなに広い世界を学んで少しでも理解でき. とする力」. ていることに自分でも驚いています。全体構造図. が必要である。児童・生徒にこうした力をつける. を作成してしっかりと理解していないところが改. ためには,教師は日常の授業において,既習の学. めてわかりました。」これは3学年での平方根の. 習内容,方法等を児童・生徒から引き出させるこ. 学習を終えての構造図での評価であるが,このよ. とを意識した授業を構成することが大切である。. うな学習を1学年の「止負の数」から継続してき. また,基礎・基本の確実な定着が大切となる。基. ており,その学習履歴を個々の生徒が見られるよ. 礎・基本が確実に定着したとは,授業で習得した. うにファイル化されている。先の記述で見られる. 知識・技能,考え方等が他の課題追求,解決の際. ように,小学校での正の数での学習から中学校で. に活用され,機能した状態となることと考えるこ. の負の数,平方根等の学習を通して数の世界が広. とができる。すなわち,学習者である児童・生徒. がっていくこと,また自分の学びに対する驚きと,. 自身が意識的にそれまでに習得した基礎・基本を. それらの学習を通して自分の不足しているところ. 用いて新たな学習課題に対して基礎・基本の習得. の発見がなされている。さらに,自分自身の学び. に臨むことであるといえる。. の履歴から,自分の弱点を知り,また,教師も生. 使える基礎・基本となるためには次のことに留. 徒の学びについて理解し,指導に役立てることが. 意した指導が求められる。. できる。. 1)「意味の理解を伴った知識・技能」. 3)集団での学び. 基礎・基本の習得に関しては,その基礎にある. 現在,算数・数学の授業で使われる主なスタイ. 原理や法則に裏付けられた知識,技能が大事であ. ルは問題解決的な学習である。個々の生徒の活動,. る。たとえば,中学校1学年の文字式の学習にお. 考え方を大事にすることを基本としながら,この. いて,ただ単にその計算の仕方を形式的に理解し,. 考えを集団で交流することを大事にしている。集. 計算練習で習熟するのではなく,図と結びつけた. 団での交流によって,他者の考えを取り入れなが.
(4) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. ら個々の考えを広めたり深めたりして,数学的な. その関係を表すことによって,考え方がよりわか. 見方・考え方を含めたより確実な基礎・基本の定. りやすく,見やすくなることが理解できる。この. 着が期待できる。また,交流を通して,自分の考. ことは次のこととも関連する。すなわち,. えを論理的に説明したり,考えに幅をもたせるこ. (6)「数学的な表現・処理の美しさや数学的な. と等,創造性の基礎を培う上でも期待できる。さ. 見方や考え方のよさを認識する力」. らに,. も創造性の基礎として重要である。. (4)「自ら発展的に考える力」 も大事である。. 2. 1. 数学者が研究を進めていく1つの手法として,. 2. 1. 4. 3. 2. 5. 4. 5. 4. 8 10. ある定理を拡張するということがある。その定理. 2. で与えられている条件が本質的なものなのか,. 3. もっと嬢やかな条件の下にその結論は成り立たな. 4. 4. 5. 5 10 15. いのか,また,与えられた条件でもっとよい結果. 3. 12 15. 8 12 16 20. 20. 25. がいえないだろうか,ということを考える。 数学の授業において教師から提示された問題を 解決するだけで終わるのではなく,より発展的に,. 文字式の計算について学習した後で,かけ算九. そこで示されている条件をゆるめたり,他の条件. 九表を用いて,たとえば,次の表1から,4×9. に匿き換えたりして,どのようなことがいえるか. =6×6になることを発見した場合,この性質は. を考えようとする態度が大切である。発展的に考. 表から正方形で囲まれた1つの部分(4,6,6,. えることは,上で述べた数学者が研究を進めてい. 9)だけの数字がもっている性質ではなく,どこ. く方法と同じであり,創造性を育成するための大. に4つの数字を囲む正方形をとっても「対角成分. 事な力となる。創造的な見方を育てるという意味. 同士の積は等しい。」ことがわかる。さらには,もっ. では,場合によっては,教師はより強めた条件の. と大きな長方形(たとえが表1中の4,6,8,. 元に課題を提示し,その証明を通してその定理の. 6,9,12を囲む長方形)でも,その頂点の数の. 本質を生徒に気づかせる活動も効果的であろう。. 対角成分同士をかけるとやはり同じになることが. 創造的な思考を行うための基礎として (5)「得られた結果,方法がより簡潔に,簡単に,. 分かる。(先の例では,4×12=6×8)このこ とを発見して,その理由を説明しようとすると以. わかりやすくできないかを考察する力」. 下のようなことが考えられる。九九表の代表を取. も大事である。そのためには,数学の問題を解決. り出して. した後に自分の解決を振り返ったり,または,全. 体でその解決について議論したりすることによっ て,与えられた条件をどこでどのように使ったの. Ⅹ. y. ay. aX. か,既習の学習での内容,方法,考え方をどのよ. うに活かしたのかを意識して見直すことが大切で ある。. bx by 表2. たとえば,「5人の中から委員2名を選ぶ方法 は何通りあるだろうか。」という問題を考える場. を考えると,aX・by=bx・ayが成り立ち,し. たがって,特別な数で考えなくても九九表をどん 合,A,B,C,D,Eの5人から,(A,B),(A, C),…のように具体的に抜き糾して10通りを見. な大きさの長方形で切り取っても,やはり,各頂. つけることができる。この場合,樹形図を用いて. 点の対角線にある数同士をかけると同じになるこ. 6.
