走運動における体育学習の分析的な試み : 中学校における生活・発達・文化内容に着目して
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(2) . 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第51巻 第2号. 平成 13 年 2 月 Febmar y. 2001. Jowla iけof Educa l。fHo嚢氷縦do Univers i i t l on (Educat on) Vo ‐2 ‐ 51, No. 走運動における体育学習の分析的な試み -中学校における生活・発達・文化内容に着目して-. 古川. 昇・稲垣. 良 介*・ 竹 田. 安 広**・城 後. 豊***. 北海道教育大学岩見沢校保健体育教室 *岐阜県瑞浪市立釜戸中学校 * *北海道帯広緑陽高等学校 : にF I ;北海道教育大学札幌校保健体育教室. Aぬ AttemLpt AQalyzing PhysicaI Educat ion C1assesin Running Exercise ” 一 皿o pay attent ion Li 董℃ ・ Growth ・ Culture ofLearning contentsin Junior high school-. ‐OGO*** Noboru FURUKAWA RyosukeINAGAB口* 蓄asu恒rO TAK醤DA** VutakaJ , , ,. Heatha i IEducat i 1 ・dPh c a on oロデ ys ‐ ‐Laborat ,lwaロロzawaC削mpus, Ho 主志鑓d。UDivers iけ。fEduca t i l l ロzawa068 8642 on, lwa ‐ : にK御中adoJロ血。rhighschoo lby Mi iCiぢ 509 6472 ln鑓1 zl 1 ‐ **Ho l由mdoRyokuyou 超ghschoo lbyobi h i 0837 roCiけ 080 ‐ ***Heatha i i S t C 1 ・dPhys ca Educa onLaborat o a o r o a 1 mpus, -γ, pp Ho な直a ido U山ver i夢 。fEducat i 8502 s on, Sapporoo02 ‐. は じめ に. 保健体育科 (体育分野) では, 生涯スポーツとの関わりが重視され ”児 童・ 生 徒 たち が生 涯 に わたりス ポ ーツに親しむこと“ が強調されている‐ 現行の 「中学校学習指導要領保健体育科編」 1 }では 次の目標が示 , さ れて いる‐. 保健体育科の目標 運動の合理的な実践と健康・安全についての理解を通して、 運動に親しむ態度を育てるとともに健康 の増進と体力の向上を図り、 明るく豊かな生活を営む態度を育てる。 体育分野の目標 各種の運動の合理的な実践を通して、 運動技能を高めるとともに運動の楽しさや喜びを味わうことが できるようにし、 生活を明るく健全にする能力と態度を育てる。 さらに, 平成1 )においては 心と体を一体として 4年度 ( 20 0 2年) から, 施行される 「新学習指導要領」 2 , とらえ, 積極的に運動に親しむ資質や能力を育み 将来において豊かなスポーツライフを実現することを促 , して いる‐ い ず れも, 生 涯ス ポー ツへ の 指 向性 を示 唆 した 目標や 内容 である ‐ 181.
(3) . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. ) 教科体育の究極の目標として 「体の教育 (体力を高める)」 → 「運動 ところで, 戦後の学校体育では3 , による教育 (発育・発達を促す)」 の変遷を経て, 運動に親しむ楽しい体育の実践による 「運動そのものの 教 育」 が提 唱 さ れてき た. しか し, 運動 離 れや 体育 嫌い, 楽 しさ を求 める ニ ュ ース ポー ツな どの 台 頭 により,. 各種運動の根源的な特性について再考する必要 が生まれてきている‐ さらには, 自己の 「体への気付き」 }による教材内容の正しい解釈が求められている. 「体の調整」「仲間との交流」4 そこで, 本小論では, 特定の種目を画一的に反復練習させたり, 仲間との競争のみに終始する学習ではな く, 運動の機能的な特性を踏まえた 「できて‐わかる」 学習内容の構築を目指している. 特に, 運動の上手 ” な生徒も, 苦手な生徒とも, 体育授業において “発見や創造の喜びを感じる体育授業 を目指し, 生涯にお いて実践力の伴った学習内容の考究を目的とした.. 研究の視点と内容 教科体育の授業づくりの具体的な研究の視点として, 次の4点に着目した. 1. 授業 マ ニ ュ ア ル に頼 らず 独創 的な 授業 プ ロ グラ ム に よる 実 感の 持てる 授 業.. 2‐ 生徒の発育・発達に基づく教材及 び単元構成による授業. 3‐ 生徒の欲求に基づく課題解決の習熟課程が保障できる授業. 4‐ 学 習者 ・授業 者相 互 の コミ ュ ニ ケー シ ョ ン が成 立 する 授 業‐. これら視点から, 授業では生徒が自己の能力・適性, 興味・関心, 健康状態, 体力に応じて運動を選択し, 運動の特性を学びながら, 将来において実践力を養うことにある. いわゆる,「各種の運動の合理的な実践」 を目的としての授業づく りである‐ また, あらゆる運動は, 文化として歴史的変遷の中で育まれてきている‐ したがって, 運動の機能的な特性と人とのかかわりから, 児童・生徒の実態に応じた教材解釈が不可欠であ る‐ したがって, 自己の能力に適した運動課題の解決には仲間双方及び授業者による活動の仕方や行い方の 工夫が必要になる. つまり, 個と集団が相互‐双方に協力し合う関係が成立する授業づくりである. そこで, 本実践研究では, 「走る」 を, 太古から生活と密接にかかわる行為であると捉え, 長い年月をか けて競技化されて来た学習内容の発展過程の探求を試みた‐ 主に, 走運動の発達史から文化として教材化す ることにした. つまり, 授業づくりの中核に 「走る」 意味・価値を明確に位置づけ, 単元を構成した. 具体的には, 「走る」 行為と人間との密接な関わりから, その教材の意味, 価値を明確にする ため, 生 活・文化・発達の3つの内容から 『走』 の概念を規定し, 学習内容を構想した. (1) 走ると生活 われわれの生活は, 走ることと密接な関わりがある. 例えば, 子どもは時間さえあれば走り回るし, 用件 があれば急ぎ走るなど, 生活の移動手段として欠くことができない. )1 )1 )1 ) 走 る 姿 の 象 形 と 足 跡 を 意 味 する 象 形 で ある こ と が )8 )9 0 1 2 )6 〉7 と こ ろ で, 「走」 の 原 義 か ら して5 , ,. 示されている‐ また, 足跡を意味する象形は一所に止まる意味と同時に, 足跡が残るという意味から 「進ん でいく動作」 も含んでいる. すなわち, 止まるということ, 進むということが繰り返 し生活の中で行われて いる‐ 古い記述に 「黒き袴着たろ男, 走り来て乞う (枕草子)」 とあり, 生活の中ではやる気持ちを表して いる. また, 宇治拾遺物語では ましる” を舞うという意味で捉えている. その他に は, 趨も疾走すること を意味し,“歩” よりも大股で歩く ことを意味する. わが国では, 尊者を避けて 道を譲るときには, 趨のが 原 則 で あ っ た と いわ れて いる‐. この様に, 「走」 は歴史的な経緯からしても, 人間の日常生活に欠かせない機能としての行為であり, さ まざまな空間で, その時々の状況に応じて現れる行動でもある‐ すなわち, 生活の中で表現し, 現れる 「走 182.