(5) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. とが文字を使って一般的に示されることを理解 し,文字を使用することのよさ,美しさを感じと ることができるだろう。. 以上述べてきたこれらの力を育成するために. た。. 今年度は,児童・生徒が自ら発見したり考えた りしたことを,練り上げていく場面での活動に焦 点を当てて研究に取り組んできた。そのような授. は,通常の数学の授業においても,教師がこれら. 業を構築する視点として,「創造的な話し合い活. のことを意識し,生徒に意図的にふさわしい場面. 動」をキーワードにした。「創造的な話し合い活動」. を設定することが必要である。. とは児童・生徒が次のような姿勢で取り組むとき. 本研究では,児童・生徒の創造性の基礎を培う ための1つの工夫として,「創造的な話し合い」 活動を大事にした実践を取り上げる。. とする。すなわち,. ① 学習集団の一人一人に共通の目標,目的が ある。. ② 学習集団の一人一人が平等に参画し,責任 2.創造的な話し合い活動 1.で述べたように算数・数学教育では創造性 の育成が大事である。通常,算数・数学の授業で. はその指導法として大きく次の2つが考えられ. がある。. ③ 分化,対立した考えを合意するための討議 がある。. ④ 自他の話し合いへの貢献を評価し合う場が ある。. る。1つには教師が中心となって説明,暗記中心. ということである。児童・生徒一人一人が共通の. の指導法であり,もう一方は児童・生徒の活動を. テーマをもって授業に参画し,その解決のために. 大事にし,児童・生徒が自ら創りあげていく指導. 一人一人が主体的に授業にかかわることを大事に. 法である。前者は児童・生徒にとって受け身の授. した。. 業となり,聞いて覚えるだけなので暗記が中心で. 「創造的な話し合い」を行うことによって個々. 子どもが思考をする場面はそれほど多くなく,. の算数的活動,数学的活動が活性化され,また,. 従って創造性の基礎的を育てるのにはふさわしく. 質の高まりが期待でき,その結果として,「問題. ない。後者は,児童・生徒自身が自分の考え方を. を解決できた。」から,「多様な考え方が見いだせ. もったり,それを基に児童間,生徒間で議論をし,. た。」,そして「発展性,一般性の気づきや多様な. よりよいものに練り上げていく活動が求められ,. 考えの統合化を図るなど数学の神髄がみえた。」. 創造性の基礎を育成するのに適した指導法といえ. へと深まっていくことになろう。「創造的な話し. る。児童・生徒の活動を大事にする授業では,作. 合い」の具体的な意義,機能性としては以下のこ. 業的,体験的な活動,または観察,操作,実験な. とが考えられる。. ど具体的な活動,さらには事象の中に潜む関係を 探り規則性を見いだしたり,分かりやすく説明し たり一般化したりする数理的に考察する活動を含. ① 深く分かり合う授業を目指すことができ る。. ② 自分の思考過程を整理し,表現することで. む算数的活動,数学的活動を通した学習が求めら. 明確化でき,自己との対峠を進めることがで. れる。創造性の基礎を培うことをねらいとして,. きる。. 昨年度は『算数・数学教育における児童・生徒の 創造的な活動を促すコンピュータ活用に関する研 究』を主題にして,教師がある画面を提示して児 童のいろいろな考えを引き出すための工夫をした り,生徒自らがコンピュータを操作することに よって問題を設定したりする授業実践を行ってき. ③ 自分の考えを発信することで数学的な表現 力を高めることができる。. ④ 他者の考えを受信することで知識の構成を 促進できる。. ⑤ 自他の考えの妥当性や機能性,効率性を検 討することができる。.
(6) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. ⑥ 集団における人間関係を深めると共に, 個々の生徒の数理的処理能力などを高めるこ とができる。. いく授業に高めていく。. その時の子ども達が,『話し合う視点』をもっ て取り組む姿として,以下を挙げる。. 以下では,小学校,中学校での「創造的な話し. 合い」を取り入れた授業実践を取り上げ,その成. O「あれ?おかしいな」と思ったことを確か. 果について述べる。. めようとする姿. ○自分の考えを伝えたり,友達の考えを理解 しようとしたりする姿 3.具体的な実践例. ○目に見える数値を機械的に立式するのでは. 3.1.小学校1年生「じゆんばんのかずのたし. なく,“わげ’を意識しながら考えようと. ざん ひきざん」. する姿. 3.1.1.授業のねらいと授業の概要 1年生の算数学習では,春に「前から何番目」. このような子ども達の心の動きがあってこそ,. や「前から何人」など,順番の数について学習す. かかわり合いを通して,解決に向かう姿が現れる. る。それまでは,5や10のまとまりを意識しなが. のである。. ら,「何がいくつ」という“集合数’’について学. 繰り上がりや繰り下がりを既に学習している3. 習した上で,‘順序数’’に進むのである。その既. 学期であるが,この単元で扱う数値は小さめに設. 習を生かして,1学年の算数学習の最終単元とし. 定する。「何番目」や「何人」という,問題文の. て「じゅんばんのかずのたしざん,ひきざん」に. 構造に直結する部分を子ども達自らが創り上げて. 取り組む。「00は前から何番目です。後ろに何. いって欲しいからである。単元の足跡も「何番目」. 人います。全体で何人ですか。」等の順序数と集 合数が混在した加法・減法について学習する。. 単元全体の見通しをつかむ段階の学習では,単 純にa+bで立式できるかたちの問題に取り組. 「何人」の組み合わせで進めてきていることを意. 識させながら,子どもと教師とが共に作っていけ る展開を重視する。子ども達が創り出す価値を以 下に置く。. む。そこでの重要な気づきには「“何番目’’の数. には,自分も含まれている」ことがあげられる。. ○問題文から読みとったことを,絵や図や具. また「00の前に何人,後ろに何人います。全体 では何人?」という形の問題はa+b+1という. 体物などで構成し直す力. ○友達の式を読みとったり,自分の見方を式. 構造になっていることも学習する。“何番日’’と“何 人’’がそれぞれ単元を貫くキーワードとなる。. に表す力 ○既習を生かして視覚的に納得できる方策を. 本時ではそれらのキーワードから必然的に導き. 出される,「00は前から何番目です。後ろから. つかむこと ○それぞれの式の表し方から,一つ一つの「数 の見方」を考えること. 何番目です。全体で何人ですか。」というかたち. の問題に取り組む。1年生としては若干発展的な 内容であるが,「問題文から読みとれる場の状況. さらに,たし算になる場やひき算になる場を『全. を,意味を考えながら,とらえ直す」ことに価値. 体数,比較数,補数』という3要素を意識しなが. を持って挑戦させたいと願う。「ほんとかな?」. らとらえ直すことも重視する。たし算でもひき算. 「だってさ!」「1をひくのはそういう意味なん. でも,もとにする“1’’が含まれているかいない. だ!」といった声が現れて,1年生なりに『話し. かに焦点を当てて考えていけるような構成とす. 合い』が効果的に行われ,子ども達が創り上げて. る。.
(7) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. 本時の学習までに,「∼番目」には起点を含む. ことを既習としている。ところが本時では「∼番 目」と「∼番目」と同種のものが重なるために,. 0泰時への見通しを棉】つ . ̄. 、、_町=わ』_ノノ と 、む−ばんめ』. で考える間野≡ね,今日はね…. ・辛がかりである2つの臭件の.  ̄. i‥・1∴‖∴−.‥二十二・−∴ ;. どちらもトーばんめ」であること を,意謡毘できるような閑適提示 を行う。. でし磨?. ・明確に百分の患いをもてる子 もいるはすである。「たすだけで. [コ+△かな? ロ番すと△香田だかち,たしざんで考. たしたらへんだよ?. いいのかな?」という手の考え. ・□番目って言うけど,びろし宅. も伝えなガち,敷をそのままた. 前には☆人なんじゃない. してもいいのかなと,ゆれ始め たときに確かめる∃骨勤にi望ませ■ たい。. たたぎ恕して=考えるのlさへんじゃ毛声■l?. 並′ヾ1=確か‘わ1=みきうl. 0積み木を伐って,強かめ,場面¢見方を考える [:コ=4 /\=ヱのと圭lさ?. ・どの子切秦規芳書羨も,おそち く積み7Rになるはずである。黒. 重なりの処理についての気づきにずれが生まれる. 板上で塩代泰時なものを提示. □□[コロU. して全一本で㈲ヽめる。. ・ではこの間慧(お謡〉はどんな. と考える。教師の役割として,数字を機械的に立. 謁で表ざれるのか,百分の見方 を式で轟規させる。キの式の怠. 喋を≡亮みあう講納を恥入れた い○. 式するのではなく,問題場面から読みとれる状況 4+1+2. 5+3−1. を具体的な方法で確かめる活動へ進めることを促 す。更に,改めてこれまで学習してきた「お話を 表す言葉としての式」に表してみることを進める。. そうすることで,同じ「7」という場面の,“ど の数をどうとらえるか’’という見方を,子ども達. ・どれも△△って考えたから.その式になるんだね!00さんの考えいることが. わわヽったよ■. イー一つてことはね」と様々な鳩 舎について考える,易を持つ=と で,もしかしたち無意識に削り. 「U甲んlずんのI≡してぎんJマ=もl司層わーら式ねり乍寸t】≡ き′ぴうし官印どこにIl与力tわl∧.乃lえ雷≡わlらだ■⊆′. 上げたことを,改めて実感ぎせ. る。 [頭 順序緻に含まれている要. 0通有間ヨで.自分の場面の見方を勧\めると共に.洩持への見i慮ノを持つ。. ・」lF緋bかっているときlま,芸文を∧一つて考えればいいんだね○できた! ・えっ?じゆんばんのひきE?でもできそう!. 素を;売みとり.数字の意喋を 考えながら.場面を理l昭して. いる。. 同士がお互いに高めていく姿につながっていくの である。. うさぎの“ぴろしくん”は,. ① 前から4番目,後ろに3羽います。 3.1.2.授業の考察 本時の授業を以下の学習指導案のように構成し た。. 授業の導入では,それまでの単元の学習を振り 返りながら,取り組む意欲を更に高めていく。「∼. 番目」と「にん」の組み合わせで問題を作り,取. → 4+3 ② 前に5羽いて,後ろから2番目です。. → 5+2 ③ 前に3羽いて,後ろに6羽います。 → 3 +1+6 うさぎは全部で何羽でしょう?. り組んできたこれまでの学びである。. ①と②は,問題文の中に現れる数値をそのまま 立式すればよい問題でもあり,難易度としてはそ れほど高くはない。③になると,前と後ろの数だ けをたしても,“ぴろしくん’’の数が含まれてい. ないので上記のような式が求められてくる。「問 題文に現れる数値を機械的に立式するのではな く,問題場面を具体的にイメージしながら考える こと」「式を,いわゆる“答え’’を導き出すため. だけのものととらえるのではなく,場面状況を算 数の言葉で表現するものと捉える」という本時の ねらいにも近づいてきているものである。. 前時に③の形を学習したときには,そのような.