(4) . 走運動における体育学習の分析的な試み. る (急ぐ, 大股で走る, 進む等)」 は, その状況に適応できる 「走り」 である‐ 換言すれば 「走運動」 は , 変化に富んだ多様な状況に適応でき, 生活に広がりをもたらす機能が存在する . このことから 「走運動」 の授業では, 単に移動手段としてではなく 生活に生きて働く意味づけがなされ , な け れ ばな らな い.. (2) 走ると発達 授業では,運動の教材化を図るために運動学的な構造体系を学習過程に生かすことが肝要である つまり ‐ , }1 )1 )1 )1 走 能 力の 発 達 を促 す学 習 の要 素と して 捉 えて おく 必 要 がある1 3 4 5 6 }1 )1 }2 ) 7 8 9 0 .. われわれの走運動は, 二足での移動運動 である‐ この基底には 移動系として ころがり系 四足での移 , , , 動系があり, 「人の誕生→はいはい→つたい歩き→よちよち歩き→一人歩き→走る」 という発達過程での移 動運動と一致している. これは系統発生的運動であり, この順序を飛び越して新しい運動形態が現れること はない‐ ところが, 現在の体育授業では, 主として二足歩行の前方直進を扱っている そして 一定の距離 ‐ , を よ り 速 く 走 る こ と が大 き な 目 標 に な っ て い る しか し 走 の 運 動 形 態 か ら して 二 足 だ け で なく 幅広 く ‐ , ,. (四足を含め) 移動運動として捉えることにより, 走ることの多様な価値が学習できる さらに 走のスピ ‐ , ー ドを生 み 出 す 前 傾 姿 勢, バ ラ ンス を前 に傾 け る と い っ た 内 容や ス ム ー ズ に 移動 する ため の 接 地 の 仕 方 , ,. 地面から受ける反作用など, 走の原理から学習内容を深めていくことができる ‐ 「走運動」 の授業では, これらを発達に即した学習内容を位置付け 走の形態的な発達を画一的に指導す , るのではなく, それぞれの生徒個人が持っている動作様式や運動能力に応 じて工夫し より合理的な技能を , 身につけていくことが走能力の発達を促すことになる. (3) 走ると文化 }2 2 }2 1 }2 )2 )2 ) 競 争 及 び 陸上 競 技 を文 化 財 と して 受 け止 め そ れ が受 け継 が れて き た 3 4 5 6 「走」 の 教 材化 で は2 , ,. 価値を明確にする必要がある. 元来, 「走」 は, 実用術として生活の中で欠くことがなく 人間の欲求を満 , たすために走り自体を楽しむ遊戯 ( l ) として取り入れられて来た‐ そして, 人間の限界を求め 自己実 ay p , 現の欲求から競争が生ま れ, 現在の陸上競技というスポーツが生まれた その変遷において 「走」 は 人類 ‐ , が直立歩行を獲得し, 狩猟生活を営んでいくうえで 獲物を追い 逆に身を守るための保身術と して素早い , , 身体の移動が可能な 「走る」 という動作が形成され発達して来た2 } 7 ‐ これがいつしか直接 的な生活手段から 切り離されて 「走る速さを競う」 という競技形態を生み出してきた ‐ これら走ることを競う歴史は, 非常に古く紀元前の文献にも当時の様子が生き生きと描かれている 中で ‐ も, 短距離走の歴史は最も古く, 紀元前十数世紀から行われてきたといわれる古代ギリシアにおける 「スタ ディ オン走 (短距離走)」 の正確な記録は紀元前776年から残されている2 8 ) . この頃の遺跡の発掘調査から, オ リ ン ピア で は192 27m, アテ ネ で は184 30m な ど, 約200m 弱 の 距 離 であ っ た ま た ス タ ー ト方法 につ い ‐ ‐ . , て も 興 味深 い史 実 がある‐ デル フ ィ 一遺 跡 に は 今 日のス タ ーテ ィ ン グ ブロ ッ ク にあ たる 石製 の足 止 め が見 , つ か っ て おり, 絵 壷 に は片 手 を地 面 につ けひ ざを曲 げる 姿勢 であ っ た こ と が想像 さ れる ‐ さ ら に, 18世 紀 末 か ら はイ ギリス や アメ リカ で “賭 け”2 9 )の 対象 と して競 争 が扱 わ れる と ル ー ル や審判 , 法 が整 えら れ た‐ こ こ で は ス タ ー ト方 法 と してス タ ー トライ ンの15歩 ~20歩後 方 か ら互 いに指 をつ けな が , ら助 走 し, ライ ンま できた ら 疾走 する 「ブレイ ク ・ス タ ー ト」 や 短 棒 を持 っ て 行う 「リ ー ド・ペ ン シ ル ・ , ス タ ー ト」 が行 わ れ た‐ 現在 の よう に小 銃の 空砲 を用 いる 方 法 は 1876年 以降 に採用 さ れ て いる ま た ク , . , ) 1887年 エ ール 大 学の M ・ マ ー フ ィ ー が指 導 し 1888年 に はじめ て 使 たも の で 0 ラ ウ チ ン グ・ス タ ー ト は3 , っ , ある. この 時, ス タ ータ ー はC ・ H・ シ ェ ルリ の こ の姿 を見 て 笑い レース を止 め よう と した記述 が 残 て っ , い る‐. この様に生活や文化的に醸成された 「短距離走」 は 人類の長い歴史の中で変化を遂げてきたものである , . 183.