(8) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. 視点で子ども達も①や②の形の問題を見直す姿が あった。つまり,. が起こる。それまでの単元の学びがありながらも, 場面が変わると「問題文の数値を機械的に当ては めて立式する子」と,「具体的な並び方をイメー ジして答えを導き出す子」の対立である。実際は. という現れである。「前から4番目」の「4」の 中にぴろしくんが含まれていることを,③の形に 取り組み,「ぴろしくんの“1’’をたさなくちゃ,. 全部の数はわからないよ」という気づき,話し合 いが進んだからこそ,①や②の問題の構造に追求 が及んだのである。. さて,あらためて④の形である。. ぴろしくんは,前から5番目,後ろから3番. と,具体物を操作し,比較することでどの子も納. 目です。うさぎは全部で何羽でしょう。. 得することができた。③の形の問題では,『ぴろ. しくんの“1”が問題文の中の数値に表れていな 従来,このような学習問題は2学年で指導され. い』ものであったが,④の形の問題では『ぴろし. ることの方が多い。しかしながら「∼番目」と「∼. くんの“1’’が問題文の数値の両方に含まれてい. 人(羽)」という場の理解に1年生の子ども達が. る。重なっている』ものであることを,子ども達. 共通の目的を持ったならば,当然このような形の. は話し合いの中で気づいていったのである。. 問題にまで目的意識がつながっていくはずであ る。さらに①∼③の形を振り返る導入を経て,こ. その気づきに至った子ども達は「5+3では, ぴろしくんが重なってしまう」ことから,. の形の問題に対する意識を育んでいくのである。. 授業を構想する上で大きく二つの段階で考えて. それではうさぎは全部で“7羽”は,. いた。−,「順序の数が重なることを見つけ出し,. どんな式になるのだろう?. “1”をひいて考えることに気づく段階」。二,「全. 部で“7”を見つけ出した後に,改めて式に表す. という問題意識にたどり着く。想定のこの段階で. とどうなるかを考える段階」である。. ある。. 一つ目の段階では. 一人一人の子ども達が自分の見方で立式をす る。そしてお互いの立てた式を読みあうことで, 同じ場面を多様に見ることのできるよさにみんな が到達していく。.
(9) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. ・点Pを通り三角形の面積を2等分する直線 のひき方を考えよう。. 憲+24+憲箇憲. ∠、. 「ぴろしくんは,この“5’’の中にいるんだね!」 「“5’’と“3’’の両方にいるから,一人ひくん. だね!」等と,前時までの既習(①∼③の形の問. 数学教育において,課題を解決するだけで終わ. 題)を生かしながら,お互いの見方や考え方を読. るのではなく,課題に示された条件を変えること. み解きあった。. によってどのようなことがいえるのかを考える力. 集団で学ぶよさを存分に生かしながら,一人一 人の見方・考え方が高まりあう姿を見ることがで. を育てることが必要である。. この題材「平行線と面積」では,始めに頂点か ら三角形の面積を2等分する方法を学習する。そ. きた。. して,頂点以外からも面積は2等分することはで 3.2.中学校第2学年「三角形と四角形」 一平行線と面積−. 3.2.1.題材の価値とねらい この単元「平行線と面積」では,底辺が共通な. きないのだろうかという条件変えからの課題解決. に向かう授業展開(3時間目)や面積の等しい三 角形の作図から,面積の等しい四角形と三角形の 作図への条件変えを行う授業展開(2時間目)と. 2つの三角形において,底辺に平行な直線上の2. する。このことにより,生徒の多面的にものをみ. 点を頂点としたときに,底辺も高さも等しくなる。. る力を育て,創造的な活動の取り組みを行うこと. このことから,2つの三角形の面積は等しくなる. につながるのである。. こと(等積変形)について学習する。面積が等し. いことの証明は,合同であることの証明とは異な り,図形の形ではなく,平行線の位置関係に着日. 3.2.2.授業の概要と考察 多様な考え方を見出すことで,単に問題が解け. して考えていくことが大切である。2つの三角形. たということではなく「わかった」「できた」と. が等積になることに関心をもたせ,平行な2直線. いう深まりをもたせることにつながる。深く分か. の間の距離に関連づけて考えようとすることで,. り合う授業を目指し,生徒の創造性の基礎を培う. これまでに学習してきた平行線の性質について振. ことをねらいとした2時間目の授業の概要を示. り返り,そのよさを実感することにつながること. す。. をねらいとした。 これまでに学習してきた「底辺が共通で高さが く平行線と面積の指導計画〉(全3時間) 【1時間目】. ・三角形の面積を二等分するにはどのような. 直線をひけばよいのだろうか。 ・面積が同じになる三角形を作図しよう。 【2時間目】. ・四角形ABCDと面積の等しい三角形を作図. 等しい三角形であれば面積が等しくなる」という ことが, 自ら活用 できるこ とで,基 礎・基本 が確実に. しよう。. 定着した. 【3時間目】. 状態とし.
(10) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. て見ることができる。この間題では,四角形の対. △ACD=△ACE. 角線に平行な直線をひくことで,三角形に等積変. ここで,. 形ができることを考えることが目的である。. 四角形ABCD=△ABC+△ACD. 授業では,同じ大きさの四角形がたくさん善か. また,△ABE=△ABC+△ACE. れたワークシートを配布し『多くの作図の方法を. したがって,. 考えてみよう』と生徒に促した。多様な考えを生. 四角形ABCD=△ABE. 徒からひきだし,等積変形についての考えをより 深く学ぶことにつなげるためである。. また,あらかじめワークシートと同じ四角形の. 「他に,どのような作図方法があるのか」と生 徒に問うと,①の考えと同様にした求め方をいく. 図を記入にした小黒板を数枚用意しておいた。/ト. つか発表し,確認することができた。(①2や①3. 黒板を使うことは,集団の中で自分の考えを伝え. は主な例である。). る際に,一から図を書かずに作図方法を発表する ことで,凶を書く時間が短縮され,授業の中での. ①2 Eの点を①とは異なる位置に取り,四. 話し合い活動の時間が確保され活性化されること. 角形と面積の等しい△BCEをつくること. につながる。またいくつかでてきた考えを,黒板. ができ. 上で整理していくことができ,有効的な手段であ る。 問題を碇示後,数分考える時間を取ると,これ. までに学習してきたことを生かして多くの生徒が ①の考え方で解いていた。 .. 次に,なぜ四角形ABCD=△ABEといえる のかということについて,全体で確認した。これ までに学習してきた等積変形について振り返りな. がら,面積が等しくなることについて証明するこ. 集団での学びの中から,自分の考えと同様のも. とができた。. のや異なる考えを確認しあい交流することは,動. (証明). かす頂点や対角線に平行な直線のひき方によって. △ACDと△ACEで,. 様々な形に等積変形ができるということの理解を. AC//DEから,底辺をACとすると.. 深めることにつながっていった。. 高さが等しいので,. 教師が中心となって説明,暗記中心の授業では,.
(11) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. ①の考え方のみから等積変形についてまとめてい くのが一般的である。今回の授業では,(丑の考え. た。それが③の考え方である。 この考えでは,面積が等しいといえないのでは. 方だけではなく,同様な考え方として,集団で考. ないのかという声もでて,意見が分かれた。最終. え方を交流することで,①2や①3といった考えを. 的には,話し合いの活動の中から,高さが共通の. 交流することにより,より確実な基礎・基本の定. ときに,底辺が等しいならば面積が等しくなるこ. 着につながっていった。. とがいえるという考え方から解決していった。. そして今回の授業では,それだけではなく,① の考えとは異なる考え(②)で作図をした生徒を 取り上げた。そして,なぜこれでも面積が等しい. 図形になるのかの話し合い活動をもたせること で,また新たな作図方法(③)を見つけだしてい く授業展開とした。. ② 対角線ACをひく。点B,点Dからそれ ぞれ,ACに垂線をひき,その交点をE, Fとする。FDを延長して,BE=DPとな る点Gをとる。点Aと点Cを結んで,△. BE=DPより. ACPをつくる。. △ABE=△ADP,△CBE=△CDP. A. よって 四角形ABCD =△ABE+△CBE+△ACD. 盛衰プ ②の考えは,底辺が共通のときに三角形の面積. =△ADP+△CDP+△ACD =△ACP. ③の考え方から,面積の等しい三角形について. の求め方に着目して,高さをずらした考え方であ. 行った1時間目の学習を振り返ることになり,学. る。. びの連続性を実感することができた。. このように,平行線を用いた頂点の移動からの 四角形ABCD. ①の考え方だけではなく,高さに注目した②の考. =△ABC+△ACD. え方や,さらには③の考え方へと思考を膨らまし. =AC x BE÷2+AC x DF÷2. ていくことができた。このような多様な考え方を. =AC x(BE+DF)÷2. 見出そうとする「創造的な話し合い」の活動は,. =AC x(DP+DF)÷2. 数学的活動が活性化し,質の高まりへとつながっ. =AC x PF÷2. ていくのである。. =△ACP. そして,今回の授業では生徒の問いから学習課 題が見出されたことにより,責任をもって課題追. この考え方を解決していくなかで,高さをずら. 究する姿や,課題解決後に,条件を変えるとどう. して求めるという考えではなく,対角線どうしで. なるかといった自ら発展的に課題を見い出そうと. ずらすことによっても面積が等しい図形が作図で. する態度も育成することができた。. きないのだろうかという疑問の声があがってき. 10.