(5) . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. したがって, 体育授業においていきなり近代化され, 合理化された 「走運動」 の学習内容や学習を位置づけ るには無理が生じ, 生徒たちは消化不良を起こして, 運動嫌いになることを回避できない. そこで, 「走運動」 の授業では,「走」 のもつ文化的機能を学習過程に位置づけ, 走ることに対する目的や 意義を捉え, 身体活動の欲求によって現れる自主・自発的な行動を促すことが重要である‐. 短距離走 「走る」 教材と単元計画 中学校学習指導要領における体育分野では 「A体操, B器機運動, C陸上競技, D水泳, E球技, F武道, G ダンス, H体育に関する知識」 で構成されている‐ 陸上競技では, 短距離走, リレー, 長距離走, 障害走, ) 1 走り幅跳び, 走り高跳びの内容が示され, 次の目標が示されている3 ‐ -- - - - - - - - --- - - - 一 - - 州- - -- - - - - - --- 榊- - - --榊- - - --”- - - - - -- - - - - - - --州 一 - -- - --- - -=- - -- - - - ---- - - -州榊一- - -細榊矩- -- - - 1 - - - - -- -------- r----. 1 . 技 術 に 関 して. 1(1) 自己の能力に達した課題をもってつ ぎの運動を行い, その技能を高め, 競技したり, 記録を高め1 ることができるようにする 1・態度に関して …(2) 互いに協力して, 計画的に練習や競技 ができるようにするとともに, 勝敗に対して公正な態度が… と れる よう にする‐. 1(3) 自己の身体の調子や練習場などの安全を確かめ, 健康.安全に留意 して練習や競技ができるよう1 にする.. 単元計画では, 人と運動の関係に着目 した学習内容について探求する短距離走に着目した‐ 特に, 上記の 技術に関する目標については教材のもつ意味, 価値を単元の中に明確に位置づけ, 人と関わる機能的特性の 学習内容で構成した‐ 従来より教材を解釈する場合, 短距離走は 「より速く走る」「より遠くへ, 高くへ飛 ぶ」「より遠くへ投 げる」 ことをねらう陸上競技の中でも, 技の発達段階の分かりにくい種目である‐ また, 陸上競技 (短距離走) の既成の技術やルールを画一的に習得させる学習法では, 走ることの楽しさ, 発見・ 工夫を見いだしにくく, 身に付けたい能力も暖昧になりがちである‐ したがって, 単元の構想を計画する際にも, 仲間やタイムを競うことのみで評価したり, 既に走力のある 特定の生徒のみが活躍する展開を避けることが必要である‐ 生徒たちもこれまでの経験から, 単元の始めに 好きな運動について聞くと, 最も好きな種目として競技 (サッカー, バレーボール等) を挙げ, 陸上競技の 種目を 「好きだ」 と言う生徒は少ない‐ その背景には, 懸命に練習してもなかなか結果が生まれず, 仲間と の競争に勝ち, 急速にタイムを上 げる実感が持てず興味, 関心が稀薄化し, 生徒の新たな発見や創造を評価 に位置づけることなく進めてきた学習の在り方に問題がある‐ そこで, 短距離走 「走運動」 の授業では, 次の3点 を学習内容として位置づけ, 学習計画を立てた. 特に, ) 1 運動の機能的特性に着目した構想の具現化を図ることにした注 . きる走りは ① 「走る」 と生活;生活の中の様々 な状況に適応で , 人間の移動能力の質を高め, 生活の広が り をもた らす.. ② 「走る」 と発達;個人の持っている走動作を工夫し, より合理的な技能を身につけていく ことにより個 に応じた走能力は発達する‐ ③ 「走る」 と文化;生活の中から発展した陸上競技の生成過程には, 人間の想像力, 人間の可能性を求め る欲求などの働きがあり, 人間の主体的な行動を促す‐ いずれも, それぞれの学習内容が横並びするのではなく, 三位一体化された系統的に融合発展していく学 184.