(12) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. 3.3.中学校第3学年「三平方の定理」. 簡潔さや美しさについて感得していったのであっ. 3.3.1. 実践例に至るまでの流れ. た。. 「創造的な話し合い」が成立し,生徒の学びに 機能するためには,生徒自身が話し合いの必然性 をもって課題に取り組む状況が必要である。言い 換えると,授業の中に話し合いが自然な流れで行 われるよう,教師が手だてを講じる必要がある。. 「創造的な話し合い」により,どのような授業が 展開されたかを,3年生「三平方の定理の証明」 の実践例をもとに説明していきたい。. 附属札幌中学校では,平方根の導入および無理 数の「新しい数としての存在とその必要性」を,. (1)三平方の定理の証明(その1). 三平方の定理は数多くの証明方法があることは. 三平方の定理の証明と活用を通して学ぶことがで きるよう教育課程を編成している。ここで紹介し. 知られている。教科書には,次のような証明例が. た授業の取り組みは5月のものである。したがっ. 見られる。. て,5月以降,生徒にとって三平方の定理につい ては既習のものとなっている。. 巨こコ. という直角三角形に対して (2)三平方の定理の活用(9月の取り組み). α. 三平方の定理について生徒は既習事項として, この正方形の面積は. l■. 例えば次のような問題に活用できることを理解し. c2=‡αみ×4・(α−み)2 た。. 【問題】4つのおうぎ形の弧 に囲まれてできる中央の部分. この正方形の面積は. ∵. (α・∂)2=‡α∂×4・c2. 教科書の例題を用いながら,中央の四角形が正. の面積はどのように求めると. よいのだろうか。. この間題は,次のような補助線を引き,おうぎ 形や二等辺三角形(正三角形)の面積を工夫して. 方形になることを仲間に言葉で説明する活動を取. 求める(三平方の定理を活用して三角形の高さを. り入れた。そして,正方形の面積の関係を直角三. 求める)ことにより解決できる。生徒一人一人は. 角形の3辺の長さα,∂,Cを用いて表現した。. 多様な補助線の引き方を考え,その補助線からど. その結果,どちらの面積図からもが成り立つこと. のような図形が見えてくるのかを互いに発表する. を,生徒自ら見出した。三平方の定理の,単純で. 中で共通点を見出し,議論を深めながら,課題を. ありながらも調和の取れた式で表されるその結果. 追究していく姿が見られた。. と,直角三角形のもつ新たな性質に驚きを感じて いる様子であった。そして,本当にすべての直角 三角形で㌔+∂2=C2が成り立つかどうかを,次 のように方眼を用いて帰納的に確かめながら,生 徒は三平方の定理の図形的な意味とその数学的な. 11.
(13) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. 3.3.2.「創造的な話し合い」が授業に機能 する実践例. (1)三平方の定理の証明(その2)(2月の取り. に利用しても構わないと考える)を含む教材を厳 選し,授業のねらいに応じて碇示の工夫など行な うことによって,生徒の課題追究・解決に向けた. 組み). 動機付けが得られるということである。解決した. 授業の中に,自分の言葉で説明する活動や,自. いという動機付けは,その後の「創造的な話し合. 分の考えを互いに発表し議論する活動を取り入. い」への動機付けにもなる。ここに話し合いが自. れ,そこから数学の本質を見出したり,新たな数. 然な流れで行われるような手だてがとられたこと. 学の価値を見出したりすることが必要である。「創. になるのである。. 造的な話し合い」は,話し合いの中からそのよう. 授業の実際では,生徒は△ABDと△CADが. な数学の本質や価値の創造・発見・獲得をねらっ. 相似であると予想した。直感をはたらかせた生徒. ているものである。これは与えられた問題を反復. や,その形状から発見した生徒など様々であった。. しながら,既に出来上がった学問の内容を理解す. しかし,なぜ△ABDと△CADが相似になるか. る学習とは一線を画す。. は,この段階ではまだわかっていない様子であっ. 次に挙げる実践例は生徒にとっては未知の世界. た。ここで,「なぜ△ABDと△CADが相似に. である内容を,自らが仲間との話し合いの中から. なるかを考えてみよう」と発間した。自分でじっ. 切り拓き,数学の本質や価値を創造・発見・獲得. くり考えたい生徒もいるので,話し合いをしなさ. する過程を重視したものである。. いという指示は出さずにいたが,困難性のある問 題だったことから,必然的に自分が考えたこと,. 【問題】次の図の中に,相似な三角形が隠れ. 迷っていることを仲間と交流することによって解. ている。どの三角形とどの三角形が相似か見. 決を図ろうと生徒は話し合いを始めた。この話し. つけてみよう。. 合いを機能させるために,座席近くの4人グルー プでの話し合いを基本とするが,話し合いが活性 化するように自由に移動してもよいと声をかけ た。より多く,自分と仲間の意見交流する機会を. 設けるための声かけである。話し合いをすすめる 中で,次のような意見が出た。. この間題にはいくつかの困難性が含まれてい. ・△EBA,△EACはともに二等辺三角形. る。1つめは,相似な三角形を自分自身で見出さ. だから∠EBA=∠EAB,∠EAC=∠. なければならないこと,2つめは,それに伴い三. ECAである。. 角形の相似条件を意識しながら,証明の方向性を. ・∠Dは共通。. 意識し,自己決定しなければならないことである。. ・2つの三角形に共通するような辺の情報は. ある意味,この困難性をもった教材の提示が「創. ないので,相似条件は「2組の角がそれぞ. 造的な話し合い」に向けた教師の手だての1つだ. れ等しい」になる。. といえる。. 本校3年生に行ったアンケート(3月に実施) によると,適度な困難性のある問題ほど,解決し. たいという願望が強いことがわかった。つまり,. ・BE=CE=AEなので,点Eを中心とす る半円が考えられる。. ・∠EAD=900なので,線分ADは接点を. Aとする円Eの接線である。. 教科書に載っているような問題(本実践は載って いないものを扱っているが,教科書の問題を大い. 12. これらの意見をもとにしながら,生徒は∠.