(6) . . 走運動における体育学習の分析的な試み. 習 プログラム過程で構成した‐ また, 3つの走運動の機能的特性を踏まえた, 相互補完しあう授業づくりを 念 頭に おい て いる‐. (1) 単元計画 単元計画は, 学習目標・内容とも生活‐発達・文化の系統発展から, 全7時間で構成した‐ 表1. は 「走 る」 授業の学習計画である‐. 表1 「走る」 学習計画 段階 時間. 学習目標と内容. 主な学習活動. 導. ◎自分の走りを知ろう. 入. I. いろいろな移動手段. 四つ足ハイハイ、片足ケンケン、両足ピョンピョン、早歩き. 自分の走る姿 のイメージ. 友達の走りを観察する. 自分の走りたい距離でタイム測定. 自分の力を精一杯発揮する. ◎姿勢を工夫して走ろう 2. 前に傾いて走ることの大切さ. 上り坂、下り坂、追い風、向かい風で走る 前に傾く角度をいろいろ変えてみる. ) 走り始めの姿勢(スタート. いろいろな姿勢から走り始める. いろいろな空間で姿勢を変えながら走る. ◎ バランスのとれた走りをしよう 3 展. まっすぐ、転ばずに走る、方向をかえながら 視線の重要性、体の傾き、腕振り. 40cm幅 で40~50m全力走、蛇行・ジグザグ走. セパレートコース、コーナーの走り方. いろいろなコーナーで好きな方 向へ 走る. ◎自分にあったリズムの良い走りをしよう 4. バランスのとれていない走りの経験 となりの 人とぶつ からないように走る. リズムのとれていない走りの経験. 開. 呼吸の有無. 全力で走る、長い距離を走る. 腕振りの重要性、手・足の協調. ボールを持って走る、腕を組 んで走る. ス ピードの コントローノし. ウェーブ走、テンポ走. ◎地面からの力のはね返りを利用して走ろう 5. 地 面(土、砂、コンクリートなど)での反 力の 違い. その場ジャンプ、バトンo rボールを落としてはね返りを観察. 足裏の接地の仕方の違い、歩数、歩幅. 大また走、ちょこちょこ走り、ジョギング 腕 振りの速さ・大きさ、ピッチ・ストライド変換 走. ピッチ走 法・ストライド走 法. ◎よけいな力を抜いて走ろう 6. 気持ち良く走る. 力が入りすぎる走りは?. 肩や手、首などの緊張・緩和. どこに力が入っているか感じながら走る. スピードに変 化をつ けた中でリラックス. 50mの中でスピードを変えながら走る. 整. ◎目標を持って全力で走ろう. 理. 7. 記録にこだわらなくても納得のいく走りをする 自己のスタイルを生 かして走る. 自分の得意とする距離、走路 自分の苦手とする距離、走路. 精一杯走り、自己の可能性を追求する. 記録と目標と自分の走りがどうだったか考える. (2) 学習指導案 導入段階では, 知覚・体験的な課題発見の場とした‐ 特に, 自己の動きを感じとることから始めた. 展開 段階では, 多様な目標課題から各自の目標を焦点化し, 生活・発達・文化の内容を理解し, 活動を通して目 185.
(7) . . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. 発的に思考・創造させ, 教材を解釈しながら学 びの過程を深化させた. 整理の段階では, 学習の成果をまと め, 生活・発達・文化の3つの内容が一体化されたか確かめた‐ 表2. は, 学習指導案の実例である. 表2 「走る」 の学習計画および指導案. 指導目標 ○生活の中の様々な状況に適応できる幅広い走能力を身につけるようにする. ○個人の発達段階に応じた走動作を習得できるようにする. ○文化的内容の楽しさにふれ, 合理的な走りを追及していけるようにする.. 段階 時間. 学習目標と内容. 導. ◎自分の走りを知ろう. 入. 1. 指導の要点 二足での走行が移動手段として価値のあるこ. 走る姿のイメージ. とを理解させる。 友達やグループによる観察、 話し合い. 自分の走りたい距離でタイム測定. 自分の走力を自覚し、学習の見通しを持たせる. 移動手段の多様化. ◎姿勢を工夫して走ろう 2. 空間の変化に適応する姿勢. 前傾姿勢の有効性. 友達やグルー プによる観察、 話し合い. 走り始めの姿勢(スタートの技能). 自己に応じたスタートしやすい姿勢の工夫. ◎バランスのとれた走りをしよう 3 展. まっすぐ、転ばずに走る、方向転換 視線の重要性、腕振り セパレートコース、コーナーの走り方. ◎自分にあったリズムの良い走りをしよう 4. バ ラ ンス の と れて い な い走 り の 経 験 バ ラ ンス が と れて いる か実 験. 身体のどの部分を意識するか 自己の能力、 興味に応じた場での活動 リ ズムのとれていない走りの経験. 開. 呼吸、移動距離. 長い距離と短い距離の走り方の違い. 腕振りの重要性、歩幅. いりいるな走り方でリ ズムを言葉で表現. スピードのコントロール(ウェーブ走). 友達やグルー プによる観察、 話し合い. ◎地面からの力のはね返りを利用して走ろう 5. 地 面(土、砂、コンクリート)での反 力の違い. 走る条件と自分のからだの関わりの認識. 足裏の接地の仕方の違い、歩数、歩幅. 個に応じた目標の設定. ピッチ走 法・スライド走 法. 走る速度に関わる要因への気付き. ◎よけいな力を抜いて走ろう 6. 力が入りす ぎる走り. 気持ち良く走る. 走っているときの自分の体の変化を感じる. 身体各部の緊張・緩和. より合理的な走りの追求. スピードに変化をつ けた中でリラックス. 整 理 186. 7. ◎目標を持って全力で走ろう 自分の得意とする距離、走路 自分の苦手とする距離、走路 タイム測定. 個に応じた目標の設定 自己の能力、 興味に応じた場での活動 これまで学習してきたことを振り返る 自己の能力の自覚、 達成感、 評価.
(8) . 走運動における体育学習の分析的な試み. 「走る」 の授業実践及び成果 } 表1 単元計画と表2‐ 学習計画に基づ いた 「走る授業」 の学習ノート及 び生徒の 本実践研究では注2 ‐ , 感 想 か ら 各 時間 につ いて ま とめ た‐. ①導入段階 (第1時間目) では, はじめに知覚的, 体験的に自分の走りを知り, 課題を発見し, 把握した‐ 本時では, 動機づけとして移動手段の多様化を図るとともに, 走ることの便利さを実感でき, 学習の見通 しを持たせることがポイントである. また, 自分自身で設定した距離を客観的な記録で表すことで文化的学 習 内容 を習得 できる よう に移 行 して い っ た‐. 1 に れからどういう走りをめ ざすか](授業後の感想) … Y. 1: 自分 で は記 録 にこ だ わ らず 工 夫 して 走 れる よう に した い‐. I M‐ S :僕 はみ んな より お そ い か ら どう いう 工 夫 を した ら速く 走 れる か を考 えて 行 き た い‐ も っ と も っ 1 と速く走るために精一杯力を出す1 ー R. N: 僕 はこ れか ら どう や っ て 走る か とか 自 分の走 り を考 えて走 ろう と思う.. 1 どう や っ たら速く 走 れる の か こ れか らある の で し っ かり や ろう ! . I N. 0 :肩の 力 を抜 き 全 力疾 走する. 地 面 を思 い っ き り け っ て走る. - T‐ M :も っ と 走る と き に腕 を前後 に振 っ て もも を高く 上 げる よう に意識 して走 ろう と思う‐ い ず れも, 四つ 足, はい はい から は じま っ て 自分 で距 離 を設 定 して記 録 をとる こ と で積極 的に学 習 に取り 組め た こ と がわ かる. ま た, この授 業 をき っ か けと して 単 元 を 通 しての 目標 を設定 して いる‐ さ ら に, ス タ ー トの 方 法 を自 由に したこ と で穴 を掘 る もの, ス タ ー トライ ンより 後 ろ か らス タ ー トする も の な ど, 工 夫 が. 見られた. この課題追求は, 仲間との観察を通して自己の走りについての課題を持てている‐ ②次に展開段階 (第2時間目) では, 姿勢の変化に着目する内容が主であった‐ 普通人間は, 二足で立っている状態から走り始める. が, 短距離走の第一歩のスタートでは, 身体のバラ ンス を崩 し, こ の バ ラ ンス を保つ ため に足 を 踏み 出 す動 作 が必要 である‐ 同 時 に, 坂 道や 風 を用 いる こ と で,. 多様な空間での前傾角度を体感させることをねらう活動を取り入れた. 1[自分のスタートのかっこう (工夫したこと)] … T‐ Y:足 を中 にお しこめ てス タ ー ト しや すく な っ た‐. … M‐ 0 : ドン, と なる ま で ど ん どん前 に 体重 をか ける. 音 がな っ た ら は っ し や す る‐ … M‐ N:手 を後 ろ に組 ん で前 へ 少 しずつ た お れて い っ たと ころ‐ … M‐ U: 両 手 を地 面 につ い て 足 を思 い切 っ て ける. … H‐ T: 他 の 人の 足 をス タ ーテ ィ ン グ ブロ ッ ク に して押 し出 して も ら っ た.. = R‐ N :横 にいる 二 人の かた に手 を おいて 後 ろの 人 に僕 の 足 をス タ ー トと 同時 に思 い切 り押 して も らう. 1 あ ら か じめ 設 定 した 4つ のス ター ト方 法や, 坂 道, 風 を利 用 して姿 勢 を意識 する こ と で, 前傾 姿 勢 の 大切 さ が体感 でき て いる. ま た, も っ と も 速 いと 思う ス タ ー ト方 法 を自 ら創 り 出すこ と で, ス ター ト法 を文化 的 に捉 える こ と が で き た‐ 主 に, 次 第 に 身 体 を倒 し, 「ドン」 で 疾走 する な ど は象 徴 的 であ る‐ ま た, 用 具 を 用 い てのス タ ー トで は, 仲 間の足 をス タ ーテ ィ ン グ ブロ ッ ク に したり, 支 え の姿 勢 を借り て強く ス タ ー トす. るなどの体感的な活動が見られた‐ ③次に展開段階 (第3時間目) では, バランスに着目した‐ 「走 り 回る」 運動 は, より 巧 み な 身 体の 動 き が要 求さ れる も の である. ここ で は目 をつ む っ て 走る こと で 187.
(9) . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. 視線の重要さを体感し, 個に応じた目線で走ることができるようねらっている‐ その結果, 相手の邪魔をし な いと いう セパ レー トコース のル ール (文化) に触 れ 方 向転換 (コ ーナー 走) の 際 は腕 の 動き 脚や 体の , , 傾 き を意識 させる こ と ができ て いる. ー ー ー ーー ー ーー ー ー ー ー一一ー ーー ー ー ー ー ー ー ーー ー ー ー ー ー ー ー ー一一一一- - - - - - - - - -- - ー ーー ー ー ー ー ー ー ー ー ーー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ーー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー一一一一一一一一一ーーーー ー ーーー ー ー ー ー ー一一一一ー ー 「 1. 1[まっすぐ走るためにどんなことを注意した?] R‐ N: 自分の走 る40 c m幅 と 同 じ場 所の 遠く にある電 話 ボ ッ クス をみて ま っ す ぐ走る よう に した‐. T‐ M:遠く にいる 人の顔 をみて走る よう に した. [コー ナー で一 番意 識 した こと はな に?] M. S: 目 線 を出口 に 向 けてス ピー ドを落 とさ な いよう に走 っ た.. M. 0:上体を内側に倒して外側の腕を大きく振った. ・0. M:内側に体を傾けて内側を見て走る. また, 目を閉じて走ることを経験することで, 直線的な視線 (目の位置) について動機づけできた. さら にS字 や ジ グザ グの コー ナー 走 を行 い, 腕の 振 り, 体の 傾 き が大切 である と 実 感 できて いる. つ ま り 初 め , に目線 を意 識化 させた こと が, コー ナ ー走 でも 生 か して いる こと が わ かる. な お 多様 な走 路の 設定 に よる ,. 