(14) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. BAC=900であることを話し合いの中から見出し. いかに相似で習得した概念を活用していくか,そ. た。そして,∠EAB=∠EBA=∠CAD,つま. こに見られる課題を多面的に捉え,論理的に考え. り∠ABD=∠CADであることを導き出し,△. 表現することができるか,中心発間にはそういっ. ABD∽△CADを証明したのであった。(生徒の. た授業者のねらいと想いがある。. 一般的な証明は900−∠EACで∠Alミロ=∠. 生徒は新たな課題に対し,さっそく話し合いを. CADを導くが,∠EAD=900なので,線分AD. 始めた。それは最初の相似の問題以上に困難性を. は接点をAとする円Eの接線であることを利用. 感じていたためと思われる。困難性が高いため,. し,接弦定理から∠ABD=∠CADを導く生徒. 話し合いがなかなか活性化されないときには,こ. もいた。もちろん多くの生徒は感嘆と賞賛の声を. こにも教師の手だてが必要とされる。次のように. 上げた。ここにも話し合いによる多様な価値の交. 全体に対し声かけを行った。. 流が見られた。). 生徒は,困難性のある相似の問題を解決するこ とができたと満足気であったが,教師がねらって いるこの間題の数学の本質はここにはなく,この 間題の裏側に隠しておいた。つまり,この授業の ねらいは相似であることを証明するのではなく,. 相似であることを利用して,新たな価値を見出す ことにあった。そこで,次のように切り返しの発 間(実はこれがこの授業の中心発間となる)をし. た。「この事実(△ABD∽△CAD)から三平方 の定理を証明してみよう。」. この段階で,今日の授業のねらいは相似の証明 ではなく,三平方の定理の証明であったというこ とを理解した。しかし,相似で学んだことが果た. して三平方の定理で活用できるのか,そして今ま で見たことも聞いたこともないような三平方の定. 生徒は,話し合いながら次のような自己決定を 行った∩. 理の証明に自分たちが挑戦できるのか,生徒は多 少困惑した様子であった。 創造性の基礎を培うためには く1.数学教育に おける創造性〉 にも記述されていた通り,(1)「多 面的にものを見る力」,(2)「論理的に考える力」, (3)「今まで学んだ内容,方法等の確実な定着と新 しい学習に対してそれらを自ら活用しようとする 力」が必要である。本時の中心発間は,(3)「今ま. で学んだ内容,方法等の確実な定着と新しい学習 に対してそれらを自ら活用しようとする力」を意 識しながら,(1),(2)の力をも育むことで,創造性. の基礎を培うことをねらった。相似という今まで 学んだ内容の確実な定着をめざす問題を通して, 三平方の定理の証明という新しい学習に対して,. ≪その1≫は△ABCが直角三角形であること を利用したもの,≪その2≫は△AEDが直角三. 13.
(15) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. 角形であることを利用したものである。4人グ. 考えを互いに協力してつなぎ合わせ結論を導き出. ループの中には,≪その1≫,≪その2≫のそれぞ. した。新たな三平方の定理の証明を仲間と見出し. れの立場で考えをすすめる生徒が混在しているの. たという経験を味わったのである。自らの力で三. で,話し合いは互いの考えを言葉で表現しながら. 平方の定理を導いたという満足感と,相似で習得. すすめられていたが,どうしてもうまくいかない. した概念と三平方の定理が見事に結びついたとい. ようであった。しかし,話し合いがすすむにつれ,. う驚き,そして,あらためて三平方の定理の美し. △ABD…△CADを活用する意味を考える生徒. さに感動した様子であった。. が少しずつ見られた。「もしかしたらα,∂,Cで. △ABDと△CADの辺が表せなければ,意味な いのかなあ…」というつぶやきが聞かれた。それ を教師が全体に広げ,証明の方向性を確認した。. 「≪その1≫だと,対応するBDとADの長さを. (2)三平方の定理の証明(その3)(その2の次時). 前時に相似の考え方を活用して三平方の定理を 証明した。話し合いを通して自ら新たな数学的概 念を創造するという経験を味わったのであるが,. α,∂,Cで表すことがどうしてもできない。」,「≪そ. そういった経験をより多く積むことが学校教育に. の2≫ も対応するBDとADの長さをa,b,C. は必要であると考える。そこで,前時に引き続き,. で表すことができないのでは」,「≪その1≫も≪そ. 方べきの定理を利用して三平方の定理を証明する. の2≫ も対応するADとCDをa,b,Cで表す. 授業を行った。. ことができない」などの意見交流がグループ内で. 方べきの定理は,下の図のように2直線の交点. Pが円の内部,外部問わず,常にPA x PB=. 活発に行われた。. そういった話し合いの中で. ,「あっ スゴイ!」. PC x PDが成り立つというものである。これは. あるグループからの声である。「できた。スゴイ!. 点Pの位置だけでなく,2直線の位置関係にも影. 三平方の定理が証明できた。キレイだあ…」課題. 響されないことを述べている。. を解決したグループが周りのグループに説明を始 めた。グループ間で課題解決への過程を交流し, 最後は代表者に黒板に出て説明してもらった。. ≪その2≫の考え方を使うと, 仮定より,. BE=CE=AEなのでBC=2a CD=C−α. △ABD∽△CADなので. BD:AD=AD:CD (2α+c−α):∂=∂:c−α c+α:∂=∂:c−α (c+α)(c−α)=∂2 c2−㌔=∂2. したがって c2=㌔+∂2. 方べきの定理については12月に行った授業の中 で,実験を通して予想し,相似の考えを用いて生. 徒自身が話し合いを通して見出した定理である。 発展性が高く,方べきの定理から多くの定理の証 明が可能となっている。生徒は前時に既習事項を 活用して三平方の定理の証明をした経験から,積 極的に方べきの定理を活用した三平方の定理の証 明に取りかかった。しかし,前時と同様になかな. か自己決定ができずにいた。生徒のつまずきは, 生徒たちは,最初の問題を解決したとき以上に 充実感を得ていたようであった。授業の中で,互 いの考えを言葉や図,式で表出し合い,それらの. 14. どのように方べきの定理と三平方の定理を関連付 ければいいのかわからないところにあった。 「前時と同じように三平方の定理をもう一度振.