小さなコーナーは自己走法の課題解決の方法として効果的であった. ④展開段階 (第4時間目) では, 走運動のリズムに着目した‐ 走運動は単純な反復動作で構成されているため,よりよい連続性を生み出すためにもリズムは重要である‐ 特 に, 人 間の 生 活 で は呼吸のリ ズム が必 要 であ り, 疲 れない よう に走る ため に は呼吸のリ ズム が走 る リ ズム. と協調することが大切である. また, 走るリズムは腕を振らないで走ることで腕振りの大切さがわかり, 自 分の感 覚 でリ ズム の よ い走 り が実 感 できる. こ こ で はま ず, リ ズム に意 識 を持 たせる ため にス キ ッ プ や テ ン ポ走 か ら 入り ウ ェ ー ブ走 全 力走 のリ ズム へと 発展 させ た‐ ,. [言葉であらわしたらどうなりますか?] H. Y: 腕 を振 ら ない で走 っ た ときの リ ズム. タツタ ツタッタッタッ…. 同 じほう の手 と足 を 出 して走 っ たリ ズム. ス タ ッス タ ッ ス タ ッ …. ス キ ッ プのリ ズム. タ ザッタ ザッタ ザッ…. ウェ ー ブ走の リ ズム. タ ツ タ ツ タ タ タ タ タ ッタ ッタッタ. 全 力 で走る とき のリ ズム は. タッタ ッタ ッタ ツ タ ッ タタ タ. 授業の最後に, 指名し感想を発表させた‐ 生徒たちは 「呼吸によってリズムが違うなんてびっくりした」 との反応を示し, これまで意識せずに行ってきたことを改めて認識したことで, 身体的な働きを身近に体験 から実感し, 発見することができた. さらに, 声のリズム効果を上げるには, 手足を同時に出す異なる走り 方 を体 験す るこ と で, き っ か けを掴 むこ と が でき た.. ⑤展開段階 (第5時間目) のめあては 「地面からの力のはね返りを利用して走ろう」 である. 走るとき, 地面を足裏で押すことの反作用として等大逆向の地面反力を受け, 脚を通して身体に伝えられ る. 走る場面は, 生活空間の中で多様に変わるため, 走る時には地面に働きかける力とその反力の違いを経 験 する こ と が重要 になる‐ また, 走り 方 によ っ て は足 の 裏の接地 の仕 方 は違う‐ 例 え ば “ジ ョ ギン グの とき, 大 股走, チ ョ コ チ ョ コ走り で はどの よう に違 う の か” な ど実際 に体験 さ せる. そ して, 最 もう まく 力 を伝 え. て疾走速度を高めるために, ピッチを速くするのか, ストライ ドを広くするのか個人で課題をもって工夫す ることが大切である. そのため, 授業後半では目標を歩幅をひろげるのかあるいは歩数を多くするのか意図 的 に決 め させて, 20m, 40m, 60m の 距 離, 直 線ある い はコ ー ナ ー を選 択 させ て走 らせる よう に した‐ 188.
(10) . 走運動における体育学習の分析的な試み. K‐ T の ノ ー ト か ら‐. 歩 数 ;20m の 大 股走 - 8歩 接地. 大股 走 -全面. 20m のち ょ こち ょ こ 走 り -50歩. ち ょ こち ょ こ 走 り -つ ま先. ジ ョ ギ ン グ一全面. 全 力 -つ ま先. この 生 徒 は, 接地 に 関 して は 「つ ま先 はつ ま先 でも 前の ほう, と か ”外 側” と か」 に 焦点 化 した 課題の 追 求 が でき て い た‐ この こ とか ら, 反 力 体 験 を通 して 学 ん だこ と を意識 させた 「ピ ッ チ, ス トライ ドの 数 値 的. な客観化」 を図る課題において, 主体的な学習意欲を持って取り組むことができた‐ ⑥展開段階 (第6時間目) のめあては 「よけいな力をぬいて走ろう」 である‐ 自 らの 筋 肉群 の 力 を発 揮 しな け れ ば走 る こ と はでき な い‐ い わ ゆる, 走 運 動 は全 身 運 動 である‐ しか し, 一 部 に あま り 力 が入り す ぎる と 効率 の よ い 走 り はでき な い‐ ま た, 精神 的 にリ ラ ッ クス する こと で環 境 か ら. の情報を正確に受け入れ, 実行すべき運動が的確に決定される. ここでは “気持ちよく走る” ことを目指し, 身体各部の過度の緊張を除き, より合理的な走法の追求をね ら っ た‐ そ の 方 法 と して, 疾 走 中 に ”フ ッ と力 を ぬ い て み る” と か, “握 っ て いる 手 を 開 いて みる” と い っ た 2点 につ いて指 導 した‐. [力をフッとぬいたときの感覚は?] Y‐ M: な んか 途 中 に力 を ぬいた ららく に走 れた‐ T‐ M: 肩や 足 な どの 力 が ぬ けて少 し軽く な っ た よう な気 が した‐ T‐ H : 力 をぬ い た とき にいろ ん なとこ ろ がだる だろ に な っ て 走 ろう と思 っ て な いの に走 っ て い た‐. K. T : らく にな っ た け どス ピ ー ドは落ち な か っ た.. I M‐ N :力 を ぬい た とき, 腕 をふる の が早く な っ た よう な感 じが した‐ この感覚 (力をぬく) を生徒たちは, 各自が体験している. いずれも疾走中に意識した時の感覚を味わう こ と が でき て いる. ス ピ ー ドを 落と さ ずに 「リ ラ ッ クス する 感覚 の 体 験」 は, 長 い 経験 を要 する が, より 合. 理的で無駄のない走りの追求の一助になりえた‐ 3 } ⑦整理の段階 (7時間目) は, 本単元のまとめである注 ‐ 本学習計画では, 「目標をもって全力で走ろう」 のねらいのもと, 自分の得意な距離, 挑戦する距離を各 自 が選 択 し, 決め, 走る 場 所 (直線, コ ー ナー) につ いて も 目標 を設 定 させ た. いず れも 単 元の 流 れ に沿 っ. て自己課題を強く意識することによる学習の効果的な取り組みが目的にあった‐ その方法的追求として, 記録的な数値 (人との競争) としてではなく, 自己の力を発揮することが重要で あり, 多様な走動作の学習を実体験しながら課題を探求した‐ そして, 仲間, 相互双方との競争については 競争相手との同意に基づきルール, 場などの条件は互いに工夫して行われるようにした. そ の 結 果, 生 徒 たち は, そ れ ぞれ に直 線, コ ー ナ ー に わ か れ, こ れま での成 果 を 出そう と意 欲 的 に 取り組 む こ と ができ た‐ な か に は 「何 本走 っ ても い いの か」 と 聞 いて 課題 を自 主 的 に追 求 する 姿 が み ら れた ま , ‐ た, 相 互 に観 察 し合 い 「ま だ力 が 入 っ て いる か?」 と か 「う での 振 り 方 はこう いう ふう が い い か なあ ?」 と い っ た仲 間 同士の 教 え合う 姿 も見 ら れた‐. いずれも, 走運動の生活・発達・文化の内容構成の授業は 「これまで知らなかっ たことが分かった」 や 「い ろ い ろ な 走 り 方 が わ か っ た」 と いう 意 見 が 大 半 出 さ れ, そ れ ぞ れ に 身 体 を 通 して の “で き て ・ わ か る”. 学習の体験であったことが実証できた‐. 189.