(16) 創造的な話し合い活動を重視し,数学的な考え方や表現力を育む算数・数学教育の研究. り返ってみよう。仮定は3辺の長さがα,∂,C. めには,どのような直角三角形を考えればいいの. であるような直角三角形があるということでした. か,話し合いの中で試行錯誤しながらも前時での. ね。」という声かけをして思考の活性化を図ると. 取り組みを活かしていた。あらためて三平方の定. ともに,方べきの定理を活用するためにどのよう. 理の奥深さを実感するとともに,式でまとめるこ. な図を考えればいいかアドバイスを送った。円と. とで得られる数学の簡潔さや,その背景にある図. 2直線の位置関係を考えながら,最終的に生徒は. 形的な意味,調和の取れた美しさに感動する姿が. 次のような2通りの図を考えた。. 見られた。. さらに,これを一般化することで次のような平 ≪その1≫. ≪その2≫. B. A. A. 方根の新しい作図方法を習得することができた。. B. PA=2,PB=3の. とき,PC=√甘で ある。. さらに,前時で考えたように△PCD(または △PCO)の3辺をα,∂,Cとしたときに,方べ きの定理が活用できるかどうか確認するよう促し た。その後,生徒たちは話し合いの中から次のよ. 3.3.3.成果と課題 「創造的な話し合い」を積極的に授業の中に取. り入れることは,生徒自身が課題に対して真撃に. うな結論を導き出した。. 向き合い,論理的に考え,表現力を培うことに大. ≪その2≫の考え方を使うと,. いに貢献している。話し合いの中で自分の考えを 他者にわかりやすく伝えるための工夫は,まさに. 方べきの定理より, PA x PB=PC x PDなので. PA x(PO+BO)=PC x PD (AO−PO)(PO+BO)=PC2 (円は直径を対称の軸とする線対称な図形). AO=BO(円の半径)より (BO−PO)(BO+PO)=PC2 BO2−PO2=PC2・・・(ア). BO=CO(円の半径)より CO2−PO2=PC2・・・V). PC=a,PO=b,CO=Cとすると c2−∂2=㌔. したがって c2=㌔+∂2. 論理的思考力,表現力の培いそのものである。さ らに,話し合いへの貢献を評価するなど,互恵的. 相互依存関係の成立をめざすことで,他者とかか わりをもつことの質的な変化(仲間の考えがとて も自分には有効であった。自分も仲間の役に立つ ような存在になりたいなど)が見られ,より深み のある授業展開が可能となった。. また,「創造的な話し合い」が必然的に生まれ るような教材開発,教師の発間の吟味など,当た り前のことではあるが教材研究を深めることがで きた。. 課題として考えられることとして,その単元の 性格によって話し合いが機能しにくい領域があ. 生徒は方べきの定理の変形である(ア)の式からそ. り,その領域の研究がすすんでいないことが挙げ. の図形的な意味を考え,BOとCOがともに円0. られる。「創造的な話し合い」の価値は,多様な. の半径であることを注目し,三平方の定理を示す. 考えをつなぎ合わせ,新たな数学の本質や価値を. け)の式を導き出した。方べきの定理を活用するた. 生徒自らが創造・発見・獲得する過程を経験する. 15.
(17) 大久保和義・浜野 雅輝・加瀬 富久・斉藤 康夫・上田 雅也. ことにある。関数領域における話し合いを活性化 する教材開発等,今後の課題となるところである。. 本研究は平成18年度北海道教育大学学術研究推 進経費を受けて進められたものである。. く参考文献〉 1)教育課程審議会答申(平成10年) 2)小学校学習指導要領解説・算数編,文部省(平成11年) 3)大久保和義・須藤勝也・斉藤康夫,創造的な思考力 を高めるコンピュータの活用に関する研究,第38回数 学教論文発表会論文集(2005),p.91−96. 4)大久保和義・須藤勝也・斉藤康夫,生徒の創造的な 活動を重視した数学科教育のあり方,北海道教育人学. 教育実践研究センター紀要 第 6 冒▲(2005) pp.141148. 5)北海道附属札幌中学校研究紀要「第51・52集」 6)杉山書茂(講演). 第87回 全国算数・数学教育研究(長野)大会 講 習会 『数学の発展的な学習』 (2005年8月2日). 7)日本協同教育学会主宰 協同学習ネットワークHP. (大久保和義 札幌校教授) (浜野 雅輝 附属札幌小学校副校長) (加瀬 富久 附属札幌小学校教諭) (斉藤 康夫 附属札幌中学校教諭) (上田 雅也 附属札幌中学校教諭). 16.
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