(11) . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. 研究のまとめ. 陸上競技は, もともとわれわれ人類が2足歩行を獲得して以来, 長い年月をかけて発展してきたものであ る‐ その派生や伝播には 「より速く」「はり遠く」 など極めて身近で人間の欲求に支えられたものである‐ 本 小 論 で は, ス ポーツ ライ フの 高 揚 から “生 涯ス ポー ツ” と の 関 わり が強 い学校 体育 に お ける 「短 距 離走」. を取り上げ実践研究を進めてきた. 具体的には, 従来までの走運動の概念や指導方法から脱し, 「走る」 こ とを人間との関係から①生活, ②発達, ③文化をてがかりに教材化を試み, 実際に授業を構想, 実践した‐ そ の 授業 実践の 結 果 より, 仲 間との 競 争や タイ ム, ある い は近代 的 な フ ォ ー ム やル ール を習 得 させる と い. う方法ではなく,「走」 を個に応じた幅広い能力を身につけさせることをねらった取り組みは一定の成果を 得ることができた‐ 換言すれば, 生活・発達・文化が互いに補完し合うことで学習の成果が得られることが 重 要 である と理 解 できた‐ ま た, 生 徒 たち は, 自 ら課題 を設 定 し, 相 互 の コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン により, 走る 場 所, 距離, 走 法 に い た る ま で, ユ ニ ーク な発 想, アイ デ ア を生 か し, そ れ ぞれ追 求 でき得 る こ と を証 明 し た‐ 特 に, 授業 終了後 「実 は, 最 後 だま っ と っ た け ど, ス タ ー トの いい 方法 発 見 した ん だよ !」 と教えてく. れたいい表情が印象的であった. 以上, 体育授業の課題でもある “学習指導内容の追求” と実践にとって, 運動教材の歴史的な生成過程を 踏まえた指導の実際の単元計画が重要であることを示唆するものであった‐ 一方, 課題解決型の授業づく り においては, 生活・発達・文化の3つの学習内容が三位一体となる授業展開が極めて大切である‐ 注. 釈. 注1) 図は, 走の機能的特性の内容を示している (竹田安宏 「陸上運動における学習内容の実践的研究」 修 士論文 より引 用. p‐ 21 )‐. 生 活. 発. 文 化. 達. ・這い這い、 歩行、 走行 ・前傾、 内傾. ‐距離. ・視線. .スター ト. ・腕振り. . セノミレ ー ト コ ー ス. らず、 ス ム ー ズな停止 ・方 向. ・脚の伸展. ・コー ナー 走. 転換ができる走り. ・腕、 脚の協調 ・足裏の接地. ・ ピ ッ チ走、 ス トライ ド走. ・移動手段としての走 ・坂や風向き、 地面の変化に適 応できる走り ・ ころ ばず、 ま っ す ぐ、 ぶつ か. ・呼吸を整えて、気持ちの良い走り ・全力で走る. ・歩数、 歩幅 ・手 ・足の りき み. . ス ピ ー ドの コ ン ト ロ ー ル. (ウェーブ走、テンポ走、慣性 走). ・記録 ・競争. 190. など.
(12) . . 走運動における体育学習の分析的な試み. ・ は, 本 単元 の 授 業 分 析 と 注 2) 表 6‐ し て, 走 の 機 能 的 特 性 で あ る 生 活 ・ 発. ) 各 時 間に お ける 生 活 ・発 達 ・文化 の 関係 (n =24. 表6 段階. 時. を各時間毎に統計処理した (竹田安宏. 1 1. 達・文化に基づいた教材構成の適切性 導入. 「陸上運動における学習内容の実践的 2. 研 究」 修士 論文 より引 用. p. 30 .)‐ 展. いずれも次系列的な変容 がみられ,. 3. 生活・発達・文化の3つの内容が相互 4 開. 補完され, 学習の効果が見られた‐ 特に, 学習内容の時系列的な転移が確. 5. 認 でき た. こ れ らの 根拠 をも と に, 生 徒 たち の. 運動認識や気付き, 体の調子, 技の向 上などの感想を求め整理した‐. 6. 整理. 7. 内. X. SD. 生活 発達 文化 生活 発達 文化 生・ 活 発達 文化 生活 発達 文化 生活 発達 文化 生活 発達 文化 生活 発達 文化. 4 63 . 4 04 . 4 19 ‐ 4 31 ‐ 4 31 . 4 19 . 4 23 ‐ 4 35 . 4 47 . 4 57 . 4 23 ‐ 4 44 . 4 25 . 4 32 . 4 43 . 4 40 ‐ 4 44 . 3 98 ‐ 4 38 . 4 25 . 3 99 .. 0 54 . 0 52 . 0 53 ‐ 0 59 . 0 57 . 0 7 3 . 50 0 . 0 57 . 0 39 . 0 37 . 0 55 . 0 57 . 0 79 . 0 51 ‐ 0 51 ‐ 0 57 . 0 50 . 0 77 . 0 56 ‐ 0 69 . 0 67 .. ( ) 相関係数 { r 文化 発達. 生活. \\\ 0 32 ‐ \ \\ \\ *. \\\ \ *. 0 41 .. 0 41 ‐ 0 3 ‐9. \\\ \ 0 29 .. \\\ \ \ 0.48 * \\\. \\\ 0 63 . \ \0.10 \\\ 0 54 ‐ \\\ 中卒 ** \ \\\ 0 5 4 0 30 ‐ \ \‐ ** \\\ 0.40 \\\ * \ \\\ 0 5 1 0 51 . \ \.. \\\ 0‐28 \\\ \. ** **. \\\ 0 51 . \ \0.67 率* \\\ 0‐25 \\\ * \ \\\ 4 0 5 0 54 ‐ \ \‐ ** \\\ 0 64 ‐. \\\ ** \ **p<0 *p<0 0 1 5 0 . .. **. 注3) よい授業の形成的評価に関する分析の視点から, 竹田は本単元における学習内容の妥当性を検討して いる‐ その結果を表8‐ にまとめている (竹田安宏 「陸上運動における学習内容の実践的研究」 修士論文よ り引 用. p. 38 ).. 表8 三内容と形成的評価の相関 (n=24 ) 段階. 時. 形成的評価. 内 容 工夫 生活. 導入. 0 13 .. 発達. 0 33 ‐. 文化. 0 50* ‐. 生活. 0 21 .. 発達. 0 08 .. 文化. 0 38 . 0 43* . ^ハハ. 生活 ヌ 宝\ ; き た. ′. めあて 0 27 . 0 4塘 . 0 31 . 61紳 0 -. 精一 杯. 楽 しく. 0 19 .. 0 12 .. 0 07 ‐. 0 07 .. 0 27 . α41*. 0 38 ‐. 26 0 ‐. 0 11 .. 0建1*. 0 31 ‐. 0 06 .. 協力. 発見. 0 35 ‐. 0 16 .. 0 14 ‐. 0 11 .. 0 12 . * 坤 t 0 5 .6. 0 32 ‐. 0 20 ‐. 0 33 .. o 40 .. 27 0 ‐ α48*. 0 02 .. 0 08 ‐. 0 17 . ハー^. 0 04 . ^^“. 0 26 . ^^1. 0 37 . ^≧・串. 0 02 ‐ ^虎 一. 0 35 . 0 60** ‐ 0 46* ‐. 0 29 . 0 47* . 0 62** .. 0 31 .. α69**. 0 33 .. 0 39 . * 0 4 .8. 0 56** .. 0 32 .. 0 18 .. 0 17 .. 展 4. 開. 文化 生活 発達. 0 58** . 0 55** . 0 45$ ‐. 整理 率申 <o01 p .. * <○05 p .. 191.
(13) . 古川. 昇・稲垣 良・竹田 安広・城後 豊. 参考・引用文献 9 8 9 1ひ1 1 1) 文部省,「中学校指導要領」 平成元年, 大蔵省印刷局,1 p p ‐ . . 2 9 9 9 6 0年解説-保健体育編-, 東山書房,1 2) 文部省, 中学校指導要領平成1 - pp ‐ ‐ . 1 7 2 1 9 8 3 3) 宇土正彦編著 「体育科教育法入門」, 大修館書店,1 … pp . . . 4) 前記載書. 2). 22 23 - pp . . ,. 5) 藤村作, 日本文学大 辞典, 新潮社, 1995 103 p . ‐ ‐ 6) 田中重太郎, 枕冊子全注釈二, 角川 書店, 1975 194 202 ‐ pp . . . 338 8) 小山弘志, 日本古典 文学体系43狂言集下, 岩波書店, 1961 p . ‐ . 9) 中島海編, 遊戯大事典, 不昧堂, 1957 195196 pp . . . ) 山本邦夫, 陸上競技 史明治編, 道和書院, 1969 9 10 p ‐ . . ) 佐藤格, 体育教材 学序 説, 繋明書房, 1972 72 11 p . ‐ .. 9 2 9 ) 日本陸上競技連盟, 陸上競技指導教本一基礎理論編-, 大修館書店,1 9 2 1 p ‐ . ‐ ) 正木建雄, 運動 (技 術) の分類, 身体運動の 科学, 学芸出版社, 1960 190 13 p . ‐ . 1980 ) 宮丸凱史, 子どもの動きの発達からみた 「基本の運動」. 体育科教育,286 1 15 14 pp . . ‐ . ) 浅見俊雄, 身体運動学概論, 大修館書店, 1976 183 15 p ‐ ‐ ‐ 207 ) 宮下充正, スポーツス キルの科学. 大修館書店, 1985 16 p ‐ . . ) 小林寛道、 走る科学, 大修館書店, 1990 36 17 p . ‐ . 1982 57 ) 東京大学体育学研究. 走運動の しく み, 体育科教育,308, p 18 . ‐ . 1978 306313 ) 宮丸凱史, 走る動作の発達, 体育の科学,285, pp 19 . ‐ . 21 ) 天野義裕. 走動作の習熟, 体育の科学,35 2. pp 1151 1985 20 ‐ . . . 1 2 15 1990 21 ) 岡尾恵市, 山西哲郎, 「はしるス ポー ツ」, 岩崎書店, pp ‐ . . . 61 ) 岡尾恵市, 「陸上競技のルーツをさ ぐる」, 文理閣, pp 59 1992 22 ‐ . ‐ . ) 丹下保夫, 体育技術と運動文化, 明治図書, 1963 185 23 p . . . 33 ) 加藤橘夫・福本久雄, 陸上競技の授業, ベース ボールマガジン社, 1962 24 p ‐ . . 158 ) 岸野雄三・多田建雄, ス ポー ツの技 術史, 大修館書店, 1972 25 p ‐ . . ) 佐藤格, スポーツ文化の教材化, 体育 科教育,29 22 1981 26 1, p - . . . 5, p 28 1980 ) 細江文利, 運動の特性のと らえ方と教材研究, 体育科教育,28 27 ‐ ‐ ‐ . ) 岸野雄三, 体育の文化 史, 不昧堂 出版, 1958 70 28 p . . . 1 2 ) ロベル ト・L・ケルチ ェ ターニ, 近代陸上競技の歴史, ベース ボールマ ガジン社, 1992 29 … pp . ‐ . 67 ) 佐々木秀幸, ス ポーツなる ほど辞典 -陸上競技-, 東京堂 出版, 1984 30 p . ‐ .. 9 8 9 1 5 1 6 ) 文部省, 中学校指導要領平成元年解説一保健体育編-. 東山書房,1 3 1 … p p . . .. 192.
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